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特開2023-149554半導体製造装置のための温度調節装置、および半導体製造システム
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  • 特開-半導体製造装置のための温度調節装置、および半導体製造システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149554
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】半導体製造装置のための温度調節装置、および半導体製造システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20231005BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20231005BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20231005BHJP
   G05D 23/19 20060101ALI20231005BHJP
   G05D 23/13 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 B
C23C16/44 B
G05D23/19 H
G05D23/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058188
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000106760
【氏名又は名称】CKD株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100091498
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(72)【発明者】
【氏名】福住 幸大
(72)【発明者】
【氏名】新田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】国保 典男
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
5H323
【Fターム(参考)】
4K030GA02
4K030JA10
4K030KA22
4K030KA39
4K030KA41
4K030LA15
5F004BB18
5F004BB25
5F004BB26
5F004BD04
5F004CA04
5F004CB12
5F045BB10
5F045DP02
5F045EJ03
5F045EK10
5F045GB05
5H323AA40
5H323BB17
5H323CA04
5H323CB04
5H323CB22
5H323CB32
5H323CB33
(57)【要約】
【課題】半導体製造装置を目標温度にするために必要な加熱部および冷却部の熱的動力を低減させることができる温度調節装置を提供する。
【解決手段】温度調節装置1は、加熱液を生成する加熱部5と、冷却液を生成する冷却部7と、加熱液を半導体製造装置2に送るための加熱液移送管8と、冷却液を半導体製造装置2に送るための冷却液移送管9と、半導体製造装置2を通過した加熱液と冷却液の混合液を加熱部5に戻すための加熱側戻り管31と、半導体製造装置2を通過した混合液を冷却部7に戻すための冷却側戻り管32と、加熱液と混合液との間で熱交換を行う加熱側熱交換器51、および冷却液と混合液との間で熱交換を行う冷却側熱交換器52のうちの少なくとも一方を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体製造装置の温度を調節するための温度調節装置であって、
加熱液を生成する加熱部と、
冷却液を生成する冷却部と、
前記加熱部に連結され、前記加熱液を前記半導体製造装置に送るための加熱液移送管と、
前記冷却部に連結され、前記冷却液を前記半導体製造装置に送るための冷却液移送管と、
前記加熱部に連結され、前記半導体製造装置を通過した前記加熱液と前記冷却液の混合液を前記加熱部に戻すための加熱側戻り管と、
前記冷却部に連結され、前記半導体製造装置を通過した前記混合液を前記冷却部に戻すための冷却側戻り管と、
前記加熱液と前記加熱部に戻る前記混合液との間で熱交換を行う加熱側熱交換器、および前記冷却液と前記冷却部に戻る前記混合液との間で熱交換を行う冷却側熱交換器のうちの少なくとも一方を備えている、温度調節装置。
【請求項2】
前記加熱液移送管に取り付けられた加熱側流量調節弁と、
前記加熱側流量調節弁から前記加熱側戻り管に延びる加熱側分岐管をさらに備えている、請求項1に記載の温度調節装置。
【請求項3】
前記冷却液移送管に取り付けられた冷却側流量調節弁と、
前記冷却側流量調節弁から前記冷却側戻り管に延びる冷却側分岐管をさらに備えている、請求項1に記載の温度調節装置。
【請求項4】
