(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149703
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231005BHJP
B41J 11/02 20060101ALI20231005BHJP
B65H 29/24 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J11/02
B65H29/24 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058430
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮越 直人
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
3F049
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FA13
2C056HA29
2C056HA33
2C058AB04
2C058AB16
2C058AC07
2C058AD01
2C058AE02
2C058AE08
2C058AF31
2C058DA13
3F049AA04
3F049BA04
3F049LA07
3F049LB03
(57)【要約】
【課題】好適な用紙搬送性能を維持し、用紙から発生する紙紛を効果的に除去することが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置は、用紙搬送部4と、記録部5と、吸着ローラー47と、排気ファン8と、を備える。吸着ローラー47は、用紙搬送方向に対して記録部5の上流側、且つ用紙吸引部46の上流側端部の、第1搬送ベルト411に対向配置され、用紙を第1搬送ベルト411に接触させる。排気ファン8は、用紙搬送方向に対して吸着ローラー47の上流側に隣接して配置され、第1搬送ベルト411上の空気を吸引する。吸着ローラー47は、複数のローラー部472を備える。排気ファン8は、第1搬送ベルト411上の空気を用紙幅方向に隣り合うローラー部472の間を通過させて第1搬送ベルト411から離間する方向に吸引して排出する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通気孔が形成された無端状の搬送ベルトと、
前記搬送ベルトの内周側に配置され、前記通気孔を通して空気を吸引する吸気ファンを含み、用紙を前記搬送ベルトの外周面に吸着保持する用紙吸引部と、
を有し、前記用紙を搬送する用紙搬送部と、
前記搬送ベルトの外周面に対向配置され、インクを吐出する記録ヘッドを有し、前記搬送ベルトに吸着保持された前記用紙にインクを吐出して画像を記録する記録部と、
用紙搬送方向に対して前記記録部の上流側、且つ前記用紙吸引部の上流側端部の、前記搬送ベルトの外周面に対向配置され、前記用紙を前記搬送ベルトの外周面に接触させる吸着ローラーと、
前記用紙搬送方向に対して前記吸着ローラーの上流側に隣接して配置され、前記搬送ベルト上の空気を吸引する排気ファンと、
を備え、
前記吸着ローラーは、
前記用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に延びる回転軸と、
前記回転軸に前記用紙幅方向に沿って間隔をあけて配列されて前記用紙に接触し、前記回転軸を中心として回転する複数のローラー部と、
を備え、
前記排気ファンは、前記搬送ベルト上の空気を前記用紙幅方向に隣り合う前記ローラー部の間を通過させて前記搬送ベルトから離間する方向に吸引して排出することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記用紙搬送方向に沿って連続して並置された複数の前記吸着ローラーを備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記吸着ローラーは、前記用紙幅方向に隣り合う前記ローラー部の間隔が、前記ローラー部の幅よりも広く、
