(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149756
(43)【公開日】2023-10-13
(54)【発明の名称】力覚センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01L 5/16 20200101AFI20231005BHJP
【FI】
G01L5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058509
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】志田 亮
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA10
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
【課題】センサチップに接触する2部品の相対変位を小さくすることにより、センサチップの損傷のおそれを低減する。
【解決手段】力覚センサ装置は、センサチップと、センサチップに接触する複数の第1接触部を有する第1部材と、センサチップに接触する複数の第2接触部を有する第2部材と、を備え、平面視において、前記第2固定部は、前記第1固定部に重なる位置に配置され、前記第1固定部に対して固定されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の軸方向の少なくともひとつの変位を検知するセンサチップと、
前記センサチップと接触する複数の第1接触部を含み前記センサチップが載置されるセンサチップ実装部と、前記センサチップ実装部に連結された受力部と、前記センサチップ実装部を中心とする仮想の円の径方向において、前記センサチップ実装部から延びる第1梁と、前記第1梁に連結された第1固定部と、前記第1固定部を連結する第1連結部と、を有する第1部材と、
前記センサチップと接触する第2接触部と、前記第2接触部を支持する支持部と、前記支持部から延びる第2梁と、前記第2梁に連結された第2固定部と、を有する第2部材と、を備え、
平面視において、前記第2固定部は、前記第1固定部に重なる位置に配置され、前記第1固定部に対して固定されていることを特徴とする、力覚センサ装置。
【請求項2】
前記第1固定部の幅は、前記第1連結部よりも広く、
前記第1固定部の厚さは、前記第1梁の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の力覚センサ装置。
【請求項3】
平面視において、複数の前記第1固定部は、仮想の四角形の全ての角部に対応する位置にそれぞれ配置されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の力覚センサ装置。
【請求項4】
前記第1固定部から張り出す筒部を有し、
平面視において、前記第1固定部は、前記筒部よりも内側に張り出す固定面を含み、
前記第2部材は、前記径方向において前記筒部の内側に配置され、
前記第2固定部は、前記第1固定部の前記固定面に対して固定されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の力覚センサ装置。
【請求項5】
前記支持部は、
複数の前記第2梁と連結されるリングと、
前記リングから延び、端部から前記径方向の内側に屈曲され前記第2接触部を支持するアームと、を有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の力覚センサ装置。
【請求項6】
前記センサチップ実装部は、
前記受力部に近い位置に配置された底部と、
前記底部から張り出す筒部とを有し、
複数の前記第1接触部は、前記底部に設けられ、
前記センサチップは、前記底部及び前記筒部によって囲まれた凹部内に収容されている請求項5に記載の力覚センサ装置。
【請求項7】
前記センサチップ実装部の前記筒部及び前記底部には、前記アームが収容される第1スリットが形成されていることを特徴とする請求項6に記載の力覚センサ装置。
【請求項8】
前記センサチップ実装部の前記底部には、前記複数の第1接触部を囲むように形成された第2スリットが形成されている、請求項7に記載の力覚センサ装置。
【請求項9】
前記第2スリットは、前記第1スリットに交差するように形成されている請求項8に記載の力覚センサ装置。
【請求項10】
前記第2固定部は、前記第1固定部に対して溶接されることで固定されていることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の力覚センサ装置。
【請求項11】
前記第2固定部の前記第1固定部とは反対側の面には、溶接施工位置に沿って延在するガイド形状が形成されていることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の力覚センサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力覚センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金属からなる起歪体に複数の歪ゲージを貼り付け、外力が印加された際の歪みを電気信号に変換することで多軸の力を検出する力覚センサ装置が知られている。しかし、この力覚センサ装置は、歪ゲージを1枚ずつ手作業によって貼り付ける必要から、精度や生産性に問題があり、構造上小型化することが困難であった。
【0003】
一方、歪ゲージを歪み検出用のMEMSのセンサチップに置き換えることで、貼り合わせ精度の問題を解消し、かつ小型化を実現する力覚センサ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、センサチップに接触する2部品の相対変位を小さくすることにより、センサチップの損傷のおそれを低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
