(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149801
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】タイヤ用RFIDラベル、及びタイヤへのラベル取付け方法
(51)【国際特許分類】
B60C 19/00 20060101AFI20231005BHJP
B60C 13/00 20060101ALI20231005BHJP
B60C 11/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B60C19/00 J
B60C13/00 C
B60C11/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058565
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】湯口 隆昭
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】宮川 修平
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA30
3D131BC31
3D131BC55
3D131EC09Z
3D131EC16Z
3D131GA01
3D131LA20
3D131LA24
3D131LA28
(57)【要約】
【課題】タイヤ用RFIDラベルにおいて、タイヤに含まれる構成要素による影響を受けにくく、通信距離を長くする。
【解決手段】タイヤ用RFIDラベル1は、ホイール非装着のタイヤ5に取り付けられる装着部材2と、装着部材2上の所定に領域に設けられたRFIDインレイ3と、を備え、装着部材2がタイヤ5に取り付けられた状態で、所定の領域は、装着部材2がタイヤ5から離間した空間に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイール非装着のタイヤに取り付けられる装着部材と、
前記装着部材上の所定に領域に設けられたRFIDインレイと、を備え、
前記装着部材が前記タイヤに取り付けられた状態で、前記所定の領域は、前記装着部材が前記タイヤから離間した空間に位置する
タイヤ用RFIDラベル。
【請求項2】
前記装着部材は、帯状のシートであり、
前記タイヤは、外側円周面であるトレッド部と、側面であるサイドウォールと、前記サイドウォールの内側端に位置し内側縁部で平行する一対のビードを有しており、
前記シートが前記一対のビード間に掛け渡されるようにタイヤの一部に巻き付けられ、前記タイヤに取り付けられた状態で、前記所定の領域は、前記タイヤの一対のビード間の空間に位置する
請求項1に記載のタイヤ用RFIDラベル。
【請求項3】
前記シートは、円環状のタイヤの一部であって、外側円であるトレッド部の1つの領域と、対向するサイドウォールの1対の領域と接触するように、ループ状に巻き付けられることで前記タイヤに取り付けられる
請求項2に記載のタイヤ用RFIDラベル。
【請求項4】
前記装着部材は、帯状のシートであり、
前記シートが前記タイヤの内径空間に掛け渡されるようにタイヤの径方向に巻き付けられ、前記所定の領域は、前記タイヤの内径空間に位置する
請求項1に記載のタイヤ用RFIDラベル。
【請求項5】
前記タイヤは、外側円周面であるトレッド部と、側面であるサイドウォールと、前記サイドウォールの内側端に位置するビードを有しており、
前記シートは、円環状のタイヤの内側円を架橋するように、外側円であるトレッド部の2つの領域と、2つのトレッド部夫々と連接する対向するサイドウォールの2対の領域と接触するように、ループ状に巻き付けられることで、前記タイヤに取り付けられる
請求項4に記載のタイヤ用RFIDラベル。
【請求項6】
前記シートは、長手方向の少なくとも一端が粘着部であり、前記シートの端部同士が貼り合わされて、前記シートがループ状に前記タイヤに巻き付けられる
請求項2乃至5のいずれか一項に記載のタイヤ用RFIDラベル。
【請求項7】
前記RFIDインレイは、前記シートが前記タイヤに取り付けられた状態において、前記シートのループよりも外側に飛び出した領域に位置している
請求項6に記載のタイヤ用RFIDラベル。
【請求項8】
前記装着部材は、帯状のシートであり、
前記シートは、前記タイヤから取り外すための切り離し線が、前記シートの長手方向と直交する方向に延伸して設けられている
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のタイヤ用RFIDラベル。
【請求項9】
前記シートは、前記タイヤへの取り付けの際に、前記タイヤのトレッド部とサイドウォールとの境界に位置する領域に、折り目線又は折り癖が、前記シートの長手方向と直交する方向に延伸して設けられている
請求項2乃至7のいずれか一項に記載のタイヤ用RFIDラベル。
【請求項10】
前記シートには、前記シートが前記タイヤに取り付けられた際に、前記タイヤのトレッド面又はサイドウォールの領域に巻き付けられる位置に、広告や寸法や機能を表示する意匠表示面が設けられている
請求項2乃至9のいずれか一項に記載のタイヤ用RFIDラベル。
【請求項11】
前記シートはポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、又はポリポロピレンフィルムベースの樹脂シートである
請求項2乃至8のいずれか一項に記載のタイヤ用RFIDラベル。
【請求項12】
タイヤへ帯状ラベルを取り付ける方法であって、
前記帯状ラベルの裏面の上に、タイヤのトレッド部を下にして載置する工程と、
前記帯状ラベルを、前記タイヤのサイドウォールに巻き付ける工程と、
前記帯状ラベルの端部同士を、前記タイヤのビードの内側で、粘着する工程と、を有する
タイヤへのラベル取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ用RFIDラベル、及びタイヤへのラベル取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な製品において、在庫管理、物流管理等、及びライフサイクルを管理する管理システムにおいて、RFID(Radio Frequency Identification)技術を用いて情報を供給する技術が知られている。このRFID技術を用いたシステムでは、RFID部品とリーダライタとの間で無線通信が行われ、RFID部品に記憶される識別情報等が読取装置により読み取られる。
【0003】
自動車等の車両用のタイヤにおいても、製造管理、流通管理、メンテナンス管理等において、仕様、製造履歴、使用履歴等について各タイヤの固有情報を把握することが行われており、RFID部品を備えるタイヤや、タイヤに貼り付けるラベル等が提案されている。
