(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149641
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】レンジフード
(51)【国際特許分類】
F24F 7/06 20060101AFI20231005BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F24F7/06 101A
B08B3/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058320
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000237374
【氏名又は名称】富士工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 康司
(72)【発明者】
【氏名】菊地 優毅
【テーマコード(参考)】
3B201
3L058
【Fターム(参考)】
3B201AA47
3B201AB51
3B201BB22
3B201BB92
3L058BK06
(57)【要約】
【課題】洗浄時における電装部品等への悪影響を防ぐ。
【解決手段】レンジフードは、ファンと、ファンケーシングと、煙道部材と、ノズルとを備え、前記ファンは前記ファンケーシング内に設けられ、前記ファンケーシングは吸気口と排気口を有し、前記煙道部材は前記ファンケーシングの前記吸気口と連通するものであり、前記ノズルは、前記ファンケーシングの前記吸気口を有する面に設けられ、前記ファンケーシング内部に洗浄液を導入するものであり、前記煙道部材は、前記ノズルが前記煙道部材の外にあるように、ノズル回避部が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンと、ファンケーシングと、煙道部材と、ノズルとを備え、
前記ファンは前記ファンケーシング内に設けられ、
前記ファンケーシングは吸気口と排気口を有し、
前記煙道部材は前記ファンケーシングの前記吸気口と連通するものであり、
前記ノズルは、前記ファンケーシングの前記吸気口を有する面に設けられ、前記ファンケーシング内部に洗浄液を導入するものであり、
前記煙道部材は、前記ノズルが前記煙道部材の外にあるように、ノズル回避部が設けられていることを特徴とするレンジフード。
【請求項2】
前記ファンは前記ファンの回転の中心軸が水平に又は傾斜するように設置され、
前記ノズル及び前記ノズル回避部の少なくとも一部は、前記中心軸を水平方向に移動してできる平面よりも上方に設けられることを特徴とする請求項1に記載のレンジフード。
【請求項3】
前記ノズルは前記ファンの外周よりもファンの直径方向外側に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のレンジフード。
【請求項4】
前記ノズルは、前記ファンケーシングの排気口近傍に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のレンジフード。
【請求項5】
前記煙道部材は前面視で、前記ノズル回避部によって、上側に行くほど細くなる形状であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載のレンジフード。
【請求項6】
前記ファンケーシングの吸気口は、前記レンジフードの左右のどちらか一方に寄っており、他方に位置する前記ノズル回避部は、前記煙道部材の高さ方向の少なくとも中心より下まで延設されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載のレンジフード。
【請求項7】
前記吸気口の中心は、前記煙道部材の高さ方向の中心よりも上方にあることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載のレンジフード。
【請求項8】
前記煙道部材は、前記ファンケーシングの前記吸気口と連通する面と、その対面と、これら2つの面の間をつなぐ側面と、前記連通する面と前記対面と前記側面との上部を塞ぐ上面とを備え、
前記煙道部材の側面に形成される角部及び/又は前記側面と前記上面との間の角部は90°より大きい角度であることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載のレンジフード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンジフードに関する。
【背景技術】
【0002】
レンジフードは、特許文献1に記載されているように、ファンの自動洗浄機能を備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の従来技術によるレンジフードは、洗浄時に発生する水飛沫が電装部品等にかかって濡らしてしまうと共に、汚してしまい、これらによる作動不全が生じるおそれがある。
このため、洗浄時における電装部品等への悪影響を防ぐことができるレンジフードが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために請求項1記載によるレンジフードは、ファンと、ファンケーシングと、煙道部材と、ノズルとを備え、前記ファンは前記ファンケーシング内に設けられ、前記ファンケーシングは吸気口と排気口を有し、前記煙道部材は前記ファンケーシングの前記吸気口と連通するものであり、前記ノズルは、前記ファンケーシングの前記吸気口を有する面に設けられ、前記ファンケーシング内部に洗浄液を導入するものであり、
前記煙道部材は、前記ノズルが前記煙道部材の外にあるように、ノズル回避部が設けられていることを特徴とする。
【0006】
前記ファンは前記ファンの回転の中心軸が水平に又は傾斜するように設置され、前記ノズル及び前記ノズル回避部の少なくとも一部は、前記中心軸を水平方向に移動してできる平面よりも上方に設けられることが好ましい。
【0007】
前記ノズルは前記ファンの外周よりもファンの直径方向外側に設けられていることが好ましい。
【0008】
前記ノズルは、前記ファンケーシングの排気口近傍に設けられていることが好ましい。
【0009】
前記煙道部材は前面視で、前記ノズル回避部によって、上側に行くほど細くなる形状であることが好ましい。
【0010】
前記ファンケーシングの吸気口は、前記レンジフードの左右のどちらか一方に寄っており、他方に位置する前記ノズル回避部は、前記煙道部材の高さ方向の少なくとも中心より下まで延設されていることが好ましい。
【0011】
前記吸気口の中心は、前記煙道部材の高さ方向の中心よりも上方にあることが好ましい。
【0012】
前記煙道部材は、前記ファンケーシングの前記吸気口と連通する面と、その対面と、これら2つの面の間をつなぐ側面と、前記連通する面と前記対面と前記側面との上部を塞ぐ上面とを備え、前記煙道部材の側面に形成される角部及び/又は前記側面と前記上面との間の角部は90°より大きい角度であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、以上の構成により、洗浄時における電装部品等への悪影響を防ぐことができるレンジフードを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)は、本発明に係る実施形態のレンジフード1を前方から見た図であり、(b)は、同レンジフード1を側方から見た図である。
【
図2】同レンジフード1の前方から見た断面図 である。
【
図3】同レンジフード1の後方から見た断面図である。
【
図4】同レンジフード1の側方から見た断面図であり、排液タンク部分を断面している。(a)は全体図、(b)タンク収納部8部分の拡大図である。
【
図6】(a)は、給液タンク6の斜視図であり、(b)は、排液タンク7の斜視図である。
【
図7】タンク収納部8を上側から見た図であり、給液タンク6と排液タンク7を仮想線で示している。
【
図8】レンジフード1を下方から見た斜視図であり、(a)は、蓋部62を閉じた状態を示し、(b)は蓋部62を開いた状態を示す。
【
図9】レンジフード1の変形例1、2を説明する概略図であり、(a)は、変形例1であるレンジフード1aにおいて、上面を有するタンク収納部8aの上方に、タンク収納部8aとは別体の排液受け部82aが設けられた構成を示し、(b)は、変形例2であるレンジフード1bにおいて、上面を有さないタンク収納部8b上方に、タンク収納部8bとは別体の排液受け部82aが設けられた構成を示す。
【
図10】レンジフード1の制御システム9のブロック図である。
【
図15】長期未洗浄のシーケンスを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態のレンジフード1を説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
以下、レンジフード1の各部分構成について、詳細に説明するが、本発明の特徴部分に、特に、関連が深い記載個所は、[0021]~[0026]及び
図1~3である。なお、他の箇所にも、本発明の特定事項についての記載があることは言うまでもない。
【0016】
[レンジフードの基本構成]
レンジフード1は、
図1に示すように、本体ケース10と、本体ケース10内に設けられた煙道部材2と、煙道部材2と連通するように設けられたファンケーシング3と、ファンケーシング3内に軸支されたファン4と、ファンケーシング3の前面31に設けられたノズル5と、ファンケーシング3の下方に設けられた洗浄用タンクとしての給液タンク6及び排液タンク7とを備えている。
また、レンジフード1は、ファン4の自動洗浄機能を有するものであり、後述するように各種モードでの自動洗浄運転ができるようにされている。
なお、本発明は、ファンとフィルタが一体となったファンフィルタを自動洗浄するレンジフードも含まれる。
【0017】
本体ケース10は、
図1に示すように、下方を開口したフード部11と、フード部11内の下端側に設けられた整流板12と、フード部11の後半部側に上方へ突出するように設けられたファン収納部13とを備えて構成される。
【0018】
フード部11は、
図2及び
図4(a)に示すように、下向きの開口を有する扁平凹状に形成されている。
フード部11の前端には、
図1に示すように、自動洗浄に関係する操作やレンジフード1の通常運転に関係する操作を行う操作部14と、各種表示が行われる表示部15が設けられている。
【0019】
整流板12は、
図2、
図4(a)及び
図8に示すように、平面視略矩形板状に形成され、フード部11の内側の上部との間に間隔を置くと共に、フード部11の内側の側部との間にも間隔を置くようにして、フード部11の開口内に吊持されている。
【0020】
