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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149576
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1343 20060101AFI20231005BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20231005BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20231005BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20231005BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G02F1/1343
G02F1/1337
G02F1/1368
G02F1/1339 500
G02F1/133 550
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058217
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】安達 浩一郎
【テーマコード(参考)】
2H092
2H189
2H192
2H193
2H290
【Fターム(参考)】
2H092GA13
2H092HA05
2H092JA24
2H092JB42
2H092JB46
2H092NA01
2H092NA25
2H092PA02
2H092PA03
2H092PA06
2H092QA06
2H189DA07
2H189DA31
2H189HA16
2H189JA10
2H189LA03
2H189LA08
2H189LA10
2H189LA19
2H189NA03
2H189NA05
2H192AA24
2H192BA13
2H192BA24
2H192BA25
2H192BA42
2H192BC12
2H192BC22
2H192BC24
2H192BC72
2H192CB23
2H192CB24
2H192FB03
2H192FB05
2H192FB27
2H192FB46
2H192GD23
2H192JA13
2H193ZA04
2H193ZA19
2H193ZA20
2H193ZD24
2H193ZE23
2H193ZG02
2H193ZP03
2H193ZP04
2H193ZQ11
2H290AA33
2H290BB42
2H290BB46
2H290CA42
2H290CA46
2H290CA51
2H290CB02
2H290CB03
(57)【要約】
【課題】反射型及び透過型の表示機能を兼ね備えた液晶表示装置において、画質の向上を図る。
【解決手段】液晶表示装置は、複数の画素電極がマトリクス状に配列された画素アレイを含むアレイ基板と、アレイ基板に対向し複数の画素電極と重なる対向電極を含む対向基板とを有する。対向電極は複数の画素電極のそれぞれと重なる領域には開口部を有し、複数の画素電極は相互に隣接する4つの画素電極の対角する端部の間隔が離隔するように広がる形状を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素電極がマトリクス状に配列された画素アレイを含むアレイ基板と、
前記アレイ基板に対向し、前記複数の画素電極と重なる対向電極を含む対向基板と、を有し、
前記対向電極は、前記複数の画素電極のそれぞれと重なる領域に開口部を有し、
前記複数の画素電極は、相互に隣接する4つの画素電極の対角する端部の間隔が広がる形状を有する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記アレイ基板と前記対向基板との間にスペーサを有し、
前記スペーサは、相互に隣接する他の4つの画素電極に囲まれた領域に配置され、
前記4つの画素電極の対角する端部の間隔が、前記他の4つの画素電極の対角する端部の間隔より広い、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数の画素電極が平面視で矩形の角部が切り欠かれた形状を有する、
請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記相互に隣接する4つの画素電極は、左右上下で非対称の形状を有する、
請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記画素電極の各辺のそれぞれは、X方向又はY方向に平行な第1部分と、X方向及びY方向に交差する第2部分と、を有し、互いに隣り合う画素電極の一方の第1部分と他方の第2部分とが対向し、一方の第2部分と他方の第1部分とが対向している、
請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
複数の画素電極がマトリクス状に配列された画素アレイを含むアレイ基板と、
前記アレイ基板に対向し、前記複数の画素電極と重なる対向電極を含む対向基板と、を有し、
前記対向電極は、前記複数の画素電極のそれぞれと重なる領域に開口部を有し、
前記複数の画素電極は、隣接する画素電極同士の間隔が部分的に広がるように、外周縁の1辺の中央部分に切欠き部が設けられている
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
複数の画素電極がマトリクス状に配列された画素アレイを含むアレイ基板と、
