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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149830
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ラミネート方法及びラミネート装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 63/02 20060101AFI20231005BHJP
   B29C 65/54 20060101ALI20231005BHJP
   C09J 5/06 20060101ALI20231005BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20231005BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B29C63/02
B29C65/54
C09J5/06
C09J175/04
C09J11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058607
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】東洋インキSCホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】内山 裕清
(72)【発明者】
【氏名】金子 哲也
【テーマコード(参考)】
4F211
4J040
【Fターム(参考)】
4F211AA42
4F211AD08
4F211AG01
4F211AG03
4F211AM30
4F211AR20
4F211SA07
4F211SC07
4F211SD01
4F211SN06
4F211SN19
4F211SP04
4F211SP43
4J040EF101
4J040EF282
4J040JA01
4J040JA13
4J040JB02
4J040JB04
4J040KA16
4J040LA06
4J040NA08
4J040PA30
4J040PA34
4J040PB05
4J040PB08
4J040PB14
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高湿度環境下であっても、無溶剤型接着剤の増粘及びガス発泡を抑制し、外観に優れ、生産安定性を向上させるラミネート方法及びラミネート装置の提供。
【解決手段】ロールコート部10とラミネート部20とを備えるラミネート装置を用いて、塗布基材と貼合基材とをポリオールとポリイソシアネートとを含む無溶剤型接着剤を介して圧着するラミネート方法であって、無溶剤型接着剤を第1のロール111と第2のロール112との間にある液溜部110に滞留させる滞留工程と、無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布する塗布工程と、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する圧着工程と、を有し、液溜部と、第1のロール及び第2のロールの少なくとも一部と、が空調チャンバー30により囲われており、その内部の水蒸気量が10.0g/m以下である雰囲気下で、滞留工程を行うラミネート方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロールコート部とラミネート部とを備えるラミネート装置を用いて、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着するラミネート方法であって、
前記無溶剤型接着剤は、ポリオールとポリイソシアネートとを含む反応性接着剤であり、
前記無溶剤型接着剤を第1のロールと第2のロールとの間にある液溜部に滞留させる滞留工程と、
無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布する塗布工程と、
塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する圧着工程と、
を有し、
前記液溜部と、第1のロール及び第2のロールの少なくとも一部と、が空調チャンバーにより囲われており、その内部の水蒸気量が10.0g/m以下である雰囲気下で、滞留工程を行うことを特徴とする、ラミネート方法。
【請求項2】
前記塗布工程における無溶剤型接着剤の塗布量が、1.0~3.5g/mであることを特徴とする請求項1に記載のラミネート方法。
【請求項3】
前記ロールコート部が、3本ロール方式、4本ロール方式、及び5本ロール方式からなる群より選ばれる少なくとも1種の方式である、請求項1又は2に記載のラミネート方法。
【請求項4】
第1のロールと第2のロールとの間に無溶剤型接着剤を貯留する液溜部を備え、且つ該無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布するロールコート部と、
塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する圧着部と、
を備えるラミネート装置であって
前記液溜部と、前記第1のロール及び前記第2のロールの少なくとも一部と、を囲う空調チャンバーを備え、
前記空調チャンバーは、その内部の水蒸気量を10.0g/m以下に調整可能な調湿機能を備える、ラミネート装置。
【請求項5】
さらに、無溶剤型接着剤を液溜部に供給するための供給装置、及び該供給装置から供給された無溶剤型接着剤を液溜部に供給する吐出ノズルを備える、請求項4に記載のラミネート装置。
【請求項6】
前記吐出ノズルが、塗布基材の幅方向に往来するトラバース機能を備える、請求項4又は5に記載のラミネート装置。
【請求項7】
