(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149701
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231005BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20231005BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20231005BHJP
B41J 11/02 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 203
B41J2/165 207
B65H7/14
B41J11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058428
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 博之
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
3F048
【Fターム(参考)】
2C056EA07
2C056EB12
2C056EB36
2C056EB46
2C056EB59
2C056EC07
2C056EC12
2C056EC31
2C056EC37
2C056EC54
2C056FA13
2C056HA29
2C058AB04
2C058AB17
2C058AB22
2C058AC07
2C058AD01
2C058AE02
2C058AE08
2C058AF31
2C058DA13
3F048AA05
3F048AB01
3F048BA06
3F048BB02
3F048CA02
3F048CC02
3F048DC14
3F048EB22
3F048EB29
3F048EB37
(57)【要約】
【課題】画像不良を好適に抑制可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置は、搬送ベルトと、記録ヘッドと、制御部と、間隔検出センサーと、厚み検出基準部材と、記憶部と、を備える。搬送ベルトには、搬送ベルトを貫通する検出孔が形成されている。制御部は、間隔検出モードと、厚み算出モードと、着弾タイミング補正モードと、を実行可能である。着弾タイミング補正モードにおいて制御部は、記憶部に記憶された搬送ベルトの厚みが基準厚みよりも厚い場合に着弾タイミングを基準着弾タイミングよりも早くし、記憶部に記憶された搬送ベルトの厚みが基準厚みよりも薄い場合に着弾タイミングを基準着弾タイミングよりも遅くする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送する無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトと対向し、前記搬送ベルトによって搬送される前記記録媒体にインクを吐出して画像記録を行う複数のノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録ヘッドから吐出されるインクの前記記録媒体への着弾タイミングを制御する制御部と、
を備えるインクジェット記録装置において、
前記搬送ベルトに所定の間隔を隔てて対向配置され、前記搬送ベルトの厚みを検出する間隔検出センサーと、
前記搬送ベルトを間に挟んで前記間隔検出センサーと対向し、前記搬送ベルトの前記間隔検出センサーと反対側の面に接触する厚み検出基準部材と、
前記間隔検出センサーによって検出された前記搬送ベルトの厚みを記憶する記憶部と、
を備え、
前記搬送ベルトには、記録媒体搬送方向に直交するベルト幅方向に対して前記厚み検出基準部材と重なる位置に、前記搬送ベルトを貫通する検出孔が形成され、
前記間隔検出センサーは、前記搬送ベルトとの第1対向間隔および前記検出孔を介して前記厚み検出基準部材との第2対向間隔を検出可能であり、
前記制御部は、
前記搬送ベルトを回転させて前記第1対向間隔および前記厚み検出基準部材との第2対向間隔を検出する間隔検出モードと、
前記間隔検出モードにより検出された前記1対向間隔と前記第2対向間隔の差分値から前記搬送ベルトの厚みを算出して前記記憶部に記憶する厚み算出モードと、
前記記憶部に記憶された前記搬送ベルトの厚みに応じて前記着弾タイミングを制御する着弾タイミング補正モードと、を実行可能であり、
前記着弾タイミング補正モードにおいて前記制御部は、前記着弾タイミングを、前記記憶部に記憶された搬送ベルトの厚みが所定の基準厚みの場合に前記基準着弾タイミングとし、前記記憶部に記憶された前記搬送ベルトの厚みが前記基準厚みよりも厚い場合に前記着弾タイミングを前記基準着弾タイミングよりも早くし、前記記憶部に記憶された前記搬送ベルトの厚みが前記基準厚みよりも薄い場合に前記着弾タイミングを前記基準着弾タイミングよりも遅くすることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記搬送ベルトに対向し、前記搬送ベルトに形成された前記搬送ベルトを貫通する基準孔を検知する基準孔検知センサーを備え、
前記間隔検出モードにおいて前記制御部は、前記基準孔検知センサーの検知結果に基づいて、前記搬送ベルトの前記記録媒体搬送方向に沿った位相を検出可能であり、
前記厚み算出モードにおいて前記制御部は、前記搬送ベルトの位相に基づいて前記記録媒体搬送方向における前記搬送ベルトの厚み分布を算出して前記記憶部に記憶し、
前記着弾タイミング補正モードにおいて前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記搬送ベルトの個別の厚み分布に応じて前記着弾タイミングを制御することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記搬送ベルトに対する前記間隔検出センサーおよび前記基準孔検知センサーの対向位置が、前記記録媒体搬送方向に異なり、かつ前記ベルト幅方向に重なっており、
前記基準孔は、前記検出孔と同一の孔であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記間隔検出モードにおいて前記制御部は、前記間隔検出センサーを用いて前記記録媒体搬送方向に対して複数個所の前記第1対向間隔を検出し、
前記厚み算出モードにおいて前記制御部は、各前記第1対向間隔の平均値と、前記第2対向間隔との差分値から前記搬送ベルトの厚みを算出することを特徴とする請求項2または3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記搬送ベルトによる前記記録媒体の搬送速度、および前記記録ヘッドからのインクの吐出タイミングの少なくとも一方を変化させて、前記着弾タイミングの制御を行うことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記間隔検出モードにおいて前記制御部は、前記搬送ベルトの移動速度を、前記画像記録中の前記搬送ベルトの移動速度よりも遅くすることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記搬送ベルトは、前記記録媒体搬送方向および前記ベルト幅方向に対して複数形成されるフラッシング用開口部を有し、
前記制御部は、画像記録に寄与するタイミングとは異なるタイミングで前記に前記記録ヘッドの前記ノズルから前記インクを吐出させて複数の前記フラッシング用開口部のいずれかを通過させるフラッシングを実行可能であり、
