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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149707
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】圧力センサ
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/16 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01L1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058436
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005359
【氏名又は名称】富士紡ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】星野 幸平
(72)【発明者】
【氏名】三橋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】本田 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】実谷 将人
(57)【要約】
【課題】表面に凹凸を有する基材上に圧力センサ部が形成された圧力センサを提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態の圧力センサは、表面に凹凸を有する基材と、基材の上に形成された接着層と、接着層の上に形成された下部電極と、下部電極の上に形成された圧電体と、圧電体の上に形成された上部電極と、を備え、接着層は、基材と下部電極を接着する、圧力センサである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸を有する基材と、
基材の上に形成された接着層と、
接着層の上に形成された下部電極と、
下部電極の上に形成された圧電体と、
圧電体の上に形成された上部電極と、
を備え、接着層は、基材と下部電極を接着する、
圧力センサ。
【請求項2】
基材は、繊維材料から構成された織布、不織布又は編物である、請求項1に記載の圧力センサ。
【請求項3】
繊維材料はポリエステル繊維又は液晶ポリマーである、請求項2に記載の圧力センサ。
【請求項4】
圧電体は、PVDF(PolyVinylidene DiFluoride)から形成され、上部電極及び下部電極は、PEDOT(poly(3,4-ethylenedioxythiophene))又は銀ナノインクから形成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来生体の脈拍などの微弱な圧力変動を測定する方法としては、光学式のセンサや超音波式のセンサ、高分子圧電フィルムを用いた圧電式のセンサにより測定する方法がある。高分子圧電フィルムなどの圧力センサは薄く作成することができ、可撓性を有するため、腕時計型などのウエアラブルデバイスへの応用が考えられてきた。
【0003】
例えば特許文献1には、圧力センサを備えるセンシング装置が開示されており、合成樹脂から構成されて可撓性を有するフィルム基板上に、圧力センサを構成する各材料をスクリーン印刷で塗布することにより圧力センサが形成されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-150148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、圧力センサを製造する場合、PENフィルムなどの可撓性を有する基材を用い、当該基材上に圧力センサ部(基材以外の圧力センサを構成する部分)を構成する各材料を印刷(塗布)していた。このような中で、PENフィルムなどの従来の基材よりも柔らかい材料を基材として用いた圧力センサが望まれていた。このような基材としては、液晶ポリマーにより構成されたメッシュ基材がある。しかしながら、一般的に、このようなメッシュ基材は表面に凹凸を有するものであり、当該基材を備えた圧力センサを製造する場合、当該基材上に圧力センサ部を構成する各材料を印刷することが難しいという問題があった。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、表面に凹凸を有する基材上に圧力センサ部が形成された圧力センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕本発明の一実施形態の圧力センサは、