【0004】
しかし、タイヤの構成する炭素や金属などの材料はRFIDの通信に使用する電波を阻害する材料が使用されているため、RFIDをタイヤに接触して配置すると、通信電波が阻害されてしまう。
【0005】
そこで、特許文献1には、RFIDとタイヤとの距離を確保するため、RFIDを、スポンジ材を介して、タイヤの内腔面側に貼りつけることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のようにスポンジを配置しても、タイヤの一面との距離は10~30mmでありこの距離では、特に、特定小電力の電波帯でタイヤに含まれる材料の影響をうけて、通信距離は10cm程度である。しかし、この通信距離では、物流管理において、無線端末をかなり近づけなければならず、棚卸など作業が効率的とはいえなかった。
【0008】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、タイヤに含まれる構成要素による影響を受けにくく、通信距離を長くすることができるタイヤ用RFIDラベルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の形態は、
ホイール非装着のタイヤに取り付けられる装着部材と、
前記装着部材上の所定に領域に設けられたRFIDインレイと、を備え、
前記装着部材が前記タイヤに取り付けられた状態で、前記所定の領域は、前記装着部材が前記タイヤから離間した空間に位置する
タイヤ用RFIDラベル、である。
【0010】
上記第一の形態によれば、タイヤ用RFIDラベルによって、タイヤに含まれる構成要素による影響を受けにくく、通信距離を長くすることができる。
【0011】
本発明の第二の形態は、
前記装着部材は、帯状のシートであり、
前記タイヤは、外側円周面であるトレッド部と、側面であるサイドウォールと、前記サイドウォールの内側端に位置し内側縁部で平行する一対のビー部を有しており、
前記シートが前記一対のビード間に掛け渡されるようにタイヤの一部に巻き付けられ、前記タイヤに取り付けられた状態で、前記所定の領域は、前記タイヤの一対のビード間の空間に位置する。
【0012】
上記第二の形態によれば、RFIDインレイがビード間に位置することで、RFIDインレイの横方向及び縦方向において確実に距離をとることが出来、タイヤ用RFIDラベルによって、タイヤに含まれる構成要素による影響を受けにくく、通信距離を長くすることができる。
【0013】
本発明の第三の形態では、
前記シートは、円環状のタイヤの一部であって、外側円であるトレッド部の1つの領域と、対向するサイドウォールの1対の領域と接触するように、ループ状に巻き付けられることで前記タイヤに取り付けられる。
【0014】
上記第三の形態によれば、タイヤ専用の強力な粘着剤を用いずに、タイヤ用RFIDラベルを、タイヤに取り付けることができる。
【0015】
本発明の第四の形態では、
前記装着部材は、帯状のシートであり、
前記シートが前記タイヤの内径空間に掛け渡されるようにタイヤの径方向に巻き付けられ、前記所定の領域は、前記タイヤの内径空間に位置する。
【0016】
上記第四の形態によれば、RFIDインレイがタイヤの内径空間に位置することで、RFIDインレイの横方向及び縦方向において確実に距離をよることが出来、タイヤ用RFIDラベルによって、タイヤに含まれる構成要素による影響を受けにくく、通信距離を長くすることができる。
【0017】
本発明の第五の形態では、
前記タイヤは、外側円周面であるトレッド部と、側面であるサイドウォールと、前記サイドウォールの内側端に位置するビードを有しており、
前記シートは、円環状のタイヤの内側円を架橋するように、外側円であるトレッド部の2つの領域と、2つのトレッド部夫々と連接する対向するサイドウォールの2対の領域と接触するように、ループ状に巻き付けられることで、前記タイヤに取り付けられる。
【0018】
上記第五の形態によれば、タイヤ専用の粘着剤を用いずに、タイヤ用RFIDラベルを、タイヤに取り付けることができる。
【0019】
本発明の第六の形態は、前記シートは、長手方向の両端部が粘着部であり、前記シートの端部同士が貼り合わされて、前記シートがループ状に前記タイヤに巻き付けられる。
【0020】
上記第六の形態によれば、タイヤ専用の粘着剤を用いずに、タイヤ用RFIDラベルを、タイヤに取り付けることができる。
【0021】
本発明の第七の形態では、前記RFIDインレイは、前記シートが前記タイヤに取り付けられた状態において、前記シートのループよりも外側に飛び出した領域に位置している。
【0022】
上記第七の形態によれば、飛び出した端部は自由端となっており自由に動き、目立つため、在庫管理の際にRFIDインレイの位置を発見しやすい。また、飛び出した端部をつかむことで、読み取り時に、RFIDリーダの方向に、RFIDインレイを簡単に向かせることができる。
【0023】
本発明の第八の形態では、前記装着部材は、帯状のシートであり、
前記シートは、前記タイヤから取り外すための切り離し線が、前記シートの長手方向と直交する方向に延伸して設けられている。
【0024】
上記第八の形態によれば、ハサミを準備することなく、簡単にシートを破けるようになり、タイヤ用RFIDラベルをタイヤから取り外す際の手間や労力を削減することができる。
【0025】
本発明の第九の形態は、前記シートは、前記タイヤへの取り付けの際に、前記タイヤのトレッド部とサイドウォールとの境界に位置する領域に、折り目線又は折り癖が、前記シートの長手方向と直交する方向に延伸して設けられている。
【0026】
上記第九の形態によれば、折り目によって、タイヤに対するシートの位置を明確に規定され、断面方向にシートが回りにくくすることができる。
【0027】
本発明の第十の形態では、前記シートには、前記シートが前記タイヤに取り付けられた際に、前記タイヤのトレッド面又はサイドウォールの領域に巻き付けられる位置に、広告や寸法や機能を表示する意匠表示面が設けられている。
【0028】
上記第十の形態によれば、シート上のスペースを有効活用することができる。
【0029】
本発明の第十一の形態では、前記シートはポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタラートフィルム、又はポリポロピレンフィルムベースの樹脂シートである。
【0030】
上記第十一の形態によれば、シートがタイヤと一緒に転がっても破れず、転がして輸送される際に邪魔にはならない。
【0031】
本発明の第十二の形態では
タイヤへ帯状ラベルを取り付ける方法であって、
前記帯状ラベルの裏面の上に、タイヤのトレッド部を下にして載置する工程と、
