IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ソニー株式会社の特許一覧

特開2023-149744情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラム
<>
  • 特開-情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラム 図1
  • 特開-情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラム 図2
  • 特開-情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラム 図3
  • 特開-情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラム 図4
  • 特開-情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラム 図5
  • 特開-情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149744
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A61B5/107 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058493
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】後藤 有貴
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038VA06
4C038VB01
4C038VB29
4C038VC01
4C038VC05
(57)【要約】
【課題】姿勢改善を好適に促すことができる。
【解決手段】ユーザ状態推定部は、ユーザの測定を行うセンサ部による測定結果に基づいてユーザの状態を推定し、状態変化判定部は、ユーザ状態推定部による最新の推定結果と、以前の推定結果とを比較して、ユーザの状態に変化があるか否かを判定する。そして、フィードバック制御部は、ユーザの状態に変化があるという判定結果である場合に、その変化に応じて、ユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイスが動作するようにフィードバック制御を行う。本技術は、例えば、デスク上に配置される小型のフィードバックデバイスを有するユーザ姿勢フィードバックシステムに適用できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの状態を推定するユーザ状態推定部と、
前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定する状態変化判定部と、
前記ユーザの状態の変化の判定結果に応じたフィードバック制御を、前記ユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイスに対して行うフィードバック制御部と
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記ユーザ状態推定部は、前記ユーザの測定を行うセンサ部による測定結果に基づいて前記ユーザの状態を推定し、
前記状態変化判定部は、前記ユーザ状態推定部による最新の推定結果と、以前の推定結果とを比較して、前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定し、
前記フィードバック制御部は、前記ユーザの状態に変化があるという判定結果である場合に、その変化に応じて前記フィードバックデバイスが動作するようにフィードバック制御を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記フィードバックデバイスは、前記ユーザの姿勢の傾きに応じて傾く動作を行う
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記状態変化判定部は、前記ユーザの測定を行うセンサ部による測定結果に基づいて前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定し、
前記ユーザ状態推定部は、前記ユーザの状態に変化がないという判定結果である場合に、前記センサ部による測定結果に基づいて前記ユーザの動いていない部位または筋肉を推定し、
前記フィードバック制御部は、前記ユーザ状態推定部による推定結果に基づいて、前記フィードバックデバイスが動作するようにフィードバック制御を行う
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記フィードバックデバイスは、前記ユーザの部位または筋肉に対応する個所が点灯する動作を行う
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
情報処理装置が、
ユーザの状態を推定することと、
前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定することと、
