(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149581
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20231005BHJP
F04D 29/00 20060101ALI20231005BHJP
A41D 13/002 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F04D25/08 307F
F04D29/00 B
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058226
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】杉山 良太
【テーマコード(参考)】
3B011
3H130
【Fターム(参考)】
3B011AA00
3B011AB01
3B011AC02
3H130AA13
3H130AB06
3H130AB26
3H130AB45
3H130BA66A
3H130BA69H
3H130DD05Z
3H130DF00X
3H130EA07A
(57)【要約】 (修正有)
【課題】消費電力を抑制可能な送風装置を提供すること。
【解決手段】送風装置100は、送風部2と、筐体1と、第1発熱部31と、第2発熱部32とを備える。前記送風部は、吸込口211及び吐出口を有する。前記送風部は、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記吐出口から吐出する。前記筐体は、前記送風部を収容する。前記筐体は、開口部を有する。前記開口部は、前記吸込口及び前記吐出口の各々と連通する。前記第1発熱部は、前記開口部と前記吸込口との間に位置する。前記第2発熱部は、前記吐出口と前記開口部との間に位置する。前記第1発熱部及び前記第2発熱部は、熱を発する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口及び吐出口を有し、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記吐出口から吐出する送風部と、
前記送風部を収容し、前記吸込口及び前記吐出口の各々と連通する開口部を有する筐体と、
前記開口部と前記吸込口との間に位置し、熱を発する第1発熱部と、
前記吐出口と前記開口部との間に位置し、熱を発する第2発熱部と、
を備える、送風装置。
【請求項2】
前記吸込口及び前記吐出口は、前記開口部から第1方向に離れており、
前記第1発熱部の前記第1方向における一方端は、前記開口部に臨み、
前記第1発熱部の前記第1方向における他方端は、前記吸込口に臨み、
前記第2発熱部の前記第1方向における一方端は、前記吐出口に臨み、
前記第2発熱部の前記第1方向における他方端は、前記開口部に臨む、請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記吸込口及び前記吐出口は、前記開口部から第1方向に離れており、
前記第1発熱部及び前記第2発熱部は、前記第1方向に交差する第2方向において隣り合っている、請求項1または請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記吸込口及び前記吐出口は、前記開口部から第1方向に離れており、
前記吸込口及び前記吐出口は、前記第1方向に交差する第2方向において隣り合っている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から様々な採暖装置が提案されている(例えば、特許文献1)。採暖装置の一例としての上着は、本体部に着脱可能な断熱ライナを備えている。断熱ライナが本体部に取り付けられることで、上着は防寒着として機能する。断熱ライナは、ヒータを着脱可能に構成されている。ヒータは、コネクタとケーブルを介してバッテリから供給される電力により発熱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2019/198396号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、採暖装置としては、ヒータ付きの防寒着以外にも、送風装置がある。送風装置は、送風部と、発熱部と、バッテリとを備える。送風部及び発熱体の各々には、バッテリから電力が供給される。送風部は、吸込口から空気を吸い込み、吐出口から空気を吐出する。発熱部は、バッテリからの電力により発熱し、送風部から吐出された空気流を目標温度に上昇させる。
