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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149620
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】蓄電装置の管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0645 20230101AFI20231005BHJP
【FI】
G06Q30/06 350
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058277
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠矢 正一
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聖師
(72)【発明者】
【氏名】笹田 基弘
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049BB68
(57)【要約】
【課題】蓄電装置をより有効に活用することが可能な管理システムを提供する。
【解決手段】実施形態の一例である管理システム1は、可搬式の蓄電装置10と、蓄電装置10に関する情報を記憶するサーバー20と、サーバー20と通信可能な情報端末30とを備える。サーバー20は、第1および第2のユーザーに関する第1の情報と、蓄電装置10の共同使用条件に関する第2の情報とを記憶し、情報端末30に対して蓄電装置10の共同使用のための情報を送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬式の蓄電装置と、
前記蓄電装置に関する情報を記憶するサーバーと、
前記サーバーと通信可能な端末装置と、
を備え、
前記端末装置には、前記蓄電装置を共同使用する第1および第2のユーザーがそれぞれ管理する第1および第2の端末装置が含まれ、
前記サーバーは、前記第1および前記第2のユーザーに関する第1の情報と、前記蓄電装置の共同使用条件に関する第2の情報とを記憶し、前記第1および前記第2の端末装置に対して前記蓄電装置の共同使用のための情報を送信する、蓄電装置の管理システム。
【請求項2】
前記サーバーは、前記第1および前記第2の情報を照合して、前記蓄電装置を共同使用するユーザーのマッチングを行う、請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記第1のユーザーは、前記蓄電装置の貸与者であり、前記第2のユーザーは、前記蓄電装置の借用者であり、
前記サーバーは、前記第1のユーザーが前記第2のユーザーの貸出要求に対応できない場合に、前記第1のユーザーとは別のユーザーに対し、前記蓄電装置の貸与を依頼する情報を送信する、請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記第1のユーザーは、前記蓄電装置の貸与者であり、前記第2のユーザーは、前記蓄電装置の借用者であり、
前記サーバーは、前記第1のユーザーにおいて前記蓄電装置の余剰分がある場合に、前記第2のユーザーとは別のユーザーに対し、当該余剰分の借用を依頼する情報を送信する、請求項2に記載の管理システム。
【請求項5】
前記第1のユーザーは、前記蓄電装置の貸与者であり、前記第2のユーザーは、前記蓄電装置の借用者であり、
前記サーバーは、前記蓄電装置の容量が、前記第2のユーザーが求める所定容量を下回る期間が所定期間継続した場合に、前記第1の端末装置に対して前記蓄電装置の充電を促す情報を送信する、請求項1~4のいずれか一項に記載の管理システム。
【請求項6】
前記サーバーは、前記蓄電装置の貸借期間を記憶し、前記第1および前記第2の端末装置に対して前記貸借期間に関する情報を送信する、請求項5に記載の管理システム。
【請求項7】
前記サーバーは、前記第1又は前記第2のユーザーが前記蓄電装置の貸借条件に従わない場合、前記第1の情報を変更して前記第1又は前記第2のユーザーに対する特典を取り消すか、又は縮減する、請求項5又は6に記載の管理システム。
【請求項8】
前記蓄電装置に関する情報は、前記蓄電装置の状態を表す蓄電装置状態情報と、前記蓄電装置の固有番号を示す蓄電装置識別情報とを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、可搬式の蓄電装置の管理システムに関し、より詳しくは複数の事業者、組織等における蓄電装置の共同使用に対応した管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動アシスト自転車、電動バイク、電動カート等の電動車両、コンピュータ、スマートフォン、プリンター、モニタ、照明機器、冷蔵庫等の電気機器などの電源として、持ち運びできる可搬式の蓄電装置が使用されている。また、可搬式の蓄電装置は、停電、災害等が発生したときの非常用電源としても使用されている。
【0003】
近年、蓄電装置の状態に関する情報をスマートフォン等の端末装置に送信するための無線通信モジュールを備えた蓄電装置と、蓄電装置を管理するためのサーバーとを備えた蓄電装置の管理システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-46571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
