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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149587
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 12/00 20060101AFI20231005BHJP
   H10B 41/27 20230101ALI20231005BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20231005BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231005BHJP
   G11C 16/32 20060101ALI20231005BHJP
   G11C 16/26 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G06F12/00 564A
H01L27/11556
H01L27/11582
H01L29/78 371
G11C16/32
G11C16/26 140
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058234
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100121843
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 賢郎
(72)【発明者】
【氏名】萩原 洋介
(72)【発明者】
【氏名】白石 圭
【テーマコード(参考)】
5B160
5B225
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5B160CC01
5B225EA05
5B225EF25
5B225FA02
5F083EP02
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083ER03
5F083ER09
5F083ER14
5F083ER19
5F083GA09
5F083GA10
5F083KA01
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA03
5F083LA10
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083ZA01
5F101BA01
5F101BA45
5F101BB05
5F101BC02
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BE02
5F101BE05
5F101BE06
5F101BH21
(57)【要約】
【課題】トグル信号のデューティ比の補正を行い得る構成としながらも、大型化を抑制することのできる半導体記憶装置、を提供する。
【解決手段】半導体記憶装置2は、外部からのリードイネーブル信号REに同期して切り換わる信号RE_in、を生成し出力するコンパレータ51と、信号RE_inのデューティ比を調整する補正回路60と、を備える。補正回路60は、コンパレータ51の第1出力部513に接続された可変の電流源61、及び、コンパレータ51の第2出力部514に接続された可変の電流源62を有し、電流源61、62から出力される電流の大きさを調整することで、信号/RE_c、RE_cのデューティ比を調整する。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から第1トグル信号を受信する受信部と、
前記第1トグル信号に同期して切り換わる第2トグル信号、を生成し出力する第1コンパレータと、
前記第2トグル信号のデューティ比を調整する調整部と、
デューティ比が調整された前記第2トグル信号、又は当該第2トグル信号に基づいて生成されたトグル信号を外部に送信する送信部と、を備え、
前記第1コンパレータから出力される前記第2トグル信号には、第3トグル信号と、前記第3トグル信号の相補信号である第4トグル信号と、が含まれ、
前記第1コンパレータは、
前記第1トグル信号が入力される第1入力部と、
参照信号が入力される第2入力部と、
前記第1トグル信号と前記参照信号との大小関係に応じて切り換わる前記第3トグル信号、を出力する第1出力部と、
前記第4トグル信号を出力する第2出力部と、を有し、
前記調整部は、
前記第1入力部、前記第2入力部、前記第1出力部、及び前記第2出力部のうち、少なくともいずれか1つに接続された可変の電流源を有し、
前記電流源から出力される電流の大きさを調整することで、前記第2トグル信号のデューティ比を調整する、半導体記憶装置。
【請求項2】
前記参照信号は、前記第1トグル信号の相補信号として外部から入力される信号である、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記参照信号は一定電圧の信号である、請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記電流源は、前記第1出力部及び前記第2出力部のうち少なくとも一方に接続されている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
前記第3トグル信号及び前記第4トグル信号が入力される第2コンパレータを更に備え、
前記電流源は、前記第1コンパレータと前記第2コンパレータとの間を繋ぐ信号線に接続されている、請求項4に記載の半導体記憶装置。
【請求項6】
前記電流源は、電源線と、前記第1コンパレータに繋がる信号線と、の間で流れる電流の大きさを変化させるものである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【請求項7】
前記電流源は、接地線と、前記第1コンパレータに繋がる信号線と、の間で流れる電流の大きさを変化させるものである、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばNAND型フラッシュメモリのような半導体記憶装置は、メモリコントローラから送信される信号に応じて読み出しデータを出力する。読み出しデータを出力する際に、半導体記憶装置は、出力タイミングを示すためのトグル信号を合わせて出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-91798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
開示された実施形態によれば、トグル信号のデューティ比の補正を行い得る構成としながらも、大型化を抑制することのできる半導体記憶装置、が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体記憶装置は、外部から第1トグル信号を受信する受信部と、第1トグル信号に同期して切り換わる第2トグル信号、を生成し出力する第1コンパレータと、第2トグル信号のデューティ比をを調整する調整部と、デューティ比が調整された第2トグル信号、又は当該第2トグル信号に基づいて生成されたトグル信号を外部に送信する送信部と、を備える。第1コンパレータから出力される第2トグル信号には、第3トグル信号と、第3トグル信号の相補信号である第4トグル信号と、が含まれる。第1コンパレータは、第1トグル信号が入力される第1入力部と、参照信号が入力される第2入力部と、第1トグル信号と参照信号との大小関係に応じて切り換わる第3トグル信号、を出力する第1出力部と、第4トグル信号を出力する第2出力部と、を有する。調整部は、第1入力部、第2入力部、第1出力部、及び第2出力部のうち、少なくともいずれか1つに接続された可変の電流源を有し、電流源から出力される電流の大きさを調整することで、第2トグル信号のデューティ比を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係るメモリシステムの構成例を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係るメモリシステムの構成例を示すブロック図である。
図3】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成を示すブロック図である。
図4】メモリセルアレイの構成を示す等価回路図である。
図5】メモリセルアレイの構成を示す断面図である。
図6】センスアンプユニットの回路構成を示す図である。
図7】メモリセルトランジスタの閾値分布の一例を示す図である。
図8】書き込み動作時における、各配線の電位変化を示す図である。
図9】読み出し動作時における、各配線の電位変化を示す図である。
図10】比較例に係る半導体記憶装置とメモリコントローラとの間で送受信される信号等の、時間変化の一例を示す図である。
図11】トグル信号のデューティ比について説明するための図である。
図12】第1実施形態に係る半導体記憶装置の構成の一部を模式的に示す図である。
図13】第1実施形態に係る半導体記憶装置のうち、受信回路及び補正回路の構成を示す図である。
図14】補正コードの一例を示す図である。
図15】トグル信号の一例を示す図である。
図16】トグル信号の一例を示す図である。
図17】トグル信号の一例を示す図である。
図18】第2実施形態に係る半導体記憶装置が有する、受信回路及び補正回路の構成を示す図である。
図19】第3実施形態に係る半導体記憶装置が有する、受信回路及び補正回路の構成を示す図である。
図20】第4実施形態に係る半導体記憶装置が有する、受信回路及び補正回路の構成を示す図である。
図21】第5実施形態に係る半導体記憶装置が有する、受信回路及び補正回路の構成を示す図である。
図22】第6実施形態に係る半導体記憶装置が有する、受信回路及び補正回路の構成を示す図である。
図23】第7実施形態に係る半導体記憶装置が有する、受信回路及び補正回路の構成を示す図である。
図24】比較例に係る半導体記憶装置が有する、受信回路及び補正回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0008】
第1実施形態について説明する。本実施形態に係る半導体記憶装置2は、NAND型フラッシュメモリとして構成された不揮発性の記憶装置である。図1には、半導体記憶装置2を含むメモリシステムの構成例がブロック図として示されている。このメモリシステムは、メモリコントローラ1と、半導体記憶装置2とを備える。
【0009】
尚、実際のメモリシステムにおいては、図2に示されるように、1つのメモリコントローラ1に対し複数の半導体記憶装置2が設けられている。図1においては、複数ある半導体記憶装置2のうちの1つのみが図示されている。半導体記憶装置2の具体的な構成については後に説明する。
【0010】
このメモリシステムは、不図示のホストと接続可能である。ホストは、例えば、パーソナルコンピュータや携帯端末等の電子機器である。メモリコントローラ1は、ホストからの書き込みリクエストに従って半導体記憶装置2へのデータの書き込みを制御する。また、メモリコントローラ1は、ホストからの読み出しリクエストに従って半導体記憶装置2からのデータの読み出しを制御する。
【0011】
メモリコントローラ1と半導体記憶装置2との間では、チップイネーブル信号/CE、レディービジー信号R/B、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号/RE、RE、ライトプロテクト信号/WP、データである信号DQ<7:0>、データストローブ信号DQS、/DQS、の各信号が送受信される。
【0012】
チップイネーブル信号/CEは、半導体記憶装置2をイネーブルにするための信号である。レディービジー信号R/Bは、半導体記憶装置2がレディ状態であるか、ビジー状態であるかを示すための信号である。「レディ状態」とは、外部からの命令を受け付ける状態である。「ビジー状態」とは、外部からの命令を受け付けない状態である。
【0013】
図2に示されるように、複数の半導体記憶装置2のそれぞれには、チップイネーブル信号/CEが個別に送信される。図2においては、それぞれのチップイネーブル信号/CEを互いに区別し得るよう、例えば「/CE0」のように末尾に番号が付してある。