【0005】
しかし、送風装置では、発熱部は、吐出口から吐出された空気を急激に昇温させる必要がある。従って、発熱部における消費電力が大きくなる。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、消費電力を抑制可能な送風装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の例示的な送風装置は、送風部と、筐体と、第1発熱部と、第2発熱部とを備える。前記送風部は、吸込口及び吐出口を有する。前記送風部は、前記吸込口から吸い込んだ空気を前記吐出口から吐出する。前記筐体は、前記送風部を収容する。前記筐体は、開口部を有する。前記開口部は、前記吸込口及び前記吐出口の各々と連通する。前記第1発熱部は、前記開口部と前記吸込口との間に位置する。前記第2発熱部は、前記吐出口と前記開口部との間に位置する。前記第1発熱部及び前記第2発熱部は、熱を発する。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本開示によれば、消費電力を抑制可能な送風装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係る送風装置の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示される送風装置の内部構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2に示される送風装置の線IV-IVに沿う横断面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示される送風装置の線V-Vに沿う縦断面図である。
【
図6】
図6は、
図3に示される発熱ユニットの詳細な構成を示す模式図である。
【
図7】
図7は、
図1に示される送風装置の使用方法の第1例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、
図1に示される送風装置の使用方法の第2例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、本開示の第1変形例に係る送風装置の内部構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、
図9に示される発熱ユニットを取り外した状態の送風装置を示す模式図である。
【
図11】
図11は、本開示の第2変形例に係る送風装置の構成を示す斜視図である。
【
図12】
図12は、本開示の第2変形例に係る発熱ユニットの詳細な構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本開示に係る送風装置100について説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
図1は、本開示の実施形態に係る送風装置100の分解斜視図である。
図2は、
図1に示される送風装置100の側面図である。
【0012】
図1及び
図2に示されるように、送風装置100は、筐体1を備える。筐体1は、衣類のポケット等に収納可能なサイズである。詳細には、筐体1は、複数の壁板11~壁板16を有する。筐体1は、壁板11~壁板16により略直方体形状をなしている。
【0013】
壁板11及び壁板12の各々は、一対の長辺と、一対の短辺とを有する。実施形態では、各長辺が延びる方向を「第1方向Z」と記載する。また、各短辺が延びる方向を「第2方向X」と記載する。壁板11及び壁板12は、第1方向Z及び第2方向Xに直交する第3方向Yに互いに離れている。
【0014】
また、各図には、理解の容易のため、第1方向Zの一方、即ち、壁板14から壁板13に向かう方向を、矢印Z-で示している。第1方向Zの他方を、矢印Z+で示している。第2方向Xの一方、即ち、壁板16から壁板15に向かう方向を、矢印X+で示している。第2方向Xの他方を、矢印X-で示している。
【0015】
壁板13は、壁板11及び壁板12の各々における第1方向Zの一方端同士を繋ぐ。壁板14は、壁板11及び壁板12の各々における第1方向Zの他方端同士を繋ぐ。壁板15は、壁板11及び壁板12の各々における第2方向Xの一方端同士を繋ぐ。壁板16は、壁板11及び壁板12の各々における第2方向Xの他方端同士を繋ぐ。