表面に凹凸を有する基材と、
基材の上に形成された接着層と、
接着層の上に形成された下部電極と、
下部電極の上に形成された圧電体と、
圧電体の上に形成された上部電極と、
を備え、接着層は、基材と下部電極を接着する、
圧力センサである。
【0008】
〔2〕本発明の一実施形態では、
基材は、繊維材料から構成された織布、不織布又は編物である、〔1〕に記載の圧力センサである。
【0009】
〔3〕本発明の一実施形態では、
繊維材料はポリエステル繊維又は液晶ポリマーである、〔2〕に記載の圧力センサである。
【0010】
〔4〕本発明の一実施形態では、
圧電体は、PVDF(PolyVinylidene DiFluoride)から形成され、上部電極及び下部電極は、PEDOT(poly(3,4-ethylenedioxythiophene))又は銀ナノインクから形成される、〔1〕から〔3〕のいずれか1つに記載の圧力センサである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、表面に凹凸を有する基材上に圧力センサ部が形成された圧力センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の圧力センサの構成を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態の圧力センサの製造方法を示すフローチャートである。
図3】センサ部印刷工程後の様子の一例を示す図である。
図4】接着層形成工程後の様子の一例を示す図である。
図5】接着工程の様子の一例を示す図である。
図6】接着工程後の様子の一例を示す図である。
図7】従来の圧力センサの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。説明の便宜上、実施形態の説明において、部材又は部分の縦横の縮尺を実際のものとは異なるように表す場合がある。また説明の便宜上、実施形態の説明において、上下左右などの方向を用いて説明する場合があるが、特に言及が無い限り、位置関係の上下左右などを限定するものではなく、その逆の位置関係もありうる。また説明の便宜上、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成についての重複説明を省略する場合がある。なお本明細書では、圧力センサは、基材を含むものも基材を除いたものも圧力センサであるが、説明の便宜上、基材を除いたものを圧力センサ部と表現する場合がある。
【0014】
図7は、従来の圧力センサ100の構成を示す断面図である。従来の圧力センサ100は、樹脂フィルム基材111上に、下部電極121、圧電体122、上部電極123、導線部124、保護膜125がこの順で印刷されて積層されることにより形成(製造)される。基材111以外の圧力センサを構成する部分である圧力センサ部120は、下部電極121と、圧電体122と、上部電極123と、導線部124と、保護膜125とを含んで構成される。樹脂フィルム基材111は、PEN(polyethylene naphthalate)フィルムなどの樹脂のフィルム(又はシート)である。1つの例では、PENフィルムの厚さは100~125μmである。従来の圧力センサ100の基材111としての樹脂フィルムは、可撓性及び弾性力を有する樹脂フィルムである。
【0015】
本実施形態の圧力センサ1は、従来の基材111よりも柔らかく(柔軟性を有し)、表面に凹凸を有する基材11上に圧力センサ部20を構成する材料が形成(積層)された圧力センサ1である。本実施形態では、基材11は、液晶ポリマーにより構成されたメッシュ基材である。メッシュ基材は、液晶ポリマーの織物(織布)であり、表面に凹凸を有する基材である。本実施形態のメッシュ基材は、厚さが20~40μmのフィルム状の基材であり、凹凸及び微小な空隙がある基材である。例えば凹凸は、メッシュ基材の厚さに対して無視できない程度の凹凸である。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態の圧力センサ1の構成を示す断面図である。圧力センサ1は、基材11と、基材11の上に形成された接着層31と、接着層31の上に形成された下部電極21と、下部電極21の上に形成された圧電体22と、圧電体22の上に形成された上部電極23と、上部電極23の上に形成された導線部24及び保護膜(保護層)25とを備える。圧力センサ部20は、下部電極21と、圧電体22と、上部電極23と、導線部24と、保護膜25とを含んで構成される。圧力センサ部20を構成する材料は、従来の圧力センサ部120を構成する材料と同じであり、圧力センサ部20の各部(各層)21~25は、圧力センサ部120の各部(各層)に対応する。なお、後述のように、圧力センサ部20は、従来の圧力センサ部120と同様に、導線部24を備えないように構成されてもよいし、下部電極21に接続される導線部26(図示せず)を備えるように構成されてもよい。