力覚センサ装置は、複数の軸方向の少なくともひとつの変位を検知するセンサチップと、
前記センサチップと接触する複数の第1接触部を含み前記センサチップが載置されるセンサチップ実装部と、前記センサチップ実装部に連結された受力部と、前記センサチップ実装部を中心とする仮想の円の径方向において、前記センサチップ実装部から延びる第1梁と、前記第1梁に連結された第1固定部と、前記第1固定部を連結する第1連結部と、を有する第1部材と、
前記センサチップと接触する第2接触部と、前記第2接触部を支持する支持部と、前記支持部から延びる第2梁と、前記第2梁に連結された第2固定部と、を有する第2部材と、を備え、
平面視において、前記第2固定部は、前記第1固定部に重なる位置に配置され、前記第1固定部に対して固定されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、センサチップに接触する2部品の相対変位を小さくすることにより、センサチップの損傷のおそれを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】X軸、Y軸、Z軸、X軸に沿う力Fx、Y軸に沿う力Fy、Z軸に沿う力Fz、X軸周りのモーメントMx、Y軸周りのモーメントMy、及びZ軸周りのモーメントMzの向きを示す図である。
【
図2】実施形態に係る力覚センサ装置の起歪体の一例を示す斜視図である。
【
図3】実施形態に係る力覚センサ装置の起歪体の一例を示す平面図である。
【
図4】実施形態に係る力覚センサ装置の起歪体の一例を示す断面斜視図である。
【
図5】実施形態に係る力覚センサ装置の起歪体の第1部材の一例を示す断面斜視図である。
【
図6】起歪体の第1部材の一例を示す平面図である。
【
図7】力覚センサ装置の第1部材のセンサチップ実装部を拡大して示す平面図である。
【
図8】力覚センサ装置の第1部材のセンサチップ実装部を示す斜視図である。
【
図9】起歪体の第2部材の一例を示す平面図である。
【
図10】起歪体の第2部材の一例を示す断面斜視図である。
【
図11】力覚センサ装置の第2部材のリング、アーム、及び第2接触部を拡大して示す平面図である。
【
図12】起歪体のセンサチップ実装部を示す断面斜視図である。
【
図13】力覚センサ装置の第1接触部及び第2接触部を拡大して示す平面図である。
【
図14】力覚センサ装置のセンサチップ実装部を示す断面図であり、Y軸及びZ軸に沿う切断面を示す図である。
【
図15】力覚センサ装置のセンサチップ実装部を示す断面図であり、W軸及びZ軸に沿う切断面を示す図である。
【
図16】第1固定部上の第2固定部を示す斜視図である。
【
図17】力覚センサ装置の第1部材に設けられた筒部、フランジ、及び第1固定部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
(軸、軸方向の力、及び軸周りのモーメント)
はじめに、
図1を参照して、軸、軸方向の力、及び軸周りのモーメントについて説明する。
図1は、X軸、Y軸、Z軸、X軸に沿う力Fx、Y軸に沿う力Fy、Z軸に沿う力Fz、X軸周りのモーメントMx、Y軸周りのモーメントMy、及びZ軸周りのモーメントMzの向きを示す図である。
図1に示されるように、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、互いに交差する。
【0011】
本実施形態に係る力覚センサ装置1は、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、及びZ軸方向の力Fzを検出できる。力覚センサ装置1は、X軸を軸として回転させるモーメントMx、Y軸を軸として回転させるモーメントMy、及びZ軸を軸として回転させるモーメントMzを検出できる。X軸方向の力Fxは、X軸方向の変位の一例である。Y軸方向の力Fyは、Y軸方向の変位の一例である。Z軸方向の力Fzは、Z軸方向の変位の一例である。
【0012】
なお、各図においてX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向が矢印で図示されている場合がある。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、力覚センサ装置1を基準とする。例えば、力覚センサ装置1の向きが変化した場合には、力覚センサ装置1の向きに応じてX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の向きも変化する。
【0013】
(力覚センサ装置1の概略構成)
次に、
図2~
図4を参照して、力覚センサ装置1の概略構成について説明する。
図2は、第1実施形態に係る力覚センサ装置1の起歪体20の一例を示す斜視図である。
図3は、第1実施形態に係る力覚センサ装置の起歪体の一例を示す平面図である。
図4は、第1実施形態に係る力覚センサ装置1の起歪体20の一例を示す断面斜視図である。力覚センサ装置1は、センサチップと、起歪体20と、を備える。力覚センサ装置1は、例えば、工作機械等に使用されるロボットの腕や指等に搭載される多軸の力覚センサ装置である。センサチップ110は、
図14及び
図15に示されている。
【0014】
センサチップ110は、6軸の変位センサとして機能する。センサチップ110は、例えばMEMSでもよい。センサチップ110は、複数の軸方向の少なくともひとつの方向の変位を検知するものでもよい。軸の方向の変位とは、例えば、X軸方向の変位、Y軸方向の変位、及びZ軸方向の変位でもよい。軸方向の変位は、例えば、X軸周りの変位、Y軸周りの変位、及びZ軸周りの変位でもよい。
【0015】