可搬式の蓄電装置は、上記の通り、非常用電源として使用されるが、普段は倉庫に保管されているだけでは勿体ない。また、ユーザーにおいて余剰の蓄電装置が発生した場合には、当該余剰分を有効活用できることが望ましい。本開示の目的は、蓄電装置をより有効に活用することが可能な管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る蓄電装置の管理システムは、可搬式の蓄電装置と、蓄電装置に関する情報を記憶するサーバーと、サーバーと通信可能な端末装置とを備え、端末装置には、蓄電装置を共同使用する第1および第2のユーザーがそれぞれ管理する第1および第2の端末装置が含まれ、サーバーは、第1および第2のユーザーに関する第1の情報と、蓄電装置の共同使用条件に関する第2の情報とを記憶し、第1および第2の端末装置に対して蓄電装置の共同使用のための情報を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る蓄電装置の管理システムによれば、蓄電装置をより有効に活用することが可能である。本開示に係る管理システムによれば、例えば、蓄電装置の貸借を円滑に、かつより確実に実現でき、蓄電装置の活用が十分に促進される。また、蓄電装置の購入、メンテナンスにかかる費用負担の軽減情報端末30を図ることもでき、蓄電装置のいっそうの普及を通じて蓄電装置の活用を促進することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態の一例である蓄電装置の管理システムを示す図である。
図2】実施形態の一例である管理システムの構成を示すブロック図である。
図3】実施形態の一例である管理システムを示す図である。
図4】蓄電装置の共同使用に関連する制御の一例を示すフローチャートである。
図5】蓄電装置の共同使用に関連する制御の変形例を示すフローチャートである。
図6】管理システムの変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示に係る蓄電装置の管理システムの実施形態の一例について詳細に説明する。以下で説明する実施形態はあくまでも一例であって、本開示は以下の実施形態に限定されない。また、以下で説明する複数の実施形態および変形例の各構成要素を選択的に組み合わせてなる構成は本開示に含まれている。
【0010】
本開示に係るシステムの主体は、コンピュータを備えている。このコンピュータがプログラムを実行することによって、本開示のシステムの主体の機能が実現される。コンピュータは、プログラムに従って動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、プログラムを実行することによって上記機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1つ又は複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集積されていてもよく、複数のチップに設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよく、複数の装置に備えられていてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記憶媒体に記憶される。プログラムは、記憶媒体に予め格納されていてもよく、インターネット等を含む広域通信網を介して記憶媒体に供給されてもよい。
【0011】
以下では、蓄電装置として通信モジュール12を含む可搬式の蓄電装置10を例に挙げて本開示に係るシステムの実施形態を説明するが、本開示に係る管理システムは、通信機能を有さない蓄電装置の管理に適用することもできる。但し、本開示に係る管理システムは、通信機能を有する可搬式の蓄電装置の管理において特に有用である。
【0012】
図1は、実施形態の一例である蓄電装置の管理システム1を示す図である。図2は、管理システム1の構成を示すブロック図である。図1および図2に示すように、管理システム1は、通信モジュール12を含む可搬式の蓄電装置10と、蓄電装置10に関する情報を記憶するサーバー20と、サーバー20と通信可能な情報端末30(端末装置)とを備える。管理システム1は、複数の事業者、自治体等の間で蓄電装置10を共同使用するためのシステムである。ここで、蓄電装置10に関する情報とは、蓄電池装置10の充電率、異常の有無等を含む状態情報と、蓄電装置10の識別番号等を含む識別情報とを含む。
【0013】
本実施形態では、第1および第2のユーザーにおいて、蓄電装置10が共同使用される。図1に示す例では、エリアAの第1のユーザーが蓄電装置10を普段使用し、管理している貸与者であり、エリアBの第2のユーザーが蓄電装置10の借用者である。詳しくは後述するが、サーバー20は、第1および第2のユーザーに関する第1の情報と、蓄電装置10の共同使用条件(貸借条件)に関する第2の情報とを記憶している。
【0014】
管理システム1によれば、例えば、蓄電装置10の共同使用を円滑に、かつより確実に実現でき、蓄電装置10の有効活用が図られる。本実施形態において、サーバー20は、蓄電装置10の貸借を管理するための装置として構成されている。管理システム1には、蓄電装置10の充電率、温度、異常、劣化等の状態の管理、使用データの蓄積等を目的としたサーバーが別に設けられていてもよい。或いは、サーバー20には当該機能が含まれていてもよい。
【0015】
本実施形態では、ユーザーが所持する情報端末30が、管理システム1の端末装置を構成している。そして、情報端末30は蓄電装置10と通信可能であり、蓄電装置10に関する情報は、情報端末30を介してサーバー20に送信される。本実施形態において、ユーザーとは特に断らない限り、蓄電装置10の管理を行う管理者を意味する。具体的には、事業者、自治体等における蓄電装置10の管理責任者であって、情報端末30を使用して蓄電装置10の状態を管理する者である。