前記温度調節装置は、前記加熱側熱交換器を備えており、
前記加熱側熱交換器は、前記加熱液移送管および前記加熱側戻り管に接続されており、
前記温度調節装置は、前記加熱液移送管に接続され、前記加熱側熱交換器をバイパスする加熱側バイパス管と、前記加熱側バイパス管に送られる前記加熱液の流量および前記加熱側熱交換器に送られる前記加熱液の流量を調節する加熱側バイパス弁と、前記混合液の温度指標に基づいて前記加熱側バイパス弁を操作する弁制御部をさらに備えている、請求項1または2に記載の温度調節装置。
【請求項5】
前記温度指標は、前記半導体装置を通過した前記混合液の温度である、請求項4に記載の温度調節装置。
【請求項6】
前記温度指標は、前記半導体製造装置に設定されている目標温度である、請求項4に記載の温度調節装置。
【請求項7】
前記弁制御部は、前記温度指標が加熱側しきい値を上回ったときに、前記加熱側バイパス弁に指令を与えて、前記加熱部と前記加熱側バイパス管とを連通させるように構成されている、請求項4に記載の温度調節装置。
【請求項8】
前記温度調節装置は、前記冷却側熱交換器を備えており、
前記冷却側熱交換器は、前記冷却液移送管および前記冷却側戻り管に接続されており、
前記温度調節装置は、前記冷却液移送管に接続され、前記冷却側熱交換器をバイパスする冷却側バイパス管と、前記冷却側バイパス管に送られる前記冷却液の流量および前記冷却側熱交換器に送られる前記冷却液の流量を調節する冷却側バイパス弁と、前記混合液の温度指標に基づいて前記冷却側バイパス弁を操作する弁制御部をさらに備えている、請求項1または3に記載の温度調節装置。
【請求項9】
前記温度指標は、前記半導体装置を通過した前記混合液の温度である、請求項8に記載の温度調節装置。
【請求項10】
前記温度指標は、前記半導体製造装置に設定されている目標温度である、請求項8に記載の温度調節装置。
【請求項11】
前記弁制御部は、前記温度指標が冷却側しきい値を下回ったときに、前記冷却側バイパス弁に指令を与えて、前記冷却部と前記冷却側バイパス管とを連通させるように構成されている、請求項8に記載の温度調節装置。
【請求項12】
前記温度調節装置は、前記加熱側熱交換器および前記冷却側熱交換器の両方を備えている、請求項1に記載の温度調節装置。
【請求項13】
前記加熱液移送管および前記冷却液移送管に接続され、前記加熱液および前記冷却液を混合して前記混合液を生成する液体合流部をさらに備えている、請求項1に記載の温度調節装置。
【請求項14】
前記半導体製造装置を通過した前記混合液を、前記加熱側戻り管と前記冷却側戻り管に分配する分配弁をさらに備えている、請求項1に記載の温度調節装置。
【請求項15】
半導体デバイスを製造するための半導体製造装置と、
前記半導体製造装置の温度を調節するための請求項1、2、3、12、13、14のいずれか一項に記載の温度調節装置を備えている、半導体製造システム。
【請求項16】
半導体デバイスを製造するための半導体製造装置と、
前記半導体製造装置の温度を調節するための請求項4に記載の温度調節装置を備えている、半導体製造システム。
【請求項17】
半導体デバイスを製造するための半導体製造装置と、
前記半導体製造装置の温度を調節するための請求項8に記載の温度調節装置を備えている、半導体製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング装置、CVD装置などの半導体デバイスを製造する半導体製造装置の温度を調節するための温度調節装置に関する。また、本発明は、そのような温度調節装置および半導体製造装置を備えた半導体製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造するための半導体製造装置(例えばエッチング装置、CVD装置)は、処理温度を制御しながら製造プロセスを実行するように構成される。例えば、エッチング装置では、ウェーハを支持するサセプタ内に形成された流路に、温度調節された液体を流すことで、ウェーハの処理温度を調節する。
【0003】
図8は、半導体製造装置のための従来の温度調節装置の一例を示す模式図である。温度調節装置は、加熱液を生成する加熱部501と、冷却液を生成する冷却部502を備えている。加熱液と冷却液は、混合されて混合液を形成し、この混合液が半導体製造装置505のサセプタ507に送られる。処理されるウェーハWはサセプタ507上に支持されている。サセプタ507と混合液との間で熱交換が行われ、これにより半導体製造装置505は目標温度に維持される。
【0004】
半導体製造装置505に送られる混合液の温度は、加熱液の流量と冷却液の流量(すなわち、加熱液と冷却液との混合比)によって決まる。したがって、半導体製造装置505が目標温度に維持されるように、加熱液の流量と冷却液の流量は、加熱側流量調節弁511および冷却側流量調節弁512によって調節される。半導体製造装置505を通過した混合液は、加熱部501および冷却部502に分配される。混合液の一部は、加熱部501で再び加熱されて加熱液となり、混合液の他の部分は、冷却部502で再び冷却されて冷却液となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2021-081144号公報