起歪体20は、第1部材200と、第2部材400とを備える。起歪体20は、2部品構成の起歪体20である。第2部材440は、第1部材200内に収容されている。
【0016】
(第1部材の概略構成)
次に、第1部材200の概略構成について説明する。
図5は、第1実施形態に係る力覚センサ装置1の起歪体20の第1部材200の一例を示す断面斜視図である。
図6は、起歪体20の第1部材200の一例を示す平面図である。第1部材200は、受力部240と、センサチップ実装部220と、複数の第1梁252,254と、複数の第1固定部262,264と、筒部300と、を備える。
【0017】
(受力部)
図2及び
図5に示される受力部240は、例えばロボットアームのエンドエフェクタに取り付けられる。受力部240は、例えば円盤状を成している。受力部240の厚さ方向は、Z軸方向に沿う。
【0018】
(センサチップ実装部)
図7は、力覚センサ装置の第1部材のセンサチップ実装部を拡大して示す平面図である。
図8は、力覚センサ装置の第1部材のセンサチップ実装部を示す斜視図である。
図4、
図7、及び
図8に示されるセンサチップ実装部220は、底部222及び筒部224を有する。底部222は、受力部240に対して取り付けられる。底部222は、Z軸方向において、受力部240に近い位置に配置され、筒部224は、底部222よりも受力部240から遠い位置に配置されている。底部222は、例えば板状を成す。底部222の板厚方向は、Z軸方向に沿う。底部222は、Z軸方向において、受力部240のエンドエフェクタが取り付けられる面とは反対側の面に取り付けられる。底部222には、センサチップ110に接触する複数の第1接触部212,214,216が設けられている。
【0019】
複数の第1接触部212,214,216は、Z軸方向において、受力部240とは反対側に突出する。複数の第1接触部212は、Z軸方向に見て(平面視において)底部222の中央に配置された第1接触部212と、第1接触部212の周囲に配置された複数の第1接触部214,216を有する。なお、本明細書において、「径方向」との用語を使用する場合がある。径方向は、例えばZ軸方向に底部222を見た場合に、第1接触部212を中心とする仮想の円の半径方向に沿う方向とする。径方向は、X軸方向及びY軸方向を含み。径方向は、Z軸方向に底部222を見た場合に、第1接触部212から離れる方向を含む。
【0020】
筒部224は、Z軸方向において底部222から受力部240とは反対側に張り出す。複数の第1接触部212,214,216は、径方向において、筒部224の内側に配置されている。筒部224は、Z軸方向に見て複数の第1接触部212,214,216を囲むように形成されている。筒部224及び底部222によって囲まれる空間は、凹部を形成する。センサチップ110は、筒部224及び底部222によって形成された凹部内に配置される。
【0021】
(第1梁)
次に、
図5及び
図6を参照して、第1梁252,254について説明する。複数の第1梁252,254は、径方向においてセンサチップ実装部220の外側に張り出すように形成されている。複数の第1梁252は、径方向において互いに対向するように配置されている。複数の第1梁254は、径方向において互いに対向するように配置されている。Z軸方向に見た場合に、複数の第1梁252が対向する方向と、複数の第1梁254が対向する方向とは互いに異なる方向である。
【0022】
第1梁252,254は、Z軸方向に見てT字を成すように形成されている。第1梁252は、筒部224から径方向外側に張り出す第1部分252aと、第1部分252aと交差する第2部分252bと、を有する。第1梁254は、筒部224から径方向外側に張り出す第1部分254aと、第1部分254aと交差する第2部分254bと、を有する。なお、第1梁252,254は、T字状を成すものに限定されず、例えばY字状に形成されたものでもよく、その他の形状に形成されたものでもよい。
【0023】
(第1固定部)
次に
図5及び
図6を参照して、第1固定部262,264について説明する。複数の第1固定部262,264は、Z軸方向に見て、仮想の四角形の全ての角部C1,C2に対応する位置にそれぞれ配置されている。複数の第1固定部262,264は、第2部材400が固定される部分である。仮想の四角形は、例えば筒部300の外形に沿う四角形でもよい。複数の角部C1は、例えばX軸方向に対向するように配置されている。複数の角部C2は、例えばY軸方向に対向するように配置されている。複数の第1固定部262は、X軸方向に対向して配置されている。複数の第1固定部264は、Y軸方向に対向して配置されている。
【0024】
複数の第1固定部262,264は、力覚センサ装置1において相対的に変位が最も少ない位置でもよい。複数の第1固定部262,264は、複数の第1梁252,254及び筒部300に連結されている。例えば複数の第1固定部262,264は、当該第1固定部262,264に連結される複数の第1梁252,254及び筒部300と比較して、剛性が高く、相対的に変形しにくい。第1固定部262,264は、筒部300の角部C1,C2に対応する位置に配置されているので、相対的に位置変化しにくい。
【0025】
第1固定部262,264は、固定面262a,264aを含む。固定面262a,264aは、Z軸方向に交差する面を含む。固定面262a,264aは、Z軸方向に見て、例えば台形状を成している。
【0026】
第1固定部262,264のZ軸方向に沿う厚さは、第1梁252,254のZ軸方向に沿う厚さよりも厚い。固定面262aは、Z軸方向において、第1梁252,254よりも、受力部240から離れた位置に配置されている。第1固定部262,264は、Z軸方向において、第1梁252,254よりも受力部240とは反対側に張り出している。
【0027】