【0016】
管理システム1は、端末装置として複数の情報端末30を備えている。情報端末30には、第1および第2のユーザーがそれぞれ管理する情報端末30A,30Bが含まれる。情報端末30A,30Bは、それぞれ1台ずつであってもよく、2台以上であってもよい。サーバー20と情報端末30A,30Bは、インターネット回線、移動通信システム等の広域通信網を介して通信可能に構成されている。
【0017】
蓄電装置10は、例えば、オフィス、工場、公共施設(役所、公民館、学校、病院、駅、避難所等)、商業施設(店舗、ショッピングモール等)、各家庭など、多くの場所で使用される。本実施形態において、サーバー20は、蓄電装置10の貸借に関する管理だけでなく、蓄電装置10の状態も管理し、蓄電装置10に異常が発生した場合には情報端末30に異常発生情報を送信する。サーバー20の一例は、蓄電装置10の販売者、管理事業者等のサーバーである。以下では、サーバー20が販売者のサーバーであるものとして説明する。
【0018】
蓄電装置10の貸与者である第1のユーザーの一例は、企業等の事業者である。蓄電装置10の借用者である第2のユーザーの一例は、市町村等の自治体である。図1に示す例では、貸与者が事業者で、エリアAが事業者のオフィス等であり、借用者が自治体で、エリアBが避難所等であることを想定している。エリアAでは情報端末30Aを用いて蓄電装置10が管理され、エリアBでは情報端末30Bを用いて蓄電装置10が管理されている。サーバー20は、蓄電装置10の共同使用が円滑に、かつより確実に実現できるように、情報端末30A,30Bに対して蓄電装置10の共同使用のための情報を送信するように構成されている。
【0019】
なお、後述の表1に示すように、貸与者が自治体、借用者が事業者であってもよく、両方が事業者又は自治体であってもよい。また、貸与者が事業者又は自治体で、借用者が個人であってもよく、蓄電装置10を共同使用する第1および第2のユーザーの組み合わせは特に限定されない。
【0020】
管理システム1を構成する情報端末30の一例は、管理者が所有するスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ノートパソコン等のモバイル端末装置である。管理システム1は、管理者が情報端末30を用いて蓄電装置10の状態を確認できるように構成されている。情報端末30が複数存在する場合、各情報端末30は同種の装置であってもよく、互いに異なる種類の装置であってもよい。管理システム1のアプリケーションソフトウェア(以下、「アプリ」とする)をユーザーの端末装置にインストールすることで、当該端末装置を管理システム1の情報端末30として使用できる。
【0021】
管理システム1には、一般的に、複数の蓄電装置10が含まれている。サーバー20および情報端末30は、複数の蓄電装置10のそれぞれに設定された識別情報を記憶しており、蓄電装置10ごとに情報を管理している。なお、ユーザーが多くの蓄電装置10を所持する場合、所定数の蓄電装置10のグループごとに、管理に使用する情報端末30が分かれていてもよい。
【0022】
以下、管理システム1を構成する蓄電装置10、サーバー20、および情報端末30について詳説する。
【0023】
[蓄電装置10]
蓄電装置10は、電池モジュール11と、電池モジュール11を収容するケース14とを備える。蓄電装置10は、持ち運びできる可搬式の蓄電装置であって、一般的に電池パックとも呼ばれる。また、蓄電装置10は、通信モジュール12と、制御部13とを備える。通信モジュール12と制御部13は、電池モジュール11と共にケース14に収容されている。電池モジュール11は、例えば、充放電器40を用いて充電される。充放電器40は、充放電回路41およびコンセント42を有していてもよく、蓄電装置10を充放電器40に設置した状態で蓄電装置10の放電が可能であってもよい。
【0024】
電池モジュール11は、単一の電池で構成されていてもよいが、好ましくは複数の電池を含む組電池として構成される。組電池を構成する電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形電池、パウチ型電池、角形電池のいずれであってもよい。また、電池の種類は特に限定されないが、好適な一例としては、高容量のリチウムイオン電池が挙げられる。
【0025】
蓄電装置10には、例えば、電池モジュール11の電圧を計測する電圧計、電流を計測する電流計、温度を計測する温度センサ、落下を検知する加速度センサ、水没センサなどの計測機器が設けられている。制御部13は、これらの計測値に基づいて、電池モジュール11の充電率、最大容量、温度など、電池モジュール11の状態を示す値を算出する。充電率は、電圧計により計測される電池モジュール11の電圧に基づいて算出できる。また、制御部13は、これらの計測値に基づいて電池モジュール11の劣化レベルを算出してもよい。最大容量の低下率から蓄電装置10の劣化レベルを算出できる。
【0026】
通信モジュール12は、情報端末30と無線通信するための機器である。通信モジュール12の機能により、蓄電装置10の情報が情報端末30に送信される。本実施形態では、蓄電装置10と近距離に存在する情報端末30との無線通信機能を有するものであればよい。通信モジュール12の構成は特に限定されないが、消費電力低減等の観点から、近距離無線通信モジュールであることが好ましい。図1に示す例では、エリアAにある蓄電装置10は情報端末30Aに情報を送信し、エリアBにある蓄電装置10は情報端末30Bに情報を送信する。
【0027】
