(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149740
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】モータユニット
(51)【国際特許分類】
H02K 5/10 20060101AFI20231005BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H02K5/10 Z
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058485
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 隆志
(72)【発明者】
【氏名】荒尾 慶宣
(72)【発明者】
【氏名】関 健太
【テーマコード(参考)】
5H605
【Fターム(参考)】
5H605AA02
5H605AA03
5H605BB05
5H605BB10
5H605BB14
5H605BB17
5H605CC06
5H605CC10
5H605EC08
5H605EC14
5H605EC20
5H605GG06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シール部材によるシール効果を向上させる。
【解決手段】モータユニットは、モータと、基板と、筐体と、を備え、筐体は、基板領域A2を有する第1筐体4と、基板領域A2と所定方向に対向して配置される第2筐体5と、第1筐体4と第2筐体5との間をシールするシール部材6と、を有し、第1筐体4は、基板領域A2を囲う外縁部40と、外縁部40から外縁部40の内周に沿って内方側に凹む凹部42と、を有し、第2筐体5は、内方側に突出して凹部42に配置される突出部を有し、突出部は、一部に切れ目を有する環状体であり、シール部材6は、凹部42の少なくとも一部に配置され、第1筐体4に配置される塞ぎ部70をさらに備え、塞ぎ部70は、切れ目の少なくとも一部を塞ぐ。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸を中心に回転可能なロータおよび前記ロータと径方向に対向するステータを有するモータと、
前記モータに接続される基板と、
前記モータおよび前記基板を収容する筐体と、を備え、
前記筐体は、
前記基板が配置される基板領域を有する第1筐体と、
前記基板領域と所定方向に対向して配置され、前記基板を前記所定方向の外方側から覆う第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体との間をシールするシール部材と、を有し、
前記第1筐体は、
前記所定方向から見て、前記基板領域を囲う外縁部と、
前記外縁部から前記外縁部の内周に沿って前記所定方向の内方側に凹む凹部と、を有し、
前記第2筐体は、前記内方側に突出して前記凹部に配置される突出部を有し、
前記突出部は、前記所定方向から見て、一部に切れ目を有する環状体であり、
前記シール部材は、前記凹部の少なくとも一部に配置され、
前記第1筐体に配置される塞ぎ部をさらに備え、
前記塞ぎ部は、前記切れ目の少なくとも一部を塞ぐ、モータユニット。
【請求項2】
前記塞ぎ部は、前記第1筐体のうち前記切れ目と前記所定方向に対向する位置の少なくとも一部に配置される、請求項1に記載のモータユニット。
【請求項3】
前記第1筐体は、前記外方側を向く第1平坦面を前記外縁部に有し、
前記第2筐体は、前記内方側を向き、かつ、前記第1平坦面と前記所定方向に対向する第2平坦面を有し、
前記シール部材は、前記第1平坦面と前記第2平坦面との間の少なくとも一部に配置され、前記第1平坦面と前記第2平坦面との間から前記凹部に延びる、請求項1または2に記載のモータユニット。
【請求項4】
前記塞ぎ部は、前記第1平坦面と直交し、かつ、前記切れ目を介して前記突出部の外側を向く面を有する、請求項3に記載のモータユニット。
【請求項5】
前記塞ぎ部の少なくとも一部は、前記第1平坦面よりも前記外方側に突出する、請求項3または4に記載のモータユニット。
【請求項6】
前記第1筐体は、前記塞ぎ部が配置される配置部を前記凹部に有し、
前記配置部は、前記凹部の底面から前記外方側に突出する、請求項5に記載のモータユニット。
【請求項7】
前記塞ぎ部は、前記所定方向から見て、前記切れ目と平行な面を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のモータユニット。
