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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149621
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】住宅
(51)【国際特許分類】
   E04H 1/02 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
E04H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058278
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】富田 直樹
【テーマコード(参考)】
2E025
【Fターム(参考)】
2E025AA03
2E025AA13
2E025AA26
(57)【要約】
【課題】普段はコンパクトな状態で使える居室を確保し、居室における空調効率の向上を図りつつ、居室を状況に応じてアレンジ可能とし、さらに、居室の様子を窺いながらテレワークを行えるようにする。
【解決手段】キッチン台4a及びダイニングテーブル4bが配置された第一居室4と、第一居室4に隣接して配置された第二居室3と、備え付けの机8aが設けられ、第一居室4と隣接せずに第二居室3に隣接して配置されたテレワーク室8と、を備えており、第一居室4と第二居室3との間には出入り用開口部11が形成されるとともに可動仕切り手段12が設けられた第一壁10が立設され、第二居室3とテレワーク室8との間には透視性を有する板材を含んで構成された屋内窓21が設けられた第二壁20が立設され、テレワーク室8における備え付けの机8aは、第二壁20の屋内窓21に面して配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キッチン台及びダイニングテーブルが配置された第一居室と、
前記第一居室に隣接して配置された第二居室と、
備え付けの机が設けられ、前記第一居室と隣接せずに前記第二居室に隣接して配置されたテレワーク室と、を備えており、
前記第一居室と前記第二居室との間には、前記第一居室と前記第二居室との間を出入りするための出入り用開口部が形成されるとともに、当該出入り用開口部を開閉する可動仕切り手段が設けられた第一壁が設けられ、
前記第二居室と前記テレワーク室との間には、透視性を有する板材を含んで構成された屋内窓が設けられた第二壁が設けられ、
前記テレワーク室における前記備え付けの机は、前記第二壁の前記屋内窓に面して配置されていることを特徴とする住宅。
【請求項2】
請求項1に記載の住宅において、
前記第一壁と前記第二壁は、互いに直交する方向に配置され、前記出入り用開口部と前記屋内窓は斜めに対向して配置されていることを特徴とする住宅。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の住宅において、
前記可動仕切り手段は、前記出入り用開口部を閉塞する複数の仕切パネルを有し、
前記複数の仕切パネルそれぞれの幅寸法は、前記出入り用開口部の幅寸法よりも短く設定されていることを特徴とする住宅。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の住宅において、
前記第二居室に隣接して配置された玄関室を更に備えており、
前記第二居室と前記玄関室との間には、前記第二居室と前記玄関室との間を出入りするための出入口が形成された第三壁が設けられ、
前記第二壁と前記第三壁は平行に配置されていることを特徴とする住宅。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の住宅において、
前記屋内窓は腰高窓とされており、
前記備え付けの机は、前記第二壁のうち前記屋内窓の下端部の直下に位置する部位に接して設けられていることを特徴とする住宅。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の住宅において、
前記第二壁には、前記第二居室から前記テレワーク室への視線を遮断可能な遮蔽部材が、前記屋内窓に面して設けられていることを特徴とする住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅には、リビングルームとダイニングルームとキッチンルームの機能を一室に併存させた居室が設けられる場合が多くあった。このような居室は、家族が集う場所であることに加え、例えば、友人や知人を招いてホームパーティーを行いたい(特許文献1参照)、料理教室を開催したい(特許文献2参照)といった需要もあり、より広々とした開放感のある空間であることが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-119280号公報