具体例としては、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信を行うモジュールが挙げられる。BLEは、近距離無線通信規格であるBluetooth(登録商標)のバージョン4に対応する。BLE通信のための消費電力は比較的小さいため、BLEモジュールを用いることで、蓄電装置10の内部消費電力を抑制できる。なお、Bluetooth(登録商標)は、近距離無線通信の国際標準規格であるIEEE802.15.1規格に対応する。
【0028】
制御部13は、例えば、電池モジュール11の充放電、蓄電装置10の状態を示す情報の生成、通信モジュール12を介した情報発信など、蓄電装置10の動作を制御する機能を有する。蓄電装置10の情報は、制御部13の制御の下、通信モジュール12の機能により情報端末30に送信される。制御部13は、例えば、蓄電装置10の充電率、電圧、温度、最大容量、異常が発生したときには異常を示す情報など、蓄電装置10の状態に関する情報を出力する。
【0029】
制御部13は、プロセッサおよびメモリを含むマイコンにより構成される。メモリは、例えば、RAM、ROM、ハードディスク等の不揮発性メモリを含む。プロセッサは、メモリにインストールされたプログラムを読み出して実行することにより、蓄電装置10としての機能を実現する。また、制御部13は、BMS基板と呼ばれる保護基板を有していてもよく、電池モジュール11の状態を監視して最適な充放電を実行する。
【0030】
ケース14は、金属製ケースであってもよいが、通信性能、軽量化等の観点から、樹脂製ケースであることが好ましい。ケース14は、一般的に不透明であり、内部に収容される電池モジュール11等を隠蔽している。図1に示すケース14は略直方体状に形成され、ケース14の上端部には蓄電装置10を持ち運ぶ際に使用される把手15が設けられている。また、ケース14の下部には、充電器、放電器等のバッテリー設置部などに差し込まれる接続部16が設けられている。接続部16は、電池モジュール11と電気的に接続された端子を有する。
【0031】
ケース14には、残量表示ボタン17およびインジケータ18が設けられていてもよい。残量表示ボタン17は、電池モジュール11の充電率をインジケータ18に表示させるための操作部である。インジケータ18は、例えば、複数のランプを含み、充電率に応じて点灯させるランプの数を変更することで充電率を表示する。インジケータ18は、充電率を数値で表示可能な表示部であってもよく、また充電率以外の蓄電装置10の状態を表示可能であってもよい。
【0032】
[サーバー20]
サーバー20は、上記のように、蓄電装置10に関する情報を記憶しており、少なくとも、蓄電装置10を共同使用する第1および第2のユーザーに関する第1の情報と、蓄電装置10の共同使用条件に関する第2の情報とを記憶している。そして、情報端末30A,30Bに対して、蓄電装置10の共同使用に必要な情報を適切なタイミングで提供するように構成されている。本実施形態では、サーバー20が、蓄電装置10の充電率等の状態に関する情報を記憶し、蓄電装置10を統括的に管理している。
【0033】
即ち、サーバー20は、蓄電装置10の状態に関する情報を収集して記憶している。サーバー20には、例えば、蓄電装置10および情報端末30の識別情報を含む各種情報が、蓄電装置10ごとに蓄電装置10の管理に使用される情報端末30と対応付けられた状態で記憶されている。蓄電装置10および情報端末30の登録情報は、情報端末30からサーバー20に送信され、登録内容の変更は情報端末30の操作により行うことができる。情報端末30の管理アプリを起動すると、登録済みの蓄電装置10の状態に関する情報の少なくとも一部が、情報端末30を介して自動的にサーバー20に送信されてもよい。
【0034】
サーバー20は、蓄電装置10の制御部13と同様に、プロセッサ21およびメモリ22を有する。サーバー20は、1台のコンピュータで構成されていてもよいし、複数のコンピュータで構成されていてもよい。プロセッサ21は、メモリ22にインストールされたプログラムを読み出して実行することにより、サーバー20としての機能を実現する。また、プロセッサ21は、蓄電装置10の状態に関する情報を取得してメモリ22に記憶させる。
【0035】
蓄電装置10の共同使用に関連する上記第1および第2の情報は、例えば、蓄電装置10の販売者によってサーバー20に登録される。本実施形態において、販売者は、蓄電装置10の購入額を多く負担する主たる購入予定者(貸与者)と、主たる購入予定者から蓄電装置10を借用して使用する借用予定者とを交えて商談を行い、売買契約締結時に第1および第2の情報をサーバー20に登録する。即ち、販売者が蓄電装置10の貸借による共同使用の仲介を行い、サーバー20の機能により円滑で確実な共同使用を実現する。
【0036】
上記第1の情報は、貸与者と借用者を特定する情報であって、具体的には、氏名、住所、連絡先等の情報であり、後述の特典情報が含まれていてもよい。上記第2の情報は、貸出期間、貸出回数等を含む貸借条件に関する情報である。蓄電装置10の売買契約では購入額の負担割合が定められてもよく、負担割合の情報がサーバー20に記憶されてもよい。第1および第2の情報等は、サーバー20に直接入力されてもよく、サーバー20と通信可能な販売者の端末装置を用いて登録されてもよい。或いは、情報端末30を用いて登録可能であってもよい。
【0037】
表1に、サーバー20に登録される情報の一例を示す。
【表1】
【0038】
表1に示すように、蓄電装置10の貸与者(第1のユーザー)と借用者(第2のユーザー)には、事業者と自治体、自治体同士、事業者同士、事業者と個人など、種々の組み合わせが想定される。サーバー20には、上記のように、貸与者と借用者の氏名、住所、連絡先等が登録される。また、上記第2の情報に該当する事業者から自治体への貸出条件として、貸出期間と貸出回数が登録される。サーバー20には、さらに、蓄電装置10のメンテナンス費、輸送費などに関する情報が記憶されていてもよい。