前記用紙搬送方向に隣り合う前記吸着ローラーは、一方の前記吸着ローラーの前記用紙幅方向に隣り合う前記ローラー部の間に、他方の前記吸着ローラーの前記ローラー部が位置することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記用紙搬送方向に対して前記記録部の上流側、且つ前記吸着ローラーの下流側の、前記搬送ベルトの外周面に対向配置され、前記用紙搬送方向及び前記用紙幅方向に延びる平板部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記平板部は、前記記録部と前記吸着ローラーとの間の、前記用紙搬送方向及び前記用紙幅方向の全域にわたって延びることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ファクシミリ、複写機、プリンターのような記録装置として、記録ヘッドに設けられたノズルからインクを吐出して画像を記録するインクジェット記録装置が、高精細な画像を記録できることから広く用いられている。このようなインクジェット記録装置では、記録媒体として使用される用紙から発生する紙粉がノズルに詰まることで、ノズルの吐出不良が発生し、画像品質を低下させるという問題がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1で開示された従来のインクジェット記録装置は、記録ヘッドの用紙搬送方向上流側において、搬送ベルトの上面との間に狭隙空間を有する。搬送ベルト下側の空気流通室が負圧状態になると、搬送ベルトの吸引孔及び空気流通室上面の貫通孔を介し、狭隙空間から空気流通室に空気が流れ込む。これにより、用紙に付着した紙粉を空気流通室内に回収することができ、紙紛を効果的に除去することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来技術では、狭隙空間に対して記録ヘッドに近い領域に滞留する紙紛は、必ずしも狭隙空間に導かれるというわけではなく、記録ヘッド側に導かれることが懸念された。すなわち、紙紛を十分に除去できていない虞があることに課題があった。また、紙粉を搬送ベルト下側の空気流通室内に回収することで、用紙を搬送ベルト上面に吸着保持する機能が低下し、用紙搬送性能が低下する虞があることも懸念された。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みなされたものであり、好適な用紙搬送性能を維持し、用紙から発生する紙紛を効果的に除去することが可能なインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明のインクジェット記録装置は、用紙搬送部と、記録部と、吸着ローラーと、排気ファンと、を備える。前記用紙搬送部は、搬送ベルトと、用紙吸引部と、を有し、用紙を搬送する。前記搬送ベルトは、無端状であり、複数の通気孔が形成される。前記用紙吸引部は、前記搬送ベルトの内周側に配置され、前記通気孔を通して空気を吸引する吸着ファンを含み、前記用紙を前記搬送ベルトの外周面に吸着保持する。前記記録部は、前記搬送ベルトの外周面に対向配置され、インクを吐出する記録ヘッドを有し、前記搬送ベルトに吸着保持された前記用紙にインクを吐出して画像を記録する。前記吸着ローラーは、用紙搬送方向に対して前記記録部の上流側、且つ前記用紙吸引部の上流側端部の、前記搬送ベルトの外周面に対向配置され、前記用紙を前記搬送ベルトの外周面に接触させる。前記排気ファンは、前記用紙搬送方向に対して前記吸着ローラーの上流側に隣接して配置され、前記搬送ベルト上の空気を吸引する。前記吸着ローラーは、回転軸と、複数のローラー部と、を備える。前記回転軸は、前記用紙搬送方向と直交する用紙幅方向に延びる。前記複数のローラー部は、前記回転軸に前記用紙幅方向に沿って間隔をあけて配列されて前記用紙に接触し、前記回転軸を中心として回転する。前記排気ファンは、前記搬送ベルト上の空気を前記用紙幅方向に隣り合う前記ローラー部の間を通過させて前記搬送ベルトから離間する方向に吸引して排出する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の構成によれば、用紙吸引部よりも用紙搬送方向上流側に配置された排気ファンによって、搬送ベルト上の紙紛が空気とともに吸引され、排出される。これにより、好適な用紙搬送性能を維持したままで、用紙から発生する紙紛を効果的に除去することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態のインクジェット記録装置の概略断面正面図である。
【
図2】
図1のインクジェット記録装置の記録部周辺の上面図である。
【
図3】
図1のインクジェット記録装置の記録部周辺の部分断面正面図である。
【
図4】
図3の記録部周辺の用紙搬送方向上流側を示す部分断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。なお、本発明は以下の内容に限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態のインクジェット記録装置1の概略断面正面図である。
図2は、
図1のインクジェット記録装置1の記録部5周辺の上面図である。インクジェット記録装置1は、例えばインクジェット記録式のプリンターである。インクジェット記録装置1は、
図1及び