【0014】
同様に、複数の半導体記憶装置2のそれぞれからは、レディービジー信号R/Bが個別に送信される。図2においては、それぞれのレディービジー信号R/Bを互いに区別し得るよう、例えば「R/B0」のように末尾に番号が付してある。
【0015】
チップイネーブル信号/CEやレディービジー信号R/B以外の信号(コマンドラッチイネーブル信号CLE等)については、複数の半導体記憶装置2で共通となっている信号線を介して、メモリコントローラ1と半導体記憶装置2との間で送受信される。メモリコントローラ1は、個別のチップイネーブル信号/CEを用いて、通信の対象となる半導体記憶装置2を特定する。
【0016】
コマンドラッチイネーブル信号CLEは、信号DQ<7:0>がコマンドであることを示す信号である。アドレスラッチイネーブル信号ALEは、信号DQ<7:0>がアドレスであることを示す信号である。ライトイネーブル信号/WEは、受信した信号を半導体記憶装置2に取り込むための信号であり、メモリコントローラ1によりコマンド、アドレス、及びデータを受信する都度アサートされる。メモリコントローラ1は、信号/WEが“L(Low)”レベルである間に信号DQ<7:0>を取り込むよう半導体記憶装置2に指示する。
【0017】
リードイネーブル信号/REは、メモリコントローラ1が、半導体記憶装置2からデータを読み出すための信号である。信号REは信号/REの相補信号である。これらは例えば、信号DQ<7:0>を出力する際の半導体記憶装置2の動作タイミングを制御するために使用される。ライトプロテクト信号/WPは、データ書き込み及び消去の禁止を半導体記憶装置2に指示するための信号である。信号DQ<7:0>は、半導体記憶装置2とメモリコントローラ1との間で送受信されるデータの実体であり、コマンド、アドレス、及びデータを含む。データストローブ信号DQSは、信号DQ<7:0>の入出力のタイミングを制御するための信号である。信号/DQSは信号DQSの相補信号である。
【0018】
メモリコントローラ1は、RAM11と、プロセッサ12と、ホストインターフェイス13と、ECC回路14と、メモリインターフェイス15と、を備える。RAM11、プロセッサ12、ホストインターフェイス13、ECC回路14、及びメモリインターフェイス15は、互いに内部バス16で接続されている。
【0019】
ホストインターフェイス13は、ホストから受信したリクエスト、ユーザデータ(書き込みデータ)等を内部バス16に出力する。また、ホストインターフェイス13は、半導体記憶装置2から読み出されたユーザデータ、プロセッサ12からの応答等をホストへ送信する。
【0020】
メモリインターフェイス15は、プロセッサ12の指示に基づいて、ユーザデータ等を半導体記憶装置2へ書き込む処理、及び、半導体記憶装置2から読み出す処理を制御する。
【0021】
プロセッサ12は、メモリコントローラ1を統括的に制御する。プロセッサ12は、例えばCPUやMPU等である。プロセッサ12は、ホストからホストインターフェイス13経由でリクエストを受けた場合に、そのリクエストに従った制御を行う。例えば、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、半導体記憶装置2へのユーザデータ及びパリティの書き込みをメモリインターフェイス15へ指示する。また、プロセッサ12は、ホストからのリクエストに従って、半導体記憶装置2からのユーザデータ及びパリティの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0022】
プロセッサ12は、RAM11に蓄積されるユーザデータに対して、半導体記憶装置2上の格納領域(メモリ領域)を決定する。ユーザデータは、内部バス16経由でRAM11に格納される。プロセッサ12は、メモリ領域の決定を、書き込み単位であるページ単位のデータ(ページデータ)に対して実施する。半導体記憶装置2の1ページに格納されるユーザデータのことを、以下では「ユニットデータ」とも称する。ユニットデータは、一般的には符号化されて、符号語として半導体記憶装置2に格納される。本実施形態では、符号化は必須ではない。メモリコントローラ1は、符号化せずにユニットデータを半導体記憶装置2に格納してもよいが、図1では、一構成例として符号化を行う構成を示している。メモリコントローラ1が符号化を行わない場合には、ページデータはユニットデータと一致する。また、1つのユニットデータに基づいて1つの符号語が生成されてもよいし、ユニットデータが分割された分割データに基づいて1つの符号語が生成されてもよい。また、複数のユニットデータを用いて1つの符号語が生成されてもよい。
【0023】
プロセッサ12は、ユニットデータごとに書き込み先の半導体記憶装置2のメモリ領域を決定する。半導体記憶装置2のメモリ領域には物理アドレスが割当てられている。プロセッサ12は、ユニットデータの書き込み先のメモリ領域を、物理アドレスを用いて管理する。プロセッサ12は、決定したメモリ領域(物理アドレス)を指定してユーザデータを半導体記憶装置2へ書き込むようメモリインターフェイス15へ指示する。プロセッサ12は、ユーザデータの論理アドレス(ホストが管理する論理アドレス)と物理アドレスとの対応を管理する。プロセッサ12は、ホストからの論理アドレスを含む読み出しリクエストを受信した場合は、論理アドレスに対応する物理アドレスを特定し、物理アドレスを指定してユーザデータの読み出しをメモリインターフェイス15へ指示する。
【0024】
ECC回路14は、RAM11に格納されたユーザデータを符号化して、符号語を生成する。また、ECC回路14は、半導体記憶装置2から読み出された符号語を復号する。ECC回路14は、例えばユーザデータに付与されたチェックサム等を利用することで、データにおけるエラーの検出、及び当該エラーの訂正を行う。
【0025】
RAM11は、ホストから受信したユーザデータを半導体記憶装置2へ記憶するまでに一時格納したり、半導体記憶装置2から読み出したデータをホストへ送信するまでに一時格納したりする。RAM11は、例えば、SRAMやDRAM等の汎用メモリである。
【0026】
図1では、メモリコントローラ1が、ECC回路14とメモリインターフェイス15をそれぞれ備える構成例が示されている。しかしながら、ECC回路14がメモリインターフェイス15に内蔵されていてもよい。また、ECC回路14が、半導体記憶装置2に内蔵されていてもよい。図1に示される各要素の具体的な構成や配置は、特に限定されない。
【0027】
ホストから書き込みリクエストを受信した場合、図1のメモリシステムは次のように動作する。プロセッサ12は、書き込み動作の対象となるデータをRAM11に一時記憶させる。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを読み出し、ECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力されたデータを符号化し、符号語をメモリインターフェイス15に入力する。メモリインターフェイス15は、入力された符号語を半導体記憶装置2に書き込む。
【0028】
ホストから読み出しリクエストを受信した場合、図1のメモリシステムは次のように動作する。メモリインターフェイス15は、半導体記憶装置2から読み出した符号語をECC回路14に入力する。ECC回路14は、入力された符号語を復号し、復号されたデータをRAM11にストアする。プロセッサ12は、RAM11にストアされたデータを、ホストインターフェイス13を介してホストに送信する。
【0029】
半導体記憶装置2の構成について説明する。図3に示されるように、半導体記憶装置2は、2つのプレーンPL1、PL2と、入出力回路21と、ロジック制御回路22と、シーケンサ41と、レジスタ42と、電圧生成回路43と、入出力用パッド群31と、ロジック制御用パッド群32と、電源入力用端子群33と、を備えている。
【0030】
プレーンPL1は、メモリセルアレイ110と、センスアンプ120と、ロウデコーダ130と、を備えている。また、プレーンPL2は、メモリセルアレイ210と、センスアンプ220と、ロウデコーダ230と、を備えている。プレーンPL1の構成とプレーンPL2の構成とは互いに同一である。つまり、メモリセルアレイ110の構成とメモリセルアレイ210の構成とは互いに同一であり、センスアンプ120の構成とセンスアンプ220の構成とは互いに同一であり、ロウデコーダ130の構成とロウデコーダ230の構成とは互いに同一である。半導体記憶装置2に設けられているプレーンの数は、本実施形態のように2つであってもよいが、1つでもよく、3つ以上であってもよい。
【0031】
メモリセルアレイ110及びメモリセルアレイ210は、データを記憶する部分である。メモリセルアレイ110及びメモリセルアレイ210のそれぞれは、ワード線及びビット線に関連付けられた複数のメモリセルトランジスタを含んでいる。これらの具体的な構成については後に説明する。
【0032】
入出力回路21は、メモリコントローラ1との間で、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSを送受信する。入出力回路21は、信号DQ<7:0>内のコマンド及びアドレスをレジスタ42に転送する。また、入出力回路21は、書き込みデータ及び読み出しデータを、センスアンプ120やセンスアンプ220との間で送受信する。入出力回路21は、メモリコントローラ1からのコマンド等を受信する入力回路(不図示)と、メモリコントローラ1にデータを出力する出力回路80(図3では不図示、図12を参照)と、の両方を有している。
【0033】
ロジック制御回路22は、メモリコントローラ1からチップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、及びライトプロテクト信号/WPを受信する。また、ロジック制御回路22は、レディービジー信号R/Bをメモリコントローラ1に転送して、半導体記憶装置2の状態を外部に通知する。
【0034】
入出力回路21及びロジック制御回路22は、いずれも、メモリコントローラ1との間で信号が入出力される部分として構成された回路である。つまり、入出力回路21及びロジック制御回路22は、半導体記憶装置2のインターフェイス回路として設けられている。
【0035】
シーケンサ41は、メモリコントローラ1から半導体記憶装置2へと入力された制御信号に基づいて、プレーンPL1、PL2や電圧生成回路43等の各部の動作を制御する。シーケンサ41は、ロジック制御回路22や、メモリセルアレイ110、210等の各部の動作を制御する部分であり、半導体記憶装置2の「制御部」に該当する。
【0036】
レジスタ42は、コマンドやアドレスを一時的に保持する部分である。レジスタ42は、プレーンPL1、PL2のそれぞれの状態を示すステータス情報をも保持する部分となっている。ステータス情報は、メモリコントローラ1からの要求に応じて、状態信号として入出力回路21からメモリコントローラ1へと出力される。
【0037】
電圧生成回路43は、シーケンサ41からの指示に基づき、メモリセルアレイ110、210におけるデータの書き込み動作、読み出し動作、及び、消去動作のそれぞれに必要な電圧を生成する部分である。このような電圧には、例えば、後述のワード線WLに対し印加されるVPGMやVPASS_PGM、VPASS_READのような電圧や、後述のビット線BLに印加される電圧等が含まれる。電圧生成回路43は、プレーンPL1及びプレーンPL2が互いに並列動作し得るように、各ワード線WLやビット線BL等のそれぞれに対し個別に電圧を印加することが可能となっている。
【0038】
入出力用パッド群31は、メモリコントローラ1と入出力回路21との間で各信号の送受信を行うための、複数の端子(パッド)が設けられた部分である。それぞれの端子は、信号DQ<7:0>、及び、データストローブ信号DQS、/DQSのそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0039】
ロジック制御用パッド群32は、メモリコントローラ1とロジック制御回路22との間で各信号の送受信を行うための、複数の端子(パッド)が設けられた部分である。それぞれの端子は、チップイネーブル信号/CE、コマンドラッチイネーブル信号CLE、アドレスラッチイネーブル信号ALE、ライトイネーブル信号/WE、リードイネーブル信号RE、/RE、ライトプロテクト信号/WP、及び、レディービジー信号R/Bのそれぞれに対応して個別に設けられている。