【特許文献2】特開2020-190114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般的に、部屋は、広い空間であればあるほど空調効率が悪いことは言うまでもないし、家族が集う場所であるとは言え、常に家族が揃っているわけでもない。そのため、家族が日常的に過ごす場所、すなわち居室を、普段はコンパクトな状態で使えるようにし、状況に応じて広く使えるようにしたいという要望がある。
一方、昨今は、省エネやワークライフバランス、感染症対策等を目的とし、様々な企業においても、また社会的にもテレワークが推奨されているため、住宅内にテレワーク室を設ける需要が高まっている。ところが、家族が日常的に過ごす場所である居室から離れた場所にテレワーク室を配置すると子供の様子を見ることができないし、居室内にテレワーク室を配置してしまうと仕事に集中しにくい。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、普段はコンパクトな状態で使える居室を確保し、居室における空調効率の向上を図りつつ、居室を状況に応じてアレンジ可能とし、さらに、居室の様子を窺いながらテレワークを行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、例えば図1図5に示すように、キッチン台4a及びダイニングテーブル4bが配置された第一居室4と、
前記第一居室4に隣接して配置された第二居室3と、
備え付けの机8aが設けられ、前記第一居室4と隣接せずに前記第二居室3に隣接して配置されたテレワーク室8と、を備えており、
前記第一居室4と前記第二居室3との間には、前記第一居室4と前記第二居室3との間を出入りするための出入り用開口部11が形成されるとともに、当該出入り用開口部11を開閉する可動仕切り手段12が設けられた第一壁10が立設され、
前記第二居室3と前記テレワーク室8との間には、透視性を有する板材を含んで構成された屋内窓21が設けられた第二壁20が立設され、
前記テレワーク室8における前記備え付けの机8aは、前記第二壁20の前記屋内窓21に面して配置されていることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、キッチン台4a及びダイニングテーブル4bが配置された第一居室4と、第一居室4に隣接して配置された第二居室3と、を備えており、第一居室4と第二居室3との間には、第一居室4と第二居室3との間を出入りするための出入り用開口部11が形成されるとともに、当該出入り用開口部11を開閉する可動仕切り手段12が設けられた第一壁10が立設されているので、可動仕切り手段12によって出入り用開口部11を開放したり閉塞したりすることができる。これにより、普段は、可動仕切り手段12によって出入り用開口部11を閉塞し、キッチン台4a及びダイニングテーブル4bが配置された第一居室4を、コンパクトな状態の、家族が集う場所として利用することができる。そのため、コンパクトな状態の第一居室4と、第一居室4に対して仕切られた第二居室3における空調効率の向上を図ることができる。空調効率の向上を図ることができれば、住宅1に使用されるエネルギーの低減につながるため、コストの低減だけでなく、カーボンニュートラルの面でも有利となる。また、出入り用開口部11を開放すれば、第一居室4と第二居室3とを連続した空間にすることができるので、状況に応じたアレンジが可能となる。
さらに、備え付けの机8aが設けられ、第一居室4と隣接せずに第二居室3に隣接して配置されたテレワーク室8を更に備えており、第二居室3とテレワーク室8との間には、透視性を有する板材を含んで構成された屋内窓21が設けられた第二壁20が立設され、テレワーク室8における備え付けの机8aは、第二壁20の屋内窓21に面して配置されているので、屋内窓21から見える範囲で第二居室3内の様子を窺うことができる。しかも、テレワーク室8は、家族が集う場所である第一居室4に隣接しないため集中して仕事に臨むことができる。つまり、テレワーク室8で集中して仕事をしつつ、例えば家族の様子が気になればすぐに屋内窓21から様子を窺うことができる。出入り用開口部11を開放して第一居室4と第二居室3とを連続した空間にすれば、屋内窓21から様子を窺いやすくなる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、例えば図1図5に示すように、請求項1に記載の住宅1において、