ファン収納部13は、
図3及び
図4(a)に示すように、箱状に形成されており、このファン収納部13内にファンケーシング3が内蔵されている。
又はファン収納部13の内部には、制御部16が配置されており、この制御部16により自動洗浄運転(洗浄モード)が制御される。
【0021】
[煙道部材の構成]
煙道部材2は、
図1及び
図2に示すように、ファン収納部13の内側の前側にファンケーシング3の吸気口30と連通するように設けられており、フード部11から捕集された油煙や排ガス等を吸気口30方向へ案内する部材である。
煙道部材2は、ファンケーシング3の吸気口30と連通する面(後面)と、その対面(前面)と、これら2つの面の間をつなぐ側面(左右側面)と、後面と前面と左右側面との上部を塞ぐ面(上面)とを備えて形成されている。
【0022】
煙道部材2は、
図2に示すように、左右側面を上方に向かって細くなる(上方が先細り状になる)ように傾斜させており、左側の傾斜部分がファンケーシング3の前面31に取り付けられたノズル5を回避するノズル回避部20である。
右側の傾斜部分は、油煙や排ガス等をファンケーシング3の吸気口30方向へ案内する案内面21であり、内側の後面には吸気口30と正対する開口部22が設けられている。
【0023】
傾斜したノズル回避部20は、ファンケーシング3の前面31を貫通するように設けられたノズル5と干渉しないように、ノズル5が煙道部材2の外側に位置する形状、配置となっているものである他、油煙や排ガス等をファンケーシング3の吸気口30方向へ案内するものである。傾斜角度は、水平面に対して20~70度程度の範囲がより好ましい。
【0024】
煙道部材2のノズル回避部20と案内面21の下端には、
図2に示すように、それぞれ角部200、210を介して下方に連続する直線部201、211が連設されている。
また、煙道部材2の上面23とノズル回避部20は、角部231を介して連設され、上面23と案内面21は、角部232を介して連設されている。
角部200、210、231、232の角度は、油煙や排ガス等をファンケーシング3の吸気口30方向への高い案内機能の確保や角部200、210の清掃をしやすくするという観点から、90度より大きい角度が好ましい。
直線部201、211は、捕集される油煙や排ガス等の捕集空間を煙道部材2内に確保すると共に、油煙や排ガス等を上方に案内するものである。
【0025】
煙道部材2の開口部22の径は、ファン4の外径よりも大きくされており、ファン4を前面から着脱できるようになっている。
また、開口部22の径は、ベルマウスb(
図4(a)参照)を取り付けることができる大きさである。
また、ベルマウスbの取り付け状態では、ベルマウスbの内径がファン4の外径よりも小さいため 、開口部22からファン4の着脱ができないようになっていると共に、ベルマウスbを外すことで、ファン4を取り外すことができるようになっている。
【0026】
ノズル回避部20は、ノズル回避部の上端が、ファン4の中心軸(回転軸)40を無限に延長した仮想的な直線(以下、「仮想線)という)を水平方向(図示では左右水平方向、つまり仮想線を含む鉛直面の垂直方向)に移動させてできる面を含む平面よりも上方の空間に位置している。
言い換えれば、ノズル回避部20は、上方寄りの一部がファン4の中心軸40よりも上方に位置するように設けられている。
また、ノズル回避部20は、上方寄りの一部と同じ傾斜角で連続する他部が煙道部材2の中心よりも下まで(図示では、煙道部材2の下端近傍まで)延設するように設けられている。
図示においてノズル回避部20は、同一角度の平面として形成したものであるが、この形状に限らず、異なる角度の平面を複数連接した形状、曲面とした形状等が例示できる。
これにより、煙道部材の下方の開口を広くすることができるので、吸い込み面積が大きくなり、油煙や排ガス等の吸い込み機能を向上させることができる。
また、間口を広くしたことで、煙道部材2の内部に手を入れやすくなるため、清掃を容易に行うことができる。
煙道部材2の角部210の位置は、ファン4の中心軸40よりも上方に位置しているが、この角部210の位置をファン4の中心軸40よりも下方に位置させてもよい。
【0027】
[ファンケーシングの構成]
ファンケーシング3は、
図2~
図4(a)に示すように、前面31に吸気口30が設けられていると共に、上方に排気口32が設けられ、且つ最下部に排液孔33が設けられている。
【0028】
ファンケーシング3の前面31には、ノズル5の上流接続部51を備えた取り付け部50が取り付けられているともに、取り付け部50の前面にノズル5の上流接続部51がファンケーシング3から露出するように取り付けられており、ノズル5の着脱や掃除、交換を前方からできるようになっている。
【0029】
吸気口30の中心は、煙道部材2の高さ方向の中心よりも上方に位置させてあり、これにより、吸気口30の位置を煙道部材2の上方に位置させることができるので、煙道部材2の開口部22よりも上方に流れた油煙や排ガス等を吸い込みやすくすることができる。
また、吸気口30の径はベルマウスbの外径より小さいため、ベルマウスbを取り付けることができる大きさである。
また、ベルマウスbの取り付け状態では、ベルマウスbの内径がファン4の外径よりも小さいため 、吸気口30からファン4の着脱ができないようになっていると共に、ベルマウスbを外すことで、ファン4を取り外すことができるようになっている。
また、前面視において吸気口30の中心位置は、レンジフード1中心の右寄り(一方)に設けられており、これにより、排気口32をレンジフード1の左右中心付近に設けることができる。また、ノズル回避部20は前記一方とは逆の左寄り(他方)に設けられる。
【0030】
排液孔33は、タンク収納部8の収納部凹部80の第一収納部凹部開口部81aの直上に位置しており、排液孔33から排液された排液を第一収納部凹部開口部81aに流下できるようになっている。
【0031】
[ファンの構成]
ファン4は、前後方向に伸びた水平な中心軸(回転軸)40を有し、ファンケーシング3内でモータmに軸支され、モータmによる駆動回転によって、吸気口30から油煙や排ガス等を吸気して排気口32へ向かって強制搬送する。
ファン4の中心軸40は、前後方向に水平としているが、傾斜していてもよい。傾斜角度は、水平面に対して45度以下の範囲がより好ましい。又はファン4はシロッコファンであるが、他のファンを使用してもよい。
【0032】
[ノズルの構成]
ノズル5は、
図1~
図3に示すように、洗浄液をファンケーシング3内に導入するためのものである。
ノズル5は、ノズル回避部20によって露出したファンケーシング3の前面31から導入口52(
図5参照)がファンケーシング3の内側に臨むように取り付けられており、導入口52からファン4に向けて洗浄液を噴射するものである。
本発明では、洗浄液をノズル5の導入口52からファン4に向けて噴射する構成に限らず、洗浄液をノズルの導入口52からファンケーシング3内に流し入れる構成としてもよい。
この場合の洗浄液は、ファン4の一部に洗浄液が接触する程度にファンケーシング3内に溜められ、ファン4が回転することによって、ファン4の全体が洗浄液で洗浄される。
【0033】
上流接続部51は、
図5に示すように、給液タンク6の接続口60とポンプpを介して接続されており、ポンプpによって、給液タンク6の洗浄液をファン4に向けて導入口52から噴射するようにされている。
ポンプpは、制御部16によって、自動洗浄におけるオン・オフが切り替え制御される。
【0034】
ノズル5は、
図3に示すように、ファン4の外周よりも直径方向外側に設けられている。これにより、回転しているファン4に洗浄液を噴射しても、洗浄液がファンケーシング3の吸気口30からファンケーシング3の外に漏れることを防止することができる。
また、上流接続部51及び導入口52が、ファン4の中心軸40を左右の水平方向に移動させてできる面を含む平面よりも上方の空間に位置している(
図3参照)。
言い換えれば、ノズル5は、上流接続部51及び導入口52が、ファン4の中心軸40よりも上方に位置するように設けられている。
さらに、
図3に示すように、ノズル5の導入口52が、ファンケーシング3の排気口32近傍、具体的には、前面視でファン4の中心軸40より左側(
図3では右側)且つ上側の範囲に設けられている。
【0035】
これにより、ノズル5の導入口52をファンケーシング3内に付いた油等が垂れてくる量が少ないファンケーシング3の上方に位置させることができるため、導入口52における油等の付着による詰まりを軽減することができる。
又はファンケーシング3の前面、且つ排気口32の近傍は、ファン4の回転による圧力が低くなりやすい位置であるため、ノズル5の導入口52からの噴射に与える影響が少なく、導入口52の配置位置として適している。
【0036】
ノズル5には、
図5に示すように、ファン4の送風時に煙道部材2を通っていない空気をファンケーシング3内に誘引する誘引孔53が設けられている。
誘引孔53の通常の排気運転時のファンケーシング3内の空気の流れの下流側に導入口52があるように配置されることが好ましい。
レンジフード1の通常の排気運転時には、ファンケーシング3内ではファン4により空気が流れている。そのため、誘引孔53からファンケーシング3内に誘引された煙道部材2を通っていない空気(外気)が、ファン4により発生した空気の流れに乗って誘引孔53の下流に流れる。そして、上述した導入口52と誘引孔53の配置においては、誘引孔53からファンケーシング3内に誘引された煙道部材2を通っていない空気である清浄な空気が、導入口52付近を流れることになる。
すなわち、導入口52付近を通過する外気によって、ファンケーシング3内に吸い込まれた油煙や埃が導入口52に接触することを抑制して導入口52の詰まりを防止できる。
【0037】
本実施形態では、レンジフード1の通常の排気運転(ファン4の正回転)時に、ファンケーシング3内の導入口52付近では、ファン4の正回転方向に空気が流れている。
そこで、誘引孔53は、導入口52を基準としてファン4の逆回転方向となる位置(
図5においては、導入口52よりも下方且つ右側の部分)に配置されている。
すなわち、誘引孔53は、以下に説明するような位置に設けられている。
まず、ファンケーシング3の導入口52が設けられた内面上で、導入口52を原点として、水平方向の軸をx軸、鉛直方向の軸をy軸とする。ファンケーシング3の内面から見て、x軸ではファン4から離れる方向を正方向、y軸では上方向を正方向とするxy座標を考える。
次に、ファンケーシング3の導入口52が設けられた内面上で、ファン4の中心軸40を中心とする円のうち、導入口52を通る円を考える。この円の導入口52での接線上にあり、導入口52を始点として、ファン4の逆回転方向と同じ方向を向くベクトルを設定する。
