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特開2023-149750強化繊維搬送装置、強化繊維供給用スタンド、射出成形装置、強化繊維搬送方法、及び強化繊維供給方法
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  • 特開-強化繊維搬送装置、強化繊維供給用スタンド、射出成形装置、強化繊維搬送方法、及び強化繊維供給方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149750
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】強化繊維搬送装置、強化繊維供給用スタンド、射出成形装置、強化繊維搬送方法、及び強化繊維供給方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/18 20060101AFI20231005BHJP
   B29C 45/62 20060101ALI20231005BHJP
   B29C 70/06 20060101ALI20231005BHJP
   B29C 70/42 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B29C45/18
B29C45/62
B29C70/06
B29C70/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058503
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】國弘 大介
(72)【発明者】
【氏名】梅田 光秀
【テーマコード(参考)】
4F205
4F206
【Fターム(参考)】
4F205AB25
4F205AD16
4F205HA12
4F205HA34
4F205HA36
4F205HB01
4F205HF05
4F205HK23
4F205HK29
4F206AB11
4F206AB25
4F206AL16
4F206AR02
4F206JA07
4F206JF02
4F206JF12
4F206JF23
4F206JL02
4F206JN01
(57)【要約】
【課題】連続的に引き出される強化繊維により構成される強化繊維体(例えば、円柱状に巻かれた強化繊維であるロービングにより構成されるロービング体)を複数用いる場合、各々の強化繊維体から引き出される強化繊維(複数)を作業員が搬送することなく、効率よく射出成形装置まで搬送することができる強化繊維搬送装置等を提供する。
【解決手段】強化繊維搬送装置90であって、連続的に引き出される強化繊維により構成される強化繊維体M近傍に一方の端部91aが配置され、射出成形に用いられる加熱シリンダ17に形成された強化繊維投入口近傍に他方の端部91bが配置される強化繊維搬送管路91と、前記強化繊維搬送管路内に前記一方の端部から前記他方の端部に向かう空気流を発生させる空気流発生部92と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的に引き出される強化繊維により構成される強化繊維体近傍に一方の端部が配置され、射出成形に用いられる加熱シリンダに形成された強化繊維投入口近傍に他方の端部が配置される強化繊維搬送管路と、
前記強化繊維搬送管路内に前記一方の端部から前記他方の端部に向かう空気流を発生させる空気流発生部と、を備える強化繊維搬送装置。
【請求項2】
前記空気流発生部は、前記強化繊維搬送管路に設けられている請求項1に記載の強化繊維搬送装置。
【請求項3】
複数の前記強化繊維体に対応して複数の前記強化繊維搬送管路を備える請求項1に記載の強化繊維搬送装置。
【請求項4】
前記強化繊維投入口の上方に配置され、電気錠付きの扉が設けられた強化繊維供給用ボックスをさらに備え、
前記強化繊維搬送管路の前記他方の端部は、前記強化繊維供給用ボックス内に配置されている請求項1に記載の強化繊維搬送装置。
【請求項5】
前記強化繊維体は、円柱状に巻かれた前記強化繊維であるロービングにより構成されるロービング体である請求項1に記載の強化繊維搬送装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の強化繊維搬送装置と、
前記強化繊維体が載置される載置台と、
前記載置台を支持するスタンド本体と、を備えた強化繊維供給用スタンド。
【請求項7】
前記空気流発生部は前記スタンド本体に取り付けられている請求項6に記載の強化繊維供給用スタンド。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の強化繊維搬送装置を備えた射出成形装置。