前記アレイ基板に対向し、前記複数の画素電極と重なる対向電極を含む対向基板と、を有し、
前記対向電極は、前記複数の画素電極のそれぞれと重なる領域にスリットを有し、
前記スリットは、前記画素電極の中央部から外周縁に向けて延びるパターンを有する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
前記複数の画素電極が反射電極であり、前記複数の画素電極の画素間の領域に透過領域を有する、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
バックライトをさらに有し、
前記バックライトの光が前記透過領域を透過して出射される、
請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記画素アレイは、各画素にラッチ回路を含む画素回路が設けられ、
前記画素回路が、前記画素電極と重なる領域に配置されている、
請求項1乃至9のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、液晶表示装置の画素の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、バックライトの光を透過させて表示を行う透過型と、外光を画素電極で反射させて表示を行う反射型が知られている。また、反射型と透過型の表示機能を兼ね備えたタイプの液晶表示装置も知られている。例えば、反射電極を有しつつ、反射電極が配列する画素間の領域を透過領域としてバックライトの光を透過させる半透過型の液晶表示装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-255908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示される液晶表示装置は、反射電極で外光を反射するだけではなく、反射電極間の隙間からバックライトの光が透過することよって反射電極での表示を補助しており、周辺環境に拘わらず表示画像の輝度が一定以上に保たれる。この液晶表示装置は、表示モードとしてノーマリブラックモードを採用することでコントラストの向上が図られているが、さらなる画質の向上が求められている。
【0005】
本発明の一実施形態は、反射型及び透過型の表示機能を兼ね備えた液晶表示装置において、画質の向上を図ることを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置は、複数の画素電極がマトリクス状に配列された画素アレイを含むアレイ基板と、アレイ基板に対向し複数の画素電極と重なる対向電極を含む対向基板とを有し、対向電極は複数の画素電極のそれぞれと重なる領域に開口部を有し、複数の画素電極は相互に隣接する4つの画素電極の対角する端部の間隔が広がる形状を有する。
【0007】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置は、複数の画素電極がマトリクス状に配列された画素アレイを含むアレイ基板と、アレイ基板に対向し複数の画素電極と重なる対向電極を含む対向基板とを有し、対向電極は複数の画素電極のそれぞれと重なる領域に開口部を有し、複数の画素電極は隣接する画素電極同士の間隔が部分的に広がるように外周縁の1辺の中央部分に切欠き部が設けられている。
【0008】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置は、複数の画素電極がマトリクス状に配列された画素アレイを含むアレイ基板と、アレイ基板に対向し複数の画素電極と重なる対向電極を含む対向基板とを有し、対向電極は複数の画素電極のそれぞれと重なる領域にスリットを有し、スリットは画素電極の中央部から外周縁に向けて延びるパターンを有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の構成を示す。
図2】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の画素を構成する画素回路と、画素回に接続される画素電極を示す。
図3】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の画素アレイの部分的な断面図を示す。
図4】液晶表示装置の画素電極の構造及び配列と、液晶分子の配向状態を説明する平面図を示す。
図5】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の画素アレイの平面図を示す。
図6】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の画素電極の構造及び配列と、液晶分子の配向状態を説明する平面図を示す。
図7】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の画素アレイの平面図を示す。
図8】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の画素アレイの平面図を示す。
図9】本発明の一実施形態に係る液晶表示装置における対向電極の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号(又は数字の後にA、B、a、bなどを付した符号)を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。さらに各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有しない。
【0011】