前記ユーザの状態の変化の判定結果に応じたフィードバック制御を、前記ユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイスに対して行うことと
を含む情報処理方法。
【請求項7】
情報処理装置のコンピュータに、
ユーザの状態を推定することと、
前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定することと、
前記ユーザの状態の変化の判定結果に応じたフィードバック制御を、前記ユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイスに対して行うことと
を含む処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラムに関し、特に、姿勢改善を好適に促すことができるようにした情報処理装置および情報処理方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、デスクワークなどの業務に集中している会社員は、姿勢や表情など第三者の視点から自分自身の状態を把握することができないため、無意識のうちに姿勢が悪い状態になってしまうことがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、加齢に伴う体力および運動能力の変化や障害に際しての身体能力の把握するために、体格の異なる被検者がバランス能力を簡単にかつ正しく評価することができるバランス能力測定装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-209546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、鏡などで自分自身の姿勢を把握することによって姿勢改善を図ることができるが、この場合、視線を鏡に移す必要があるため、デスクワークの集中を阻害してしまうことが懸念される。また、一時的に姿勢を改善することができたとしても、その良好な姿勢を長期的に維持することは困難であると考えられる。そのため、デスクワークの集中を阻害することなく、良好な姿勢を維持することができるように、姿勢改善を促すことが求められている。
【0006】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、姿勢改善を好適に促すことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面の情報処理装置は、ユーザの状態を推定するユーザ状態推定部と、前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定する状態変化判定部と、前記ユーザの状態の変化の判定結果に応じたフィードバック制御を、前記ユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイスに対して行うフィードバック制御部とを備える。
【0008】
本開示の一側面の情報処理方法またはプログラムは、ユーザの状態を推定することと、前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定することと、前記ユーザの状態の変化の判定結果に応じたフィードバック制御を、前記ユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイスに対して行うこととを含む。
【0009】
本開示の一側面においては、ユーザの状態が推定され、ユーザの状態に変化があるか否かが判定され、ユーザの状態の変化の判定結果に応じたフィードバック制御が、ユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイスに対して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本技術を適用したユーザ姿勢フィードバックシステムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図2】第1のユーザ姿勢フィードバック処理について説明する図である。
図3】第1のユーザ姿勢フィードバック処理を説明するフローチャートである。
図4】第2のユーザ姿勢フィードバック処理について説明する図である。
図5】第2のユーザ姿勢フィードバック処理を説明するフローチャートである。
図6】本技術を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<ユーザ姿勢フィードバックシステムの構成例>
図1は、本技術を適用したユーザ姿勢フィードバックシステムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、ユーザ姿勢フィードバックシステム11は、ユーザ状態解析デバイス12およびフィードバックデバイス13を備えて構成される。例えば、ユーザ姿勢フィードバックシステム11は、ユーザ状態解析デバイス12がユーザの状態(例えば、ユーザの姿勢)を解析し、そのユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイス13がフィードバックするユーザ姿勢フィードバック処理を行うことができる。
【0014】