前記フラッシング用開口部の少なくとも一部は、前記検出孔を兼ねることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記搬送ベルトは、複数の前記フラッシング用開口部が前記ベルト幅方向に形成されたフラッシング領域が、前記記録媒体搬送方向に所定の間隔を隔てて複数箇所に配置されており、
前記検出孔は、前記フラッシング領域にのみ形成されていることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記検出孔は、前記ベルト幅方向に複数形成され、
前記間隔検出センサーは、前記ベルト幅方向において前記検出孔のそれぞれに対して個別に重なる位置に複数配置されており、
前記厚み算出モードにおいて前記制御部は、夫々の前記間隔検出センサーの検出結果に基づき、前記ベルト幅方向の前記搬送ベルトの厚み分布を算出して前記記憶部に記憶可能であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記検出孔は、前記ベルト幅方向に複数形成され、
前記間隔検出センサーは、前記ベルト幅方向に沿って往復移動して前記検出孔の位置ごとの前記第1対向間隔と、前記検出孔を介して前記ベルト幅方向の前記検出孔の位置ごとに前記第2対向間隔とを検出可能であり、
前記厚み算出モードにおいて前記制御部は、各前記第1対向間隔と各前記第2対向間隔とに基づいて、前記ベルト幅方向の前記搬送ベルトの厚み分布を算出して前記記憶部に記憶可能であることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記間隔検出モードおよび前記厚み算出モードは、電源投入時以降、最初の前記画像記録が行われるまでの間に実行されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記間隔検出モードおよび前記厚み算出モードは、前記画像記録が実行される毎に、前記画像記録の直前に実行されることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記間隔検出モードおよび前記厚み算出モードは、前記記録媒体への印字枚数が所定枚数に達するごとに実行されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高精細な画像を形成できることから、ファクシミリ、複写機、プリンターのような記録装置として、インクジェット記録装置が広く用いられている。インクジェット記録装置は、紙、OHP用シート、封筒等の記録媒体にインクを吐出して画像を形成する。
【0003】
このようなインクジェット記録装置としては、搬送ベルトと、記録ヘッドと、制御部と、を備えるものが一般的である。搬送ベルトは、無端状のベルトであって、複数のローラーに巻き掛けられて支持されている。搬送ベルトは、表面に配置された記録媒体を搬送する。記録ヘッドは複数のノズルを有する。ノズルは、搬送ベルトに対向するように配置されている。記録ヘッドは、ノズルからインクを吐出して、搬送中の記録媒体に画像記録を行う。制御部は、記録ヘッドから吐出されるインクの記録媒体への着弾タイミングを制御する。
【0004】
このようなインクジェット記録装置として、ベルト速度検知機構を備えるものがある。ベルト速度検知機構は、パルス板と、検知センサーとから構成されている。パルス板は、搬送ベルトを支持するローラーに設けられ、ローラーと共に回転する。検知センサーは、所定の位置を通過するパルス板を検知する。制御部は、パルス板の検知周期から、ローラーの回転速度、すなわち搬送ベルトの移動速度(ベルト走行速度)を検出する。
【0005】
この制御部は、上記ベルト検知センサーの検知結果に基づいて、インクの吐出タイミングを補正する。仮に、ベルト走行速度に僅かな変化が生じたとしても、用紙がノズルと対向する位置に到達するタイミングに合わせて、制御部がインクの吐出タイミングを変化させる。これにより、ベルトの走行速度の変化によって記録媒体に形成される画像にずれ等の画像不良が生じるのを抑制している。
【0006】
ところで、このようなインクジェット記録装置において、搬送ベルトの厚みに大きなむらが生じた場合、ベルト走行速度とベルトの線速(ベルト表面の移動速度)とにずれが生じる。上記のベルト速度検知機構ではベルトの線速のずれを検出することができない。このため、制御部がベルト走行速度に基づいてインクの吐出タイミングを補正したとしても、用紙へのインクの着弾タイミングがずれしまうおそれがある。すると、用紙に形成される画像にずれが生じ、画像不良の原因となる。特に、搬送ベルトの厚みムラが、搬送ベルトの走行方向に対して長周期的に、かつ比較的大きく変化する場合、画像ずれが顕著になるおそれがある。
【0007】
このような問題に対して、種々の方法により画像ずれを適切に補正できるインクジェット記録装置が提案されている(特許文献1、特許文献2)。特許文献1のインクジェット記録装置は、非接触のドップラー式速度センサーにより、記録媒体の移動速度そのもの、または搬送ベルトの線速そのものを検出する構成を採用している。これにより、搬送ベルトの厚みにむらが生じたとしても、記録媒体の移動速度や搬送ベルトの線速の変化を検出して、インクの着弾タイミングを補正し、画像不良を抑制する。
【0008】
また、特許文献2のインクジェット記録装置は、移動中の記録媒体の端部に回転部材を接触させて、記録媒体の高さの変化を測定することで、搬送ベルトの厚みの変化を検出する構成を採用している。この搬送ベルトの厚みの変化に応じて、インクの着弾タイミングを補正し、画像不良を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平4-226379号公報
【特許文献2】特開平11-106090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1のインクジェット記録装置は、記録媒体の種類や記録媒体または搬送ベルトの表面状態等によって、速度計から出射されるレーザー光の反射率が変化する。インクジェット記録装置は様々な種類の記録媒体に対して画像形成を実行するため、上記反射率は一定ではない。また、記録媒体の表面状態はインクの吐出前後で変化し、搬送ベルトの表面状態は紙粉や経年使用による汚れ等によって変化する。これらのことから、反射率が想定より低下することで、搬送ベルトの搬送速度を正確に測定することが困難になって、画像不良を抑制できないおそれがある。
【0011】
また特許文献2のインクジェット記録装置は、記録媒体の一部にのみ回転部材を接触させる。このため記録媒体の一部の高さの変化しか測定できず、搬送ベルト全体の厚みのムラを検出することができない。また、機械的な構成によって記録媒体に回転部材を直接接触させて搬送ベルトの厚みを検出するため、非接触式のものに比べて検出精度が低いものとなってしまう。このため、細かなベルトの線速の変化を検出できず、画像不良を抑制することができない。
【0012】