前記第一壁10と前記第二壁20は、互いに直交する方向に配置され、前記出入り用開口部11と前記屋内窓21は斜めに対向して配置されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、第一壁10と第二壁20は、互いに直交する方向に配置され、出入り用開口部11と屋内窓21は斜めに対向して配置されているので、出入り用開口部11が開放された状態であれば、屋内窓21から見える範囲で第一居室4内の様子を窺うことができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、例えば図1図5に示すように、請求項1又は2に記載の住宅1において、
前記可動仕切り手段12は、前記出入り用開口部11を閉塞する複数の仕切パネル13を有し、
前記複数の仕切パネル13それぞれの幅寸法は、前記出入り用開口部11の幅寸法よりも短く設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明によれば、可動仕切り手段12は、出入り用開口部11を閉塞する複数の仕切パネル13を有し、複数の仕切パネル13それぞれの幅寸法は、出入り用開口部11の幅寸法よりも短く設定されているので、出入り用開口部11の幅寸法は、少なくとも一枚一枚の仕切パネル13よりも幅広に設定されることとなる。これにより、出入り用開口部11を開放したときの第一居室4と第二居室3との空間的な一体性を高めることができるので、第一居室4と第二居室3とを接続して広い空間を確保するアレンジが可能となる。また、屋内窓21から様子を窺う場合も、出入り用開口部11が幅広である方が様子を窺いやすくなる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、例えば図1図3に示すように、請求項1から3のいずれか一項に記載の住宅1において、
前記第二居室3に隣接して配置された玄関室2を更に備えており、
前記第二居室3と前記玄関室2との間には、前記第二居室3と前記玄関室2との間を出入りするための出入口31が形成された第三壁30が設けられ、
前記第二壁20と前記第三壁30は平行に配置されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、第二居室3に隣接して配置された玄関室2を更に備えており、第二居室3と玄関室2との間には、第二居室3と玄関室2との間を出入りするための出入口31が形成された第三壁30が設けられ、第二壁20と第三壁30は平行に配置されているので、出入口31を通じて玄関室2に出入りする人の様子を屋内窓21から窺うことができる。これにより、例えば家族の帰宅や外出に気づくことができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、例えば図1図4に示すように、請求項1から4のいずれか一項に記載の住宅1において、
前記屋内窓21は腰高窓とされており、
前記備え付けの机8aは、前記第二壁20のうち前記屋内窓21の下端部の直下に位置する部位に接して設けられていることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、屋内窓21は腰高窓とされており、テレワーク室8における備え付けの机8aは、第二壁20のうち屋内窓21の下端部の直下に位置する部位に接して設けられているので、テレワーク中は屋内窓21に顔を向けて仕事をすることになる。そのため、屋内窓21から第二居室3側の様子を窺いやすくなる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の住宅1において、
前記第二壁20には、前記第二居室3から前記テレワーク室8への視線を遮断可能な遮蔽部材が、前記屋内窓21に面して設けられていることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、第二壁20には、第二居室3からテレワーク室8への視線を遮断可能な遮蔽部材が、屋内窓21に面して設けられているので、屋内窓21に面して設けられた遮蔽部材によって第二居室3からテレワーク室8への視線を遮断すれば、テレワーク室8での仕事を集中して行いやすくなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、普段はコンパクトな状態で使える居室を確保し、居室における空調効率の向上を図りつつ、居室を状況に応じてアレンジ可能とし、さらに、居室の様子を窺いながらテレワークを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】住宅の1階を示す平断面図である。