そして、上記xy座標の第1~4象限のうち、上記ベクトルが存在する象限(本実施形態では、第4象限)内の位置に誘引孔53が設けられている。
また、本実施形態では、ノズル5が排気口32近傍に設けられているため、ファンケーシング3内の導入口52付近では、ファン4の正回転方向で且つ排気口32に向かう上方向に空気が流れている。
そこで、誘引孔53は、第4象限の中でも、上記円における、導入口52からファン4の逆回転方向の円弧上よりも上記円の中心側に位置することがさらに好ましい。
また、誘引孔53は、導入口52付近に十分な外気を供給できるように、導入口52の近く、例えば、導入口52から10cm以内、さらには5cm以内に配置することが好ましい。
これにより、通常の排気運転(ファン4の正回転)時に、誘引孔53から外気をファンケーシング3内に誘引することができ、誘引された外気が導入口52付近を通過することができる。
【0038】
ノズル5は、
図5に示すように、導入口52の上部に第一誘導凸部54を備えていると共に、誘引孔53の上部に第二誘導凸部55を備えている。
【0039】
第一誘導凸部54は、排気運転後にファンケーシング3内の壁面を伝って垂れてくる油分や水滴等が導入口52に入らないようにするものであり、ファンケーシング3の下方に流れ落ちるように誘導するために、導入口52の上部から側部を囲むように形成され、且つ洗浄液の噴射に邪魔にならないように形成されている。
【0040】
第二誘導凸部55は、排気運転後にファンケーシング3内の壁面を伝って垂れてくる油分や水滴等が誘引孔53に入らないようにするものであり、ファンケーシング3の下方に流れ落ちるように誘導するために、誘引孔53上部から側部を囲むように形成されている。
【0041】
このような第一誘導凸部54によって、導入口52の詰まりが防止されて洗浄液の噴射が確実にでき、第二誘導凸部55によって、誘引孔53の詰まりが防止されて外気の誘引を確実にできる。
ノズル5は、ファンケーシング3の後面(吸気口を有する面の対面)、且つ排気口32の近傍に取り付けてもよく、この位置も、ファン4の回転による圧力が低くなりやすい位置であるため、ノズル5の導入口52からの噴射の影響が少なく、導入口52の配置位置として適している。
また、誘引孔53や第一誘導凸部54や第二誘導凸部55は、ファンケーシング3に設けられていてもよい。
【0042】
[給液タンクの構成]
給液タンク6は、
図3、
図7及び
図8に示すように、ファンケーシング3の下方に設けられたタンク収納部8に対して、レンジフード1の下面に設けられる開閉蓋85を開けて、レンジフード1の下方から着脱自在に収納される。
【0043】
給液タンク6は、
図6(a)及び
図7に示すように、後方側に前述の接続口60が設けられ、接続口60から給液タンク6の内部に吸い込み経路(図示せず)が延伸している。そして、吸い込み経路の先端である吸い込み口(図示せず)は、給液タンク6の底部に開口しており、給液タンク6中の洗浄液をほぼ完全に吸い出すことができるようになっている。
また、給液タンク6の上部には、給液口61及び給液口61を開閉する蓋部62が設けられており、蓋部62によって給液口61を塞ぐことができるため、給液タンク6をタンク収納部8に着脱する際に洗浄液が給液口61から漏れることを防ぐことができる。
また、
図7に示すように、給液タンク6の側方には、タンク収納部8に設けられた洗浄用タンク着脱センサとしての給液タンク着脱センサ8saに検出される被検出部63が設けられている。
給液タンク着脱センサ8saは、例えば近接センサであり、給液タンク6がタンク収納部8に正常に収納された場合に、被検出部63を検出するように制御部16で制御され、この検出時には、ポンプpが作動できるように制御される。
被検出部63は、マグネットを使用することができる。
【0044】
[排液タンクの構成]
排液タンク7は、
図3、
図7及び
図8に示すように、ファンケーシング3の下方に設けられたタンク収納部8に対して、レンジフード1の下面に設けられる開閉蓋85を開けて、レンジフード1の下方から着脱自在に収納される。
【0045】
排液タンク7の側方には、
図7に示すように、タンク収納部8に設けられた排液タンク着脱センサ8sbに検出される被検出部73が設けられている。
排液タンク着脱センサ8sbは、例えば近接センサであり、排液タンク7がタンク収納部8に正常に収納された場合に、被検出部73を検出するように制御部16で制御され、この検出時には、ポンプpが作動できるように制御される。
被検出部63は、マグネットを使用することができる。
【0046】
排液タンク7上面には、
図4、
図6(b)及び
図7に示すように、排液タンク7上面よりもさらに凹んだタンク凹部71が形成され、タンク凹部71には排液口部70が形成されている。
排液タンク7の上面周囲には、壁部72が立設されており、ファンケーシング3から流れてきて排液タンク7上面で受けた排液が周囲から漏れないようにしている。
【0047】
排液口部70は、排液タンク7内と連通されており、受けた排液を排液タンク7内に流下させる。
排液口部70は、
図6(b)に示すように、タンク凹部71の底部710に設けられており、第一排液口701と第二排液口702とを有している。
【0048】
第一排液口701は、
図4(b)及び
図7に示すように、タンク収納部8に設けられた収納部凹部80の第一収納部凹部開口部81aの直下に位置しており、ファンケーシング3の排液孔33から排液された排液が、第一収納部凹部開口部81aを経て第一排液口701に至り、第一排液口701から排液タンク7に排液される。
第一排液口701の縁回りには、第一収納部凹部開口部81aに取り付けられたパッキン810が接触しており、第一収納部凹部開口部81aから第一排液口701に排液される排液の第一排液口701外への漏れが防止されている。
ここでパッキン810は、第一収納部凹部開口部81aに取り付けられた状態で、上端がファンケーシング3の排液孔33周りにも接触し、下端が排液口部70の第一排液口701の縁回りにも接触することで、排液孔33から第一排液口701に至る排液道中において排液の漏れを防止するものである。
【0049】
第二排液口702は、第一排液口701に対して前方側で隣り合うように配置され、第一排液口701よりも前後幅を狭くして形成されている。
【0050】
第一排液口701と第二排液口702は、前後方向で接続溝部703により接続されており、パッキン810の下端が接触して防水された第一排液口701に、タンク収納部8に設けられた収納部凹部80の第一収納部凹部開口部81aから一気に排液が排液された場合でも、接続溝部703を通して第二排液口702に流すようにすることで、排液を逆流させることなくスムーズにできるようになっている。
収納部凹部開口部81のパッキン810は、第一排液口701の縁回りに対してわずかな範囲であれば離間させていても、ある程度の防水効果を有し、また、接続溝部703を通して第二排液口702へ流すことができるが、確実な防水効果を得るには、収納部凹部開口部81のパッキン810が接触している構成が好ましい。
【0051】
タンク凹部71は、
図6に示すように、周囲上部から底部710に向かう傾斜面711、712、713、714が形成されており、タンク凹部71の外側から底部710に向けて排液を案内するようにされている。多くの排液が流れ込み、第二排液口702でも排液しきれなかったとしても、タンク凹部71に排液を溜めることができるため、排液を排液タンク7に流し込むことができる。
【0052】
傾斜面711、712、713、714のうち、後側の傾斜面711は、最も緩斜面、且つ長い傾斜にされており、排液が後側に流れても、緩やかに勢いを止めると共に、底部710に向けて排液をスムーズに案内することができる。
また、底部710には、後側の傾斜面711側から第一排液口701につながる流入用溝部704が設けられており、後側の傾斜面711側に排液が流れても、第二排液口702側に回り込むことなく、流入用溝部704を通じて第一排液口701にスムーズに案内できる。
【0053】
[タンク収納部の構成]
タンク収納部8は、
図3及び
図4に示すように、ファンケーシング3の下側に配置されている。
また、タンク収納部8は、
図8に示すように、レンジフード1の下面に備えられた開閉蓋85を開けて、タンク収納部8の内部に給液タンク6と排液タンク7をレンジフード1の下方から着脱自在に装着することができるようになっている。
タンク収納部8は、
図4(b)に示すように、タンク収納部8の上面の一部に排液受け部82を有し、排液受け部82の上面820に収納部凹部80が設けられていると共に、収納部凹部80の底部に収納部凹部開口部81が設けられている。
なお、タンク収納部8の大きさや構造、ファンケーシング3との位置関係によっては、タンク収納部8の上面をすべて排液受け部82とすることも可能である。
【0054】
収納部凹部80は、
図3及び
図4(b)に示すように、ファンケーシング3の排液孔33の直下に収納部凹部開口部81としての第一収納部凹部開口部81aが位置するように設けられており、排液孔33から排液される排液のほとんどを受けることができるようにされている。
【0055】
また、
図3、
図4及び
図7に示すように、収納部凹部80のパッキン810周りの外側には、ファンケーシング3の排液孔33以外から漏水した排液をタンク凹部71に排液する収納部凹部開口部81としての第二収納部凹部開口部81bが設けられている。
第二収納部凹部開口部81bは、
図3及び
図7に示すように、鉛直方向から見たとき、排液タンク7のタンク凹部71の上部外周より内側に位置しており、第二収納部凹部開口部81bから排液された排液がパッキン810の外側を流れて第二排液口702を経て排液タンク7に至るようにされている。
第一収納部凹部開口部81aは、
図7に示すように、上方鉛直方向から見たとき、排液タンク7のタンク凹部71の上部外周より内側に位置させており、排液孔33から排液される排液を排液タンク7のタンク凹部71以外の上面に流れにくくしている。
このようにして排液受け部82で受けた排液は収納部凹部80に集められ、収納部凹部開口部81を通して排液タンク7に収容されるようになっている。
【0056】
なお、ファンケーシング3の排液孔33からの排液は、収納部凹部80の第一収納部凹部開口部81aを介して、排液タンク7に排液されるようにするほか、排液孔33から配管等により直接排液タンク7に排液されるようにしてもよいし、他の任意の排液手段により排液タンク7に排液されるようにしてもよい。
【0057】
排液受け部82は、タンク収納部8の上面を兼ねており、ファンケーシング3側と給液タンク6及び排液タンク7の収納部分を仕切っている。
ファンケーシング3から排液が漏れ出た場合、ファンケーシング3の外側面を伝ってファンケーシング3の最下部に至り、パッキンの810を伝って収納部凹部80に到達するほか、最下部周辺を含むファンケーシング3の外側面から滴り落ちる場合がある。