力覚センサ装置1では、第1梁252,254の剛性(平面視における幅、Z軸方向に沿う厚さ)に対して、第1固定部262,264を大きくすることで、第1固定部262,264の剛性を高くすることができる。これにより、第1固定部262,264を第1梁252,254の変形の起点にすることで、変形を第1梁252,254に伝えることができる(第1固定部262,264を変形させないで、第1梁252,254を変形させることができる。)受力部240、底部222、及び筒部224は、一体的に形成されている。この一体部分である受力部240、底部222、及び筒部224は、外力を受けると、(モーメントにより)回転もしくは並進に動こうとする。第1梁252,254は、これらの受力部240、底部222、及び筒部224の一体部分を支持するための存在している。第1梁252,254は、受力部240、底部222、及び筒部224の一体部分を支持した結果、変形する(第1梁252,254は、受力部240、底部222、及び筒部224の一体的な変形を受けて変形するが、第1固定部262,264は変形しない)。
【0028】
(第1部材の筒部)
筒部300は、Z軸方向において、第1固定部262,264よりも受力部240とは反対側に張り出している。筒部300は、Z軸方向に見て、複数の第1固定部262,264、複数の第1梁252,254、及びセンサチップ実装部220を囲むように形成されている。
【0029】
筒部300は、複数の外壁302,304、及び複数の内壁312,314,316,318を有する。複数の外壁302,304は、径方向において、外側の面を含む。複数の内壁312,314,316,318は、径方向において、内側の面を含む。複数の内壁312,314,316,318は、径方向において、複数の外壁302,304よりも内側に配置されている。
【0030】
外壁302,304は、Z軸方向に見て、複数の角部C1,C2を頂点とする四角形を成すように配置されている。複数の外壁302,304は、径方向と交差する面を含む。複数の外壁302は、Z軸方向に見て、第1梁252と対向するように配置されている。外壁302は、第1梁252の第1部分252aと交差するように配置されている。外壁304は、第1梁254の第1部分254aと交差するように配置されている。
【0031】
内壁312,314,316,318は、Z軸方向に見て、八角形を成すように配置されている。複数の内壁312は、X軸方向に交差するYZ面を含む。複数の内壁312は、X軸方向において互いに対向している。複数の内壁314は、Y軸方向に交差するXZ面を含む。複数の内壁314は、Y軸方向において互いに対向している。複数の内壁316は、外壁302に対向する面を含む。複数の内壁318は、外壁304に対向する面を含む。
【0032】
固定面262aは、Z軸方向に見て、内壁312から径方向内側に張り出すように形成されている。固定面264aは、Z軸方向に見て、内壁314から径方向内側に張り出すように形成されている。第1固定部262は、内壁312よりも径方向内側に張り出す部分を含む。第1固定部264は、内壁314よりも径方向内側に張り出す部分を含む。
【0033】
筒部300は、力覚センサ装置1の接続相手であるロボットのアームに取り付けられる取付面320を含む。取付面320は、Z軸方向と交差するXY面を含む。取付面320は、Z軸方向において、受力部240とは反対側の面である。
【0034】
(第1部材の溝)
図3及び
図6に示されるように、第1部材200には、複数の溝282,284が形成されている。複数の溝282,284は、Z軸方向において、第1部材200を貫通する。複数の溝282は、Z軸方向に見て、第1梁252と内壁316との間に形成されている。複数の溝282は、第1梁252の第2部分252bの長手方向に沿って伸びている。複数の溝284は、Z軸方向に見て、第1梁254と内壁318との間に形成されている。複数の溝284は、第1梁254の第2部分254bの長手方向に沿って伸びている。
【0035】
(第2部材の概略構成)
次に、第2部材400について説明する。
図9は、起歪体の第2部材の一例を示す平面図である。
図10は、起歪体の第2部材の一例を示す断面斜視図である。
図11は、力覚センサ装置の第2部材のリング、アーム、及び第2接触部を拡大して示す平面図である。
図12は、起歪体のセンサチップ実装部を示す断面斜視図である。第2部材400は、複数の第2接触部412,414と、支持部420と、複数の第2梁432,434と、複数の第2固定部442,444とを備える。
【0036】
(第2接触部及び支持部)
支持部420は、複数の第2接触部412,414を支持する。複数の第2接触部412は、X軸方向に離間する。複数の第2接触部414は、Y軸方向に離間する。支持部420は、リング422と、複数のアーム462,464とを有する。リング422は、Z軸を中心とする円周に沿うように形成される。リング422は板状を成す。リング422の板厚方向は、Z軸方向に沿う。
【0037】
(第2部材のアーム)
複数のアーム462は、X軸方向に対向する。複数のアーム462は、第1部分462a及び第2部分462bを有する。第1部分462aは、Z軸方向に延在し、リング422から第1部材200の底部222に向かって伸びる。第2部分462bは、Z軸方向において、リング422と離間する。第2部分462bは、第1部分462aのZ軸方向の端部から屈曲され、X軸方向に延びる。複数の第2部分462bは、X軸方向において互いに接近するように形成されている。
【0038】
複数のアーム464は、X軸方向に対向する。複数のアーム464は、第1部分464a及び第2部分464bを有する。第1部分464aは、Z軸方向に延在し、リング424から第1部材200の底部222に向かって伸びる。第2部分464bは、Z軸方向において、リング422と離間する。第2部分464bは、第1部分464aのZ軸方向の端部から屈曲され、Y軸方向に延びる。複数の第2部分464bは、Y軸方向において互いに接近するように形成されている。