ロールコート部とラミネート部とを備えるラミネート装置を用いて、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する積層体の製造方法であって、
前記無溶剤型接着剤は、ポリオールとポリイソシアネートとを含む反応性接着剤であり、
前記無溶剤型接着剤を第1のロールと第2のロールとの間にある液溜部に滞留させる滞留工程と、
無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布する塗布工程と、
塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する圧着工程と、
を有し、
前記液溜部と、第1のロール及び第2のロールの少なくとも一部と、が空調チャンバーにより囲われており、その内部の水蒸気量が10.0g/m以下である雰囲気下で、滞留工程を行うことを特徴とする、積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラミネート方法及びラミネート装置に関する。詳細には、食品、医薬品、化粧品、洗剤、雑貨等の包装等に使用可能な軟包装材料の製造に適したラミネート方法及びラミネート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品、化粧品、洗剤、雑貨等の包装に用いられる軟包装材料は、環境配慮及び作業性の観点から、ラミネート接着剤として無溶剤型の反応性ウレタン接着剤が好適に用いられている。
しかしながら、無溶剤型接着剤は、溶剤を用いずに粘度を低くする必要があるため、低分子量のポリオールと低分子量のポリイソシアネートとを用いる場合が多い。そのため、2液混合後の反応性が高くなり、ポットライフが短いという課題がある。
【0003】
上記状況に対し、例えば、特許文献1には、ポリオールとポリイソシアネートとを別々の基材に塗布した後に貼り合わせる技術が開示されている。この方法により、ポットライフの課題を考慮せずに、添加剤等により硬化速度を自由に調整することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/082683号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、既存の塗工機では対応できず、改造又は新規の設備導入が必要となる。さらに、無溶剤型の反応性ウレタン接着剤において、低分子量のポリイソシアネートは反応性が高く、大気中の水分とも反応しやすいため、特に雨天時や夏季といった高湿度環境下では、ポリイソシアネートと水との反応が進行しやすく、アミンが生じる。そして、生成したアミンは、ウレタン化反応の触媒として働くため、接着剤の増粘速度を上昇させる。さらに、ポリイソシアネートは、水と反応することにより、炭酸ガスを発生する。即ち、無溶剤型接着剤を高湿度環境下で使用する場合、ポットライフの課題だけでなく、増粘と炭酸ガス発生により作業性効率や外観性能が低下し、安定生産が困難になるという新たな課題がある。
すなわち、特許文献1に記載の方法は、ポットライフの課題を解決するものの、ポリイソシアネート塗工ユニット周辺の湿度は環境により変動するため、上述するような、ポリイソシアネートと大気中の水分との反応による増粘及び炭酸ガス発生という課題を解決できない。
【0006】
また、ラミネート装置が設置してある部屋全体を低湿度環境に調整することは容易ではなく、エネルギー消費の観点からも好ましくない。さらに、レイアウトによっては同室内に有機溶剤を使用する別の装置が設置されている場合があり、静電気による有機溶剤火災を防止する観点からも、部屋全体を低湿度環境にすることは好ましくない。
【0007】
すなわち本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、高湿度環境下であっても、無溶剤型接着剤の増粘及びガス発泡を抑制し、外観に優れ、生産安定性を向上させることができるラミネート方法及びラミネート装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す実施形態により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
本発明の一態様に係るラミネート方法は、ロールコート部とラミネート部とを備えるラミネート装置を用いて、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着するラミネート方法であって、前記無溶剤型接着剤は、ポリオールとポリイソシアネートとを含む反応性接着剤であり、前記無溶剤型接着剤を第1のロールと第2のロールとの間にある液溜部に滞留させる滞留工程と、無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布する塗布工程と、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する圧着工程と、を有し、
前記液溜部と、第1のロール及び第2のロールの少なくとも一部と、が空調チャンバーにより囲われており、その内部の水蒸気量が10.0g/m以下である雰囲気下で、滞留工程を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の一態様に係るラミネート方法は、前記塗布工程における無溶剤型接着剤の塗布量が、1.0~3.5g/mであることを特徴とする。
【0011】
本発明の一態様に係るラミネート方法は、前記ロールコート部が、3本ロール方式、4本ロール方式、及び5本ロール方式からなる群より選ばれる少なくとも1種の方式である事を特徴とする。
【0012】
本発明の一態様に係るラミネート装置は、第1のロールと第2のロールとの間に無溶剤型接着剤を貯留する液溜部を備え、且つ該無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布するロールコート部と、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する圧着部と、を備えるラミネート装置であって