【0016】
壁板13は、開口部131を有する。即ち、筐体1は、開口部131を有する。開口部131は、
図1では、破線の矩形内に示されている。開口部131は、筐体1の外部と内部とを互いに連通する。実施形態では、開口部131は、複数の貫通孔132からなる。各貫通孔132は、略矩形形状である。複数の貫通孔132は、間隔をあけて第2方向Xに並んでいる。また、複数の貫通孔132は、壁板15及び壁板16のうち壁板15に近い位置に形成される。
【0017】
図3は、
図1に示される送風装置100の内部構成を示す斜視図である。
図4は、
図2に示される送風装置100の線IV-IVに沿う横断面図である。
図5は、
図1に示される送風装置100の線V-Vに沿う縦断面図である。
【0018】
図3から
図5に示されるように、送風装置100は、送風部2と、発熱ユニット3と、バッテリ4と、制御部5とをさらに備える。筐体1は、内部空間17(
図3参照)を外部から区画する。筐体1は、内部空間17に、送風部2、発熱ユニット3、バッテリ4及び制御部5を収容する。
【0019】
送風部2は、渦流ファンである。送風部2は、ケーシング21と、インペラ22と、モータ23とを有する。
【0020】
ケーシング21は、第1方向Zの他方に開口部131から離れ且つ第1方向Zの一方に壁板14から離れて位置する。ケーシング21は、第2方向Xにおいて、壁板15及び壁板16のうち壁板15の近くに位置する。ケーシング21は、第3方向Yにおいて壁板11及び壁板12の間に位置する。
【0021】
送風部2は、吸込口211と、吐出口212とを有する。詳細には、ケーシング21は、吸込口211と、吐出口212とを有する。吸込口211及び吐出口212は、開口部131と第1方向Zにおいて離れている。吸込口211及び吐出口212は、第1方向Zに開口部131から離れている。吸込口211及び吐出口212は、隔壁18により分け隔てられる。吸込口211及び吐出口212は、略矩形形状であり、互いに同じ開口面積を有する。ケーシング21は、インペラ室213を規定する。インペラ室213は、吸込口211及び吐出口212の各々と連通する。
【0022】
吸込口211及び吐出口212の位置は、さらに詳細には、次の条件(1),(2)を満たす。条件(1)は、吸込口211及び吐出口212の各々が開口部131に向かって開放されることである。条件(2)は、吸込口211及び吐出口212が第2方向Xにおいて隔壁18を介して隣り合っていることである。換言すると、開口部131から吸込口211までの第1方向Zにおける距離と、吐出口212から開口部131までの第1方向Zにおける距離とは、互いに同じ距離D11(
図4参照)である。
【0023】
ケーシング21は、インペラ室213に、インペラ22及びモータ23を収容する。インペラ22は、モータ23からの駆動力により、第3方向Yに平行な軸心C0(
図4参照)の周方向θに回転する。これにより、送風部2において、吸込口211から吸い込まれた空気は、
図4中、白抜きの矢印で示されるように、インペラ室213において周方向θに流れた後、吐出口212から開口部131に向けて吐出される。
【0024】
バッテリ4は、電力を蓄積する。実施形態では、バッテリ4は、略直方体形状である。バッテリ4は、第1方向Zにおいて送風部2と壁板14との間に位置する(
図4参照)。
【0025】
制御部5は、マイコンである。マイコンは、メモリ及びプロセッサを含む。メモリは、送風装置100の動作を制御するための制御プログラムを記憶する。プロセッサは、制御プログラムを実行する。特に、プロセッサは、バッテリ4から送風部2及び発熱ユニット3の各々への給電を制御する。
【0026】
実施形態では、制御部5は、第1方向Zにおいて壁板13とバッテリ4との間に位置する(
図4参照)。制御部5は、第2方向Xにおいて、送風部2及び発熱ユニット3と、壁板16との間に位置する(
図4参照)。
【0027】
発熱ユニット3は、例えば略直方体形状である。発熱ユニット3は、第1方向Zにおいて開口部131及び送風部2の間に位置する(
図4参照)。詳細には、発熱ユニット3は、吸込口211及び吐出口212の各々に対し第1方向Zの一方側に位置する(
図4参照)。発熱ユニット3は、第3方向Yにおいて壁板11,12の間に位置する(
図5参照)。
【0028】