本発明は、搬送ベルトの厚みのむらに基づく画像不良を好適に抑制可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために本発明の第1の構成は、搬送ベルトと、記録ヘッドと、制御部と、を備えるインクジェット記録装置である。搬送ベルトは、無端状をなし、記録媒体を搬送する。記録ヘッドは、搬送ベルトと対向し、搬送ベルトによって搬送される記録媒体にインクを吐出して画像記録を行う複数のノズルを有する。制御部は、記録ヘッドから吐出されるインクの記録媒体への着弾タイミングを制御する。インクジェット記録装置は、間隔検出センサーと、厚み検出基準部材と、記憶部と、を備える。間隔検出センサーは、搬送ベルトに所定の間隔を隔てて対向配置され、搬送ベルトの厚みを検出する。厚み検出基準部材は、搬送ベルトを間に挟んで間隔検出センサーと対向し、搬送ベルトの間隔検出センサーと反対側の面に接触する。記憶部は、間隔検出センサーによって検出された搬送ベルトの厚みを記憶する。搬送ベルトには、記録媒体搬送方向に直交するベルト幅方向に対して厚み検出基準部材と重なる位置に、搬送ベルトを貫通する検出孔が形成されている。間隔検出センサーは、搬送ベルトとの第1対向間隔および検出孔を介して厚み検出基準部材との第2対向間隔を検出可能である。制御部は、搬送ベルトを回転させて第1対向間隔および厚み検出基準部材との第2対向間隔を検出する間隔検出モードと、間隔検出モードにより検出された1対向間隔と第2対向間隔の差分値から搬送ベルトの厚みを算出して記憶部に記憶する厚み算出モードと、記憶部に記憶された搬送ベルトの厚みに応じて着弾タイミングを制御する着弾タイミング補正モードと、を実行可能である。着弾タイミング補正モードにおいて制御部は、着弾タイミングを、記憶部に記憶された搬送ベルトの厚みが所定の基準厚みの場合に基準着弾タイミングとし、記憶部に記憶された搬送ベルトの厚みが基準厚みよりも厚い場合に着弾タイミングを基準着弾タイミングよりも早くし、記憶部に記憶された搬送ベルトの厚みが基準厚みよりも薄い場合に着弾タイミングを基準着弾タイミングよりも遅くする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の構成によれば、間隔検出モードおよび厚み算出モードによって搬送ベルトの厚みを高精度で算出可能になる。さらに着弾タイミング補正モードにより、搬送ベルトの厚みに応じてインクの着弾タイミングを補正する。このため、搬送ベルトの厚みむらが生じても、厚みのむらに応じてインクの着弾タイミングを補正することが可能になり、画像ずれを抑制できる。
【0015】
従って、画像不良を好適に抑制可能なインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンター100の概略構成を示す図
【
図3】第1搬送ベルト8の表面を上方から視た平面図
【
図5】第1搬送ユニット5の間隔検出センサー44付近の部分側面図であって、間隔検出センサー44が検出孔42に対向した状態を示す図
【
図6】第1搬送ユニット5の間隔検出センサー44付近の部分側面図であって、間隔検出センサー44が検出孔42に対向していない状態を示す図
【
図7】第1搬送ベルト8の用紙搬送方向に沿った断面を示す断面図
【
図8】本実施形態のプリンター100の制御経路の一例を示すブロック図
【
図9】本実施形態のプリンター100の制御フローの一部の例を示すフローチャート
【
図10】間隔検出モードの制御フローを示すフローチャート
【
図11】厚み検出モードの制御フローを示すフローチャート
【
図12】着弾タイミング補正モードの制御フローを示すフローチャート
【
図13】第2実施形態のプリンター100に係る第1搬送ベルト8の表面を正面から視た平面図
【
図14】第3実施形態のプリンター100に係る第1搬送ベルト8の表面を正面から視た平面図
【
図15】第4実施形態のプリンター100の係る第1搬送ベルト8の表面を正面から視た平面図
【
図16】第5実施形態のプリンター100の制御フローの一部の例を示すフローチャート
【
図17】各実施形態のプリンター100の変形例を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るプリンター100(インクジェット記録装置)の概略構成を示す図である。
図2は、第1搬送ユニット5の周辺を示す概略図である。
図2に示す矢印Aの方向は、用紙Pの搬送方向(以下、用紙搬送方向と称する)である。また、用紙搬送方向に直交する方向(
図3に示す矢印BB´の方向)は、用紙Pの幅方向(以下、用紙幅方向と称する)である。
【0018】
図1、
図2に示すように、プリンター100は、用紙搬送装置40と、記録部9と、厚み検出機構41と、記憶部28と、制御装置110(制御部)と、を備える。
【0019】
用紙搬送装置40は、給紙カセット2と、給紙装置3と、第1用紙搬送路4aと、レジストローラー対13と、第1搬送ユニット5と、第2搬送ユニット12と、デカーラー部14と、反転搬送路16と、用紙排出トレイ15と、を備えている。用紙搬送装置40は、給紙カセット2から用紙排出トレイ15まで用紙Pを搬送する。
【0020】
給紙カセット2は、プリンター本体1の内部の下方に配置されている。給紙カセット2の内部には、記録媒体(印刷用紙やOHPシート、封筒等)が収容される。ここでは、記録媒体として用紙Pを例に説明する。
【0021】
給紙装置3は、用紙搬送方向に対して給紙カセット2の下流側に配置されている。第1用紙搬送路4aは、給紙装置3を介して給紙カセット2に連接している。第1用紙搬送路4aは、プリンター本体1の内部を上方に向かって延びるように形成されている。第1搬送ユニット5は、用紙搬送方向に対して第1用紙搬送路4aの下流側端部に、間にレジストローラー対13を介して連接している。第2搬送ユニット12は、用紙搬送方向に対して第1搬送ユニット5の下流側に並んでいる。
【0022】
給紙装置3は、給紙カセット2から、用紙Pを1枚ずつ分離しつつ、第1用紙搬送路4aに給送する。第1用紙搬送路4aは、給紙装置3によって送り出された用紙Pを、レジストローラー対13に向けて搬送する。レジストローラー対13は、用紙Pの斜め送りを矯正しつつ、所定のタイミングで第1搬送ユニット5(後述する第1搬送ベルト8)に向かって用紙Pを送り出す。第1搬送ユニット5は、用紙Pを、用紙搬送方向の下流側に向かって搬送して第2搬送ユニット12に受け渡す。第1搬送ユニット5の詳細については、後述する。
【0023】
第2搬送ユニット12は、第2搬送ベルト12aと、乾燥機12bとを有する。第2搬送ベルト12aは、無端状のベルトであって、駆動ローラー12cおよび従動ローラー12dによって張架されている。乾燥機12bは、第2搬送ベルト12aと対向している。乾燥機12bは、用紙P上に吐出されたインクを乾燥させる。
【0024】
第2用紙搬送路4bは、用紙搬送方向に対して第2搬送ユニット12の下流側に、間にデカーラー部14を挟んで連接している。デカーラー部14は、用紙Pに生じたカールを矯正する。第2用紙搬送路4bは、デカーラー部14から、プリンター本体1の側面に開口する排出口25に向かって延びている。排出口25には排出ローラー対26が設けられている。プリンター本体1の側面であって、排出口25の下方には、用紙排出トレイ15が設けられている。排出ローラー対26は、用紙Pを排出口25から用紙排出トレイ15へと排出する。
【0025】
反転搬送路16は、プリンター本体1の上部であって記録部9の上方に設けられている。用紙搬送方向に対して反転搬送路16の上流側端部は第2用紙搬送路4bに連接している。用紙搬送方向に対して反転搬送路16の下流側端部は、第1用紙搬送路4aの下流側端部と連接している。すなわち、反転搬送路16の下流側端部は、レジストローラー対13を介して第1搬送ユニット5に連接している。反転搬送路16は、両面印刷を行う際に、第2用紙搬送路4bを通過する用紙Pをスイッチバックさせて裏表を反転させつつ、再度第1搬送ユニット5へ搬送する。
【0026】
図1、
図2に示すように、第1搬送ユニット5は、第1搬送ベルト8と、駆動ローラー6aと、速度検知ローラー6bと、速度検知ローラー6bと、テンションローラー7a、7bと、を備えている。
【0027】
