(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149718
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】光照射装置および光照射方法
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058450
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】鳥井 信宏
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK22
4C058KK28
4C058KK42
(57)【要約】
【課題】筒状容器の内側に効率的に光を照射する。
【解決手段】光照射装置10は、回転軸12と、回転軸12のまわりに螺旋状に延びる反射面24を有する反射体14と、回転軸12に沿った軸方向に反射面24から離れて配置され、反射面24に向けて軸方向に光を照射する光源16と、回転軸12を回転させる駆動機構18と、を備える。光照射方法は、反射体14を筒状容器の内側に挿入することと、回転軸12を回転させて筒状容器の内側で反射面24を回転させることと、筒状容器の内側で回転する反射面24に向けて軸方向に光を照射することと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸と、
前記回転軸のまわりに螺旋状に延びる反射面を有する反射体と、
前記回転軸に沿った軸方向に前記反射面から離れて配置され、前記反射面に向けて前記軸方向に光を照射する光源と、
前記回転軸を回転させる駆動機構と、を備える光照射装置。
【請求項2】
前記駆動機構は、前記回転軸を前記軸方向に移動させる、請求項1に記載の光照射装置。
【請求項3】
前記光源は、前記回転軸のまわりに並んで配置される複数のLEDと、前記複数のLEDのそれぞれから出力される光を前記軸方向に配光する複数の光学素子とを備える、請求項1または2に記載の光照射装置。
【請求項4】
前記反射面の前記軸方向の長さは、前記複数の光学素子のそれぞれの直径の10倍以上40倍以下である、請求項3に記載の光照射装置。
【請求項5】
前記反射面は、前記回転軸まわりの周方向に延びる角度範囲が330度以上360度未満となるように構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項6】
前記反射面の少なくとも一部は、前記反射面に前記軸方向に入射する光の反射角が45度以上60度以下となるように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の光照射装置。
【請求項7】
回転軸のまわりに螺旋状に延びる反射面を有する反射体を、筒状容器の内側に挿入することと、
前記回転軸を回転させ、前記筒状容器の内側で前記反射面を回転させることと、
前記筒状容器の内側で回転する前記反射面に向けて前記回転軸に沿った軸方向に光を照射することと、を備える光照射方法。
【請求項8】
前記筒状容器の外側に配置される光源から出力される光を前記筒状容器の内側で回転する前記反射面に向けて照射する、請求項7に記載の光照射方法。
【請求項9】
前記回転軸を前記軸方向に移動させ、前記筒状容器の内側で前記反射面の前記軸方向の位置を変化させることをさらに備える、請求項7または8に記載の光照射方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光照射装置および光照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外光を発するLED(Light Emitting Diode)を用いて、筒状容器の内部に紫外光を照射し、筒状容器の内部を殺菌する装置が提案されている。例えば、筒状容器の内部に挿入される挿入体の表面に多数のLEDを配置し、筒状容器の内部に挿入されるLEDを点灯させ、筒状容器の内部に紫外光を照射する構成が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の先行技術では、筒状容器の内面全体に光を照射するために多数のLEDを必要とする。また、挿入体の内部には多数のLEDを冷却するための冷却機構が必要となり、装置構成が複雑となる。
【0005】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的のひとつは、筒状容器の内側に効率的に光を照射する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様の光照射装置は、回転軸と、回転軸のまわりに螺旋状に延びる反射面を有する反射体と、回転軸に沿った軸方向に反射面から離れて配置され、反射面に向けて軸方向に光を照射する光源と、回転軸を回転させる駆動機構と、を備える。