図2】住宅の要部を一方向から見た場合の斜視図である。
図3】住宅の要部を他方向から見た場合の斜視図である。
図4】住宅の1階における他の例を示す平断面図である。
図5】住宅の1階における他の例を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。なお、以下の実施形態及び図示例における方角は、あくまでも説明の便宜上設定したものである。
【0021】
図1において符号1は、住宅を示す。この住宅1は複数階建てであり、図1においては住宅1の1階部分が表されている。住宅1が建てられた敷地内には、玄関ポーチ1a及びテラス1bが配置されている。玄関ポーチ1aには外部収納1cが設けられ、テラス1bには、屋外で寛ぐための外部ソファー1dが設けられている。
【0022】
玄関ポーチ1aから玄関室2に入った位置には玄関土間部2aがあり、一段上がって玄関ホール部2bがある。また、玄関室2には、シューズクローゼットの他に、玄関用洗面台2cが設置されている。
玄関室2の北側に立設された第三壁30には、出入口31が形成されているとともに、当該出入口31を開閉する扉32が設けられている。出入口31は、第三壁30のうち東側端部に寄せて配置されている。
【0023】
玄関室2の北側には、第二居室3が配置されている。この第二居室3は多目的ルームとされ、使い方は特に限定されるものではなく、多目的に利用することができる。本実施形態においては、ソファーやソファーテーブル、テレビ、テレビ台が置かれてリビングルームのような使い方が想定されているが、これに限られるものではない。例えば介護や子育ての部屋として利用したり、収納室として利用したり、シアタールームやラウンジ等として利用してもよい。
また、第二居室3は、このように多目的に利用することができるため、予め必要な設備や機能、家具等が備え付けられていてもよい。このような設備等としては、例えば音響設備やプロジェクター、AIスピーカー(スマートスピーカー)等が挙げられる。
【0024】
このような第二居室3は、図1図3に示すように、複数の壁によって囲まれて構成されている。複数の壁には、第二居室3の東側に位置する第一壁10と、北側に位置する第二壁20と、南側に位置する上記の第三壁30と、西側に位置する外壁40と、が含まれている。
すなわち、第一壁10及び外壁40は平行して配置され、第二壁20及び第三壁30は平行して配置されている。換言すれば、第一壁10及び外壁40は、平面視において第二壁20及び第三壁30に対して直交して配置されている。
【0025】
第一壁10の東側には第一居室4が配置されている。そのため、第一壁10には、第一居室4と第二居室3との間を出入りするための出入り用開口部11が形成されるとともに、当該出入り用開口部11を開閉する可動仕切り手段12が設けられている。
可動仕切り手段12は、第一居室4と第二居室3とを仕切るための装置であり、可動部である複数枚の仕切パネル13と、図示しないスライドレールと、を少なくとも有している。なお、スライドレールは、少なくとも、出入り用開口部11が形成された第一壁10における出入り用開口部11側端部に設けられるものとし、出入り用開口部11の床部分にも設けられてよい。
【0026】
仕切パネル13は、本実施形態においては3枚使用され、各々の縦横寸法は等しい。3枚の仕切パネル13を展開させると、出入り用開口部11を閉塞できるようになっている。つまり、仕切パネル13それぞれの幅寸法は、出入り用開口部11の幅寸法よりも短く設定されていることとなる。
換言すれば、出入り用開口部11の幅寸法は、仕切パネル13を3枚並べた場合と同程度に設定されており、比較的幅広に形成されていると言える。
【0027】
3枚の仕切パネル13は、出入り用開口部11の開放時には、第一壁10のうち出入り用開口部11の北側に位置する部位の側面14に重なり合って収納される。したがって、3枚の仕切パネル13を当該箇所(側面14の西側面)に収納すれば、出入り用開口部11を全開放することができる。出入り用開口部11は、上記のように比較的幅広に形成されているため、このように全開放できれば、第一居室4と第二居室3との空間的なつながりを強くすることができ、一つの大きな居室として認識させることが可能となる。