第1搬送ベルト8は無端状のベルトである。第1搬送ベルト8は、継ぎ目を有さないシームレスベルトであるのが好ましい。第1搬送ベルト8の走行方向(
図2に示す矢印A方向)に沿って、速度検知ローラー6b、および駆動ローラー6a、テンションローラー7a、テンションローラー7b、の順に配置されている。
【0028】
駆動ローラー6aは、不図示の駆動機構(モータ等)によって回転可能なように、プリンター本体1に支持されている。駆動ローラー6aと速度検知ローラー6bは、水平方向に所定の間隔を空けて並んでいる。テンションローラー7a、7bは、駆動ローラー6aおよび速度検知ローラー6bより下方に配置されている。速度検知ローラー6b、テンションローラー7a、7bは、プリンター本体1に回転可能に支持されている。
【0029】
第1搬送ベルト8は、駆動ローラー6a、速度検知ローラー6b、およびテンションローラー7a、7bにかけ渡されている。テンションローラー7a、7bは、第1搬送ベルト8に所定の張力が生じるように、第1搬送ベルト8の内周面を押圧している。
【0030】
駆動ローラー6aが回転することで、第1搬送ベルト8は用紙搬送方向(矢印A方向)に沿って回転する。具体的には、駆動ローラー6aが駆動機構(図示省略)によって回転すると、摩擦力によって第1搬送ベルト8に回転が伝達される。すると第1搬送ベルト8が駆動ローラー6aと共に回転する。第1搬送ベルト8が回転すると、速度検知ローラー6b、およびテンションローラー7a、7bが第1搬送ベルト8に対して従動回転する。
【0031】
速度検知ローラー6bには、速度検知機構(図示省略)が接続されている。この速度検知機構は、速度検知ローラー6bの回転速度、すなわち第1搬送ベルト8の回転速度(走行速度)を検知可能である。
【0032】
図3は、第1搬送ベルト8の表面を上方から視た平面図である。
図3に示すように、本実施形態の第1搬送ベルト8の表面には、複数の用紙積載領域PRと、複数のフラッシング領域FRと、が形成されている。用紙積載領域PRとフラッシング領域FRとは、第1搬送ベルト8の走行方向(用紙搬送方向)に交互に並んでいる。用紙積載領域PRは、レジストローラー対13から送り込まれた用紙Pが積載される。用紙積載領域PR上の用紙Pは、第1搬送ベルト8の走行によって、下流側に搬送される。
【0033】
各フラッシング領域FRには、複数の検出孔42が形成されている。フラッシング領域FRのうちの1つには、基準位置検知孔32が形成されている。検出孔42および基準位置検知孔32は、第1搬送ベルト8を貫通する貫通孔である。各検出孔42は、用紙幅方向に沿った複数の列(ここでは2列)をなしている。各列の検出孔42は、用紙幅方向に平行な直線状に、等間隔に並んでいる。基準位置検知孔32は、検出孔42とは異なる形状をしている。
【0034】
ここで、第1搬送ベルト8の厚みは、用紙搬送方向の位置ごとにばらつきが生じている場合がある(
図7参照)。第1搬送ベルト8の厚みの設計上の値(ばらつきが生じていない本来の値)を基準厚みとし、第1搬送ベルト8の厚みが基準厚みの場合の第1搬送ベルト8の線速(第1搬送ベルト8の表面の移動速度)を基準線速とする。
【0035】
仮に、第1搬送ベルト8の所定箇所の厚みが基準厚みよりも厚い場合、この所定箇所が駆動ローラー6aにかかる際に、第1搬送ベルト8の表面の回転半径が大きくなる。すると、第1搬送ベルト8の線速は基準線速よりも速くなる。反対に、所定箇所の厚みが基準厚みよりも薄い場合、第1搬送ベルト8の表面の回転半径は小さくなり、第1搬送ベルト8の線速が基準線速よりも遅くなる。このため、駆動ローラー6aを用紙搬送方向に沿って等速回転させていたとしても、第1搬送ベルト8の厚みにむらが生じた場合、第1搬送ベルト8の線速、すなわち用紙Pの搬送速度は等速ではなくなる。
【0036】
用紙搬送装置40は、上記の構成に加えて、レジストセンサー21と、第1用紙センサー22と、第2用紙センサー23と、ベルトセンサー24(基準孔検知センサー)と、をさらに備えている。
【0037】
レジストセンサー21は、用紙搬送方向に対してレジストローラー対13の上流側に配置されている。レジストセンサー21は、レジストローラー対13に送られる用紙Pを検知する。後述する制御装置110は、レジストセンサー21での検知結果に基づき、レジストローラー対13の回転開始のタイミングを制御する。これにより、用紙Pに対するスキュー(斜行)補正や、補正後の用紙Pの第1搬送ベルト8への供給タイミングの調整が可能である。
【0038】
第1用紙センサー22は、用紙搬送方向に対してレジストローラー対13と第1搬送ベルト8の上流側端部(駆動ローラー6aと重なる部分)との間の位置に配置されている。第1用紙センサー22は、レジストローラー対13から第1搬送ベルト8に送られる用紙Pの幅方向の位置を検知する。
【0039】
第2用紙センサー23は、用紙搬送方向に対して第1用紙センサー22より下流側であって、ラインヘッド11Y~11Kのうち最上流に位置するラインヘッド11Kよりも上流側に位置している。第2用紙センサー23は、レジストローラー対13によって第1搬送ベルト8に供給された用紙Pの通過を検知する。
【0040】
ベルトセンサー24は、基準位置検知孔32を検知可能な光学式のフォトセンサーである。ベルトセンサー24は、第1搬送ベルト8の走行方向に対して、テンションローラー7bよりも上流側であって、テンションローラー7aよりも下流側の位置に配置されている。ベルトセンサー24は、第1搬送ベルト8に対向している。ベルトセンサー24は、ベルト幅方向に対して基準位置検知孔32と重なる位置にある。第1搬送ベルト8が走行して、基準位置検知孔32がベルトセンサー24と対向する位置(第1搬送ベルト8の走行方向に対してベルトセンサー24と重なる位置)に到達すると、ベルトセンサー24は基準位置検知孔32を検知する。
【0041】
次に、用紙Pの搬送について説明する。
図1、
図2に示すように、用紙Pは、給紙カセット2から第1用紙搬送路4aを通過してレジストローラー対13まで搬送されると、レジストローラー対13によって、所定のタイミングで第1搬送ベルト8の上に積載される。第1搬送ユニット5は、第1搬送ベルト8を走行させて第1搬送ベルト8に積載された用紙Pを用紙搬送方向の下流側に搬送する。このとき、後述する記録部9から用紙Pの表面に各色のインクが順次所定のタイミングで吐出され、画像が形成される。
【0042】
用紙Pが駆動ローラー6aと重なる位置に到達すると、第2搬送ユニット12に受け渡され、第2搬送ベルト12a上に積載される。第2搬送ユニット12は、第2搬送ベルト12a上に積載された用紙Pを用紙搬送方向の下流側へ搬送する。このとき、乾燥機12bによって用紙P上のインクを乾燥させる。
【0043】
用紙Pが第2搬送ベルト12aの走行方向に対して駆動ローラー12cと重なる位置まで到達すると、第2用紙搬送路4bに受け渡される。このとき、デカーラー部14によって、用紙Pのカールが矯正される。
【0044】
ここで、用紙Pに対して両面記録を行わない場合、第2用紙搬送路4bは、用紙Pを、排出ローラー対26に向けて搬送する。排出ローラー対26は、排出口25を通じて用紙Pを用紙排出トレイ15へ排出する。
【0045】
用紙Pに対して両面記録を行う場合、第2用紙搬送路4bは、用紙Pを反転搬送路16へ搬送する。反転搬送路16は、用紙Pを、表裏を反転させつつレジストローラー対13へ再び搬送する。そして、レジストローラー対13は用紙Pを第1搬送ユニット5へ搬送する。これにより、用紙Pの他方の面に対して画像が記録される。両面記録後の用紙Pは、第2用紙搬送路4bによって排出ローラー対26へと搬送され、用紙排出トレイ15に排出される。
【0046】