ユーザ状態解析デバイス12は、センサ部21、記憶部22、通信部23、および情報処理部24を備えて構成されており、フィードバックデバイス13は、通信部31、制御部32、および動作部33を備えて構成される。
【0015】
センサ部21は、ユーザの測定を行うための各種の測定手段を使用することができ、ユーザを測定した測定結果を取得して情報処理部24に供給する。例えば、センサ部21としては、後述する図2に示すようなカメラ41および座面センサ42、または、後述する図4に示すような背面センサ51および座面センサ52を使用することができる。
【0016】
記憶部22には、情報処理部24が行う情報処理によって取得される各種の情報、例えば、ユーザの姿勢を推定した推定結果などが記憶される。
【0017】
通信部23は、フィードバックデバイス13の通信部31との間で通信を行う。
【0018】
情報処理部24は、センサ部21から供給されるユーザの測定結果に基づいて、ユーザの状態の変化に応じたフィードバック制御を行う情報処理を実行する。図示するように、情報処理部24は、ユーザ状態推定部25、状態変化判定部26、およびフィードバック制御部27を有している。
【0019】
ユーザ状態推定部25は、センサ部21から供給されるユーザの測定結果に基づいて、ユーザの状態を推定することで推定結果を取得し、その推定結果を記憶部22および状態変化判定部26に供給する。例えば、ユーザ状態推定部25は、独自に学習したCNN(Convolutional Neural Network)や、オープンソースの学習済み骨格推定モデルなどを使用することにより、ユーザの状態を推定することができる。
【0020】
状態変化判定部26は、ユーザ状態推定部25から供給される最新の推定結果と、記憶部22に記憶されている以前の推定結果とを比較して、ユーザの状態に変化があるか否かを判定し、その判定結果をフィードバック制御部27に供給する。
【0021】
フィードバック制御部27は、状態変化判定部26から供給される判定結果に応じたフィードバック制御を行い、フィードバックデバイス13によってユーザの状態をフィードバックさせるための制御コマンドを、通信部23を介して送信する。なお、フィードバック制御部27によるフィードバック制御については、図2および図4を参照して後述する。
【0022】
通信部31は、ユーザ状態解析デバイス12の通信部23との間で通信を行う。
【0023】
制御部32は、通信部31を介してフィードバック制御部27から送信されてくる制御コマンドに従って、動作部33の動作を制御する。
【0024】
動作部33は、制御部32の制御に従って動作することで、ユーザの状態をフィードバックする。
【0025】
以上のようにユーザ姿勢フィードバックシステム11は構成されており、ユーザ状態解析デバイス12がユーザの状態を解析し、フィードバックデバイス13がユーザの状態をフィードバックすることにより、ユーザに対して姿勢改善を好適に促すことができる。これにより、例えば、ユーザは、自身の状態と、姿勢の改善方法を直感的に把握することができ、デスクワークの集中を阻害せずに自発的な行動変容によって姿勢を改善することができる。また、フィードバックデバイス13は、小型のデバイスであり、ユーザの意識に過度に介入せず、デスクワークの集中を阻害しないように構成されており、ユーザは、ユーザ姿勢フィードバックシステム11を継続して使用することができ、自発的な改善を習慣化することが可能である。
【0026】
<第1のユーザ姿勢フィードバック処理の処理例>
図2および図3を参照して、ユーザ姿勢フィードバックシステム11において行われる第1のユーザ姿勢フィードバック処理について説明する。
【0027】
第1のユーザ姿勢フィードバック処理は、ユーザの姿勢に変化が生じたときに、その変化に応じたフィードバックを行うことで、ユーザの姿勢が悪くなった場合に、ユーザに対して姿勢改善を促すことができる。例えば、基本的に一日中デスクワークをしていて、良い姿勢を維持しようという意思はあるが、集中していると猫背になってしまいがちで、それにより腰痛や肩こりがあるようなユーザによる利用が想定される。
【0028】
図2に示すように、第1のユーザ姿勢フィードバック処理では、センサ部21として、カメラ41および座面センサ42が使用され、フィードバックデバイス13として、コースター型デバイス43が使用される。カメラ41は、ユーザがデスクワークで使用するパーソナルコンピュータの画面の上方に配置され、座面センサ42は、ユーザがデスクワークで座る椅子の座面に配置される。コースター型デバイス43は、パーソナルコンピュータの横のデスク上に配置され、その上に載置されるコップを三次元的に傾かせることができるように構成される。
【0029】
まず、カメラ41により取得されたユーザの画像、および、座面センサ42により取得された座面の圧力分布が、ユーザの測定結果として情報処理部24に供給される。そして、ユーザ状態推定部25は、ユーザの画像および座面の圧力分布に基づいて、ユーザの姿勢を推定して推定結果を状態変化判定部26に供給する。例えば、ユーザ状態推定部25は、座面の圧力分布の画像を用いて、独自に学習したCNNによって座圧分布から特徴量を抽出する。同時に、ユーザ状態推定部25は、ユーザの正面または側面の画像からオープンソースの学習済み骨格推定モデルによって骨格位置を推定する。そして、ユーザ状態推定部25は、座圧分布から抽出した特徴量と、画像から推定された骨格位置とを変数として入力し、独自に構築した姿勢推定モデルによって姿勢を数種類に分類する。