そのため、排液受け部82の上面820は、ファンケーシング3の最下部の直下部を含み、ファンケーシング3からの排液の漏水を受けることができる面積を有している。
また、排液受け部82の上面820は、収納部凹部80に向かって低くなるように傾斜させてもよく、そうすることで、排液受け部82の上面820に漏水した排液を収納部凹部80に案内しやすい構造とされている。
【0058】
このようなタンク収納部8は、ファンケーシング3から排液された排液を排液受け部82に設けられた収納部凹部80が受けることで、排液受け部82の上面820への排液の飛び散りを抑制することができる。
万が一ファンケーシング3から排液が漏水しても、排液を排液受け部82で受けることで、給液タンク6や排液タンク7側への排液の漏水を防ぐことができる。
すなわち、排液が排液タンク7内に流れずにレンジフード1からコンロ上、あるいはコンロ上の調理器具などに垂れてしまうことを防ぐことができる。
排液受け部82に至った排液を、排液受け部82の上面820の傾斜により、収納部凹部80に案内することができるため、排液受け部82の上面820の排液を残さないようにすることができる。
【0059】
[レンジフードの変形例1]
次に、変形例1のレンジフード1aを
図9(a)に基づいて説明する。
本変形例1のレンジフード1aは、ファンケーシング3の下側に配置された排液受け部82aと、排液受け部82aの下側に別体として配置されたタンク収納部8aを備えている。すなわち、上記実施形態のレンジフード1では、タンク収納部8の上面に排液受け部82が設けられていたのに対して、本変形例のレンジフード1aでは、タンク収納部8aとは別体の排液受け部82aを備える点で異なっている。
排液受け部82aは、タンク収納部8aの上方に設けられており、タンク収納部8aの上面によって排液タンク7と仕切られている。
【0060】
タンク収納部8aは、タンク収納部8と、排液受け部82のうちの収納部凹部80(第一収納部凹部開口部81aと第二収納部凹部開口部81bとを含む収納部凹部開口部81を含む)を備える点で共通し、排液受け部82自体を備えない点で相違する。すなわち、タンク収納部8aは、その上面に、収納部凹部80が設けられている。
したがって、タンク収納部8aの各構成の名称及び図番は、排液受け部82とその上面820を除き、タンク収納部8のものを共通して使用する。
レンジフード1aの給液タンク6及び排液タンク7は、レンジフード1のタンク収納部8、給液タンク6及び排液タンク7と同じものである。
【0061】
また、排液受け部82aの上面820aは、タンク収納部8の排液受け部82の上面820と同様の構成となっており、ファンケーシング3の最下部の直下部を含み、ファンケーシング3からの排液の漏水を受けることができる面積を有している。
排液受け部82aの上面820aに排液受け部凹部83(収納部凹部80と同様の構成)が設けられており、排液受け部凹部83底部に排液受け部凹部開口部84としての第一排液受け部凹部開口部84aと第二排液受け部凹部開口部84bが設けられている。
【0062】
排液受け部凹部83は、
図9(a)に示すように、ファンケーシング3の排液孔33の直下に第一排液受け部凹部開口部84aが位置するように設けられており、排液孔33から排液される排液のほとんどを受けることができるようにされている。
第一排液受け部凹部開口部84aには、パッキン810aが取り付けられており、パッキン810aの上端はファンケーシング3の排液孔33周りに接触し、中間部はタンク収納部8aの第一収納部凹部開口部81aに取り付けられており、下端は排液タンク7の排液口部70の第一排液口701の縁回りに接触している。
また、
図9(a)に示すように、第二排液受け部凹部開口部84bは、排液受け部凹部83のパッキン810a周りの外側に設けられていて、ファンケーシング3の排液孔33以外から漏水した排液は第二収納部凹部開口部81bを介してタンク凹部71に排液することができる。
【0063】
なお、ファンケーシング3の排液孔33からの排液は、排液受け部凹部83の第一排液受け部凹部開口部84aを介して、排液タンク7に排液されるようにするほか、排液孔33から配管等により直接排液タンク7に排液されるようにしてもよいし、他の任意の排液手段により排液タンク7に排液されるようにしてもよい。
【0064】
[変形例1の別例]
(1)タンク収納部8aの上面に、収納部凹部80(第一収納部凹部開口部81aと第二収納部凹部開口部81bとを含む収納部凹部開口部81を含む)を設けずに、単に、排液受け部凹部開口部84からの排液を通過させることができる大きさの1つの開口部を設けるような簡単な構成でもよい。また、他に、ファンケーシング3からの排液を排液タンク7に確実に収容するという目的を考慮して、種々の別例が適宜考えられることは言うまでもない。
【0065】
(2)排液受け部82aの上面820aに、排液受け部凹部83(第一排液受け部凹部開口部84aと第二排液受け部凹部開口部84bとを含む排液受け部凹部開口部84を含む)を設けずに、単に、ファンケーシング3からの排液を集めて、タンク収納部8aの収納部凹部80に流すことができるように、開口部と、排液受け部82aの周辺部から該開口部に向かう傾斜面とを設けるような簡単な構成でもよい。また、他に、ファンケーシング3からの排液を排液タンク7に確実に収容するという目的を考慮して、種々の別例が適宜考えられることは言うまでもない。
【0066】
以上のようなレンジフード1aによっても、前述のレンジフード1と同じ作用効果が期待できる。
【0067】
[レンジフードの変形例2]
次に、変形例2のレンジフード1bを
図9(b)に基づいて説明する。
本変形例2のレンジフード1bは、変形例1ではタンク収納部8aが上面を有していたのに対して、タンク収納部8bは上面を有さず、上面が開放されている点でのみ異なっている。
そして、給液タンク6及び排液タンク7は、上面が開放されたタンク収納部8bに着脱自在に支持されている。
【0068】
以上のようなレンジフード1bによっても、前述のレンジフード1と同じ作用効果が期待できる。
【0069】
[制御機構]
図10は、レンジフード1の運転を制御する制御システム9のブロック図である。
制御システム9は、制御部16、給液タンク着脱センサ8sa、排液タンク着脱センサ8sb、操作部14、表示部15、ポンプpの駆動電流を計測する電流センサps、整流板着脱センサ(図示せず)を有している。
【0070】
[制御部]
制御部16は、CPU160、メモリ161、タイマー162などを有する通常の制御システムである。
CPU160は、制御システムの全情報を処理するプロセッサであり、メモリ161には、レンジフード1の積算使用時間や洗浄モードの進行状況などが記憶される。
また、タイマー162は、レンジフード1の使用時間などを計測するために使用される。
【0071】
[操作部]
図11は、レンジフード1の操作部14の図である。
レンジフード1の前面などの使用者から容易に操作可能な位置に、操作部14が設けられている。
操作部14には、複数の操作ボタンが設けられている。
操作ボタンには、運転ボタン、風量ボタン、残置運転ボタン、洗浄ボタン、照明ボタンがある。併せて、それぞれのボタンの上部には、操作状況などを示すLEDランプが設置されている。
【0072】
運転ボタンは、押下により、運転の入り切りを切り替える。運転ボタンの上部に設置されたLEDランプは、運転が入りになると点灯し、運転が切りになると消灯する。
風量ボタンを一度押す毎に、風量が自動、弱、中、強、自動、・・・の順に切り替わっていき、自動、弱、中、強のそれぞれに設置されたLEDランプが点灯する。なお、風量は、連続的に切り替えられるように構成してもよい。例えば、風量の増加ボタンと減少ボタンを設け、増加ボタンを押すと風量が連続的に増え、減少ボタンを押すと風量が連続的に減るように構成する、また、回転するつまみを設けて、その回転により風量が連続的に増減するように構成することなどが考えられる。
残置運転ボタンは、運転中に押下すると、所定時間運転(例えば、3分)を続けてから、運転を終了する。残置運転ボタンに設置されたLEDランプは、残置運転中に点灯する。なお、所定時間は、複数の時間(例えば、3分、5分、10分など)から選択できるものとしてもよい。
洗浄ボタンは、押下により、洗浄モード(後述する)を開始する。洗浄ボタンに設置されたLEDランプは、レンジフード1の積算使用時間が所定時間に達すると点灯し、洗浄ボタンを押下して洗浄を開始すると点滅し、洗浄が終わると消灯する。
照明ボタンは、押下すると、レンジフード1に設置された照明(図示せず)が点灯し、再度押下すると、消灯する。照明ボタンに設置されたLEDランプは、照明の点灯中に点灯する。
【0073】
[表示部]
図12は、レンジフード1の表示部15の図である。
レンジフード1の前面などの使用者から容易に視認可能な位置に、表示部15が設けられている。
表示部15の表示装置として、透光性がある文字や記号が配置された表示板の裏側に、それぞれの文字や記号に対応させて、LEDを配置して、LEDを発光させることにより表示する表示装置を使用している。
図12は、表示部15のすべての文字、記号が点灯した状態を示している。
図12~
図16では、白抜き文字は点灯した状態を、黒字は消灯した状態を示す。
このほか、7セグメントLED表示装置、液晶表示装置などの他の表示装置も使用することができる。また、これら複数の種類の表示装置を組み合わせて使用してもよい。
【0074】
表示部15には、「洗浄中」、「洗浄完了」、「再洗浄」、「給液」、「排液」、「タンク確認」、「長期未洗浄」、「エラー」、「1」、「2」、「3」などの文字や記号が配置されている。
表示部15の文字や表示は、単独、又は、組み合わせて使用することができる。例えば、「エラー」と「1」、「2」、「3」は組み合わせて使用することができる。このとき、「1」、「2」、「3」は、単独又は組み合わせてエラーコードを示しており、取扱説明書に記載されたエラーコードが示すエラーの説明を参照することにより、エラー内容がわかるようになっている。例えば、後述するように、「エラー」、「1」は排液が完了しなかったこと、「エラー」、「2」は給液エラーにより洗浄モードが途中終了したこと、「エラー」、「3」は給液タンク6、排液タンク7を脱離後、再装着されていないことを示す。
このように、表示部15は、エラーを報知する報知部として使用される。
なお、報知部としては、表示部15のほかに、ブザー音のような警告音を発生する手段や、音声によりエラーを知らせる手段や、回転灯のような発光によりエラーを知らせる手段等の公知の報知手段を用いることもできる。そして、これら複数の報知手段は、適宜組み合わせて使用することもできる。
【0075】
[給液タンク着脱センサ、排液タンク着脱センサ]