次に、記録部9の構成および用紙Pへの画像形成について説明する。
図1、
図2に示すように、記録部9は、用紙搬送方向に対して第1搬送ユニット5と重なる位置にある。記録部9は、第1搬送ベルト8と対向している。記録部9は、第1搬送ベルト8によって搬送中の用紙Pに対してインクを吐出し、用紙Pの表面に画像を形成する。
【0047】
図4は、記録部9の平面図である。
図2、
図4に示すように、記録部9は、ヘッドハウジング10と、ラインヘッド11Y、11M、11C、11Kと、インク受け部31Y、31M、31C、31Kと、を備えている。ラインヘッド11Y~11Kは、ヘッドハウジング10に保持される。ラインヘッド11Y~11Kは、第1搬送ベルト8の表面に対して所定の間隔(例えば、
図2に示す上下方向に1mm)を空けて対向する位置に保持される。
【0048】
ラインヘッド11Y~11Kは、それぞれ複数(ここでは3個)の記録ヘッド17a~17cを有している。記録ヘッド17a~17cは、用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に沿って千鳥状に配列されている。記録ヘッド17a~17cは、複数のインク吐出口18(ノズル)を有している。各インク吐出口18は、記録ヘッドの幅方向(用紙幅方向)に等間隔で並んで配置されている。
【0049】
ラインヘッド11Y~11Kは、記録ヘッド17a~17cのインク吐出口18を介して、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のインクを吐出する。
【0050】
インク受け部31Y~31Kは、ラインヘッド11Y~11Kの記録ヘッド17a~17cと、第1搬送ベルト8を介して対向する位置に設けられている。インク受け部31Y~31Kには廃インクタンク(図示省略)が接続されている。インク受け部31Y~31Kは、記録ヘッド17a~17cから吐出されたインクを回収して廃インクタンクに搬送する。
【0051】
記録部9は、フラッシングを実行可能である。フラッシングとは、用紙Pへの画像形成に寄与するタイミングとは異なるタイミングでインク吐出口18からインクを吐出することを言う。フラッシングを行うことで、インクの乾燥によるインク吐出口18の目詰まりを低減または予防する。フラッシングを実行すると、記録部9は、記録ヘッド17a~17cのインク吐出口18が検出孔42と対向するタイミングで、検出孔42を通過してインク受け部31Y~31Kにインクが進入するように、インク吐出口18からインクを吐出する。
【0052】
用紙幅方向に対して、ラインヘッド11Y~11K(記録ヘッド17a~17c)の幅は、検出孔42の幅よりも小さい。各検出孔42は、フラッシング領域FRがラインヘッド11Y~11Kと対向する位置に到達した状態で、記録ヘッド17a~17cの各インク吐出口18が各検出孔42のうちのいずれかに対向するように配列されている。このため、記録ヘッド17a~17cがフラッシングを実行したとき、記録ヘッド17a~17cの各インク吐出口18から吐出されるインクは、各検出孔42のいずれかを必ず通過する。
【0053】
次に、厚み検出機構41について説明する。厚み検出機構41は、用紙Pの厚みを検出可能である。厚み検出機構41は、上述した検出孔42と、厚み検出基準ローラー43(厚み検出基準部材)と、間隔検出センサー44と、を含んで構成されている。
【0054】
間隔検出センサー44は、対向物との間隔を測定可能な光学式変位計(いわゆる拡散反射方式光学センサーや、正反射方式光学センサー等)である。
図2、
図3に示すように、間隔検出センサー44は、用紙搬送方向に対して記録部9の下流側(ラインヘッド11Y~11Kのうち最下流側に位置するラインヘッド11Yよりも下流側)であって、かつ第2搬送ユニット12の上流側に配置されている。間隔検出センサー44は、第1搬送ベルト8と対向している。
【0055】
間隔検出センサー44は、用紙幅方向に対していずれかの検出孔42と重なる位置にある。このため、間隔検出センサー44は、第1搬送ベルト8が走行すると、所定の位置で各検出孔42のいずれかと対向する。
【0056】
図5は、第1搬送ユニット5の間隔検出センサー44付近の部分側面図である。
図3、
図5に示すように、間隔検出センサー44は、受光部45と発光部46とを有する。発光部46は、第1搬送ベルト8に向かって光ビームを出射する。受光部45は、発光部46から出射され、第1搬送ベルト8または厚み検出基準ローラー43に反射した光ビームを受光する。
【0057】
間隔検出センサー44は、受光部45の受光状態(受光した光ビームの光度等)に基づいて、検出孔42を検知可能である。また、間隔検出センサー44は、受光部45の受光状態に基づいて、第1搬送ベルト8との第1対向間隔L1、および後述する厚み検出基準ローラー43との第2対向間隔L2を検出可能である。
【0058】
厚み検出基準ローラー43は、中心軸47の周方向に沿って回転可能に支持されたローラーである。厚み検出基準ローラー43の中心軸47は、用紙幅方向に平行に延びている。厚み検出基準ローラー43は、第1搬送ベルト8の内側に位置している(
図2参照)。厚み検出基準ローラー43は、第1搬送ベルト8を間に挟んで間隔検出センサー44と対向している。
【0059】
厚み検出基準ローラー43の外周面は、第1搬送ベルト8の内周面に接触している。用紙幅方向に対して厚み検出基準ローラー43の両端は、用紙幅方向に対して第1搬送ベルト8の両端よりも外側に位置している。すなわち、第1搬送ベルト8の内周面は、厚み検出基準ローラー43との接触位置において、用紙幅方向の全域が厚み検出基準ローラー43に接触している。厚み検出基準ローラー43は、第1搬送ベルト8が走行すると第1搬送ベルト8に従動回転する。
【0060】
図5に示すように、間隔検出センサー44が検出孔42と対向している状態で、発光部46から出射された光ビームは、検出孔42を通過して厚み検出基準ローラー43の外周面に反射し、受光部45に進入する。間隔検出センサー44は、このときの受光部45の受光状態に基づいて、検出孔42と対向していることを検知し、かつ第2対向間隔L2を検出可能である。なお、第2対向間隔L2は、厚み検出基準ローラー43の外周面のうち間隔検出センサー44に最も近い部分を基準として検出される。
【0061】
図6は、第1搬送ユニット5の間隔検出センサー44付近の部分側面図であって、間隔検出センサー44が検出孔42に対向していない状態を示す図である。
図5の状態から第1搬送ベルト8が所定量走行し、間隔検出センサー44が検出孔42に対向していない状態(
図6の状態)で、間隔検出センサー44は、間隔検出センサー44と第1搬送ベルト8との第1対向間隔L1を検出可能である。
【0062】
より詳細には、この状態で、発光部46から出射された光ビームは、第1搬送ベルト8の表面に反射して受光部45に進入する。間隔検出センサー44は、このときの受光部45の受光状態に基づいて第1対向間隔L1を検出する。
【0063】
図7は、第1搬送ベルト8の用紙搬送方向に沿った断面を示す断面図である。ここで、
図7に示すように、第1搬送ベルト8の厚みは、ベルト走行方向の位置ごとにばらつきが生じる場合がある。このため、第1対向間隔L1は、第1搬送ベルト8の走行方向に対して複数個所での受光部45の受光状態に基づき検出するように構成するのが好ましい。
【0064】
具体的には、
