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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149579
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】振動モータ、および触覚デバイス
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B06B1/04 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058224
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 知弘
【テーマコード(参考)】
5D107
【Fターム(参考)】
5D107AA20
5D107BB08
5D107CC09
5D107DD03
5D107DD12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コイルと基板とを接続する作業性を向上させる構成を効果的に実現できる振動モータを提供する。
【解決手段】振動モータは、静止部と、前記静止部に対して中心軸方向に振動可能な可動部と、を有する。前記静止部は、通電により前記可動部に駆動力を付与するコイルと、前記可動部と前記コイルとを収容するハウジング3と、を有する。前記ハウジングは、前記中心軸方向において前記ハウジングの外縁から内方へ凹む切欠き部33を有する。前記切欠き部は、前記中心軸方向において前記ハウジングの外縁から内方へ凹む第1切欠き部331と、前記中心軸方向において前記第1切欠き部の外縁から内方へ凹む第2切欠き部332と、を有する。前記コイルの引出線は、前記切欠き部を通って前記ハウジングの外部に引き出される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止部と、
前記静止部に対して中心軸方向に振動可能な可動部と、
を有し、
前記静止部は、
通電により前記可動部に駆動力を付与するコイルと、
前記可動部と前記コイルとを収容するハウジングと、
を有し、
前記ハウジングは、前記中心軸方向において前記ハウジングの外縁から内方へ凹む切欠き部を有し、
前記切欠き部は、
前記中心軸方向において前記ハウジングの外縁から内方へ凹む第1切欠き部と、
前記中心軸方向において前記第1切欠き部の外縁から内方へ凹む第2切欠き部と、を有し、
前記コイルの引出線は、前記切欠き部を通って前記ハウジングの外部に引き出される、振動モータ。
【請求項2】
前記静止部は、前記ハウジングに固定されるFPCを有し、
前記ハウジングは、前記第1切欠き部と前記第2切欠き部が形成された第1領域を有し、
前記FPCは、前記第1領域の外周面に、前記第1切欠き部の少なくとも一部を覆うように固定される、請求項1に記載の振動モータ。
【請求項3】
前記ハウジングの外方を前記中心軸方向一方側として、
前記FPCは、前記第1領域への固定時における向きにおいて、前記中心軸方向他方側の外縁から前記中心軸方向一方側に向かって凹むFPC切欠き部を有し、
前記コイルの引出線は、前記切欠き部および前記FPC切欠き部を通って前記ハウジングの外部に引き出される、請求項2に記載の振動モータ。
【請求項4】
前記第1領域は平面部であり
前記ハウジングは、前記第1領域の周方向両端部に接続される屈曲部を有し、
前記FPCは、前記第1領域および前記屈曲部に固定される、請求項2または請求項3に記載の振動モータ。
【請求項5】
前記ハウジングの外方を前記中心軸方向一方側として、
前記FPCは、
前記中心軸方向に延びて前記第1領域に固定される基部と、
前記基部から周方向両側に突出して前記屈曲部に固定される突出片と、
を有し、
前記基部は、電極部を有し、
前記第1領域に垂直な方向に視て、前記突出片は、前記電極部と前記中心軸方向に重なる、または、前記電極部よりも前記中心軸方向一方側に配置される、請求項4に記載の振動モータ。
【請求項6】
前記ハウジングは、
周方向に連続して形成される連続部を有し、
前記連続部の周方向一方側端部から周方向一方側へ突出する突出部と、