【請求項9】
請求項6又は7に記載の強化繊維供給用スタンドを備えた射出成形装置。
【請求項10】
連続的に引き出される強化繊維により構成される強化繊維体近傍に一方の端部が配置され、射出成形に用いられる加熱シリンダに形成された強化繊維投入口近傍に他方の端部が配置される強化繊維搬送管路内に前記一方の端部から前記他方の端部に向かう空気流を発生させる工程と、
前記一方の端部に前記強化繊維体から引き出された前記強化繊維を近づけ当該近づけた強化繊維を前記空気流により前記他方の端部まで搬送する工程と、を備える強化繊維搬送方法。
【請求項11】
連続的に引き出される強化繊維により構成される強化繊維体近傍に一方の端部が配置され、射出成形に用いられる加熱シリンダに形成された強化繊維投入口近傍に他方の端部が配置される強化繊維搬送管路内に前記一方の端部から前記他方の端部に向かう空気流を発生させる工程と、
前記一方の端部に前記強化繊維体から引き出された前記強化繊維を近づけ当該近づけた強化繊維を前記空気流により前記他方の端部まで搬送する工程と、
前記他方の端部まで搬送された前記強化繊維を前記強化繊維投入口から投入する工程と、を備える強化繊維供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、強化繊維搬送装置、強化繊維供給用スタンド、射出成形装置、強化繊維搬送方法、及び強化繊維供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上流側(ホッパ)から供給される熱可塑性樹脂(複数の樹脂ペレット)を加熱シリンダからの伝熱及びスクリュの回転によるせん断発熱により溶融させつつ下流側に移送し、当該移送されてくる溶融樹脂と途中から(加熱シリンダに形成された繊維供給口から)供給される添加材である強化繊維とを混練し、この強化繊維が混練された溶融樹脂を金型内に射出することにより成形品を成形(直接成形)する射出成形装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-142390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1においては、連続的に引き出される強化繊維により構成される強化繊維体(例えば、円柱状に巻かれた強化繊維であるロービングにより構成されるロービング体)を複数用いる場合、各々の強化繊維体から引き出される強化繊維(複数)を作業員が搬送することなく、効率よく射出成形装置まで搬送することについて一切言及されておらず、この点で改善の余地がある。
【0005】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態に係る強化繊維搬送装置は、連続的に引き出される強化繊維により構成される強化繊維体近傍に一方の端部が配置され、射出成形に用いられる加熱シリンダに形成された強化繊維投入口近傍に他方の端部が配置される強化繊維搬送管路と、前記強化繊維搬送管路内に前記一方の端部から前記他方の端部に向かう空気流を発生させる空気流発生部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
前記一実施の形態によれば、連続的に引き出される強化繊維により構成される強化繊維体(例えば、円柱状に巻かれた強化繊維であるロービングにより構成されるロービング体)を複数用いる場合、各々の強化繊維体から引き出される強化繊維(複数)を効率よく射出成形装置まで搬送することができる強化繊維搬送装置、強化繊維供給用スタンド、射出成形装置、強化繊維搬送方法、及び強化繊維供給方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】射出成形装置1、強化繊維供給用スタンド80、強化繊維搬送装置90の概略図である。
図2】実施の形態に係る射出成形装置1の全体構成を示す図である。
図3】加熱シリンダ17の斜視図である。
図4】加熱シリンダ17に形成された添加材投入口17b近傍の拡大図(概略図)である。
図5】強化繊維供給用スタンド80の上面図(概略図)である。
図6】空気流発生部92の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。但し、以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。
【0010】
まず、射出成形装置1、強化繊維供給用スタンド80、強化繊維搬送装置90の概略について説明する。
【0011】
図1は、射出成形装置1、強化繊維供給用スタンド80、強化繊維搬送装置90の概略図である。
【0012】