【請求項8】
バスバーユニットを備え、
前記第1筐体は、前記モータが配置されるモータ領域を有し、
前記バスバーユニットは、
前記モータに接続されるとともに、前記モータ領域から前記基板領域に引き出されて前記基板に接続されるバスバーと、
前記基板領域において前記バスバーを保持するバスバー保持部と、を有し、
前記塞ぎ部は、前記バスバー保持部の一部である、請求項1~7のいずれか1項に記載のモータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモータは、筐体に収容される。筐体は、モータケースとカバーとを備える。すなわち、筐体は、複数の部材で構成される。モータケースは、開口を有する。モータケースの開口は、カバーで覆われる(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の部材で筐体を構成する場合、筐体を構成する部材間をシールするため、部材間にはシール部材が配置される。しかし、筐体を構成する部材の形状によっては、シール部材によるシール効果が不十分になる場合がある。
【0005】
本発明は、シール部材によるシール効果を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータユニットは、中心軸を中心に回転可能なロータおよびロータと径方向に対向するステータを有するモータと、モータに接続される基板と、モータおよび基板を収容する筐体と、を備える。筐体は、基板が配置される基板領域を有する第1筐体と、基板領域と所定方向に対向して配置され、基板を所定方向の外方側から覆う第2筐体と、第1筐体と第2筐体との間をシールするシール部材と、を有する。第1筐体は、所定方向から見て、基板領域を囲う外縁部と、外縁部から外縁部の内周に沿って所定方向の内方側に凹む凹部と、を有する。第2筐体は、内方側に突出して凹部に配置される突出部を有する。突出部は、所定方向から見て、一部に切れ目を有する環状体である。シール部材は、凹部の少なくとも一部に配置される。第1筐体に配置される塞ぎ部をさらに備える。塞ぎ部は、切れ目の少なくとも一部を塞ぐ。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的なモータユニットによれば、シール部材によるシール効果を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るモータユニットの斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係るモータの断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る基板と筐体との位置関係を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る第1筐体から第2筐体を取り外した状態の斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係るバスバーユニットの斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係るバスバーユニットおよびその周辺の断面斜視図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る第2筐体を内方側から見た斜視図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る第2筐体の断面斜視図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る第1筐体と第2筐体との間のうち突出部が存在する領域のシール構造を示す模式図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る第1筐体と第2筐体との間のうち切れ目が存在する領域のシール構造を示す模式図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る塞ぎ部と切れ目との位置関係を示す平面図である。
【
図12】
図12は、変形例に係るシール構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