前記帯状ラベルを、前記タイヤのサイドウォールに巻き付ける工程と、
前記帯状ラベルの端部同士を、前記タイヤのビードの内側で、粘着する工程と、を有する。
【0032】
上記第十二の形態によれば、帯状ラベルはタイヤに直接貼られないため、取り付けのための粘着力はシール等、弱くてよいため、帯状ラベルを装置によって自動で装着することができる。
【発明の効果】
【0033】
一態様によれば、タイヤ用RFIDラベルによって、タイヤに含まれる構成要素による影響を受けにくく、通信距離を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るタイヤ用RFIDラベルの装着状態を示す斜視図。
【
図2】第1実施形態の第1構成例に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図。
【
図4】第1実施形態の第2構成例に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図。
【
図5】タイヤ種類と第1実施形態のタイヤ用RFIDラベルの長手方向長さとタイヤからの離間距離の一例を示す表。
【
図6】第1実施形態の第3構成例に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図。
【
図7】第1実施形態の第4構成例に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図。
【
図8】第1実施形態の第5構成例に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図。
【
図9】第1実施形態の第6構成例に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図。
【
図10】本発明の第2実施形態に係るタイヤ用RFIDラベルの装着状態を示す斜視図。
【
図11】第2実施形態に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図。
【
図12】タイヤ種類と第2実施形態のタイヤ用RFIDラベルの長手方向長さとタイヤからの離間距離の一例を示す表。
【
図13】実験例で使用したRFIDインレイの位置を示す斜視図及び断面図。
【
図14】実験例における測定装置による測定中の説明図。
【
図15】本発明の第3実施形態に係るタイヤ用RFIDラベルの装着状態を示す斜視図。
【
図16】本発明の第4実施形態に係るタイヤ用RFIDラベルの装着状態を示す斜視図。
【
図17】第1実施形態のタイヤ用RFIDラベルの取り付け方法を示す図。
【
図18】シートの台紙からの自動剥離を示す説明図。
【
図19】タイヤ用RFIDラベルの取付け方法のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0036】
<第1実施形態>
まず、
図1、
図2を用いて本発明の第1実施形態に係るタイヤ用RFIDラベルについて説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るタイヤ用RFIDラベルのタイヤへの装着状態を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態の第1構成例に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図である。
【0037】
図1において、(a)はタイヤ用RFIDラベル1が装着されたタイヤ5の、タイヤ用RFIDラベル1が取り付けられた側から見た斜視図であり、(b)は、タイヤ用RFIDラベル1が装着されたタイヤ5の、RFIDラベル1が取り付けられていない側から見た斜視図である。
図2において(a)は取付け前のタイヤ用RFIDラベル1単体の展開図であり、(b)は、タイヤ用RFIDラベル1が、タイヤ5に取り付けられている状態の断面図である。
【0038】
本発明に係るRFIDラベル1は、タイヤ5に装着される装着部材と、装着部材上に設けられるRFIDインレイ3とを備える。本実施形態では、装着部材は、帯状のシート(基材シート)2である。
【0039】
RFIDインレイ(RFIDタグ、RFIDインレット、ICチップ、RFタグともいう)3は、パッシブ型、アクティブ型等様々な形式のものであってもよい。RFIDインレイ3は、樹脂フィルムなどの基材上にICチップとアンテナを配置した、アンテナ付ICチップである。RFIDインレイ3は、LF帯、HF帯、UHF帯、又はマイクロ波帯のいずれかの周波数帯が使用されて、RFIDアンテナを有するRFIDリーダ800(
図14参照)と送受信を行う。
【0040】
図1(a)、
図2(b)に示されるように、第1実施形態のタイヤ用RFIDラベル1は、シート2が、タイヤ5の内側縁を規定する一対のビード54A、54B間に掛け渡されるように、タイヤ5の一部に巻き付けられることで、タイヤ5に取り付けられている。
【0041】
本実施形態では、RFIDラベル1がタイヤ5に取り付けられた状態では、
図1(b)、
図2(b)に示すように、RFIDインレイ3は、タイヤ5の内側(裏側)である、ビード54A、54B間に位置している。即ち、シート2上の所定の領域に、RFIDインレイ3が設けられており、シート2がタイヤ5に取り付けられた状態で、所定の領域Rは、シート2がタイヤ5から離間している空間に位置する。
【0042】
また、本発明のタイヤ用RFIDラベル1は、シート2上のスペースの有効活用として広告帯として機能すると好ましく、広告帯となる場合、シート2には、広告、ブランド、タイヤのサイズ、タイヤの性能や、注意を惹く図柄等を表示する意匠表示面(意匠面)Dが設けられている。
【0043】
この際、
図1(a)、
図2(b)に示すような取り付け状態において、タイヤ用RFIDラベル1のシート2上の意匠表示面Dは、タイヤの外側円弧面(トレッド部511)と対向する外側面対向領域21及び/又はサイドウォール512A、512Bと対向する側面対向領域22A、22Bに位置していると好適である。なお、背面に位置する裏側対向領域23A、23Bは、顧客から販売時にあまり見えないため、広告ひょう
【0044】
また、
図2(a)のように装着前の状態では、本実施形態の装着部材であるシート2は、細長い帯状のシートである。
【0045】
シート2の長手方向の寸法については、装着されるタイヤ5の大きさに応じて変化する。一例として、シート2の長手方向の長さは、55cm~100cm、短手方向は、5cm~30cm程度であり、短手方向の長さは、長手方向の長さに合わせて適宜設定される。またシート2の厚みは、40μm~90μm程度である。なお、説明のため、