を有し、
前記第2切欠き部は、前記突出部に設けられ、
前記第1切欠き部は、前記周方向他方側端部、前記周方向一方側端部および前記突出部により形成される、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の振動モータ。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体に収容される請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の振動モータと、を有する、触覚デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、振動モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォン等の携帯機器など各種機器には、振動発生装置として振動モータが備えられている。振動モータは、例えば、着信またはアラーム等を利用者に知らせる機能、あるいはヒューマンインタフェースにおける触覚フィードバックの機能などの用途で用いられる。
【0003】
一般的に、振動モータは、固定子と、弾性部材と、振動子と、を有する。固定子は、筐体と、コイルと、を有する。振動子は、マグネットを有する。振動子と筐体とは、弾性部材により接続される。コイルに通電して磁界を発生させることにより、振動子は振動する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国特許公報第10-0984046号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1等の振動モータにおいては、回路基板とコイルとの接続が筐体内部でされており、接続作業性に課題があった。
【0006】
上記状況に鑑み、本開示は、コイルと基板とを接続する作業性を向上させる構成を効果的に実現できる振動モータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の例示的な振動モータは、静止部と、前記静止部に対して中心軸方向に振動可能な可動部と、を有する。前記静止部は、通電により前記可動部に駆動力を付与するコイルと、前記可動部と前記コイルとを収容するハウジングと、を有する。前記ハウジングは、前記中心軸方向において前記ハウジングの外縁から内方へ凹む切欠き部を有する。前記切欠き部は、前記中心軸方向において前記ハウジングの外縁から内方へ凹む第1切欠き部と、前記中心軸方向において前記第1切欠き部の外縁から内方へ凹む第2切欠き部と、を有する。前記コイルの引出線は、前記切欠き部を通って前記ハウジングの外部に引き出される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の例示的な振動モータによれば、コイルと基板とを接続する作業性を向上させる構成を効果的に実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の例示的な実施形態に係る振動モータの外観を示す斜視図である。
図2図2は、振動モータの断面斜視図である。
図3図3は、振動モータの一部構成を第1領域側から視た斜視図である。
図4図4は、振動モータの一部構成を示す平面図である。
図5図5は、可動部におけるコア部とホルダの構成を示す斜視図である。
図6図6は、コア部とホルダを分解した分解斜視図である。
図7図7は、ホルダの斜視図である。
図8図8は、比較例に係るホルダの構成を示す斜視図である。
図9図9は、振動モータの製造工程の途中を示す斜視図である。
図10図10は、ハウジングを治具の孔部を通して視た斜視図である。
図11図11は、触覚デバイスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して本開示の例示的な実施形態を説明する。
【0011】
なお、図面において、振動モータ10の中心軸Jが延びる方向である中心軸方向をZ方向として、中心軸方向一方側をZ1、中心軸方向他方側をZ2として示す。また、中心軸方向に直交する方向である第1方向をX方向として、第1方向一方側をX1、第1方向他方側をX2として示す。また、中心軸方向および第1方向に直交する方向である第2方向をY方向として示す。