図7に示すように、所定のフラッシング領域FRを第1フラッシング領域FR1とし、そのベルト走行方向の上流側に並ぶフラッシング領域FRを順番に第2フラッシング領域FR2、第3フラッシング領域FR3とする。また、第1フラッシング領域FR1、第2フラッシング領域FR2の間に位置する用紙積載領域PRを第1用紙積載領域PR1とし、第2フラッシング領域FR2、第3フラッシング領域FR3の間に位置する用紙積載領域PRを第3用紙積載領域PR3とする。
【0065】
ベルト走行方向に対して間隔検出センサー44が第1フラッシング領域FR1を通過した後、第1搬送ベルト8が所定量走行した状態で、第1用紙積載領域PR1において用紙搬送方向に対して等間隔に、間隔検出センサー44と第1搬送ベルト8との間隔L1a、L1b、L1cを検出する。間隔検出センサー44は、第1用紙積載領域PR1における複数個所における第1搬送ベルト8との間隔として、間隔L1a~L1cを記憶部28に記憶する。次に、制御装置110(後述する間隔検出部110d)は、記憶部28に記憶された間隔L1a~L1cの平均値を算出する。制御装置110は、この平均値を第1用紙積載領域PR1の第1対向間隔L1として、記憶部28に記憶する。
【0066】
第2用紙積載領域PR2、第3用紙積載領域PR3の第1対向間隔L1も、同様に算出し、記憶部28に記憶される。また、制御装置110は、同様に、第1用紙積載領域PR1~第3用紙積載領域PR3に加えて、他の用紙積載領域PRの厚みを算出することで、第1搬送ベルト8の1周分の厚みの分布を算出し、記憶部28に記憶する。
【0067】
記憶部28は、制御装置110の動作プログラムを記憶するとともに、各種の情報を記憶するメモリである。記憶部28は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリなどを含んで構成されている(図示省略)。記憶部28は、間隔検出センサー44の検出結果(第2対向間隔L2および第1対向間隔L1の値)、制御装置110が算出した第1搬送ベルト8の1周分の厚み(厚みの分布)を記憶可能である。
【0068】
また、記憶部28には、予め各種設定値が記憶されている。例えば、記憶部28には、基準位置検知孔32および複数の検出孔42の位置関係(以下、「位相情報」と称する)が予め記憶されている。また、記憶部28には、第1搬送ベルト8の基準厚み、および基準線速が予め記憶されている。
【0069】
また、記憶部28には、第1搬送ベルト8の厚みの値に応じた着弾タイミングの補正値が、データテーブルとして記憶されている。この補正値は、インクの吐出タイミングを補正するタイミング補正値や、記録ヘッド17a~17cへの印加電圧を補正するのヘッド印加電圧補正値や、駆動ローラー6aへの印加電圧を補正する駆動印加電圧補正値等を含む。
【0070】
図8は、本実施形態のプリンター100の制御経路の一例を示すブロック図である。
図8に示すように、プリンター100は、上記の構成に加えて、操作パネル27(入力部、表示部)と、通信部29と、をさらに備えている。
【0071】
操作パネル27は、各種設定や印刷情報等を入力するための操作部(入力部)である。また、操作パネル27は、プリンター100の動作状況に関する通知を行う通知装置(表示部)としての機能も有する。
【0072】
通信部29は、外部機器(例えばパーソナルコンピュータ等の上位機器)との間で情報を送受信するための通信インターフェースである。外部機器からプリンター100に対して画像データとともに印刷コマンドが送信されると、上記の画像データおよび印刷コマンドが通信部29を介してプリンター100に入力される。主制御部110aが上記画像データに基づいて記録ヘッド17a~17cを制御してインクを吐出させることで、用紙Pに画像を形成できる。
【0073】
次に、制御装置110について説明する。制御装置110は、例えばCPU(Central Processing Unit)とメモリとを含んで構成されている。具体的には、制御装置110は、
図8に示すように、主制御部110aと、用紙供給制御部110bと、フラッシング制御部110cと、間隔検出部110dと、厚み算出部110eと、着弾タイミング補正部110fと、を備えている。また制御装置110は、プリンター100の各装置(
図8参照)に電気的に接続されて、プリンター100の各部の動作を制御可能に構成されている。
【0074】
主制御部110aは、プリンター100の内部の各ローラーの駆動、駆動ローラー6aの駆動(用紙Pの搬送速度)、画像記録時のラインヘッド11C~11Kからのインク吐出等を制御する。主制御部110aは、第1搬送ベルト8が基準線速である場合のインクの着弾タイミング(以下、「基準着弾タイミング」)を算出する。
【0075】
用紙供給制御部110bは、レジストローラー対13、給紙装置3を制御する。例えば、用紙供給制御部110bは、CIS21による用紙Pの後端の検出タイミングに基づいてレジストローラー対13を制御することにより、後続の用紙Pの搬送タイミングを制御する。フラッシング制御部110cは、記録部9および第1搬送ユニット5を制御してフラッシングを実行させる。
【0076】
間隔検出部110dは、間隔検出モードを実行可能である。間隔検出モードは第2対向間隔L2、および第1対向間隔L1を検出するモードである。
【0077】
厚み算出部110eは、厚み算出モードを実行可能である。厚み算出モードは、第1搬送ベルト8の厚みを算出するモードである。厚み検出モードを実行すると、厚み算出部110eは、記憶部28に記憶された第2対向間隔L2と第1対向間隔L1との差分値を算出する。この差分値を、第1搬送ベルト8の厚みとする。間隔検出モードおよび厚み算出モードの制御フローについては、後述する。
【0078】
着弾タイミング補正部110fは、着弾タイミング補正モードを実行可能である。着弾タイミング補正モードは、インクが用紙Pに着弾するタイミングを補正しながら、用紙Pに対して画像を形成するモードである。着弾タイミングの補正は、インクの吐出のタイミングを変化させたり、インクの吐出速度を変化させたり、用紙Pの搬送速度を変化させたりすることで可能である。
【0079】
インクの吐出のタイミングを変化させる場合、記憶部28に記憶されたタイミング補正値に基づいて、インクの吐出のタイミングを調整する。インクの吐出速度を変化させる場合、記憶部28に記憶されたヘッド印加電圧補正値に基づいて、記録ヘッド17a~17cに印加される印加電圧を調整する。用紙Pの搬送速度を変化させる場合、記憶部28に記録された駆動印加電圧補正値に基づいて、駆動ローラー6aの回転速度、ひいては第1搬送ベルト8の走行速度を調整する。
【0080】
次に、本実施形態のプリンター100の制御例について、
図9に示すフローチャートを用いて説明する。なお、プリンター100は種々の動作を実行可能であり各動作について制御フローが設定されているが、ここでは間隔検出モードおよび着弾タイミング補正モードに関する制御フローについてのみ説明する。
【0081】
図9は、本実施形態のプリンター100の制御フローの一部の例を示すフローチャートである。
図9に示すように、制御装置110は、電源投入後、まずプリンター100各部の設定等のスタートアップ動作と共に(図示省略)、間隔検出モードを実行する(ステップS1)。
【0082】
次に、厚み算出モードを実行する(ステップS2)。次に、パソコン等の上位機器から画像形成コマンドが入力されたか否かを判定する(ステップS3)。画像形成コマンドが入力されない場合は(ステップS3でNo)、そのまま画像形成コマンドが入力されるまで画像形成の待機状態を継続する。
【0083】
画像形成コマンドが入力されると(ステップS3でYes)、着弾タイミング補正モードを実行し、入力された画像形成コマンドの情報に基づいて画像形成する(ステップS4)。画像形成コマンドの情報に基づいた画像形成が終了すると、プリンター100の制御を終了する。