【0040】
電源入力用端子群33は、半導体記憶装置2の動作に必要な各電圧の印加を受けるための、複数の端子が設けられた部分である。それぞれの端子に印加される電圧には、電源電圧Vcc、VccQ、Vpp、及び接地電圧Vssが含まれる。
【0041】
電源電圧Vccは、動作電源として外部から与えられる回路電源電圧であり、例えば3.3V程度の電圧である。電源電圧VccQは、例えば1.2Vの電圧である。電源電圧VccQは、メモリコントローラ1と半導体記憶装置2との間で信号を送受信する際に用いられる電圧である。電源電圧Vppは、電源電圧Vccよりも高圧の電源電圧であり、例えば12Vの電圧である。
【0042】
メモリセルアレイ110、210へデータを書き込んだり、データを消去したりする際には、20V程度の高い電圧(VPGM)が必要となる。この際に、約3.3Vの電源電圧Vccを電圧生成回路43の昇圧回路で昇圧するよりも、約12Vの電源電圧Vppを昇圧するほうが、高速かつ低消費電力で所望の電圧を生成することができる。一方で、例えば、高電圧を供給することができない環境において半導体記憶装置2が用いられる場合、電源電圧Vppには電圧が供給されなくともよい。電源電圧Vppが供給されない場合であっても、半導体記憶装置2は、電源電圧Vccが供給されていれば、各種の動作を実行することができる。すなわち、電源電圧Vccは、半導体記憶装置2に標準的に供給される電源であり、電源電圧Vppは、例えば使用環境に応じて追加的・任意的に供給される電源である。
【0043】
プレーンPL1、PL2の構成について説明する。尚、先に述べたように、プレーンPL1の構成とプレーンPL2の構成とは互いに同一である。このため、以下ではプレーンPL1の構成についてのみ説明し、プレーンPL2の構成については図示及び説明を省略する。
【0044】
図4には、プレーンPL1に設けられたメモリセルアレイ110の構成が、等価回路図として示されている。メモリセルアレイ110は複数のブロックBLKにより構成されているのであるが、図4においては、これらのうちの1つのブロックBLKのみが図示されている。メモリセルアレイ110が有する他のブロックBLKの構成も、図4に示されるものと同じである。
【0045】
図4に示されるように、ブロックBLKは、例えば4つのストリングユニットSU(SU0~SU3)を含む。また各々のストリングユニットSUは、複数のNANDストリングNSを含む。NANDストリングNSの各々は、例えば8個のメモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)と、選択トランジスタST1、ST2とを含む。
【0046】
尚、メモリセルトランジスタMTの個数は8個に限られず、例えば、32個、48個、64個、96個でもよい。例えばカットオフ特性を高めるために、選択トランジスタST1、ST2のそれぞれが、単一ではなく複数のトランジスタにより構成されていてもよい。さらに、メモリセルトランジスタMTと選択トランジスタST1、ST2との間には、ダミーセルトランジスタが設けられていてもよい。
【0047】
メモリセルトランジスタMTは、選択トランジスタST1と選択トランジスタST2との間において、直列接続されるようにして配置されている。一端側のメモリセルトランジスタMT7が、選択トランジスタST1のソースに接続され、他端側のメモリセルトランジスタMT0が、選択トランジスタST2のドレインに接続されている。
【0048】
ストリングユニットSU0~SU3の各々の選択トランジスタST1のゲートは、それぞれセレクトゲート線SGD0~SGD3に共通接続されている。選択トランジスタST2のゲートは、同一のブロックBLK内にある複数のストリングユニットSU間で同一のセレクトゲート線SGSに共通接続されている。同一のブロックBLK内にあるメモリセルトランジスタMT0~MT7のゲートは、それぞれワード線WL0~WL7に共通接続される。すなわち、ワード線WL0~WL7及びセレクトゲート線SGSは、同一ブロックBLK内の複数のストリングユニットSU0~SU3間で共通となっているのに対し、セレクトゲート線SGDは、同一ブロックBLK内であってもストリングユニットSU0~SU3毎に個別に設けられている。
【0049】
メモリセルアレイ110には、m本のビット線BL(BL0、BL1、・・・、BL(m-1))が設けられている。上記の「m」は、1つのストリングユニットSUに含まれるNANDストリングNSの本数を表す整数である。それぞれのNANDストリングNSのうち、選択トランジスタST1のドレインは、対応するビット線BLに接続されている。選択トランジスタST2のソースは、ソース線SLに接続されている。ソース線SLは、ブロックBLKが有する複数の選択トランジスタST2のソースに対し、共通接続されている。
【0050】
同一のブロックBLK内にある複数のメモリセルトランジスタMTに記憶されているデータは、一括して消去される。一方、データの読み出し及び書き込みは、1つのワード線WLに接続され、かつ1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルトランジスタMTに対して一括して行われる。それぞれのメモリセルは、上位ビット、中位ビット、及び下位ビットからなる3ビットのデータを保持することができる。
【0051】
つまり、本実施形態に係る半導体記憶装置2は、メモリセルトランジスタMTへのデータの書き込み方式として、1つのメモリセルトランジスタMTに3ビットデータを記憶させるTLC方式を採用している。このような態様に換えて、メモリセルトランジスタMTへのデータの書き込み方式としては、1つのメモリセルトランジスタMTに2ビットデータを記憶させるMLC方式等を採用してもよい。1つのメモリセルトランジスタMTに記憶されるデータのビット数は特に限定されない。
【0052】
尚、以下の説明では、1つのワード線WLに接続され、かつ1つのストリングユニットSUに属する複数のメモリセルトランジスタMTが記憶する1ビットデータの集合のことを「ページ」と称する。図4では、上記のような複数のメモリセルトランジスタMTからなる集合の一つに、符号「MG」が付してある。
【0053】
本実施形態のように、1つのメモリセルトランジスタMTに3ビットのデータが記憶される場合、1つのストリングユニットSU内で共通のワード線WLに接続された複数のメモリセルトランジスタMTの集合は、3ページ分のデータを記憶することができる。これらのうち、下位ビットデータの集合からなるページのことを以下では「下位ページ」とも称し、下位ページのデータのことを以下では「下位ページデータ」とも称する。同様に、中位ビットデータの集合からなるページのことを以下では「中位ページ」とも称し、中位ページのデータのことを以下では「中位ページデータ」とも称する。上位ビットデータの集合からなるページのことを以下では「上位ページ」とも称し、上位ページのデータのことを以下では「上位ページデータ」とも称する。
【0054】
図5には、メモリセルアレイ110及びその周辺の構成が、模式的な断面図として示されている。同図に示されるように、メモリセルアレイ110では、導電体層320の上に複数のNANDストリングNSが形成されている。導電体層320は、埋め込みソース線(BSL)とも称されるものであり、図4のソース線SLに該当するものである。
【0055】
導電体層320の上方には、セレクトゲート線SGSとして機能する複数の配線層333、ワード線WLとして機能する複数の配線層332、及びセレクトゲート線SGDとして機能する複数の配線層331が積層されている。積層された配線層333、332、331のそれぞれの間には、不図示の絶縁層が配置されている。
【0056】
メモリセルアレイ110には複数のメモリホール334が形成されている。メモリホール334は、上記の配線層333、332、331、及びこれらの間にある不図示の絶縁層を上下方向に貫通しており、且つ導電体層320に達する穴である。メモリホール334の側面には、ブロック絶縁膜335、電荷蓄積層336、及びゲート絶縁膜337が順次形成され、更にその内側に導電体柱338が埋め込まれている。導電体柱338は、例えばポリシリコンからなり、NANDストリングNSに含まれるメモリセルトランジスタMT並びに選択トランジスタST1及びST2の動作時にチャネルが形成される領域として機能する。このように、メモリホール334の内側には、ブロック絶縁膜335、電荷蓄積層336、ゲート絶縁膜337、及び導電体柱338からなる柱状体が形成されている。
【0057】
メモリホール334の内側に形成された柱状体のうち、積層された配線層333、332、331のそれぞれと交差している各部分は、トランジスタとして機能する。これら複数のトランジスタのうち、配線層331と交差している部分にあるものは、選択トランジスタST1として機能する。複数のトランジスタのうち、配線層332と交差している部分にあるものは、メモリセルトランジスタMT(MT0~MT7)として機能する。複数のトランジスタのうち、配線層333と交差している部分にあるものは、選択トランジスタST2として機能する。このような構成により、各メモリホール334の内側に形成された柱状体のそれぞれは、図4を参照しながら説明したNANDストリングNSとして機能する。柱状体の内側にある導電体柱338は、メモリセルトランジスタMTや選択トランジスタST1、ST2のチャンネルとして機能する部分である。
【0058】
導電体柱338よりも上側には、ビット線BLとして機能する配線層が形成される。導電体柱338の上端には、導電体柱338とビット線BLとを接続するコンタクトプラグ339が形成されている。
【0059】
図5に示される構成と同様の構成が、図5の紙面の奥行き方向に沿って複数配列されている。図5の紙面の奥行き方向に沿って一列に並ぶ複数のNANDストリングNSの集合によって、1つのストリングユニットSUが形成されている。
【0060】
本実施形態に係る半導体記憶装置2では、メモリセルアレイ110の下方側、すなわち、メモリセルアレイ110と半導体基板300との間となる位置に、周辺回路PERが設けられている。周辺回路PERは、メモリセルアレイ110におけるデータの書き込み動作や読み出し動作、及び消去動作等を実現するために設けられた回路である。図3に示されるセンスアンプ120、ロウデコーダ130、及び電圧生成回路43等は、周辺回路PERの一部となっている。周辺回路PERは、各種のトランジスタやRC回路等を含んでいる。図5に示される例では、半導体基板300上に形成されたトランジスタTRと、メモリセルアレイ110の上方側にあるビット線BLとの間が、コンタクト924を介して電気的に接続されている。
【0061】
尚、このような構成に換えて、半導体基板300の上に直接メモリセルアレイ110が設けられている構成としてもよい。この場合、半導体基板300のp型ウェル領域が、ソース線SLとして機能することとなる。また、周辺回路PERは、半導体基板300の表面に沿ってメモリセルアレイ110と隣り合う位置に設けられることとなる。
【0062】
図3に戻って説明を続ける。先に述べたように、プレーンPL1には、上記のメモリセルアレイ110に加えて、センスアンプ120とロウデコーダ130とが設けられている。
【0063】
センスアンプ120は、ビット線BLに印加される電圧を調整したり、ビット線BLの電圧を読み出してデータに変換したりするための回路である。センスアンプ120は、データの読み出し時には、メモリセルトランジスタMTからビット線BLに読み出された読み出しデータを取得し、取得した読み出しデータを入出力回路21に転送する。センスアンプ120は、データの書き込み時には、ビット線BLを介して書き込まれる書き込みデータをメモリセルトランジスタMTに転送する。
【0064】
ロウデコーダ130は、ワード線WLのそれぞれに電圧を印加するための、不図示のスイッチ群として構成された回路である。ロウデコーダ130は、レジスタ42からブロックアドレス及びロウアドレスを受け取り、当該ブロックアドレスに基づいて対応するブロックBLKを選択するとともに、当該ロウアドレスに基づいて対応するワード線WLを選択する。ロウデコーダ130は、選択されたワード線WLに対して電圧生成回路43からの電圧が印加されるよう、上記のスイッチ群の開閉を切り換える。