本明細書において、ある部材又は領域が他の部材又は領域の「上に(又は下に)」あるとする場合、特段の限定がない限りこれは他の部材又は領域の直上(又は直下)にある場合のみでなく他の部材又は領域の上方(又は下方)にある場合を含み、すなわち、他の部材又は領域の上方(又は下方)において間に別の構成要素が含まれている場合も含む。
【0012】
[液晶表示装置の構成]
本実施形態は、一例として、画素ごとにデータを記憶するメモリ回路が設けられたMIP(Memory In Pixel)方式の液晶表示装置を示す。
【0013】
図1は、液晶表示装置100の構成を示す。液晶表示装置100は、画素105が配列された画素アレイ106を有する。画素アレイ106は、例えば、透光性を有するガラス基板の上に設けられる。本実施形態では、画素アレイ106が設けられた基板を、アレイ基板102と呼ぶ。アレイ基板102には、画素アレイ106を駆動する駆動回路が設けられる。駆動回路には、垂直ドライバ108、水平ドライバ110、ドライバIC112が含まれる。これらの駆動回路は、アレイ基板102上であって、画素アレイ106の外側の領域に設けられる。
【0014】
画素アレイ106は、画素105が行方向及び列方向にマトリクス状に任意の数(m行n列)で配列される。また、画素アレイ106には、画素105の配列に対応して、行方向に複数の走査信号線116が配設され、列方向に複数のデータ信号線118が配設される。
【0015】
画素105は、複数の副画素で構成される。図1は、画素105が、第1副画素104A、第2副画素104B、第3副画素104Cを含む態様を示す。後述されるように、液晶表示装置100は、面積階調で画像が表示されるため、一つの副画素は複数の画素電極を含んで構成される。図1は、第1副画素104Aが、第1画素電極120A、第2画素電極120B、第3画素電極120Cを含むことを示す。第2副画素104B及び第3副画素104Cも同様の構成を有する。
【0016】
垂直ドライバ108は、画素アレイ106に配設された走査信号線116に走査信号を出力する。画素アレイ106に配列する画素105は行ごとに選択され、選択された画素105の各副画素104A、104B、104Cが信号書込状態となり、データ信号線118からデータ信号(映像信号)が書き込まれる。垂直ドライバ108は、複数の走査信号線116に順次選択パルスを出力し、1フレームごとにデータの書き込みが行われるように動作する。また、垂直ドライバ108は、行単位でアドレスを指定することで、特定の領域に属する画素105のデータを書き換えるように動作することもできる。なお、図1は、画素アレイ106の左右両側に垂直ドライバ108が配置される構成を示すが、この例に限定されず、垂直ドライバ108は画素アレイ106の左右一方の側のみに配置されてもよい。
【0017】
水平ドライバ110は、ドライバIC112から出力されたデータ信号を、データ信号線118に出力する。水平ドライバ110は、マルチプレクサ回路を含み、複数のデータ信号線118を選択してデータ信号を出力する。水平ドライバ110によるデータ信号の書き込み方式としては、データ信号を選択された行の画素105に対して一斉に書き込む線順次方式、選択された行の画素104に対して画素単位で順番に書き込む点順次方式など、種々の方式を採ることができる。
【0018】
ドライバIC112は、例えば、半導体集積回路で形成され、アレイ基板102に実装される。例えば、ドライバIC112は、図示されるようにアレイ基板102上にCOG(chip on glass)方式で実装されてもよいし、COF(Chip On Film)方式でフレキシブルプリント回路基板114に実装されてもよい。ドライバIC112は、水平ドライバ110に画像を表示するためのデータ信号を出力し、データ信号と同期するようにタイミング信号を垂直ドライバ108に出力する。
【0019】
アレイ基板102にはフレキシブルプリント回路基板114が取り付けられる。ドライバIC112に入力されるデータ信号や制御信号は、外部コントローラ(図示されず)からフレキシブルプリント回路基板114を介して入力される。
【0020】
図2は、副画素104を構成する第1副画素回路122A及び第2副画素回路122Bと、第1副画素回路122Aに接続される第1画素電極120A、第2副画素回路122Bに接続される第2画素電極120B及び第3画素電極120Cを示す。本実施形態に係る液晶表示装置100は、主として反射型の機能を有しており、第1画素電極120A、第2画素電極120B、第3画素電極120Cは反射電極である。そして、液晶表示装置100は、第1画素電極120A、第2画素電極120B、第3画素電極120Cによって面積的に重み付けをする面積階調法により階調を表現する。
【0021】
図2は、面積階調に適応する副画素104の一例を示す。副画素104は、同じ面積を有する第1画素電極120A、第2画素電極120B、第3画素電極120Cを含む。第1画素電極120A、第2画素電極120B、及び第3画素電極120Cは同じ面積を有する。副画素104は、中央に第1画素電極120Aが配置され、第2画素電極120B及び第3画素電極120Cがその両側に配置される。
【0022】
副画素104は、第1副画素回路122Aと第2副画素回路122Bを含む。第1副画素回路122Aは第1画素電極120Aと接続され、第2副画素回路122Bは第2画素電極120B及び第3画素電極120Cと接続される。すなわち、第2画素電極120B及び第3画素電極120Cには同じ駆動電圧が印加される。このように、副画素104は、第1画素電極120Aに対し、第2画素電極120B及び第3画素電極120Cが一組の画素電極として電圧が印加されることで、画素電極の面積比が1:2となり、副画素104の面積に重み付けがされている。