図2(b)及び以降の断面図では、シート2を分厚く示しているが、実際はタイヤ5の大きさに対して、シート2の厚みは非常に薄い。
【0046】
本実施形態では、このような長い帯状のシート2をタイヤ5の一部に巻き付けて取り付ける。詳しくは、シート2は、円環状のタイヤの一部であって、外側円であるトレッド部511の1つの領域と、対向する一対のサイドウォール512A、512Bの領域と接触するように、断面ループ状に巻き付けられることでタイヤ5に取り付けられる。この取り付けにより、装着状態では、シート2は、断面に沿った、ループ(輪っか)状となり、RFIDインレイ3は、タイヤ5の裏側、即ち円環状のタイヤ5の内周縁を規定する対とるビード54A、54Bの内側で、空中に浮いているようになる。
【0047】
ここで、一般的に、製造及び、流通等においてタイヤは転がして運ばれるが、本構成では、薄いシートがタイヤ5の一部だけに、巻き付けられているため、転がして輸送される際に邪魔にはならない。なお、流通等において、タイヤ5を転がしたり、向きを変えたりする際に、トレッド部511の溝の方向によってシート2の巻き付け位置が、円周方向にはずれるかもしれないが、トレッド部511のゴムの幅方向の摩擦によってシート2が摩擦により径方向に回りにくくなる。そのため、タイヤ5の断面方向におけるRFIDインレイ3の位置はほとんど変化しないため、性能に変化はない。
【0048】
また、シート2は、タイヤ5と一緒に転がっても破れないように、ある程度の強度を有するプラスチック樹脂、具体的には、ポリエステル(PE)フィルム、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルム素材の白地のフィルム(白PETフィルム)、ポリポロピレン(PP)フィルムベースの樹脂シート等で構成されている。あるいは、頑丈な樹脂フィルムで表面及び裏面をコーティングしたロール紙、あるいは、PPと無機充填材を含むユポ(登録商標)であってもよい。
【0049】
さらに、本実施形態では、シート2は、長手方向の少なくとも一端の背面側が粘着部であり、シート2の端部同士が貼り合わされて、シート2がループ状にタイヤ5に巻き付けられる。
【0050】
そのため、シート2はタイヤ5に粘着されないため、タイヤ5に粘着させるための高粘度の粘着剤を用いる必要がなく、シート2をタイヤ5に巻き付けた後、一般的な粘着剤によって、シート同士を粘着することで、タイヤ用RFIDラベル1を簡単に、装着することができる。
【0051】
さらに、
図2(b)に示すように、装着状態において、RFIDインレイ3は、シート2において粘着部(粘着領域)29の近傍に、粘着部29よりも長手方向内側に位置している。
【0052】
この構成により、RFIDインレイ3を、タイヤ5から離れた空中に浮かぶような位置に配置することで、通信から妨害されないことに加えて、シート端部もタイヤの裏側に位置するようになり、見ためがよくない端部をタイヤの裏側に配置して隠すことができる。
【0053】
なお、
図2(b)では、シート2は、長手方向一端OEの、RFIDインレイ3が設けられた面とは反対面である背面側に設けられた粘着部29が、他端TE上に重なった状態で他端TEの表面側に貼りつけられることで、折り紙の輪のように全面がループ状になる例を示した。
【0054】
しかし、シート2で構成されるループは、RFIDインレイ3の近傍の一端の背面側に設けられた粘着部が、他端の背面側に貼りつけられることで、空港の手荷物タグのように、貼り付け面である端部がループの外側に突出する形状であってもよい(
図7参照)。
【0055】
(タイヤの構造)
ここで、タイヤの概略構造について説明する。
図2は、タイヤの断面図である。なお、
図3の断面図では、ベルト層53を少し前方に延伸するように示している。
【0056】
図3に示すように、タイヤ5の断面は、略円弧状(C字形状)であり、円弧の両端部及び必要応じて円弧の内腔部に、ホイールリム(不図示)の一部が嵌め込まれるように装着される。
【0057】
タイヤ5は、ゴム系本体のタイヤ本体51と、C字形状の全域に設けられる金属製のカーカス(プライコード)52と、ベルト層53と、ビード(ビードコア)54A、54Bとを有している。
【0058】
タイヤ本体51において、タイヤ外周側の面はトレッド部511であり、側面はサイドウォール512A、512Bである。タイヤ本体51には、ゴムと、ゴムの強度を高めるために、カーボンブラックが含まれている。
【0059】
トレッド部511の両端部は、ショルダーとも呼ばれる。トレッド部511は、直接路面に接する部分であって、厚いゴム層で、内部のカーカス52を保護する。トレッド部511の外側面には、摩耗に耐える、排水性を向上してスリップを防止する、転がり抵抗を低減する等のために、様々な溝部パターンが刻まれている。
【0060】
サイドウォール512A、512Bは、走行する際に最も撓む部分であり、カーカス52を保護する。また、サイドウォール512A、512Bの端部は、リムラインとも呼ばれる。
【0061】
インナーライナー513は、カーカス52の内側のタイヤ本体51である。インナーライナー513は、チューブレスタイヤではチューブの替わりとなる部分で、内側の空気を包む役割をする。
【0062】
カーカス52は、タイヤ5の骨格となる部分であって、C字形状の両端部はビード54A、54Bの周りで折り返されるビートワイヤー520A、520Bとなっている。カーカス52は、タイヤ5内部の空気圧を保持し、タイヤ5が受ける荷重・衝撃に耐える。一例として、カーカス52は、例えば、ポリエステル、ナイロン、レーヨンコード等の有機繊維コードを用いた1又は複数枚のカーカスプライで構成されている。
【0063】
ベルト層53は、タイヤ半径方向において、カーカス52と外側かつトレッド部511の内側に配置されている。ベルト層53は、主にスチールコードで構成されている。
【0064】
また、タイヤ5の内径側端部であって、C字断面の先端のホイールリムが装着される側の端部には、ビード54A、54Bが設けられている。例えば、ビード54A、54Bは、高炭素鋼を束ねた構造金属で構成される。
【0065】
なお、
図3の例では、ベルト層53を有するラジアル構造のタイヤの例を示しているが、本発明のタイヤ用RFIDラベル1が装着可能なタイヤ5は、ベルト層53にかえてブレーカーを有する、バイアス構造のタイヤであってもよい。
【0066】
いずれの構造のタイヤでも、外側円周面であるトレッド部511と側面であるサイドウォール512A、512Bを含むタイヤ本体51と、サイドウォールの内側端に位置し内側縁部で平行する一対のビード54A、54Bを有している。
【0067】
ここで、タイヤ本体51に含まれるカーボンブラックや、ビード54A、54Bを構成する鋼は、RFID帯の通信を阻害することが知られている。
【0068】
