(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149685
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】映像ルーティング装置、映像伝送システム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/647 20110101AFI20231005BHJP
H04N 21/24 20110101ALI20231005BHJP
H04H 20/12 20080101ALI20231005BHJP
H04L 43/0823 20220101ALI20231005BHJP
【FI】
H04N21/647
H04N21/24
H04H20/12
H04L43/0823
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058376
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000102717
【氏名又は名称】NTTテクノクロス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】田代 豊
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164FA07
5C164SA25S
5C164SB08S
5C164SB41P
5C164TA23S
5C164TB44P
5C164YA21
(57)【要約】
【課題】映像が正常に再生されないときの原因箇所の特定を支援すること。
【解決手段】一実施形態に係る映像ルーティング装置は、外部から映像ストリームを入力又は外部に映像ストリームを出力する入出力インタフェースを備える映像ルーティング装置であって、前記入出力インタフェースで入力又は出力された映像ストリームに関してシンタックスにエラーがあるか否かを解析するように構成されている解析部と、前記解析部による解析の結果、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームが存在する場合、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームを入力又は出力した入出力インタフェースを所定の通知先に通知するように構成されている通知部と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から映像ストリームを入力又は外部に映像ストリームを出力する入出力インタフェースを備える映像ルーティング装置であって、
前記入出力インタフェースで入力又は出力された映像ストリームに関してシンタックスにエラーがあるか否かを解析するように構成されている解析部と、
前記解析部による解析の結果、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームが存在する場合、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームを入力又は出力した入出力インタフェースを所定の通知先に通知するように構成されている通知部と、
を有する映像ルーティング装置。
【請求項2】
前記映像ルーティング装置は、前記映像ストリーム毎に、該映像ストリームを入力又は出力する複数の入出力インタフェースを備えており、
前記解析部は、
前記入出力インタフェース毎に、該入出力インタフェースで入力又は出力された映像ストリームに関してシンタックスにエラーがあるか否かを解析するように構成されている、請求項1に記載の映像ルーティング装置。
【請求項3】
前記複数の入出力インタフェースの各々は、外部から映像ストリームを入力する入力インタフェース、又は、外部に映像ストリームを出力する出力インタフェース、のいずれかである、請求項2に記載の映像ルーティング装置。
【請求項4】
前記通知部は、
前記シンタックスにエラーがある映像ストリームに関して、前記エラーの内容を更に通知するように構成されている、請求項1乃至3の何れか一項に記載の映像ルーティング装置。
【請求項5】
外部から映像ストリームを入力又は外部に映像ストリームを出力する入出力インタフェースを備える複数の映像ルーティング装置が含まれる映像伝送システムであって、
前記複数の映像ルーティング装置の各々は、
自身が備える入出力インタフェースで入力又は出力された映像ストリームに関してシンタックスにエラーがあるか否かを解析するように構成されている解析部と、
前記解析部による解析の結果、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームが存在する場合、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームを入力又は出力した入出力インタフェースを所定の通知先に通知するように構成されている通知部と、
を有する映像伝送システム。
【請求項6】