前記液溜部と、前記第1のロール及び前記第2のロールの少なくとも一部と、を囲う空調チャンバーを備え、前記空調チャンバーは、その内部の水蒸気量を10.0g/m以下に調整可能な調湿機能を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明の一態様に係るラミネート装置は、さらに、無溶剤型接着剤を液溜部に供給するための供給装置、及び該供給装置から供給された無溶剤型接着剤を液溜部に供給する吐出ノズルを備えることを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様に係るラミネート装置は、前記吐出ノズルが、塗布基材の幅方向に往来するトラバース機能を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の一態様に係る積層体の製造方法は、ロールコート部とラミネート部とを備えるラミネート装置を用いて、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する積層体の製造方法であって、前記無溶剤型接着剤は、ポリオールとポリイソシアネートとを含む反応性接着剤であり、前記無溶剤型接着剤を第1のロールと第2のロールとの間にある液溜部に滞留させる滞留工程と、無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布する塗布工程と、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する圧着工程と、を有し、前記液溜部と、第1のロール及び第2のロールの少なくとも一部と、が空調チャンバーにより囲われており、その内部の水蒸気量が10.0g/m以下である雰囲気下で、滞留工程を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、高湿度環境下であっても、無溶剤型接着剤の増粘及びガス発泡を抑制し、外観に優れ、生産安定性を向上させることができるラミネート方法及びラミネート装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本開示の実施形態に係るラミネート装置を模式的に示す図である。
図2】ロールコート部(4本ロール方式)の要部の構成を示す正面図である。
図3】ロールコート部(3本ロール方式)の要部の構成を示す正面図である。
図4】ロールコート部の要部の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、ロールコート部とラミネート部とを備えるラミネート装置を用いて、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着するラミネート方法であって、ポリオールとポリイソシアネートとを含む反応性接着剤である無溶剤型接着剤を第1のロールと第2のロールとの間にある接着剤溜まりダム(以下、液溜部ともいう)に滞留させる滞留工程と、無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布する塗布工程と、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する圧着工程とを有し、液溜部と、第1のロール及び第2のロールの少なくとも一部と、が、空調チャンバーにより囲われており、その内部(液溜部周辺)の水蒸気量が10.0g/m以下である雰囲気下で、滞留工程を行うことを特徴とする。
【0019】
また本発明のラミネート装置は、液溜部と、第1のロール及び第2のロールの少なくとも一部とが、空調チャンバーにより囲われており、前記空調チャンバーは、その内部の水蒸気量を10.0g/m以下に調整可能な調湿機能を備えることを特徴とする。
【0020】
本発明のラミネート方法及びラミネート装置は、液溜部周辺が空調チャンバーにより囲われており、液溜部内の無溶剤型接着剤が、水蒸気量が10.0g/m以下の雰囲気下で滞留されることで、無溶剤型接着剤の増粘及びガス発泡を抑制することができ、外観性能を向上させることができる。また、液溜部周辺のみを特定の環境下に制御することで、その後の塗布工程や貼合せ工程の環境要因による影響を低減することができ、様々な環境下においても、効率的に生産安定性を向上させることができる。
以下に本発明について詳細に説明する。
【0021】
<ラミネート装置>
本発明のラミネート装置は、無溶剤型接着剤を貯留する液溜部を備え、且つ該無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布するロールコート部と、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着するラミネート部とを備える装置であって、さらに、液溜部周辺を囲う空調チャンバーを備えており、該空調チャンバーは、その内部の水蒸気量を10.0g/m以下に調整可能な調湿機能を備えることを特徴とする。
【0022】
図1において、ラミネート装置1は、ロールコート部10、ラミネート部20を備える。
ロールコート部10は、第1のロール111と、第2のロール112と、両ロールの間にある液溜部110とを備える。
ロールコート部10は、さらに、無溶剤型接着剤を薄く引き延ばすための第3のロール113、塗布基材上に無溶剤型接着剤を塗布する第4のロール114、塗布基材を第4のロールに押し当てるための第5のロール115を備えており、これにより、無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布することができる。このような5本のロールを備えるロールコート部を備えるラミネート装置を5本ロールと略記することがある。