本明細書では、モータ1の中心軸CAが延びる方向を単に「軸方向」と呼ぶ。また、中心軸CAを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。径方向のうち、中心軸CAに近づく方向を単に「径方向内側」と呼び、中心軸CAから離れる方向を単に「径方向外側」と呼ぶ。中心軸CAを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
【0011】
<1.モータユニットの概略構成>
図1は、実施形態に係るモータユニット100の斜視図である。
図2は、実施形態に係るモータ1の断面図である。
図3は、実施形態に係る基板2と筐体3との位置関係を示す分解斜視図である。
図4は、実施形態に係る第1筐体4から第2筐体5を取り外した状態の斜視図である。
図5は、実施形態に係るバスバーユニット7の斜視図である。
図6は、実施形態に係るバスバーユニット7およびその周辺の断面斜視図である。
【0012】
本実施形態に係るモータユニット100は、モータ1と、基板2と、筐体3と、を備える。基板2は、モータ1に接続される。筐体3は、モータ1および基板2を収容する。
【0013】
モータ1は、ロータ11およびステータ12を有する。ロータ11は、中心軸CAを中心に回転可能である。ステータ12は、ロータ11と径方向に対向する。具体的には、ステータ12は、ロータ11の径方向外側に配置される。また、モータ1は、シャフト10を有する。シャフト10は、中心軸CAに沿って軸方向に延びる。シャフト10は、不図示の軸受により回転可能に支持される。シャフト10は、モータ1の回転軸を形成する。
【0014】
ロータ11は、ロータコア111を有する。ロータコア111は、軸方向に延びる円筒状である。ロータコア111は、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されることによって形成される。シャフト10は、ロータコア111に圧入される。これにより、ロータコア111は、シャフト10と共に回転可能である。ロータコア111の径方向外側面には、複数のロータマグネット112が固定される。複数のロータマグネット112は、周方向に配列される。
【0015】
ステータ12は、ステータコア121、インシュレータ122およびコイル123を有する。ステータコア121は、中心軸CAを中心とする環状である。ステータコア121は、複数の電磁鋼板が軸方向に積層されることによって形成される。ロータ11は、ステータコア121の径方向内側に配置される。
【0016】
インシュレータ122は、ステータコア121の少なくとも一部を覆う。なお、インシュレータ122は、樹脂などを用いた絶縁部材である。コイル123は、インシュレータ122を介してステータコア121に導線が巻かれることによって形成される。コイル123は、基板2に接続される。
【0017】
基板2は、プリント回路板である。基板2は、実装面20を有する。実装面20には、電子部品(不図示)が実装される。基板2は、モータ1の径方向外側に配置される。実装面20は、径方向を向く。実装面20は、径方向に延びる線を法線とする。
【0018】
なお、実装面20の法線方向は「所定方向」に相当する。以下の説明では、実装面20の法線方向を「所定方向」と呼ぶ。
【0019】
また、所定方向のうち、基板2からモータ1に向かう一方側は「内方側」に相当し、モータ1から基板2に向かう他方側は「外方側」に相当する。言い換えると、基板2から見て、「内方側」はモータユニット100の内側(すなわち、中心軸CAに向かう側)であり、「外方側」はモータユニット100の外側(すなわち、中心軸CAから離れる側)である。以下の説明では、所定方向の一方側を「内方側」と呼び、所定方向の他方側を「外方側」と呼ぶ。
【0020】
筐体3は、第1筐体4を有する。第1筐体4は、モータ1が配置されるモータ領域A1を有する。なお、モータ領域A1は、軸方向の一方側に開口を有する。モータ領域A1の開口は、ベアリングホルダ300によって覆われる。ベアリングホルダ300には、ベアリング(不図示)が固定される。ベアリングホルダ300のベアリングは、シャフト10を回転可能に保持する。
【0021】
第1筐体4は、基板2が配置される基板領域A2を有する。基板2が基板領域A2に配置された状態での実装面20の法線方向が所定方向である。基板2は、基板領域A2に対して外方側から配置される。基板2は、第1筐体4に対してネジ(符号省略)により固定される。
【0022】
第1筐体4は、通し孔410を有する。通し孔410は、モータ領域A1から基板領域A2に貫通する。モータ1は、通し孔410を介して、基板2に接続される。言い換えると、ステータ12は、通し孔410を介して、基板2に接続される。