【0065】
図6には、センスアンプ120の構成例が示されている。センスアンプ120は、複数のビット線BLのそれぞれに関連付けられた複数のセンスアンプユニットSAUを含む。図6には、これらのうちの1つのセンスアンプユニットSAUの詳細な回路構成が抽出して示されている。
【0066】
図6に示されるように、センスアンプユニットSAUは、センスアンプ部SAと、ラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、XDLとを含んでいる。センスアンプ部SA、ラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、XDLは、互いにデータを送受信可能なように、バスLBUSによって接続されている。
【0067】
センスアンプ部SAは、例えば読み出し動作において、対応するビット線BLに読み出されたデータをセンスして、読み出したデータが“0”であるか“1”であるかを判定する。センスアンプ部SAは、例えば、pチャネルMOSトランジスタであるトランジスタTR1と、nチャネルMOSトランジスタであるトランジスタTR2~TR9と、キャパシタC10とを含んでいる。
【0068】
トランジスタTR1の一端は電源線に接続されており、トランジスタTR1の他端はトランジスタTR2に接続されている。トランジスタTR1のゲートは、ラッチ回路SDL内のノードINVに接続されている。トランジスタTR2の一端はトランジスタTR1に接続されており、トランジスタTR2の他端はノードCOMに接続されている。トランジスタTR2のゲートには信号BLXが入力される。トランジスタTR3の一端はノードCOMに接続されており、トランジスタTR3の他端はトランジスタTR4に接続されている。トランジスタTR3のゲートには信号BLCが入力される。トランジスタTR4は、高耐圧のMOSトランジスタである。トランジスタTR4の一端はトランジスタTR3に接続されている。トランジスタTR4の他端は対応するビット線BLに接続されている。トランジスタTR4のゲートには信号BLSが入力される。
【0069】
トランジスタTR5の一端はノードCOMに接続されており、トランジスタTR5の他端はノードSRCに接続されている。トランジスタTR5のゲートはノードINVに接続されている。トランジスタTR6の一端は、トランジスタTR1とトランジスタTR2との間に接続されており、トランジスタTR6の他端はノードSENに接続されている。トランジスタTR6のゲートには信号HLLが入力される。トランジスタTR7の一端はノードSENに接続されており、トランジスタTR7の他端はノードCOMに接続されている。トランジスタTR7のゲートには信号XXLが入力される。
【0070】
トランジスタTR8の一端は接地されており、トランジスタTR8の他端はトランジスタTR9に接続されている。トランジスタTR8のゲートはノードSENに接続されている。トランジスタTR9の一端はトランジスタTR8に接続されており、トランジスタTR9の他端はバスLBUSに接続されている。トランジスタTR9のゲートには信号STBが入力される。キャパシタC10の一端はノードSENに接続されている。キャパシタC10の他端にはクロックCLKが入力される。
【0071】
信号BLX、BLC、BLS、HLL、XXL、及びSTBは、例えばシーケンサ41によって生成される。また、トランジスタTR1の一端に接続された電源線には、例えば半導体記憶装置2の内部電源電圧である電圧Vddが印加され、ノードSRCには、例えば半導体記憶装置2の接地電圧である電圧Vssが印加される。
【0072】
ラッチ回路SDL、ADL、BDL、CDL、XDLは、読み出しデータを一時的に保持する。ラッチ回路XDLは入出力回路21に接続され、センスアンプユニットSAUと入出力回路21との間のデータの入出力に使用される。読み出しデータは、ラッチ回路XDLに保持されることで、入出力回路21からメモリコントローラ1へと出力可能な状態となる。例えば、センスアンプユニットSAUによって読み出されたデータは、ラッチ回路ADL、BDL、CDLのいずれかに格納された後、ラッチ回路XDLへ転送され、ラッチ回路XDLから入出力回路21に出力される。また、例えば、メモリコントローラ1から入出力回路21に入力されたデータは、入出力回路21からラッチ回路XDLへ転送され、ラッチ回路XDLからラッチ回路ADL、BDL、CDLのいずれかに転送される。
【0073】
ラッチ回路SDLは、例えば、インバータIV11、IV12と、nチャネルMOSトランジスタであるトランジスタTR13、TR14とを含んでいる。インバータIV11の入力ノードはノードLATに接続されている。インバータIV11の出力ノードはノードINVに接続されている。インバータIV12の入力ノードはノードINVに接続されている。インバータIV12の出力ノードはノードLATに接続されている。トランジスタTR13の一端はノードINVに接続されており、トランジスタTR13の他端はバスLBUSに接続されている。トランジスタTR13のゲートには信号STIが入力される。トランジスタTR13の一端はノードLATに接続されており、トランジスタTR14の他端はバスLBUSに接続されている。トランジスタTR14のゲートには信号STLが入力される。例えば、ノードLATにおいて保持されるデータがラッチ回路SDLに保持されるデータに相当する。また、ノードINVにおいて保持されるデータは、ノードLATに保持されるデータの反転データに相当する。ラッチ回路ADL、BDL、CDL、XDLの回路構成は、例えば、ラッチ回路SDLの回路構成と同様のため、説明を省略する。
【0074】
図7は、メモリセルトランジスタMTの閾値分布等を模式的に示す図である。図7の中段にある図は、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧(横軸)と、メモリセルトランジスタMTの個数(縦軸)との対応関係を表している。
【0075】
本実施形態のようにTLC方式を採用した場合においては、複数のメモリセルトランジスタMTは、図7の中段に示されるように、8つの閾値分布を形成する。この8個の閾値分布(書き込みレベル)のことを、閾値電圧の低い方から順に“ER”レベル、“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、“G”レベルと称する。
【0076】
図7の上段にある表は、閾値電圧の上記各レベルのそれぞれに対応して、割り当てられるデータの例を表している。同表に示されるように、“ER”レベル、“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、及び“G”レベルには、例えば以下に示すような、それぞれ異なる3ビットデータが割り当てられている。
“ER”レベル:“111”(“下位ビット/中位ビット/上位ビット”)
“A”レベル:“011”
“B”レベル:“001”
“C”レベル:“000”
“D”レベル:“010”
“E”レベル:“110”
“F”レベル:“100”
“G”レベル:“101”
【0077】
このように、本実施形態におけるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧は、予め設定された8つの候補レベルのうちの1つをとり得るものとなっており、それぞれの候補レベルに対応して、上記のようにデータが割り当てられている。
【0078】
互いに隣り合う一対の閾値分布の間には、それぞれ書き込み動作で使用されるベリファイ電圧が設定される。具体的には、“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、及び“G”レベルにそれぞれ対応して、ベリファイ電圧VfyA、VfyB、VfyC、VfyD、VfyE、VfyF、及びVfyGが設定される。
【0079】
ベリファイ電圧VfyAは、“ER”レベルにおける最大の閾値電圧と“A”レベルにおける最小の閾値電圧との間に設定される。ワード線WLにベリファイ電圧VfyAが印加されると、当該ワード線WLに繋がるメモリセルトランジスタMTのうち、閾値電圧が“ER”レベルに含まれるメモリセルトランジスタMTがオン状態になり、閾値電圧が“A”レベル以上の閾値分布に含まれるメモリセルトランジスタMTがオフ状態になる。
【0080】
その他のベリファイ電圧VfyB、VfyC、VfyD、VfyE、VfyF、及びVfyGも、上記のベリファイ電圧VfyAと同様に設定される。ベリファイ電圧VfyBは、“A”レベルと“B”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧VfyCは、“B”レベルと“C”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧VfyDは、“C”レベルと“D”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧VfyEは、“D”レベルと“E”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧VfyFは、“E”レベルと“F”レベルとの間に設定され、ベリファイ電圧VfyGは、“F”レベルと“G”レベルとの間に設定される。
【0081】
例えば、ベリファイ電圧VfyAは0.8Vに、ベリファイ電圧VfyBは1.6Vに、ベリファイ電圧VfyCは2.4Vに、ベリファイ電圧VfyDは3.1Vに、ベリファイ電圧VfyEは3.8Vに、ベリファイ電圧VfyFは4.6Vに、ベリファイ電圧VfyGは5.6Vに、それぞれ設定してもよい。しかし、これに限定されることなく、ベリファイ電圧VfyA、VfyB、VfyC、VfyD、VfyE、VfyF、及びVfyGは、例えば、0V~7.0Vの範囲で、適宜、段階的に設定してもよい。
【0082】
また、隣り合う閾値分布の間には、それぞれ読み出し動作で使用される読み出し電圧が設定される。「読み出し電圧」とは、読み出し動作時において、読み出し対象となるメモリセルトランジスタMTに繋がるワード線WL、すなわち選択ワード線に対し印加される電圧である。読み出し動作では、読み出し対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が、印加された読み出し電圧よりも高いか否かの判定結果に基づいてデータが決定される。
【0083】
図7の下段の図において模式的に示されるように、具体的には、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が“ER”レベルに含まれるのか“A”レベル以上に含まれるのかを判定する読み出し電圧VrAは、“ER”レベルにおける最大の閾値電圧と“A”レベルにおける最小の閾値電圧との間に設定される。
【0084】
その他の読み出し電圧VrB、VrC、VrD、VrE、VrF、及びVrGも、上記の読み出し電圧VrAと同様に設定される。読み出し電圧VrBは、“A”レベルと“B”レベルとの間に設定され、読み出し電圧VrCは、“B”レベルと“C”レベルとの間に設定され、読み出し電圧VrDは、“C”レベルと“D”レベルとの間に設定され、読み出し電圧VrEは、“D”レベルと“E”レベルとの間に設定され、読み出し電圧VrFは、“E”レベルと“F”レベルとの間に設定され、読み出し電圧VrGは、“F”レベルと“G”レベルとの間に設定される。
【0085】
そして、最も高い閾値分布(例えば“G”レベル)の最大の閾値電圧よりも高い電圧に、読み出しパス電圧VPASS_READが設定される。読み出しパス電圧VPASS_READがゲートに印加されたメモリセルトランジスタMTは、記憶するデータに依らずにオン状態になる。
【0086】
尚、ベリファイ電圧VfyA、VfyB、VfyC、VfyD、VfyE、VfyF、及びVfyGは、例えば、読み出し電圧VrA、VrB、VrC、VrD、VrE、VrF、及びVrGよりもそれぞれ高い電圧に設定される。つまり、ベリファイ電圧VfyA、VfyB、VfyC、VfyD、VfyE、VfyF、及びVfyGは、それぞれ“A”レベル、“B”レベル、“C”レベル、“D”レベル、“E”レベル、“F”レベル、及び“G”レベルの閾値分布の下裾近傍に設定される。