【0023】
図1に示すように、ラミネート装置1は、液溜部110と、第1のロール111及び第2のロール112の少なくとも一部と、からなる液溜部周辺を囲う空調チャンバー30を備える。空調チャンバー30は、液溜部110の上部及び側面を囲い、さらに第1のロール111及び第2のロール112の少なくとも一部を囲う構造であればよく、密閉されていなくてもよい。空調チャンバーの形状は限定されず、ボックス型であってもよい。
【0024】
空調チャンバー30は、その内部の水蒸気量を10.0g/m以下に調整可能な調湿機能を備えており、空調チャンバーがボックス型である場合、図4に示すように、ボックスの側面のダクト311を経由して、調湿機能を備える除湿装置310と接続していてもよい。このような場合、空調チャンバー30内の空気は、ボックスの側面にあるダクト311aを通って除湿装置310に入り、調湿された空気は、ダクト311bを通って空調チャンバー30内に戻る。ダクトは、ボックスの上部や下部に接続していてもよい。
【0025】
空調チャンバー30は、空調チャンバー内の水蒸気量を制御するために、チャンバー内に温湿度計330を備える。本発明において、空調チャンバーを完全に密閉することは困難であるため、温湿度計330は、外部から侵入する空気の影響の小さい液溜部付近に設置されることが好ましい。すなわち、空調チャンバー内部の水蒸気量とは、液溜部付近の水蒸気量である。
空調チャンバー内部の水蒸気量は、JIS Z 8806:2001に記載のいずれかの湿度測定方法により測定された湿度と、測定温度における飽和水蒸気量から以下の式1を用いて算出することができる。
式1: 水蒸気量(g/m
=湿度(%)×測定温度における飽和水蒸気量(g/m)/100
なお、各温度における飽和水蒸気量(g/m)は、JIS Z 8806:2001の付表1.1に記載の飽和水蒸気圧(Pa)の値より、以下の式2を用いて算出することができる。
式2: 飽和水蒸気量(g/m
=217×飽和水蒸気圧(Pa)/100/温度(K)
【0026】
図4に示すように、ラミネート装置1におけるロールコート部10は、無溶剤型接着剤を液溜部に供給するための供給装置320を備える。供給装置320から供給された無溶剤型接着剤は、ゴムチューブ等を通り、吐出ノズル321から液溜部に供給される。供給装置320は、ポリオールを主成分とする主剤と、ポリイソシアネートを主成分とする硬化剤とを混合するスタティックミキサー等を備えていてもよい。
また、図4において、吐出ノズル321は、液溜部に均等に無溶剤型接着剤を供給するために、塗布基材の幅方向に往来するトラバース機能を有しており、空調チャンバー30は、吐出ノズル321の往来を可能とする開放窓322を備える。
【0027】
本発明におけるロールコート部は、図1の構成に限定されず、例えば、図2に示すように、第1のロール121と、第2のロール122と、両ロールの間にある液溜部120に加えて、塗布基材上に無溶剤型接着剤を塗布する第3のロール123、塗布基材を第3のロール123に押し当てるための第4のロール124を備える、4本ロール方式であってもよい。
また図3に示すように、第1のロール131と、第2のロール132と、両ロールの間にある液溜部130を備えており、第2のロール132が基材上に接着剤を塗布する役割を兼ねており、塗布基材を第2の基材132に押し当てるための第3のロール133を備える、3本ロール方式であってもよく、これらに限定されない。
【0028】
図1における第1~第5のロール、図2における第1~第4のロール、及び図3における第1~第3のロールは、NBR(ニトリルブタジエンゴム)やEPT(エチレンプロピレンゴム)等の汎用合成ゴムロールであってもよく、金属ロールであってもよい。金属ロールは、温調器を有いていてもよい。ロール間を通過することで接着剤を転写させることができる。
図1において、第1のロールが汎用合成ゴムロールである場合、第2のロールは金属ロール、第3のロールは汎用合成ゴムロール、第4のロールは金属ロール、第5のロールは汎用合成ゴムロールの順に配列され、隣合うロール同士は異なる材質であることが好ましい。つまり、第1のロールが金属ロールである場合、第2のロールは汎用合成ゴムロール、第3のロールは金属ロール、第4のロールは汎用合成ゴムロール、第5のロールは金属ロールの順に配列されることが好ましい。
図2図3におけるロールも同様に、異なる材質のロール同士が隣合うように配置される構成が、好適に用いられる
【0029】
図1において、第1のロール111及び第2のロール112が共に金属ロールである場合、第1のロール111と第2のロール112との間に0.05~0.15mm程度の僅かなギャップ幅を有し、ギャップゲージを用いて任意のギャップ幅に調整することで、調整したギャップ幅と同等の厚みで無溶剤接着剤を第3のロール113に転写させることができる。
【0030】
図1において、ラミネート部20は、第6のロール116と、第7のロール117とを備える。無溶剤型接着剤が塗布された塗布基材は、第6のロール116と第7のロール117との間で、無溶剤型接着剤を介して貼合基材と圧着される。
ラミネート部20は、既存設備を用いることが可能であり、通常、第6のロール116は、ロール温調器を有する金属ロールであり、第7のロール117は、汎用合成ゴムロールであるが、本発明のラミネート装置はこれらに限定されない。
【0031】
<無溶剤型接着剤>
本発明のラミネート装置は、無溶剤型接着剤を用いて基材同士を貼り合わせて積層フィルムを形成するラミネート装置であり、無溶剤型接着剤は、ポリオールとポリイソシアネートとを含む反応性接着剤である。無溶剤型接着剤は、ポリオールの水酸基とポリイソシアネートのイソシアネート基との硬化反応によりウレタン樹脂である接着剤層を形成する。
【0032】
[ポリオール]