【0007】
本発明の別の態様は、光照射方法である。この方法は、回転軸のまわりに螺旋状に延びる反射面を有する反射体を、筒状容器の内側に挿入することと、回転軸を回転させ、筒状容器の内側で反射面を回転させることと、筒状容器の内側で回転する反射面に向けて回転軸に沿った軸方向に光を照射することと、を備える。
【0008】
本発明によれば、筒状容器の内面に効率的に光を照射する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る光照射装置の構成を概略的に示す図である。
【
図4】光照射装置の使用方法を概略的に示す斜視図である。
【
図5】筒状容器の側面における照度分布の一例を概略的に示す図である。
【
図6】実施の形態に係る光照射方法の一例を示すフローチャートである。
【
図7】変形例に係る光照射装置の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図8】光照射装置の使用方法を概略的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。説明の理解を助けるため、各図面における各構成要素の寸法比は、必ずしも実際の寸法比と一致しない。
【0011】
図1は、実施の形態に係る光照射装置10の構成を概略的に示す図である。光照射装置10は、回転軸12と、反射体14と、光源16と、駆動機構18とを備える。光照射装置10は、光源16からの光20を反射体14の反射面24にて反射させ、反射した光22を回転軸12に交差する方向に照射するよう構成される。光照射装置10は、例えば、筒状容器の内側に光を照射するために用いられる。
【0012】
図1において、回転軸12が延びる方向をz方向とし、回転軸12に直交する方向をx方向およびy方向としている。本明細書において、回転軸12が延びる方向を軸方向ということがあり、回転軸12に直交する方向を径方向ということがあり、回転軸12のまわりの方向を周方向ということがある。
【0013】
回転軸12は、z方向に直線状に延びる棒であり、反射体14を支持する。反射体14は、回転軸12のまわりを螺旋状に延びる板状部材である。反射体14は、回転軸12に固定されている。反射体14は、第1端部26と、第2端部28と、側部30とを有する。第1端部26は、反射体14の軸方向の一端に設けられ、回転軸12から径方向に延在する。第2端部28は、反射体14の軸方向の他端に設けられ、回転軸12から径方向に延在する。側部30は、回転軸12から径方向に離れて螺旋状に延在し、反射体14の外形を規定する。回転軸12から側部30までの径方向の幅wは、例えば、軸方向の位置によらずに一定である。
【0014】
反射体14は、回転軸12のまわりを螺旋状に延びる反射面24を有する。反射面24は、第1端部26から第2端部28に向けて回転軸12のまわりを螺旋状に延びる。反射面24は、回転軸12と側部30の間に形成される螺旋面であり、第1端部26側に露出する面である。反射面24は、例えば、常螺旋面となるように構成される。
【0015】
反射面24の法線Aの軸方向に対する角度θ(傾斜角θともいう)は、回転軸12からの径方向の距離rに応じて異なる。反射面24の傾斜角θは、距離rを固定した位置において軸方向に対して一定となるように構成されてもよい。反射面24の少なくとも一部は、反射面24の傾斜角θが45度以上90度以下となるよう構成され、例えば45度以上60度以下の範囲となるよう構成される。反射面24の傾斜角θは、例えば、反射面24の径方向の幅wの中心24cにおいて45度以上60度以下となるように構成される。反射面24の傾斜角θは、側部30の近傍において45度以上であってもよいし、45度未満であってもよい。反射面24の側部30の近傍における傾斜角θは、40度以上50度以下となるよう構成されてもよい。
【0016】
反射面24は、光源16からの光20に対して反射率が高い材料から構成される。光20が深紫外光である場合、反射面24は、アルミニウムから構成される。反射面24は、例えば、平坦性の高い鏡面となるように構成される。反射面24は、光20を拡散させて反射させるために粗面で構成されてもよい。反射面24は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素系樹脂材料から構成されてもよい。
【0017】
図2は、反射体14の構成を概略的に示す平面図である。