【0030】
そして、状態変化判定部26は、ユーザ状態推定部25から推定結果として姿勢の種類が供給されると、記憶部22に記憶されている以前の推定結果(姿勢の種類)と比較して、ユーザの状態に変化があるか否かを判定する。例えば、状態変化判定部26は、最新の姿勢の種類と、以前の姿勢の種類とが一致しない場合、ユーザの状態に変化があると判定することができる。そして、状態変化判定部26は、ユーザの状態に変化がある場合、ユーザの状態に変化があるという判定結果をフィードバック制御部27に供給する。
【0031】
これにより、フィードバック制御部27は、ユーザ状態推定部25により推定されたユーザの体の傾きに合わせてコップを傾かせる制御コマンドを、通信部23を介して送信する。従って、制御部32は、フィードバック制御部27の制御コマンドに従って、ユーザの体の傾きに合わせてコップが傾くように動作部33の動作を制御し、動作部33は、その制御に従ってコップを傾かせるようにコースター型デバイス43を動作する。
【0032】
例えば、図2のAに示すように、ユーザの姿勢が良好である場合、コースター型デバイス43は、コップが垂直な状態となるように動作する。一方、図2のBに示すように、ユーザの姿勢が前屈みとなっている場合、コースター型デバイス43は、ユーザの体の傾きに合わせてコップが傾いた状態となるように動作する。
【0033】
このように、第1のユーザ姿勢フィードバック処理では、デスク上に配置されたコースター型デバイス43上のコップがユーザの体の傾きに合わせて傾くことによって、ユーザは、そのコップの動きが視界に入ることで姿勢が悪くなったことに気づくことができる。従って、ユーザは、コップの傾きを直すように体の傾きを修正すればよいというように、ユーザ自身で直感的に姿勢を修正するようになる。これにより、ユーザは、悪い姿勢をし続けることがなくなることで、例えば、腰痛などの改善を図ることができ、さらに定期的に姿勢を変化させるようになることで、体の凝りなども解消されることが期待される。
【0034】
また、ユーザ姿勢フィードバックシステム11は、小型のコースター型デバイス43をデスク上に配置するだけでよく、デスクワークの集中を阻害するようなフィードバックを与えるものではない。このため、ユーザは、ユーザ姿勢フィードバックシステム11を気軽に使用し続けることができ、ユーザ自身で姿勢を修正する習慣が身につくことや、最終的には無意識で良い姿勢を維持できるようにすること、姿勢を維持する筋力がつくこと、立位でも良い姿勢を維持できるようになることなどが期待される。
【0035】
図3は、第1のユーザ姿勢フィードバック処理について説明するフローチャートである。
【0036】
ステップS11において、センサ部21によるユーザの測定が行われる。例えば、カメラ41が、ユーザの体の正面または側面を撮像して画像を取得し、座面センサ42が、座面の圧力分布を取得する。
【0037】
ステップS12において、ユーザ状態推定部25は、ステップS11でカメラ41により取得されたユーザの画像および座面センサ42により取得された座面の圧力分布に基づいて、ユーザの状態を推定し、その推定結果を状態変化判定部26に供給する。
【0038】
ステップS13において、状態変化判定部26は、ステップS12におけるユーザ状態推定部25の推定結果に従って、ユーザの状態に変化があるか否かを判定する。
【0039】
ステップS13において、状態変化判定部26がユーザの状態に変化があると判定した場合、処理はステップS14に進み、フィードバック制御部27は、その変化に応じたフィードバック制御を行う。例えば、フィードバック制御部27は、通信部23を介して、ユーザの体の傾きに合わせてコップを傾かせる制御コマンドを送信する。これにより、図2を参照して説明したように、コースター型デバイス43上のコップがユーザの体の傾きに合わせて傾くようなフィードバックが行われる。
【0040】
ステップS14の処理後、または、ステップS13でユーザの状態に変化がないと判定された場合、処理はステップS15に進み、所定の時間(例えば、10秒間)だけ処理が待機された後、処理はステップS16に進む。
【0041】
ステップS16において、情報処理部24は、処理を中止するか否かを判定する。例えば、情報処理部24は、ユーザによる中止操作が行われた場合や、カメラ41による撮像範囲からユーザが移動した場合などには、処理を中止すると判定する。
【0042】
ステップS16において、情報処理部24が、処理を中止しないと判定した場合、処理はステップS11に戻り、以下、同様の処理が繰り返して行われる。一方、ステップS16において、情報処理部24が、処理を中止すると判定した場合、処理はステップS17に進む。
【0043】
ステップS17において、フィードバック制御部27が、フィードバックデバイス13に対するフィードバックを初期状態に戻すように制御を行った後、処理は終了される。これにより、例えば、コースター型デバイス43は、コップを垂直な状態として処理が終了される。
【0044】
<第2のユーザ姿勢フィードバック処理の処理例>
図4および図5を参照して、ユーザ姿勢フィードバックシステム11において行われる第2のユーザ姿勢フィードバック処理について説明する。