【特許文献2】特開2010-117812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
最近では、ウェーハの処理中に半導体製造装置505の目標温度を変化させることが求められている。特に、加熱液の温度と冷却液の温度との中間の温度をウェーハの処理に用いることがある。しかしながら、中間温度を持つ混合液を、加熱部501および冷却部502により再度加熱および冷却するときに、大きな熱的動力が加熱部501および冷却部502に必要となる。
【0007】
そこで、本発明は、半導体製造装置を目標温度にするために必要な加熱部および冷却部の熱的動力を低減させることができる温度調節装置を提供する。また、本発明は、そのような温度調節装置および半導体製造装置を備えた半導体製造システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様では、半導体製造装置の温度を調節するための温度調節装置であって、加熱液を生成する加熱部と、冷却液を生成する冷却部と、前記加熱部に連結され、前記加熱液を前記半導体製造装置に送るための加熱液移送管と、前記冷却部に連結され、前記冷却液を前記半導体製造装置に送るための冷却液移送管と、前記加熱部に連結され、前記半導体製造装置を通過した前記加熱液と前記冷却液の混合液を前記加熱部に戻すための加熱側戻り管と、前記冷却部に連結され、前記半導体製造装置を通過した前記混合液を前記冷却部に戻すための冷却側戻り管と、前記加熱液と前記加熱部に戻る前記混合液との間で熱交換を行う加熱側熱交換器、および前記冷却液と前記冷却部に戻る前記混合液との間で熱交換を行う冷却側熱交換器のうちの少なくとも一方を備えている、温度調節装置が提供される。
【0009】
一態様では、前記温度調節装置は、前記加熱液移送管に取り付けられた加熱側流量調節弁と、前記加熱側流量調節弁から前記加熱側戻り管に延びる加熱側分岐管をさらに備えている。
一態様では、前記温度調節装置は、前記冷却液移送管に取り付けられた冷却側流量調節弁と、前記冷却側流量調節弁から前記冷却側戻り管に延びる冷却側分岐管をさらに備えている。
一態様では、前記温度調節装置は、前記加熱側熱交換器を備えており、前記加熱側熱交換器は、前記加熱液移送管および前記加熱側戻り管に接続されており、前記温度調節装置は、前記加熱液移送管に接続され、前記加熱側熱交換器をバイパスする加熱側バイパス管と、前記加熱側バイパス管に送られる前記加熱液の流量および前記加熱側熱交換器に送られる前記加熱液の流量を調節する加熱側バイパス弁と、前記混合液の温度指標に基づいて前記加熱側バイパス弁を操作する弁制御部をさらに備えている。
一態様では、前記温度指標は、前記半導体装置を通過した前記混合液の温度である。
一態様では、前記温度指標は、前記半導体製造装置に設定されている目標温度である。
一態様では、前記弁制御部は、前記温度指標が加熱側しきい値を上回ったときに、前記加熱側バイパス弁に指令を与えて、前記加熱部と前記加熱側バイパス管とを連通させるように構成されている。
【0010】
一態様では、前記温度調節装置は、前記冷却側熱交換器を備えており、前記冷却側熱交換器は、前記冷却液移送管および前記冷却側戻り管に接続されており、前記温度調節装置は、前記冷却液移送管に接続され、前記冷却側熱交換器をバイパスする冷却側バイパス管と、前記冷却側バイパス管に送られる前記冷却液の流量および前記冷却側熱交換器に送られる前記冷却液の流量を調節する冷却側バイパス弁と、前記混合液の温度指標に基づいて前記冷却側バイパス弁を操作する弁制御部をさらに備えている。
一態様では、前記温度指標は、前記半導体装置を通過した前記混合液の温度である。
一態様では、前記温度指標は、前記半導体製造装置に設定されている目標温度である。
一態様では、前記弁制御部は、前記温度指標が冷却側しきい値を下回ったときに、前記冷却側バイパス弁に指令を与えて、前記冷却部と前記冷却側バイパス管とを連通させるように構成されている。
【0011】
一態様では、前記温度調節装置は、前記加熱側熱交換器および前記冷却側熱交換器の両方を備えている。
一態様では、前記温度調節装置は、前記加熱液移送管および前記冷却液移送管に接続され、前記加熱液および前記冷却液を混合して前記混合液を生成する液体合流部をさらに備えている。
一態様では、前記温度調節装置は、前記半導体製造装置を通過した前記混合液を、前記加熱側戻り管と前記冷却側戻り管に分配する分配弁をさらに備えている。
【0012】
一態様では、半導体デバイスを製造するための半導体製造装置と、前記半導体製造装置の温度を調節するための上記温度調節装置を備えている、半導体製造システムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