【0087】
以上に説明したようなデータの割り付けが適用された場合、読み出し動作において下位ビットの1ページデータ(下位ページデータ)は、読み出し電圧VrA及びVrEを用いた読み出し結果によって確定させることができる。中位ビットの1ページデータ(中位ページデータ)は、読み出し電圧VrB、VrD、及びVrFを用いた読み出し結果によって確定させることができる。上位ビットの1ページデータ(上位ページデータ)は、読み出し電圧VrC及びVrGを用いた読み出し結果によって確定させることができる。このように、下位ページデータ、中位ページデータ、及び上位ページデータがそれぞれ、2回、3回、及び2回の読み出し動作によって確定するため、以上のようなデータの割り付けは“2-3-2コード”と称される。
【0088】
尚、以上で説明したようなデータの割り付けはあくまで一例であり、実際のデータの割り付けはこれに限定されない。例えば、2ビット又は4ビット以上のデータが1つのメモリセルトランジスタMTに記憶されてもよい。また、データが割り付けられる閾値分布の数(つまり、上記の「候補レベル」の数)は7以下であってもよく、9以上であってもよい。例えば、“2-3-2コード”に代えて、“1-3-3コード”又は“1-2-4コード”を用いてもよい。また、例えば、下位ビット/中位ビット/上位ビットの割り当てを変更してもよい。より具体的には、例えば、“2-3-2コード”において、下位ページデータを読み出し電圧VrC及びVrBを用いた読み出し結果によって確定させ、中位ページデータを読み出し電圧VrB、VrD、及びVrFを用いた読み出し結果によって確定させ、上位ページデータを読み出し電圧VrA及びVrEを用いた読み出し結果によって確定させるようにデータを割り当ててもよい。すなわち、例えば、下位ビットと上位ビットの割り当てを入れ換えてもよい。この場合、閾値電圧の各レベルのそれぞれに対応して、以下のようにデータが割り当てられる。
“ER”レベル:“111”(“下位ビット/中位ビット/上位ビット”)
“A”レベル:“110”
“B”レベル:“100”
“C”レベル:“000”
“D”レベル:“010”
“E”レベル:“011”
“F”レベル:“001”
“G”レベル:“101”
【0089】
半導体記憶装置2において行われる書き込み動作について説明する。書き込み動作では、プログラム動作及びベリファイ動作が行われる。「プログラム動作」とは、一部のメモリセルトランジスタMTの電荷蓄積層336に電子を注入することにより、当該メモリセルトランジスタMTの閾値電圧を変化させる動作のことである。「ベリファイ動作」とは、上記のプログラム動作の後、データを読み出すことで、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧がターゲットレベルまで達したか否かを判定し検証する動作である。閾値電圧がターゲットレベルまで達したメモリセルトランジスタMTは、その後、書き込み禁止とされる。ここでいう「ターゲットレベル」とは、先に述べた8つの候補レベルの中から、目標のレベルとして設定された特定の候補レベルのことである。
【0090】
書き込み動作では、以上のプログラム動作及びベリファイ動作が繰り返し実行される。これにより、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧がターゲットレベルまで上昇する。
【0091】
複数のワード線WLのうち、書き込み動作の対象(つまり、閾値電圧を変化させる対象)であるメモリセルトランジスタMTに繋がっているワード線WLのことを、以下では「選択ワード線」とも称する。また、書き込み動作の対象ではないメモリセルトランジスタMTに繋がっているワード線WLのことを、以下では「非選択ワード線」とも称する。書き込み対象であるメモリセルトランジスタMTのことを、以下では「選択メモリトランジスタ」とも称する。
【0092】
複数のストリングユニットSUのうち、書き込み動作の対象となるストリングユニットSUのことを、以下では「選択ストリングユニット」とも称する。また、書き込み動作の対象とはならないストリングユニットSUのことを、以下では「非選択ストリングユニット」とも称する。
【0093】
選択ストリングユニットに含まれる各NANDストリングNSの導電体柱338、すなわち、選択ストリングユニットにおける各チャンネルのことを、以下では「選択チャンネル」とも称する。また、非選択ストリングユニットに含まれる各NANDストリングNSの導電体柱338、すなわち、非選択ストリングユニットにおける各チャンネルのことを、以下では「非選択チャンネル」とも称する。
【0094】
複数のビット線BLのうち、選択メモリトランジスタに繋がっているビット線BLのことを、以下では「選択ビット線」とも称する。また、選択メモリトランジスタに繋がっていないビット線BLのことを、以下では「非選択ビット線」とも称する。
【0095】
プログラム動作について説明する。以下では、プログラム動作の対象がプレーンPL1である場合の例について説明するが、プレーンPL2の場合も以下と同様である。図8は、プログラム動作時における各配線の電位変化を示している。プログラム動作では、センスアンプ120が、プログラムデータに対応して各ビット線BLの電位を変化させる。プログラム対象の(閾値電圧を上昇させるべき)メモリセルトランジスタMTに繋がるビット線BLには、“L”レベルとして例えば接地電圧Vss(0V)が印加される。プログラム対象ではない(閾値電圧を維持させるべき)メモリセルトランジスタMTに繋がるビット線BLには、“H”レベルとして、例えば2.5Vが印加される。前者のビット線BLは、図8においては「BL(0)」と表記されている。後者のビット線BLは、図8においては「BL(1)」と表記されている。
【0096】
ロウデコーダ130は、書き込み動作の対象としていずれかのブロックBLKを選択し、更にいずれかのストリングユニットSUを選択する。より具体的には、選択されたストリングユニットSUにおけるセレクトゲート線SGD(選択セレクトゲート線SGDsel)には、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば5Vが印加される。これにより、選択トランジスタST1はオン状態となる。他方で、セレクトゲート線SGSには、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧Vssが印加される。これにより、選択トランジスタST2はオフ状態となる。
【0097】
また、選択ブロックBLKにおける非選択ストリングユニットSUのセレクトゲート線SGD(非選択セレクトゲート線SGDusel)には、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧5Vが印加される。これにより、選択トランジスタST1がオン状態となる。なお、各ブロックBLKに含まれるストリングユニットSUにおいて、セレクトゲート線SGSは共通に接続されている。従って、非選択ストリングユニットSUにおいても、選択トランジスタST2はオフ状態となる。
【0098】
更に、非選択ブロックBLKにおけるセレクトゲート線SGD及びセレクトゲート線SGSには、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧Vssが印加される。これにより、選択トランジスタST1及び選択トランジスタST2はオフ状態となる。
【0099】
ソース線SLは、セレクトゲート線SGSの電位よりも高い電位とされる。当該電位は、例えば1Vである。
【0100】
その後、選択ブロックBLKにおける選択セレクトゲート線SGDselの電位を、例えば2.5Vとする。この電位は、上記の例で0Vが与えられたビット線BL(0)に対応する選択トランジスタST1はオンさせるが、2.5Vが与えられたビット線BL(1)に対応する選択トランジスタST1はカットオフさせる電圧である。これにより、選択ストリングユニットSUにおいては、ビット線BL(0)に対応する選択トランジスタST1はオンされ、2.5Vが与えられたビット線BL(1)に対応する選択トランジスタST1はカットオフされる。一方で、非選択セレクトゲート線SGDuselの電位を、例えば電圧Vssとする。これにより、非選択ストリングユニットSUにおいては、ビット線BL(0)及びビット線BL(1)の電位に関わらず、選択トランジスタST1はカットオフされる。
【0101】
そしてロウデコーダ130は、選択ブロックBLKにおいて、書き込み動作の対象としていずれかのワード線WLを選択する。書き込み動作の対象となるワード線WL(選択ワード線WLsel)に、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧VPGMが印加される。一方で、その他のワード線WL(非選択ワード線WLusel)に、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧VPASS_PGMが印加される。電圧VPGMは、トンネル現象により電子を電荷蓄積層336に注入するための高電圧である。電圧VPASS_PGMは、ワード線WLに繋がるメモリセルトランジスタMTをONとする一方で、閾定電圧は変化させない程度の電圧である。VPGMはVPASS_PGMよりも高い電圧である。
【0102】
プログラム対象のビット線BL(0)に対応するNANDストリングNSでは、選択トランジスタST1がオン状態となる。そのため、選択ワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMTのチャネル電位は0Vとなる。制御ゲートとチャネルとの間の電位差が大きくなり、その結果、電子が電荷蓄積層336に注入されるので、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧が上昇される。
【0103】
プログラム対象ではないビット線BL(1)に対応するNANDストリングNSでは、選択トランジスタST1がカットオフ状態となる。そのため、選択ワード線WLselに接続されたメモリセルトランジスタMTのチャネルは電気的にフローティングとなり、ワード線WL等との容量カップリングによりチャネル電位は電圧VPGM近くまで上昇される。制御ゲートとチャネルとの間の電位差が小さくなり、その結果、電子は電荷蓄積層336に注入されないので、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧は維持される。正確にいうと、閾値分布レベルがより高い分布に遷移するほどには、閾値電圧は変動しない。
【0104】
読み出し動作について説明する。以下では、読み出し動作の対象がプレーンPL1である場合の例について説明するが、プレーンPL2の場合も以下と同様である。プログラム動作に続いて行われるベリファイ動作は、以下に説明する読み出し動作と同じである。図9は、読み出し動作時における各配線の電位変化を示している。読み出し動作では、読み出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMT、を含むNANDストリングNSが選択される。あるいは、読み出し動作の対象となるページを含むストリングユニットSUが選択される。
【0105】
まず、選択セレクトゲート線SGDsel、非選択セレクトゲート線SGDusel及びセレクトゲート線SGSには、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば5Vが印加される。これにより、選択ブロックBLKに含まれる選択トランジスタST1及び選択トランジスタST2はオン状態となる。また、選択ワード線WLsel及び非選択ワード線には、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば読み出しパス電圧VPASS_READが印加される。読み出しパス電圧VPASS_READは、メモリセルトランジスタMTの閾値電圧にかかわらず、メモリセルトランジスタMTをONとすることができ、かつ、閾定電圧は変化させない程度の電圧である。これにより、選択ストリングユニットSUであるか非選択ストリングユニットSUであるかにかかわらず、選択ブロックBLKに含まれる全てのNANDストリングNSにおいて、電流が導通する。