【0045】
第2のユーザ姿勢フィードバック処理では、ユーザの姿勢に変化が生じていないときに、動いていない部位または筋肉を通知するフィードバックを行うことで、ユーザに対して、その部位または筋肉を意識的に動かすような姿勢改善を促すことができる。例えば、基本的に一日中デスクワークをしていて、集中すると長時間同じ体勢をし続けてしまい、体が凝ってしまうのに伴って腰痛などの体の不調に悩まされているようなユーザによる利用が想定される。
【0046】
図4に示すように、第2のユーザ姿勢フィードバック処理では、センサ部21として、背面センサ51および座面センサ52が使用され、フィードバックデバイス13として、人型デバイス53が使用される。背面センサ51は、ユーザがデスクワークで座る椅子の背面に配置され、座面センサ52は、ユーザがデスクワークで座る椅子の座面に配置される。人型デバイス53は、図2に示したコースター型デバイス43と同様に、パーソナルコンピュータの横のデスク上に配置され、三次元的に、その内部の所望個所が点灯することができるよう構成される。
【0047】
まず、図4のAに示すように、背面センサ51により取得された背面の圧力分布、および、座面センサ42により取得された座面の圧力分布が、ユーザの測定結果として情報処理部24に供給される。そして、状態変化判定部26は、背面および座面の圧力分布に基づいて、ユーザの状態に変化があるか否かを判定する。例えば、状態変化判定部26は、背面および座面の圧力分布からエッジ検出により体の触れている範囲のみを切り取り、切り取った範囲をセグメント化して、全てのセグメントにおいて閾値以上の圧力がかかっているセグメントを高圧セグメントとし、閾値以上の圧力がかかっていないセグメントを低圧セグメントとする。そして、状態変化判定部26は、いずれかのセグメントが高圧セグメントのまま一定時間経過した場合、ユーザの状態に変化がない(即ち、高圧状態が持続されている)と判定する。
【0048】
そして、ユーザ状態推定部25は、ユーザの状態に変化がない高圧セグメントと判定された個所の体に対する二次元での相対位置(例えば、座面であれば臀部から大腿部内の位置、背面であれば後背部内での位置)を圧力分布から算出し、その部分に位置する筋肉を特定する。なお、ユーザ状態推定部25は、ユーザの状態に変化がない高圧セグメントが座面および背面の両方に存在する場合には、図4のBに示すように、それぞれの高圧セグメントから直交した二面での座標を結んだ範囲の筋肉を推定する。
【0049】
これにより、フィードバック制御部27は、ユーザ状態推定部25により推定された筋肉に対応する人型デバイス53の個所を点灯させる制御コマンドを、通信部23を介して送信する。従って、制御部32は、フィードバック制御部27の制御コマンドに従って、人型デバイス53において、その筋肉に対応する個所を点灯するように動作部33の動作を制御し、動作部33は、その個所が点灯するように人型デバイス53を動作する。
【0050】
例えば、図4のCに示す例では、左側に示す人型デバイス53では胸筋が点灯し、右側に示す人型デバイス53では大腿筋が点灯している状態が示されている。
【0051】
このように、第2のユーザ姿勢フィードバック処理では、点灯した人型デバイス53が視界に入ることで、ユーザは、姿勢が悪くなったことに気づくことができ、その点灯により示される部位または筋肉を意識的に動かすストレッチをしたり、立ち上がったりするようになる。従って、ユーザは、長時間同じ体勢をとらないようにすることで、体の凝りも解消され、それに伴い腰痛なども改善されることが期待される。
【0052】
また、ユーザ姿勢フィードバックシステム11は、小型の人型デバイス53をデスク上に配置するだけでよく、デスクワークの集中を阻害するようなフィードバックを与えるものではない。このため、ユーザは、ユーザ姿勢フィードバックシステム11を気軽に使用し続けることができ、ユーザ自身でストレッチをする習慣がつくことや、体の不調が解消されることなどが期待される。
【0053】
図5は、第2のユーザ姿勢フィードバック処理について説明するフローチャートである。
【0054】
ステップS21において、センサ部21によるユーザの測定が行われる。例えば、背面センサ51が、背面の圧力分布を取得し、座面センサ52が、座面の圧力分布を取得する。
【0055】
ステップS22において、状態変化判定部26は、ステップS21で背面センサ51により取得された背面の圧力分布および座面センサ52により取得された座面の圧力分布に基づいて、ユーザの状態に変化があるか否かを判定する。
【0056】
ステップS22において、状態変化判定部26がユーザの状態に変化があると判定した場合、処理はステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返して行われる。一方、ステップS22において、状態変化判定部26がユーザの状態に変化がないと判定した場合、処理はステップS23に進む。
【0057】
ステップS23において、ユーザ状態推定部25は、ステップS21で背面センサ51により取得された背面の圧力分布および座面センサ52により取得された座面の圧力分布に基づいて、ユーザの状態を推定する。そして、ユーザ状態推定部25は、その推定結果を、即ち、ユーザの状態に変化がない高圧セグメントから推定される部分に位置する筋肉を、フィードバック制御部27に通知する。