ポリオールは、水酸基を2つ以上有する化合物であればよく、公知のポリオールから選択することができる。このようなポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリウレタンポリオール、アクリルポリオール、シリコーンポリオール、ヒマシ油系ポリオール、フッ素系ポリオール、又はポリヒドロキシアルカンが挙げられる。
また、上記ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、メチルペンタングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリエチレングリコール等のグリコール;数平均分子量200~3,000のポリアルキレングリコール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3官能又は4官能の脂肪族アルコール;上記3官能又は4官能の脂肪族アルコールに、上記グリコール若しくはポリオールが付加したポリオール;を用いてもよい。
上記ポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ポリオールは、基材へのレベリング性と接着性能の観点から、好ましくはポリエステルポリオール、又はポリエーテルポリオールである。
【0033】
(ポリエステルポリオール)
ポリエステルポリオールとしては、例えば、カルボキシ基成分と水酸基成分とを反応させて得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール;が挙げられる。
上記カルボキシ基成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、無水フタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等の二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物が挙げられる。
上記水酸基成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ジネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、1,6-ヘキサンジオール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、1,9-ノナンジオール、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール等のジオール類若しくはそれらの混合物が挙げられる。
上記カルボキシ基成分及び水酸基成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0034】
ポリエステルポリオールは、数平均分子量が、好ましくは100~5,000、より好ましくは500~4,000の範囲である。上記範囲であると、常温または加温することにより流動性が生じるため好ましい。
ポリエステルポリオールは、酸価が、好ましくは0~5.0mgKOH/g、より好ましくは0~3.0mgKOH/gの範囲である。上記範囲であると、2液混合後の急激な増粘を抑制できるため好ましい。
ポリエステルポリオールは、水酸基が、好ましくは10~300mgKOH/g、より好ましくは30~200mgKOH/gの範囲である。上記範囲であると、無溶剤型接着剤に好適に使用できる数平均分子量範囲に調整できるため好ましい。
【0035】
(ポリエーテルポリオール)
ポリエーテルポリオールとしては、水酸基とエーテル結合とを分子内に各々2つ以上有する化合物であればよい。このようなポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリブチレングリコールのようなポリアルキレングリコール;ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールブロック共重合体;プロピレンオキサイド・エチレンオキサイドランダムポリエーテル;が挙げられる。
また、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、シュークローズ等の低分子量ポリオールに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を付加重合した付加重合体をポリエーテルポリオールとして用いてもよい。
該付加重合体としては、例えば、プロピレングリコールプロピレンオキサイド付加体、グリセリンプロピレンオキサイド付加体、ソルビトール系プロピレンオキサイド付加体、シュークローズ系プロピレンオキサイド付加体が挙げられる。
【0036】
これらのポリオールは、ポリオール中の水酸基の一部を酸変性した酸変性物であってもよく、酸無水物を反応させてカルボキシ基を導入したであってもよい。該酸無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、無水メリト酸、無水トリメリット酸、トリメリット酸エステル無水物が挙げられる。トリメリット酸エステル無水物としては、例えば、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、プロピレングリコールビスアンヒドロトリメリテートが挙げられる。
また、ポリオールは、ポリイソシアネートを反応させてウレタン結合を導入したものであってもよい。該ポリジイソシアネートとしては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水添化ジフェニルメタンジイソシアネートが挙げられる。
【0037】
[ポリイソシアネート]
ポリイソシアネートは、ポリオールと反応して接着剤を硬化させるものである。このようなポリイソシアネートとしては、例えば、芳香族イソシアネート化合物、芳香脂肪族イソシアネート化合物、脂肪族イソシアネート化合物、脂環族ポリイソシアネート化合物、又はこれらの変性体が挙げられる。これらポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