【0039】
複数のアーム462,464の先端部は互いに連結されている。アーム462の先端部は、第2部分462bのうち、第1部分462aから離れている方の部分である。アーム464の先端部は、第2部分464bのうち、第1部分464aから離れている方の部分である。
【0040】
複数の第2部分462b,464bは、径方向の中心で互いに交差し、連結されている。複数の第2部分462b,464bが交差する部分には、Z軸方向に貫通する穴468が形成されている。第1接触部212は、この穴468に挿通される。穴468及び第1接触部212は、複数の第2接触部412,414の中心に配置されている。複数の第2接触部412は、第2部分462bからZ軸方向に突出する。複数の第2接触部414は、第2部分464bからZ軸方向に突出する。
【0041】
(第2梁)
次に、
図9及び
図10を参照して、第2梁432,434について説明する。複数の第2梁432,434は、径方向においてリング422の外側に張り出すように形成されている。複数の第2梁432は、径方向において互いに対向するように配置されている。複数の第2梁434は、径方向において互いに対向するように配置されている。Z軸方向に見た場合に、複数の第2梁432が対向する方向と、複数の第2梁434が対向する方向とは互いに異なる方向である。
【0042】
第2梁432,434は、Z軸方向に見てT字を成すように形成されている。第2梁432は、リング422から径方向外側に張り出す第1部分432aと、第1部分432aと交差する第2部分432bと、を有する。第2梁434は、リング423から径方向外側に張り出す第1部分434aと、第1部分434aと交差する第2部分434bと、を有する。なお、第2梁432,434は、T字状を成すものに限定されず、例えばY字状に形成されたものでもよく、その他の形状に形成されたものでもよい。
【0043】
(第2固定部)
図9及び
図10に示される複数の第2固定部442,444は、複数の第1固定部262,264に固定される部分である。複数の第2固定部442は、リング422の外側に配置され、X軸方向に互いに対向している。複数の第2固定部444は、リング422の外側に配置され、Y軸方向に互いに対向している。
【0044】
(スリット)
次に、
図7、
図8、及び
図12~
図15を参照して、第1部材200に設けられた第1スリット232,234及び第2スリット236,238について説明する。
図13は、力覚センサ装置の第1接触部及び第2接触部を拡大して示す平面図である。
図14は、力覚センサ装置のセンサチップ実装部を示す断面図であり、Y軸及びZ軸に沿う切断面を示す図である。
図15は、力覚センサ装置のセンサチップ実装部を示す断面図であり、W軸及びZ軸に沿う切断面を示す図である。なお、
図15では、Z軸方向に見て、互いに交差するV軸及びW軸が示されている。V軸は、X軸をZ軸周りに45度傾斜した位置を通り、W軸は、Y軸をZ軸周りに45度傾斜した位置を通る。
【0045】
センサチップ実装部220の筒部224及び底部222には、複数のアーム462,464が収容される第1スリット232,234が形成されている。第1スリット232は、アーム462を収容し、第1スリット234は、アーム464を収容する。第1スリット232,234は、筒部224の内面から径方向の外側に凹む部分と、底部222の上面から受力部240に近い方に凹む部分とを含む。底部222の上面とは、Z軸方向において、受力部240とは反対側の面である。第1スリット232,234のうち、筒部224に形成された部分は、Z軸方向に延在する。第1スリット232のうち、底部222に形成された部分は、X軸方向に延在する。第1スリット234のうち、底部222に形成された部分は、Y軸方向に延在する。底部222に形成された第1スリット232,234の部分は、Z軸方向に見て、互いに交差している。
【0046】
センサチップ実装部220の底部222には、複数の第2スリット236,238が形成されている。複数の第2スリット236,238は、Z軸方向に見て複数の第1接触部214,216を囲むように形成されている。第2スリット236は、径方向において第1接触部214の外側に配置されている。第2スリット238は、径方向において第1接触部216の外側に配置されている。第2スリット236,238は、Z軸方向に見て、L字を成すように形成されていてもよい。複数の第2スリット236,238は、径方向において筒部224の内側に配置されている。
【0047】
複数の第2スリット236,238は、Z軸方向に見て矩形を成すように形成されている。複数の第1スリット232,234及び第2スリット236,238は、Z軸方向に見て互いに交差するように配置されている。第1スリット232,234は、径方向において、第2スリット236,238の外側まで伸びている。
【0048】
(センサチップ、第1接触部、及び第2接触部)
上述したように、複数の第1接触部212,214,216は、第1部材200の底部222に形成さえている。Z軸方向に見て、X軸及びY軸に沿う対角線上に、複数の第1接触部214,216が配置され、これらの第1接触部214,216の中心に第1接触部212が配置されている。
図12及び
図13は、第2部材400の複数の第2接触部412,414が配置される前の、センサチップ実装部220を示す。
【0049】
図18に示される複数の第2接触部412,414は、上述したように、複数のアーム462,464によって支持されている。
図24に示されるように、第1部材200に対して、第2部材400が固定された状態において、複数の第2接触部412,414は、複数の第1接触部214,216間に配置される。第2接触部412は、Y軸方向において、第1接触部214,216間に配置される。X軸方向において、第2接触部412は、中心の第1接触部212の両側に配置される。第2接触部414は、X軸方向において、第1接触部214,216間に配置される。第2接触部414は、Y軸方向において、中心の第1接触部212の両側に配置される。