【0012】
<1.振動モータの全体構成>
図1は、本開示の例示的な実施形態に係る振動モータ10の外観を示す斜視図である。図2は、振動モータ10の断面斜視図である。
【0013】
振動モータ10は、静止部1と、可動部5と、弾性部材81,82と、を有する。可動部5は、静止部1に対して中心軸方向(Z方向)に振動可能である。
【0014】
静止部1は、コイル2と、ハウジング3と、蓋部41,42と、を有する。ハウジング3は、中心軸J周りを周方向として、周方向に延びて形成される板状部材である。ハウジング3は、中心軸方向に延びる筒状である。ハウジング3は、磁性体により構成される。上記磁性体は、例えばステンレスである。
【0015】
コイル2は、中心軸J周りに導線を巻き回されて形成され、ハウジング3の内面に固定される。すなわち、ハウジング3は、内部にコイル2を収容する。コイル2は、通電を行うことにより磁界を発生させる。コイル2は、ハウジング3の中心軸方向中央部に配置される。
【0016】
可動部5は、コア部6と、ホルダ71,72と、を有し、ハウジング3の内部に収容される。すなわち、静止部1は、可動部5とコイル2とを収容するハウジング3を有する。
【0017】
コア部6は、中心軸方向一方側のマグネット6Aと、中心軸方向他方側のマグネット6Bと、を有する。コア部6は、さらに磁性体部6Cを有する。磁性体部6Cは、マグネット6A,6Bにより中心軸方向に挟まれて配置される。
【0018】
例えば、マグネット6Aの中心軸方向他方側がN極であり、中心軸方向一方側がS極である。マグネット6Bの中心軸方向一方側がN極であり、中心軸方向他方側がS極である。このように、N極同士が磁性体部6Cを挟んで中心軸方向に対向する。すなわち、マグネット6A,6Bの磁性体部6Cと対向する側の磁極は、同極である。これにより、磁束は、マグネット6A,6BをS極からN極へ流れ、磁性体部6Cを径方向外側へ流れ、コイル2を径方向に貫く。なお、径方向とは、中心軸Jに対する径方向である。ハウジング3を磁性体により構成することで、コイル2を貫いた磁束は、ハウジング3を中心軸方向に流れ、マグネット6A,6BのS極に戻される。このような構成により、コイル2を貫く磁束量を高めることができる。
【0019】
なお、マグネットにおいて、N極とS極を逆にしてもよい。この場合、磁束の流れは、上記と逆方向となる。
【0020】
ホルダ71は、マグネット6Aの中心軸方向一方側端部を保持する。ホルダ72は、マグネット6Bの中心軸方向他方側端部を保持する。ホルダ71,72は、ウェイト(おもり)として機能し、例えばタングステン合金により構成される。
【0021】
弾性部材81,82は、中心軸方向に伸縮可能な圧縮ばねである。弾性部材81の中心軸方向他方側端部は、ホルダ71の中心軸方向一方側端面に固定される。弾性部材81の中心軸方向一方側端部は、ハウジング3の中心軸方向一方側端面に固定される。
【0022】
弾性部材82の中心軸方向一方側端部は、ホルダ72の中心軸方向他方側端面に固定される。弾性部材82の中心軸方向他方側端部は、ハウジング3の中心軸方向他方側端面に固定される。
【0023】
蓋部41,42は、中心軸方向を厚み方向とする板状部材である。蓋部41は、弾性部材81の中心軸方向一方側に配置され、弾性部材81の中心軸方向一方側端部に固定される。蓋部42は、弾性部材82の中心軸方向他方側に配置され、弾性部材82の中心軸方向他方側端部に固定される。
【0024】
コイル2に通電されない非稼働状態では、可動部5は、自然長状態より圧縮された弾性部材81による中心軸方向他方側への弾性力と、自然長状態より圧縮された弾性部材82による中心軸方向一方側への弾性力を加えられて停止状態である。非稼働状態で可動部5の磁性体部6Cは、コイル2の中心軸方向中央位置に位置する(図2)。コア部6は、コイル2の径方向内側に配置される。
【0025】
コイル2に通電すると、コイル2により生じる磁界とコア部6による磁界との相互作用により、コア部6に駆動力が付与される。すなわち、静止部1は、通電により可動部5に駆動力を付与するコイル2を有する。可動部5に駆動力が付与されることにより、可動部5は中心軸方向に振動する。