【0084】
次に、
図10を用いて間隔検出モードの制御フローについて詳細に説明する。
図10は、間隔検出モードの制御フローを示すフローチャートである。
図10に示すように、まず、ベルトセンサー24が基準位置検知孔32を検知しているか否かを判定する(ステップS11)。ベルトセンサー24が基準位置検知孔32を検知していない場合(ステップS11でNo)、第1搬送ベルト8を走行させて(ステップS12)、ベルトセンサー24が基準位置検知孔32を検知するまでステップS11、ステップS12を繰り返す。
【0085】
ベルトセンサー24が基準位置検知孔32を検知すると(ステップS11でYes)、記憶部28に記憶された位相情報に基づき、フラッシング領域FRが間隔検出センサー44と対向する位置に到達するまで、第1搬送ベルト8を走行させる(ステップS13)。
【0086】
次に、間隔検出センサー44が検出孔42を検知しているか否か(第2対向間隔L2を検出可能な状態か否か)判定する(ステップS14)。間隔検出センサー44が検出孔42を検知している場合(ステップS14でYes)、第2対向間隔L2を検出し、記憶部28に記憶する(ステップS15)。
【0087】
間隔検出センサー44が検出孔42を検知していない場合(ステップS14でNo)、第1搬送ベルト8を同方向に走行させ、検出孔42を検知するまでステップS13、ステップS14を繰り返す。
【0088】
次に、ベルト走行方向の上流側の隣に位置する用紙積載領域PRが、間隔検出センサー44と対向する位置に到達するまで、第1搬送ベルト8を走行させる(ステップS16)。そして、そのまま第1搬送ベルト8を走行させながら、第1対向間隔L1を検出する(ステップS17)。なお、ステップS17では、上述したように、ベルト走行方向に対して異なる位置で間隔検出センサー44と第1搬送ベルト8との間隔(
図8に示す間隔L1a~L1c)を検出し、これらの平均値を第1対向間隔L1として検出する。
【0089】
次に、ベルトセンサー24が基準位置検知孔32を検知したか否か判定する(ステップS18)。基準位置検知孔32を検知していない場合(ステップS18でNo)、ステップS16に戻って、第1搬送ベルト8の走行を継続し、ベルト走行方向の上流側に並ぶ各用紙積載領域PRの第1対向間隔L1をそれぞれ検出する。ステップS18で基準位置検知孔32を検知するまで、すなわちステップS11において最初に基準位置検知孔32を検知した状態から第1搬送ベルト8が一周するまで、ステップS16からステップS18を繰り返す。これにより、各用紙積載領域PRの第1対向間隔L1が検出される。各用紙積載領域PRの第1対向間隔L1は個別に記憶部28に記憶される。
【0090】
ステップS18で基準位置検知孔32を検知すると(ステップS18でYes)、ベルトセンサー24と基準位置検知孔32とが対向する状態で第1搬送ベルト8の走行を停止して(ステップS19)、間隔検出モードを終了する。
【0091】
次に、
図11を用いて厚み算出モードの制御フローについて説明する。
図11は、厚み検出モードの制御フローを示すフローチャートである。
図11に示すように、厚み算出モードでは、まず、記憶部28に記憶された第2対向間隔L2と、第1対向間隔L1の差分値を算出する(ステップS21)。ここで、上述した通り、記憶部28には、用紙積載領域PRごとの第1対向間隔L1が記憶されている。このため、上記差分値は、第1対向間隔L1ごとに算出する。次に、算出された複数の上記差分値を第1搬送ベルト8の厚みとして、記憶部28に記憶する(ステップS22)。これにより、用紙積載領域PRごとの厚みが記憶部28に記憶される。そして、厚み算出モードを終了する。
【0092】
次に、
図12を用いて着弾タイミング補正モードについて説明する。
図12は、着弾タイミング補正モードの制御フローを示すフローチャートである。着弾タイミング補正モードでは、まず、最初にインクを吐出される用紙Pが積載される予定の用紙積載領域PR(ここでは、用紙積載領域PR1とする)を算出する(ステップS41)。
【0093】
次に、記憶部28に記憶された各用紙積載領域PRの厚み(第1搬送ベルト8の厚みの分布)に基づいて、第1搬送ベルト8の走行開始から、用紙積載領域PR1がインク吐出口18との対向位置に到達するまでの第1搬送ベルト8の線速の変化の推移を算出する(ステップS42)。なお、上述した通り、駆動ローラー6aにかかる用紙積載領域PRの厚みが、基準厚みよりも厚い場合、第1搬送ベルト8の線速は速く、すなわち着弾タイミングが基準着弾タイミングより遅くなる。反対に、駆動ローラー6aにかかる用紙積載領域PRの厚みが、基準厚みよりも薄い場合、第1搬送ベルト8の線速は遅く、すなわち着弾タイミングが基準着弾タイミングより早くなる。
【0094】
次に、算出した線速の推移に基づき、用紙Pへのインク着弾タイミングのずれを算出する(ステップS43)。そして、インク着弾タイミングが上記の基準着弾タイミングよりも早くなるか否か判定する(ステップS44)。基準着弾タイミングよりも早い場合(ステップS44でYes)、インクの着弾タイミングを、基準着弾タイミングより遅くなるよう補正して(ステップS45)、用紙Pに対して画像形成を行う(ステップS46)。
【0095】
基準着弾タイミングよりも遅い場合(ステップS44でYes)、インクの着弾タイミングを、基準着弾タイミングより早くなるよう補正して(ステップS47)、用紙Pに対して画像形成を行う(ステップS46)。
【0096】
本実施形態のプリンター100は、間隔検出モードおよび厚み算出モードによって、ベルトの走行位置ごとの第1搬送ベルト8の厚みを算出可能になる。さらに着弾タイミング補正モードにより、第1搬送ベルト8の厚みの変化に応じてインクの着弾タイミングが補正される。このため、第1搬送ベルト8の厚みむらが生じ、第1搬送ベルト8の線速が変化したとしても、厚みむらに応じてインクの着弾タイミングを補正することが可能になり、画像ずれを抑制できる。従って、画像不良を好適に抑制可能なインクジェット記録装置を提供することができる。
【0097】
また、各用紙積載領域PRの第1対向間隔L1は、複数個所で測定された間隔検出センサー44と第1搬送ベルト8との間隔L1a~L1cの平均値から算出されている。このため、第1搬送ベルト8の厚みむらが短周期的に生じている場合でも、各用紙積載領域PRの第2対向間隔をより高精度に検出することが可能になる。このため、第1搬送ベルト8の厚みむらをより高精度に検出して、着弾タイミングをより正確に補正することが可能になる。
【0098】
また、電源を投入する度に、画像形成の実行前に対向間隔検出モードおよび厚み検出モードが実行される。このため、経年や使用状態によって第1搬送ベルト8の厚みが変化していたとしても、第1搬送ベルト8の厚みのむらを正確に検出することができる。
【0099】
また、ベルトセンサー24によって第1搬送ベルト8の位相(第1搬送ベルト8の走行方向の位置)を検出可能である。このため、間隔検出センサー44で検出された第1対向間隔L1が、走行方向に対して第1搬送ベルト8のどの位置のものであるか検出可能になる。これにより、走行方向の位置ごとに第1搬送ベルト8の厚みを算出可能になり、第1搬送ベルト8の線速の変化の推移を算出可能になる。
【0100】
次に、第2実施形態のプリンター100について説明する。なお、以下では、第1実施形態との相違点を述べ、第1実施形態と同様の構成は同じ符号を付して説明を省略している。
【0101】
図13に示すように、本実施形態のプリンター100に係る間隔検出センサー44は、複数設けられている。各間隔検出センサー44は、用紙幅方向に沿って直線状に並んでいる。各間隔検出センサー44は、いずれかの検出孔42と対向する。