加熱側熱交換器は、加熱部に戻る混合液の温度を、加熱部により生成された加熱液により上昇させる。したがって、加熱側熱交換器は、加熱部が混合液を設定温度にまで加熱して再び加熱液を生成するために必要な熱的動力(すなわち加熱負荷)を低下させることができる。同様に、冷却側熱交換器は、冷却部に戻る混合液の温度を、冷却部により生成された冷却液により低下させる。したがって、冷却側熱交換器は、冷却部が混合液を設定温度にまで冷却して再び冷却液を生成するために必要な熱的動力(すなわち冷却負荷)を低下させることができる。結果として、加熱側熱交換器および冷却側熱交換器は、温度調節装置の温度調節効率を向上させることができる。
【0014】
加熱側熱交換器での熱交換は、混合液の温度を上昇させるが、その一方で、加熱液の温度を低下させる。このため、半導体製造装置に設定された目標温度が加熱液の温度に近いとき、加熱側熱交換器での熱交換は、加熱部に必要な熱的動力をかえって増加させることがある。本発明によれば、半導体製造装置に設定された目標温度が加熱液の温度に近いときは、加熱液の少なくとも一部は加熱側熱交換器をバイパスする。このような動作により、温度調節装置の温度調節効率の低下を防止することができる。
【0015】
同様に、冷却側熱交換器での熱交換は、混合液の温度を低下させるが、その一方で、冷却液の温度を上昇させる。このため、半導体製造装置に設定された目標温度が冷却液の温度に近いとき、冷却側熱交換器での熱交換は、冷却部に必要な熱的動力をかえって増加させることがある。本発明によれば、半導体製造装置に設定された目標温度が冷却液の温度に近いときは、冷却液の少なくとも一部は冷却側熱交換器をバイパスする。このような動作により、温度調節装置の温度調節効率の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】温度調節装置および半導体製造装置を含む半導体製造システムの一実施形態を示す模式図である。
図2】半導体製造装置の目標温度を段階的に変化させるウェーハ処理の一例を示す図である。
図3図1に示す温度調節装置と半導体製造装置との間を循環する加熱液、冷却液、混合液の温度の一例を示すグラフである。
図4】熱交換器を持たない温度調節装置と半導体製造装置との間を循環する加熱液、冷却液、混合液の温度の一例を示すグラフである。
図5図3に示す例における、半導体製造装置に流入する前の混合液の温度[℃]と、加熱部および冷却部に必要な熱的動力[kW]との関係を示すグラフである。
図6図4に示す例における、半導体製造装置に流入する前の混合液の温度[℃]と、加熱部および冷却部に必要な熱的動力[kW]との関係を示すグラフである。
図7】温度調節装置の他の実施形態を示す模式図である。
図8】半導体製造装置のための従来の温度調節装置の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、温度調節装置1および半導体製造装置2を含む半導体製造システムの一実施形態を示す模式図である。この温度調節装置1は、半導体製造装置2(例えば、エッチング装置、CVD装置、PVD装置など)の温度を調節する用途に使用される。図1に示すように、半導体製造システムは、温度調節装置1と、温度調節装置1に連結された半導体製造装置2を備えている。図1に示す実施形態では、半導体製造装置2として、ウェーハWにプラズマエッチング処理を実施するエッチング装置が使用されているが、半導体製造装置2は本実施形態に限定されない。
【0018】
温度調節装置1は、加熱液を生成する加熱部5と、冷却液を生成する冷却部7を備えている。加熱液および冷却液としては、フッ素系の不活性液体などの同じ種類の液体が使用される。加熱部5は、電気ヒータ等を用いることができる。冷却部7は、蒸気圧縮冷凍機、吸収冷凍機等である。蒸気圧縮式冷凍機にはターボ冷凍機、スクリュ冷凍機、ロータリー冷凍機、スクロール冷凍機等があり、これらを用いることができる。加熱部5および冷却部7の構成は、液体を加熱および冷却できるものであれば、特に限定されない。
【0019】
温度調節装置1は、加熱部5により生成された加熱液を半導体製造装置2に送るための加熱液移送管8と、冷却部7により生成された冷却液を半導体製造装置2に送るための冷却液移送管9をさらに備えている。加熱液移送管8の一端は加熱部5に連結され、冷却液移送管9の一端は冷却部7に連結されている。加熱液移送管8の他端および冷却液移送管9の他端は液体合流部12に連結されている。加熱部5により生成された加熱液と、冷却部7により生成された冷却液は、加熱液移送管8および冷却液移送管9をそれぞれ流れて、液体合流部12で混合され、混合液を形成する。
【0020】
液体合流部12は、流入管15を通じて半導体製造装置2のサセプタ17に連結されている。サセプタ17は、その内部に流路18を有している。流入管15の一端は液体合流部12に連結され、流入管15の他端は流路18の入口に連結されている。処理されるウェーハWは、サセプタ17上に支持されている。加熱液および冷却液からなる混合液は、流入管15を通じてサセプタ17の流路18に移送される。
【0021】