上記芳香族イソシアネート化合物としては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート又は2,6-トリレンジイソシアネート若しくはその混合物、4,4'-トルエンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω’-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物のような芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン-4,4’,4’-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアネートベンゼン、2,4,6-トリイソシアネートトルエンのような芳香族トリイソシアネート;4,4’-ジフェニルジメチルメタン-2,2’-5,5’-テトライソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートのような芳香族ポリイソシアネート;又はこれらの変性体が挙げられる。
【0039】
芳香脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、1,3-又は1,4-キシリレンジイソシアネート若しくはその混合物、ω,ω′-ジイソシアネート-1,4-ジエチルベンゼン、1,3-又は1,4-ビス(1-イソシアネート-1-メチルエチル)ベンゼン若しくはその混合物等の芳香脂肪族ジイソシアネート;又はこれらの変性体が挙げられる。
脂肪族イソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,2-ブチレンジイソシアネート、2,3-ブチレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、2,4,4-又は2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,6-ジイソシアネートメチルカプロエート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート;又はこれらの変性体が挙げられる。
脂環族イソシアネート化合物としては、例えば、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル2,4-シクロヘキサンジイソシアネート、メチル2,6-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;又はこれらの変性体が挙げられる。
【0040】
上記イソシアネート化合物の変性体としては、例えば、アロファネート型変性体、イソシアヌレート型変性体、ビウレット型変性体、アダクト型変性体のほか、上記イソシアネート化合物とポリオールとをイソシアネート基過剰の条件下に反応させたイソシアネート基とウレタン結合とを有する反応生成物が挙げられる。上記イソシアネートの変性体を形成するポリオールとしては、特に制限されず、公知のポリオールから選択することができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3'-ジメチロールプロパン、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールのような分子量200未満の低分子ポリオール;ポリプロピレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ひまし油、ポリウレタンポリオールのようなポリオール;が挙げられる。このような公知のポリオールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
イソシアネート化合物と公知のポリオールとの反応時におけるイソシアネート基と水酸基とのモル比(NCOモル数/OHモル数)は、好ましくは2以上である。
【0041】
本発明における無溶剤型接着剤は、上述するポリオール及びポリイソシアネートとの混合物であり、配合割合(ポリオール/ポリイソシアネート)は、一般的に、質量比で10/100~100/10の範囲内で用いられる。
【0042】
[その他成分]
無溶剤型接着剤は、包装材料に要求される各種物性を満たすために、ポリオール及びポリイソシアネート以外の成分を含有してもよい。このようなその他成分としては、例えば、シランカップリング剤、リン酸、リン酸誘導体、レベリング剤、消泡剤が挙げられる。また、無溶剤型接着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、シリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレーク等の無機充填剤、層状無機化合物、安定剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、加水分解防止剤等)、防錆剤、増粘剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、着色剤、フィラー、結晶核剤等の公知の添加剤を含有してもよい。
【0043】
<ラミネート方法>
本発明のラミネート方法は、上述のラミネート装置を用いて、塗布基材と貼合基材とを、上述の無溶剤型接着剤を介して圧着するラミネート方法であって、
無溶剤型接着剤を第1のロールと第2のロールとの間にある液溜部に滞留させる滞留工程と、無溶剤型接着剤をロール転写して塗布基材上に塗布する塗布工程と、塗布基材と貼合基材とを無溶剤型接着剤を介して圧着する圧着工程と、を有し、