【0023】
モータ1と基板2との接続では、バスバーユニット7が用いられる。すなわち、モータユニット100は、バスバーユニット7を備える。バスバーユニット7は、バスバー71を有する。また、バスバーユニット7は、バスバー71を保持するバスバー保持部72を有する。
【0024】
バスバー71は、モータ1に接続される。コイル123を構成する導線がステータ12から引き出され、その導線がバスバー71に接続される。なお、ステータ12は、複数相のコイル123を有する。複数相のコイル123は、U相のコイル123と、V相のコイル123と、W相のコイル123と、の3種類に分かれる。各相のコイル123は、別々のバスバー71に接続される。すなわち、バスバーユニット7は、3本のバスバー71を有する。
【0025】
バスバー71の一端は、モータ領域A1に配置され、モータ1に接続される。バスバー71の他端は、基板領域A2に配置され、基板2に接続される。すなわち、バスバー71は、モータ領域A1から基板領域A2に引き出されて基板2に接続される。バスバー71は、通し孔410に通されることにより、モータ領域A1から基板領域A2に引き出される。
【0026】
バスバー保持部72は、樹脂製である。バスバー保持部72は、基板領域A2に配置される。バスバー保持部72は、基板領域A2においてバスバー71を保持する。
【0027】
第1筐体4は、配置部420を基板領域A2に有する。バスバー保持部72は、配置部420に配置される。配置部420は、後述する凹部42の底面から外方側に突出する。配置部420には、所定方向に延びる雌ネジが形成される。バスバー保持部72は、所定方向に貫通する取付孔72aを有する。取付孔72aには、外方側からネジ8が挿入される。ネジ8は、取付孔72aに挿入された状態で、配置部420にねじ止めされる。すなわち、バスバー保持部72は、ネジ8により第1筐体4に固定される。
【0028】
基板2は、バスバー保持部72の外方側に配置される。バスバー71は、バスバー保持部72を所定方向に貫通する。これにより、基板領域A2においてバスバー71が保持される。バスバー保持部72から突出するバスバー71の他端が基板2に接続される。
【0029】
また、筐体3は、第2筐体5を有する。第2筐体5は、基板領域A2と所定方向に対向して配置される。そして、第2筐体5は、基板2を外方側から覆う。言い換えると、第2筐体5は、基板領域A2への水分などの異物の侵入を抑制し、基板2を保護する。
【0030】
<2.第1筐体に対する第2筐体の固定>
図7は、実施形態に係る第2筐体5を内方側から見た斜視図である。
図8は、実施形態に係る第2筐体5の断面斜視図である。
【0031】
第2筐体5は、第1筐体4に固定される。第2筐体5は、第1筐体4に対してネジ止めされる。
【0032】
具体的には、第1筐体4は、所定方向から見て、基板領域A2を囲う外縁部40を有する。外縁部40は、平坦面41を有する。平坦面41は、所定方向と直交する面であり、外方側を向く面である。すなわち、第1筐体4は、外方側を向く平坦面41を外縁部40に有する。なお、平坦面41は「第1平坦面」に相当する。以下の説明では、平坦面41を第1平坦面41と呼ぶ。
【0033】
第1平坦面41は、第2筐体5が取り付けられる取付部41aを有する。取付部41aは、第1平坦面41から外方側に突出する。取付部41aには、所定方向に延びる雌ネジが形成される。取付部41aは、所定方向から見て、外縁部40の4隅に配置される。
【0034】
第2筐体5は、所定方向から見て、第1筐体4の外縁部40と所定方向に対向する外縁部50を有する。第2筐体5の外縁部50は、平坦面51を有する。平坦面51は、所定方向と直交する面であり、内方側を向く面である。第2筐体5の平坦面51は、第1平坦面41と所定方向に対向する。すなわち、第2筐体5は、内方側を向き、かつ、第1平坦面41と所定方向に対向する平坦面51を有する。なお、平坦面51は「第2平坦面」に相当する。以下の説明では、平坦面51を第2平坦面51と呼ぶ。また、第1筐体4の外縁部40を第1外縁部40と呼び、第2筐体5の外縁部50を第2外縁部50と呼んで区別する。
【0035】
第2平坦面51は、ネジ9が挿入される取付孔51aを有する。第2平坦面51のうち一部が外方側に凹み、その凹んだ部分に取付孔51aが形成される。取付孔51aは、所定方向から見て、第2外縁部50の4隅に配置される。言い換えると、取付孔51aは、取付部41aと所定方向に対向する。ネジ9は、外方側から取付孔51aに挿入された状態で、取付部41aにねじ止めされる。ここで、第2筐体5のうち基板2と所定方向に対向する部分は、第2外縁部50よりも外方側に凹む。これにより、基板2に実装される電子部品と第2筐体5との接触が抑制される。