【0106】
次に、読み出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMTに繋がるワード線WL(選択ワード線WLsel)に対し、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えばVrAのような読み出し電圧Vrが印加される。それ以外のワード線(非選択ワード線WLusel)に対しては、読み出しパス電圧VPASS_READが印加される。
【0107】
また、選択セレクトゲート線SGDsel及びセレクトゲート線SGSに印加する電圧は維持しつつ、非選択セレクトゲート線SGDuselには、電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して例えば電圧Vssが印加される。これにより、選択ストリングユニットSUに含まれる選択トランジスタST1はオン状態を維持するが、非選択ストリングユニットSUに含まれる選択トランジスタST1はオフ状態となる。なお、選択ストリングユニットSUであるか非選択ストリングユニットSUであるかにかかわらず、選択ブロックBLKに含まれる選択トランジスタST2はオン状態となる。
【0108】
これにより、非選択ストリングユニットSUに含まれるNANDストリングNSは、少なくとも選択トランジスタST1がオフ状態となるため、電流パスを形成しない。一方で、選択ストリングユニットSUに含まれるNANDストリングNSは、選択ワード線WLselに印加される読み出し電圧VrとメモリセルトランジスタMTの閾値電圧との関係に応じて、電流パスが形成され、または、形成されない。
【0109】
センスアンプ120は、選択されたNANDストリングNSに繋がるビット線BLに対して電圧を印加する。この状態で、センスアンプ120は、当該ビット線BLを流れる電流の値に基づいてデータの読み出しを行う。具体的には、読み出し動作の対象となるメモリセルトランジスタMTの閾値電圧が、当該メモリセルトランジスタMTに印加された読み出し電圧よりも高いか否かを判定する。尚、データの読み出しは、ビット線BLを流れる電流の値に基づくのではなく、ビット線BLにおける電位の時間変化に基づいて行われてもよい。後者の場合、ビット線BLは、予め所定の電位となるようにプリチャージされる。
【0110】
先に述べたベリファイ動作も、上記のような読み出し動作と同様に行われる。ベリファイ動作では、ベリファイの対象となるメモリセルトランジスタMTに繋がるワード線WLに対し、例えばVfyAのようなベリファイ電圧が電圧生成回路43からロウデコーダ130を介して印加されることとなる。
【0111】
なお、先に述べたプログラム動作の初期段階における選択セレクトゲート線SGDsel及び非選択セレクトゲート線SGDuselに5Vの電圧を印加する動作は、省略される場合がある。同様に、先に述べた読み出し動作(ベリファイ動作)の初期段階における非選択セレクトゲート線SGDuselに5Vの電圧を印加し選択ワード線WLselに読み出しパス電圧VPASS_READを印加する動作は、省略される場合がある。
【0112】
読み出し動作時において、半導体記憶装置2とメモリコントローラ1との間で送受信される具体的な信号の流れ等について説明する。以下では、読み出し動作の対象がプレーンPL1である場合の例について説明するが、プレーンPL2の場合も以下と同様である。
【0113】
図10には、本実施形態に係る構成において、半導体記憶装置2とメモリコントローラ1との間で送受信される各種の信号等の例が示されている。
【0114】
読み出し動作時においては、メモリコントローラ1から半導体記憶装置2に向けて、信号DQ<7:0>として、「05h」、複数の「ADD」、及び「E0h」からなる信号が順に入力される。「05h」は、メモリセルアレイ110からのデータの読み出し動作を実行させるためのコマンドである。「ADD」は、データの読み出し元となるアドレスを指定する信号である。「E0h」は、読み出し動作を開始させるためのコマンドでである。
【0115】
図10では、「E0h」が半導体記憶装置2に入力されたタイミングが時刻t0として示されている。時刻t0から所定期間が経過した時刻t1において、メモリコントローラ1は、リードイネーブル信号/RE、REのそれぞれのトグルを開始させる。先に述べたように、リードイネーブル信号/RE、REは、メモリコントローラ1が、半導体記憶装置2からデータを読み出すための信号であり、半導体記憶装置2の入出力用パッド群31に入力される。時刻t1以降は、リードイネーブル信号/REが、HレベルとLレベルとの間において交互に切り換えられる。
【0116】
外部のメモリコントローラ1から半導体記憶装置2に入力されるリードイネーブル信号REは、本実施形態における「第1トグル信号」に該当する。もう一方のリードイネーブル信号/REは、本実施形態における「参照信号」に該当する。尚、このような定義は便宜的なものであって、リードイネーブル信号/REが「第1トグル信号」に該当し、リードイネーブル信号REが「参照信号」に該当するものとみなしてもよい。先に述べたロジック制御回路22は、このようなリードイネーブル信号/RE、REのそれぞれを受信する機能を有するものであるから、本実施形態における「受信部」に該当する。
【0117】
半導体記憶装置2は、リードイネーブル信号/RE、REがHレベルとLレベルとの間で切り換わる毎に、信号DQ<7:0>として新たなデータを出力すると共に、データストローブ信号DQSをHレベルとLレベルとの間で切り換える。このように、半導体記憶装置2は、データストローブ信号DQSの立ち上がり、及び立ち下がりのそれぞれに対応してデータの出力を高速に行うものであり、「DDR SDRAMs」(Double data rate synchronous DRAMs)とも称されるものである。
【0118】
図10においては、信号DQ<7:0>として出力されるデータのそれぞれが「D」として示されている。また、最初のデータが出力され、データストローブ信号DQSが切り換わるタイミングが、時刻t2として示されている。メモリコントローラ1から入力されるリードイネーブル信号/REの切り換えと、半導体記憶装置2から出力されるデータストローブ信号DQSの切り換えと、の対応関係が、図10では点線の矢印で示されている。
【0119】
後に説明するように、データストローブ信号DQSは、メモリコントローラ1から入力されるリードイネーブル信号/RE、REに基づいて、半導体記憶装置2の内部で生成される信号であり、リードイネーブル信号/RE、REと概ね同じ周期で切り換わる信号となっている。
【0120】
尚、半導体記憶装置2からの読み出しデータの出力は、1つのデータを、偶数ビットからなるイーブンデータと、奇数ビットからなるオッドデータと、に分けた上で、それぞれを交互に出力することで行われる。図10において「D」と示されるそれぞれのデータは、イーブンデータ及びオッドデータのいずれかとして出力されるものである。
【0121】
メモリコントローラ1は、1つの読み出しデータを取得した後、データストローブ信号DQSが切り換わった後のタイミングで、次の読み出しデータを取得する。例えば、メモリコントローラ1は、データストローブ信号DQSが交互に切り換わる各タイミングの中間となるタイミング、のそれぞれにおいて読み出しデータを取得する。このように、メモリコントローラ1は、データストローブ信号DQSの切り換わりに同期した各タイミングで読み出しデータを取得することができる。
【0122】
このような読み出しデータの取得を実現するためには、データストローブ信号DQSがHレベルになっている期間の長さと、Lレベルになっている期間の長さとの比率、すなわちデューティ比が、予め設定された一定の比率(例えば50%)となっていることが好ましい。
【0123】
図11(A)には、HレベルとLレベルとの間で交互に切り換わるデータストローブ信号DQSの一例が示されている。同図の一点鎖線は、HレベルとLレベルとの中間を示すものである。図11(A)では、データストローブ信号DQSが中間レベルを上回っている期間が「TM1」と示されており、データストローブ信号DQSが中間レベルを下回っている期間が「TM2」と示されている。図11(A)の例では、TM1の長さとTM2の長さとが互いに等しくなっており、デューティ比は50%となっている。尚、デューティ比の目標値は、図11(A)の例のように50%であってもよいが、50%とは異なる所定の値であってもよい。
【0124】
尚、デューティ比の定義は、上記とは異なるものであってもよい。例えば、データストローブ信号DQSが立ち上がり始めてから立ち下がり始めるまでの期間をTM1とし、データストローブ信号DQSが立ち下がり始めてから再び立ち上がり始めるまでの期間をTM2とした上で、両者の比率をデューティ比と定義してもよい。
【0125】
データストローブ信号DQSは、先に述べたように、メモリコントローラ1からのリードイネーブル信号/RE、REに基づいて生成される。このため、データストローブ信号DQSのデューティ比の目標値が50%である場合には、元となるリードイネーブル信号/RE等のデューティ比も50%となっていることが好ましい。
【0126】
しかしながら、リードイネーブル信号/RE等のデューティ比が、仮に、メモリコントローラ1から発信される時点では50%であったとしても、当該信号が半導体記憶装置2に到達するまでの過程において、デューティ比が当初の値から変化してしまうことがある。この場合、生成されるデータストローブ信号DQSのデューティ比も、50%とは異なる値となってしまう。
【0127】
また、半導体記憶装置2の内部でデータストローブ信号DQSが生成される過程や、当該信号がロジック制御用パッド群32から出力されるまでの過程において、デューティ比が更に変化してしまうことがある。図11(B)には、上記のような様々な要因により、データストローブ信号DQSのデューティ比が50%よりも小さくなってしまった場合の例、すなわち、TM1がTM2よりも短くなってしまった場合の例が示されている。
【0128】
そこで、本実施形態に係る半導体記憶装置2は、データストローブ信号DQSのデューティ比を内部で補正し、目標値(例えば50%)に近づけるための回路を備えている。
【0129】
図12には、図3に示される半導体記憶装置2の一部の構成が模式的に描かれている。図12に示されるように、ロジック制御回路22は、受信回路50と、補正回路60と、を有している。
【0130】
受信回路50は、リードイネーブル信号/RE、REを受信し、これらに基づいて信号/RE_in、RE_inのそれぞれを生成し出力する部分である。信号/RE_inは、リードイネーブル信号/REがリードイネーブル信号REよりも高いレベルのときにHレベルとなり、それ以外のときにはLレベルとなる信号である。信号RE_inは、信号/RE_inの相補信号である。信号/RE_in、RE_inは、リードイネーブル信号/RE、RE(第1トグル信号)に同期して切り換わる信号、ということができ、本実施形態における「第2トグル信号」に該当する。これらのうち、信号RE_inは本実施形態における「第3トグル信号」にも該当し、信号/RE_inは本実施形態における「第4トグル信号」にも該当する。信号RE_in、/RE_inを生成するための、受信回路50の具体的な構成については後に説明する。
【0131】
補正回路60は、信号/RE_in、RE_inのそれぞれのデューティ比を補正し、補正後の信号/RE_c、RE_cを、後述の出力制御回路70に向けて出力する部分である。つまり、補正回路60は、第2トグル信号である信号/RE_in、RE_inのデューティを調整する部分であって、本実施形態における「調整部」に該当する。補正回路60の具体的な構成や補正方法については後に説明する。
【0132】
図12に示されるように、入出力回路21は、出力制御回路70と、出力回路80と、検出回路90と、を有している。
【0133】
出力制御回路70は、信号/RE_c、RE_cに基づいて、信号/DQS_in、