外部から映像ストリームを入力又は外部に映像ストリームを出力する入出力インタフェースを備える映像ルーティング装置が、
前記入出力インタフェースで入力又は出力された映像ストリームに関してシンタックスにエラーがあるか否かを解析する解析手順と、
前記解析手順による解析の結果、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームが存在する場合、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームを入力又は出力した入出力インタフェースを所定の通知先に通知する通知部と、
を実行する方法。
【請求項7】
外部から映像ストリームを入力又は外部に映像ストリームを出力する入出力インタフェースを備える複数の映像ルーティング装置が含まれる映像伝送システムに用いられる方法であって、
前記複数の映像ルーティング装置の各々が、
自身が備える入出力インタフェースで入力又は出力された映像ストリームに関してシンタックスにエラーがあるか否かを解析する解析手順と、
前記解析手順による解析の結果、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームが存在する場合、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームを入力又は出力した入出力インタフェースを所定の通知先に通知する通知手順と、
を実行する方法。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1乃至4の何れか一項に記載の映像ルーティング装置として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像ルーティング装置、映像伝送システム、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
或る拠点(以下、「収録拠点」ともいう。)で収録された映像を、その映像が再生される他の拠点(以下、「再生拠点」ともいう。)に伝送する映像伝送技術が従来から知られている(例えば、非特許文献1参照)。このような映像伝送技術では、収録拠点で収録された映像の映像ストリームを集信し、その収録拠点に対応する再生拠点にその映像ストリームを配信するルータ(以下、「映像ルーティング装置」ともいう。)が配置される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】映像ストリームルーティングソフトウェア,インターネット<URL:https://www.ntt-tx.co.jp/products/viaPlatz/MTS/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、何等かの原因(例えば、各種機器の故障や誤設定等)により映像ストリームが正しく伝送されず、その結果、再生拠点で映像が正しく再生されない場合がある。このような場合、原因箇所を特定する必要があるが、例えば、収録拠点と再生拠点が遠隔であったり、映像ルーティング装置が多段に配置されていたりする場合等には原因箇所の特定に多大な時間を要する。
【0005】
本発明の一実施形態は、上記の点に鑑みてなされたもので、映像が正常に再生されないときの原因箇所の特定を支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、一実施形態に係る映像ルーティング装置は、外部から映像ストリームを入力又は外部に映像ストリームを出力する入出力インタフェースを備える映像ルーティング装置であって、前記入出力インタフェースで入力又は出力された映像ストリームに関してシンタックスにエラーがあるか否かを解析するように構成されている解析部と、前記解析部による解析の結果、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームが存在する場合、前記シンタックスにエラーがある映像ストリームを入力又は出力した入出力インタフェースを所定の通知先に通知するように構成されている通知部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
映像が正常に再生されないときの原因箇所の特定を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る映像伝送システムの全体構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る映像ルーティング装置の機能構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係る映像ストリーム監視処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について説明する。以下では、或る収録拠点から或る再生拠点に映像ストリームを伝送する場合を想定し、この映像ストリームによる映像が正常に再生できないときに原因箇所の特定が容易な映像伝送システム1について説明する。