図1に示すように、射出成形装置1は、高さL1の大型射出成形機であり、ベッド14に設置されている。L1は例えば2.7mである。
【0013】
射出成形装置1は、上流側(ホッパ20)から供給される熱可塑性樹脂(複数の樹脂ペレット)を加熱シリンダ17からの伝熱及び加熱シリンダ17の内部に設けられた直接成形用スクリュ18の回転によるせん断発熱により溶融させつつ下流側に移送し、当該移送されてくる溶融樹脂と途中から(加熱シリンダ17に形成された添加材投入口17bから)投入される添加材とを混練し、この添加材が混練された溶融樹脂を金型(型締めされた固定金型21及び可動金型25)内に射出することにより成形品(添加材が均一に分散された状態の成形品)を成形(直接成形)する装置である。なお、図1中、直接成形用スクリュ18、添加材投入口17b、固定金型21及び可動金型25は省略されている。
【0014】
本実施の形態では、添加材としてロービング体Mから連続的に引き出される強化繊維であるロービング(例えば、ガラス繊維、炭素繊維)を用いる。ロービング体Mは、円柱状に巻かれた強化繊維であるロービングにより構成される強化繊維体であり、一般的に、ロービングとして流通している。ロービング体Mは、強化繊維供給用スタンド80に載置される。
【0015】
強化繊維供給用スタンド80は、射出成形装置1から距離L2離れた側方に配置されている。L2は例えば3.0mである。
【0016】
強化繊維搬送装置90は、ロービング体M近傍に一方の端部91aが配置され、加熱シリンダ17に形成された添加材投入口17b近傍に他方の端部91bが配置された強化繊維搬送管路91により、一方の端部91aから他方の端部91bまでロービング体Mから引き出されたロービングmを搬送する。他方の端部91bまで搬送されたロービングmは、作業者により把持され添加材投入口17bから投入される。
【0017】
<射出成形装置の全体構成>
次に、図2を参照して、実施の形態に係る射出成形装置1(射出成形機)の全体構成について説明する。図2は、実施の形態に係る射出成形装置1の全体構成を示す図である。
【0018】
図2に示すように、射出成形装置1は、可塑化ユニット12(射出装置)、型締ユニット13を備えている。
【0019】
<可塑化ユニットの構成>
可塑化ユニット12は、主に、加熱シリンダ17、加熱シリンダ17の内部に設けられた直接成形用スクリュ18(以下、単にスクリュ18と呼ぶ)、熱可塑性樹脂(複数の樹脂ペレット)を供給するホッパ20を備えている。
【0020】
図3は、加熱シリンダ17の斜視図である。
【0021】
図3に示すように、加熱シリンダ17は、筒型のシリンダである。加熱シリンダ17の上流側には熱可塑性樹脂(複数の樹脂ペレット)が投入される樹脂投入口17aが形成され、加熱シリンダ17の上流側と下流側との間の中間部には添加材が投入される添加材投入口17bが形成されている。また、加熱シリンダ17の下流側の端部には、添加材が混練された溶融樹脂が射出される射出ノズル19が設けられている。
【0022】
図2に示すように、可塑化ユニット12は、スクリュ18の回転及び軸方向の進退を制御する射出用サーボモータ等を含む機構部16、機構部16を制御(射出工程における射出制御や保圧制御、計量工程における背圧制御等)する制御装置30を備えている。なお、制御装置30は、後述する型締シリンダ23(油圧装置)や型開閉用サーボモータ28も制御する。なお、図2中、符号14が示すのは、可塑化ユニット12及び型締ユニットが設置されたベッドである。符号15が示すのは、ベッド14上に設置された基台である。機構部16は、基台15上に設置されている。
【0023】
<型締ユニット13の構成>
図2に示すように、型締ユニット13は、固定金型21が取付けられた固定盤22、可動金型25が取付けられた可動盤26を備えている。固定盤22の四隅近傍には型締シリンダ23が配置されており、型締シリンダ23のロッドによってタイバ24が構成されている。タイバ24の外周の中間部から先端部にかけては溝状のハーフナット係止部24aが形成されている。型締シリンダ23は図示しない油圧装置に接続され、型締シリンダ23に送られる作動油の油圧は管路に設けられた圧力センサにより検出されて型締力の制御が行われる。
【0024】
可動盤26の四隅近傍に形成された貫通孔には前記タイバ24が挿通されている。可動盤26の背面側のタイバ24が挿通される貫通孔の周囲にはハーフナット27がそれぞれ設けられている。またベッド14上には、型開閉用サーボモータ28とボールねじ機構を備えた型開閉機構29が設けられ、前記型開閉機構29により可動盤26が前記ベッド14上を型開閉方向に移動可能となっている。なお、図2中、符号31が示すのは操作装置、符号32が示すのは操作装置31の表示装置、符号40が示すのは各種操作キー、符号41が示すのは各種スイッチ、符号44が示すのは表示装置32の各画面、符号53が示すのは操作部である。