【0017】
下部電極21及び上部電極23の2つの電極は、シート状(又はフィルム状)の電極である。本実施形態では、図1に示すように、2つの電極は、圧電体22を挟むようにして配置される。例えば、2つの電極は、導電性ポリマーである。1つの例では、2つの電極は、PEDOT:(poly(3,4-ethylenedioxythiophene))から形成された電極である。この場合、2つの電極は、PEDOTであってもよいし、電極として機能する限り、銀ナノインクなどのPEDOT以外の材料を含むものであってもよい。1つの例では、2つの電極の厚さは、0.5μmである。1つの例では、2つの電極は、銀ナノインクから形成された電極である。この場合、2つの電極は、銀ナノインクであってもよいし、電極として機能する限り、銀ナノインク以外の材料を含むものであってもよい。1つの例では、2つの電極のうちの一方の電極は、PEDOTから形成された電極であり、他方の電極は、銀ナノインクから形成された電極である。
【0018】
圧電体(圧電素子)22は、高分子材料から生成されたシート状(又はフィルム状)の圧電体である。例えば、圧電体22は、PVDF(PolyVinylidene DiFluoride)から形成される圧電体である。この場合、圧電体22は、PVDFであってもよいし、圧電体(圧電素子)として機能する限り、PVDF以外の材料を含むものであってもよい。1つの例では、圧電体22の厚さは、3~10μmである。
【0019】
導線部24は、導電部材から形成された部分であって、上部電極23に接続されて該電極から取り出された電圧信号(電気信号)を他のデバイスに受け渡すための部分である。1つの例では、導線部24は、上部電極23の圧電体22側とは逆側の面の端部上に形成され、上部電極23の圧電体22側とは逆側の面の該端部以外の面上には、保護膜25が形成される。例えば、導線部24は、銀ナノインクから形成される。1つの例では、導線部24の厚さは、2~3μmである。
【0020】
保護膜25は、絶縁保護膜であり、例えばエポキシ樹脂系、またはポリエステル樹脂系のインキである。1つの例では、保護膜25は、十条ケミカル社製のエピライトインキ1000である。1つの例では、保護膜25は、アサヒ化学研究所製のCR-18T-KT1である。1つの例では、保護膜25の厚さは、10μmである。
【0021】
接着層(接着剤)31は、基材11と下部電極21とを接着する接着剤であり、本実施形態の接着剤31は、ホットメルト接着剤である。接着層31は、ホットメルト接着剤を印刷することで形成される。ホットメルト接着剤は、基材11に接着したときに基材11の柔軟性を損なわない程度の硬さ又は柔軟性を持つ接着剤である。1つの例では、ホットメルト接着剤は、セイコーアドバンス株式会社製のWILFLEX転写バインダーである。1つの例では、2つの被着材間に塗布されたホットメルト接着剤は、40~100秒の間、110℃~130℃の熱を加えられると溶け、溶けた接着剤が固化又は硬化することで2つの被着材を接着する。
【0022】
本実施形態のように、接着層31を介して、基材11上に既知の圧力センサ部20が形成されるような構成とすることにより、表面に凹凸を有する基材11上に圧力センサ部20を構成する材料が形成(積層)された圧力センサ1を実現することが可能となる。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態の圧力センサ1の製造方法を示すフローチャートである。
本実施形態の圧力センサ1の製造方法について、図2のフローチャートを参照して説明する。
【0024】
ステップS1のセンサ部印刷工程では、圧力センサ部20を構成する各材料(各層)を、基材11上に形成される順とは逆の順に、離型紙32上に印刷(塗布)する。図3は、センサ部印刷工程後の様子の一例を示す図である。図3に示すように、本実施形態のセンサ部印刷工程S1では、離型紙32上に、保護膜25、導線部24、上部電極23、圧電体22、下部電極21をこの順で印刷する。本実施形態では、離型紙32上に直接印刷されるのは保護膜25である。1つの例では、センサ部印刷工程S1では、導線部24を保護膜25の端部に印刷し、上部電極23を保護膜25及び導線部24の上に印刷する。