【0036】
なお、第1筐体4に対して第2筐体5が固定された状態では、第1平坦面41と第2平坦面51との間に隙間が生じる。そして、詳細は後述するが、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間には、シール部材6が配置される。
【0037】
<3.筐体のシール構造>
図9は、実施形態に係る第1筐体4と第2筐体5との間のうち突出部52が存在する領域のシール構造を示す模式図である。ここで、
図9において、破線DLに対して矢印S1で指し示す側が突出部52の外側であり、破線DLに対して矢印S2で指し示す側が突出部52の内側である。また、図面の上側が外方側であり、図面の下側が内方側である。すなわち、図面の上下方向が所定方向である。後の説明で参照する
図10および
図12についても同様である。
【0038】
筐体3は、シール部材6を有する。シール部材6は、第1筐体4と第2筐体5との間をシールする。すなわち、シール部材6は、第1筐体4と第2筐体5との間の少なくとも一部に配置される。これにより、第1筐体4と第2筐体5との間からの水分などの異物の侵入が抑制される。なお、シール部材6の構成材料は特に限定されない。たとえば、シール部材6として、シリコン系の接着剤を使用できる。
【0039】
シール部材6は、所定方向から見て、環状に延び、基板領域A2を囲う。これにより、水分などの異物の基板領域A2への侵入が抑制される。すなわち、水分などの異物から基板2を保護できる。以下、シール部材6の配置位置について、具体的に説明する。
【0040】
第1筐体4は、凹部42を有する。凹部42は、第1外縁部40から第1外縁部40の内周に沿って内方側に凹む。凹部42の底面は、所定方向と直交する面であり、外方側を向く面である。すなわち、第1外縁部40は、凹部42の底面から外方側に突出する。また、配置部420も同様、凹部42の底面から外方側に突出する。
【0041】
第2筐体5は、内方側に突出する突出部52を有する。突出部52は、第2平坦面51よりも内方側に突出する。突出部52は、環状に突出する。すなわち、突出部52は、所定方向から見て、環状体である。ただし、詳細は後述するが、突出部52を構成する環状体は、所定方向から見て、一部に切れ目520を有する。
【0042】
突出部52は、所定方向から見て、第2外縁部50の内側に第2外縁部50と隣接して配置される。言い換えると、所定方向から見て、第2外縁部50の内側が突出部52となっている。
【0043】
第1筐体4に第2筐体5が固定された状態では、所定方向から見て、突出部52は、第1外縁部40よりも内側に配置される。所定方向から見て、第1外縁部40の内側は凹部42であるため、突出部52は凹部42に配置された状態となる。すなわち、第2筐体5は、内方側に突出して凹部42に配置される突出部52を有する。
【0044】
なお、第1筐体4と第2筐体5との組み付け工程では、シール部材6を第1平坦面41上に配置した状態で、第1平坦面41と第2平坦面51とが所定方向に重ねられる。このとき、シール部材6が所定方向に押し潰されるため、シール部材6が基板領域A2に向かって流れ、シール部材6の一部が凹部42に達する。これにより、シール部材6は、凹部42の少なくとも一部に配置される。
【0045】
ここで、凹部42には、突出部52が配置される。このため、シール部材6の基板領域A2への流出が突出部52によって堰き止められる。これにより、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間からのシール部材6の基板領域A2への流出が増大することを抑制できる。第1平坦面41と第2平坦面51との隙間からのシール部材6の基板領域A2への流出が抑制されると、第1筐体4と第2筐体5との間のシール部材6によるシール効果が向上する。
【0046】
なお、シール部材6は、第1平坦面41と第2平坦面51との間の少なくとも一部に配置され、第1平坦面41と第2平坦面51との間から凹部42に延びる。ここで、第1筐体4と第2筐体5との組み付け工程では、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間から凹部42に向かってシール部材6が流出するが、凹部42に配置される突出部52によってシール部材6の流出が堰き止められるため、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間にシール部材6が滞留し易い。これにより、第1筐体4と第2筐体5との組み付け工程において、シール部材6を第1平坦面41上に配置するだけで簡単に、第1平坦面41と第2平坦面51との間に配置されたシール部材6が第1平坦面41と第2平坦面51との間から凹部42に延びた状態にできる。