【0025】
<型締ユニットの動作>
まず、型開閉用サーボモータ28を制御することにより可動盤26を移動させて固定金型21を可動金型25に当接させる。次に、タイバ24のハーフナット係止部24aとハーフナット27とを係合させることにより、可動盤26をタイバ24に固定する。次に、型締シリンダ23を制御することにより、固定金型21と可動金型25とを締め付ける。このようにして型締めを行った後に、可塑化ユニット12から金型(型締めされた固定金型21及び可動金型25)のキャビティ内に溶融樹脂(添加材が混練された溶融樹脂)を射出して成形品(添加材が均一に分散された状態の成形品)を成形する。
【0026】
<強化繊維供給用ボックスの構成>
図4は、加熱シリンダ17に形成された添加材投入口17b近傍の拡大図(概略図)である。
【0027】
図1図4に示すように、加熱シリンダ17に形成された添加材投入口17b(本開示の強化繊維投入口の一例)の上方には、電気錠(インターロック)付きの扉51が設けられた強化繊維供給用ボックス50が配置されている。扉51(電気錠)は、例えば、スクリュ18が駆動されている間は開かないように制御装置30により制御される。強化繊維供給用ボックス50内には、強化繊維搬送管路91の他方の端部91bが配置されている。作業者は、扉51を開けることにより、後述するように強化繊維搬送管路91の他方の端部91bまで搬送されたロービングmにアクセスし、当該ロービングmを把持し添加材投入口17bから投入する。
【0028】
<強化繊維供給用スタンド80の構成>
図5は、強化繊維供給用スタンド80の上面図(概略図)である。
【0029】
図1図5に示すように、強化繊維供給用スタンド80の各段(ロービング体載置台84a、84b)には、ロービング体M(複数)が載置される。
【0030】
図1に示すように、強化繊維供給用スタンド80は、縦フレーム81及び横フレーム82を組み合わせて構成されたスタンド本体83、スタンド本体83に支持されたロービング体載置台84a、84b、スタンド本体83に設けられロービング体Mから引き出されたロービングmが通されるアイボルト85を備えている。
【0031】
<強化繊維搬送装置90の構成>
図1図4に示すように、強化繊維搬送装置90は、ロービング体M近傍に一方の端部91aが配置され、加熱シリンダ17に形成された添加材投入口17b近傍に他方の端部91bが配置される強化繊維搬送管路91、強化繊維搬送管路91内に一方の端部91aから他方の端部91bに向かう空気流を発生させる空気流発生部92を備えている。なお、強化繊維搬送管路91及び空気流発生部92の組み合わせは、ロービング体M(複数)に対応して複数組設けられている。各々のロービング体Mから引き出されたロービングmは各々の対応する強化繊維搬送管路91により搬送される。
【0032】
強化繊維搬送管路91は、例えば、金属製の管路で、途中3箇所の折れ曲がり部C1~C3が形成されている。強化繊維搬送管路91の一方の端部91aには、空気流発生部92が設けられている。空気流発生部92は、スタンド本体83に取り付けられている。
【0033】
図6は、空気流発生部92の一例である。
【0034】
空気流発生部92は、プラスチック製又は金属製の円筒形状の部材である。図6に示すように、空気流発生部92には、一方の端面92aと他方の端面92bとを貫通し強化繊維搬送管路91に連通する第1貫通穴H1、側面92cと第1貫通穴H1の内壁とを貫通し第1貫通穴H1に連通する第2貫通穴H2が形成されている。第2貫通穴H2には空気を供給するエア源60(例えば、エアポンプ)が接続されている。なお、強化繊維供給用スタンド80等が設置された工場内にエアを供給する配管が設置されている場合、この配管をエア源60として用いてもよい。図6中、矢印AR1は、エア源60から供給される空気を表す。
【0035】
エア源60からの空気は、第2貫通穴H2を介して第1貫通穴H1に供給される。その際、第1貫通穴H1内におけるエア源60からの空気の供給方向は、第2貫通穴H2の内壁に設けられた空気流方向変更部材92dにより強化繊維搬送管路91の他方の端部91b側に向かうように方向付けられる。空気流方向変更部材92dは、第2貫通穴H2の内壁に固定される固定部92d1、固定部92d1から強化繊維搬送管路91側に傾斜した方向に延びる傾斜部92d2を含む。
【0036】
この空気流方向変更部材92dにより方向付けられた空気流により、第1貫通穴H1のうち第2貫通穴H2より上流側の部分(図6中左側部分)が低圧となる。その結果、第1貫通穴H1の入口側(図6中左側)に吸引力(図6中矢印AR2参照)が発生する。ロービング体Mから引き出されたロービングmは、この吸引力により第1貫通穴H1に吸い込まれる。