【0039】
上記貸出期間は、〇年〇月〇日~△年△月△日のように具体的な年月日であってもよく、被災時、平常時のように特別なイベントが発生したときであってもよい。例えば、被災時とは避難指示が発令されている期間、平常時とは避難指示が発令されていない期間のように定められる。なお、被災時を規定する情報は避難指示に限定されず、特別警報等の他の気象情報であってもよい。貸出回数は、2回/週のように具体的な回数であってもよく、被災時等の所定期間において無制限のように設定されてもよい。或いは、具体的な貸出期間、貸出回数の情報をサーバー20に登録せず、都度相談とすることも可能である。
【0040】
貸与者が事業者、借用者が自治体である場合、被災時以外の平常時には事業者が蓄電装置10を使用し、被災時には自治体が避難所等で使用することが想定される。このため、表1に示す例では、事業者から自治体への貸出条件が、被災時に無制限で使用できることになっている。また、普段は事業者が蓄電装置10を使用するため、購入額負担は使用頻度が高い事業者が80%となっている。メンテナンス費、輸送費等のランニングコストは、事業者が全額負担することとしてもよく、購入額負担と同様の割合で費用負担を定めてもよい。また、蓄電装置10の使用時間、使用日数等に基づいてランニングコストの費用負担を算出してもよい。
【0041】
サーバー20には、例えば、ユーザーに関する第1の情報として、蓄電装置10の次回購入時の値引き、メンテナンス費の値引き等の特典情報が記憶されていてもよい。これらの特典は、貸与者、借用者の両方にそれぞれ設定されてもよく、貸与者のみ、或いは費用負担が多い者のみに設定されてもよい。詳しくは後述するが、サーバー20に記憶された特典情報は、予め定めた貸借条件の履行を促すために利用されてもよい。
【0042】
サーバー20は、ユーザーに貸借条件の履行を促し、蓄電装置10の共同使用を円滑にするための種々の機能を備えている。サーバー20は、例えば、蓄電装置10の容量が、借用者が求める所定容量を下回る期間が所定期間継続した場合に、貸与者の情報端末30Aに対して蓄電装置10の充電を促す情報を送信する。サーバー20は、情報端末30Aを介してエリアAにある蓄電装置10の充電率の情報を取得している。このため、サーバー20は、直ぐに使用可能な蓄電装置10の総容量と貸借条件とを照合し、借用者が求める容量が確保できていない場合には、蓄電装置10の充電を促して容量を確保させることができる。
【0043】
サーバー20からの充電依頼は、例えば、エリアAにある貸出可能な蓄電装置10の総容量が借用者の求める容量を下回った場合に、情報端末30Aに対して直ちに通知されてもよく(上記所定期間≒0)、24時間経過後等、所定時間経過後に通知されてもよい。所定時間の一例は、0~48時間である。サーバー20から情報端末30への通知(情報の送信)は、情報端末30から要求を受けなくても能動的に情報を通知する、いわゆるプッシュ通知であることが好ましい。充電依頼には、充電が必要な蓄電装置10の数、目安の充電時間、対応期日等の情報が含まれていてもよい。
【0044】
サーバー20は、借用者からの貸出依頼、又は貸与者からの返却依頼を仲介する。借用者は、例えば、予め定めた貸借条件に基づき、情報端末30Bを操作して蓄電装置10の貸出依頼を送信できる。貸出依頼は、サーバー20を介して貸与者の情報端末30Aに送信される。また、貸与者は、例えば、予め定めた貸借条件に基づき、情報端末30Aを操作して蓄電装置10の返却依頼を送信できる。返却依頼は、サーバー20を介して借用者の情報端末30Bに送信される。
【0045】
サーバー20は、上記貸出依頼が予め定めた貸借条件を満たさない場合、情報端末30Bに対して依頼が受け付けられないことを示すエラー情報を送信してもよい。また、サーバー20は、上記返却依頼が予め定めた貸借条件を満たさない場合、情報端末30Aに対して依頼が受け付けられないことを示すエラー情報を送信してもよい。なお、貸借条件は、双方の同意により変更可能であり、サーバー20は当該変更の仲介機能を備えていてもよい。
【0046】
サーバー20は、貸出日又は返却日が予め登録されている場合、期日の到来を条件として貸出又は返却の依頼を自動送信してもよい。また、サーバー20には、蓄電装置10の貸出日、返却日、受領日等の情報が記憶されることが好ましい。これらの情報は、例えば、情報端末30を用いたユーザーの操作に基づいてサーバー20に記憶される。或いは、情報端末30Bと蓄電装置10の通信が開始されたことを条件として、その通信開始日を貸出日として当該情報がサーバー20に登録されてもよい。また、情報端末30Aと蓄電装置10の通信が不可となった後、通信が再開されたことを条件として、その再開日を返却日として当該情報がサーバー20に登録されてもよい。
【0047】
サーバー20は、情報端末30A,30Bに対して貸借期間に関する情報を送信してもよい。サーバー20は、蓄電装置10の貸借期間を記憶しているため、ユーザーに対して貸借期間に関する情報を提供できる。具体例としては、貸与者の情報端末30Aに対して蓄電装置10の貸出日が近づいたこと、又は貸出日が到来したことを知らせる通知が挙げられる。また、借用者の情報端末30Bに対しては、蓄電装置10の返却日が近づいたこと、又は返却日が到来したことを知らせる通知が挙げられる。この場合、蓄電装置10の貸出および返却をより円滑に行うことができる。
【0048】