【0058】
ステップS24において、フィードバック制御部27は、ステップS23でユーザ状態推定部25により推定された筋肉に応じたフィードバック制御を行う。例えば、フィードバック制御部27は、通信部23を介して、人型デバイス53において、ユーザ状態推定部25により推定された筋肉に対応する個所を点灯させる制御コマンドを送信する。これにより、図4のCを参照して説明したように、人型デバイス53における対応する個所が点灯するようなフィードバックが行われる。
【0059】
ステップS25において、情報処理部24は、処理を中止するか否かを判定する。例えば、情報処理部24は、ユーザによる中止操作が行われた場合や、座面センサ52による圧力分布が検出されなくなった場合などには、処理を中止すると判定する。
【0060】
ステップS25において、情報処理部24が、処理を中止しないと判定した場合、処理はステップS21に戻り、以下、同様の処理が繰り返して行われる。一方、ステップS25において、情報処理部24が、処理を中止すると判定した場合、処理はステップS26に進む。
【0061】
ステップS26において、フィードバック制御部27が、フィードバックデバイス13に対するフィードバックを初期状態に戻すように制御を行った後、処理は終了される。これにより、例えば、人型デバイス53は、点灯させていた個所を消灯させた状態として処理が終了される。
【0062】
以上のように、ユーザ姿勢フィードバックシステム11が第1および第2のユーザ姿勢フィードバック処理を行うことによって、ユーザの周辺視野に設置したコースター型デバイス43または人型デバイス53で、ユーザの状態を三次元的に表現するようなフィードバックを与えることができる。これにより、ユーザは、自身の状態と、姿勢の改善方法を直感的に把握することができ、デスクワークの集中を阻害せずに自発的な行動変容によって姿勢を改善することができる。
【0063】
即ち、ユーザ姿勢フィードバックシステム11は、ユーザの集中を阻害しない程よい意識への介入が実現されるため、過度に意識に介入するフィードバックを与えられることにより集中力が欠如してしまうことや、使用を継続するのが困難になることなどを回避することができる。また、ユーザ姿勢フィードバックシステム11は、ユーザの行動変容を促す効果的なフィードバックを実現することで、ユーザが気づかないことや無視することなどがなく、ユーザ自身の状態を直感的に把握できるようなフィードバックを与えることができる。
【0064】
<コンピュータの構成例>
次に、上述した一連の処理(情報処理方法)は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0065】
図6は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0066】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク105やROM103に予め記録しておくことができる。
【0067】
あるいはまた、プログラムは、ドライブ109によって駆動されるリムーバブル記録媒体111に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体111は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。ここで、リムーバブル記録媒体111としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
【0068】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体111からコンピュータにインストールする他、通信網や放送網を介して、コンピュータにダウンロードし、内蔵するハードディスク105にインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することができる。
【0069】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)102を内蔵しており、CPU102には、バス101を介して、入出力インタフェース110が接続されている。
【0070】
CPU102は、入出力インタフェース110を介して、ユーザによって、入力部107が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM(Read Only Memory)103に格納されているプログラムを実行する。あるいは、CPU102は、ハードディスク105に格納されたプログラムを、RAM(Random Access Memory)104にロードして実行する。
【0071】
これにより、CPU102は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU102は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース110を介して、出力部106から出力、あるいは、通信部108から送信、さらには、ハードディスク105に記録等させる。
【0072】