タンク収納部8には、給液タンク6、排液タンク7の着脱を検出する洗浄用タンク着脱センサである給液タンク着脱センサ8sa、排液タンク着脱センサ8sbが設けられている。
給液タンク6、排液タンク7には、それぞれ、被検出部63、被検出部73である磁石が装着され、タンク収納部8には給液タンク着脱センサ8sa、排液タンク着脱センサ8sbである磁気センサが装着されている。
給液タンク6、排液タンク7がタンク収納部8に装着されると、タンク収納部8の磁気センサが、給液タンク6、排液タンク7の磁石を検出して、ON状態となって、給液タンク6、排液タンク7が装着されたことが検出され、給液タンク6、排液タンク7がタンク収納部8から脱離されると、タンク収納部8の磁気センサが、給液タンク6、排液タンク7の磁石を検出できず、OFF状態となって、給液タンク6、排液タンク7が脱離されたことが検出される。
【0076】
[給液タンク着脱センサ、排液タンク着脱センサの他の例]
このほかに、以下のような公知のセンサ等を使用することもできる。
給液タンク6、排液タンク7の一部がスイッチを押圧(又は開放)し、給液タンク6、排液タンク7が取り外されると、これら給液タンク6、排液タンク7の一部がスイッチを開放(又は押圧)することにより、給液タンク6、排液タンク7の着脱を検出するメカニカルスイッチ。
【0077】
給液タンク6、排液タンク7が装着されると、これら給液タンク6、排液タンク7の一部が回路を導通(又は切断)し、給液タンク6、排液タンク7が取り外されると、これら給液タンク6、排液タンク7の一部が回路を切断(又は導通)することにより、給液タンク6、排液タンク7の着脱を検出する電気センサ。
【0078】
タンク収納部8に発光・受光素子を設置し、給液タンク6、排液タンク7が装着されると、これら給液タンク6、排液タンク7の一部が光を遮断することにより、給液タンク6、排液タンク7の着脱を検出する光センサ。
【0079】
給液タンク6、排液タンク7に光反射部材を設け、タンク収納部8に発光・受光素子を設置し、給液タンク6、排液タンク7が装着されると、これら給液タンク6、排液タンク7の光反射部材が発光素子からの光を受光素子に反射することにより、給液タンク6、排液タンク7の着脱を検出する光センサ。
【0080】
給液タンク6、排液タンク7のそれぞれの重量を検知し、給液タンク6、排液タンク7が取り外されると、重量が検知できなくなる(重量がほぼ0になる)ことにより、給液タンク6、排液タンク7の着脱を検出する重量センサ。
【0081】
[電流センサ]
ポンプpには、ポンプpの駆動電流を計測する電流センサpsが設置されている。なお、電流センサpsは、ポンプpを制御する制御部16側に設けられてもよい。
電流センサpsは、ポンプpの負荷が大きくなると大きい駆動電流を検知し、ポンプpの負荷が小さくなると小さい駆動電流を検知することになる。
電流センサpsは、ポンプの作動負荷を検知するポンプ負荷センサとして使用される。
ポンプ負荷が軽い場合は、ポンプが空回りしていることであるから、空回りを検知していることとなる。つまり、ポンプ負荷が軽く、電流センサpsの測定値が所定の閾値より低い場合、ポンプが空回りしていると制御部16により判断されるため、電流センサpsは、空回り検知部として使用されていることになる。
なお、ポンプpは、公知の任意のポンプを使用すればよく、例えば、ダイヤフラムポンプなどが挙げられる。
【0082】
[空回り検知部の他の例]
電流センサpsのほかに、ポンプpの回転数の検知やポンプpの回転軸のトルクの検知によりポンプpの負荷を検知すること、また、洗浄液の流量を検知することによっても、給液タンク6の洗浄液の残量をフロートを用いて検知することなどによっても、空回り検知を行うことができる。
【0083】
[整流板着脱センサ]
整流板12がレンジフード1に装着されていることを検知するセンサであり、給液タンク着脱センサ8sa、排液タンク着脱センサ8sbと同様のセンサを用いているが、異なる種類のセンサを用いてもよい。
【0084】
[レンジフードの洗浄制御]
制御部16は、レンジフード1を洗浄する洗浄モードを実行することができる。
レンジフード1の操作部14に設けられた洗浄ボタンを押下すると、洗浄モードが開始される。
洗浄モードには、任意洗浄、定期洗浄、長期未洗浄の3種類の洗浄モードが設定されている。
任意洗浄は、レンジフード1の積算使用時間が所定のお知らせ値よりも少ないときに、使用者が任意で洗浄する場合であり、洗浄ボタンを長押し(2~4秒程度、例えば、3秒)すると開始する。
定期洗浄は、積算使用時間が所定のお知らせ値以上で所定のお知らせ値の2倍未満のときに、使用者が定期的に洗浄する場合の洗浄であり、操作部14の洗浄ボタンを短押しすると開始する。積算使用時間が所定のお知らせ値以上になると、操作部14の洗浄ボタンのLEDランプが点灯して使用者に報知を行う。
長期未洗浄は、積算使用時間が所定のお知らせ値の2倍以上で、洗浄ボタンのLEDランプが点灯し、長期未洗浄を示す表示がなされているときに、使用者が洗浄する場合の洗浄であり、洗浄ボタンを短押しすると開始する。
【0085】
積算使用時間は、レンジフード1を使用している時間、すなわち、ファン4を駆動している時間を積算した時間である。ファン4の駆動としては、調理や他の理由で換気をするために駆動している時間のほか、24時間換気運転に利用する場合などのファン4の駆動時間がすべて積算される。また、積算使用時間は、単にファンの駆動時間を積算するものではなく、運転時の風量やファンの回転数に応じた係数を設定しておき、ファンの駆動時間と係数を乗算したものを積算するものとしてもよい。
【0086】
[任意洗浄]
図13は、任意洗浄のシーケンスを示した図である。
レンジフード1の積算使用時間が所定のお知らせ値を超えておらず、操作部14の洗浄ボタンのLEDランプが消灯しているときに開始される洗浄が任意洗浄である。
任意洗浄は、使用者がレンジフード1の汚れに気づいたり、こまめな洗浄を行いたい場合に行われる。
まず、洗浄の準備として給液タンク6に洗浄液を入れる必要がある。使用者がそのために給液タンク6を外すと、給液タンク着脱センサ8saがOFFになり、表示部15の「給液」と「タンク確認」が点灯する。使用者が給液タンク6に洗浄液を入れて、給液タンク6を元の場所に装着すると、給液タンク着脱センサ8saがONになり、表示部15の「給液」と「タンク確認」が消灯する。
【0087】
使用者は、この消灯を確認すると、操作部14の洗浄ボタンを長押し(2~4秒程度以上、例えば、3秒以上)する。これにより、洗浄モードが開始され、操作部14の洗浄ボタンのLEDランプが点滅に変わるとともに、洗浄工程が始まる。洗浄工程については、後述する。
洗浄工程が終了すると、操作部14の洗浄ボタンのLEDランプが点灯に変わり、表示部15の「洗浄中」が消灯し、「洗浄終了」と「排液」と「タンク確認」が点灯する。
使用者は、洗浄工程が終了したことを確認すると、排液タンク7を外す(排液タンク着脱センサ8sbがOFFになる。)。その後、使用者が排液タンク7に溜まった使用済みの洗浄液を捨てる、排液タンク7を洗浄するなどの処理(排液作業)を行い、排液タンク7を元の場所に装着する(排液タンク着脱センサ8sbがONになる。)。
このとき、制御部16は、排液タンク着脱センサ8sbのOFFからONまでの時間が所定時間(10~30秒程度、例えば、10秒)未満であると、排液タンク7に適切な処置がなされていないとの判断を行い、表示部15の「洗浄終了」と「排液」と「タンク確認」を点灯させたまま、待機する。
一方、制御部16は、排液タンク着脱センサ8sbのOFFからONまでの時間が所定時間(10~30秒程度、例えば、10秒)以上であると排液タンク7の処理が終了したとの判断を行い、操作部14の洗浄ボタンのLEDランプと、表示部15の「洗浄終了」と「排液」と「タンク確認」を消灯する。
最後に、表示部15は、積算使用時間、給液エラーカウンタ(後述)をクリアして、洗浄モードを終了する。
【0088】
[定期洗浄]
図14は、定期洗浄のシーケンスを示した図である。
レンジフード1の積算使用時間が所定のお知らせ値を超えて(所定のお知らせ値の2倍は超えていない)、操作部14の洗浄ボタンのLEDランプが点灯しているときに開始される洗浄が定期洗浄である。
定期洗浄は、使用者が、積算使用時間が所定のお知らせ値を超えて操作部14の洗浄ランプが点灯したのを視認して、使用者が洗浄をしようと考えた場合に行われる。
定期洗浄は、上述した任意洗浄の工程とほぼ同じであり、大きく異なる点は、洗浄ボタンを長押し(2~4秒程度以上、例えば、3秒以上)ではなく、短押しする点である。
【0089】
[長期未洗浄]
図15は、長期未洗浄のうちの前半のシーケンスを示した図、
図16は、長期未洗浄のうちの後半の再洗浄のシーケンスを示した図である。
図15の末尾の、表示部15の「再洗浄」が点灯した状態(操作部14の洗浄ボタンのLEDランプも点灯している)と、
図16の冒頭の、操作部14の洗浄ボタンのLEDランプが点灯し、表示部15の「再洗浄」が点灯した状態とが同じ状態を示している。
積算使用時間が所定のお知らせ値を超えて、操作部14の洗浄ボタンのLEDランプが点灯したまま、さらに、積算使用時間が蓄積され、積算使用時間が所定のお知らせ値より長い時間(所定のお知らせ値の1.5~3倍程度、例えば、所定のお知らせ値の2倍)を超えて「長期未洗浄」が点灯した状態で行われる洗浄が長期未洗浄である。
長期未洗浄は、使用者が、積算使用時間が所定のお知らせ値の2倍を超えて表示部15の「再洗浄」が点灯したのを視認して、洗浄をしようと考えた場合に行われる。
長期未洗浄は、上述した定期洗浄の工程とほぼ同じであるが、洗浄工程を2回行う点で、大きく異なっている。
制御部16は、任意洗浄や定期洗浄と同様に、排液タンク着脱センサ8sbのOFFからONまでの時間から、排液タンク7に適切な処理がされたかの判断を行う。制御部16が、適切な処理が行われたと判断すると、操作部14の洗浄ボタンのLEDランプ、表示部15の「洗浄終了」と「排液」と「タンク確認」と「長期未洗浄」を消灯し、「再洗浄」を点灯する。
【0090】
使用者は、表示部15の「再洗浄」が点灯したのを視認すると、再度、給液タンク6に洗浄液を入れて、再洗浄を開始する。
2回目の洗浄工程が終了し、使用者が排液タンク7の処理を行う。その結果、制御部16が、排液タンク着脱センサ8sbのOFFからONまでの時間から、排液タンク7に適切な処理がされたと判断すると、操作部14の洗浄ボタンのLEDランプ、表示部15の「洗浄終了」と「排液」と「タンク確認」を消灯し、積算使用時間、給液エラーカウンタ(後述)をクリアして、洗浄モードを終了する。
【0091】
なお、洗浄モードとして、上記3つのモードを説明したが、これらとは異なるモードを設定してもよく、各モードの内容も種々のものが考え得ることは言うまでもない。
【0092】
[洗浄工程]
図17は、洗浄工程の各工程を説明する図である。