【0010】
<映像伝送システム1の全体構成例>
本実施形態に係る映像伝送システム1の全体構成例を
図1に示す。
図1に示すように、本実施形態に係る映像伝送システム1には、収録拠点及び再生拠点にそれぞれ配置された映像ルーティング装置10と、端末20と、収録拠点に配置された撮影装置30及びエンコーダ40と、再生拠点に配置されたデコーダ50及び再生装置60とが含まれる。また、収録拠点及び再生拠点にそれぞれ設置された映像ルーティング装置10は通信ネットワーク70を介して通信可能に接続されている。なお、通信ネットワークはインターネット等を含む任意の通信網である。
【0011】
ここで、
図1に示す例では、収録拠点には、映像ルーティング装置10Aと、撮影装置30A及びエンコーダ40Aと、撮影装置30B及びエンコーダ40Bと、撮影装置30C及びエンコーダ40Cと、撮影装置30D及びエンコーダ40Dとが配置されている。同様に、
図1に示す例では、再生拠点には、映像ルーティング装置10Bと、デコーダ50A及び再生装置60Aと、デコーダ50B及び再生装置60Bと、デコーダ50C及び再生装置60Cと、デコーダ50D及び再生装置60Dとが配置されている。
図1に示す例では収録拠点に4台の撮影装置30と4台のエンコーダ40とが配置されているが、これは一例であって、任意の台数の撮影装置30と任意の台数のエンコーダ40とが配置されていてもよい。同様に、
図1に示す例では再生拠点に4台のデコーダ50と4台の再生装置60とが配置されているが、これは一例であって、任意の台数のデコーダ50と任意の台数の再生装置60とが配置されていてもよい。以下では、簡単のため、撮影装置30とエンコーダ40とが1対1に接続されており、同様にデコーダ50と再生装置60とが1対1に接続されているものとする。
【0012】
映像ルーティング装置10は、エンコーダ40や他の映像ルーティング装置10から映像ストリームを受信し、予め設定されたルーティング情報に従ってそれらの映像ストリームをデコーダ50や他の映像ルーティング装置10に配信する。
図1に示す例では、映像ルーティング装置10Aは、収録拠点に配置されたエンコーダ40A~40Dから映像ストリームをそれぞれ受信し、それら4本の映像ストリームを映像ルーティング装置10Bに配信している。また、
図1に示す例では、映像ルーティング装置10Bは、映像ルーティング装置10Aから4本の映像ストリームを受信し、それら4本の映像ストリームのそれぞれをデコーダ50A~50Dにそれぞれ配信している。
【0013】
また、映像ルーティング装置10は、映像ストリーム毎に、その映像ストリームが入力される論理的又は物理的な入力インタフェースである入力インタフェース11と、その映像ストリームが出力される論理的又は物理的な出力インタフェースである出力インタフェース12とを備えており、これらの入力インタフェース11及び出力インタフェース12で入出力される映像ストリームのシンタックスが正しいか否かを監視する。以下、入力インタフェースと出力インタフェースとをまとめて「入出力インタフェース」ともいう。なお、シンタックスとは映像ストリームのビット列の規則(文法規則)のことであり、映像データを映像ストリームに変換するための圧縮方式(又は符号化方式)によって定められている。
【0014】
図1に示す例では、映像ルーティング装置10Aは、エンコーダ40Aからの映像ストリームを入力する入力インタフェース11A-1と、エンコーダ40Bからの映像ストリームを入力する入力インタフェース11A-2と、エンコーダ40Cからの映像ストリームを入力する入力インタフェース11A-3と、エンコーダ40Dからの映像ストリームを入力する入力インタフェース11A-4とを備えている。また、映像ルーティング装置10Aは、エンコーダ40Aからの映像ストリームを出力する出力インタフェース12A-1と、エンコーダ40Bからの映像ストリームを出力する出力インタフェース12A-2と、エンコーダ40Cからの映像ストリームを出力する出力インタフェース12A-3と、エンコーダ40Dからの映像ストリームを出力する出力インタフェース12A-4とを備えている。なお、
図1に示す例では、出力インタフェース12A-1~12A-4は、1つの出力インタフェースの多重化により実現されている。
【0015】
同様に、
図1に示す例では、映像ルーティング装置10Bは、映像ルーティング装置10Aの出力インタフェース12A-1からの映像ストリームを入力する入力インタフェース11B-1と、映像ルーティング装置10Aの出力インタフェース12A-2からの映像ストリームを入力する入力インタフェース11B-2と、映像ルーティング装置10Aの出力インタフェース12A-3からの映像ストリームを入力する入力インタフェース11B-3と、映像ルーティング装置10Aの出力インタフェース12A-4からの映像ストリームを入力する入力インタフェース11B-4とを備えている。また、映像ルーティング装置10Bは、デコーダ50Aに映像ストリームを出力する出力インタフェース12B-1と、デコーダ50Bに映像ストリームを出力する出力インタフェース12B-2と、デコーダ50Cに映像ストリームを出力する出力インタフェース12B-3と、デコーダ50Dに映像ストリームを出力する出力インタフェース12B-4とを備えている。なお、