【0026】
このように振動モータ10では、従来のような可動部をガイドするシャフトを用いない構成とすることができるので、可動部5の重量およびコア部6の容積の低減を抑えることができる。従って、振動モータ10の振動量を確保できる。また、可動部とシャフトとの間の摺動がなくなり、摺動による騒音および摩耗が回避される。
【0027】
<2.ハウジングおよびFPCの構成>
図3は、振動モータ10の一部構成を第1領域34側から視た斜視図である。図3に示すように、ハウジング3は、周方向に連続して形成される連続部31と、連続部31の周方向一方側端部31Aから周方向一方側へ突出する突出部32と、を有する。突出部32は、連続部31の周方向他方側端部31Bとの間に隙間Sを有する。
【0028】
突出部32は、ハウジング3における中心軸方向中央に位置する。周方向他方側端部31Bと、周方向一方側端部31Aと、突出部32で囲まれて第1切欠き部331が形成される。突出部32の中心軸方向一方側端から中心軸方向他方側に凹んで第2切欠き部332が形成される。すなわち、第1切欠き部331は、周方向他方側端部31B、周方向一方側端部31A、および突出部32により形成され、第2切欠き部332は、突出部32に設けられる。
【0029】
これにより、1枚の板材を曲げ加工することでハウジング3を製造し、第1切欠き部331および第2切欠き部332を容易に形成できる。
【0030】
第1切欠き部331および第2切欠き部332から切欠き部33が構成される。切欠き部33は、ハウジング3の中心軸方向一方側端から中心軸方向他方側へ凹む。すなわち、ハウジング3は、中心軸方向においてハウジング3の外縁から内方へ凹む切欠き部33を有する。切欠き部33は、中心軸方向においてハウジング3の外縁から内方へ凹む第1切欠き部331と、中心軸方向において第1切欠き部331の外縁から内方へ凹む第2切欠き部332と、を有する。さらに、言い換えると、ハウジング3の外方を中心軸方向一方側として、ハウジング3は、ハウジング3の外縁から中心軸方向他方側へ凹む切欠き部33を有する。
【0031】
コイル2の引出線(図示せず)は、切欠き部33を通ってハウジング3の外部に引き出される。ここで、図4は、振動モータ10の一部構成を示す平面図である。図4は、ハウジング3における第1領域34に垂直な方向に視た図である。第1領域34は、ハウジング3において第1方向他方側に配置される平坦な底部である。すなわち、第1領域34は、平面部である。
【0032】
図4に示すように、ハウジング3には、FPC(フレキシブルプリント基板)9が固定される。すなわち、静止部1は、ハウジング3に固定されるFPC9を有する。FPC9は、中心軸方向に延びる基部91を有する。基部91の中心軸方向他方側端部911は、第1領域34に固定される。基部91は、蓋部41から中心軸方向他方側へ突出して延びる。すなわち、FPC9は、中心軸方向に延びて第1領域34に固定される基部91を有する。
【0033】
基部91は、電極部91A,91Bを有する。切欠き部33から引き出された引出線は、電極部91A,91Bに接続される。このように、本実施形態の振動モータ10では、ハウジング3の外部においてコイル2の引出線をFPC9に接続するため、接続の作業性が向上される。
【0034】
図3に示すように、第1領域34は、突出部32と、突出部32の周方向両側部分341と、を有する。周方向両側部分341は、中心軸方向に延びる。従って、第1領域34には、第1切欠き部331および第2切欠き部332が設けられる。すなわち、ハウジング3は、第1切欠き部331と第2切欠き部332が形成された第1領域34を有する。
【0035】
図4に示すように、FPC9における中心軸方向他方側端部911は、第1切欠き部331の一部を覆うように固定される。なお、中心軸方向他方側端部911は、第1切欠き部331の全部を覆うように固定されてもよい。すなわち、FPC9は、第1領域34の外周面に、第1切欠き部331の少なくとも一部を覆うように固定される。これにより、引出線が切欠き部33において振れることを抑制できる。
【0036】