【0050】
図25及び
図26に示されるように、複数の第1接触部212,214,216及び第2接触部412,414は、X軸方向及びY軸方向に所定の間隔を置いて、センサチップ110の底面110aに接触する。
【0051】
第2部材400の複数の第2接触部412,414は、センサチップ110に対して変位しない固定点とみなすことができる。第1部材200の複数の第1接触部212,214,216は、センサチップ110に対して相対的に変位する入力点とみなすことができる。
【0052】
力覚センサ装置1では、受力部240が力を受けると、その力が受力部240からセンサチップ実装部220の底部222に伝達される。底部222は、受力部240から力を受けて、僅かに変形する。力の向き及び大きさによって、複数の第1接触部212,214,216の変位が異なる。センサチップ110は、第2接触部412,414に対する複数の第1接触部212,214,216の変位を検知することで、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、Z軸方向の力Fz、X軸周りのモーメントMx、Y軸周りのモーメントMy、及びZ軸周りのモーメントMzを検出できる。4,216及び第2接触部412,414の配置について説明する。
【0053】
(第1固定部と第2固定部との溶接)
次に、
図16及び
図17を参照して、第1固定部と第2固定部との溶接について説明する。
図16は、第1固定部上の第2固定部を示す斜視図である。
図17は、力覚センサ装置の第1部材に設けられた筒部、フランジ、及び第1固定部を示す断面図である。
【0054】
図16及び
図17に示されるように、第2固定部442,444は、第1固定部262,264の上に載置されている。
図16は、第1固定部262の上に第2固定部442が載置されている状態を示す。
図17は、第1固定部264の上に、載置されている状態を示す。
【0055】
第2固定部442は、第1固定部262に対して溶接され、第2固定部444は、第1固定部264に対して溶接されている。溶接は、例えばレーザー溶接でもよく、その他の溶接でもよい。
【0056】
図9、
図10及び
図16に示されるように、第2固定部442,444には、ガイド形状450が形成されている。ガイド形状450は、段差形状である。ガイド形状450は、第2固定部442,444の上面に形成されている。第2固定部442,444の上面は、Z軸方向において、第1固定部262,262とは反対側の面である。ガイド形状450は、Z軸方向に見た場合に、第1固定部262,264に対する溶接位置を示す。
【0057】
ガイド形状450は、第2梁432,434よりも凹むように形成されている。ガイド形状450は、Z軸方向に見て、X軸方向及びY軸方向と交差する方向に延びている。ガイド形状450は、
図5に示される第1固定部262,264の固定面262a,264aの外縁262b,264bに対応して形成されている。
【0058】
第1固定部262,264は、Z軸方向において、第1梁252,254よりも受力部240とは反対側に張り出している。固定面262a,264aは、第1固定部262,264の上面であり、受力部240とは反対側の面である。固定面262a,264aに当接する面であり、Z軸方向において、第1梁252,254よりも受力部240とは反対側に配置されている。
【0059】
Y軸方向において、第2固定部442のガイド形状450は、第1固定部262の外縁262bよりも内側に配置されている。X軸方向において、第2固定部444のガイド形状450は、第1固定部264の外縁264bよりも内側に配置されている。ガイド形状450は、Z軸方向に見て、第1固定部262,264の固定面262a,264aと重なる位置に配置されている。
【0060】
(先行技術の課題)
次に、先行技術の課題について説明する。センサチップ110としてMEMSを搭載する力覚センサ装置は、MEMSが実装される位置においてMEMSに接触する2つの部品同士が、負荷時に相対変位を持つ必要がある。力覚センサ装置が負荷を受けた際に、2つの部品の接触部が、MEMSに対して異なる変位となる必要がある。MEMSの強度は弱く、許容できる変位量は数μmである。
【0061】
このような力覚センサ装置では、定格負荷が作用しても相対変位がその許容内に収まることが求められている。また、力覚センサ装置では、他軸干渉が少ないことが求められている。他軸干渉とは、実際とは異なる方向の力の成分を検知してしまうことをいう。
【0062】
(力覚センサ装置1の作用効果)
本実施形態の力覚センサ装置1では、センサチップ実装部220を変形原点に配置したことにより、力覚センサ装置1にモーメントが作用したときに、モーメントのみを他軸の力成分から分離しやすくなっている。センサチップ実装部220内に変形原点を配置したことにより、他軸の力成分はモーメントに対し相対的な微小な成分が出る(検出される)のみで済む。
【0063】
なお、「変形原点」とは、平面視において、第1接触部212の位置であり、Z軸方向において、第1梁252,254の厚さの中央位置でもよい。梁252,254の厚さは、例えば、第1梁252,254の第1部分252a,254aの厚さでもよい。
【0064】
本実施形態に係る力覚センサ装置1では、変位が少ない箇所である第1固定部262,264及び第2固定部442,444を接合することで、第1部材200と第2部材400とからなる2部品構成の起歪体20を実現できる。
【0065】
力覚センサ装置1では、受力部240に負荷が作用しても第2部材400が変形しない構成となっている。力覚センサ装置1では、受力部240に負荷が作用すると、第2部材400の変形は、第1部材200の変形よりも少ない。力覚センサ装置1では、第2部材400の第2接触部412,414が変位せずに、第1部材200の第1接触部212,214,216のみが変位することで、リニアな(直線的な)相対変位を作り出せる。