DQS_inを生成する部分である。信号/DQS_inは、信号/RE_cに同期して切り換わるトグル信号である。信号DQS_inは、信号/DQS_inの相補信号であり、信号RE_cに同期して切り換わるトグル信号である。信号/DQS_inは信号/RE_cと同一の信号であってもよく、信号DQS_inは信号RE_cと同一の信号であってもよい。信号/DQS_in、DQS_inのそれぞれのデューティ比は、信号/RE_c、RE_cのそれぞれのデューティ比(つまり、補正後のデューティ比)と概ね同じとなる。
【0134】
出力回路80は、信号/DQS_in、DQS_inに基づいて、データストローブ信号/DQS、DQSを生成する部分である。データストローブ信号/DQSは、信号/DQS_inに同期して切り換わるトグル信号である。データストローブ信号DQSは、データストローブ信号/DQSの相補信号であり、信号DQS_inに同期して切り換わるトグル信号である。データストローブ信号/DQSは信号/DQS_inと同一の信号であってもよく、データストローブ信号DQSは信号DQS_inと同一の信号であってもよい。データストローブ信号/DQS、DQSのそれぞれのデューティ比は、信号/DQS_in、DQS_inのそれぞれのデューティ比(つまり、補正後のデューティ比)と概ね同じとなる。
【0135】
データストローブ信号/DQS、DQSは、補正回路60によってデューティ比が調整された後の第2トグル信号、に基づいて生成された信号ということができる。データストローブ信号/DQS、DQSは、補正回路60によってデューティ比が調整された後の第2トグル信号そのものであってもよい。先に述べた入出力回路21は、このようなデータストローブ信号/DQS、DQSを外部へと送信する機能を有するものであるから、本実施形態における「送信部」に該当する。
【0136】
以上のように、半導体記憶装置2に入力されたリードイネーブル信号/RE、REは、受信回路50、補正回路60、出力制御回路70、及び出力回路80を順に経ながら、最終的にはデータストローブ信号/DQS、DQSとしてメモリコントローラ1へと出力される。その途中において、補正回路60において信号のデューティ比が補正される。
【0137】
検出回路90は、入力される信号DQS_inのデューティ比に応じた信号を生成し、当該信号をシーケンサ41へと出力するように構成された回路である。「信号DQS_inのデューティ比に応じた信号」とは、信号DQS_inのデューティ比が目標値よりも大きいか否かを二値で示す信号であってもよく、信号DQS_inのデューティ比を所定の分解能で数値化した信号であってもよい。尚、検出回路90に入力されるのは、信号DQS_inではなく信号/DQS_inであってもよい。このような検出回路90の構成としては、公知となっている種々の構成を採用することができるため、その具体的な図示や説明については省略する。
【0138】
シーケンサ41は、信号DQS_inのデューティ比に応じた信号を検出回路90から受信した後、デューティ比の補正に必要な信号を生成し、これを補正回路60へと出力する。当該信号のことを、以下では「補正コード」とも称する。補正回路60は、シーケンサ41から入力される補正コードに基づいて、信号/RE_in、RE_inのそれぞれのデューティ比を補正する。
【0139】
このように、半導体記憶装置2では、データストローブ信号/DQS、DQSの元となる信号が伝達される経路のうち、出力側に近い位置における信号DQS_inのデューティ比に基づいて補正コードを生成し、当該補正コードをフィードバックすることで、信号/RE_in等のデューティ比の補正を行う。これにより、データストローブ信号/DQS、DQSのデューティ比を所定の目標値に近づけることが可能となっている。
【0140】
図13を参照しながら、受信回路50の具体的な構成について説明する。同図に示されるように、受信回路50はコンパレータ51を有している。コンパレータ51は、第1入力部511と、第2入力部512と、第1出力部513と、第2出力部514と、を有している。
【0141】
第1入力部511は、第1トグル信号であるリードイネーブル信号REが入力される部分である。第1入力部511には、入出力用パッド群31からリードイネーブル信号REを送信するための信号線SL1が繋がっている。
【0142】
第2入力部512は、参照信号であるリードイネーブル信号/REが入力される部分である。第2入力部512には、入出力用パッド群31からリードイネーブル信号/REを送信するための信号線SL2が繋がっている。
【0143】
第1出力部513は、第3トグル信号である信号RE_inを出力する部分である。第1出力部513には、出力制御回路70に向けて信号RE_inを送信するための信号線SL3が繋がっている。
【0144】
第2出力部514は、第4トグル信号である信号/RE_inを出力する部分である。第1出力部513には、出力制御回路70に向けて信号/RE_inを送信するための信号線SL4が繋がっている。
【0145】
コンパレータ51は、入力されるリードイネーブル信号RE(第1トグル信号)がリードイネーブル信号/RE(参照信号)よりも高いレベルであるときに、信号/RE_in(第4トグル信号)をHレベルとして第2出力部514から出力すると共に、信号RE_in(第3トグル信号)をLレベルとして第1出力部513から出力する。それ以外のときには、コンパレータ51は、信号/RE_in(第4トグル信号)をLレベルとして第2出力部514から出力すると共に、信号RE_in(第3トグル信号)をHレベルとして第1出力部513から出力する。このように動作するコンパレータ51の具体的な構成としては、公知となっている構成を採用することができるので、その具体的な図示や説明については省略する。
【0146】
RE_in(第3トグル信号)及び信号/RE_in(第4トグル信号)は、いずれも、第1トグル信号と参照信号との大小関係に応じて切り換わる信号、ということができる。以上のような構成のコンパレータ51は、本実施形態における「第1コンパレータ」に該当する。
【0147】
引き続き図13を参照しながら、補正回路60の具体的な構成について説明する。同図に示されるように、補正回路60は、電流源61、62を有している。
【0148】
電流源61は、第1出力部513に対して電気的に接続された可変の電流源である。具体的には、電流源61は、信号線SL3と接地線Vssとの間に接続されており、接地線Vss側に向けて流れる電流の大きさを調整することができるように構成されている。電流源61から出力される電流の大きさ、すなわち、電流源61により信号線SL3から引き込まれる電流の大きさは、シーケンサ41から送信される補正コード(CODE_RE)によって調整される。
【0149】
補正コードは、例えば、図14の各行に示されるような3ビットのデジタル信号である。シーケンサ41は、図14のa乃至hのいずれかの行に示される補正コードを電流源61へと送信することで、電流源61により信号線SL3から引き込まれる電流の大きさを調整する。図14の例では、aの行の補正コードが送信された場合に、電流が最も小さくなり、hの行の補正コードが送信された場合に、電流が最も大きくなる。
【0150】
本実施形態における電流源61は、電流値の異なる3つの電流源(不図示)が互いに並列に接続されており、補正コードの上位ビット、中位ビット、及び下位ビットのそれぞれの値に応じて、各電流源のON/OFFが個別に切り換わるように構成されている。例えば、gの行の補正コードが送信されると、上位ビット及び中位ビットに対応する電流源がONとされ、下位ビットに対応する電流源がOFFとされる。このような方法により、図14の各行の補正コードに対応して、電流源61により信号線SL3から引き込まれる電流の大きさを段階的に調整することが可能となっている。
【0151】
電流源62は、第2出力部514に対して電気的に接続された可変の電流源である。具体的には、電流源62は、信号線SL4と接地線Vssとの間に接続されており、接地線Vss側に向けて流れる電流の大きさを調整することができるように構成されている。電流源62から出力される電流の大きさ、すなわち、電流源62により信号線SL4から引き込まれる電流の大きさは、シーケンサ41から送信される補正コード(CODE_/RE)によって調整される。当該補正コードは、図14に示される補正コード(CODE_RE)と同様のものであるが、電流源61に送信される補正コードとは独立の信号としてシーケンサ41から送信されるものである。電流源62の構成は、電流源61の構成と同じである。
【0152】
シーケンサ41は、電流源61により信号線SL3から引き込まれる電流の大きさと、電流源62により信号線SL4から引き込まれる電流の大きさとを、個別に調整することができる。その際、シーケンサ41は、各電流源61、62から引き込まれる電流の大きさを互いに異ならせることにより、信号/RE_c、RE_cのそれぞれのデューティ比を変化させることができる。
【0153】
その理由について説明する。図15の上段には、リードイネーブル信号/RE、REの時間変化の一例が示されている。図15の下段には、当該リードイネーブル信号/RE、REに基づいて生成された信号/RE_in、RE_inを、補正回路60で補正することにより生成された信号/RE_c、RE_cの時間変化の一例が示されている。
【0154】
図15では、リードイネーブル信号/REが中間レベルを上回っている期間が「TM11」と示されており、リードイネーブル信号/REが中間レベルを下回っている期間が「TM12」と示されている。また、信号RE_cが中間レベルを上回っている期間が「TM21」と示されており、信号RE_cが中間レベルを下回っている期間が「TM22」と示されている。
【0155】
図15の例においては、メモリコントローラ1から入力されるリードイネーブル信号/RE、REのデューティ比が目標の50%となっており、TM11の長さとTM12の長さとが互いに等しくなっている。コンパレータ51を含む回路に起因した信号の乱れが生じないと仮定すれば、出力される信号/RE_c、RE_cのデューティ比も目標の50%となる。具体的には、TM21は概ねTM11と同じ長さとなり、TM22は概ねTM12と同じ長さとなる結果、TM21の長さとTM22の長さとは互いに等しくなる。
【0156】
図15の例では、シーケンサ41は、電流源61及び電流源62に対し同一の補正コード(例えば、図4のdの行に示される補正コード)を送信している。電流源61により引き込まれる電流と、電流源62により引き込まれる電流と、が互いに等しくなっており、補正回路60による補正は行われていない。その結果、TM21の長さとTM22の長さとは互いに等しいままとなっている。
【0157】
図16には、リードイネーブル信号/RE等の時間変化の他の例が、図15と同様の方法により示されている。この例でも図15と同様に、メモリコントローラ1から入力されるリードイネーブル信号/RE、REのデューティ比が目標の50%となっており、TM11の長さとTM12の長さとが互いに等しくなっている。
【0158】
図16の例では、シーケンサ41は、電流源61及び電流源62に対し互いに異なる補正コードを送信している。具体的には、電流源61には図4のeの行に示される補正コードを送信し、電流源62には図4のcの行に示される補正コードを送信している。つまり、電流源61から引き込まれる電流は図15の場合よりも増加させる一方で、電流源62から引き込まれる電流は図15の場合よりも減少させている。
【0159】
この場合、図16に示されるように、TM21はTM11よりも短くなり、TM22はTM12よりも長くなる。その結果、TM21はTM22よりも短くなるので、信号RE_cのデューティ比は50%よりも小さくなり、これに基づいて生成されるデータストローブ信号DQSのデューティ比も、同様に50%よりも小さくなる。
【0160】
図17には、リードイネーブル信号/RE等の時間変化の更に他の例が、図15図16と同様の方法により示されている。この例でも図15と同様に、メモリコントローラ1から入力されるリードイネーブル信号/RE、REのデューティ比が目標の50%となっており、TM11の長さとTM12の長さとが互いに等しくなっている。
【0161】
図17の例でも、シーケンサ41は、電流源61及び電流源62に対し互いに異なる補正コードを送信している。具体的には、電流源61には図4のcの行に示される補正コードを送信し、電流源62には図4のeの行に示される補正コードを送信している。つまり、電流源61から引き込まれる電流は図15の場合よりも減少させる一方で、電流源62から引き込まれる電流は図15の場合よりも増加させている。