図4に示すように、FPC9における中心軸方向他方側端部911には、中心軸方向一方側に凹むFPC切欠き部911Aを有する。すなわち、FPC9は、第1領域34への固定時における向きにおいて、中心軸方向他方側の外縁から中心軸方向一方側に向かって凹むFPC切欠き部911Aを有する。コイル2の引出線は、切欠き部33およびFPC切欠き部911Aを通って引き出される。すなわち、コイル2の引出線は、切欠き部33およびFPC切欠き部911Aを通ってハウジング3の外部に引き出される。
【0037】
FPC9をハウジング3に固定するときに、FPC9を中心軸方向一方側から他方側に移動させてFPC切欠き部911Aに引出線を入れ込むことができるため、FPC9の固定が容易となる。また、FPC切欠き部911Aを挟む両側部がハウジング3に固定されることで、固定面積が増加して固定を強化できる。
【0038】
図4に示すように、FPC9において、中心軸方向他方側端部911から周方向一方側に突出する突出片92と、中心軸方向他方側端部911から周方向他方側に突出する突出片93が設けられる。ハウジング3は、第1領域34の周方向一方側に連接される屈曲部35と、第1領域34の周方向他方側に連接される屈曲部36と、を有する。屈曲部35と屈曲部36は、互いに離れる第2方向に凸となるように屈曲している。突出片92は、屈曲部35の外周面に固定される。突出片93は、屈曲部36の外周面に固定される。すなわち、FPC9は、基部91から周方向両側に突出して屈曲部35,36に固定される突出片92,93を有する。
【0039】
すなわち、ハウジング3は、第1領域34の周方向両端部に接続される屈曲部35,36を有し、FPC9は、第1領域34および屈曲部35,36に固定される。これにより、FPC9のハウジング3に対する接触面積が大きくなり、固定強度を向上させることができる。
【0040】
また、図4に示すように、第1領域34に垂直な方向に視て、突出片92,93は、電極部91A,91Bと中心軸方向に重なっている。これにより、基部91にテンションがかかった場合に、基部91における電極部91A,91Bが設けられる箇所がハウジング3から剥がれることを抑制し、引出線と電極部91A,91Bとの接続不良等を抑制できる。なお、同様の効果のためには、第1領域34に垂直な方向に視て、突出片92,93が、電極部91A,91Bよりも中心軸方向一方側(図4紙面上方)に配置されてもよい。
【0041】
なお、ハウジングが複数の切欠き部を有する場合、少なくとも一つの切欠き部に第2切欠き部が設けられればよい。例えば本実施形態では、ハウジング3は、第1切欠き部331および第2切欠き部332から構成される切欠き部33の他にも切欠き部を有する。他の切欠き部は、第2切欠き部332を除いて切欠き部33と同形であり、中心軸方向他方側に1つの切欠き部37(図3)と、中心軸を挟んで第1領域34とは反対側に位置するハウジング3の箇所に2つの切欠き部38(図2)が設けられる。
【0042】
<3.ホルダの構成>
図5は、可動部5におけるコア部6とホルダ71の構成を示す斜視図である。図5は、コア部6にホルダ71を取り付けた状態を示す。図6は、コア部6とホルダ71を分解した分解斜視図である。図7は、ホルダ71の斜視図である。
【0043】
ホルダ71は、中心軸方向一方側に凹む凹部713(図7)を有する。凹部713内部にマグネット6Aを挿入することで、ホルダ71がマグネット6Aに固定される。すなわち、可動部5は、マグネット6Aと、マグネット6Aの中心軸方向一方側に固定されてマグネット6Aよりも径方向幅が大きいホルダ71と、を有する。
【0044】
ホルダ71は、ホルダ71の外縁から第1方向一方側へ凹むホルダ切欠き部711を有する。ホルダ切欠き部711の底面部711Aは、マグネット6Aの外縁よりも第1方向他方側に配置される。
【0045】
ここで、図8は、比較例に係るホルダ710の構成を示す斜視図である。ホルダ710は、ホルダ切欠き部7101を有する。ホルダ切欠き部7101は、開口部7101A,7101Bを有する。開口部7101Aは、第1方向に開口している。開口部7101Bは、開口部7101Aの中心軸方向一方側に連接され、中心軸方向に開口している。開口部7101Aを第1方向に視た場合に、マグネット6Aの第1方向他方側端面の一部が露出している。開口部7101Bを中心軸方向に視た場合に、マグネット6Aの中心軸方向一方側端面の一部が露出している。