図2に示すように、装置本体2と、用紙供給部3と、用紙搬送部4と、記録部5と、乾燥部6と、制御部7と、を備える。
【0012】
用紙供給部3は、例えば装置本体2の下部に配置される。用紙供給部3は、複数枚の用紙(記録媒体)Sを収容し、記録時に用紙Sを1枚ずつ分離して送り出す。用紙搬送部4は、用紙供給部3から送り出された用紙Sを記録部5及び乾燥部6へと搬送し、さらに記録、乾燥後の用紙Sを用紙排出部21に排出する。両面記録が行われる場合、用紙搬送部4は、第1面の記録、乾燥後の用紙Sを反転搬送部43に振り分け、さらに搬送方向を切り替えて表裏を反転させた用紙Sを再度、記録部5及び乾燥部6へと搬送する。
【0013】
用紙搬送部4は、第1ベルト搬送部41及び第2ベルト搬送部42を有する。第1ベルト搬送部41及び第2ベルト搬送部42は、無端状の第1搬送ベルト411及び第2搬送ベルト421それぞれの外周面(上面)に用紙Sを吸着保持して搬送する。第1ベルト搬送部41は、記録部5の下方に配置されて用紙Sを搬送する。第2ベルト搬送部42は、第1ベルト搬送部41に対して用紙搬送方向の下流側に位置し、乾燥部6に配置されて用紙Sを搬送する。
【0014】
記録部5は、第1搬送ベルト411の外周面(上面)に対向配置される。すなわち、記録部5は、第1搬送ベルト411の外周面(上面)に吸着保持されて搬送される用紙Sに対向する。記録部5は、所定の間隔を空けて第1搬送ベルト411の上側に配置される。
【0015】
記録部5は、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの4色それぞれに対応したヘッドユニット51B、51C、51M、51Yを保持する。ヘッドユニット51B、51C、51M、51Yは、長手方向が用紙搬送方向Dcと直交する用紙幅方向Dwと平行になるように用紙搬送方向Dcに沿って並置される。なお、4つのヘッドユニット51B、51C、51M、51Yは基本的な構成が同じであるので、以下の説明では、特に限定する必要がある場合を除き、各色を表す「B」、「C」、「M」、「Y」の識別記号は省略することがある。
【0016】
各色のヘッドユニット51それぞれは、ライン型インクジェット方式の記録ヘッド52を有する。記録ヘッド52は、各色のヘッドユニット51それぞれにおいて、用紙幅方向Dwに沿って複数(例えば3つ(52a、52b、52c))が千鳥状に配列される。
【0017】
記録ヘッド52は、その底部に複数のインク吐出ノズル521を有する。複数のインク吐出ノズル521は、用紙幅方向Dwに沿って並べて配置され、用紙S上の記録領域の全域にわたってインクを吐出することができる。すなわち、記録ヘッド52は、用紙S上にインクを吐出する複数のインク吐出ノズル521を有する。記録部5は、第1搬送ベルト411に吸着保持されて搬送される用紙Sに、4色のヘッドユニット51B、51C、51M、51Yそれぞれの記録ヘッド52から順次インクを吐出し、フルカラー画像またはモノクロ画像を記録する。
【0018】
乾燥部6は、記録部5に対して用紙搬送方向Dcの下流側に配置され、第2ベルト搬送部42が設けられる。記録部5でインク画像が記録された用紙Sは、乾燥部6において第2搬送ベルト421に吸着保持されて搬送される間に、インクが乾燥される。
【0019】
制御部7は、CPU、記憶部、その他の電子回路及び電子部品を含む(いずれも不図示)。CPUは、記憶部に記憶された制御用のプログラムやデータに基づき、インクジェット記録装置1に設けられた各構成要素の動作を制御してインクジェット記録装置1の機能に係る処理を行う。用紙供給部3、用紙搬送部4、記録部5及び乾燥部6のそれぞれは、制御部7から個別に指令を受け、連動して用紙Sへの記録を行う。
【0020】
図3は、
図1のインクジェット記録装置1の記録部5周辺の部分断面正面図である。
図4は、
図3の記録部5周辺の用紙搬送方向Dc上流側を示す部分断面正面図である。
図5は、
図4の吸着ローラー47の上面図である。
図3、
図4及び
図5に示す白抜き破線矢印は、後述する排気ファン8を駆動させることで生じる空気流とその方向を表している。
【0021】
用紙搬送部4は、
図3及び
図4に示すように、さらにレジストローラー対45と、用紙吸引部46と、吸着ローラー47と、を有する。
【0022】
レジストローラー対45は、用紙供給部3の用紙搬送方向Dcの下流側に配置される。レジストローラー対45の用紙搬送方向Dcの下流側の直近には、第1ベルト搬送部41及び記録部5が配置される。レジストローラー対45の各ローラーは、用紙幅方向Dw(
図2参照)に沿って延びる回転軸線を中心として回転可能に支持される。
【0023】