図2は、第1端部26から第2端部28に向けて軸方向に見たときの反射体14を示す。反射体14は、第1端部26から第2端部28までの周方向に延びる角度範囲φが330度以上360度未満となるように構成され、例えば340度以上355度以下となるように構成される。図示する例では、角度範囲φが360度未満であり、反射面24が軸方向に重ならないように反射体14が構成される。別の言い方をすれば、第1端部26と第2端部28の間には反射面24が設けられていない隙間32が存在する。なお、角度範囲φを360度より大きくし、第1端部26および第2端部28の近傍において反射面24が軸方向に重なるように反射体14を構成してもよい。この場合、第1端部26と第2端部28の間において反射面24が設けられていない隙間32は存在しない。
【0018】
図1に戻り、光源16は、軸方向に反射面24から離れて配置され、反射面24に向けて軸方向に光20を照射する。光源16は、反射面24と軸方向に重なる位置に配置され、反射体14の第1端部26と対向するように配置される。光源16は、基板38に取り付けられる。基板38には、光源16を冷却するための冷却機構40が設けられる。冷却機構40は、例えばヒートシンクである。冷却機構40は、空冷式であってもよいし、水冷式であってもよい。基板38には、回転軸12が挿通される貫通孔42が設けられる。
【0019】
光源16は、LED34と、光学素子36とを有する。LED34は、例えば、波長260nm~285nm程度の深紫外光を出力する半導体発光素子である。LED34は、波長285nm以上の紫外光を出力するよう構成されてもよいし、可視光または赤外光を出力するよう構成されてもよい。光学素子36は、LED34から出力される拡散光を軸方向に配光させ、軸方向に対して所定以下(例えば10度以下や5度以下)の配光角を有する平行光となる光20を生成する。光学素子36は、例えば、凹曲面となる反射面を有するリフレクタである。光学素子36は、レンズであってもよいし、レンズとリフレクタの組み合わせであってもよい。
【0020】
図3は、光源16の構成を概略的に示す平面図である。光源16は、複数のLED34a,34b,34c,34dと、複数の光学素子36a,36b,36c,36dとを備える。複数のLED34a~34dは、回転軸12のまわりに並んで配置される。図示する例では、回転軸12のまわりに90度の間隔で四つのLED34a~34dが設けられる。複数の光学素子36a~36dは、複数のLED34a~34dのそれぞれから出力される光を軸方向に配光して平行光を生成する。
【0021】
光源16が備えるLED34および光学素子36の数は特に限られず、四つよりも多くのLED34および光学素子36が配置されてもよい。例えば、60度間隔で六つのLED34および光学素子36が配置されてもよい。光源16は、反射面24の全体に光20を照射するように構成されることが好ましい。反射面24の径方向および軸方向のサイズに応じて使用するLED34および光学素子36の個数を定めることができる。なお、使用するLED34および光学素子36のサイズに応じて、反射面24の径方向および軸方向のサイズを定めてもよい。反射面24の径方向の幅wは、例えばLED34からの光が出射する光学素子36の直径D(または開口径D)の0.5倍以上3倍以下であり、例えば0.8倍以上2倍以下である。また、反射面24の軸方向の全長Hは、光学素子36の直径Dの10倍以上40倍以下であり、例えば、光学素子36の直径Dの20倍以上30倍以下である。
【0022】
図1に戻り、駆動機構18は、回転軸12を矢印Rで示されるように回転させる。駆動機構18は、例えば電動モータである。駆動機構18は、回転軸12を回転させることにより、反射体14を回転させる。駆動機構18は、例えば、光源16を挟んで反射体14の反対側に配置される。駆動機構18は、例えば、光源16および基板38に対して固定される。駆動機構18によって回転する反射体14は、固定される光源16に対して回転する。
【0023】
つづいて、光照射装置10の動作について説明する。光照射装置10は、駆動機構18を駆動して螺旋状の反射面24を回転させる。光源16は、回転する反射面24に向けて軸方向に光20を照射する。反射面24にて反射する光22は、軸方向に交差または直交する平面に沿って出射する。光源16からの光20が反射面24に入射する軸方向の位置は、螺旋状の反射面24の回転によって第1端部26から第2端部28に向かって変化する。
図1に示される光20が反射面24に入射する位置までの軸方向の距離Lは、第1端部26から第2端部28までの範囲内で変化する。その結果、反射面24によって反射された光22は、第1端部26から第2端部28までの範囲において軸方向に走査される。したがって、光照射装置10は、第1端部26から第2端部28までの範囲にわたって軸方向に交差または直交する方向に光22を照射できる。
【0024】
図4は、光照射装置10の使用方法を概略的に示す斜視図である。光照射装置10は、筒状容器50の内側に光を照射するために用いることができる。光照射装置10は、反射面24の少なくも一部が筒状容器50の内側に位置するように、筒状容器50の内側に挿入される。光源16は、筒状容器50の外側に配置できる。