【0066】
受力部240が荷重を受けて、第1部材200のセンサチップ実装部220の底部222が変形する際に、第1梁252,254の剛性に応じて複数の第1接触部212,214,216が変位する。本実施形態では、複数の第1固定部262,264は、第1梁252,254の変形起点になる箇所であり、変形がしない箇所と定義できる。そして、この第1固定部262,264に固定される第2固定部442,444も変形しない箇所と定義できる。また、第2部材400は、第1部材200と比較して剛性が高く、複数の第2接触部412,414は変位しない。
【0067】
力覚センサ装置1では、センサチップ110が実装される位置は、力覚センサ装置1の変形原点に極めて近い位置である。変形原点は、第1部材200の形状により設定される。第1部材200の形状を変えることで、変形限定の位置を適宜設定できる。第1部材200では、第1接触部212の根元近傍に配置される。第1接触部212の根元は、底部222に近い位置である。なお、変形原点は、複数の第1固定部262,264に対する相対変位が極めて少ない位置である。
【0068】
力覚センサ装置1では、変形限定に近い位置に複数の第1接触部212,214,216が位置することにより、複数の第1固定部262,264に対する複数の第1接触部212,214,216の相対変位を非常に小さくできる。そのため、負荷を受けた際のセンサチップ110に対する複数の第1接触部212,214,216の相対変位を少なくすることができる。複数の第1接触部214,216の変形原点に対する相対変位は、変形原点を支点とする、てこの原理(レバー比)に基づき変位する。力覚センサ装置1では、負荷を受けた際の複数の第1接触部212,214,216の複数の第1固定部262,264に対する相対変位が少ないことにより、センサチップ110への入力量を少なくできる。力覚センサ装置1は、従来の力覚センサ装置と比較して、複数の第1固定部262,264に対する複数の第1接触部212,214,216の相対変位が少ない。
【0069】
力覚センサ装置1は、底部222において、複数の第1接触部214,216を囲むように第2スリット236,238が形成されている。Z軸方向に見て、筒部224と複数の第1接触部214,216との間に第2スリット236,238が形成されている。これにより、複数の第1固定部262,264に対する複数の第1接触部212,214,216の相対変位を制限できる。
【0070】
第2スリット236,238が形成されていない構成では、第1梁252,254を太くして剛性を高くして、複数の第1接触部212,214,216の相対変位を制限する必要がある。このような構成にあっても溝282の幅は、溝282を加工するための工具の大きさによる制約があり、細くすることができないので、第1梁252,254を太くすると、第1部材200の外形が大きくなるという問題が発生する。しかしながら、力覚センサ装置1では、第2スリット236,238を形成することで、複数の第1接触部212,214,216の相対変位を制限することができるので、第1梁252,254を太くする必要がない。その結果、第1部材200の外形が大きくなることが抑制される。力覚センサ装置1では、第1部材200の大型化を回避して、複数の第1接触部212,214,216の相対変位を制限でき、センサチップ110への入力量を抑えることができる。
【0071】
また、力覚センサ装置1では、径方向において、複数の第1固定部262,264の幅は、複数の第1連結部である筒部300よりも広く、Z軸方向において、複数の第1固定部262,264の厚さは、第1梁252,254の厚さよりも厚く、複数の第2固定部442,444は、Z軸方向に見て複数の第1固定部262,264に重なる位置に配置され、複数の第1固定部262,264に対して、それぞれ固定されている。
【0072】
このような構成の力覚センサ装置1によれば、第1固定部262,264の幅、筒部300の幅よりも広く、第1固定部262,264は筒部300と比較して変形しない。第1固定部262,264は、第1梁252,254よりも厚く、第1梁252,254と比較して変形しない。力覚センサ装置1によれば、このように変形しない第1固定部262,264に対して、第2固定部442,444を固定することができる。なお、第1固定部262,264の幅とは、Z軸方向に見て、第1固定部262,264の長手方向と交差する方向の幅である。筒部300の幅とは、内壁と外壁との間の厚さである。
【0073】
力覚センサ装置1では、複数の第1固定部262,264は、Z軸方向に見て、仮想の四角形の全ての角部に対応する位置にそれぞれ配置されている。角筒状を成す筒部300の角部に対応する位置は、剛性が高く変形しにくい。第1固定部262,264は、筒部300の角部近傍に配置されているので、変形しにくい。
【0074】
また、力覚センサ装置1では、Z軸方向において複数の第1固定部262,264から受力部240とは反対側に張り出す筒部300を有し、複数の第1固定部262,264は、Z軸方向に見て筒部300よりも内側に張り出す固定面262a,264aを含み、第2部材400は、径方向において筒部300の内側に配置され、複数の第2固定部442,444は、複数の第1固定部262,264の固定面262a,264aに対して固定されている。
【0075】
このような構成の力覚センサ装置1によれば、筒部300によって複数の第1固定部262,264が連結されているので、複数の第1固定部262,264の変位を抑制できる。また、筒部300から径方向内側に張り出すように固定面262a,264aが形成されているので、筒部300の剛性を高くすることができる。このような複数の第1固定部262,264に対して複数の第2固定部442、444を固定することで、第2部材400の変位をゼロに維持できる。