【0023】
第1副画素回路122Aが第1画素電極120Aに駆動電圧を印加し、第2副画素回路122Bが第2画素電極120B及び第3画素電極120Cに駆動電圧を印加する構成を有することで、画素電極が3つに分割されているものの、実質的に副画素104は面積の異なる2つの画素電極を有するとみなすことができる。画素105を構成する各副画素104A、104B、104Cの各画素電極は、第1画素電極120Aが中心に配置され、第2画素電極120B及び第3画素電極120Cがその両側を挟むように配置される。このような配置により1つの画素の重心に対する各階調の重心を揃えることができる。
【0024】
図2に示すように、第1副画素回路122Aは、第1スイッチング素子126A、第2スイッチング素子126B、第3スイッチング素子126C、及び第1ラッチ回路124Aを含む。第1スイッチング素子126Aは、例えば、薄膜トランジスタによって形成され、ゲートが走査信号線116に接続され、ソース及びドレインで構成される入出力端子の一方がデータ信号線118に接続される。走査信号線116からゲートに走査信号が印加されると、第1スイッチング素子126Aがオンになり、データ信号線118からデータ信号が第1ラッチ回路124Aに入力される。第1ラッチ回路124Aの出力は、第2スイッチング素子126B、第3スイッチング素子126Cのオンオフ制御に用いられる。対向電極138(図3参照)の電圧と同じ極性の制御信号が印加される第1制御信号線128Aと第1画素回路122Aの出力ノードNout1との間に第2スイッチング素子126Bは設けられ、第1制御信号線128Aとは逆相となる制御信号が印加される第2制御信号線128Bと出力ノードNout1との間に第3スイッチング素子126Cが設けられている。また、第1ラッチ回路124Aは、高電位の電源電圧が印加される第1電源線130Aと、低電位の電源電圧が印加される第2電源線130Bと接続される。
【0025】
第2スイッチング素子126B及び第3スイッチング素子126Cは、第1ラッチ回路124Aが保持する電圧の極性に応じていずれか一方がオンになり他方がオフになる。第2スイッチング素子126Bの一方の入出力端子と第3スイッチング素子126Cの一方の入出力端子が接続されており、そのノードが第1副画素回路122Aの出力ノードNout1となり、第1画素電極120Aと接続される。
【0026】
なお、本実施形態の液晶表示装置100は垂直配向(VA:Vertical Alignment)方式の液晶が適用され、第1画素電極120A、第2画素電極120B、及び第3画素電極120Cに対し、液晶層を挟んで対向するように対向電極138(図3参照)が配置される。対向電極138に所定のコモン電圧が印加されているとき、第1画素電極120Aには、第1副画素回路122Aからコモン電圧と同じ極性の電圧又は反対の極性の電圧が印加される。すなわち、第1ラッチ回路124Aが保持するデータ信号に基づく電圧に応じて、第2スイッチング素子126B及び第3スイッチング素子126Cの一方がオンになり、出力ノードNout1からコモン電圧と同じ極性の電圧又は反対の極性の電圧が出力される。
【0027】
第2副画素回路122Bは、第1副画素回路122Aと同じ回路構成を有し、同様に動作する。第2副画素回路122Bの出力ノードNout2は、第2画素電極120B及び第3画素電極120Cに接続されており、この2つの画素電極に対してコモン電圧と同じ極性の電圧又は反対の極性の電圧を出力する。
【0028】
図3は、液晶表示装置100の画素アレイ106の部分的な断面構造として、第1画素電極120A及び第2画素電極120Bとこの電極の境界部分の断面構造を示す。液晶表示装置100は、アレイ基板102と対向基板132とを有する。アレイ基板102と対向基板132とは、液晶層142を挟んで対向するように配置される。図3は、アレイ基板102に第1画素電極120A及び第2画素電極120Bが設けられ、対向基板132に対向電極138が設けられる構造を示す。
【0029】
図3は、また、第1画素電極120Aがスイッチング素子126-1(図2に示す第2スイッチング素子126B又は第3スイッチング素子126Cに相当)と接続され、第2画素電極120Bがスイッチング素子126-2と接続される構造を模式的に示す。第1画素電極120A及び第2画素電極120Bは、絶縁層146の上に設けられる。第1画素電極120Aは絶縁層146に設けられたコンタクトホールによって接続配線148-1され、第2画素電極120Bは絶縁層146に設けられたコンタクトホールによって接続配線148-2と接続される。接続配線148-1は、スイッチング素子126-1と第1画素電極120Aとを接続する中間配線であり、接続配線148-2は、スイッチング素子126-2と第2画素電極120Bとを接続する中間配線である。
【0030】
第1画素電極120A及び第2画素電極120Bは、絶縁層146に形成されたコンタクトホールの部分に段差が形成されないように充填剤150-1、150-2が設けられていてもよい。充填剤150-1、150-2によりコンタクトホール形成に起因した凹部が平坦化され、この部分において液晶分子の配向乱れを防止することができる。
【0031】