図4では、分かりやすさのために駆動機構18の図示を省略し、筒状容器50の一部のみを図示している。
【0025】
図5は、筒状容器50の側面52における照度分布の一例を概略的に示す図である。
図5は、側面52の展開図に相当し、縦が軸方向(z方向)、横が周方向(R方向)である。
図5は、反射面24を回転させずに固定したときの照度分布を示し、光源16が四つのLED34a~34dを備える場合を示す。
図5に示されるように、軸方向および周方向に対して斜めとなる直線56に沿って連続的に延びる領域に光22が照射される。
【0026】
反射面24を周方向(R方向)に回転させると、
図5に示される照度分布は周方向(R方向)に平行移動する。したがって、光照射装置10は、反射面24を回転させながら反射面24に光源16からの光を照射することにより、筒状容器50の内側の側面52の全体に光を照射することができる。
【0027】
光照射装置10は、第1端部26と第2端部28の間の隙間32を通じて、筒状容器50の内側の底面54にも光20を照射できる。反射面24を周方向(R方向)に回転させると、隙間32の周方向の位置が変化する。したがって、光照射装置10は、反射面24を回転させながら反射面24に光源16からの光を照射することにより、第1端部26と第2端部28の間の隙間32を通じて、筒状容器50の内側の底面54の全体に光を照射することができる。
【0028】
図6は、実施の形態に係る光照射方法の一例を示すフローチャートである。まず、回転軸12のまわりに螺旋状に延びる反射面24を有する反射体14を、筒状容器50の内側に挿入する(S10)。つづいて、回転軸12を回転させ、筒状容器50の内側で反射面24を回転させ(S12)、筒状容器50の内側で回転する反射面24に向けて軸方向に光20を照射する(S14)。これにより、筒状容器50の側面52および底面54の全体に光22を照射する。照射が完了するまで反射面24の回転および反射面24への光20の照射を継続し(S16のN)、照射が完了した場合(S16のY)、反射体14を引き抜いて筒状容器50の内側から反射体14を除去する(S18)。
【0029】
本実施の形態によれば、回転する螺旋状の反射面24に光20を照射することにより、反射面24が挿入される筒状容器50の内側の全体に光22を照射できる。例えば、反射面24の少なくとも一部の傾斜角θを45度以上60度以下とすることにより、反射面24にて反射される光を筒状容器50の側面52および底面54に効率的に照射できる。光20が深紫外光である場合、筒状容器50の内側の全体に深紫外光を照射して筒状容器50の内側全体を殺菌できる。筒状容器50は、飲料缶、ペットボトル容器、紙パック容器などであってもよい。
【0030】
本実施の形態によれば、筒状容器50の内側に反射面24を挿入するため、光源16を筒状容器50の外側に配置できる。そのため、筒状容器50の内側に光源16を配置させる必要がなくなり、光源16の設計自由度を高めることができる。例えば、ペットボトル容器などの内径の小さな筒状容器50の内側に光源を配置するために光源を小型化する必要がなくなる。筒状容器50の外側に光源16を配置することにより、光源16の冷却が容易となり、光源16の発熱による劣化を抑制できる。また、光源16の発熱に起因する筒状容器50への熱影響も抑制できる。
【0031】
本実施の形態によれば、反射面24と軸方向に重なる範囲に光源16からの光20を照射すればよいため、多数のLEDを軸方向に配置する必要がない。そのため、光源16に含まれるLEDの個数を限定することができ、光照射装置10のコストを低減できる。
【0032】
図7は、変形例に係る光照射装置60の構成を概略的に示す図である。光照射装置60は、回転軸12と、反射体14と、光源16と、駆動機構62とを備える。本変形例では、駆動機構62によって、回転軸12が矢印Rで示される周方向に回転するとともに、回転軸12が矢印Zで示される軸方向に移動するよう構成される。以下、本変形例について、上述の実施の形態との相違点を中心に説明し、共通点については説明を適宜省略する。
【0033】
駆動機構62は、モータ64と、リニアアクチュエータ66とを含む。モータ64は、回転軸12を矢印Rで示される周方向に回転させる。リニアアクチュエータ66は、回転軸12を矢印Zで示される軸方向に移動させる。リニアアクチュエータ66は、回転軸12と、回転軸12を回転させるモータ64とを軸方向に移動させるよう構成される。
【0034】
図8は、光照射装置60の使用方法を概略的に示す斜視図である。
図8では、分かりやすさのために駆動機構62の図示を省略し、筒状容器70の一部のみを図示している。
図8の筒状容器70の軸方向の長さは、反射体14の軸方向の長さよりも大きい。
【0035】