前記液溜部と、第1のロール及び第2のロールの少なくとも一部と、が空調チャンバーにより囲われており、その内部の水蒸気量が10.0g/m以下である雰囲気下で、滞留工程を行うことを特徴とする。
【0044】
[滞留工程]
本発明は、内部の水蒸気量が10.0g/m以下という雰囲気下である空調チャンバー内で、滞留工程を行うことが重要である。
図1において、第1のロール111は停止又は時計周りに低速回転しており、第2のロール112は反時計回りに低速回転している。液溜部110の接着剤は、第2のロールの回転により第2のロール上に薄く引き延ばされ、第2のロールと共に回転する。この工程を滞留工程という。
第1のロール及び第2のロールは、ロール温調器によって加温されており、滞留工程時に液溜部内の接着剤を加温する。適正なロール温度は使用する接着剤によって適宜選択でき、接着剤の粘度とポットライフの観点から最適な温度を選択すればよい。本発明において、第1のロール及び第2のロール温度は、各々独立して30~80℃の範囲が好適に用いられる。
液溜部での滞留時間は、短い方が好ましく、好ましくは30分以内である。したがって、接着剤を供給し液溜部を形成したら速やかに作業を開始することで、接着剤を消費していくことが好ましい。
【0045】
接着剤は、図4に示すように、吐出ノズル321から適宜液溜部に供給される。
液溜部の接着剤量が少なくなったタイミングで新たな接着剤を供給できるように、供給装置320は、液溜部の高さを検知するレベルセンサー等を設置してもよい。また、供給装置320は、レベルセンサー等を利用することで、液溜部の高さに応じて、自動的に接着剤が供給される機能を備えていてもよい。
【0046】
(塗布基材)
塗布基材としては、包装材に一般的に使用される従来公知のプラスチックフィルムが挙げられる。このようなプラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)のようなポリエステル樹脂フィルム;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)のようなポリオレフィン樹脂フィルム;ポリスチレン樹脂フィルム;ナイロン(NY)6、ポリ-p-キシリレンアジパミド(MXD6ナイロン)のようなポリアミド樹脂フィルム;ポリカーボネート樹脂フィルム;ポリアクリルニトリル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;これらの複層体(例えば、ナイロン6/MXD6/ナイロン6、ナイロン6/エチレン-ビニルアルコール共重合体/ナイロン6)や混合体が挙げられる。プラスチックフィルムの厚みは、好ましくは5~50μmである。
塗布基材は、このようなプラスチックフィルムが複数積層されたものであってもよいし、シリカ又はアルミナのような無機酸化物の蒸着層を有する蒸着フィルムであってもよい。
【0047】
塗布基材は、印刷層を有していてもよい。印刷層は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者等の表示、その他等の表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様等の所望の任意の印刷模様を形成する層であり、全面印刷(ベタ印刷)層も含む。印刷層は、一般的に顔料や染料等の着色剤を含む印刷インキを用いて形成される。印刷層を形成する方法は特に制限されず、例えば、グラビアコート法、フレキソコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スピンコート法、インクジェット法が挙げられる。印刷層の厚みは、好ましくは0.1~10μmである。
【0048】
[塗布工程]
図1において、第3のロール113を下ろして、第2のロール112と第4のロール114に接触させることで、第2のロール112から第3のロール113、次いで第4のロール114に接着剤がロール転写される。
次いで、第5のロール115を下ろすことで塗布基材を第4のロールに押し当て、第4のロール上に転写されてきた接着剤を塗布基材上に塗布することができる。この工程を塗布工程という。
接着剤の塗布量は、第2のロール112及び第3のロール113のロール回転比によって転写量を調整することで制御することができる。これにより、第4のロール上に目的の塗布量に応じた厚みの接着剤が転写されるように調整する。
第2のロール回転比は、第4のロール回転速度に対し決定される。一般的に第4のロール回転比を100%とした場合、第2のロール回転比は1~20%の間で調整される。
第3のロール回転比は、第4のロール回転速度に対し決定される。一般的に第4のロール回転比を100%とした場合、第3のロール回転比は20~100%の間で調整される。
無溶剤型接着剤の塗布量は、製造する積層体の種類、用途等により適宜選択でき、本発明では、1.0~3.5g/mの範囲で調整することが好ましい。
【0049】
[圧着工程]
図1において、接着剤が塗布された塗布基材と貼合基材とを、第6のロール116と第7のロール117との間で圧着させることができる。この工程を圧着工程という。
第6のロール及び第7のロールのいずれか一方は金属ロールであることが好ましく、一般的に、ロール温調器を用いて30~80℃の範囲で加温される。
【0050】
(貼合基材)
貼合基材としては、上記塗布基材で挙げた基材のほか、中間基材やシーラント基材を用いることができる。
中間基材としては、上記塗布基材で挙げたプラスチックフィルムのほか、金属蒸着フィルム、金属箔等を用いることができる。金属蒸着フィルムとしては、例えば、アルミニウム蒸着フィルムが挙げられ、金属箔としては、例えば、アルミニウム箔が挙げられる。