そのため、本発明では、
図1(b)、
図2(b)に示すように、シート2がタイヤ5に取り付けられた状態で、RFIDインレイが取り付けられる所定の領域は、タイヤの一対のビード54A、54B間の空間に位置する。即ち、
図2(b)に示すようにRFIDインレイ3は、ビード54A、54B間で宙に浮いており、下方向及び横方向において、タイヤ5から離れている。
【0069】
詳しくは、
図2(b)に示す、RFIDインレイ3の背面の、C字の円弧状の断面において、通信方向(奥行方向)におけるタイヤからの離間距離Dd1は、
「離間距離D1d=タイヤ高さH+シート厚み×2-タイヤ外側円弧の厚みT」
で表され、シートの厚み≪タイヤ高さのため、
「離間距離D1d≒タイヤ高さH-タイヤ外側円弧の厚みT」
となる。
【0070】
ここで、タイヤ外側円弧の厚みTとは、タイヤ5の円環状の外側面を構成するトレッド部511、ベルト層53、カーカス52、及びインナーライナー513の厚みの合計となる。しかし、このタイヤ外側円弧の厚みTは、例えば、オフロードタイヤではブロックも大きく分厚いなど、タイヤの品種によって様々であり、一律には規定できないが、円弧の厚みTは、タイヤ高さ(タイヤ断面高さ)Hの大体1割~3割程度である。
【0071】
そのため、タイヤ外側円弧の厚みTが太い場合を考慮しても、離間距離D1dはタイヤ高さH×0.7以上であると考えられる。例えば、小型車でタイヤ高さHが99mmの場合は、離間距離D1d≧99×0.7=69.3mmとなり、RFIDインレイ3は、タイヤ5で奥行き方向において最も近い、タイヤ外側円弧の内側面に対して十分に離間しているといえる。
【0072】
また、RFIDインレイ3の横方向におけるタイヤ5からの離間距離D1wは、ビード54A、54B間の中央に配置されるとして、
「離間距離D1w=(ビード間距離-RFIDインレイの長さ)÷2」となる。
【0073】
ここで、ビード54A、54B間距離は、ホイールリムの幅とほぼ同じであり、ホイールリム幅は、0.5インチ刻みで設定されているため、例えば、普通車では13.97cm、大型車や高級車では19.05cmである。また、RFIDインレイ3は、一例として熱転写ラベルプリンタで加工される場合は、4インチ、例えば、76mm×20mm以下である。
【0074】
そのため、上記式に当てはめると、離間距離D1wは、普通車の場合は、(139.7-76)÷2=31.85mm、大型車や高級車の場合は、(190.5-76)÷2=57.25mm、となり、RFIDインレイ3は、タイヤ5で左右方向に最も近いビード54A、54Bに対して十分に離間しているといえる。
【0075】
離間距離の具体的な寸法は、後述の
図5の表に示す。このような配置により、本実施形態のタイヤ用RFIDラベル1において、RFIDインレイ3は、奥行及び横方向の両方において、タイヤ5から離間している。このように、RFIDインレイ3は、タイヤ5からの離間距離を十分に確保できるため、タイヤに直接貼りつける場合よりも通信が阻害されず、通信距離を確保することができる(実験例参照)。
【0076】
また、本発明のRFIDラベルは、例えば実店舗で持ち帰りの場合は会計時、または、会計後店のスタッフがタイヤをホイールリムへ取り付け時に、タイヤから取り外される。あるいは、インターネット販売や自宅配送の場合は、ユーザーがタイヤを、車のタイヤホイール装着前に、取り外される。
【0077】
ここで、シート2を構成する樹脂、あるいは紙のシート2を覆う樹脂フィルムの強度により、タイヤ用RFIDラベル1を取り外す際に破れにくく、
図2(a)に示すシート2の構成では、取り外しの際、ハサミを使用して切る、あるいは、強い力をかけて引きちぎる必要がある。
【0078】
(第2構成例)
図4は、第1実施形態の第2構成例に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図である。
図4において(a)は取付け前のタイヤ用RFIDラベル1A単体の展開図であり、(b)は、タイヤ用RFIDラベル1Aが、タイヤ5に取り付けられている状態の断面図である。
【0079】
本構成例では、タイヤ用RFIDラベル1Aをタイヤ5から取り外す際にシートを破りやすいように、切り離し線(ミシン目破断線)24が設けられている。シート2をタイヤ5から取り外すための切り離し線24、長手方向と直交する方向に延伸して設けられている。なお、切り離し線24の程度にもよるが、切り離し線24を全域に設けると流通中に切れてしまうおそれがある場合は、シート2の短手方向中央には、切り離し線24を設けなくてもよい。
【0080】
この構成により、本構成例では、ハサミを準備することなく、簡単にシート2を破けるようになり、RFIDラベル1Aをタイヤ5から取り外す際の手間や労力を削減することができる。なお、本構成例の長さや粘着法は、第1構成例と同様である。
【0081】
(シートの寸法と離間距離)
図5は、タイヤ種類と第1実施形態のタイヤ用RFIDラベルの長手方向長さとタイヤからの離間距離の一例を示す表である。
【0082】
図5に示すように、タイヤは、大体の車のサイズ毎に、タイヤの幅が規定されている。なお、
図5に示すシートの長さは、
図2、
図4に示すように、シート2において、端部同士、一端OE側の端部の裏面側と、他端TE側の端部の表面側が、貼りつけられることで、端部同士がループ内で重ね合わせて貼り合わされる場合の寸法例である。
【0083】
さらに、同様のタイヤの直径サイズでも、車種毎に扁平率が異なり、それによりタイヤの高さ(厚み)も規定されている。そのため、装着部材となるシート2の長さは、トレッド面を基準としてタイヤ断面を周回して貼り合わせて足りるように、タイヤ5のサイズによって大きく決定づけられる。
【0084】
また、膨大な数のタイヤの種類が存在するが、タイヤ断面周回サイズは、タイヤの幅による違いは、タイヤの厚みによる違いよりも、大きい。そのため、例えば、小型、中型、大型、超大型の4種類を準備しておき、サイズ毎に適用すると好適である。
【0085】
(第3構成例)
図6は、第1実施形態の第3構成例に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図である。
図6において(a)は取付け前のタイヤ用RFIDラベル1B単体の展開図であり、(b)は、タイヤ用RFIDラベル1Bが、タイヤ5に取り付けられている状態の断面図である。
【0086】