サーバー20は、貸与者又は借用者が蓄電装置10の貸借条件に従わない場合、上記特典情報(第1の情報)を変更して貸与者又は借用者に対する特典を取り消すか、又は縮減してもよい。上記のように、サーバー20に特典情報が記憶されている場合、サーバー20の機能により、貸借条件が履行されないペナルティーとして特典を取り消し、又は特典を縮減してもよい。具体例としては、貸与者の特典情報として蓄電装置10の次回購入時の値引きが記憶されている場合に、特典情報を変更して値引きの取り消し、又は値引き額の減額を行うことができる。サーバー20は、例えば、ユーザーからの要求に基づき、要求と貸借条件とを照合し、要求が適正である場合に特典情報の変更を実行する。
【0049】
図3は、蓄電装置10の共同使用に関する第1および第2の情報が、サーバー20に多数登録されている場合を例示している。図3に示す例では、サーバー20の機能により、予め契約で定めた貸与者と借用者以外のユーザー同士をマッチングすることが可能である。サーバー20は、例えば、メモリ22に記憶された第1および第2の情報を照合して、蓄電装置10を共同使用するユーザーのマッチングを行う。図3では、A~Gがそれぞれ別のユーザー(事業者、自治体、個人等)を示すものとし、各ユーザーが管理システムを構成する情報端末30A~30Gを所持している。
【0050】
サーバー20は、予め定めた貸与者が借用者の貸出要求に対応できない場合に、予め定めた貸与者とは別のユーザーに対し、蓄電装置10の貸与を依頼する情報を送信してもよい。或いは、サーバー20は、貸与者において蓄電装置10の余剰分がある場合に、予め定めた借用者とは別のユーザーに対し、当該余剰分の借用を依頼する情報を送信してもよい。即ち、予め定めた借用者だけでは余剰分が使用されない場合に、新たなパートナーを探索して余剰分の借用を依頼する。サーバー20は、例えば、メモリ22に記憶された第1および第2の情報に基づき、適切なユーザーを選択する。サーバー20は、候補者リストをユーザーに提供してもよい。
【0051】
図3に示す例では、ユーザーAとB、ユーザーCとD、ユーザーEとFが予め契約で定められた貸与者と借用者のペアである。例えば、ユーザーDは、より多くの蓄電装置10を使用したいが、予め定めた貸与者であるユーザーCにはもはや貸出能力がない。一方、ユーザーAは多くの蓄電装置10を所有しており、予め定めた借用者であるユーザーBだけでは蓄電装置10の余剰分を使用しきれない。この場合、サーバー20は、ユーザーAとDをマッチングして、ユーザーDからの貸出要求をユーザーAの情報端末30Aに送信する。或いは、ユーザーAからの借用要求をユーザーDの情報端末30Dに送信する。
【0052】
図3に示す例では、貸与者又は借用者が予め決まっていないユーザーに関する情報をサーバー20に登録してもよい。つまり、サーバー20は、貸与者又は借用者が予め決まっていないユーザーについて、当該ユーザーが希望する貸借条件に基づき、適切なユーザーのマッチングを行ってもよい。サーバー20は、例えば、貸与先が予め決まっていない借用希望者であるユーザーGについて、余剰の蓄電装置10を多く所有するユーザーAとのマッチングを行う。
【0053】
[情報端末30]
情報端末30は、上記のように、蓄電装置10から情報を取得し、蓄電装置10の状態を確認する際に使用される。情報端末30は、蓄電装置10の情報を表示するためのモニタ33を有する。情報端末30は管理システム1の専用端末であってもよいが、上記の通り、好適な一例としてはユーザーが所持するスマートフォン等が挙げられる。管理システム1のアプリをインストールすることで、ユーザーのスマートフォンを管理システム1の情報端末30として使用できる。
【0054】
管理システム1のアプリをインストールした端末装置のうち、任意の端末装置のみが管理システム1を構成する端末装置(情報端末30)として機能するようにしてもよい。例えば、アプリのユーザー登録には、2段階の登録が設けられる。第1段階の登録は、単に蓄電装置10を使用する利用者としての登録(以下、「利用者登録」とする)である。利用者登録の場合、蓄電装置10の異常に関する第1情報のプッシュ通知は受け取れない。なお、蓄電装置10の状態に関する情報は、利用者登録された端末装置を介してサーバー20に送信されてもよい。
【0055】
第2段階の登録は、蓄電装置10を管理する管理者としての登録(以下、「管理者登録」とする)である。アプリの管理者登録をする際には、サーバー20からプッシュ通知を受け取るための情報がサーバー20に提供される。具体的には、例えば、ユーザーID、情報端末30の識別子(デバイストークン)等がサーバー20に記憶される。サーバー20には、ユーザーのメールアドレス、電話番号等が記憶されていてもよい。なお、蓄電装置10に関するアプリとして、利用者用のアプリと、管理者用のアプリ(管理システム1の管理アプリ)がそれぞれ準備されてもよい。
【0056】
情報端末30は、蓄電装置10およびサーバー20と同様に、プロセッサ31およびメモリ32を有する。プロセッサ31は、メモリ32にインストールされたプログラム(管理システム1のアプリ)を読み出して実行することにより、情報端末30としての機能を実現する。また、プロセッサ31は、蓄電装置10の情報を取得してメモリ32に記憶させると共に、必要な情報をサーバー20に送信する。本実施形態では、情報端末30と蓄電装置10との通信にBLE等の近距離無線通信が使用され、サーバー20との通信にインターネット回線、移動通信システム等の広域通信網が使用される。
【0057】
情報端末30は、サーバー20からプッシュ通知を受け取るか否かの設定機能を有していてもよい。例えば、管理者登録されたアプリの通知設定画面において、プッシュ通知のオン/オフを設定できる。蓄電装置10の異常に関する情報については、迅速な対応が要求されるため、ユーザーによる通知のオン/オフ設定はできないものとしてもよい。情報端末30は、蓄電装置10の状態の確認を促すアラート通知を受け取るか否かの設定機能を有していてもよい。或いは、アラート通知については、異常に関する情報と同様に、ユーザーによる通知のオン/オフ設定はできないものとしてもよい。