【0046】
これに対し、本実施形態に係る構成(図5)であれば、ホルダ切欠き部711を第1方向および中心軸方向に視ても、マグネット6Aが露出していない。従って、ホルダ71のマグネット6Aに対する接触面積が大きくなり、ホルダ71の固定強度が向上される。なお、液体接着剤により固定する場合は、固定時に接着剤がホルダ切欠き部711から漏れ出る可能性が低減される。
【0047】
また、図6に示すように、ホルダ71は、中心軸Jに垂直に広がるホルダ平面部714と、ホルダ平面部714の第1方向外端部から中心軸方向他方側に延びるホルダ壁部715と、を有する。ホルダ平面部714は、マグネット6Aの第1方向外端部の少なくとも一部を覆う。このようなホルダ平面部714およびホルダ壁部715により、ホルダ71とマグネット6Aの接触面積が大きくなり、ホルダ71の固定強度を向上させることができる。
【0048】
なお、ホルダ71は、ホルダ切欠き部711と第1方向に対向する位置にホルダ切欠き部712を有する。
【0049】
<4.治具について>
ここでは、振動モータ10を製造するときに用いられる治具について説明する。図9は、振動モータ10の製造工程の途中を示す斜視図である。図9では、治具100にハウジング3が設置されている。
【0050】
治具100は、基台部1000と、位置決め部1001と、孔部1002と、を有する。位置決め部1001は、基台部1000の第1方向一方側に配置される。位置決め部1001は、中心軸方向に延びる第1延伸部1001Aと、中心軸方向に延びる第2延伸部1001Bと、を有する。第2延伸部1001Bは、第1延伸部1001Aの第1方向一方側に配置される。第2延伸部1001Bの第2方向幅は、第1延伸部1001Aの第2方向幅よりも狭い。すなわち、位置決め部1001は、中心軸方向に延びるレール状に形成される。
【0051】
孔部1002は、基台部1000の第1方向一方側の面から第1方向他方側へ凹んで形成され、第2方向に貫通する。
【0052】
ハウジング3の第1切欠き部331に第1延伸部1001Aが挿入され、ハウジング3が基台部1000上に設置される。図10に示すように、このような設置状態で、孔部1002と第2切欠き部332が第1方向に対向する。
【0053】
第2切欠き部332からハウジング3外部へあらかじめ引出線が引き出された状態で、ハウジング3が治具100に設置されるが、第1切欠き部331が治具100の固定に用いられ、第2切欠き部332が引出線の引き出しに用いられるため、治具と引出線との干渉が抑制される。これにより、引出線への悪影響を抑制できる。
【0054】
また、マグネット6Aに固定されたホルダ71が位置決め部1001に設置される。より具体的には、ホルダ71のホルダ切欠き部711に第2延伸部1001Bを通すようにホルダ71を中心軸方向一方側から中心軸方向他方側へスライドさせる。これにより、製造された振動モータ10においては、第1方向から視て、第1切欠き部331はホルダ切欠き部711と重なる。すなわち、ホルダ71は、第1方向から視て切欠き部33と重なるホルダ切欠き部711を有する。これにより、ハウジング3の切欠き部33とホルダ切欠き部711を位置決め部1001に固定することで、ハウジング3とホルダ71との相対的位置決めを行うことができる。
【0055】
また、ホルダ切欠き部711は、中心軸方向一方側から中心軸方向他方側にかけて貫通する(図5参照)。これにより、ホルダ71を位置決め部1001上で位置決めしつつ中心軸方向にスライドさせることで、マグネット6Aをハウジング3内部に挿入できる。
【0056】
また、ホルダ切欠き部711は、ホルダ平面部714およびホルダ壁部715に設けられる(図6参照)。これにより、ホルダ切欠き部711を中心軸方向に長く形成し、ホルダ71を治具100に安定して設置できる。
【0057】
<5.触覚デバイス>
先述した実施形態に係る振動モータ10は、各種の電子機器に搭載することができる。これにより、電子機器を振動させ、操作者への通知あるいは触覚フィードバック等の機能を実現できる。
【0058】