洗浄工程は、以下の4工程を含み、各工程は各種プロセスを含む。
・第1工程-給液エラー判定プロセス1を実行する工程
・第2工程-洗浄プロセス1を実行する工程
・第3工程-給液エラー判定プロセス2の後に洗浄プロセス2を実行する工程
・第4工程-排出完了判定プロセス、乾燥プロセス及び排液待機プロセスを実行する工程
【0093】
[給液エラー判定プロセス1]
給液エラー判定プロセス1は、給液タンク6からポンプpに洗浄液が送液されているかを確認するプロセスである。
制御部16は、ファン4を低速で正回転(レンジフード1の前面側から見て時計回り)させる。制御部16は、ファンの回転数が所定回転数で安定したことを確認した後、ポンプpを所定時間(2~4秒程度、例えば、3秒)だけ駆動させ、ポンプpに洗浄液が到達しているか否か、すなわち、ポンプpの送液が正常に行われているか否かを判定する。
なお、第1工程での給液エラー判定プロセス1は、まず、最初に、ファン4全体を軽く洗浄液で濡らす役割も果たしている。
【0094】
制御部16は、給液が正常に行われていると判定すると、給液エラー判定プロセス1を終了する。
制御部16は、給液エラーが発生していると判定すると、ファン4及びポンプpを停止して、洗浄モードを停止させるともに、表示部15の「給液」、「タンク確認」及び「エラー」を点灯させ、給液エラー判定の回数をカウントする給液エラーカウンタに1を加算する。使用者は、給液タンク6を外して(給液タンク着脱センサ8saはOFFになる。)、給液タンク6に洗浄液が必要量入っているかの確認や不足している洗浄液を補充する(給液作業)などの処置を行って、再び、給液タンク6を所定位置に装着する(給液タンク着脱センサ8saはONになる。)。
このとき、給液タンク着脱センサ8saのOFFからONまでの時間が所定時間(10~30秒程度、例えば、10秒)未満であると、制御部16は、給液タンク6に適切な処置がなされていないとの判断を行い、表示部15の「給液」、「タンク確認」及び「エラー」を点灯させたまま、ファン4及びポンプpも駆動させない。なお、表示部15以外の報知手段(報知部)を使用してもよい。
【0095】
給液タンク着脱センサ8saのOFFからONまでの時間が所定時間(10~30秒程度、例えば、10秒)以上であると、制御部16は、給液タンク6に適切な処置がなされたとの判断を行い、表示部15の「給液」、「タンク確認」及び「エラー」を消灯させ、給液エラー判定プロセスの最初から再開する。なお、給液エラー判定プロセスの再開は、給液エラー判定プロセスが停止したところから再開してもよい。
【0096】
制御部16は、給液エラー判定を、電流センサps(空回り検知部)の測定値を用いて行う。所定時間(2~4秒程度、例えば、2秒)中、電流センサpsの測定値が、一度でも所定の閾値(第1閾値)を下回ると、ポンプpの負荷が軽いことが検知されたことになり、制御部16は、給液が正常に行われていないと判定する。
【0097】
このとき、使用するポンプや電流センサpsによっては、測定値のばらつきによって、電流センサの測定値が一時的に所定の閾値(第1閾値)を下回るだけで、制御部16が給液エラーと判定すると、給液エラーの判定が正確に行われない場合がある。そこで、所定時間の電流の測定値の平均値が所定の閾値を下回ったとき、あるいは、所定時間ずっと電流の測定値が所定の閾値を下回ったときに、制御部16が給液エラーと判定すると、より正確に給液エラー判定が行える場合もある。
【0098】
また、ポンプpは、作動当初、駆動が安定せず、給液エラー判定となりやすい。そのため、制御部16は、ポンプ作動後では、ポンプpの駆動が安定する時間(1~2秒程度、例えば、1秒)待ってから判定を開始すると、より安定した給液エラー判定が行える。
なお、給液エラー判定は、ポンプ負荷センサとして電流センサpsを使用してポンプpの負荷を検知することにより行ったが、このほかに、ポンプpの駆動速度の検知やポンプpの駆動トルクの検知によりポンプpの負荷を検知すること、また、洗浄液の流量を直接検知することなどによっても行うことができる。
【0099】
上述では、給液タンク6の着脱を給液タンク着脱センサ8saにより検知して、給液タンク6に適切な処置が行われたかを判断するものであったが、洗浄用タンクの着脱を洗浄用タンク着脱センサにより検知して、洗浄用タンクに適切な処置が行われたかを判断する場合も、同様の構成とすることができる。
【0100】
[給液エラー判定プロセス2]
給液エラー判定プロセス2も、給液タンク6からポンプpに洗浄液が送液されているかを確認するプロセスである。
給液判定プロセス2は、給液判定プロセス1とほぼ同じであるが、ファン4を低速で正回転させるのではなく、高速で逆回転させる点で異なっている。
【0101】
上述では、給液エラー判定プロセス1と同様、給液タンク6の着脱を給液タンク着脱センサ8saにより検知して、給液タンク6に適切な処置が行われたかを判断するものであったが、洗浄用タンクの着脱を洗浄用タンク着脱センサにより検知して、洗浄用タンクに適切な処置が行われたかを判断する場合も、同様の構成とすることができる。
【0102】
[給液エラー判定プロセス1、2の変形例]
制御部16が、給液エラーが発生していると判定し、洗浄モードを停止させるともに、表示部15の「給液」、「タンク確認」及び「エラー」を点灯させても、何らかの理由で使用者が気づかない場合もあり得る。
使用者が給液エラーに気づかす、洗浄モードが停止したまま、一定時間以上が経過すると、洗浄が中途半端な状態で放置されることになり、使用済みの洗浄液や未使用の洗浄液自体が傷んだり、洗浄液が温水の場合、洗浄液が冷めてしまったりする不都合が起こり得る。したがって、この場合、洗浄モードを途中終了する方が好ましい。
【0103】
そこで、給液エラーが発生していると判定された場合、所定の時間(1~3分間程度、例えば2分間)給液エラーを報知し、このエラー報知期間中に、給液エラーの対処が行われなかった、すなわち、給液タンク6が脱離されたことが給液タンク着脱センサ8saにより検知されなかったときは、洗浄モードを途中終了するとともに、エラー報知も終了する。逆に、エラー報知期間中に、給液タンク6が脱離されたことが給液タンク着脱センサ8saにより検知された場合は、給液エラー判定プロセスを続行する。
なお、エラー報知期間中に給液タンク着脱センサ8saによる給液タンク6の脱離の検知が行われなかったことを条件としたが、エラー報知期間とは独立して、エラー判定から所定の時間内に給液タンク着脱センサ8saによる給液タンク6の脱離の検知が行われなかったことを条件としてもよい。この場合、エラー報知期間とエラー判定からの所定の時間は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0104】
また、エラー報知期間中、あるいは、エラー判定から所定の時間内に、給液タンク着脱センサ8saによる給液タンク6の脱離が検知された後、何らかの理由により、使用者が給液タンク6の装着を行わないまま、一定時間以上が経過することも考えられる。この場合も、上述と同様の不都合が起こり得る。したがって、この場合も、洗浄モードを途中終了する方が好ましい。
そこで、エラー報知期間中に給液タンク着脱センサ8saによる給液タンク6の脱離が検知された後、エラー報知期間中に給液タンク着脱センサ8saによる給液タンク6の装着が検知されなかったときは、洗浄モードを途中終了するとともに、エラー報知も終了する。逆に、エラー報知期間中に、給液タンク6が装着されたことが給液タンク着脱センサ8saにより検知された場合は、給液エラー判定プロセスを続行(洗浄モードを再開)する。
なお、エラー報知期間中に給液タンク着脱センサ8saによる給液タンク6の装着の検知が行われなかったことを条件としたが、エラー報知期間とは独立して、エラー判定から所定の時間内に給液タンク着脱センサ8saによる給液タンク6の装着の検知が行われなかったことを条件としてもよい。この場合、エラー報知期間とエラー判定からの所定の時間は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、給液タンク着脱センサ8saによる給液タンク6の脱離の検知から所定の時間内に、給液タンク着脱センサ8saによる給液タンク6の装着の検知が行われなかったことを条件としてもよい。
【0105】
[洗浄プロセス1]
洗浄プロセス1は、洗浄液をファンに十分に供給して、汚れを落とすプロセスである。
制御部16は、ファン4を低速で正回転(レンジフード1の前面側から見て時計回りに回転)させ、回転数が所定回転数で安定したことを確認した後、ポンプpの駆動と停止を所定時間t1毎に繰り返させる。制御部16は、ポンプpの駆動と停止の繰り返しを所定時間t2実行させると、洗浄プロセス1を終了する。
【0106】
[洗浄プロセス2]
洗浄プロセス2は、ファンの汚れを洗浄液とともに周囲に吹き飛ばすように汚れを落とすプロセスである。
制御部16は、ファン4を高速で逆回転(レンジフード1の前面側から見て反時計回り)させ、回転数が所定回転数で安定したことを確認した後、ポンプpを所定時間t3毎に繰り返させる。制御部16は、ポンプpの駆動と停止の繰り返しを所定時間t4実行させると、洗浄プロセス2を終了する。
【0107】
[排出完了判定プロセス]
排出完了判定プロセスは、洗浄プロセス1や洗浄プロセス2による洗浄後、給液タンク6に残った未使用の洗浄液を給液タンク6から排出したことを判定するプロセスである。
制御部16は、ファン4を高速で逆回転(レンジフード1の前面側から見て反時計回り)させ、回転数が所定回転数で安定したことを確認した後、ポンプpを駆動する。
制御部16は、排出完了判定プロセス開始から所定時間(30~90秒程度、例えば、60秒)経過するまでに、電流センサpsの測定値が所定の閾値(この所定の閾値は、第1閾値と同じでもよいし、異なっていてもよい。)を下回る(空回りを検知する)と、排出完了と判定する。そして、制御部16は、排出完了の判定直後にポンプpの駆動を停止させるとともに、排出完了判定プロセスを終了する。このとき、電流センサpsの測定値が所定の閾値を下回っても、給液エラー判定プロセス1や給液エラー判定プロセス2のような表示部15を使用したエラーの報知は行わない。すなわち、排出完了判定プロセスは、給液エラー判定プロセス1や給液エラー判定プロセス2が実行されていないタイミングで実行されることになる。
すなわち、空回り検知がなされると、給液タンク6の洗浄液が使い尽くされたことになるから、少なくとも空回り検知がなされるまでは、ポンプpによる送液が行われるが、空回り検知後は、ポンプpによる送液は行われない。
【0108】