本構成例では、タイヤ用RFIDラベル1は、RFIDインレイ3が設けられる側の一端OEが、取り付け状態において、ループの外側に位置するように、タイヤ5に取り付けられる。即ち、本構成例では、RFIDインレイ3は、長手方向の一端OEの粘着部29Bよりも外側に設けられていることで、シート2がタイヤ5に取り付けられた状態において、シート2Bのループよりも外側に飛び出した領域に位置している。そのため、本構成例では、端部の半券部25は、短手方向両端から切れ込みが入った疑似四角形状で、取り付け状態で、ループから浮いて外側に飛び出て、自由端となっており自由に動き、目立つため、販売者が在庫管理の際にRFIDインレイ3の位置を発見しやすい。また、例えば、半券部25をつかむことで、読み取り時に、RFIDリーダの方向に、RFIDインレイ3を簡単に向かせることができる。
【0087】
さらに、
図6(b)に示すように、端部の半券部25は、シート2Bにおいて、巻き付けによりループを構成している部分よりも、さらにタイヤから離れて起立していることで、通信距離がさらに向上する。
【0088】
(第4構成例)
図7は、第1実施形態の第4構成例に係るタイヤ用RFIDラベルの全体図と断面装着図である。
図7において(a)は取付け前のタイヤ用RFIDラベル1C単体の展開図であり、(b)は、タイヤ用RFIDラベル1Cが、タイヤ5に取り付けられている状態の断面図である。
【0089】
本構成例では、タイヤ用RFIDラベル1Cをタイヤ5に取り付けられる際に、シート2Cをタイヤ5のトレッド部511とサイドウォール512A、512Bとの境界に、折り目線26(折り目目印(ミシン目)、見切り線)又は折り癖が、シート2Cの長手方向と直交する方向に延伸して設けられている。
【0090】
さらに、本構成例では、シート2Cにおける、サイドウォール512A、512Bに対応する領域において、外側から内側に向けて幅が狭くなるように端部が傾斜している、台形形状である。ここで、RFIDインレイ3は、顧客用ではなく、管理用のため、目立つ必要はないため、細い面の貼り付けでも問題ない。
【0091】
本構成でのシート2Cでは、側面において、タイヤ5の径方向の外側面が広く内側面は狭い。そのため、顧客から見えやすい外側表面が大きいため、意匠表示面Dを大きく出来、例えばデザインを目立たせることができる。また、シート2Cは、サイドウォール512A、512Bに対向する領域は、台形形状となるため、台形形状を生かした意匠を施すことができる。
【0092】
このような折り目線26を設けることで、断面方向にシートが回りにくくすることができる。さらに、折り目線26によって、タイヤ5に対するシート2の位置を明確に規定されるため、意匠表示面Dの位置を所望の位置に正しくセットすることができる。
【0093】
なお、
図7に示す折り目線(見切り線)26、
図4に示す切り離し線24の位置は一例であって、シート内の、どこの部分に位置してもよい。なお、折り目線26はわかりやすいデザインであっても、隠れたデザインであってもよい。
【0094】
なお、第4構成例で示す折り癖や、シートの外形構造は、他の構成例や第2実施形態に適用してもよい。
【0095】
(第5構成例)
図8は、第1実施形態の第5構成例に係るタイヤ用RFIDラベル1Dの全体図と断面装着図である。
図8において(a)は取付け前のタイヤ用RFIDラベル1D単体の展開図であり、(b)は、タイヤ用RFIDラベル1Dが、タイヤ5に取り付けられている状態の断面図である。
【0096】
上記構成例では、シート2をループ状にした際に、貼り合わせて略円形になる例を示したが、シート2Dの端部は、ループからさらに伸び出して、
図9(b)に示すように、断面が6の字状の構成であってもよい。
【0097】
図8に示す構成では、例えば、RFIDインレイ3が設けられていない他端が裏側に長く延伸しているため、裏側から伸びている領域にも、広告等の意匠を付すことができる。
【0098】
なお、
図8では、RFIDインレイ3が設けられていない側の端部(他端)が、ループの外に延伸している例を示したが、RFIDインレイ3が設けられている側の端部(一端)が、ループの外に延伸していてもよい。その場合、ループから伸び出したシートをつかむことで、RFIDインレイ3をよりRFIDリーダの方に向けやすくなる。
【0099】
上記第1実施形態における第1構成例~第5構成例では、タイヤ用RFIDラベル1~1Dでは、シート2の一部同士が粘着することで、タイヤ5に装着されている。そのため、シート2は、直接、タイヤには粘着していない。これにより、タイヤ用RFIDラベル1~1Dをタイヤ5に装着するための、粘着力が高い特殊な接着剤が不要となり、シート同士を粘着させることで、弱い接着でも簡単に貼り合わせて、タイヤに装着することができる。
【0100】
また、装着部材であるシート2は、タイヤ5は接着されていないため、取り外しの際は、シートの粘着をはがす、あるいはシートを破るだけで、タイヤ5からRFIDラベル1を簡単に分離することができる。さらに、粘着力が高い粘着剤が不要であることで、シート上にRFIDインレイの加工がしやすい。
【0101】
ただし、本発明のタイヤ用RFIDラベルは、タイヤの断面を巻回するようなループに対して、長さが足りる構成でなくてもよい。
【0102】
(第6構成例)
図9は、第1実施形態の第6構成例に係るタイヤ用RFIDラベル1Eの全体図と断面装着図である。
図9において(a)は取付け前のタイヤ用RFIDラベル1E単体の展開図であり、(b)は、タイヤ用RFIDラベル1Eが、タイヤ5に取り付けられている状態の断面図である。
【0103】
図2、
図4、
図6~
図8では、シート2の長手方向の長さが、タイヤ5の断面周回サイズよりも長く、シートの一部が重なり合って貼り合わせる構成であった。
【0104】
ただし、本発明のタイヤ用RFIDラベル1は、RFIDインレイ3が、宙に浮いていれば(中空に位置していれば)、タイヤ5の断面周回サイズよりも、シート2の長手方向長さが、短くてもよい。
【0105】
本構成例では、シート2Eがタイヤの断面周回サイズよりも短い場合の構成を締める。本構成では、例えば、シート2Eの端部同士に粘着テープや、弾性ゴムを取り付けることで、端部同士で連結してもよい。あるいは、シート長手方向の端部に、連結バンド4に取り付けて結合することで、連結バンド4の部分をタイヤに粘着させて取り付けてもよい。本構成例では、シートの長さをタイヤ断面周回サイズよりも短くし、シート同士の重なりを設けないため、シートの長さを短くし、その分樹脂使用量を削減することができる。
【0106】
上記第1実施形態の構成では、第1構成例~第6構成例のいずれの場合も、RFIDインレイは、タイヤ5の内側縁部であるビード54A、54Bの間に位置しており、タイヤから離間して配置されているため、交信距離を確保することができる。
【0107】
<第2実施形態>
次に、
図10、
図11を用いてタイヤ用RFIDラベルの第2実施形態の構成について説明する。
【0108】
図10は、本発明の第2実施形態に係るタイヤ用RFIDラベル10の装着状態を示す斜視図である。