送風装置100は、第1発熱部31と、第2発熱部32とを備える。詳細には、発熱ユニット3は、第1発熱部31と、第2発熱部32とを有する。第1発熱部31は、第1方向Zにおいて開口部131及び吸込口211の間に位置する。第1発熱部31は、開口部131から吸込口211へと空気を流通可能に構成される。第2発熱部32は、第1方向Zにおいて吐出口212及び開口部131の間に位置する。第2発熱部32は、吐出口212から開口部131へと空気を流通可能に構成される。なお、第1発熱部31及び第2発熱部32の詳細については、
図5を参照して後述する。
【0029】
第1発熱部31及び第2発熱部32の各々で空気が流通可能であるため、筐体1の開口部131は、送風部2の吸込口211及び吐出口212の各々と連通する。
【0030】
第1発熱部31及び第2発熱部32の各々は、バッテリ4から供給される電力により熱を発する。従って、第1発熱部31及び第2発熱部32を通過する空気は、第1発熱部31及び第2発熱部32によりそれぞれ加熱される。第1発熱部31及び第2発熱部32により、筐体1内で空気を比較的長い時間加熱できる。第1発熱部31は、第2発熱部32よりも先に空気を加熱する。従って、第2発熱部32は空気を急激に昇温する必要がない。その結果、第1発熱部31及び第2発熱部32における消費電力を抑制できる。
【0031】
詳細には、第1発熱部31における第1方向Zの一方端311は、開口部131に臨む。第1発熱部31における第1方向Zの他方端312は、吸込口211に臨む。詳細には、一方端311は、開口部131と第1方向Zにおいて対向する。また、他方端312は、吸込口211と第1方向Zにおいて対向する。また、一方端311は、第1方向Zにおいて開口部131から距離D13だけ離れている(
図4参照)。他方端312は、第1方向Zにおいて吸込口211から距離D14だけ離れている(
図4参照)。距離D13,D14の各々は、0以上数mm以下である。即ち、「臨む」という用語は、「近接すること」と、「接触する」こととを含む概念である。
【0032】
なお、一方端311及び他方端312は、開口部131及び吸込口211に対し斜向かいに位置してもよい。即ち、「臨む」という用語は、「対向すること」と、「斜向かいに位置すること」とを含む概念である。
【0033】
また、第2発熱部32における第1方向Zの一方端321は、吐出口212に臨む。第2発熱部32における第1方向Zの他方端322は、開口部131に臨む。また、一方端321は、第1方向Zにおいて吸込口211から距離D14だけ離れている(
図4参照)。他方端322は、第1方向Zにおいて開口部131から距離D13だけ離れている(
図4参照)。
【0034】
第1発熱部31が開口部131及び吸込口211に臨み、第2発熱部32が吐出口212及び開口部131に臨む。従って、第1発熱部31と吸込口211との間、吐出口212と第2発熱部32との間、及び、第2発熱部32と開口部131との間で空気が冷め難い。即ち、第1発熱部31及び第2発熱部32の消費電力を抑えることができる。
【0035】
ところで、ケーシング21において、吸込口211及び吐出口212は、第2方向Xにおいて互いに隣り合っている。また、発熱ユニット3は略直方体形状である。よって、第1発熱部31と吸込口211との間の距離と、第2発熱部32と吐出口212との間の距離とを、距離D14(0以上数mm以下)に一致させ易い。その結果、空気が冷めにくくなり、第1発熱部31及び第2発熱部32が省電力で空気を効率的に加熱できる。
【0036】
第1発熱部31及び第2発熱部32は、第2方向Xにおいて隣り合っている。また、第1発熱部31及び第2発熱部32は、互いに一体であり、同一の発熱ユニット3において隣り合っている。即ち、第1発熱部31及び第2発熱部32の間には、他の部材が介在しない。従って、第1発熱部31及び第2発熱部32の熱が無駄なく空気に伝わる。即ち、第1発熱部31及び第2発熱部32は、低消費電力で空気を昇温できる。
【0037】
実施形態では、送風部2、発熱ユニット3、バッテリ4、及び制御部5は、壁板12に沿って配置されている(
図4参照)。また、送風部2、発熱ユニット3、バッテリ4、及び制御部5から選択された2つは、第3方向Yには並んでいない(
図5参照)。その結果、送風装置100の第3方向Yにおけるサイズが小型化(即ち、薄型化)される。
【0038】
図6は、
図3に示される発熱ユニット3の詳細な構成を示す模式図である。
図6に示されるように、発熱ユニット3は、複数の面状発熱体33を有する。