【0162】
この場合、図17に示されるように、TM21はTM11よりも長くなり、TM22はTM12よりも短くなる。その結果、TM21はTM22よりも長くなるので、信号RE_cのデューティ比は50%よりも大きくなり、これに基づいて生成されるデータストローブ信号DQSのデューティ比も、同様に50%よりも大きくなる。
【0163】
以上のように、シーケンサ41は、電流源61及び電流源62のそれぞれから引き込まれる電流の大きさを、補正コードによって個別に調整することで、信号RE_cやデータストローブ信号DQS等のデューティ比を変化させることができる。
【0164】
そこで、本実施形態では、シーケンサ41が、検出回路90から受信する信号に示されるデューティ比が目標値(例えば50%)に近づくように、電流源61及び電流源62のそれぞれに送信される各補正コードを調整することとしている。尚、検出回路90からシーケンサ41が受信する信号と、シーケンサ41から電流源61及び電流源62に送信される各補正コードと、の対応関係は、例えば予め作成されたマップ等に応じて適宜設定することとすればよい。
【0165】
尚、図13を見ると明らかなように、信号RE_in及び信号RE_cは、いずれも信号線SL3を介して伝達されるものであるから、実際には同一の信号である。ただし、上記においては説明の便宜上、シーケンサ41から出力される信号を信号RE_inとし、補正回路60から後段に向けて出力される信号を信号RE_cとして説明を行った。信号線SL4を介して伝達される信号/RE_in及び信号/RE_cについても同様である。
【0166】
ところで、信号RE_c等のデューティ比を調整するための補正回路60の構成としては、図24に示される比較例のような構成とすることも考えられる。この比較例に係る補正回路60は、4つのインバータINV1、INV2、INV3、INV4を有しており、これらが直列に接続されている。それぞれのインバータは、PMOS型のトランジスタTR11と、NMOS型のトランジスタTR12とを有している。インバータINV1は、電源線VddからトランジスタTR11側に電流を供給する可変の電流源65と、トランジスタTR12から接地線Vss側に電流を供給する可変の電流源66と、を有している。電流源65、66のそれぞれから出力される電流の大きさは、シーケンサ41から送信される補正コードにより個別に調整される。
【0167】
インバータINV1が有するトランジスタTR11、TR12の各ゲートには、信号線SL3を介して信号RE_inが入力される。シーケンサ41は、電流源65に補正コードを送信することで、インバータINV1から出力されるトグル信号の立ち上がり時間を調整することができる。また、シーケンサ41は、電流源66に補正コードを送信することで、インバータINV2から出力されるトグル信号の立ち下がり時間を調整することができる。尚、インバータINV3、INV4は、波形成形用の回路として機能する。最終段のINV4からは、補正後の信号RE_cが出力される。このような構成により、シーケンサ41は、インバータINV4から出力される信号RE_cのデューティ比を調整することができる。
【0168】
尚、この比較例では、信号線SL4にも図24と同様の補正回路60が設けられており、当該補正回路60によって信号/RE_cのデューティ比が調整される。
【0169】
この比較例のような構成では、補正回路60に複数のトランジスタTR11等を形成する必要があるため、半導体記憶装置2において補正回路60の占める面積が大きくなり、半導体記憶装置2が大型化してしまう。また、補正回路60における消費電流が増加してしまうという問題も生じ得る。
【0170】
これに対し、本実施形態に係る補正回路60では、コンパレータ51に繋がる信号線に電流源61、62を設けるだけでよく、追加のトランジスタを設ける必要がない。このため、半導体記憶装置2の大型化を抑制することができる。また、電流源61、62は、コンパレータ51から出力される信号、すなわち、増幅率が比較的小さい段階の信号に対して電流を加えるものであるから、出力される電流は小さく抑えられることとなる。これにより、消費電力の低減という効果も得ることができる。
【0171】
尚、本実施形態(図13)では、信号線SL3に電流源61が接続され、信号線SL4に電流源62が接続されている。このような態様に換えて、信号線SL3及び信号線SL4のうち、いずれか一方のみに電流源が接続されている構成であってもよい。このような構成でも、当該電流源から出力される電流を調整し、信号RE_cやデータストローブ信号DQS等のデューティ比を変化させることができる。
【0172】
第2実施形態について、図18を参照しながら説明する。本実施形態では、電流源の配置において第1実施形態と異なっている。
【0173】
本実施形態では、電流源61と同一の構成を有する電流源63が、信号線SL3と電源線Vddとの間に接続されており、信号線SL3側に向けて流れる電流の大きさを調整することができるように構成されている。電流源63から出力される電流の大きさ、すなわち、電流源63により信号線SL3側に引き込まれる電流の大きさは、シーケンサ41から送信される補正コード(CODE_RE)によって調整される。
【0174】
同様に、本実施形態では、電流源62と同一の構成を有する電流源64が、信号線SL4と電源線Vddとの間に接続されており、信号線SL4側に向けて流れる電流の大きさを調整することができるように構成されている。電流源64から出力される電流の大きさ、すなわち、電流源64により信号線SL4側に引き込まれる電流の大きさは、シーケンサ41から送信される補正コード(CODE_/RE)によって調整される。
【0175】
このような構成でも、シーケンサ41は、電流源63及び電流源64のそれぞれから引き込まれる電流の大きさを個別に調整し、信号RE_cやデータストローブ信号DQS等のデューティ比を変化させることができる。
【0176】
尚、本実施形態では、信号線SL3に電流源63が接続され、信号線SL4に電流源64が接続されている。このような態様に換えて、信号線SL3及び信号線SL4のうち、いずれか一方のみに電流源が接続されている構成であってもよい。このような構成でも、当該電流源から出力される電流を調整し、信号RE_cやデータストローブ信号DQS等のデューティ比を変化させることができる。
【0177】
第3実施形態について、図19を参照しながら説明する。本実施形態では、電流源の個数及び配置において第1実施形態と異なっている。
【0178】
本実施形態では、第1実施形態(図13)と同様の電流源61、62と、第2実施形態(図18)と同様の電流源63、64と、の両方が設けられている。シーケンサ41は、これら各電流のそれぞれから出力される電流の大きさを個別に調整しすることができる。このような態様でも、第1実施形態や第2実施形態と同様の効果を奏する。
【0179】
第4実施形態について、図20を参照しながら説明する。20に示されるように、本実施形態では、信号線SL3、SL4のうち補正回路60よりも後段側となる位置に、コンパレータ53が設けられている。
【0180】
コンパレータ53の構成は、コンパレータ51の構成と同じである、コンパレータ53は、コンパレータ51と同様に、第1入力部531と、第2入力部532と、第1出力部533と、第2出力部534と、を有している。
【0181】
第1入力部531には信号線SL3が接続されており、第2入力部532には信号線SL4が接続されている。第1出力部533には、出力制御回路70に向けて伸びる信号線SL5の端部が接続されており、第2出力部534には、出力制御回路70に向けて伸びる信号線SL6の端部が接続されている。
【0182】
コンパレータ53は、入力される信号RE_inが信号/RE_inよりも高いレベルであるときに、信号/RE_cをHレベルとして第2出力部534から出力すると共に、信号RE_cをLレベルとして第1出力部533から出力する。それ以外のときには、コンパレータ53は、信号/RE_cをLレベルとして第2出力部534から出力すると共に、信号RE_cをHレベルとして第1出力部533から出力する。
【0183】
コンパレータ53は、上記のように信号RE_in(第3トグル信号)及び信号/RE_in(第4トグル信号)が入力されるものである。本実施形態の電流源61、62は、いずれも、コンパレータ51とコンパレータ53との間を繋ぐ信号線SL3、SL4の途中に接続されている。コンパレータ53は、本実施形態における「第2コンパレータ」に該当する。このようなコンパレータ53を備える構成であっても、第1実施形態等で説明したものと同様の効果を奏する。尚、第2実施形態(図18)や第3実施形態(図19)の構成に、コンパレータ53を設ける構成としてもよい。
【0184】
第5実施形態について、図21を参照しながら説明する。図21に示されるように、本実施形態では、受信回路50に2つのコンパレータ51、52が設けられており、これらが直列に接続されている。
【0185】
コンパレータ52の構成は、コンパレータ51の構成と同じである、コンパレータ52は、コンパレータ51と同様に、第1入力部521と、第2入力部522と、第1出力部523と、第2出力部524と、を有している。
【0186】
第1入力部521には、第1出力部513から伸びる信号線が接続されており、第2入力部522には、第2出力部514から伸びる信号線が接続されている。第1出力部523には、補正回路60及び出力制御回路70に向けて伸びる信号線SL3の端部が接続されており、第2出力部524には、補正回路60及び出力制御回路70に向けて伸びる信号線SL4の端部が接続されている。このように、受信回路50が複数のコンパレータを有する構成であっても、第1実施形態等で説明したものと同様の効果を奏する。受信回路50が有するコンパレータの数は3以上であってもよい。尚、第2実施形態(図18)や第3実施形態(図19)、及び第4実施形態(図20)の構成に、受信回路50が複数のコンパレータを有する構成を組み合わせてもよい。
【0187】
第6実施形態について、図22を参照しながら説明する。本実施形態では、コンパレータ51の第2入力部512に入力される参照信号として、一定電圧の信号VREFが入力されている。信号VREFは、例えば、HレベルとLレベルとの中間のレベルの信号であり、半導体記憶装置2の内部、具体的には電圧生成回路43において生成される信号である。このような態様であっても、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。これまでに説明した各実施形態においても、本実施形態と同様に、参照信号として一定電圧の信号が入力されることとしてもよい。
【0188】
第7実施形態について、図23を参照しながら説明する。図23に示されるように、本実施形態では、リードイネーブル信号/RE、REが補正回路60に先ず入力され、補正回路60によって補正された後の信号が、受信回路50のコンパレータ51に入力される構成となっている。つまり、第1実施形態(図13)における受信回路50と補正回路60とを入れ換えた構成となっている。このような態様であっても、第1実施形態で説明したものと同様の効果を奏する。
【0189】
尚、本実施形態では、信号線SL1に電流源61が接続され、信号線SL2に電流源62が接続されている。このような態様に換えて、信号線SL1及び信号線SL2のうち、いずれか一方のみに電流源が接続されている構成であってもよい。このような構成でも、当該電流源から出力される電流を調整し、信号RE_cやデータストローブ信号DQS等のデューティ比を変化させることができる。
【0190】
以上の各実施形態で示されるように、可変の電流源61等は、コンパレータ51の第1入力部511、第2入力部512、第1出力部513、及び第2出力部514のうち、少なくともいずれか1つに対して接続されていればよい。
【0191】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0192】
2:半導体記憶装置、31:入出力用パッド群、51:コンパレータ、511:第1入力部、512:第2入力部、513:第1出力部、514:第2出力部、60:補正回路、61,62:電流源。
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