サセプタ17の流路18の出口には、流出管20が連結されている。流出管20の一端はサセプタ17の出口に連結され、流出管20の他端は分配弁24に連結されている。温度調節装置1は、半導体製造装置2を通過した混合液を加熱部5に戻すための加熱側戻り管31と、半導体製造装置2を通過した混合液を冷却部7に戻すための冷却側戻り管32を備えている。加熱側戻り管31の一端は分配弁24に連結され、加熱側戻り管31の他端は加熱部5に連結されている。冷却側戻り管32の一端は分配弁24に連結され、冷却側戻り管32の他端は冷却部7に連結されている。
【0022】
半導体製造装置2を通過した混合液は、流出管20を流れ、分配弁24により加熱側戻り管31と冷却側戻り管32に分配される。すなわち、混合液の一部は加熱側戻り管31を通じて加熱部5に戻され、混合液の他の部分は冷却側戻り管32を通じて冷却部7に戻される。このように、加熱液および冷却液は、温度調節装置1と半導体製造装置2との間を循環する。
【0023】
加熱部5は、加熱側戻り管31を通じて戻された混合液を、予め設定された温度(例えば、60℃)に加熱することで加熱液を生成し、加熱液を予め設定された一定の流量で加熱液移送管8に送るように構成されている。同様に、冷却部7は、冷却側戻り管32を通じて戻された混合液を、予め設定された温度(例えば、-40℃)に冷却することで冷却液を生成し、冷却液を予め設定された一定の流量で冷却液移送管9に送るように構成されている。
【0024】
温度調節装置1は、加熱液移送管8を通って液体合流部12に送られる加熱液の流量を調節する加熱側流量調節弁35をさらに備えている。この加熱側流量調節弁35は、加熱液移送管8に取り付けられている。加熱側流量調節弁35は、例えば、流量調節機能を有する三方弁である。加熱側流量調節弁35は、加熱側分岐管36を通じて加熱側戻り管31に連結されている。すなわち、加熱側分岐管36の一端は加熱側流量調節弁35に連結され、加熱側分岐管36の他端は加熱側戻り管31に連結されている。加熱側流量調節弁35は、弁制御部40に電気的に接続されており、加熱側流量調節弁35の動作は弁制御部40により制御される。
【0025】
温度調節装置1は、冷却液移送管9を通って液体合流部12に送られる冷却液の流量を調節する冷却側流量調節弁45をさらに備えている。この冷却側流量調節弁45は、冷却液移送管9に取り付けられている。冷却側流量調節弁45は、例えば、流量調節機能を有する三方弁である。冷却側流量調節弁45は、冷却側分岐管46を通じて冷却側戻り管32に連結されている。すなわち、冷却側分岐管46の一端は冷却側流量調節弁45に連結され、冷却側分岐管46の他端は冷却側戻り管32に連結されている。冷却側流量調節弁45は、弁制御部40に電気的に接続されており、冷却側流量調節弁45の動作は弁制御部40により制御される。
【0026】
半導体製造装置2に送られる混合液の温度は、加熱液の流量と冷却液の流量(すなわち、加熱液と冷却液との混合比)によって決まる。したがって、弁制御部40は、半導体製造装置2の目標温度に基づいて、加熱液の流量および冷却液の流量を決定し、決定した流量を示す指令信号を加熱側流量調節弁35および冷却側流量調節弁45にそれぞれ送ることで、加熱液の流量と冷却液の流量を加熱側流量調節弁35および冷却側流量調節弁45により調節させる。このような加熱液の流量と冷却液の流量の制御により、半導体製造装置2が目標温度に維持される。一実施形態では、加熱部5および冷却部7において、変流量式ポンプを用いる場合は、加熱側流量調節弁35および冷却側流量調節弁45を設けなくてもよい。
【0027】
加熱部5から加熱側流量調節弁35に送られた加熱液の流量と、加熱側流量調節弁35により調節された加熱液の流量との差に相当する流量の加熱液は、加熱側流量調節弁35から加熱側分岐管36を通って加熱側戻り管31に流れ、加熱側戻り管31を通って加熱部5に戻される。同様に、冷却部7から冷却側流量調節弁45に送られた冷却液の流量と、冷却側流量調節弁45により調節された冷却液の流量との差に相当する流量の冷却液は、冷却側流量調節弁45から冷却側分岐管46を通って冷却側戻り管32に流れ、冷却側戻り管32を通って冷却部7に戻される。
【0028】
弁制御部40は、プログラムが格納された記憶装置40aと、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置40bを備えている。弁制御部40は、少なくとも1台のコンピュータ(例えば、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ)から構成される。記憶装置40aは、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置40bの例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、弁制御部40の具体的構成はこれらの例に限定されない。
【0029】