第1画素電極120A及び第2画素電極120Bは反射電極であり、金属膜で形成されるが、反射電極は素材が異なる複数の導電膜で形成されていてもよい。例えば、第1画素電極120A及び第2画素電極120Bは、接続配線148-1、148-2と接続される第1導電層152-1、152-2と、第1導電層152-1、152-2の上から充填剤150-1、150-2を覆うように設けられる第2導電層153-1、153-2によって形成されてもよい。第1導電層152-1、152-2はITO(Indium Tin Oxide;酸化インジウム錫)などの透明導電材料で形成され、第2導電層153-1、153-2はアルミニウムなどの光反射性の金属膜で形成されることが好ましい。このような材料の組み合わせにより、第1画素電極120A及び第2画素電極120Bと接続配線148-1、148-2との電気的な接続状態を良好なものとし、反射電極としての機能を有するようにすることができる。第1画素電極120A及び第2画素電極120Bの構造において、第2導電層153-1、153-2の端部は第1導電層152-1、152-2の端部と一致していてもよいし、図3に示されるように上層の第2導電層153-1、153-2の端部が下層の第1導電層152-1、152-2の端部から後退していてもよい。
【0032】
対向基板132には、カラーフィルタ層134、オーバーコート層136、対向電極138が設けられる。対向電極138は、ITOなどの透明導電膜で形成され、画素アレイ106の全体に亘って広がる大きさを有する。対向電極138は、第1画素電極120Aと重なる領域に第1開口部154Aが設けられ、第2画素電極120Bと重なる領域に第2開口部154Bが設けられる。
【0033】
第1画素電極120A及び第2画素電極120Bは反射電極であり、対向基板132から入射した外光を反射する。すなわち外光は、カラーフィルタ層134、透明なオーバーコート層136、対向電極138、液晶層142を通過して、第1画素電極120A及び第2画素電極120Bで反射し、その反射光が入射光と逆の経路を辿って対向基板132から出射される。対向基板132から出射される反射光の有無及びその光強度は、液晶層142における液晶分子144の配向状態によって制御される。
【0034】
また、図3に示されるように、画素アレイ106は、第1画素電極120A及び第2画素電極120Bによって形成される反射領域RRと、第1画素電極120Aと第2画素電極120Bとの間の透過領域TRを有する。透過領域TRは、第1画素電極120Aを構成する第2導電層(金属膜)153-1の端部と第2画素電極120Bを構成する第2導電層(金属膜)153-2の端部との間の領域として画定される。液晶表示装置100には、アレイ基板102の裏側(第1画素電極120A及び第2画素電極120Bが設けられる側の面とは反対側の面)にバックライト160が配置される。すなわち、液晶表示装置100は、反射電極によって画像を表示しつつ、透過領域TRを通してバックライト160の光を出射することで画像の表示輝度を補助する機能を有する。例えば、暗い場所では反射モードによって明るい画像を表示することができないが、透過モードを組み合わせることで画像を明るく表示することが可能となる。
【0035】
本実施形態の液晶表示装置100は、画素間の領域を隠す遮光層が設けられないため、第1画素電極120Aと第2画素電極120Bとの間の透過領域TRにおける液晶分子の配向状態の制御も重要となる。
【0036】
図3では配向膜が省略されているが、アレイ基板102及び対向基板132には垂直配向膜が設けられる。垂直配向膜により、液晶分子144は、第1画素電極120A及び第2画素電極120Bと対向電極138との間に電圧が印加されない状態で、縦方向に配向した状態を有する。すなわち、液晶分子144の長軸が、アレイ基板102の基板面に対し垂直に起立したような状態に配向する。第1画素電極120A及び第2画素電極120Bと対向電極138との間に所定の電圧が印加されると、液晶分子144の長軸が水平方向に傾き、最大電圧が印加されたとき水平に配向する。図3は、対向電極138に設けられた第1開口部154A及び第2開口部154Bの端部では電界が形成されない結果、当該開口部と重なる位置の液晶分子は縦方向に配向した状態を維持し、当該開口部周辺の液晶分子は、横方向に配向した液晶分子と縦方向の配向状態を維持している液晶分子との間で斜めに配向した状態を模式的に示す。
【0037】
図4は、複数の画素電極202が、図中に示すX軸方向及びY軸方向にマトリクス状に配列された比較例としての画素アレイの平面模式図を示す。図4に示す画素電極202は平面視で正方形である。画素電極202に重ねて示す点線の円は対向電極204の開口部206を示す。また、図4は、4つの画素電極202に囲まれる領域にスペーサ208が設けられる態様を示す。
【0038】
また、図4は、矢印によって液晶分子の配向方向を示す。図3を参照して説明したように、液晶分子は、画素電極202と対向電極204との間に電位差が生じると、開口部206を中心に放射状に配向する。液晶分子は、画素電極202の上で放射状に配向するが、画素電極間の領域では、両側から配向してくる液晶分子が相互に干渉して配向状態が不安定になる。その結果、図4に示すように、画素電極202の一辺の中央付近であって、隣の画素電極と隣接する領域DRは、液晶分子の配向乱れ(ディスクリネーション)を誘発する領域となる。当該領域DRは、図4に示す如く行列状に配列される画素電極間に生じるため、上記配向乱れが多数の領域DRで発生してしまうと、画面全体でみるとそれが表示むらとなってユーザに視認されてしまう可能性がある。
【0039】
一方、4つの画素電極202の端部に囲まれた領域Uでは、4方向又は8方向から液晶分子が等しく配向し、且つ当該領域では電界が発生しないので、その配向状態は比較的安定する。また、スペーサ208が設けられた領域では、スペーサ208の作用によって液晶分子の配向が制御されディスクリネーションは発生しにくくなる。上記領域DRは、各電極上で配向する液晶分子の影響を受ける一方、液晶分子の配向が安定している上記領域Uとは液晶分子レベルで見ると離れた距離にあり、これらが配向状態の安定しない要因となっている。
