IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アロン化成株式会社の特許一覧

特開2023-149842ポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレ
<>
  • 特開-ポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレ 図1
  • 特開-ポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレ 図2
  • 特開-ポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレ 図3
  • 特開-ポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレ 図4
  • 特開-ポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレ 図5
  • 特開-ポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレ 図6
  • 特開-ポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレ 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149842
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレ
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/04 20060101AFI20231005BHJP
   G01G 19/52 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
A47K11/04
G01G19/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058620
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】青山 智行
(72)【発明者】
【氏名】永野 拓也
【テーマコード(参考)】
2D036
【Fターム(参考)】
2D036HA03
2D036HA12
2D036HA21
2D036HA22
2D036HA27
2D036HA31
2D036HA42
(57)【要約】
【課題】ポータブルトイレを使用する使用者の健康状態を把握することができる。
【解決手段】ポータブルトイレシステム1は、ポータブルトイレ100と、ポータブルトイレ100に排泄された排泄物の排泄量V1を測定する重量センサ60と、制御装置80と、記憶装置70と、を備えている。制御装置80は、取得部81と、記録部85とを備えている。取得部81は、重量センサ60の測定結果に基づいて、ポータブルトイレ100の排泄量V1を取得する。記録部85は、取得部81によって取得された排泄量V1を記憶装置70に記録する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブルトイレと、
前記ポータブルトイレに排泄された排泄物の排泄量を測定する重量センサと、
制御装置と、
記憶装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記重量センサの測定結果に基づいて、前記ポータブルトイレの前記排泄量を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記排泄量を前記記憶装置に記録する記録部と、
を備えた、ポータブルトイレシステム。
【請求項2】
前記取得部は、前記排泄量を取得した排泄時刻を取得し、
前記記録部は、前記排泄量と前記排泄時刻とを関連付けて前記記憶装置に記録する、請求項1に記載されたポータブルトイレシステム。
【請求項3】
前記ポータブルトイレは、排泄物が排泄される容器を備え、
前記重量センサは、前記容器に排泄された排泄物の前記排泄量を測定する、請求項1または2に記載されたポータブルトイレシステム。
【請求項4】
前記ポータブルトイレを使用者が使用したことを感知する人感センサを備え、
前記制御装置は、前記人感センサの感知結果に基づいて、前記ポータブルトイレを使用者が使用したことを取得する使用取得部を備えている、請求項1から3までの何れか1つに記載されたポータブルトイレシステム。
【請求項5】
前記ポータブルトイレは、使用者が座る便座を備え、
前記人感センサは、前記便座に使用者が座ったことを感知する、請求項4に記載されたポータブルトイレシステム。
【請求項6】
前記使用取得部は、前記ポータブルトイレを使用者が使用した使用時間を取得し、
前記記録部は、前記使用取得部によって取得された前記使用時間を前記記憶装置に記録する、請求項4または5に記載されたポータブルトイレシステム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記取得部によって取得された前記排泄量を介助者に通知する通知部を備えた、請求項1から6までの何れか1つに記載されたポータブルトイレシステム。
【請求項8】
前記記憶装置は、サーバによって実現されている、請求項1から7までの何れか1つに記載されたポータブルトイレシステム。
【請求項9】
使用者によって排泄された排泄物の排泄量を測定する重量センサと、
制御装置と、
記憶装置と、
を備え、
前記制御装置は、
前記重量センサの測定結果に基づいて、前記排泄量を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記排泄量を前記記憶装置に記録する記録部と、
を備えた、ポータブルトイレ。
【請求項10】
前記制御装置は、前記取得部によって取得された前記排泄量を介助者に通知する通知部を備えた、請求項9に記載されたポータブルトイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、高齢者などの使用者の介助の用途として使用されるポータブルトイレが開示されている。上記ポータブルトイレは、移動可能式のトイレであり、例えば使用者が使用するベッドの近くなどに配置される。上記ポータブルトイレは、便器本体と、便器本体の上面に取り付けられる便座と、便座の下方に配置された便槽と、を備えている。
【0003】
上記ポータブルトイレによれば、使用者が便座に座り、便槽に排泄物を排泄する。そして、便槽に排泄物が溜まると、例えば介助者は、便槽を取り出して、排泄物を処分する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-138898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のように、ポータブルトイレは、高齢者の介助などの用途として使用されることが多いと考えられている。高齢者を介助する介助者は、介助する上で、高齢者の健康状態を把握することが重要であると考えられている。そこで、本願発明者は、ポータブルトイレを使用して、ポータブルトイレを使用する高齢者などの使用者の健康状態を把握したいと考えている。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポータブルトイレを使用する使用者の健康状態を把握することが可能なポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明者は、ポータブルトイレを使用して、ポータブルトイレを使用する使用者の健康状態を把握する手段について種々検討した。使用者の健康状態の指針の1つに、使用者が排泄する排泄物の排泄量が挙げられる。そこで、本願発明者は、ポータブルトイレに排泄された排泄物の排泄量を測定することができれば、排泄量から使用者の健康状態を把握することができることを見出した。