【0058】
以下、図4のフローチャートを参照しながら、蓄電装置10の共同使用(貸借)に関する制御について説明する。
【0059】
図4に示す例では、まず初めに、蓄電装置10の売買契約が締結され、その際、蓄電装置10の貸借契約が併せて締結される(ステップS10)。ステップS10は、例えば、蓄電装置10の販売者、購入予定者、および借用予定者の3者の同意に基づいて進められる。なお、ステップS10は、人為的な取り決めであってサーバー20の機能による処理ではない。借用予定者は、蓄電装置10の購入代金の一部を負担する共同購入者(共同所有者)であってもよく、使用権のみを有する者であってもよい。蓄電装置10の所有権およびその持ち分は、当事者間で任意に決定できる。図4に示す例では、販売者の仲介によって蓄電装置10の貸借契約が締結される。
【0060】
蓄電装置10の貸借契約が締結されると、上記第1の情報として貸与者および借用者に関するユーザー情報がサーバー20に登録され(ステップS11)、上記第2の情報として貸借条件に関する情報がサーバー20に登録される(ステップS12)。サーバー20への情報の登録は、例えば、販売者の端末装置の操作により行われる。ユーザー情報は、上記のように、貸与者と借用者の氏名、住所、連絡先等である。貸借条件には、貸出期間、貸出回数、貸出計画個数、貸出可能容量等が含まれる。貸出期間、貸出回数には、被災時において無制限のように、所定の条件が付加されていてもよい。
【0061】
図4に示す例では、ステップS13において、貸与者が所持している蓄電装置10の容量が適切であるか否か、具体的には、蓄電装置10が適切に充電されて借用者が求める容量が確保されているかの判断を行う。サーバー20は、例えば、蓄電装置10の充電率に基づいて総容量を算出し、当該総容量と貸借条件に基づく要求容量とを照合して、総容量<要求容量の状態が所定期間継続しているか否かを判断する。必要とする容量が確保されている場合(ステップS13のYes)、蓄電装置10の貸出条件が成立すると(ステップS14のYes)、蓄電装置10の貸出に係る処理を実行する(ステップS15)。
【0062】
ステップS14,S15において、サーバー20は、例えば、予め設定された貸出日が到来したときに、貸出日が到来したことを貸与者の情報端末30Aに通知して貸出日を記憶する。このとき、貸出日の到来を通知すると共に蓄電装置10の貸出(配送手配等)を促す情報を送信してもよい。また、サーバー20は、借用者の情報端末30Bから貸出依頼の情報を受領したときに貸出依頼と貸借条件とを照合し、貸出依頼が適切である場合に貸出条件が成立したものとして貸出に係る処理を実行してもよい。貸借条件が緊急時となっている場合には、サーバー20は外部から天候情報や災害情報等を取得することにより緊急時を予測し、又は外部からの緊急アラートを受けて緊急時を判断してもよい。このとき、ステップS14およびS15において、サーバー20が緊急を判断して貸出タイミングの到来を決定して貸与者および借用者に貸出手配をするか否かを問うてもよい。
【0063】
サーバー20は、蓄電装置10の返却条件が成立した場合(ステップS16のYes)、蓄電装置10の返却に係る処理を実行する(ステップS17)。サーバー20は、例えば、予め設定された返却日が到来したときに、返却日が到来したことを借用者の情報端末30Bに通知して返却日を記憶する。このとき、返却日の到来を通知すると共に蓄電装置10の返却(配送手配等)を促す情報を送信してもよい。また、サーバー20は、貸与者の情報端末30Aから返却依頼の情報を受領したときに、返却依頼と貸借条件とを照合し、返却依頼が適切である場合に返却条件が成立したものとして返却に係る処理を実行してもよい。或いは、蓄電装置10の貸出が避難指示の発令時に限定される場合に、避難指示の解除をトリガーとして返却条件が成立したものとしてもよい。
【0064】
図4に示す例では、ステップS13において、サーバー20が蓄電装置10の総容量<要求容量の状態が所定期間継続していると判断した場合(ステップS13のNo)、貸与者の情報端末30Aに対して充電依頼を送信する(ステップS18)。充電依頼を送信してもなお貸与者が適切な充電を実施しない場合には、債務不履行とみなし、そのペナルティーとして貸与者に関する特典情報を変更し、特典の取り消し、又は縮減を実行する(ステップS20)。なお、図4に示す例において、ステップS13、S18~S20を省略することもできる。
【0065】
また、図4に示す例では、貸出条件が予め契約で定めた条件に達した場合(ステップS21のYes)、蓄電装置10の貸出を終了する。例えば、蓄電装置10の貸出回数が予め定められている場合に、貸出回数が当該回数に達すると蓄電装置10の貸出を終了する。言い換えると、貸出回数が当該回数に達するまで蓄電装置10の貸借による共同使用が継続される。なお、共同使用期間が予め定められている場合に、当該期間が終了したときに蓄電装置10の貸出を終了してもよく、ステップS21の条件は特に限定されない。
【0066】
図5は、蓄電装置10の共同使用に関する制御の他の一例を示すフローチャートである。図5に示す例では、サーバー20の機能により、予め契約で定めた貸与者と借用者以外のユーザー同士をマッチングする(ステップS30,S31)。サーバー20は、例えば、メモリ22に記憶された第1および第2の情報に基づいて新しいパートナーを探索し、ユーザー同士のマッチングを行う。
【0067】