振動モータ10は、例えば図11に概略的に示す触覚デバイス200に搭載可能である。触覚デバイス200は、筐体200Aと、筐体200Aに収容される振動モータ10と、を有する。触覚デバイス200は、振動モータ10の振動によって、触覚デバイス200を操作する人に触覚的な刺激を与える機器である。
【0059】
図11に示す触覚デバイス200は、一例としてスタイラスペンとしている。振動モータ10が設定に応じた振動を出力することで、触覚デバイス200をタブレット機器などに接触させて操作しているにもかかわらず、あたかも紙あるいは黒板などの上で操作しているような触覚フィードバックを操作者に与えることができる。
【0060】
なお、触覚デバイスとしては、スタイラスペンに限らず、その他にもスマートフォン、タブレット、ゲーム機器、および、ウェアラブル端末などを採用できる。
【0061】
<6.その他>
以上、本開示の実施形態を説明した。なお、本開示の範囲は上述の実施形態に限定されない。本開示は、発明の主旨を逸脱しない範囲で上述の実施形態に種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態で説明した事項は、矛盾を生じない範囲で適宜任意に組み合わせることができる。
【0062】
<7.付記>
以上のように、本開示の一側面に係る振動モータ10は、静止部1と、前記静止部に対して中心軸方向に振動可能な可動部5と、を有する。前記静止部は、通電により前記可動部に駆動力を付与するコイル2と、前記可動部と前記コイルとを収容するハウジング3と、を有する。前記ハウジングの外方を前記中心軸方向一方側として、前記ハウジングは、前記ハウジングの外縁から前記中心軸方向他方側へ凹む切欠き部33を有する。前記可動部は、マグネット6Aと、前記マグネットの中心軸方向一方側に固定され、前記マグネットよりも径方向幅が大きいホルダ71と、を有する。前記中心軸方向に直交する方向を第1方向として、前記ホルダは、前記ホルダの外縁から第1方向一方側へ凹み、前記第1方向からみて前記切欠き部と重なるホルダ切欠き部711を有する。前記ホルダ切欠き部の底面部711Aは、前記マグネットの外縁よりも第1方向他方側に配置される(第1の構成)。
【0063】
また、上記第1の構成において、前記ホルダ切欠き部711は、前記中心軸方向一方側から中心軸方向他方側にかけて貫通する(第2の構成)。
【0064】
また、上記第1または第2の構成において、前記ホルダ71は、前記中心軸に垂直に広がるホルダ平面部714と、前記ホルダ平面部の前記第1方向外端部から前記中心軸方向他方側に延びるホルダ壁部715と、を有する。前記ホルダ平面部は、前記マグネット6Aの前記第1方向外端部の少なくとも一部を覆う。前記ホルダ切欠き部711は、前記ホルダ平面部および前記ホルダ壁部に設けられる(第3の構成)。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本開示の技術は、例えば各種機器に搭載される振動モータに利用することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 静止部
2 コイル
3 ハウジング
5 可動部
6 コア部
6A,6B マグネット
6C 磁性体部
10 振動モータ
31 連続部
31A 周方向一方側端部
31B 周方向他方側端部
32 突出部
33 切欠き部
34 第1領域
35,36 屈曲部
37,38 切欠き部
41,42 蓋部
71,72 ホルダ
81,82 弾性部材
91 基部
91A,91B 電極部
92,93 突出片
100 治具
200 触覚デバイス
200A 筐体
331 第1切欠き部
332 第2切欠き部
341 周方向両側部分
710 ホルダ
711 ホルダ切欠き部
711A 底面部
712 ホルダ切欠き部
713 凹部
714 ホルダ平面部
715 ホルダ壁部
911 中心軸方向他方側端部
911A FPC切欠き部
1000 基台部
1001 位置決め部
1001A 第1延伸部
1001B 第2延伸部
1002 孔部
7101 ホルダ切欠き部
7101A,7101B 開口部
J 中心軸
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11