なお、側面14の部分には、複数の仕切パネル13を収納する戸袋状のパネル収納部を設けるようにしてもよい。
【0028】
なお、各仕切パネル13は、縦横の框材からなる矩形枠の内側に、上下に間隔を空けて並列する横桟を取り付けて、形成された小枠内に透光性パネルを嵌め込んだ構成となっている。透光性パネルは、透視性があってもよいし無くてもよく、本実施形態においては磨りガラス(アクリル板)が採用されている。
また、仕切パネル13の構成は、これに限られるものではなく、例えば複数の羽板を有するルーバーパネルであってもよいし、隙間も透光性も透視性もない板材等であってもよい。さらに、複数枚の仕切パネル13は連動して移動させることが可能に構成されてもよい(1枚目の仕切パネル13をある程度まで引き出すと、2枚目の仕切パネル13も引き出されるような構成を指す)。
【0029】
また、第一壁10における上記の側面14よりも北側に位置する部分は、第一居室4側に開口する収納4cとされている。
【0030】
この第一居室4には、キッチン台4a及びダイニングテーブル4bが配置されており、キッチン台4aでは日々の食事が作られ、家族で食卓を囲むような使い方が想定されている。すなわち、第一居室4は、日常的に家族が集う場所として利用される。
第一居室4の南側には、外壁及び掃き出し窓を介して、上記のテラス1bが設けられている。つまり、テラス1bは、第一居室4の延長線上にある寛ぎスペースとして機能することになる。
【0031】
第一居室4の北側には、内壁50が立設されている。この内壁50の中央部よりも西側には、扉付きの西出入口51が形成され、東側には、扉付きの東出入口52が形成されている。そして、内壁50のうち、西出入口51と東出入口52との間の中央部に、キッチン台4aが接して設けられている。また、ダイニングテーブル4bはキッチン台4aに接して設けられている。
【0032】
内壁50の北側には水廻り室5が配置されている。水廻り室5は、内壁50ののうち中央部から東側に位置する箇所の北側に位置する洗面所5aと、洗面所5aの西側に位置する浴室5bとを有している。水廻り室5は、内壁50に形成された東出入口52を通じて第一居室4との間を行き来できるようになっている。
なお、洗面所5aのうち北側に位置する部分は洗濯機置き場5cとされている。
【0033】
また、内壁50の北側には廊下6が配置されている。廊下6は、水廻り室5のうち洗面所5aの西側であって、かつ、浴室5bの南側に位置している。さらに、廊下5は、内壁50に形成された西出入口51を通じて第一居室4との間を行き来できるようになっている。なお、水廻り室5の洗面所5aと廊下6の東側端部との間の通路(出入口)には扉が設けられている。
【0034】
廊下6を西側に進んだ先の北側には、階段室7が配置されている。階段室7は、1階と2階(1.5階でもよい)とを接続する階段7aと、階段7a下に配置されることとなるトイレ7bと、トイレ7bの東側に位置する収納7cとを有している。
【0035】
廊下6を西側に進んだ先の西側であって、かつ、階段室7の南側には、テレワーク室8が配置されている。廊下6とテレワーク室8との間の出入口には扉が設けられている。
このテレワーク室8は、第二居室3の北側に位置する第二壁20の更に北側に位置している。すなわち、第二居室3とテレワーク室8との間には第二壁20が設けられ、第二居室3とテレワーク室8は、第二壁20を介して隣接配置されている。
【0036】
第二壁20には、第二居室3とテレワーク室8とを行き来するための出入口は形成されていない。そのため、第二居室3とテレワーク室8との間での直接の往来は不可となっている。また、テレワーク室8は、第二居室3には隣接して配置されているが、第一居室4とは隣接していない。すなわち、テレワーク室8と第一居室4との間には廊下6が介在しており、テレワーク室8と第一居室4は、直接行き来することができない。要するに、テレワーク室8は、廊下6を介してのみ他の部屋へと移動することができる。
【0037】
一方、第二壁20には、透視性を有する板材を含んで構成された2つの屋内窓21が設けられている。これら2つの屋内窓21は、いわゆる腰高窓であって、おおよそ大人の腰の高さからの上に位置している。また、2つの屋内窓21は、第二壁20のうち中央から西側端部寄りに配置されている。そのため、これら2つの屋内窓21と、第一壁10における出入り用開口部11は、斜めに対向して配置されることとなる。