図1に示す例では、入力インタフェース11B-1~11B-4は、1つの入力インタフェースの多重化により実現されている。
【0016】
端末20は、この端末20が備える表示装置(ディスプレイ等)上に、各映像ルーティング装置10の入力インタフェース11及び出力インタフェース12で入出力される映像ストリームの監視結果を表示する。例えば、端末20は、その表示装置上に、入出力した映像ストリームにシンタックスエラーがある入出力インタフェースとそのエラー内容とを表示する。これにより、端末20のユーザは、どの映像ルーティング装置10のどの入出力インタフェースで映像ストリームが不正となっているのかを知ることできるため、映像が正常に再生されないときの原因箇所を容易に特定することができるようになる。
【0017】
撮影装置30は、撮影範囲内を撮影して映像データを生成する。なお、撮影装置30は、例えば、ビデオカメラ等である。
【0018】
エンコーダ40は、撮影装置30によって生成された映像データを所定の圧縮方式(符号化方式)によりエンコード(圧縮又は符号化)して映像ストリームを生成し、その映像ストリームを映像ルーティング装置10(
図1に示す例では映像ルーティング装置10A)に送信する。
【0019】
デコーダ50は、映像ルーティング装置10(
図1に示す例では映像ルーティング装置10B)から受信した映像ストリームを所定の圧縮方式(符号化方式)によりデコード(伸張又は復号)して映像データを生成し、その映像データを再生装置60に送出する。
【0020】
再生装置60は、デコーダ50によって生成された映像データを再生する。なお、再生装置60は、例えば、少なくともディスプレイを含む機器又は機器群である。
【0021】
なお、
図1に示す映像伝送システム1の全体構成は一例であって、これに限られるものではない。例えば、映像ルーティング装置10がPC(パーソナルコンピュータ)等で実現されており、この映像ルーティング装置10がディスプレイ等の表示装置を備えている場合には、端末20が映像伝送システム1に含まれていなくてもよい。この場合、各映像ルーティング装置10の入力インタフェース11及び出力インタフェース12の監視結果は、当該映像ルーティング装置10が備える表示装置上に表示される。
【0022】
また、
図1に示す例では1つの収録拠点と1つの再生拠点とが図示されているが、これは一例であって、複数の収録拠点や複数の再生拠点が存在してもよい。更に、
図1に示す例では、映像ルーティング装置10Aは、エンコーダ40A~40Dからの4本の映像ストリームを映像ルーティング装置10Bに送信しているが、例えば、4本の映像ストリームのうちの一部の映像ストリームを他の映像ルーティング装置10(つまり、他の再生拠点の映像ルーティング装置10)に送信してもよい。このとき、映像ルーティング装置10Aは、4本の映像ストリームを映像ルーティング装置10Bに送信すると共に、それらの映像ストリームのうちの全部又は一部を複製(コピー)して他の映像ルーティング装置10に送信してもよい。
【0023】
<映像ルーティング装置10の機能構成例>
本実施形態に係る映像ルーティング装置10の機能構成例を
図2に示す。
図2に示すように、本実施形態に係る映像ルーティング装置10は、ストリーム受信部101と、ストリーム送信部102と、ストリーム監視部103とを有する。これら各部は、例えば、映像ルーティング装置10にインストールされた1以上のプログラムが、CPU(Central Processing Unit)等の演算装置に実行させる処理により実現される。また、本実施形態に係る映像ルーティング装置10は、ストリームバッファ部104と、ルーティング情報記憶部105とを有する。これら各部は、例えば、SSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置により実現される。
【0024】
ストリーム受信部101は、エンコーダ40や他の映像ルーティング装置10からの映像ストリームを入力インタフェース11から入力し、ストリームバッファ部104に格納する。
【0025】