図11は、第2実施形態に係るタイヤ用RFIDラベル10の全体図と断面装着図である。
図11において(a)は取付け前のタイヤ用RFIDラベル10単体の展開図であり、(b)は、タイヤ用RFIDラベル10が、タイヤ5に取り付けられている状態の断面図である。
【0109】
本実施形態では、
図10、
図11に示すように、シート20がタイヤ5に取り付けられた状態で、RFIDインレイ30が取り付けられる所定の領域は、タイヤ5の内径空間に位置する。
【0110】
詳しくは、本実施形態では、シート20は、円環状のタイヤ5の内側円を架橋するように、外側円であるトレッド部511の2つの領域と、2つのトレッド部51夫々と連接する対向するサイドウォール512A、512Bの2対の領域と接触するように、ループ状に巻き付けられることで、タイヤ5に取り付けられる。
【0111】
本実施形態では、
図11(b)に示すようにRFIDインレイ30は、内径空間で宙に浮いており、タイヤ5から離れている。
【0112】
ここで、
図12に、タイヤの寸法と本実施形態におけるRFIDインレイのタイヤまでの距離までの寸法例を示す表を示す。
【0113】
詳しくは、
図11(b)に示すように、RFIDインレイ30の背面は、C字の円弧状の断面において、RFIDインレイ30の、通信方向(奥行)におけるタイヤから離間距離D2dは、例えば、タイヤが通信を妨害する面上に載置された場合は、
「離間距離D2d=タイヤの幅W」となる。
【0114】
例えば、タイヤの幅Wは、
図12の表に示したように、軽自動車用の場合は、135mm~165mm、小型車用の場合は185~205mm、大型車の場合は、215~235mmm、超大型車の場合は265~305mm程度であり、これが離間距離D2dとなる。よって、RFIDインレイ30は、取り付け対象となるタイヤ5では奥行き方向には何も近接せず、仮に地面等の上に置かれたとしても、地面から十分に離間しているといえる。
【0115】
また、RFIDインレイ30の横方向におけるタイヤ5からの離間距離D2wは、RFIDインレイ30が内径空間の中央に配置されるとして、
離間距離D2w=(タイヤ内径直径-RFIDインレイの長さ)÷2となる。
【0116】
ここで、タイヤ内径直径≒ホイールリムのリム径のため、リム径は、12インチ~20インチが大体一般的であるため、小さい場合の12インチの場合は、リム径は、30.48cmとなる。そして、上述のようにRFIDインレイ30の寸法が76mm×20mmであるとすると、離間距離D2w≒(304.8mm-76mm)÷2=114.4mmとなる。よって、RFIDインレイ30はタイヤ5で横方向に最も近い、リング内径縁から十分に離間しているといえる。また、タイヤが大きい場合は、リム径も大きくなるため、リム径に応じて離間距離D2wはさらに長くなる。
【0117】
離間距離の具体的な寸法は、
図12の表に示す通りである。
図12に示すように、本実施形態においても、RFIDインレイ30は、奥行及び横方向の両方において、タイヤ5から離間している。このように、本実施形態のRFIDインレイ30は、タイヤ5から離間距離を十分に確保できるため、タイヤに直接貼りつける場合よりも通信が阻害されず、通信距離を確保することができる(実験例参照)。
【0118】
(実験例)
次に
図13、
図14を用いて、通信距離の測定結果について説明する。
【0119】
図13は、実験例で使用するRFIDインレイのタイヤに対する位置を示す、斜視図及び断面図である。
図14は、実験例における測定装置による測定中の説明図である。
【0120】
図13(a)、
図13(b)に示すように、位置aは、トレッド部511の表面に直接RFIDインレイを含むラベルを貼りつけた状態、位置bは、サイドウォール512Aの表面の直接RFIDインレイを含むラベルを貼りつけた状態、位置cは、第1実施形態のように巻き付けにより一対のビード54A、54B間にRFIDインレイが位置している状態、位置dは第2実施形態のようにタイヤの内径にRFIDインレイが位置している状態を示す。
【0121】
本例では、特定小電力用の無線通信リーダとして、250mWデンソーウェーブBHT-615QUMWBを用いて測定した。また、1Wの構内無線局用の無線通信リーダとして、デンソーウェーブSP1-QUBiを用いて測定した。
【0122】
250mWの特定小電力の電波帯では、タイヤに直接取り付けられたRFIDインレイの位置a、位置bでは、通信距離は数cmであったのに対して、第1実施形態の位置cでは、通信距離は120cmであった。
【0123】
また、1Wの構内無線局の電波帯では、タイヤに直接取り付けられたRFIDインレイの位置aでは通信距離は、30cm、位置bでは200cmであったのに対して、第1実施形態の位置cでは、通信距離は500cm以上、第2実施形態の位置dでは、通信距離は、500cm以上であった。
【0124】
これにより、いずれの電波帯においても、本発明のタイヤ用RFIDラベルによって、RFIDインレイが、タイヤから離間していることで、通信距離をより長くすることができる。
【0125】
このように通信距離を長くすることで、物流管理において、より離れた距離から管理できるため、例えば棚卸など作業が効率的になり、利便性が向上する。
【0126】
<第3実施形態>
上記例では、専用のシートをRFIDの取付け用シートとしていた。しかし、タイヤに装着される既存の部材を本発明の装着部材として用いてもよい。
【0127】
図15は、本発明の第3実施形態に係るタイヤ用RFIDラベル1α(10α)の装着状態を示す斜視図である。
図15(a)は、タイヤ5の全面に包装用ストレッチフィルム60が巻かれた図であり、
図15(b)は、タイヤ5の一部に、内側面と外側面との間を包装用ストレッチフィルムが巻かれた図である。
【0128】
例えば、ホイール装着前のタイヤ5は、保護のため、透明又は透過性のある包装用ストレッチフィルム6(60)を巻き付けた後、シュリンク機をかけて密封包装されることがある。包装用ストレッチフィルム6は、例えば、ポリオレフィン系樹脂としては、線状低密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等、または、それらを混合したものが挙げられる。
【0129】
本実施形態では、包装用ストレッチフィルム6が装着部材として機能し、RFIDインレイ3が取り付けられた包装用ストレッチフィルムが、タイヤ用RFIDラベル10α(1α)として使用される。その際、RFIDインレイ3(30)の配置位置は、
図15(b)に示すように第1実施形態同様、対向するビード54A、54B間であってもよいし、
図15(a)に示すように第2実施形態同様、タイヤ5の内径の間に位置してもよい。
【0130】