加熱液および冷却液は、加熱側流量調節弁35および冷却側流量調節弁45により調節された流量で液体合流部12に流入し、混合液を形成する。混合液は、半導体製造装置2のサセプタ17に移送される。半導体製造装置2を通過した混合液は、加熱部5および冷却部7に分配され、加熱部5で再び加熱されて加熱液となり、冷却部7で再び冷却されて冷却液となる。
【0030】
半導体製造装置2を通過した混合液は、分配弁24により、液体合流部12に流入した加熱液および冷却液の流量と同じ流量で加熱側戻り管31および冷却側戻り管32に分配される。分配弁24の動作は、弁制御部40により制御される。すなわち、弁制御部40は、半導体製造装置2の目標温度に基づいて決定された加熱液の流量および冷却液の流量と同じ流量を示す指令信号を分配弁24に送り、分配弁24は指令信号に基づいた流量で混合液を加熱側戻り管31および冷却側戻り管32に分配する。
【0031】
温度調節装置1は、加熱部5によって生成された加熱液と加熱部5に戻る混合液との間で熱交換を行う加熱側熱交換器51と、冷却部7によって生成された冷却液と冷却部7に戻る混合液との間で熱交換を行う冷却側熱交換器52を備えている。加熱側熱交換器51は、加熱液移送管8と加熱側戻り管31に接続されており、加熱部5と加熱側流量調節弁35との間に配置されている。冷却側熱交換器52は、冷却液移送管9と冷却側戻り管32に接続されており、冷却部7と冷却側流量調節弁45との間に配置されている。
【0032】
加熱液移送管8を流れる加熱液と、加熱側戻り管31を流れる混合液は、加熱側熱交換器51内で熱交換を行い、これにより加熱部5に戻る混合液は、加熱液により加熱される。加熱部5は、混合液を、予め設定された温度(例えば、60℃)に加熱することで加熱液を生成する。混合液は、加熱側熱交換器51内で加熱液により既に加熱されているので、加熱部5は、より少ない熱的動力で加熱液を生成することができる。
【0033】
同様に、冷却液移送管9を流れる冷却液と、冷却側戻り管32を流れる混合液は、冷却側熱交換器52内で熱交換を行い、これにより冷却部7に戻る混合液は、冷却液により冷却される。冷却部7は、混合液を、予め設定された温度(例えば、-40℃)に冷却することで冷却液を生成する。混合液は、冷却側熱交換器52内で冷却液により既に冷却されているので、冷却部7は、より少ない熱的動力で冷却液を生成することができる。
【0034】
加熱側熱交換器51および冷却側熱交換器52は、半導体製造装置2の目標温度が、加熱液の温度と冷却液の温度との中間の温度付近であるときに、効果的である。最近では、図2に示すように、ウェーハWの処理中に、半導体製造装置2の目標温度を段階的に変化させる要求がある。図2において、冷却液の温度に相当するMINと、加熱液の温度に相当するMAXとの間の中間の温度でウェーハWを処理するとき、中間温度の混合液が温度調節装置1に戻される。加熱側熱交換器51は、加熱部5に戻る中間温度の混合液と、加熱部5で生成すべき加熱液との温度差を小さくすることができ、冷却側熱交換器52は、冷却部7に戻る中間温度の混合液と、冷却部7で生成すべき冷却液との温度差を小さくすることができる。結果として、加熱部5および冷却部7に必要とされる熱的動力を低減させることができ、加熱部5および冷却部7での消費電力を削減することができる。
【0035】
図3は、図1に示す温度調節装置1と半導体製造装置2との間を循環する加熱液、冷却液、混合液の温度の一例を示すグラフである。図3において、縦軸は温度を表している。この例では、加熱部5で生成される加熱液の温度は60℃であり、冷却部7で生成される冷却液の温度は-40℃であり、半導体製造装置2に供給される加熱液と冷却液との混合液の温度は10℃であり、半導体製造装置2を通過した混合液の温度は21℃である。半導体製造装置2での熱的負荷は6kWである。
【0036】
図3に示すように、半導体製造装置2から戻る混合液の一部は、21℃の混合液と46℃の加熱液が混じり、41℃になる。さらに、混合液は、加熱側熱交換器51により加熱されて、混合液の温度は41℃から54℃に上昇している。同時に、半導体製造装置2から戻る混合液の他の部分は、21℃の混合液と-0.8℃の冷却液が混じると16℃になる。さらに、混合液は、冷却側熱交換器52により冷却されて、混合液の温度は16℃から-23℃に低下している。その結果、加熱部5の熱的動力(加熱負荷)は3.2kWであり、冷却部7の熱的動力(冷却負荷)は9.2kWである。
【0037】
図4は、熱交換器を持たない温度調節装置1と半導体製造装置2との間を循環する加熱液、冷却液、混合液の温度の一例を示すグラフである。この例でも、加熱部5で生成される加熱液の温度は60℃であり、冷却部7で生成される冷却液の温度は-40℃であり、半導体製造装置2に供給される加熱液と冷却液との混合液の温度は10℃であり、半導体製造装置2を通過した混合液の温度は21℃である。半導体製造装置2での熱的負荷は6kWである。
【0038】