ストリーム送信部102は、ルーティング情報記憶部105に記憶されているルーティング情報に従って、ストリームバッファ部104に格納されている映像ストリームを出力インタフェース12から出力する。ここで、ルーティング情報とは、どのエンコーダ40からの映像ストリームをどのデコーダ50に配信するかを表す情報であり、例えば、エンコーダ40を示す情報と、デコーダ50を示す情報又はそのデコーダ50に映像ストリームを配信するためのネクストホップとなる映像ルーティング装置10を示す情報とが対応付けられた情報等で表される。このようなルーティング情報を参照することで、ストリーム送信部102は、或るエンコーダ40からの映像ストリームの送信先となるデコーダ50又はネクストホップとなる映像ルーティング装置10を決定することができる。エンコーダ40を示す情報やデコーダ50を示す情報、映像ルーティング装置10を示す情報としては、例えば、IP(Internet Protocol)アドレスやMAC(Media Access Control)アドレス等を用いることもできるし、エンコーダ40やデコーダ50、映像ルーティング装置10に対して任意に付与されたユニークなID等を用いることもできる。なお、例えば、1つの収録拠点に1台のエンコーダ40のみが配置されている場合にはエンコーダ40を示す情報の代わりに収録拠点を示す情報が用いられてもよく、同様に1つの再生拠点に1台のデコーダ50のみが配置されている場合にはデコーダ50を示す情報の代わりに再生拠点を示す情報が用いられてもよい。
【0026】
ストリーム監視部103は、自身が備える入出力インタフェース(入力インタフェース11及び出力インタフェース12)で入出力された映像ストリームのシンタックスが正しいか否かを監視し、その監視結果を端末20に通知する。ここで、ストリーム監視部103には、解析部111と、通知部112とが含まれる。解析部111は、所定の圧縮方式(符号化方式)に関するパーサ(parser)として機能し、映像ストリームのシンタックスが正しいか否かを解析する。すなわち、解析部111は、その映像ストリームがデコーダ50によって正しくデコードできるか否かを解析する。通知部112は、解析部111による解析結果が映像ストリームのシンタックスが正しくないことを示すものである場合(つまり、シンタックスエラーとなる場合)、その映像ストリームが入力又は出力された入出力インタフェースとそのシンタックスエラーの内容とを端末20に通知する。
【0027】
ストリームバッファ部104は、自身が備える各入力インタフェース11から入力された映像ストリームが一時的に格納される。なお、ストリームバッファ部104には、エンコーダ40毎に、そのエンコーダ40で生成された或る所定の長さの映像ストリーム(例えば、数秒~数分程度といった或る程度の長さの映像ストリーム)が格納される。ストリームバッファ部104によって、例えば、ストリーム監視部103の処理遅延やCPUの負荷状況による処理速度の揺らぎ等の影響を吸収することが可能となる。ただし、ストリームバッファ部104は必須の構成要素でなく、ストリーム監視部103の処理遅延やCPUの負荷状況による処理速度の揺らぎ等がない(又はそれらを無視できる)場合には、ストリームバッファ部104は無くてもよい。
【0028】
ルーティング情報記憶部105は、映像ストリームの送信先となるデコーダ50又はネクストホップとなる映像ルーティング装置10を決定するためのルーティング情報が格納されている。
【0029】
<映像ストリーム監視処理>
以下、或る映像ルーティング装置10において自身が備える各入出力インタフェースで入出力された映像ストリームを監視する場合の映像ストリーム監視処理について、
図3を参照しながら説明する。ここで、
図3のステップS101~ステップS103は、各映像ルーティング装置10においてリアルタイムに繰り返し実行される。なお、ストリーム受信部101によって各入力インタフェース11から各映像ストリームがそれぞれリアルタイムに入力されてストリームバッファ部104に格納されると共に、ルーティング情報に従って、ストリームバッファ部104に格納されている各映像ストリームがストリーム送信部102によって各出力インタフェース12からそれぞれ出力されているものとする。
【0030】
まず、ストリーム監視部103の解析部111は、当該映像ルーティング装置10が備える各入出力インタフェースで入出力された各映像ストリームのシンタックスが正しいか否かを解析する(ステップS101)。すなわち、解析部111は、各入力インタフェース11からそれぞれ入力された各映像ストリームのシンタックスが正しいか否かをそれぞれ解析すると共に、各出力インタフェース12からそれぞれ出力された各映像ストリームのシンタックスが正しいか否かをそれぞれ解析する。
【0031】
なお、シンタックスが正しくない場合とは、映像ストリームのビット列が、圧縮方式(又は符号化方式)に応じた文法規則に従ってない場合(つまり、シンタックスエラーとなる場合)のことである。具体例を挙げれば、例えば、映像ストリームのビット列における所定の位置の値は「0」であるべきところが「1」となっている場合等が挙げられる。
【0032】
次に、ストリーム監視部103の解析部111は、上記のステップS101における解析の結果、シンタックスエラーとなった映像ストリームが存在するか否かを判定する(ステップS102)。
【0033】