【0025】
ステップS2の接着層形成工程では、印刷された圧力センサ部20の上に接着層31を形成する。本実施形態では、印刷された圧力センサ部20の上に接着層31を形成することは、印刷された圧力センサ部20の上に、ホットメルト接着剤を印刷(塗布)することである。図4は、接着層形成工程後の様子の一例を示す図である。
【0026】
ステップS3の接着工程では、接着層形成工程後の製造中の圧力センサを反転させて、圧力センサ部20の上に印刷された接着層31を基材11に接着する(熱接着する)。図5は、接着工程の様子の一例を示す図であり、図6は、接着工程後の様子の一例を示す図である。具体的には、接着工程では、下部電極21上に印刷された接着層31と基材11を接触させ、これらを接触させた状態で接着層31に熱を加えることにより接着層31を溶かし、加熱を停止することで接着層31を固化又は硬化させる。これにより、接着層31を介して、下部電極21(圧力センサ部20)を基材11に接着することができる。1つの例では、接着工程では、接着層31と基材11を接触させた状態で、離型紙32の上から熱を加えて接着する。1つの例では、接着工程は、110℃~130℃の熱を加えて接着層31を加熱することを含む。1つの例では、接着工程は、40~100秒の間、熱を加えて接着層31を加熱することを含む。
【0027】
ステップS4の剥離工程では、接着層31を基材11に接着した後に、離型紙32を保護膜25から剥離する。剥離工程後の様子は、図1に示すとおりである。
【0028】
これら本実施形態の製造方法のように、圧力センサ部20を構成する各材料を、直接基材11上に印刷するのではなく、一旦一時的に離型紙32上に印刷し、更に接着層31を介して基材11に接着するように構成することにより、表面に凹凸を有する基材11上に圧力センサ部20を構成する各材料を印刷することが可能となる。これにより、表面に凹凸を有する基材11上に圧力センサ部20が形成された圧力センサ1を製造することが可能となる。
【0029】
本発明の実施形態では、基材11は、液晶ポリマーにより構成されたメッシュ基材に限定されず、従来の基材よりも柔らかく(柔軟性を有し)、かつ表面に凹凸を有する任意の基材とすることができる。すなわち、本発明の実施形態の圧力センサ1の製造方法は、従来の基材よりも柔らかく、表面に凹凸を有する任意の基材上に圧力センサ部20を形成して圧力センサ1を製造することが可能な方法である。ここで、表面に凹凸を有する基材とは、従来の樹脂フィルム基材111などとは異なり、直接基材上に圧力センサ部20を構成する各材料などを印刷することが難しい程度の凹凸を有する基材を意味し、例えばメッシュ基材の厚さに対して無視できない程度の凹凸を有する基材である。例えば、基材11は、液晶ポリマー以外の任意の繊維材料(例えばポリエステル繊維など)により構成されたメッシュ基材(織布)とすることができる。例えば、基材11は、繊維材料(例えば、液晶ポリマー、ポリエステル繊維など)から構成された不織布や編物とすることができる。
【0030】
本発明の1又は複数の実施形態では、接着層31は、ホットメルトシートとすることができる。この場合、ステップS2の接着層形成工程では、印刷された圧力センサ部20の上に、ホットメルトシートを積層する。すなわち、この実施形態では、印刷された圧力センサ部20の上に接着層31を形成することは、印刷された圧力センサ部20の上に、ホットメルトシートを積層することである。
【0031】
本発明の実施形態では、接着層31はホットメルト接着剤又はホットメルトシートであり、接着層31は、基材11に接着したときに基材11の柔軟性を損なわない程度の硬さ又は柔軟性を持つ接着剤であって、接着層31が溶ける温度が基板等の加熱対象物に取り付けられた他の素子や部品を損傷しない程度の温度(例えば130℃以下)の任意の接着剤とすることができる。このような構成とすることにより、ホットメルト接着剤又はホットメルトシートを接着剤として機能させるために加熱した場合であっても、同時に加熱される他の素子や部品の損傷を防ぐことが可能となる。
【0032】
本発明の実施形態では、離型紙32は、紙ではなく、例えばPETから形成される離型紙である。離型紙32は、ステップS3の接着工程において離型紙32の上から加熱された場合であっても、ステップS4の剥離工程において離型紙32を剥離するときに、離型紙32側に実質的に印刷工程S1~S2で印刷された各材料(各層)を残さずに剥離可能な任意の離型紙とすることができる。例えば、離型紙32は、直接積層された保護膜25の物性やステップS3の接着工程における加熱を考慮して適宜選択することができる。1つの例では、PETの離型紙32は、剥離強度が30mN~50mNの離型紙である。