なお、入力部107は、キーボードや、マウス、マイク等で構成される。また、出力部106は、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される。
【0073】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
【0074】
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0075】
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0076】
また、例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
【0077】
また、例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0078】
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行することができる。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0079】
また、例えば、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0080】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
【0081】
なお、本明細書において複数説明した本技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0082】
<構成の組み合わせ例>
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
ユーザの状態を推定するユーザ状態推定部と、
前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定する状態変化判定部と、
前記ユーザの状態の変化の判定結果に応じたフィードバック制御を、前記ユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイスに対して行うフィードバック制御部と
を備える情報処理装置。
(2)
前記ユーザ状態推定部は、前記ユーザの測定を行うセンサ部による測定結果に基づいて前記ユーザの状態を推定し、
前記状態変化判定部は、前記ユーザ状態推定部による最新の推定結果と、以前の推定結果とを比較して、前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定し、
前記フィードバック制御部は、前記ユーザの状態に変化があるという判定結果である場合に、その変化に応じて前記フィードバックデバイスが動作するようにフィードバック制御を行う
上記(1)に記載の情報処理装置。
(3)
前記フィードバックデバイスは、前記ユーザの姿勢の傾きに応じて傾く動作を行う
上記(2)に記載の情報処理装置。
(4)
前記状態変化判定部は、前記ユーザの測定を行うセンサ部による測定結果に基づいて前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定し、
前記ユーザ状態推定部は、前記ユーザの状態に変化がないという判定結果である場合に、前記センサ部による測定結果に基づいて前記ユーザの動いていない部位または筋肉を推定し、
前記フィードバック制御部は、前記ユーザ状態推定部による推定結果に基づいて、前記フィードバックデバイスが動作するようにフィードバック制御を行う
上記(1)に記載の情報処理装置。
(5)
前記フィードバックデバイスは、前記ユーザの部位または筋肉に対応する個所が点灯する動作を行う
上記(4)に記載の情報処理装置。
(6)
情報処理装置が、
ユーザの状態を推定することと、
前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定することと、
前記ユーザの状態の変化の判定結果に応じたフィードバック制御を、前記ユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイスに対して行うことと
を含む情報処理方法。
(7)
情報処理装置のコンピュータに、
ユーザの状態を推定することと、
前記ユーザの状態に変化があるか否かを判定することと、
前記ユーザの状態の変化の判定結果に応じたフィードバック制御を、前記ユーザの状態を三次元表現するフィードバックデバイスに対して行うことと
を含む処理を実行させるためのプログラム。
【0083】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0084】
11 ユーザ姿勢フィードバックシステム, 12 ユーザ状態解析デバイス, 13 フィードバックデバイス, 21 センサ部, 22 記憶部, 23 通信部, 24 情報処理部, 25 ユーザ状態推定部, 26 状態変化判定部, 27 フィードバック制御部, 31 通信部, 32 制御部, 33 動作部, 41 カメラ, 42 座面センサ, 43 コースター型デバイス, 51 背面センサ, 52 座面センサ, 53 人型デバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6