上記のステップS103でシンタックスエラーとなった映像ストリームが存在しないと判定された場合、ストリーム監視部103は、ステップS103の処理を実行しない。一方で、上記のステップS103でシンタックスエラーとなった映像ストリームが存在すると判定された場合、ストリーム監視部103の通知部112は、シンタックスエラーとなった映像ストリームが入力又は出力された入出力インタフェースとそのシンタックスエラーの内容とを端末20に通知する(ステップS103)。これにより、端末20のユーザは、どの映像ルーティング装置10のどの入出力インタフェースで映像ストリームが不正(シンタックスエラー)となっているのかを知ることできるため、映像が正常に再生されないときの原因箇所を容易に特定することができるようになる。ただし、端末20に通知することは一例であって、端末20以外の所定の通知先に上記の入出力インタフェースとエラー内容とが通知されてもよい。
【0034】
例えば、
図1に示す例において、エンコーダ40Aで生成される映像ストリームは、映像ルーティング装置10Aの入力インタフェース11A-1から入力されて出力インタフェース12A-1から出力され、その後、映像ルーティング装置10Bの入力インタフェース11B-1から入力されて出力インタフェース12B-1から出力されるものとする。すなわち、エンコーダ40Aで生成される映像ストリームは、入力インタフェース11A-1→出力インタフェース12A-1→入力インタフェース11B-1→出力インタフェース12B-1の順に入出力インタフェースを経由するものとする。
【0035】
このとき、例えば、入力インタフェース11A-1から入力された映像ストリームがシンタックスエラーとなっている場合、映像が正常に再生されないときの原因箇所は撮影装置30A又はエンコーダ40Aであると特定することができる。
【0036】
また、例えば、映像ルーティング装置10Aの入力インタフェース11A-1から入力された映像ストリームはシンタックスエラーとなっていない一方で、出力インタフェース12A-1から出力される映像ストリームがシンタックスエラーとなっている場合、映像が正常に再生されないときの原因箇所は映像ルーティング装置10Aであると特定することができる。
【0037】
また、例えば、映像ルーティング装置10Aの入力インタフェース11A-1から入力された映像ストリームと出力インタフェース12A-1から出力される映像ストリームはシンタックスエラーとなっていない一方で、映像ルーティング装置10Bの入力インタフェース11B-1から入力された映像ストリームがシンタックスエラーとなっている場合、映像が正常に再生されないときの原因箇所は通信ネットワーク70であると特定することができる。
【0038】
また、例えば、映像ルーティング装置10Aの入力インタフェース11A-1から入力された映像ストリームと出力インタフェース12A-1から出力される映像ストリームと映像ルーティング装置10Bの入力インタフェース11B-1から入力された映像ストリームはシンタックスエラーとなっていない一方で、映像ルーティング装置10Bの出力インタフェース12B-1から出力される映像ストリームがシンタックスエラーとなっている場合、映像が正常に再生されないときの原因箇所は映像ルーティング装置10Bであると特定することができる。
【0039】
また、例えば、いずれの入出力インタフェースでも映像ストリームがシンタックスエラーとなっていないにも関わらず映像が正常に再生されない場合は、その映像ストリームを映像データにデコードするデコーダ50又はその映像データを再生する再生装置60が原因箇所であると特定することができる。
【0040】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る映像伝送システム1に含まれる各映像ルーティング装置10は、自身が備える入出力インタフェースで入力又は出力される映像ストリームのシンタックスが正しいか否かを監視し、シンタックスエラーとなった映像ストリームが存在する場合はその映像ストリームが入力又は出力された入出力インタフェースを少なくとも通知する。これにより、ユーザは、どの映像ルーティング装置10のどの入出力インタフェースでシンタックスが正しくない映像ストリームが入力又は出力されたかを知ることができるため、再生拠点で映像が正しく再生されないときの原因箇所を容易に特定することができるようになる。このため、例えば、収録拠点と再生拠点が遠隔であったり、映像ルーティング装置10が多段に配置されていたりする場合においても、再生拠点で映像が正しく再生されないときの原因箇所を短時間で特定することができるようになる。
【0041】
本発明は、具体的に開示された上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載から逸脱することなく、種々の変形や変更、既知の技術との組み合わせ等が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 映像伝送システム
10 映像ルーティング装置
20 端末
30 撮影装置
40 エンコーダ
50 デコーダ
60 再生装置
70 通信ネットワーク
101 ストリーム受信部
102 ストリーム送信部
103 ストリーム監視部
104 ストリームバッファ部
105 ルーティング情報記憶部
111 解析部
112 通知部