【0033】
図1に示す実施形態では、下部電極21は、該電極から取り出された電気信号を他のデバイスに受け渡すための導線部の機能を備えるため、下部電極21とは別個の導線部を備えない。図1に示す実施形態において、1つの好適な例では、上部電極23はPEDOTから形成され、導線部24は銀ナノインクから形成され、下部電極21は銀ナノインクから形成される。この場合、導線部24は、上部電極23に接続されて該電極から取り出された電気信号を他のデバイスに受け渡すように構成され、下部電極21は、当該電極から取り出された電気信号を他のデバイスに受け渡すように構成される。
【0034】
本発明の1又は複数の実施形態では、圧力センサ1は、下部電極21に接続されて該電極から取り出された電気信号を他のデバイスに受け渡すための導線部26(図示せず)を備えることができる。この実施形態では、圧力センサ1は、保護膜27(図示せず)を備えることができる。この実施形態では、例えば、圧力センサ1は、基材11の上に形成された接着層31と、接着層31の上に形成された保護膜27と、保護膜27の端部に形成された導線部26と、保護膜27及び導線部26の上に形成された下部電極21と、下部電極21の上に形成された圧電体22と、圧電体22の上に形成された上部電極23と、上部電極23の上に形成された導線部24及び保護膜25とを備える。この実施形態では、例えば、導線部26は、下部電極21の圧電体22側とは逆側の面の端部上に形成され、下部電極21の圧電体22側とは逆側の面の該端部以外の面上には、保護膜27が形成される。またこの実施形態では、導線部24は、上部電極23の圧電体22側とは逆側の面の端部上に形成され、上部電極23の圧電体22側とは逆側の面の該端部以外の面上には、保護膜25が形成される。この実施形態において、1つの好適な例では、導線部24と導線部26は、下部電極21、圧電体22及び上部電極23を介して対向するように形成される。この実施形態において、1つの例では、導線部24及び導線部26の厚さは、2~3μmである。この実施形態では、1つの好適な例では、上部電極23及び下部電極21はPEDOTから形成され、導線部24及び導線部26は銀ナノインクから形成される。この実施形態では、ステップS1のセンサ部印刷工程では、離型紙32上に、保護膜25、導線部24、上部電極23、圧電体22、下部電極21、導線部26(図示せず)、保護膜27(図示せず)をこの順で印刷することができる。この場合、圧力センサ部20は、保護膜27と、導線部26と、下部電極21と、圧電体22と、上部電極23と、導線部24と、保護膜25とを含んで構成されることになる。
【0035】
本発明の1又は複数の実施形態では、圧力センサ1は、導線部24を含まなくてもよい。この実施形態では、上部電極23は、該電極から取り出された電気信号を他のデバイスに受け渡すための導線部の機能を備え、下部電極21も、該電極から取り出された電気信号を他のデバイスに受け渡すための導線部の機能を備える。この実施形態では、1つの好適な例では、上部電極23及び下部電極21は銀ナノインクから形成される。この実施形態では、ステップS1のセンサ部印刷工程は、離型紙32上に、保護膜25、上部電極23、圧電体22、下部電極21をこの順で印刷することができる。この場合、圧力センサ部20は、下部電極21と、圧電体22と、上部電極23と、保護膜25とを含んで構成されることになる。
【0036】
本発明の1又は複数の実施形態では、ステップS3の接着工程において、接着層形成工程後の製造中の圧力センサを反転させずに、圧力センサ部20の上に形成された接着層31を基材11に接着させてもよい。
【0037】
本発明の1又は複数の実施形態では、接着層31は、ホットメルト接着剤以外の接着剤とすることができ、この場合、ステップS3の接着工程では、熱接着以外の接着方法により、接着層31を介して、圧力センサ部20を基材11に接着することができる。
【0038】
本発明の1又は複数の実施形態では、保護膜25を備えなくてもよい。この実施形態では、圧力センサ1は、基材11と、基材11の上に形成された接着層31と、接着層31の上に形成された下部電極21と、下部電極21の上に形成された圧電体22と、圧電体22の上に形成された上部電極23とを備える。
【0039】