さらに、上記の透視性を有する板材はサッシによって保持され、当該サッシは、屋内窓21用の開口部に嵌め込まれて固定されている。すなわち、2つの屋内窓21は嵌め殺し窓とされていて開閉しない。
なお、屋内窓21は、このように嵌め殺し窓を採用することが好適ではあるが、開閉可能な構成の窓を採用してもよい。その場合、屋内窓21の数も2つにする必要はなく、1つの引き違い窓でもよい。また、そもそも屋内窓21の数は、例えば連窓や段窓を採用して3つ以上であってもよい。
【0038】
さらに、第二壁20には、図示はしないが、第二居室3からテレワーク室8への視線を遮断可能な遮蔽部材が、屋内窓21に面して設けられている。遮蔽部材としては、回転可能な複数のスラットを有するブラインド装置や、カーテンレール及びカーテン布地を有するカーテン装置、ロールスクリーン等が挙げられる。
また、このような遮蔽部材は、第二居室3側よりも、テレワークを行う人が操作できるようにテレワーク室8側に設けられることが望ましい。
なお、遮蔽部材は、視線を遮断するだけでなく、遮音性(防音性)や遮光性等の機能を更に有していてもよい。
【0039】
さらに、テレワーク室8には、備え付けの机8aが設けられている。備え付けの机8aは、第二居室3の西側に位置する外壁40と一体の、テレワーク室8の西側に位置する外壁41と、第二壁20からテレワーク室8側に直交する袖壁22との間に架け渡されて設けられたカウンター板によって構成されている。
また、備え付けの机8aは、第二壁20のうち屋内窓21の下端部の直下に位置する部位に接して設けられている。つまり、備え付けの机8aは、3つの側端面が壁付けされている。このような備え付けの机8aを使ってテレワークを行う場合は、顔が屋内窓21側に向けられることとなる。
【0040】
なお、袖壁22は、第二壁20のうち東側の屋内窓21における東側の部位からテレワーク室8側に突出している。また、このような袖壁22の東側には、収納8bが設けられている。
【0041】
以上のように構成された住宅1においては、第一居室4と第二居室3との間の出入り用開口部11を可動仕切り手段12によって仕切ることができるので、キッチン台4a及びダイニングテーブル4bが配置された第一居室4を、コンパクトな状態の、家族が集う場所として利用することができる。
また、コンパクトな状態で利用できるのは第一居室4だけでなく、第二居室3も、可動仕切り手段12によって第一居室24との間の出入り用開口部11を閉塞すれば、コンパクトな状態で利用することができる。
【0042】
また、第一居室4は、内壁50のうちキッチン台4aを挟んで両側に西出入口51と東出入口52が設けられているので、洗面所5a及び廊下6を含んで回遊動線を形成することができる。すなわち、第一居室4におけるキッチン台4a及びダイニングテーブル4bの周囲と、洗面所5aと、廊下6を周回するような移動が可能となる。そのため、廊下6の先にあるテレワーク室8での仕事と、第一居室4や洗面所5aでの家事とを両立しやすくなるメリットがある。
【0043】
さらに、第二居室3は、上記のように多目的ルームとして構成されているため、様々な用途で使い分けるようにしてもよい。第一居室4と第二居室3とを可動仕切り手段12によって仕切ることで双方をコンパクトな(クローズの)状態で使用したり、出入り用開口部11を開放してオープンの状態で使用したりしてアレンジが可能となるため、多様化するライフスタイルに対応しやすくなる。
【0044】
テレワーク室8では、机8a及び屋内窓21側に顔を向けてテレワークを行うことになる。そのため、第二居室3内の様子はもちろんのこと、出入り用開口部11が開放されていれば第一居室4内の様子も窺うことができ、場合によっては、第一居室4の南側に位置するテラス1bの様子を窺うこともできる。
また、玄関室2との間の出入口31が第二居室3側に向けられて配置されているので、玄関室2と第二居室3との間の人の出入りを目で見て確認することができる。
なお、家族の帰宅や外出は、第二居室3経由はもちろんのこと、家族が集う場所である第一居室4を必ず経由することになるので、家族同士でのコミュニケーションがとりやすくなる。
【0045】
本実施形態によれば、以下のような優れた効果を奏する。