【0102】
間隔検出モードを実行すると、第1搬送ベルト8が一周する際に、用紙幅方向に対して第1搬送ベルト8の複数個所で、第1対向間隔L1を算出することが可能になる。これにより、用紙幅方向に対して第1搬送ベルト8の複数個所で、第1搬送ベルト8の厚みのむら、すなわち第1搬送ベルト8の線速の推移を算出可能になる。従って、各記録ヘッド17a~17cについて、別々にインクの着弾タイミングの補正が可能になる。また、第1搬送ベルト8が一周するだけで、用紙幅方向の複数個所で第1搬送ベルト8の厚みのむらを算出可能であるため、厚み算出モードの時間を短縮することが可能になる。
【0103】
次に、第3実施形態のプリンター100について説明する。なお、以下では、第1実施形態との相違点を述べ、第1実施形態と同様の構成は同じ符号を付して説明を省略している。
【0104】
図14に示すように、本実施形態のプリンター100に係る間隔検出センサー44は、用紙幅方向にスライド可能なように、プリンター本体1に支持されている。間隔検出センサー44は、用紙幅方向にスライドすることで、用紙幅方向の最も外側に位置する検出孔42と対向可能となっている。
【0105】
間隔検出モードを実行すると、第1搬送ベルト8が一周するごとに、用紙幅方向に対して間隔検出センサー44をスライドさせる。これにより、第1搬送ベルト8が一周するごとに、用紙幅方向に対して第1搬送ベルト8の複数個所で、第1対向間隔L1を算出することが可能になる。従って、第2実施形態のプリンター100と同様に、各記録ヘッド17a~17cについて、別々にインクの着弾タイミングの補正が可能になる。また、一つの間隔検出センサー44を用いて用紙幅方向の複数個所で第1搬送ベルト8の厚みのむらを算出可能なため、部品点数を減殺して製造コストの増大を抑制することができる。
【0106】
次に第4実施形態のプリンター100について説明する。なお、以下では、第1実施形態との相違点を述べ、第1実施形態と同様の構成は同じ符号を付して説明を省略している。
【0107】
図15に示すように、本実施形態のプリンター100に係る検出孔42は、用紙搬送方向に対して第1搬送ベルト8の全域(全てのフラッシング領域FRおよび用紙積載領域PR)に形成されている。間隔検出センサー44は、用紙幅方向に直線状に並ぶように複数配置されている。間隔検出センサー44は、用紙幅方向に沿って直線状に並ぶ各検出孔42に重なる位置と、各検出孔42の間に位置するものとが交互に並んでいる。
【0108】
このようにすると、第1搬送ベルト8の全ての領域で第2対向間隔L2を検出することができる。また、検出孔42と対向している間隔検出センサー44の検出結果に基づいて第2対向間隔L2を検出しつつ、同時に検出孔42と対向していない間隔検出センサー44の検出結果に基づいて第1対向間隔L1を検出することが可能になる。このため、第2対向間隔L2および第1対向間隔L1の検出時間を短縮することができる。なお、本実施形態のプリンター100は、第3実施形態と同様に、1つの間隔検出センサー44が用紙幅方向にスライド可能に支持されている構成を採用することもできる。
【0109】
次に、第5実施形態のプリンター100について説明する。なお、以下では、第1実施形態との相違点を述べ、第1実施形態と同様の構成は同じ符号を付して説明を省略している。
【0110】
図16に示すように、本実施形態のプリンター100に係る間隔検出モード、厚み検出モードは、画像形成コマンドの入力されるごとに実行される。具体的には、まず、主制御部110aは、パソコン等の上位機器から画像形成コマンドが入力されたか否かを判定する(ステップS1)。画像形成コマンドが入力されない場合は(ステップS1でNo)、そのまま画像形成コマンドが入力されるまで画像形成の待機状態を継続する。
【0111】
画像形成コマンドが入力されると(ステップS1でYes)、主制御部110aは、間隔検出モードを実行する(ステップS2)。そして、厚み算出モードを実行し(ステップS3)、着弾タイミング補正モードを実行する(ステップS4)。
【0112】
本実施形態の構成を採用することで、画像形成コマンドが入力される度に、第1搬送ベルト8の厚みのむらを検出可能になる。このため、電源投入後から通電状態が長期間経過し、第1搬送ベルト8の厚みに変化が生じた場合でも、第1搬送ベルト8の厚みのむらをより正確に検出可能になり、画像のずれをより好適に抑制可能になる。
【0113】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態の間隔検出モードおよび厚み算出モードは、上述したタイミングに加えて、用紙Pの印刷枚数が所定枚数に達するごとに実行する構成を採用できる。このようにすると、大量の印刷が実施されて第1搬送ベルト8の厚みに変化が生じた場合でも、第1搬送ベルト8の厚みのむらをより正確に検出可能になり、画像のずれをより好適に抑制可能になる。
【0114】
また、上記各実施形態のプリンター100に係るフラッシング領域FRには、
図17に示すように、検出孔42とは別のフラッシング用開口部50を複数形成する構成を採用することができる。この場合、フラッシング用開口部50を通過するようにフラッシングを実行することができる。
【0115】
また、上記各実施形態では、ベルトセンサー24は、テンションローラー7aとテンションローラー7bとの間に位置しているが、速度検知ローラー6bとテンションローラー7bとの間に位置していてもよい。
【0116】
また、上記各実施形態の厚み検出基準ローラー43に換えて、プリンター本体1に固定されて回転しない、棒状体の厚み基準部材を配置することもできる。この厚み基準部材は、第1搬送ベルト8の内周面と摺接する。厚み基準部材の第1搬送ベルト8との接触部分は円弧状をなしているのが好ましい。
【0117】
また、ベルトセンサー24に換えて、間隔検出センサー44によって基準位置検知孔32を検出する構成を採用することもできる。この場合、少なくとも一つの間隔検出センサー44が、用紙幅方向に対して基準位置検知孔32と重なる位置に配置されている。またこの場合、基準位置検知孔32を通じて第2対向間隔L2を検出することもできる。この場合、基準位置検知孔32と検出孔42の形状は異なる形状をし、基準位置検知孔32を検知した場合と検出孔42を検知した場合で、受光部45の受光状態が異なるように構成されている。さらにこの場合、基準位置検知孔32を通じてフラッシングを行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、インクジェット記録方式よって記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、搬送ベルトを用いて記録媒体を記録部と対向する位置に搬送するものに利用可能である。本発明の利用により、搬送ベルトの厚みのむらによって搬送ベルトの線速が変化しても、インク着弾タイミングを補正して、インクの着弾位置のずれ、すなわち画像ずれを抑制できる。従って、画像不良を抑制可能な画像形成装置を提供できる。
【符号の説明】
【0119】
8 第1搬送ベルト(搬送ベルト)
17a~17c 記録ヘッド
18 インク吐出口
24 ベルトセンサー(基準孔検知センサー)
28 記憶部
32 基準位置検知孔
42 検出孔
43 厚み検出基準ローラー(厚み基準部材)
44 間隔検出センサー
50 フラッシング用開口部
100 プリンター
110 制御装置(制御部)
FR フラッシング領域
PR 用紙積載領域
L1 第1対向間隔
L2 第2対向間隔
P 用紙