【0076】
また、力覚センサ装置1では、第2部材400の支持部420は、複数の第2梁432,434と連結されるリング422と、リング422からZ軸方向に延び、Z軸方向の端部から径方向の内側に屈曲され複数の第2接触部412,414を支持する複数のアーム462と、を有する。
【0077】
このような構成の力覚センサ装置1によれば、第2部材400の剛性を高めることにより、第2固定部442,444に対する複数の第2接触部412,414の相対変位をゼロにできる。また、Z軸方向において、リング422と複数の第2接触部412,414の位置を離間させることができる。換言すると、Z軸方向において、複数の第2接触部412,414は、第2固定部442,44の位置よりも、変形原点の近くに配置される。第2部材400は、薄肉かつZ軸方向に高さがある3次元形状となる。
【0078】
また、力覚センサ装置1では、センサチップ実装部220は、受力部240に近い位置に配置された底部222と、Z軸方向において底部222から受力部240とは反対側に張り出す筒部224とを有し、複数の第1接触部212,214,216は、底部222に設けられ、センサチップ110は、底部222及び筒部224によって囲まれた凹部内に収容されている。
【0079】
このような構成の力覚センサ装置1によれば、複数の第1接触部212,214,216の相対変位を抑制して、センサチップ110に対する接触圧を小さくできる。その結果、センサチップ110の損傷を抑制できる。また、力覚センサ装置1では、負荷を受けた場合の他軸干渉が抑制される。
【0080】
力覚センサ装置1では、センサチップ実装部220の筒部224及び底部222には、複数のアーム462,464が収容される第1スリット232,234が形成されている。このような構成の力覚センサ装置1によれば、第1スリット232,234に複数のアーム462,464を収容できるので、第1スリット232,234が形成されていない構成と比較して、第1部材200の小型化を図ることができる。
【0081】
また、力覚センサ装置1では、第2スリット236,238は、X軸方向に見て第1スリット232,234に交差するように形成されている。このような構成の力覚センサ装置1によれば、第1スリット232,234に交差するように、第2スリット236,238を形成することにより、複数の第1接触部212,214,216の相対変位を制限できる。
【0082】
また、力覚センサ装置1では、複数の第2固定部442,444は、前記複数の第1固定部262,264に対して溶接されることで固定されている。このような構成の力覚センサ装置1によれば、第1固定部262,264及び第2固定部442,444を高強度に結合できる。
【0083】
また、力覚センサ装置1では、第2固定部442,444の第1固定部262,264とは反対側の面には、溶接施工位置に沿って延在するガイド形状450が形成されている。このような構成の力覚センサ装置1によれば、ガイド形状450により、溶接施工位置を容易に認識できる。力覚センサ装置1では、第2固定部442,444によって隠れている第1固定部262,264に対する溶接位置を容易に判別できる。
【0084】
以上、好ましい実施の形態について詳説したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0085】
(変形例1)
上記の実施形態では、第1固定部262,264及び第2固定部442,444を溶接により接合しているが、第1固定部262,264及び第2固定部442,444は溶接によって接合されるものに限定されず、例えばねじを用いて接合してもよい。例えば、ネジ穴の周囲に、第1固定部及び第2固定部がそれぞれ形成されていてもよい。
【0086】
(変形例2)
上記の実施形態では、Z軸方向に見て、第1部材200内に、第2部材400が収容されるように配置されているが、力覚センサ装置1は、このような構成に限定されない。第1部材及び第2部材は、Z軸方向に見て、例えば円形の外形を有し、重なるように配置されていてもよい。
【0087】
上記の実施形態は、第1部材200は、筒部300から径方向外側に張り出すフランジを有する形状でもよく、フランジが形成されていない構成でもよい。例えば筒部300は、円盤状を成し、円形の外周面よりも径方向内側に張り出すように形成された固定部を有し、この固定部のねじ穴が形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 力覚センサ装置、20 起歪体、110 センサチップ、200 第1部材、212 中心の第1接触部、214 第1接触部、216 第1接触部、220 センサチップ実装部、222 底部、224 筒部、230 凹部、232 第1スリット、234 第1スリット、236 第2スリット、238 第2スリット、240 受力部、252 第1梁、252a 第1部分、252b 第2部分、254 第1梁、254a 第1部分、254b 第2部分、262 第1固定部、262a 固定面、264 第1固定部、264a 固定面、264b 外縁、282 溝、284 溝、300 筒部(第1連結部)、302 外壁、304 外壁、312 内壁、314 内壁、316 内壁、318 内壁、320 取付面、336 ボルト穴、C1 角部、C2 角部、400 第2部材、412 複数の第2接触部、414 複数の第2接触部、420 支持部、422 リング、432 第2梁、432a 第1部分、432b 第2部分、434 第2梁、434a 第1部分、434b 第2部分、442 第2固定部、444 第2固定部、450 ガイド形状、462 アーム、462a 第1部分、462b 第2部分、464 アーム、464a 第1部分、464b 第2部分、468 穴