また上記の実施形態では、圧力センサ1の製造に使用する製造装置について記載していないが、製造装置としては、スクリーン印刷機などを使用することができる。
【0040】
本発明の変形実施形態では、圧力センサ1は、上記の実施形態の製造方法以外の方法で製造されてもよい。例えばステップS1のセンサ部印刷工程は、センサ部20を印刷しなくてもよく、センサ部20を形成するための任意のセンサ部形成工程であってもよい。
【0041】
本発明の変形実施形態では、基材11は、直接基材上に圧力センサ部20を構成する各材料などを印刷することが難しい(従来の基材よりも柔らかく、かつ表面に凹凸を有する基材に限定されない)任意の基材とすることができる。
【0042】
本明細書において説明される各実施形態や実施例は、本発明を説明するための例示であり、本発明はこれらの実施形態や実施例に限定されるものではない。各実施形態や実施例は、矛盾が生じない限りにおいて、適宜組み合わせて本発明の任意の実施形態に適用することができる。すなわち本発明は、その要旨を逸脱しない限り、種々の形態で実施することができる。
【0043】
[実施例]
本発明者らが行った、上記の実施形態の製造方法による圧力センサ1の生成を試みた実施例について説明する。本実施例では、離型紙32として(a1)紙、(a2)PET(剥離荷重50mN)、(a3)PET(剥離荷重30mN)の3つを用いた場合について確認した。また本実施例では、ステップS3の接着工程において、接着剤31と基材11を接触させた状態で接着させるために離型紙32の上から加える熱について、(b1)115℃の温度で45秒間、(b2)130℃の温度で45秒間、(b3)130℃の温度で75秒間、(b4)110℃の温度で75秒間の4つの場合について確認した。なお、本実施例では、基材11と、基材11上に形成される接着層31と、接着層31上に形成される約10μmの保護膜27と、保護膜27の端部に形成される約2~3μmの導線部26と、保護膜27及び導線部26上に形成される約0.5μmの下部電極21と、下部電極21上に形成される約5μmの圧電体22と、圧電体22上に形成される約0.5μmの上部電極23と、上部電極23の端部上に形成される約2~3μmの導線部24と、上部電極23上に形成される約10μmの保護膜25とを備える圧力センサ1の生成を試みた。また本実施例では、接着層31として、セイコーアドバンス株式会社製のWILFLEX転写バインダー(ホットメルト接着剤)を用い、保護膜25及び保護膜27として、十条ケミカル社製のエピライトインキ1000を用い、導線部24及び導線部26として、銀ナノインクを用い、上部電極23及び下部電極21として、PEDOTを用い、圧電体22として、PVDFを用いて、圧力センサ1の生成を試みた。
【0044】
離型紙32として(a1)紙を用いた場合、印刷工程S1~S2における熱縮み量が大きく、接着工程S3において加える熱が(b1)と(b2)のいずれのときも、剥離工程S4において、印刷工程S1~S2において印刷された各材料(各層)が離型紙32側に残り、当該印刷された各材料(各層)を基材11側に残すことができなかった。
【0045】
離型紙32として(a2)PET(剥離荷重50mN)を用いた場合、印刷工程S1~S2における熱縮み量は少なく、接着工程S3において加える熱が(b1)と(b2)のいずれのときも、剥離工程S4において、印刷工程S1~S2において印刷された各材料(各層)の一部(例えば保護膜25の一部)が離型紙32側に残ったものの、当該印刷された各材料(各層)の大部分を基材11側に残すことができた。接着工程S3において加える熱が(b3)のときは、剥離工程S4において、離型紙32側に実質的に何も残さずに、基材11側に印刷工程S1~S2において印刷された各材料(各層)を残すことができた。
【0046】
離型紙32として(a3)PET(剥離荷重30mN)を用いた場合、印刷工程S1~S2における熱縮み量は少なく、接着工程S3において加える熱が(b3)と(b4)のいずれのときも、剥離工程S4において、離型紙32側に実質的に何も残さずに、基材11側に印刷工程S1~S2において印刷された各材料(各層)を残すことができた。
【符号の説明】
【0047】
1 圧力センサ
11 基材
20 センサ部
21 下部電極
22 圧電体
23 上部電極
24 導線部
25 保護膜
26 導線部
27 保護膜
31 接着層
32 離型紙
100 圧力センサ
111 基材
120 センサ部
121 下部電極
122 圧電体
123 上部電極
124 導線部
125 保護膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7