【0040】
本実施形態の液晶表示装置100は、画素間の領域が透過領域TRとなり画像表示に利用されるため、領域DRにディスクリネーションが発生すると、画質に悪影響を与える虞がある。これに対し、本実施形態の液晶表示装置100は、以下に示す実施形態に示す画素電極の構成を有することにより、ディスクリネーションの発生を防ぎ、画質の低下を抑制することができる。
【0041】
[第1実施形態]
図5は、画素アレイ106の構成示す平面図である。図5は、画素104が3つの副画素を含み、それに対応して第1画素電極120A、第2画素電極120B、第3画素電極120Cが配列される態様を示す。画素104には、図2に示す第1画素回路122A及び第2画素回路122Bを含み、第1画素電極120Aを挟むように第2画素電極120B及び第3画素電極120Cが配置される。
【0042】
図5に示すように、第1画素電極120Aは図4に示すような正方形の形状から、4つの角部が切り欠かれた形状を有する。第1画素電極120Aの角部が切り欠かれた形状を有することで、1辺の長さが正方形の場合と比べて短くなっている。このような形状は、別な表現をすれば、各画素電極において、画素電極の配列方向に平行な辺を延在させて形成される仮想的な正方形に対し、当該画素電極の角部を、各辺の中央側に近付けた形状ということもできる。第2画素電極120B及び第3画素電極120Cも同様の形状を有する。そして、画素アレイ106は、このような形状の画素電極が、図中に示すX軸方向及びY軸方向にマトリクス状に配列されている。
【0043】
図5に示すように、第1副画素104Aに設けられる第1画素電極120Aa、第2画素電極120Ba、及び第3画素電極120Caは、いずれも角部が切り欠かれた形状を有する。また、第2副画素104Bに設けられる第1画素電極120Ab、第2画素電極120Bb、及び第3画素電極120Cb、並びに第3副画素104Cに設けられる第1画素電極120Ac、第2画素電極120Bc、及び第3画素電極120Ccも同様の形状を有する。このため、第1画素電極120Aa、第1画素電極120Ab、第2画素電極120Ba、及び第2画素電極120Bbで囲まれる領域Wの間隔が、図4に示す領域Uに比べて大きく広がっている。図5は、また、第1画素電極120Ab、第1画素電極120Ac、第2画素電極120Bc、及び第2画素電極120Bcで囲まれた画素間の領域にスペーサ156が配置される態様を示す。スペーサ156を囲む第1画素電極120Ab、第1画素電極120Ac、第2画素電極120Bc、及び第2画素電極120Bcのそれぞれのスペーサ156側の角部は切り欠かれておらず、各角部がスペーサ156に向けて突き出るような形状を有する。
【0044】
図6は、図5に示す画素アレイ106における液晶分子の配向状態を矢印によって模式的に示す。図4を参照して説明したように、液晶分子は、対向電極に設けられた開口部154を中心として放射状に配向する。画素電極の外辺同士が隣接する領域DRでは、図4に示す態様と同様に、両側から衝突するように液晶分子が配向する。しかし、第1画素電極120Aa、第1画素電極120Ab、第2画素電極120Ba、及び第2画素電極120Bbで囲まれる領域Wがスペーサ156の設置位置を除いて形成されることにより、領域DRが領域Wに近接する。図4にて示す領域Uは基本的にはディスクリネーションは発生しない部位であるが、当該領域Uを拡大したものと見做すことができる領域Wでも同じことが言える。そして、図6に示す如く、当該領域Wと領域DRの距離は、図4に示す領域Uと領域DRの距離よりも小さい。このように液晶分子の配向状態が安定している領域(本実施形態では領域W)が近傍にあると、当該近傍の液晶分子もその領域W内の液晶分子の影響を受けて安定度合いが増す。その結果、液晶分子の不安定さが解消され、ディスクリネーションの発生が抑制することができる。
【0045】
図6に示すように、第1画素電極120Aaの角部を切り欠く長さCfは、角部を切り欠かないとした場合の1辺の長さLsの1/5から1/4程度とすることが好ましい。この切り欠く長さCfは他の画素電極についても同様である。上記の範囲よりも切欠き部を大きくすると、画素電極の面積が縮小し、反射モードでの表示輝度を大きく減じてしまう。また、上記の範囲よりも切り欠き部が小さすぎると、ディスクリネーションを抑制する効果が出にくくなってしまうので好ましくない。
【0046】
一方、図6に示すスペーサ156が設けられる領域では、図4を参照して説明したように、スペーサ156によって液晶分子の配向が規制されるので、画素電極の角部を切り欠く必要はない。したがって、図5及び図6に示すように、画素アレイ106の中には、画素電極同士が対角する間隔が広い領域(画素電極の角部が切り欠かれた領域)と、画素電極同士が対角する間隔が相対的に狭い領域(スペーサが設けられる領域)とを含むようにすることができる。
【0047】
本実施形態で示すように、4つの画素電極の対角する端部の間隔を広げることで、画素電極同士が上下又は左右に隣接する画素間の領域で発生するディスクリネーションを抑制することができる。具体的には、画素電極の角部を切り欠くことで、4つの画素電極で囲まれた対角する端部の間隔を広げることができ、それによってディスクリネーションの発生を抑制することができる。その結果、透過モードで表示を行う画素間の領域においても液晶分子の配向乱れが抑制され、画質の低下を抑制することができる。