用紙供給部3から送り出された用紙Sは、用紙搬送部4を通ってレジストローラー対45の箇所に到達する。制御部7は、レジストローラー対45によって、用紙Sの斜め送りを矯正するとともに、記録部5のインク吐出動作とのタイミングを計り、第1ベルト搬送部41に向かって用紙Sを送り出す。
【0024】
また、用紙搬送部4は、レジストセンサー(不図示)を有する。レジストセンサーは、レジストローラー対45の用紙搬送方向Dcの上流側の直近に配置される。レジストセンサーは、用紙供給部3から送り出され、レジストローラー対45の箇所に到達する用紙Sを検知する。制御部7は、レジストセンサーから受信した用紙Sの検知信号に基づき、レジストローラー対45の回転を制御する。
【0025】
第1ベルト搬送部41は、記録部5の下方に配置される。第1ベルト搬送部41は、その上面に用紙Sを吸着保持し、当該用紙Sを用紙搬送方向Dcに沿って搬送する。第1ベルト搬送部41は、第1搬送ベルト411と、ローラー412と、を含む。
【0026】
第1搬送ベルト411は、無端状のベルトであって、内周側に配置された複数のローラー412によって架設される。ローラー412は、第1搬送ベルト411の内周側に配置され、用紙幅方向Dw(
図2参照)に沿って延びる回転軸線を中心として回転可能に支持される。複数のローラー412のうち1つが駆動ローラーであり、第1搬送ベルト411は、当該駆動ローラーによって、上側が用紙搬送方向Dcに移動するように回転される。
【0027】
第1搬送ベルト411は、
図2に示すように、複数の通気孔4111を有する。通気孔4111は、第1搬送ベルト411の表裏を貫通する。第1搬送ベルト411の外周面は、用紙搬送面である。用紙Sは、第1搬送ベルト411の用紙搬送面に保持され、記録ヘッド52と対向する位置に搬送される。
【0028】
用紙吸引部46は、第1搬送ベルト411の内周側に配置される。詳細に言えば、用紙吸引部46は、第1搬送ベルト411の内周側の上部に位置し、第1搬送ベルト411の用紙搬送面の反対側の一面である上側の内周面(裏面)に対向配置される。用紙吸引部46は、ハウジング461と、吸気ファン462と、を含む。
【0029】
ハウジング461は、例えば略直方体形状の箱体に形成され、周囲を壁部に囲まれた吸引室4611を有する。吸引室4611は、ブラックのヘッドユニット51Bよりも用紙搬送方向Dcの上流側の下方からイエローのヘッドユニット51Yの下方までの領域において、第1搬送ベルト411の用紙搬送面の反対側の一面である上側の内周面(裏面)と対向する。
【0030】
ハウジング461は、その上面であって、吸引室4611の上方に配置された複数の吸気孔4612を有する。複数の吸気孔4612は、ハウジング461の上面を上下方向に貫通する。
【0031】
吸気ファン462は、ハウジング461の内部であって、吸引室4611の下部に配置される。吸気ファン462を駆動させると、用紙吸引部46は、吸気孔4612、及び通気孔4111(
図2参照)を通して空気を吸引することで、用紙Sを第1搬送ベルト411の用紙搬送面に吸着保持する。
【0032】
吸着ローラー47は、記録部5の用紙搬送方向Dcの上流側、且つ用紙吸引部46の上流側端部の、第1搬送ベルト411の用紙搬送面に対向配置される。言い換えれば、吸着ローラー47は、ハウジング461の用紙搬送方向Dcの上流側端部に対し、第1搬送ベルト411を隔てた上側に配置される。吸着ローラー47は、用紙幅方向Dw(
図2参照)に沿って延びる回転軸線を中心として回転可能に支持される。
【0033】
吸着ローラー47の外周面は、第1搬送ベルト411の用紙搬送面に接触する。吸着ローラー47は、例えば第1搬送ベルト411に接触することで、第1搬送ベルト411に対し、従動して回転する。吸着ローラー47は、レジストローラー対45側から搬送されて来る用紙Sを第1搬送ベルト411の用紙搬送面に接触させる。
【0034】
吸着ローラー47は、
図5に示すように、回転軸471と、複数のローラー部472と、を備える。回転軸471は、用紙幅方向Dwに延び、その軸線を中心として回転可能に支持される。回転軸471には、複数のローラー部472が固定される。複数のローラー部472は、回転軸471に用紙幅方向Dwに沿って間隔をあけて配列される。複数のローラー部472は、第1搬送ベルト411上を搬送される用紙Sに接触し、回転軸471を中心として回転する。
【0035】
また、インクジェット記録装置1は、
図3及び
図4に示す排気ファン8を備える。排気ファン8は、吸着ローラー47の用紙搬送方向Dcの上流側に隣接して配置され。言い換えれば、排気ファン8は、用紙吸引部46よりも用紙搬送方向Dcの上流側に配置される。排気ファン8は、吸気面が第1搬送ベルト411の用紙搬送面、すなわち第1搬送ベルト411上を搬送される用紙Sと対向する。
【0036】