図4に示すように、半導体製造装置2から戻る混合液の一部は、21℃の混合液と60℃の加熱液が混じり、40.5℃の温度で加熱部5に流入する。加熱部5で生成すべき加熱液の設定温度60℃と、混合液の温度40.5℃との差は、図3の例での温度差よりも大きい。したがって、加熱部5の熱的動力(加熱負荷)は、10.6kWである。半導体製造装置2から戻る混合液の他の部分は、21℃の混合液と-40℃の冷却液が混じり、-9.5℃の温度で冷却部7に流入する。冷却部7で生成すべき冷却液の設定温度-40℃と、混合液の温度-9.5℃との差は、図3の例での温度差よりも大きい。したがって、冷却部7の熱的動力(冷却負荷)は、16.6kWである。
【0039】
図3図4との比較から、加熱側熱交換器51および冷却側熱交換器52は、加熱部5および冷却部7での熱的動力を低下させることが分かる。結果として、温度調節装置1の温度調節効率を向上させることができる。
【0040】
図5は、図3に示す例における、半導体製造装置2に流入する前の混合液の温度[℃]と、加熱部5および冷却部7に必要な熱的動力[kW]との関係を示すグラフであり、図6は、図4に示す例における、半導体製造装置2に流入する前の混合液の温度[℃]と、加熱部5および冷却部7に必要な熱的動力[kW]との関係を示すグラフである。
【0041】
図5に示すグラフでは、半導体製造装置2に流入する前の混合液の温度が10℃の時、加熱部5の熱的動力(加熱負荷)は3.2kWであり、冷却部7の熱的動力(冷却負荷)は9.2kWである。図6に示すグラフでは、半導体製造装置2に流入する前の混合液の温度が10℃の時、加熱部5の熱的動力(加熱負荷)は、10.6kWであり、冷却部7の熱的動力(冷却負荷)は、16.6kWである。この比較から分かるように、加熱側熱交換器51および冷却側熱交換器52は、特に加熱液の温度と冷却液の温度の中間領域において、加熱部5および冷却部7での熱的動力を顕著に低下させることができる。
【0042】
図5に示すように、半導体製造装置2に送られる混合液の温度が加熱液の温度(60℃)に近いとき(すなわち半導体製造装置2の目標温度が加熱液の温度に近いとき)、半導体製造装置2から加熱部5に戻る混合液の温度は高いため、加熱部5の熱的動力は低い(すなわち加熱部5の加熱効率は高い)。したがって、半導体製造装置2の目標温度が固定であって、加熱液の温度に近いときは、加熱側熱交換器51は設けなくてよいこともある。同様に、半導体製造装置2に送られる混合液の温度が冷却液の温度(-40℃)に近いとき(すなわち半導体製造装置2の目標温度が冷却液の温度に近いとき)、半導体製造装置2から冷却部7に戻る混合液の温度は低いため、冷却部7の熱的動力は低い(すなわち冷却部7の冷却効率は高い)。したがって、半導体製造装置2の目標温度が固定であって、冷却液の温度に近いときは、冷却側熱交換器52は設けなくてよいこともある。
【0043】
図7は、温度調節装置1の他の実施形態を示す模式図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、図1乃至図6を参照して説明した実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
【0044】
図7に示す実施形態の温度調節装置1は、加熱側熱交換器51をバイパスする加熱側バイパス管61と、加熱側バイパス管61に送られる加熱液の流量および加熱側熱交換器51に送られる加熱液の流量を調節する加熱側バイパス弁62をさらに備えている。加熱側バイパス管61は加熱液移送管8に接続されている。より具体的には、加熱側バイパス管61の一端は、加熱部5と加熱側熱交換器51との間の位置で加熱液移送管8に接続され、加熱側バイパス管61の他端は、加熱側熱交換器51と加熱側流量調節弁35との間の位置で加熱液移送管8に接続されている。
【0045】
加熱側バイパス弁62は、加熱部5と加熱側熱交換器51との間に配置されており、加熱側バイパス管61と加熱液移送管8の両方に接続されている。加熱側バイパス弁62の具体例としては、三方弁、および複数の弁の組み合わせが挙げられる。加熱側バイパス弁62は、加熱部5によって生成された加熱液を、加熱側バイパス管61または加熱側熱交換器51のいずれか一方に選択的に送るように構成されてもよいし、あるいは加熱部5によって生成された加熱液を、加熱側バイパス管61および加熱側熱交換器51に、ある流量比で分配するように構成されてもよい。
【0046】
加熱側バイパス弁62は、弁制御部40に電気的に接続されており、加熱側バイパス弁62の動作は弁制御部40によって制御される。より具体的には、弁制御部40は、混合液の温度指標に基づいて加熱側バイパス弁62を操作するように構成されている。この温度指標は、半導体製造装置2に設定されている目標温度であってもよいし、あるいは半導体製造装置2を通過した混合液の温度の測定値であってもよい。混合液の温度の測定値を取得するための温度測定器(例えば温度センサ)は、流出管20または加熱側戻り管31に取り付けられる。
【0047】