【0048】
本実施形態の液晶表示装置100は、副画素104にデータ信号を記憶するメモリ回路(ラッチ回路124)を有し、メモリ回路に格納されたデータ信号に基づいて画像を表示することができる。副画素104は3つの画素電極(第1副画素105A、第2副画素105B、第3副画素105C)が反射電極で構成され、これらの反射電極を用いた面積階調により階調が表現される。また、本実施形態の液晶表示装置100は、反射モードで表示を行うだけでなく、副画素間の領域を透過領域TRとし、バックライト160の光を透過させる透過モードを組み合わせて画像を表示することができる。この場合、図5に示すように、画素電極が対角する間隔が広がるように、画素電極の角部を切り欠くことで透過領域TRの面積を広げることができ、表示される画像の輝度を高めることができる。図3に示すように、画素電極の下層には、画素回路を形成する素子、配線などが設けられるが、これらの部材は透過領域TRになるべく重ならないようにレイアウトされていることが好ましい。そのようなレイアウトにより、画素電極の角部を切り欠くことと相まって、透過領域TRの実質的な面積を拡大することができ、透過モードによる表示の輝度を高めることができる。
【0049】
[第2実施形態]
画素電極の形状は、第1実施形態に示す形状に限定されず、画素電極の対角の間隔が広がる形状であれば他の異なる形状を有していてもよい。本実施形態は、画素電極の形状が第1実施形態とは異なる一例を示す。以下の説明においては、第1実施形態と相違する部分を中心に説明する。
【0050】
図7は、本実施形態における画素アレイ106の画素電極の配列を示す平面図である。画素アレイ106には、第1副画素104A、第2副画素104B、第3副画素104Cが配列される。第1副画素104Aは、第1画素電極120Aa、第2画素電極120Ba、第3画素電極120Bcを含む。第2副画素104B及び第3副画素104Cも同様の画素電極の構成を有する。図7に示すように、第1画素電極120Abの形状は、上下に隣接する第2画素電極120Bbと第2画素電極120Cbとに対して、また、左右に配列する第1画素電極120Aaと第1画素電極120Caとに対して非対称な関係にある。各画素電極の形状は、このような非対称性の関係を有しつつ、スペーサ156が配置されない領域においては、4つの画素電極(例えば、第1画素電極120Aa、第1画素電極120Ab、第2画素電極120Ab、第2画素電極120Bb)が対角する端部の間隔が、矩形の画素電極を同じピッチで配列したときに比べて広がる形状を有し、図6に示す画素電極の配列と同様に拡張された領域Wを有する。
【0051】
図7の挿入図に示すように、第1画素電極120Aaの一辺は、直線状に伸びる一辺L1の途中から、隣接する第2画素電極120Bの端部から遠ざかるように屈曲する一辺L2を有する。すなわち、第1画素電極120Aaは、Y軸方向に平行な第1部分(L1A)と、Y軸方向及びX軸方向に交差する第2部分(L2A)とを有する。第1画素電極120Aaに隣接する第1画素120Abは、Y軸方向に平行な第1部分(L1B)と、Y軸方向及びX軸方向に交差する第2部分(L2B)を有する。第1画素電極120Aaと第2画素電極120Abとは、外周縁の第1部分(L1A)及び第2部分(L2A)と、第2部分(L2B)及び第1部分(L1B)と、が隣接するように配置される。そして、外周縁が相互に隣合う第1部分(L1A)と第2部分(L2B)とは非平行であり、第2部分(L2A)と第1部分(L1B)とは非平行である。別言すれば、第1画素電極120Aaの輪郭を形成する各辺は、一端から他端まで一直線で延びるのではなく、直線部分の途中に屈曲する部分を有し、隣接する第1画素電極120Abの一辺と非平行となる輪郭形状を有する。このような形状及び配置は、第2画素電極120Ba及び第3画素電極120Caについても同様である。
【0052】
なお、第1実施形態に示す画素電極と同様に、スペーサ156に隣接する画素電極の端部は、異形の形状とされておらず、各画素電極の角部がスペーサ156に向けて突き出るような形状を有する。
【0053】
図7に示す画素電極の形状によれば、4つの画素電極の対角する端部の間隔を広げることができる。その結果、第1実施形態と同様に、画素電極同士が上下又は左右に隣接する画素間の領域で発生するディスクリネーションを抑制することができる。その結果、透過モードで表示を行う画素間の領域においても液晶分子の配向乱れが抑制され、画質の低下を抑制することができ、画質の向上を図ることができる。
【0054】
[第3実施形態]
本実施形態は、第1実施形態及び第2実施形態とは異なる形状を有する画素電極の一例を示す。
【0055】
図8は、本実施形態における画素アレイ106の画素電極の配列を示す平面図である。画素アレイ106には、第1副画素104A、第2副画素104B、第3副画素104Cが配列される。第1副画素104Aは、第1画素電極120Aa、第2画素電極120Ba、第3画素電極120Caを含む。第2副画素104B及び第3副画素104Cも同様の画素電極の構成を有する。図8に示すように、第1画素電極120Aaは、矩形(例えば、正方形)の形状から、各辺の中央部分に切欠き部1201が設けられた形状を有する。別言すれば、本実施形態の第1画素電極120Aaは、少なくとも1辺が隣の画素電極に隣接し、その1辺の略中央分部が、第1画素電極120Aaの内側に屈曲する外辺を有する。第2画素電極120Ba及び第3画素電極120Caも同様の形状を有する。
【0056】