ステップS31のマッチングは、ユーザーからの要請(パートナーの探索要求)に基づいて実行される(ステップS30のYes)。この要請は、例えば、情報端末30の操作により行われる。サーバー20は、特定のユーザーを新しいパートナーとして選別し、要請者の情報端末30に当該パートナーの情報を送信してもよく、候補者リストを送信して要請者に選択させてもよい。
【0068】
サーバー20は、例えば、予め定めた貸与者が借用者の貸出要求に対応できない場合に、借用者からの要請に基づき、予め定めた貸与者とは別のユーザーである新しいパートナーに対し、蓄電装置10の貸与を依頼する情報を送信する。或いは、貸与者において蓄電装置10の余剰分がある場合に、貸与者の要請に基づき、予め定めた借用者とは別のユーザーである新しいパートナーに対し、当該余剰分の借用を依頼する情報を送信する。
【0069】
図5に示す例では、サーバー20の機能によりマッチングが実行された後、貸与者と借用者の新しいペアを定めた貸借契約が締結される(ステップS32)。なお、貸借契約後の手順は図4に示す例と同様である。また、図5に示す例では、貸与者又は借用者が予め決まっていないユーザーについて、当該ユーザーが希望する貸借条件に基づき、適切なユーザーのマッチングを行ってもよい。サーバー20が多くのユーザー情報を記憶している場合、サーバー20の機能によりユーザーが希望する貸与者又は借用者を探索することが可能である。
【0070】
図6は、管理システム1の変形例を示す図である。図6に例示する形態では、蓄電装置10の輸送者のサーバー50が管理システム1の構成要素として組み込まれている点で、図1に例示する形態と異なる。輸送者は、例えば、販売者と業務提携している輸送事業者である。図6に示す例では、販売者のサーバー20に記憶された情報、例えば、蓄電装置10の貸与者、借用者に関するユーザー情報、および貸借条件に関する情報が、輸送者のサーバー50に送信される。また、サーバー50は、サーバー20だけでなく情報端末30A,30Bと通信可能に構成されている。
【0071】
図6に示す例では、蓄電装置10の貸出日が予め定められている場合、又は避難指示等の気象警報をトリガーとして蓄電装置10の貸出が行われる場合など、サーバー20において貸出日が判断できる場合、サーバー50によって配送に係る処理が自動的に実行される。具体的には、サーバー20から蓄電装置10の貸出日を含む貸出に関する情報がサーバー50に送信され、サーバー50の機能により配送車両、人員、配送日時等が決定され、配送に係る処理が実行される。この場合、ユーザーが配送の手配を行う必要がなく、ユーザビリティが向上すると共に、より確実な貸出が可能になる。
【0072】
サーバー50は、例えば、蓄電装置10の配送に係る処理として、集荷予定日時等の情報を貸与者の情報端末30Aに送信してもよい。また、サーバー50は、借用者の情報端末30Bに対して、蓄電装置10の配達予定日時等の情報を送信してもよい。サーバー50は、蓄電装置10の配達が完了したときに、貸出日をサーバー20に記憶させてもよい。同様に、蓄電装置10を借用者から回収して貸与者に配達したときに、返却日をサーバー20に記憶させてもよい。即ち、図4のフローチャートのステップS15,S17が、サーバー50の機能を利用して実行される。
【0073】
以上のように、上記構成を備えた管理システム1によれば、サーバー20の機能により、蓄電装置10の共同使用を円滑に、かつより確実に実現でき、ユーザーの利便性を損なうことなく蓄電装置10を有効に活用できる。管理システム1によれば、例えば、自治体が非常用電源として所有している蓄電装置10について、平常時には事業者のオフィス等で使用することが容易になる。一方、被災時には、蓄電装置10が事業者から返却され、自治体が開設する避難所等において使用される。このような契約は、例えば、販売者の仲介により、又はサーバー20の機能により締結され、蓄電装置10の共同使用の実効性がより確実なものとなる。また、蓄電装置10の購入、メンテナンス等にかかる費用を共同使用者で分担することにより費用負担を軽減することも可能である。
【0074】
なお、上記実施形態は本開示の目的を損なわない範囲で適宜設計変更できる。例えば、上記実施形態では、蓄電装置10の貸与者においても蓄電装置10が使用されることを想定しているが、貸与者は自身では蓄電装置10を使用しないレンタル事業者であってもよい。また、複数の蓄電装置10が貸借契約のない共同使用を前提として2人以上のユーザーに売却されてもよく、サーバー20の機能により円滑な共同使用が実現されてもよい。
【0075】
上記実施形態では、サーバー20が販売者(又は管理事業者)のサーバーであったが、サーバー20は輸送事業者のサーバーであってもよい。この場合、サーバー20のみによって、図6に例示する機能を備えたシステムを実現できる。輸送事業者は、例えば、販売者から貸借契約の情報を入手し、サーバー20に登録する。
【0076】
上記実施形態では、第1および第2の情報がサーバー20に保存される例を開示している。しかし、蓄電装置10の制御部13に含まれるメモリ等を記憶部として、第1および第2の情報を記憶部に保存しておいてもよい。蓄電装置10からサーバー20に対して第1および第2の情報を発信し、これを受けてマッチング判断をサーバー20で行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 管理システム、10 蓄電装置、11 電池モジュール、12 通信モジュール、13 制御部、14 ケース、15 把手、16 接続部、16A 端子、17 残量表示ボタン、18 インジケータ、20,50 サーバー、21,31 プロセッサ、22,32 メモリ、30 情報端末、33 モニタ、40 充放電器、41 充放電回路、42 コンセント
図1
図2
図3
図4
図5
図6