図6では、都合上、単一の面状発熱体にのみ参照符号「33」、「34」、「35」、「331」、「332」が付されている。各面状発熱体33は、基材34と、抵抗発熱体35とを有する。基材34は、矩形形状のシート材である。抵抗発熱体35は、基材34にスクリーン印刷等により形成される。抵抗発熱体35は、金属薄膜またはカーボン材料である。
【0039】
複数の面状発熱体33は、第1方向Zにおいて、開口部131と、吸込口211及び吐出口212との間に位置する。
図6では、開口部131、吸込口211及び吐出口212は破線で模式的に示されている。複数の面状発熱体33は、第2方向Xにおいて隙間をあけて並んでいる。これら隙間を空気が通過する(矢印A11,A12を参照)。複数の面状発熱体33の各々は、開口部131と吸込口211との間、または開口部131と吐出口212との間で、第1方向Z及び第3方向Yに平行に配置されている。複数の面状発熱体33の各々における第1方向Zの一方端331は、開口部131に臨んでおり、複数の面状発熱体33の各々における第1方向Zの他方端332は、吸込口211または吐出口212に臨んでいる。吸込口211に臨む複数の面状発熱体33は、第1発熱部31を構成する。吐出口212に臨む複数の面状発熱体33は、第2発熱部32を構成する。また、複数の面状発熱体33において、各抵抗発熱体35は、電気的に直列に接続されている。
【0040】
図7は、
図1に示される送風装置100の使用方法の第1例を示す模式図である。以下、
図1から
図7を参照して、使用方法の第1例について説明する。送風装置100は、ユーザのシャツの胸ポケット91(
図7参照)に収納された状態で使用される。詳細には、ユーザは、送風装置100を壁板14側から胸ポケット91の開口部911に入れる。その結果、壁板14は、胸ポケット91の底部912に突き当たり、壁板13の開口部131は、上方を向く。ユーザはさらに、上着を着た状態で、送風装置100を動作させる。詳細には、送風部2において、インペラ22は、制御部5の制御下で、モータ23からの駆動力により回転し始める。また、第1発熱部31及び第2発熱部32は発熱し始める。その結果、送風装置100には、開口部131を通じて空気が吸い込まれる。送風装置100の内部に吸い込まれた空気は、第1発熱部31により加熱された後、吸込口211からインペラ室213に流入する。その後、インペラ22の回転により、空気は、吐出口212から吐出された後、第2発熱部32に流入する。第2発熱部32において、空気はさらに加熱される。その後、空気は、開口部131から送風装置100の外部に温風として吹き出され、ユーザの着衣(即ち、シャツと上着)の間で流通する。
【0041】
送風装置100を胸ポケット91に収容する場合、筐体1における壁板11、壁板12、壁板15及び壁板16は、ユーザの身体または着衣により覆われる。従って、壁板11、壁板12、壁板15及び壁板16に開口部131が設けられると、開口部131からの空気の吸い込み及び温風の吹き出しの各々がユーザの身体または着衣により阻害され易い。しかし、送風装置100では、壁板13に開口部131が設けられるため、ユーザは、開口部131を、胸ポケット91の開口部から容易に露出させることができる。その結果、開口部131からの空気の吸い込み及び温風の吹き出しがユーザの身体または着衣により阻害され難い。なお、開口部131は、壁板11及び壁板12の短辺同士を繋ぐ壁板、即ち、壁板13または壁板14に設けられることが好ましい。
【0042】
図8は、
図1に示される送風装置100の使用方法の第2例を示す模式図である。以下、
図1から
図6及び
図8を参照して、第2使用方法について説明する。送風装置100において、壁板14には、ネックストラップ19を接続するための接続部が設けられる。ユーザ92は、ネックストラップ19を首に掛けて、送風装置100をユーザ92の着衣921,922(例えばシャツと上着)の間に吊り下げる。その結果、壁板13の開口部131は、下方を向く。この状態で、ユーザ92が送風装置100を動作させると、送風装置100は、着衣921,922の間に温風を吹き出す。
【0043】
ところで、「背景技術」に記載した上着では、ユーザは、採暖のためにヒータをスナップボタンにより断熱ライナに固定する必要がある。一方、送風装置100に関しては、ユーザは、採暖時に送風装置100を着衣に固定しなくともよい。詳細には、ユーザは、送風装置100による採暖時に、送風装置100を着衣の胸ポケット91に収容したり(