しかし、排出完了判定プロセス開始から所定時間(30~90秒程度、例えば、60秒)経過しても、排出完了と判定されないときは、制御部16は、所定時間(30~90秒程度、例えば、60秒)経過時にポンプpの駆動を停止させ、排出完了判定プロセスを終了する。給液タンク6の容量は、排出完了判定プロセス開始から所定時間(5~30秒程度、例えば、10秒)ですべて排出が完了するように、排出完了判定プロセス中に余裕をもって排出を完了できる(給液タンク6中の洗浄液がすべて使用される)程度の量に設計されることが好ましい。そのような給液タンクを使用しているにもかかわらず、所定時間(30~90秒程度、例えば、60秒)を経過しても、なお、排出完了と判定されないときは、何らかのエラーが発生していることも考えられるから、制御部16は、所定時間(30~90秒程度、例えば、60秒)経過時に、ポンプpを停止させる。
このとき、給液タンク6には洗浄液が残っている可能性がある。給液タンク6に洗浄液が残ったまま放置されると洗浄液が腐ることや、洗浄液が給液タンク6を劣化させることや、次回の洗浄前に給液タンク6に洗浄液を入れるために、洗浄用タンクを外すときに洗浄液をこぼしてしまうことが考えらえる。そこで、使用者に注意を促すために、表示部15の「給液」、「タンク確認」及び「エラー」、「1」を点灯する。
【0109】
排出完了判定は、電流センサps(空回り検知部)を用いて行う。制御部16は、電流センサpsの測定値が、所定時間(例えば、2秒間)中、一度でも所定の閾値を下回ると、排液が完了したと判定する。
このように、空回り検知部が空回りを検知するまでポンプpによる送液が繰り返し行われる。
このとき、電流センサpsの測定値のばらつきによっては、電流センサpsの測定値が一時的に所定の閾値を下回るだけで、制御部16が排出完了と判定すると、排出完了の判定が正確に行われない場合がある。そのため、所定時間の駆動電流の測定値の平均値が所定の閾値を下回ったとき、あるいは、所定時間のうちの一定時間連続して駆動電流の測定値が所定の閾値を下回ったとき、あるいは、所定時間ずっと駆動電流の測定値が所定の閾値を下回ったときに、排出完了と判定すると、より正確に排出完了判定が行える場合もある。
【0110】
また、ポンプpは、作動当初、駆動が安定せず、排出完了判定となりやすい。そのため、制御部16は、ポンプ作動後では、ポンプpの駆動が安定する時間(1~2秒程度、例えば、1秒)待ってから判定を行うと、より安定した排出完了判定が行える。
なお、排出完了判定についても、給液エラー判定と同様、電流センサpsでポンプpの負荷を検知することにより行ったが、このほかに、ポンプpの回転数の検知やポンプpの回転軸のトルクの検知によりポンプpの負荷を検知すること、また、洗浄液の流量を検知すること、給液タンク6の洗浄液の残量をフロートを用いて検知することなどによっても行うことができる。
【0111】
なお、排出完了判定プロセスとしては、上述のほかに、所定時間を設定せずに排出完了の判定が行われるまでポンプpを駆動し続けるものとしてもよいし、導入口からの逆流を防ぐために所定時間に達するまでに排出完了の判定が行われても、所定時間に達するまで、又は、特定のプロセスや工程が終了するまでポンプpを駆動し続けるものとしてもよい。
【0112】
[乾燥プロセス]
乾燥プロセスは、洗浄したファンを乾燥するプロセスである。
制御部16は、排出完了判定プロセス終了後、所定時間が経過するまでファン4を高速で逆回転させたまま維持してファン4を乾燥させ、所定時間経過時にファン4を停止させる。
所定時間は、排出完了判定プロセス開始からの時間として、例えば、120秒とするほか、乾燥プロセス開始からの時間として、例えば、60秒としてもよいし、このほか、どのように設定してもよい。
【0113】
[排液待機プロセス]
排液待機プロセスは、ファンケーシングに残った洗浄液を排液タンクに流下させるプロセスである。
制御部16は、洗浄工程の最後のプロセスに、ファン4及びポンプpの停止を確認後、ファンケーシングに残った洗浄液を排液タンク7に流下させるために所定時間(30~60秒程度、例えば、30秒)待機した後、洗浄工程を終了する。
【0114】
[各プロセスの変形例]
上述の各プロセスは、各プロセスの一例として挙げたものであり、上述の各プロセスでの、ファンの回転方向や回転数、ポンプの駆動方法(駆動や停止のタイミング、駆動時間など)、各閾値、他の各数値などは、適宜設計し得るものである。
また、洗浄プロセス中にポンプpの空回り検知による給液の確認、つまり給液エラー判定プロセスを一時的又は、常時、実行するなどのようにしてもよい。
【0115】
[ファンとポンプの駆動]
上述した第1~4工程からなる洗浄工程に、上記で説明した7つのプロセスを組み込んで1連の工程としたものを、以下、説明する。
制御部16は、第1工程の給液エラー判定プロセス1が開始されると、ファン4の低速での正回転を開始させる。ファン4の回転数が安定すると、ポンプpを所定時間駆動して、停止させる。給液エラー判定プロセス1で給液が正常に行われていると判定すると、給液エラー判定プロセス1を終了し、次の第2工程の洗浄プロセス1を開始する。次の第2工程の洗浄プロセス1も、給液エラー判定プロセス1と同様、ファン4は低速で正回転させるものであるから、給液エラー判定プロセス1の終了時も、ファンを低速で正回転させたまま、第2工程の洗浄プロセス1を開始して、ポンプpの駆動を開始する。
【0116】
制御部16は、第2工程の洗浄プロセス1でポンプpを所定時間駆動すると、ポンプpを停止して、第2工程の洗浄プロセス1を終了し、次の第3工程の給液エラー判定プロセス2を開始する。第3工程の給液エラー判定プロセス2は、洗浄プロセス1とは異なり、高速で逆回転させるものであるから、洗浄プロセス1の終了時、ファン4を一旦停止して、給液エラー判定プロセス2の開始時に、高速での逆回転を開始する。
【0117】
制御部16は、ファン4の回転数が安定すると、ポンプpを所定時間駆動して、停止する。第3工程の給液エラー判定プロセス2で給液が正常に行われていると判定されると、給液エラー判定プロセス2を終了し、次の第3工程の洗浄プロセス2を開始する。次の第3工程の洗浄プロセス2も、給液エラー判定プロセス2と同様、ファン4は、高速で逆回転させるものであるから、給液エラー判定プロセス2の終了時も、ファンを高速で逆回転させたまま、第3工程の洗浄プロセス2を開始して、ポンプpの駆動を開始する。
【0118】
制御部16は、第3工程の洗浄プロセス2でポンプpを所定時間駆動すると、ポンプpを停止して、第3工程の洗浄プロセス2を終了し、次の第4工程の排出完了判定プロセスを開始する。第4工程の排出完了判定プロセスも、洗浄プロセス2と同様、ファン4は、高速で逆回転させるものであるから、洗浄プロセス2の終了時も、ファン4を高速で逆回転させたまま、第4工程の排出完了プロセスを開始して、ポンプpの駆動を開始する。
【0119】
制御部16は、第4工程の排出完了判定プロセスで、排出完了と判定されるか、所定時間が経過すると、ポンプpを停止して、第4工程の排出完了判定プロセスを終了して、次の第4工程の乾燥プロセスを開始する。第4工程の乾燥プロセスも、排出完了判定プロセスと同様、ファン4は、高速で逆回転させるものであるから、排出完了判定プロセスの終了時も、ファン4を高速で逆回転させたまま、第4工程の乾燥プロセスを開始する。
【0120】
制御部16は、第4工程の乾燥プロセスが終了すると、次の第4工程の排液待機プロセスを開始する。第4工程の排液待機プロセスは、ファン4は回転させないものであるから、第4工程の排液待機プロセスの終了時、ファン4を停止させて、第4工程の排液待機プロセスを開始する。
第4工程の排液待機プロセスは、ファン4、ポンプpともに駆動されないものである。
【0121】
なお、各種プロセスとして、上述のプロセスのほかの異なるプロセスを設定することも、当然に可能である。そして、洗浄工程は、上述の組み合わせに限られず、上記各種プロセスを自由に組み合わせて、多様な洗浄工程を設定し得ることは言うまでもない。
また、上述の各プロセスは、同時に1つのプロセスのみが実行されてもよいし、同時に複数のプロセスが実行されてもよいし、どのような組み合わせ、態様で実行されてもよい。
【0122】
[ファンの駆動の変形例]
上述した第1工程~第4工程の各工程間や各プロセス間で、ファン4の回転方向が同じである工程間やプロセス間では、ファン4を停止せずに、回転したまま、次の工程やプロセスに移ることもできるが、各工程や各プロセス終了時に、ファン4の回転を一旦停止することもできる。
又はファン4の回転方向が同じである工程間やプロセス間で、ファン4を連続駆動するとき、最初の回転開始時には、ファン4の回転数が所定回転数で安定したことの確認を行うが、あとの工程やプロセス冒頭での確認は、省略することも可能である。
【0123】
[他のエラー判定プロセス]
洗浄工程中に行われる、給液エラー判定プロセス1、給液エラー判定プロセス2のほかに、洗浄モード中に、適宜、実行される、給液エラー判定プロセス3、給液タンク・排液タンク脱離判定プロセス、整流板脱離判定プロセス、詰まりエラー判定プロセス、モータエラー判定プロセスが設定されている。なお、このほかにも、種々のエラー判定プロセスを必要に応じて設定することができることは言うまでもない。
また、上述の各種エラー判定プロセスは、同時に1つのエラー判定プロセスが実行されてもよいし、同時に複数のエラー判定プロセスが実行されてもよいし、1つ又は複数のエラー判定プロセスと1つ又は複数のエラー判定プロセスではない他のプロセスとを同時に実行してもよいし、どのような組み合わせ、態様で実行されてもよい。
【0124】
[給液エラー判定プロセス3]
給液エラー判定プロセス3は、給液エラー判定プロセス1や給液エラー判定プロセス2による給液エラー判定が、洗浄モード中、何度も起きた場合、ポンプpに異常が発生していることや、給液タンクからポンプ間の配管から洗浄液が漏れているなどの大きなエラーが発生している可能性があるので、洗浄モードを途中終了するためのプロセスである。
給液エラー判定プロセス1と給液エラー判定プロセス2での給液エラー判定がなされると、給液エラーカウンタに1が追加される。
この給液エラーカウンタの値が、所定値(3~5程度、例えば、3)に達すると、制御部16は、洗浄モードを途中終了する。
ただし、制御部16は、洗浄モードを途中終了する場合は、給液エラー判定がなされ、洗浄モードが途中終了したことを、使用者に知らせるために、表示部15の「エラー」、「2」を点灯して、給液タンク6と排液タンク7の処理を促すとよい。
そして、使用者は、エラー表示を見て、給液タンク6と排液タンク7の処理を行い、自分で点検修理する、修理業者に点検・修理を依頼するなどの対応を行う。
【0125】
[途中終了と停止]
なお、洗浄モードが「途中終了」するとは、止まった洗浄モードが再開することがない(「再開する」は、制御部16が洗浄モードを再び始めることを意味し、使用者が、操作部14の「洗浄モード」ボタンを押下して、洗浄モードを最初から開始することは、ここでいう「再開する」には含まれない。)ことを意味する。一方、給液エラー判定プロセス1と給液エラー判定プロセス2での洗浄モードが停止することの「停止する」とは、洗浄モードが制御部16により再開されることがあり得る(必ず再開するわけではない)こととは異なっている。以下で使用する「途中終了」や「停止」も同様である。