【0047】
<4.切れ目が存在する領域のシール構造>
<4-1.実施形態>
図10は、実施形態に係る第1筐体4と第2筐体5との間のうち切れ目520が存在する領域のシール構造を示す模式図である。
図11は、実施形態に係る塞ぎ部70と切れ目520との位置関係を示す平面図である。
図11では、突出部52をハッチングで示し、切れ目520を薄く着色して示す。
【0048】
突出部52は、所定方向から見て、一部に切れ目520を有する環状体である。すなわち、突出部52は、所定方向から見て、環状の形状であって、一部に切り欠きが形成されている。なお、以下の説明において、突出部52の外側とは、突出部52を所定方向から見た場合の環状体の外側を意味し、突出部52の内側とは、突出部52を所定方向から見た場合の環状体の内側を意味する。基板2は、所定方向から見て、突出部52の内側に配置される。
【0049】
突出部52に切れ目520がある構成では、第1筐体4と第2筐体5との組み付け工程において、切れ目520がシール部材6の流路となる。このため、切れ目520が存在する領域は存在しない領域に比べて、突出部52の外側から内側へのシール部材6の流出量が多くなり易い。
【0050】
このため、モータユニット100は、塞ぎ部70を備える。塞ぎ部70は、第1筐体4に配置される。塞ぎ部70は、所定方向から見て、第1外縁部40よりも内側において、第1外縁部40に対して間隔を隔てて配置される。なお、所定方向から見て、第1外縁部40の内側は凹部42である。すなわち、塞ぎ部70は、凹部42の底面から外方側に突出する。
【0051】
塞ぎ部70は、切れ目520の少なくとも一部を塞ぐ。言い換えると、突出部52は、切れ目520によって形成される開口を有する。前記開口は、突出部52としての環状体の外側と内側との間を貫通させる。前記開口は、突出部52としての環状体の外側から内側へのシール部材6の流路となるが、塞ぎ部70は、前記開口の少なくとも一部を塞ぐ。この構成では、第1筐体4と第2筐体5との組み付け工程において、切れ目520によって形成される開口がシール部材6の流路となっても、突出部52の外側から内側に流出するシール部材6が塞ぎ部70によって堰き止められる。このため、突出部52の外側にシール部材6が溜まり易くなる。言い換えると、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間からのシール部材6の基板領域A2への流出が抑制され、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間にシール部材6が滞留し易くなる。その結果、第1筐体4と第2筐体5との間のシール部材6によるシール効果を向上させることができる。
【0052】
塞ぎ部70は、第1筐体4のうち切れ目520と所定方向に対向する位置の少なくとも一部に配置される。これにより、第1筐体4に第2筐体5が固定された状態では、塞ぎ部70が切れ目520に配置される。すなわち、切れ目520が存在する領域では、塞ぎ部70が突出部52の代わりとして機能する。その結果、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間からのシール部材6の基板領域A2への流出をより抑制できる。
【0053】
塞ぎ部70は、第1平坦面41と直交し、かつ、切れ目520を介して突出部52の外側を向く面70aを有する。これにより、容易に、シール部材6を堰き止める機能を塞ぎ部70に持たせることができる。
【0054】
塞ぎ部70の面70aは、所定方向から見て、切れ目520と平行である。言い換えると、塞ぎ部70は、所定方向から見て、切れ目520と平行な面70aを有する。具体的には、塞ぎ部70の面70aは、所定方向から見て、切れ目520のうち突出部52が延びる方向の一方端521と他方端522とを結ぶ線と平行である(
図11参照)。この構成では、シール部材6の流出方向に対して塞ぎ部70の面70aが垂直に配置された状態になるため、突出部52の外側から内側へのシール部材6の基板領域A2への流出をより抑制できる。
図11では、シール部材6の流出方向に符号SDを付す。