すなわち、キッチン台4a及びダイニングテーブル4bが配置された第一居室4と、第一居室4に隣接して配置された第二居室3と、を備えており、第一居室4と第二居室3との間には、第一居室4と第二居室3との間を出入りするための出入り用開口部11が形成されるとともに、当該出入り用開口部11を開閉する可動仕切り手段12が設けられた第一壁10が立設されているので、可動仕切り手段12によって出入り用開口部11を開放したり閉塞したりすることができる。これにより、普段は、可動仕切り手段12によって出入り用開口部11を閉塞し、キッチン台4a及びダイニングテーブル4bが配置された第一居室4を、コンパクトな状態の、家族が集う場所として利用することができる。そのため、コンパクトな状態の第一居室4と、第一居室4に対して仕切られた第二居室3における空調効率の向上を図ることができる。空調効率の向上を図ることができれば、住宅1に使用されるエネルギーの低減につながるため、コストの低減だけでなく、カーボンニュートラルの面でも有利となる。また、出入り用開口部11を開放すれば、第一居室4と第二居室3とを連続した空間にすることができるので、状況に応じたアレンジが可能となる。
さらに、備え付けの机8aが設けられ、第一居室4と隣接せずに第二居室3に隣接して配置されたテレワーク室8を更に備えており、第二居室3とテレワーク室8との間には、透視性を有する板材を含んで構成された屋内窓21が設けられた第二壁20が立設され、テレワーク室8における備え付けの机8aは、第二壁20の屋内窓21に面して配置されているので、屋内窓21から見える範囲で第二居室3内の様子を窺うことができる。しかも、テレワーク室8は、家族が集う場所である第一居室4に隣接しないため集中して仕事に臨むことができる。つまり、テレワーク室8で集中して仕事をしつつ、例えば家族の様子が気になればすぐに屋内窓21から様子を窺うことができる。出入り用開口部11を開放して第一居室4と第二居室3とを連続した空間にすれば、屋内窓21から様子を窺いやすくなる。
【0046】
また、第一壁10と第二壁20は、互いに直交する方向に配置され、出入り用開口部11と屋内窓21は斜めに対向して配置されているので、出入り用開口部11が開放された状態であれば、屋内窓21から見える範囲で第一居室4内の様子を窺うことができる。
【0047】
また、可動仕切り手段12は、出入り用開口部11を閉塞する複数の仕切パネル13を有し、複数の仕切パネル13それぞれの幅寸法は、出入り用開口部11の幅寸法よりも短く設定されているので、出入り用開口部11の幅寸法は、少なくとも一枚一枚の仕切パネル13よりも幅広に設定されることとなる。これにより、出入り用開口部11を開放したときの第一居室4と第二居室3との空間的な一体性を高めることができるので、第一居室4と第二居室3とを接続して広い空間を確保するアレンジが可能となる。また、屋内窓21から様子を窺う場合も、出入り用開口部11が幅広である方が様子を窺いやすくなる。
【0048】
また、第二居室3に隣接して配置された玄関室2を更に備えており、第二居室3と玄関室2との間には、第二居室3と玄関室2との間を出入りするための出入口31が形成された第三壁30が設けられ、第二壁20と第三壁30は平行に配置されているので、出入口31を通じて玄関室2に出入りする人の様子を屋内窓21から窺うことができる。これにより、例えば家族の帰宅や外出に気づくことができる。
【0049】
また、屋内窓21は腰高窓とされており、テレワーク室8における備え付けの机8aは、第二壁20のうち屋内窓21の下端部の直下に位置する部位に接して設けられているので、テレワーク中は屋内窓21に顔を向けて仕事をすることになる。そのため、屋内窓21から第二居室3側の様子を窺いやすくなる。
【0050】
〔変形例〕
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下、変形例について説明する。以下に挙げる変形例は可能な限り組み合わせてもよい。また、以下の各変形例において、上述の実施形態と共通する要素については、共通の符号を付し、説明を省略又は簡略する。
【0051】
〔変形例1〕
上記の実施形態においては、玄関室2から住宅1の奥に入ると第二居室3へと至る構造となっていたが、図4に示す住宅1Aは、玄関室2から住宅1の奥に入ると第一居室4へと至る構造となっている。
【0052】
より詳細に説明すると、本変形例の住宅1においては、玄関室2と第一居室4との間に内壁60が設けられ、玄関室2には、当該内壁60から玄関室2側に突出し、第三壁30と平行する袖壁61が設けられている。そして、この袖壁61と第三壁30とが平行して配置されており、これら袖壁61と第三壁30との間に出入口31が形成されるとともに扉32が設けられている。
【0053】