シーラント基材としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)又は高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン、酸変性ポリエチレン、無延伸ポリプロピレン(CPP)、酸変性ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、エチレン-ビニルアセテート共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、アイオノマーが挙げられる。
シーラント基材の厚みは、包装材への加工性やヒートシール性等を考慮すると、好ましくは10~150μmである。
これら貼合基材は、単層であっても複数の層が積層された積層体であってもよい。
【実施例0051】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。実施例及び比較例中の「部」及び「%」は、特に指定がない場合は「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0052】
<印刷フィルムの作製>
印刷インキ(「リオアルファR631白」:東洋インキ株式会社製)を、酢酸エチル/IPA(イソプロパノール)混合溶剤(質量比70/30)を用いて、25℃、ザーンカップ#3の粘度が16秒になるように希釈した。厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(「エステルフィルムE5102」:東洋紡株式会社製、以下、PET)上に、希釈した印刷インキを、版深35μmのベタ版を備えたグラビア校正機を用いて、印刷速度150m/分で印刷した後、70℃で乾燥した。印刷フィルムは500m作製し、印刷層の厚みは0.5~3.0μmの範囲内とした。
【0053】
<積層体の製造(ラミネート加工)>
[実施例1]
図1及び図4に示す構成を備えるラミネート装置を用いて、液溜部と、第1のロール及び第2のロールの少なくとも一部を囲う空調チャンバーに接続された除湿装置を作動させて、チャンバー内設定湿度を15%とし、±1.0%R.H.の範囲で調整した。空調チャンバー内部の温度と湿度は、液溜部の上部に設置された温湿度計にてモニタリングし、最高湿度とその時点での温度及び最低湿度とその時点での温度を記録した。第1のロール及び第2のロール表面温度は共に50℃に設定した。
次いで、供給装置320に無溶剤型の接着剤1(芳香族系ポリイソシアネート「EA-N373A」:ポリエーテルポリオール「EA-N373B」=100:50、いずれも東洋モートン(株)製)を供給し、ゴムチューブを経由した後、吐出ノズル321から液溜部に供給した。第1のロールと第2のロールを回転させて、接着剤1の滞留を開始した。
次いで、ラミネート装置を作動させて、第3のロール及び第5のロールを下ろし、上述する印刷フィルムの印刷面上に、接着剤1を塗布し、厚み25μm、600mm幅のアルミ蒸着CPPフィルム(「2703」:東レ株式会社製、以下、VMCPP)の蒸着面と、接着剤を介して貼り合わせ、400mを超える積層体を作製した。ラミネート速度(塗工速度)は200m/分に設定し、各ロールの回転速度は、接着剤の塗布量が1.8g/mとなるように調整した。
【0054】
[実施例2~4、比較例1~3]
接着剤の種類、ロール温度、除湿装置設定を表1に示す内容に変更した以外は、実施例1と同様にして、ラミネート加工中のモニタリング結果より、最高湿度とその時点での温度及び最低湿度とその時点での温度を記録し、各々400mを超える積層体を作製した。
比較例1~3は、ラミネート装置から空調チャンバーを取り外した装置を使用した。その際、液溜部周辺の環境は別途用意した温湿度計を液溜部上部に設置し、温度と湿度をモニタリングした。
【0055】
<ポットライフの評価>
無溶剤型接着剤を液溜部に供給した時点と、それから20分後の時点において、液溜部の接着剤を採取し、ICI粘度(mPa・s)を測定した。測定温度は第1及び第2ロール温度と同じ温度とした。ICI粘度は、東亜工業株式会社製コーン・プレート粘度計「CV-1S」を用い、数値が安定した時点の表示値を用いた。
【0056】
<ラミネート外観の評価>
実施例で得られた積層体について、40℃で48時間の養生を行い、無溶剤型接着剤を硬化させた。養生後の積層体を巻き返し、100m巻き返し毎にサンプリングして得られたサンプルのラミネート外観を目視観察し、以下の基準で評価した。
A:蒸着面に、ゆず肌状の模様や小さな斑点状の模様がない(良好)
B:蒸着面に、小さな斑点状の模様はないが、ゆず肌状の模様が僅かに存在する(使用可能)
C:蒸着面に、小さな斑点状の模様が存在する(使用不可)
【0057】
【表1】
【0058】
表1中の略称を以下に示す。
無溶剤型の接着剤1:芳香族系ポリイソシアネート「EA-N373A」/ポリエーテルポリオール「EA-N373B」=100/50、いずれも東洋モートン(株)製
無溶剤型の接着剤2:芳香族系ポリイソシアネート「EA-N5500」/ポリエーテルポリオール「EA-N6001」=70/100、いずれも東洋モートン(株)製
【0059】
評価結果によれば、空調チャンバーにより液溜部周辺が囲われ、内部の水蒸気量が10.0g/m以下の雰囲気下で無溶剤型接着剤を滞留させた実施例は、液溜部内の接着剤のポットライフに優れており、さらに得られた積層体は、巻内部分におけるラミネート外観も良好であった。
一方、空調チャンバーを使用しなかった比較例1~3は、液溜部周辺は、室内と同様に高湿度環境であるため、液溜部内の接着剤が増粘し、また、ラミネート外観に劣る結果であった。
【符号の説明】
【0060】
10 ロールコート部
20 ラミネート部
110 液溜部
111、121、131 第1のロール
112、122、132 第2のロール
113、123、133 第3のロール
114、124 第4のロール
115 第5のロール
116 第6のロール
117 第7のロール
30 空調チャンバー
310 除湿装置
311,311a、311b ダクト
320 供給装置
321 吐出ノズル
322 開放窓
330 温湿度計
図1
図2
図3
図4