図7参照)、送風装置100をネックストラップ19により首に掛けたりする(
図8参照)。即ち、送風装置100によれば、送風装置100の固定具を衣類側に設ける必要がない。また、ユーザにとっては、送風装置100を衣類に着脱する手間が不要である。さらに、送風装置100は着衣に固定されないため、送風装置100の使用時に、ユーザは、衣類の選択に制約を受けない。
【0044】
なお、送風装置100は、例えばクリップ及びフックのように固定具を有していてもよい。これら固定具の全てまたは一部は、衣類側に設けられない。送風装置100は、クリップまたはフックにより、ユーザの着衣が有するポケット等に固定される。他にも、送風装置100は、クリップまたはフックにより、ユーザが身に着けているベルトに固定されてもよい。
【0045】
また、送風装置100は、第3方向Yにおいて薄型化されている(
図4及び
図5参照)。その結果、送風装置100を、例えば着衣の胸ポケット91(
図7参照)へ収容し易い。また、送風装置100が薄型であるため、ユーザが送風装置100を使用していることが周囲の人から認識され難い。即ち、衣類の美観を損なうことなく、ユーザは、送風装置100により採暖できる。
【0046】
以上、図面を参照して本開示の実施形態について説明した。ただし、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、または、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0047】
また、図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0048】
(1)実施形態では、第1発熱部31及び第2発熱部32は、第2方向Xにおいて隣り合っていた。しかし、これに限らず、第1発熱部31及び第2発熱部32は、隣り合っていなくともよい。また、第1発熱部31及び第2発熱部32は、別体であり、互いに離れて位置していてもよい。
【0049】
(2)実施形態では、送風部2において、吸込口211及び吐出口212は、第2方向Xにおいて隣り合っていた。しかし、これに限らず、吸込口211及び吐出口212は、隣り合っていなくともよい。
【0050】
(3)実施形態では、開口部131は、第2方向Xに並ぶ複数の貫通孔132であった。しかし、これに限らず、開口部131は、第2方向Xに長い単一の貫通孔であってもよい。
【0051】
(4)実施形態では、送風部2は、渦流ファンであった。しかし、これに限らず、送風部2は、
図9及び
図10に示されるように、シロッコファン(遠心ファン)であってもよい。
図9は、本開示の第1変形例に係る送風装置100の内部構成を示す斜視図である。
図10は、
図9に示される第1発熱部31を送風部2から取り外した送風装置100を示す斜視図である。以下、
図9及び
図10を参照して、第1変形例について説明する。
【0052】
図9に示されるように、第1変形例に係る筐体1は、実施形態に係る筐体1と比較すると、開口部131として第1開口部1311及び第2開口部1312を有する点で相違する。第1開口部1311は、壁板11に形成される。第2開口部1312は、壁板13に形成される。第1開口部1311及び第2開口部1312の各々は、筐体1の外部と内部とを互いに連通する。
【0053】
図10に示されるように、第1変形例に係る送風装置100は、実施形態に係る送風装置100と比較すると、送風部2に代えて送風部6を備える点と、発熱ユニット3に代えて発熱ユニット7を備える点とにおいて相違する。
【0054】
送風部6は、シロッコファンである。送風部6は、ケーシング61と、インペラ62と、モータ63とを有する。
【0055】
ケーシング61は、内部空間17においてケーシング21(
図3参照)と同様の位置に配置される。
【0056】
ケーシング61は、吸込口611と、吐出口612とを有する。即ち、送風部6は、吸込口611と、吐出口612とを有する。吸込口611及び吐出口612は、開口部131と第1方向Zに離れている。吸込口611は、第1開口部1311と第3方向Yにおいて対向する。吸込口611は、第1開口部1311から第3方向Yに離れて位置する。吸込口611は、第3方向Yからの平面視で環状形状である。吐出口612は、第2開口部1312の第2方向Xにおける両端間に位置する。吐出口612は、第1方向Zからの平面視で略矩形形状である。ケーシング61は、インペラ室を区画する。インペラ室は、吸込口611及び吐出口612の各々と連通する。