本変形例によれば、反射体14を回転させながら反射体14を軸方向に移動させることにより、軸方向に長い筒状容器70の側面72の全体に光を照射できる。したがって、本変形例においても、筒状容器70の側面72および底面74の全体に光を照射できる。また、筒状容器70のサイズに応じて反射体14の軸方向の移動範囲を調整することにより、軸方向の長さが異なる複数種類の筒状容器70に対応することができる。
【0036】
以上、本発明を実施例にもとづいて説明した。本発明は上記実施の形態に限定されず、種々の設計変更が可能であり、様々な変形例が可能であること、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは、当業者に理解されるところである。
【0037】
以下、本発明のいくつかの態様について説明する。
【0038】
本発明の第1の態様は、回転軸と、前記回転軸のまわりに螺旋状に延びる反射面を有する反射体と、前記回転軸に沿った軸方向に前記反射面から離れて配置され、前記反射面に向けて前記軸方向に光を照射する光源と、前記回転軸を回転させる駆動機構と、を備える光照射装置である。第1の態様によれば、筒状容器の内側に反射体を挿入して反射体を回転させ、回転する反射面に光源からの光を軸方向に照射することにより、筒状容器の内側に効率的に光を照射できる。
【0039】
本発明の第2の態様は、前記駆動機構は、前記回転軸を前記軸方向に移動させる、第1の態様に記載の光照射装置である。第2の態様によれば、回転軸を軸方向に移動させ、反射体を軸方向に移動させることにより、軸方向のサイズが大きな筒状容器の内側に光を効率的に照射できる。
【0040】
本発明の第3の態様は、前記光源は、前記回転軸のまわりに並んで配置される複数のLEDと、前記複数のLEDのそれぞれから出力される光を前記軸方向に配光する複数の光学素子とを備える、第1または第2の態様に記載の光照射装置である。第3の態様によれば、回転軸のまわりに複数のLEDを配置することにより、限定された個数のLEDを用いて軸方向に広い範囲にわたって光を照射できる。軸方向に配光する光学素子を用いることにより、筒状容器の内側に効率的に光を照射できる。
【0041】
本発明の第4の態様は、前記反射面の前記軸方向の長さは、前記複数の光学素子のそれぞれの直径の10倍以上40倍以下である、第3の態様に記載の光照射装置である。第4の態様によれば、反射面の軸方向の長さを光学素子の直径の10倍以上40倍以下とすることにより、筒状容器の内側の側面に効率的に光が照射されるように反射面の傾斜角を設定できる。
【0042】
本発明の第5の態様は、前記反射面は、前記回転軸まわりの周方向に延びる角度範囲が330度以上370度未満となるように構成される、第1から第4のいずれか一つの態様に記載の光照射装置である。第5の態様によれば、反射面が設けられる角度範囲を330度以上とすることにより、周方向の広い範囲にわたって光を効率的に照射できる。反射面が設けられる角度範囲を360度未満とすることにより、筒状容器の底部にも光を照射できる。
【0043】
本発明の第6の態様は、前記反射面の少なくとも一部は、前記反射面に前記軸方向に入射する光の反射角が45度以上60度以下となるように構成される、第1から第5のいずれか一つの態様に記載の光照射装置である。第6の態様によれば、反射面の少なくとも一部における光の反射角を45度以上60度以下にすることにより、筒状容器の内側の側面に効率的に光を照射できる。
【0044】
本発明の第7の態様は、回転軸のまわりに螺旋状に延びる反射面を有する反射体を、筒状容器の内側に挿入することと、前記回転軸を回転させ、前記筒状容器の内側で前記反射面を回転させることと、前記筒状容器の内側で回転する前記反射面に向けて前記回転軸に沿った軸方向に光を照射することと、を備える光照射方法である。第7の態様によれば、筒状容器の内側に光を効率的に照射できる。
【0045】
本発明の第8の態様は、前記筒状容器の外側に配置される光源から出力される光を前記筒状容器の内側で回転する前記反射面に向けて照射する、第7の態様に記載の光照射方法である。第8の態様によれば、光源を筒状容器の外側に配置することにより、光源の冷却が容易となり、光源の発熱に起因する筒状容器への熱影響を抑制できる。
【0046】
本発明の第9の態様は、前記回転軸を前記軸方向に移動させ、前記筒状容器の内側で前記反射面の前記軸方向の位置を変化させることをさらに備える、第7または第8の態様に記載の光照射方法である。第9の態様によれば、反射体を軸方向に移動させることにより、軸方向のサイズが大きな筒状容器の内側に光を効率的に照射できる。
【符号の説明】
【0047】
10…光照射装置、12…回転軸、14…反射体、16…光源、18…駆動機構、24…反射面、34…LED、36…光学素子、50…筒状容器、52…側面、54…底面。