【0037】
以上のようにして、強化繊維搬送管路91内に一方の端部91aから他方の端部91bに向かう空気流が発生する。第1貫通穴H1に吸い込まれたロービングmは、この空気流により、強化繊維搬送管路91内を一方の端部91aから他方の端部91bまで搬送される。
【0038】
次に、ロービング体Mから引き出されたロービングmの搬送方法及び搬送されたロービングmの供給方法の一例について簡単に説明する。
【0039】
まず、エア源60を駆動させることにより、強化繊維搬送管路91内に一方の端部91aから他方の端部91bに向かう空気流を発生させる。これにより、第1貫通穴H1のうち第2貫通穴H2より上流側の部分(図6中左側部分)が低圧となる結果、第1貫通穴H1の入口側(図6中左側)に吸引力(図6中矢印AR2参照)が発生する。
【0040】
次に、作業者が、ロービング体Mから引き出されアイボルト85を通されたロービングmを当該ロービング体Mに対応する強化繊維搬送管路91の一方の端部91a(空気流発生部92)に近づける。
【0041】
この近づけたロービングmは、上記のように第1貫通穴H1の入口側(図6中左側)に発生した吸引力により第1貫通穴H1に吸い込まれる。そして、この吸い込まれたロービングmは、上記のように強化繊維搬送管路91内に発生する一方の端部91aから他方の端部91bに向かう空気流により、強化繊維搬送管路91内を一方の端部から他方の端部まで搬送される。以上の作業は、ロービング体Mごとに実行される。
【0042】
次に、作業者は、強化繊維供給用ボックス50の扉51を開き、強化繊維搬送管路91の他方の端部91bまで搬送されたロービングm(複数)を把持し添加材投入口17bから投入する。
【0043】
以上説明したように、実施の形態によれば、円柱状に巻かれた強化繊維であるロービングmにより構成されるロービング体Mを複数用いる場合、各々のロービング体Mから引き出されるロービングm(複数)を作業員が搬送することなく、効率よく射出成形装置1まで搬送することができる。
【0044】
その際、強化繊維搬送管路91及び空気流発生部92の組み合わせは、ロービング体M(複数)に対応して複数組設けられており、各々のロービング体Mから引き出されたロービングmは各々の対応する強化繊維搬送管路91により搬送されるため、各々のロービング体Mから引き出されたロービングmが搬送される過程において互いに絡まることが防止される。
【0045】
また、実施の形態によれば、各々の強化繊維搬送管路91の他方の端部91bが、加熱シリンダ17に形成された添加材投入口17b近傍に配置されているため、各々の強化繊維搬送管路91により搬送されるロービングmを効率よく把持し添加材投入口17bから投入することができる。
【0046】
また、実施の形態によれば、強化繊維搬送管路91の他方の端部91bは電気錠(インターロック)付きの扉51が設けられた強化繊維供給用ボックス50内に配置されているため、適切なタイミングで扉51を開け、強化繊維搬送管路91の他方の端部91bまで搬送されたロービングmにアクセスし、当該ロービングmを把持し添加材投入口17bから投入することができる。
【0047】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本開示は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0048】
1…射出成形装置
12…可塑化ユニット
13…型締ユニット
14…ベッド
15…基台
16…機構部
17…加熱シリンダ
17a…樹脂投入口
17b…添加材投入口
18…スクリュ(成形用スクリュ)
19…射出ノズル
20…ホッパ
21…固定金型
22…固定盤
23…型締シリンダ
24…タイバ
24a…ハーフナット係止部
25…可動金型
26…可動盤
27…ハーフナット
28…型開閉用サーボモータ
29…型開閉機構
30…制御装置
31…操作装置
32…表示装置
50…強化繊維供給用ボックス
51…扉
60…エア源
80…強化繊維供給用スタンド
81…縦フレーム
82…横フレーム
83…スタンド本体
84a…ロービング体載置台
84b…ロービング体載置台
85…アイボルト
90…強化繊維搬送装置
91…強化繊維搬送管路
91a…一方の端部
91b…他方の端部
92…空気流発生部
92a…一方の端面
92b…他方の端面
92c…側面
92d…空気流方向変更部材
H1…第1貫通穴
H2…第2貫通穴
M…ロービング体(強化繊維体)
m…ロービング(強化繊維)
図1
図2
図3
図4
図5
図6