【0057】
インペラ62及びモータ63は、ケーシング61のインペラ室に収容される。インペラ62は、モータ63からの駆動力により、インペラ22と同様に回転する。これにより、第1開口部1311から空気が筐体1内に取り込まれる。送風部2において、吸込口611から吸い込まれた空気は、インペラ室を通じて、吐出口612から第2開口部1312に向けて吐出される。
【0058】
発熱ユニット7は、第1発熱部71と、第2発熱部72とを備える。即ち、送風装置100は、第1発熱部71と、第2発熱部72とを備える。第1発熱部71は、略直方体形状である。第1発熱部71は、第1方向Zにおいて第1開口部1311及び送風部6の吸込口611の間に位置する。第1発熱部71は、第1開口部1311から吸込口611へと空気を流通可能に構成される。第2発熱部72は、第1方向Zにおいて吐出口612及び第2開口部1312の間に位置する。第2発熱部72は、吐出口612から第2開口部1312へと空気を流通可能に構成される。第1発熱部71及び第2発熱部72の各々は、バッテリ4から供給される電力により熱を発する。なお、第1発熱部71及び第2発熱部72の各々は、実施形態と同様、複数の面状発熱体から構成される。
【0059】
(5)また、送風装置100は、
図11及び
図12に示されるような構成でもよい。
図11は、本開示の第2変形例に係る送風装置100の構成を示す斜視図である。
図12は、本開示の第2変形例に係る発熱ユニット8の詳細な構成を示す模式図である。以下、
図11及び
図12を参照して、第2変形例について説明する。
【0060】
図11に示されるように、第2変形例に係る筐体1は、第1変形例と比較すると、開口部131として第1開口部1313及び第2開口部1314を有する点で相違する。第1開口部1313は、壁板11及び壁板13に形成される。詳細には、第1開口部1313は、第2方向Xに並ぶ複数の貫通孔1321からなる。各貫通孔1321は、壁板13において壁板11に比較的近い位置から、壁板11の短辺まで延びている。
【0061】
第2開口部1314は、壁板12及び壁板13に形成される。詳細には、第2開口部1314は、第2方向Xに並ぶ複数の貫通孔1322からなる。各貫通孔1322は、壁板13において壁板12に比較的近い位置から、壁板12の短辺まで延びている。
【0062】
図12に示されるように、第2変形例に係る送風装置100は、第1変形例と比較すると、発熱ユニット7に代えて発熱ユニット8を備える点において相違する。
【0063】
発熱ユニット8は、第1発熱部81と、第2発熱部82とを有する。即ち、送風装置100は、第1発熱部81と、第2発熱部82とを備える。第1発熱部81及び第2発熱部82は、第3方向Yにおいて隣り合っている。また、第1発熱部81及び第2発熱部82は、互いに一体であり、同一の発熱ユニット8において隣り合っている。従って、第1発熱部81及び第2発熱部82は、第1発熱部31及び第2発熱部32と同様に、低消費電力で空気を昇温できる。
【0064】
詳細には、第1発熱部81は、第1方向Zにおいて第1開口部1313及び送風部6(
図10参照)の間に位置する。第1発熱部81は、矢印A13で示されるように、第1開口部1313から吸込口611(
図10参照)へと空気を流通可能に構成される。第2発熱部82は、第1方向Zにおいて送風部6(
図10参照)及び第2開口部1314の間に位置する。第2発熱部82は、矢印A14で示されるように、吐出口612(
図10参照)から第2開口部1314へと空気を流通可能に構成される。なお、第1発熱部81及び第2発熱部82の各々は、複数の面状発熱体33(
図6参照)を有する。
【0065】
なお、第2変形例における第1開口部1313、第2開口部1314、及び発熱ユニット8は、実施形態に適用されてもよい。この場合、第1発熱部81は、第1開口部1313から吸込口211(
図3参照)へと空気を流通可能に構成される。また、第2発熱部82は、吐出口212(
図3参照)から第2開口部1314へと空気を流通可能に構成される。
【符号の説明】
【0066】
100 送風装置
1 筐体
111 開口部
2,6 送風部
21,61 ケーシング
211,611 吸込口
212,612 吐出口
213 インペラ室
22,62 インペラ
23,63 モータ
3,7 発熱ユニット
31,71 第1発熱部
32,72 第2発熱部