【0126】
[給液タンク・排液タンク脱離判定プロセス]
給液タンク・排液タンク脱離判定プロセスは、給液タンク6、排液タンク7が外れたことを検知することにより、つまり、給液タンク6、排液タンク7を給液タンク着脱センサ8sa、排液タンク着脱センサ8sbが検知できなくなることにより、洗浄工程を停止するプロセスである。
給液タンク6、排液タンク7の着脱は、それぞれ、給液タンク着脱センサ8sa、排液タンク着脱センサ8sbによって検知されるが、少なくとも一方の脱離が検知されると、制御部16は、洗浄工程を停止し、停止した時点(工程、プロセス等)をメモリ161に記憶する。
給液タンク6、排液タンク7の脱離の検知後、再び、装着されたことが検知されると、制御部16は、停止時の工程である、第1工程~第4工程のうちの1つの工程の冒頭から再開する。第3工程、第4工程のように1つの工程が複数のプロセスからなる工程では、停止時のプロセスの冒頭から再開するようにしてもよい。また、停止時点から再開するようにすることもできる。
なお、給液タンク・排液タンク脱離判定プロセスは、洗浄モード中、常時実行されてもよいし、特定のタイミング、例えば、洗浄工程中に給液タンク6からノズル5に洗浄液を送液しているタイミング(導入過程中)、でのみ実行されてもよい。
また、導入過程中に給液タンク離脱判定プロセスを実行し、排液タンク離脱判定プロセスを洗浄モード中、常時実行するなど、給液タンク離脱判定プロセスと排液タンク離脱判定プロセスを実行する期間を別々に設定してもよい。
【0127】
また、使用者が給液タンク6、排液タンク7を外した後、再び、装着することを忘れたり、給液タンク6、排液タンク7の装着が不十分で洗浄工程中に振動などで外れ、使用者が洗浄工程が停止したことに気付かなかったりして、洗浄工程が停止したまま、所定時間以上が経過することがある。その場合、汚れが落ちにくくなったり、洗浄液に温水等を使用している場合は洗浄液が冷めてしまう等の不具合も起きてしまうため、制御部16は、洗浄工程を停止した途中の時点から再開するのではなく、洗浄モードを最初からやり直す方がよい。そのため、洗浄モードを途中終了することとし、所定時間までに再装着された時だけ、停止時の工程やプロセスの冒頭、停止時点から再開することとしてもよい。
ただし、制御部16は、洗浄モードを途中終了する場合は、給液タンク6、排液タンク7の脱離の判定がなされ、洗浄モードが途中終了したことを、使用者に知らせるために、表示部15の「給液」と「排液」と「タンク確認」と「エラー」、「3」を点灯して、給液タンク6と排液タンク7の処理を促すとよい。
そして、使用者は、エラー表示を見て、給液タンク6と排液タンク7の処理を行い、再び、洗浄モードを開始するなどの対応を行う。
【0128】
上述では、給液タンク6、排液タンク7の着脱を給液タンク着脱センサ8sa、排液タンク着脱センサ8sbにより検知して、給液タンク6、排液タンク7に適切な処置が行われたかを判断するものであったが、洗浄用タンクの着脱を洗浄用タンク着脱センサにより検知して、洗浄用タンクに適切な処置が行われたかを判断する場合も、同様の構成とすることができる。
【0129】
[整流板脱離判定プロセス]
整流板12はレンジフード1の下側を広く覆っているものであり、何らかの理由により、洗浄液がファンケーシング3の吸気口30を通過して下方に漏れてきた場合、その洗浄液を受け、さらに下方に漏れるのを防ぐことができるものである。
すると、整流板12が脱離していると、ファンケーシング3の吸気口30を通過して下方に漏れてきた洗浄液を受けることができず、洗浄液がコンロ上、あるいはコンロ上の調理器具などに落ちてしまうことになる。
そこで、整流板着脱センサが整流板12の着脱を検知して、整流板12が脱離していると判定された場合、洗浄モードを停止するようにするプロセスである整流板脱離判定プロセスを設けることができる。
整流板着脱センサとして、給液タンク着脱センサ8sa、排液タンク着脱センサ8sb同様のセンサを用いることができる。
整流板脱離判定プロセスは、ファン駆動中に常時実行されてもよいし、洗浄モード中に常時実行されてもよいし、特定のタイミングでのみ実行されてもよい。
【0130】
整流板脱離判定プロセスでも、給液タンク・排液タンク脱離判定プロセスと同様、整流板の脱離が検知されると、制御部16は、洗浄工程を停止し、停止した時点(工程、プロセス等)をメモリ161に記憶する。
整流板の脱離の検知後、再び、装着されたことが検知されると、制御部16は、停止時の工程である、第1工程~第4工程のうちの1つの工程の冒頭から再開する。第3工程、第4工程のように1つの工程が複数のプロセスからなる工程では、停止時のプロセスの冒頭から再開するようにしてもよい。また、停止時点から再開するようにすることもできる。
また、整流板12の装着が不十分で洗浄工程中に振動などで外れ、使用者が洗浄工程が停止したことに気付かなかったりして、洗浄工程が停止したまま、所定時間以上が経過すると、制御部16は、洗浄モードを途中終了することとし、所定時間までに装着された時だけ、停止時の工程やプロセスの冒頭、停止時点から再開することとしてもよい。
ただし、制御部16は、洗浄モードを途中終了する場合は、整流板12が脱離して、洗浄モードが途中終了したことを、使用者に知らせるために、表示部15の「エラー」、「1」、「2」を点灯する。
使用者は、エラー表示を見て、給液タンク6や排液タンク7の処理を行い、整流板を正しく装着して、再び、洗浄モードを開始するなどの対応を行う。
【0131】
[詰まりエラー判定プロセス]
給液エラー判定プロセス1、給液エラー判定プロセス2は、ポンプpに洗浄液が到達しているか否かを判定しているのに対して、詰まりエラー判定プロセスは、ポンプpに洗浄液が到達しているものの、ノズル5に洗浄液を送液できているか否かを判定するものである。
すなわち、詰まりエラー判定プロセスでは、ポンプpから送り出される洗浄液が配管やノズル5の詰まりなどにより、正常に送液できていないことを判定する。
詰まりエラー判定プロセスは、洗浄工程中に実行される。
【0132】
詰まりエラー判定プロセスは、給液エラー判定プロセス1、給液エラー判定プロセス2とほぼ同様であるが、これら給液エラー判定プロセス1、給液エラー判定プロセス2では、電流センサpsの測定値が所定の閾値(第1閾値)を下回ることにより判定しているのに対して、詰まりエラー判定プロセスでは、電流センサpsの測定値が所定の閾値(第2閾値)を上回ることにより判定していることで異なっている。
配管やノズル5の詰まりは簡単に修復できるものではないから、詰まりエラー判定がなされると、制御部16は、洗浄モードを途中終了する。
ただし、制御部16は、洗浄モードを途中終了する場合は、詰まりエラー判定がなされ、洗浄モードが途中終了したことを、使用者に知らせるために、表示部15の「エラー」、「1」、「3」を点灯して、給液タンク6と排液タンク7の処理を促すとよい。
そして、使用者は、エラー表示を見て、給液タンク6と排液タンク7の処理を行い、自分で点検修理する(例えば、ノズル導入口に付着した汚れなどの除去)、修理業者に点検・修理を依頼するなどの対応を行う。
【0133】
[モータエラー判定プロセス]
モータエラー判定プロセスは、ファン4を駆動するモータmのエラーを判定するものであり、ファン4が、何らかの理由により固定されるなどして、モータmが回転しないなどのモータロックを判定するものである。
モータロックは、モータmの駆動電流で判定する。モータmの駆動電流を測定し、その駆動電流が所定の閾値を超えると、モータロックが起き、モータエラーと判定される。
モータエラー判定プロセスは、ファン4駆動中に常時実行されてもよいし、特定のタイミングでのみ実行されてもよい。
モータエラー判定がなされると、制御部16は、洗浄モードを途中終了する。
ただし、制御部16は、洗浄モードを途中終了する場合は、モータエラー判定がなされ、洗浄モードが途中終了したことを、使用者に知らせるために、表示部15の「エラー」、「2」、「3」を点灯して、給液タンク6と排液タンク7の処理を促すとよい。
使用者は、エラー表示を見て、給液タンク6や排液タンク7の処理を行い、自分で点検修理する、修理業者に点検・修理を依頼するなどの対応を行う。
【0134】
[洗浄工程の変形例]
洗浄工程は、上述した第1~4工程からなるものに限定されない。各種プロセスの種類やプロセスの実行順は上述したものに限定されず、例えば、洗浄プロセス1、2とは異なる洗浄プロセスを有していてもよいし、洗浄プロセスは一つでも複数でもよく、複数種類の洗浄プロセスの実行順も種々のものが可能である。
また、給液エラー判定プロセスは、特定のタイミングで実行する、洗浄工程中に所定間隔で実行するなどのほか、洗浄プロセス1、洗浄プロセス2のような洗浄プロセスを実行中、常時、実行してもよい。
このように、各種プロセスは、複数のプロセスを同時に実行することも可能である。
【0135】
以上、本発明に係る実施形態のレンジフード1を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0136】
1、1a、1b レンジフード
10 本体ケース
11 フード部
12 整流板
13 ファン収納部
14 操作部
15 表示部
16 制御部
160 CPU
161 メモリ
162 タイマー
2 煙道部材
20 ノズル回避部
200 角部
201 直線部
21 案内面
210 角部
211 直線部
22 開口部
23 上面
231 角部
232 角部
3 ファンケーシング
30 吸気口
31 前面
32 排気口
33 排液孔
4 ファン
40 中心軸
5 ノズル
50 取り付け部
51 上流接続部
52 導入口
53 誘引孔
54 第一誘導凸部
55 第二誘導凸部
6 給液タンク
60 接続口
61 給液口
62 蓋部
63 被検出部
7 排液タンク
70 排液口部
701 第一排液口
702 第二排液口
703 接続溝部
704 流入用溝部
71 タンク凹部
710 底部
711 傾斜面
712 傾斜面
713 傾斜面
714 傾斜面
72 壁部
73 被検出部
8、8a タンク収納部
80 収納部凹部
81 収納部凹部開口部
81a 第一収納部凹部開口部
81b 第二収納部凹部開口部
810、810a パッキン
82、82a 排液受け部
820、820a 排液受け部82、82aの上面
83 排液受け部凹部
84 排液受け部凹部開口部
84a 第一排液受け部凹部開口部
84b 第二排液受け部凹部開口部
85 開閉蓋
8sa 給液タンク着脱センサ
8sb 排液タンク着脱センサ
b ベルマウス
m モータ
p ポンプ
ps 電流センサ