図4を参照して説明したように、ディスクリネーションは画素電極と一辺と、それに隣接する画素電極の一辺とに挟まれた電極間領域の中央(領域DR)で発生する。図8に示す各画素電極は、各辺の中央部分に切欠き部1201が設けられており、これによって、当該中央部分に電界が発生しない或いは電界の影響が著しく小さい領域が生じ、当該領域では液晶分子の配向状態は安定し、その周辺の液晶分子の配向状態も比較的安定する。この結果、図4中に示される領域DRと同じ位置での液晶分子の配向状態が安定し、ディスクリネーションの発生は可及的抑制される。別言すれば、図8中に点線で示される矩形状の画素電極の各辺の中央部分に切欠きを設けることで、画素電極が対角する領域(例えば図6に示す領域W)と近似の領域を形成することができ、ディスクリネーションの発生が抑制される。
【0057】
なお、図8は、隣接する画素電極同士の対向する各辺に切欠き部1201が設けられる構造を示すが、切欠き部1201は、対向する辺の一方にのみ設けられていてもよい。
【0058】
図8に示すような画素電極の形状によれば、画素電極間の領域にディスクリネーションが発生したとしても、その発生領域を固定することができ、液晶分子の配向を安定化することができる。その結果、透過モードで表示を行う画素間の領域においても液晶分子の配向乱れ(揺らぎ)が抑制され、画質の低下を抑制することができ、画質の向上を図ることができる。
【0059】
[第4実施形態]
本実施形態は、第1乃至第3実施形態とは異なり、対向電極の形態が異なる態様を示す。
【0060】
図9は、本実施形態における液晶表示装置の対向電極138の平面図を示す。図9に示すように、対向電極138は、画素電極120と重なるように配置される。対向電極138は、画素電極120と重なる領域にスリット158が設けられる。スリット158は、画素電極120と重なる領域の中央部分から外側に延びる形状を有する。画素電極120が正方形である場合、スリット158は画素電極120の各辺に向けて延びるように十字形の形状を有する。さらに、スリット158は、十字形の形状の先端が2つに分岐した形状を有する。別言すれば、スリット158は、画素電極120と重なる領域の中央部から外側に向けて延びるY字状のパターンが中央部で繋がるように組合わされた形状を有する。
【0061】
液晶分子は、画素電極120と対向電極138の間の電界強度に応じて配向状態が変化する。対向電極138は、画素アレイ106の全体に広がる形状を有するが、画素電極120と重なる領域に開口部(本実施形態ではスリット)が設けられることで、そのスリット158の部分に電界が集中する。図9に示すスリット158は、先端が画素電極120の外周の端部(1辺の中央部)と重なる領域に延びることで、液晶分子の配向状態が安定する領域を画素電極120の中央でなく、各辺の中央付近に形成することができる。
【0062】
対向電極138が、このような形状のスリット158を有することで、画素間の領域の近傍に液晶分子の配向状態が安定した領域が形成され、これによってディスクリネーションの発生が抑制される。その結果、透過モードで表示を行う画素間の領域においても液晶分子の配向乱れ(揺らぎ)が抑制され、画質の低下を抑制することができ、画質の向上を図ることができる。また、スリット158は、中央から複数の方向に延びる形状を有することで、液晶分子を各方向に配向させることはでき、視野角を向上させることもできる。
【0063】
なお、図9に示すスリット158の形状は一例であり、図示される形状に限定されない。画素電極の外辺の中央の領域で電界が集中する領域を形成することができるものであれば、他の形状を有していてもよい。
【0064】
本発明の実施形態として上述した各実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜組み合わせて実施することができる。また、各実施形態の液晶表示装置を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、又は、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0065】
上述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0066】
100:液晶表示装置、102:アレイ基板、104:副画素、104A:第1副画素、104B:第2副画素、104C:第3副画素、105:画素、106:画素アレイ、108:垂直ドライバ、110:水平ドライバ、112:ドライバIC、114:フレキシブルプリント基板、116:走査信号線、118:データ信号線、120A:第1画素電極、120B:第2画素電極、120C:第3画素電極、1201:切欠き部、122A:第1副画素回路、122B:第2副画素回路、124A:第1ラッチ回路、124B:第2ラッチ回路、126A:第1スイッチング素子、126B:第2スイッチング素子、126C:第3スイッチング素子、128A:第1制御信号線、128B:第2制御信号線、130A:第1電源線、130B:第2電源線、132:対向基板、134:カラーフィルタ層、136:オーバーコート層、138:対向電極、140:開口部、142:液晶層、144:液晶分子、146:絶縁層、148:接続配線、150:埋め込み絶縁膜、152:第1導電層、153:第2導電層、154:開口部、154A:第1開口部、154B:第2開口部、156:スペーサ、158:スリット、160:バックライト、202:画素電極、204:対向電極、206:開口部、208:スペーサ、RR:反射領域、TR:透過領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9