弁制御部40は、上記温度指標が加熱側しきい値よりも小さいときは、加熱側バイパス弁62を操作して、加熱部5と加熱側バイパス管61との連通を遮断する。したがって、加熱液は加熱側熱交換器51を流れるが、加熱側バイパス管61を流れない。弁制御部40は、上記温度指標が加熱側しきい値を上回ったときに、加熱側バイパス弁62に指令を与えて、加熱部5と加熱側バイパス管61とを連通させる。これにより、加熱部5によって生成された加熱液は、加熱側バイパス管61を流れる。このとき、加熱側熱交換器51に流れる加熱液の流量は低下するか、または0になる。
【0048】
加熱側熱交換器51での熱交換は、混合液の温度を上昇させるが、その一方で、加熱液の温度を低下させる。このため、半導体製造装置2に設定された目標温度が加熱液の温度に近いとき、加熱側熱交換器51での熱交換は、加熱部5に必要な熱的動力をかえって増加させることがある。本実施形態によれば、半導体製造装置2に設定された目標温度が加熱液の温度に近いときは、加熱液の少なくとも一部は加熱側熱交換器51をバイパスする。このような動作により、温度調節装置1の温度調節効率の低下を防止することができる。
【0049】
図7に示す実施形態の温度調節装置1は、冷却側熱交換器52をバイパスする冷却側バイパス管67と、冷却側バイパス管67に送られる冷却液の流量および冷却側熱交換器52に送られる冷却液の流量を調節する冷却側バイパス弁68をさらに備えている。冷却側バイパス管67は冷却液移送管9に接続されている。より具体的には、冷却側バイパス管67の一端は、冷却部7と冷却側熱交換器52との間の位置で冷却液移送管9に接続され、冷却側バイパス管67の他端は、冷却側熱交換器52と冷却側流量調節弁45との間の位置で冷却液移送管9に接続されている。
【0050】
冷却側バイパス弁68は、冷却部7と冷却側熱交換器52との間に配置されており、冷却側バイパス管67と冷却液移送管9の両方に接続されている。冷却側バイパス弁68の具体例としては、三方弁、および複数の弁の組み合わせが挙げられる。冷却側バイパス弁68は、冷却部7によって生成された冷却液を、冷却側バイパス管67または冷却側熱交換器52のいずれか一方に選択的に送るように構成されてもよいし、あるいは冷却部7によって生成された冷却液を、冷却側バイパス管67および冷却側熱交換器52に、ある流量比で分配するように構成されてもよい。
【0051】
冷却側バイパス弁68は、弁制御部40に電気的に接続されており、冷却側バイパス弁68の動作は弁制御部40によって制御される。より具体的には、弁制御部40は、混合液の温度指標に基づいて冷却側バイパス弁68を操作するように構成されている。この温度指標は、半導体製造装置2に設定されている目標温度であってもよいし、あるいは半導体製造装置2を通過した混合液の温度の測定値であってもよい。混合液の温度の測定値を取得するための温度測定器(例えば温度センサ)は、流出管20または冷却側戻り管32に取り付けられる。
【0052】
弁制御部40は、上記温度指標が冷却側しきい値よりも大きいときは、冷却側バイパス弁68を操作して、冷却部7と冷却側バイパス管67との連通を遮断する。したがって、冷却液は冷却側熱交換器52を流れるが、冷却側バイパス管67を流れない。弁制御部40は、上記温度指標が冷却側しきい値を下回ったときに、冷却側バイパス弁68に指令を与えて、冷却部7と冷却側バイパス管67とを連通させる。これにより、冷却部7によって生成された冷却液は、冷却側バイパス管67を流れる。このとき、冷却側熱交換器52に流れる冷却液の流量は低下するか、または0になる。
【0053】
冷却側熱交換器52での熱交換は、混合液の温度を低下させるが、その一方で、冷却液の温度を上昇させる。このため、半導体製造装置2に設定された目標温度が冷却液の温度に近いとき、冷却側熱交換器52での熱交換は、冷却部7に必要な熱的動力をかえって増加させることがある。本実施形態によれば、半導体製造装置2に設定された目標温度が冷却液の温度に近いときは、冷却液の少なくとも一部は冷却側熱交換器52をバイパスする。このような動作により、温度調節装置1の温度調節効率の低下を防止することができる。
【0054】
本実施形態においても、半導体製造装置2の目標温度が固定であって、加熱液の温度に近いときは、加熱側熱交換器51、加熱側バイパス管61、および加熱側バイパス弁62は設けなくてもよい。半導体製造装置2の目標温度が固定であって、冷却液の温度に近いときは、冷却側熱交換器52、冷却側バイパス管67、および冷却側バイパス弁68は設けなくてもよい。
【0055】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0056】
W ウェーハ
1 温度調節装置
2 半導体製造装置
5 加熱部
7 冷却部
8 加熱液移送管
9 冷却液移送管
12 液体合流部
15 流入管
17 サセプタ
18 流路
20 流出管
24 分配弁
31 加熱側戻り管
32 冷却側戻り管
35 加熱側流量調節弁
36 加熱側分岐管
40 弁制御部
45 冷却側流量調節弁
46 冷却側分岐管
51 加熱側熱交換器
52 冷却側熱交換器
61 加熱側バイパス管
62 加熱側バイパス弁
67 冷却側バイパス管
68 冷却側バイパス弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8