また、包装用ストレッチフィルム6(60)は、複数のタイヤをまとめて巻き付けることがある。その場合、例えば1つの車に取り付けられるセットになった複数のタイヤ(例えば、2個セット、4個セット)に対して1つのタイヤ用RFIDラベルが設けられてもよい。
【0131】
<第4実施形態>
あるいは、複数のタイヤをまとめて取引するため、複数のタイヤに対して結束バンド(例えばPPバンド)7が、巻き付けられることがある。この結束バンドを装着部材として、結束バンド上にRFIDインレイが装着したものを、本発明のRFIDラベルとしてもよい。
【0132】
図16は、本発明の第4実施形態に係るタイヤ用RFIDラベル1βの装着状態を示す斜視図である。
【0133】
本発明のタイヤ用RFIDラベル1βにおいて、本実施形態では、結束バンド7を装着部材として、結束バンド7上にRFIDインレイ3が装着されている。
【0134】
第4実施形態及び第5実施形態では、既存の包装用部材に、RFIDインレイ(RFIDタグ)を後付けするだけで、ホイール装着前のタイヤの情報を取得できる。よって、タイヤの物流において、在庫管理等をより簡単に実行することができる。
【0135】
<取付け方法>
次に、
図17~
図19を用いて、タイヤ用RFIDラベルの、タイヤへの取り付け方法について説明する。
図17は、第1実施形態のタイヤ用RFIDラベルの取り付け方法を示す図である。
図18は、シートに対する台紙の自動剥離を示す説明図である。
図19は、取付け方法のフローチャートである。
【0136】
図17において、(a)は、タイヤ用RFIDラベル1上にタイヤ5を載置して吸着パッドで吸着している状態を示す図である。(b)、(c)はタイヤ用RFIDラベル1の他端TE側をタイヤ5に巻き付けていく工程を示す図である。(d)、(e)は、タイヤ用RFIDラベル1の一端OEをタイヤ5に巻き付けていく工程を示す図である。(f)は、シート2の端部同士を粘着させる状態を示す図である。
【0137】
また、
図18において、(a)は、台紙によって粘着部がカバーされた複数のタイヤ用RFIDラベル1が、吸着台上にセットされた状態を示す図である。(b)は、吸着パッドで、粘着部29に貼り付けられた台紙を吸引し始める状態を示す図であり、(c)は、吸着パッドを用いてシート2の粘着部29から台紙を剥がしていく状態を示す図であり、(d)は台紙を粘着部29からほぼ剥がし終わった状態を示す図である。
【0138】
図18において、まず、(a)に示すように、台紙(ラベル台紙、セパレータともいう)が、帯状のシートの端部の粘着部29の上側に貼り付けられ、RFIDインレイ3が下面側に向いているタイヤ用RFIDラベル1が、吸着台にセットされる。なお、
図18では、シート全面が台紙と対向している状態を示しているが、詳しくは、台紙は、シート2の一方の端部の粘着部29に対して貼られた状態である。また、台紙の接着面とは異なる面には、曲がりやすいように、短手方向に伸びるスリットが形成されていると好適である。
【0139】
なお、
図18では工程を示していないが、粘着部29が台紙上に貼られた状態では、シート2上に、RFIDインレイ3が既に装着されている。あるいは、粘着部29が台紙に貼れている状態で、シート2に対してRFIDインレイ3が装着、あるいは印刷されてもよい。
【0140】
そして、吸着パッドを用いて、台紙を吸引しながら、シート2の粘着部29から剥がす(
図18(b)→(c))
【0141】
そして、そのまま台紙を持ち上げて、台紙が、粘着部29から離れたら、
図17に示すタイヤへの取り付け工程へと進む。
【0142】
図17に示す巻き付けと、
図18に示す吸着を組み合わせた本発明の取り付け手順について
図19とともに説明する。
【0143】
ステップS1で、粘着部に台紙が貼られた状態で、タイヤ用RFIDラベル1を、吸着台上にセットする(
図18(a))。
【0144】
ステップS2で、タイヤ用RFIDラベル1の端部に位置する粘着部29から、台紙を剥離する(
図18(b)→(c)→(d))。この際、
図18に示すように、吸着パッドを用いて台紙を剥がす。
【0145】
ステップS3で、帯状のタイヤ用RFIDラベル1の裏面の上に、タイヤ5のトレッド部51を下にして載置する(
図17(a))。
【0146】
ステップS4で、帯状のタイヤ用RFIDラベル1の他端TE側を持ち上げて折りながらタイヤの外側面であるサイドウォール512Bに沿ってぐるりと巻き付ける(
図17(b)→(c))。なお、本工程における、
図17(b)の状態で、意匠表示面Dの正面位置を調整する。
【0147】
ステップS5で、帯状のタイヤ用RFIDラベル1の一端OE側を持ち上げて折りながらタイヤの外側面であるサイドウォール512Aに沿ってぐるりと巻き付ける(
図17(d)→(e)→(f))。
【0148】
ステップS6で、帯状のタイヤ用RFIDラベル1の端部同士を、タイヤ5のビードの内側で、押し合って、圧着粘着する(
図17(g))。
【0149】
このような取り付けによって、第1実施形態のようにタイヤの一部に横に巻き付けるラベルの自動装着が実現できるとともに、ラベルの端部同士で粘着することで、特殊な粘着なしでシート同士の弱い粘着力で取付けができる。
【0150】
なお、
図19のフローでは、台紙を剥がした後に、タイヤへの巻き付けを開始する例を説明したが、例えば、他端TE側の折り曲げと、一端側の粘着部29の台紙剥がしを同時に実行してもよい。
【0151】
また、従来のタイヤへ直接貼り付けるラベルは、トレッド面がゴムで貼りにくいため、ラベルの粘着強度が強くする必要があり、貼り付けを自動化できなかった。そこで、本発明の巻き付けタイプのシート状のタイヤ用RFIDラベルでは、シート同士を粘着することでタイヤに取り付けるため、タイヤ専用の強力な粘着剤は不要であり、吸着機構を含む装置によって自動で装着することができる。
【0152】
なお、
図17~
図19の取り付け方法は、RFIDラベルに限られず、タイヤの一部に、断面を周回するように巻き付けるタイプのシートラベルの巻き付けの場合も取付け実行可能である。
【0153】
以上、好ましい実施形態および変形例等について詳説したが、本開示は、上述した実施形態および変形例等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0154】
1、1A、1B、1C、1D、1E、10、1α、1β タイヤ用RFIDラベル
2、2A、2B、2C、2D、2E、20 シート(装着部材)
3、30 RFIDインレイ
5 タイヤ
6、60 包装用ストレッチフィルム(装着部材)
7 結束バンド(装着部材)
24 切り離し線
26 折り目線
29、29B、290 粘着部
51 タイヤ本体
511 トレッド部
512A、512B サイドウォール
54A、54B ビード
D 意匠表示面
OE 一端
TE 他端