【0055】
塞ぎ部70の少なくとも一部は、第1平坦面41よりも外方側に突出する。具体的には、塞ぎ部70の面70aの外方側の端は、第1平坦面41よりも外方側に位置する。これにより、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間から基板領域A2に向かって流出するシール部材6が塞ぎ部70を乗り越えることを抑制できる。その結果、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間からのシール部材6の基板領域A2への流出をより抑制できる。
【0056】
なお、基板領域A2には、バスバー保持部72が配置される。すなわち、所定方向から見て、第1外縁部40の内側には、バスバー保持部72が配置される。仮に、切れ目520が存在しなければ、バスバー保持部72の一部が突出部52と接触することにより、第1筐体4に対する第2筐体5の取り付けが困難となる。このため、突出部52は、所定方向から見て、一部に切れ目520を有する環状体とされる。切れ目520は、バスバー保持部72を逃がす部分となる。
【0057】
ここで、バスバー保持部72を逃がすために突出部52に切れ目520を形成する構成では、バスバー保持部72の一部が切れ目520に配置された状態となる。そこで、バスバー保持部72の一部が塞ぎ部70として用いられる。すなわち、塞ぎ部70は、バスバー保持部72の一部である。これにより、塞ぎ部70として機能する専用の部材を別途設ける必要がない。すなわち、モータユニット100の部品点数が増加することを抑制できる。
【0058】
バスバー保持部72は、配置部420に配置される。配置部420は、所定方向から見て、第1外縁部40の内側に配置される。なお、凹部42は、第1外縁部40の内側に位置する。すなわち、第1筐体4は、塞ぎ部70が配置される配置部420を凹部42に有する。そして、配置部420は、凹部42の底面から外方側に突出する。この構成では、バスバー保持部72を配置部420に配置することにより、容易に、塞ぎ部70を第1平坦面41よりも外方側に突出した状態にできる。
【0059】
<4-2.変形例>
図12は、変形例に係るシール構造を示す模式図である。
図12は、第1筐体4と第2筐体5との間のうち切れ目520が存在する領域の模式図である。
【0060】
変形例では、第1筐体4に配置される塞ぎ部400を備える。塞ぎ部400は、切れ目520の少なくとも一部を塞ぐ。
【0061】
ここで、変形例では、塞ぎ部400は、第1筐体4と同一部材である。具体的には、第1筐体4の一部であって凹部42の底面から外方側に突出した部分が塞ぎ部400とされる。言い換えると、塞ぎ部400は、第1筐体4に対して後付けされたものではない。さらに言い換えると、塞ぎ部400は、第1筐体4に一体的に形成された部分である。
【0062】
変形例では、突出部52の外側から内側に流出するシール部材6が塞ぎ部400によって堰き止められる。このため、変形例では、上記実施形態と同様、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間からのシール部材6の基板領域A2への流出が抑制され、第1平坦面41と第2平坦面51との隙間にシール部材6が滞留し易くなる。その結果、第1筐体4と第2筐体5との間のシール部材6によるシール効果を向上させることができる。
【0063】
また、変形例では、塞ぎ部400を有する部材の第1筐体4への取り付けが不要であるため、モータユニット100の製造工程を簡略化できる。
【0064】
<5.その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態は適宜任意に組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、たとえば、自動車などの車両のハンドル操作の補助に用いられる電動式パワーステアリング装置に利用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 モータ
2 基板
3 筐体
4 第1筐体
5 第2筐体
6 シール部材
7 バスバーユニット
11 ロータ
12 ステータ
40 第1外縁部(外縁部)
41 第1平坦面
42 凹部
51 第2平坦面
52 突出部
70、400 塞ぎ部
70a 面
71 バスバー
72 バスバー保持部
100 モータユニット
420 配置部
520 切れ目
A1 モータ領域
A2 基板領域
CA 中心軸