排気ファン8を駆動させると、排気ファン8は、第1搬送ベルト411上の空気を吸引する。このとき、吸着ローラー47よりも用紙搬送方向Dcの下流側の第1搬送ベルト411上の空気が、用紙幅方向Dwに隣り合うローラー部472の間を通過して排気ファン8に吸い込まれる。すなわち、排気ファン8は、第1搬送ベルト411上の空気を、用紙幅方向Dwに隣り合うローラー部472の間を通過させて第1搬送ベルト411から離間する方向に吸引して排出する。
【0037】
上記の構成によれば、用紙吸引部46よりも用紙搬送方向Dcの上流側に配置された排気ファン8によって、第1搬送ベルト411上の紙紛が空気とともに吸引され、排出される。これにより、好適な用紙搬送性能を維持したままで、用紙Sから発生する紙紛を効果的に除去することが可能になる。
【0038】
なお、排気ファン8の排気側には、例えば装置本体2の外壁部まで延びる排気ダクト(不図示)が設けられる。さらに、排気ファン8の吸気側、若しくは排気ダクト内には、排気ファン8が吸い込んだ空気に含まれる紙粉等を捕集するフィルター(不図示)を設けても良い。
【0039】
図6は、変形例の吸着ローラー48の上面図である。
図6に示す白抜き破線矢印は、排気ファン8を駆動させることで生じる空気流とその方向を表している。
【0040】
変形例の用紙搬送部4は、
図6に示すように、複数の吸着ローラー48を備える。本実施形態では、用紙搬送部4は、2つの吸着ローラー48を備える。2つの吸着ローラー48は、用紙搬送方向Dcに沿って連続して並置される。2つの吸着ローラー48は、
図4に示す吸着ローラー47と同様に、記録部5の用紙搬送方向Dcの上流側、且つ用紙吸引部46の上流側端部の、第1搬送ベルト411の用紙搬送面に対向配置される。
【0041】
上記の構成によれば、第1搬送ベルト411の用紙搬送面に対する用紙Sの密着精度を高めることができる。したがって、用紙搬送性能を向上させることが可能である。
【0042】
2つの吸着ローラー48のそれぞれは、回転軸481と、複数のローラー部482と、を備える。吸着ローラー48の、用紙幅方向Dwに隣り合うローラー部482の間隔Rsは、ローラー部482の幅Rwよりも広い。用紙搬送方向Dcに隣り合う2つの吸着ローラー48は、一方の吸着ローラー48の用紙幅方向Dwに隣り合うローラー部482の間に、他方の吸着ローラー48のローラー部482が位置する。
【0043】
この構成によれば、用紙幅方向Dwにおいて、2つの吸着ローラー48のローラー部482を交互に配置することができ、且つ互いのローラー部482の間にある程度の隙間を確保することができる。これにより、用紙搬送性能を向上させることが可能であり、さらに排気ファン8による吸引抵抗の過度な上昇を抑制することができる。
【0044】
また、インクジェット記録装置1は、
図3及び
図4に示す平板部9を備える。平板部9は、記録部5の用紙搬送方向Dcの上流側、且つ吸着ローラー47の下流側の、第1搬送ベルト411の用紙搬送面に対向配置される。言い換えれば、平板部9は、ハウジング461の用紙搬送方向Dcの上流部に対し、第1搬送ベルト411を隔てた上側に配置される。平板部9は、所定の間隔を空けて第1搬送ベルト411の上側に配置される。
【0045】
平板部9は、用紙搬送方向Dc及び用紙幅方向Dwに延びる。平板部9は、例えば第1搬送ベルト411の用紙搬送面と平行に延びる。
【0046】
上記の構成によれば、第1搬送ベルト411上の、用紙搬送面の近傍の空気流路を狭くすることができる。したがって、排気ファン8による空気流の流速を高めることができ、用紙Sから発生する紙紛を効果的に除去することが可能になる。
【0047】
平板部9は、例えば記録部5と吸着ローラー47との間の、用紙搬送方向Dc及び用紙幅方向Dwの全域にわたって延びる。この構成によれば、排気ファン8による空気流の流速をより一層高めることができ、用紙Sから発生する紙紛を除去する効果をさらに向上させることが可能になる。
【0048】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、インクジェット記録装置において利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 インクジェット記録装置
2 装置本体
4 用紙搬送部
5 記録部
7 制御部
8 排気ファン
9 平板部
41 第1ベルト搬送部
42 第2ベルト搬送部
46 用紙吸引部
47、48 吸着ローラー
52 記録ヘッド
411 第1搬送ベルト
421 第2搬送ベルト
461 ハウジング
462 吸気ファン
471、481 回転軸
472、482 ローラー部
521 インク吐出ノズル
4111 通気孔
4611 吸引室
4612 吸気孔
Dc 用紙搬送方向
Dw 用紙幅方向
S 用紙