したがって、玄関室2を通る人の様子を、テレワーク室8側から窺いにくくなる。換言すれば、玄関室2における人の出入りが、テレワーク室8での仕事の妨げになりにくい。これにより、テレワーク室8で集中して仕事しやすくなる。また、出入り用開口部11が開放されていれば、屋内窓21から第一居室4内の様子を窺うことができるので、玄関室2と第一居室4との間の人の移動を確認することも可能となる。
【0054】
また、上記の実施形態においては、第一居室4の南側にはテラス1bが配置されていたが、本変形例においては、第一居室4の南側にウッドデッキ1eが配置されている。
【0055】
以上のような本変形例によれば、普段はコンパクトな状態で使える居室3,4を確保し、居室3,4における空調効率の向上を図りつつ、居室3,4を状況に応じてアレンジ可能とし、さらに、居室3,4の様子を窺いながらテレワークを行うことができる。
【0056】
〔変形例2〕
上記の実施形態においては、玄関室2は第二居室3の南側に配置されていたが、本変形例においては、図5に示す住宅1Bにおいては、玄関室2が、第二居室3の北側に配置されたテレワーク室8の更に北側に配置されている。
また、本変形例においては、玄関室2の北側に階段室7が配置され、階段室7の東側に水廻り室5が配置されている。そして、玄関室2の東側には、第一居室4が配置されており、玄関室2の東側端部が出入口2dとされている。
なお、第一居室4と水廻り室5との間の内壁50には、出入口が形成されていない。
【0057】
玄関室2と第二居室3との間には、壁70が立設さされている。この壁70は、玄関室2に面する部分と玄関ポーチ1a(すなわち、屋外)に面する部分とを有している。
一方、第二壁20は、壁70と平行して配置されており、第二居室3の西側に位置する外壁40から東側の第一居室4に向かって伸びるようにして配置されている。ただし、出入り用開口部11には達しない幅寸法に設定されている。したがって、第二壁20は、あたかも第二居室3の内部に配置されているような状態、もしくは、第二居室3を第二壁20で南北に仕切ったような状態となっている。
テレワーク室8は、以上のような、玄関室2と第二居室3との間の壁70と、当該壁70と平行する第二壁20との間に設けられている。
【0058】
壁70の屋外側端部には、当該壁70と直交する外壁71が一体に設けられ、テレワーク室8における西側の外壁を構成している。また、壁70の中央部には、当該壁70と直交する袖壁72が一体に設けられている。
テレワーク室8における備え付けの机8aは、外壁71と袖壁72との間に架け渡されて設けられたカウンター板によって構成されている。また、備え付けの机8aは、壁70に接して設けられている。つまり、備え付けの机8aは、3つの側端面が壁付けされている。なお、袖壁72の東側には、収納8bが設けられている。
備え付けの机8aは、第二壁20に設けられた2つの屋内窓21のちょうど北側に位置しており、当該2つの屋内窓21に面してはいるものの、第二壁20に接してはいない。
【0059】
また、テレワーク室8の出入口8c(扉付き)は、テレワーク室8の東側端部に設けられている。テレワーク室8の東側端部は、出入り用開口部11(すなわち、第一壁10)から西側に離間した位置にある。そのため、テレワーク室8の出入口8cは、第二居室3内に設けられたような状態となっている。
【0060】
本変形例のテレワーク室8では、机8a側に顔を向けてテレワークを行うことになるため、屋内窓21には背を向けてテレワークを行うこととなる。そのため、第二居室3内の様子を窺うときには振り向いて顔を屋内窓21に向けるようにする。また、第一居室4内の様子を窺うときには出入口8cを開放し、横に顔を向けるようにする。
また、壁70には開口部がないため、玄関室2における人の出入りを目で見て確認することができないが、テレワーク室8西側の外壁71に設けられた窓71aから屋外の様子を窺うことは可能となっている。
【0061】
以上のような本変形例によれば、普段はコンパクトな状態で使える居室3,4を確保し、居室3,4における空調効率の向上を図りつつ、居室3,4を状況に応じてアレンジ可能とし、さらに、居室3,4の様子を窺いながらテレワークを行うことができる。
【符号の説明】
【0062】
1,1A,1B 住宅
2 玄関室
3 第二居室
4 第一居室
4a キッチン台
4b ダイニングテーブル
8 テレワーク室
8a 机(カウンター)
10 第一壁
11 出入り用開口部
12 可動仕切り手段
20 第二壁
21 屋内窓
22 袖壁
30 第三壁
31 出入口
41 外壁
図1
図2
図3
図4
図5