【0008】
本発明に係るポータブルトイレシステムは、ポータブルトイレと、前記ポータブルトイレに排泄された排泄物の排泄量を測定する重量センサと、制御装置と、記憶装置と、を備えている。前記制御装置は、前記重量センサの測定結果に基づいて、前記ポータブルトイレの前記排泄量を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記排泄量を前記記憶装置に記録する記録部と、を備えている。
【0009】
前記ポータブルトイレシステムによれば、使用者がポータブルトイレに排泄した排泄物の排泄量を記憶装置に記録することができる。よって、介助者は、記憶装置に記録された排泄量を知ることで、排泄量から使用者の健康状態を把握することができる。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、前記取得部は、前記排泄量を取得した排泄時刻を取得する。前記記録部は、前記排泄量と前記排泄時刻とを関連付けて前記記憶装置に記録する。
【0011】
上記態様によれば、介助者は、記憶装置に記録された排泄量と排泄時刻を知ることで、使用者が排泄物を排泄するタイミングを把握することができる。
【0012】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記ポータブルトイレは、排泄物が排泄される容器を備えている。前記重量センサは、前記容器に排出された排泄物の前記排泄量を測定する。
【0013】
上記態様によれば、バケツ内の排泄量を測定することで、使用者が排泄した排泄物の排泄量を容易に測定することができる。
【0014】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記ポータブルトイレシステムは、前記ポータブルトイレを使用者が使用したことを感知する人感センサを備えている。前記制御装置は、前記人感センサの感知結果に基づいて、前記ポータブルトイレを使用者が使用したことを取得する使用取得部を備えている。
【0015】
上記態様によれば、介助者は、ポータブルトイレを使用者が使用したタイミングを把握することができる。
【0016】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記ポータブルトイレは、使用者が座る便座を備えている。前記人感センサは、前記便座に使用者が座ったことを感知する。
【0017】
上記態様によれば、便座に使用者が座ったときは、ポータブルトイレを使用して排泄物を排泄するタイミングであると推定される。よって、使用者が便座に座ったことを感知することで、ポータブルトイレを使用者が使用するタイミングを容易に把握することができる。
【0018】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記使用取得部は、前記ポータブルトイレを使用者が使用した使用時間を取得する。前記記録部は、前記使用取得部によって取得された前記使用時間を前記記憶装置に記録する。
【0019】
上記態様によれば、介助者は、記憶装置に記録された使用時間を知ることで、使用者がどのようなタイミングでどれくらいの時間、ポータブルトイレを使用するかを把握することができる。よって、使用者が排泄することに関する生活のリズムを把握し易い。
【0020】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記制御装置は、前記取得部によって取得された前記排泄量を介助者に通知する通知部を備えている。
【0021】
上記態様によれば、介助者は、排泄量が通知されるタイミングで、排泄量から使用者の健康状況を把握することができる。
【0022】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記記憶装置は、サーバによって実現されている。
【0023】
他の本発明に係るポータブルトイレは、使用者によって排泄された排泄物の排泄量を測定する重量センサと、制御装置と、記憶装置と、を備えている。前記制御装置は、重量センサの測定結果に基づいて、前記排泄量を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記排泄量を前記記憶装置に記録する記録部と、を備えている。
【0024】
他の本発明の好ましい一態様によれば、前記制御装置は、前記取得部によって取得された前記排泄量を介助者に通知する通知部を備えている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ポータブルトイレを使用する使用者の健康状態を把握することが可能なポータブルトイレシステムおよびポータブルトイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係るポータブルトイレシステムを示す概念図である。
図2】ポータブルトイレを示す斜視図である。
図3】ポータブルトイレを示す斜視図であり、蓋が取り外された状態を示す図である。
図4】バケツを示す正面図であり、重量センサの配置位置を示す図である。
図5】ポータブルトイレを示す背面図であり、制御装置の配置位置を示す図である。
図6】実施形態に係るポータブルトイレシステムのブロック図である。
図7】制御装置の制御手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る一実施形態について説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本発明の一実施形態に過ぎず、当然ながら本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0028】
図1は、本実施形態に係るポータブルトイレシステム1を示す概念図である。図1に示すように、ポータブルトイレシステム1は、ポータブルトイレ100を備えている。ここでは、ポータブルトイレシステム1は、ポータブルトイレ100を使用者が使用したことを管理するシステムである。ここでのポータブルトイレ100の使用には、ポータブルトイレ100に排泄物を排泄することや、ポータブルトイレ100に使用者が座ることなどが含まれている。
【0029】
本実施形態では、ポータブルトイレシステム1として、ポータブルトイレ100を使用する高齢者および身障者などの要介助者が複数いるような施設、例えば介護施設などで使用されるシステムを想定している。ポータブルトイレシステム1が管理するポータブルトイレ100の数は特に限定されない。本実施形態では、図1に示すように、ポータブルトイレシステム1が管理するポータブルトイレ100の数は3つであるが、1つであってもよいし、2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0030】
次に、ポータブルトイレ100について説明する。ポータブルトイレシステム1によって管理されるポータブルトイレ100は、機種が異なっていてもよい。しかしながら、ポータブルトイレ100の基本的な構成は同じである。そのため、ここでは、1つのポータブルトイレ100の基本的な構成について説明する。
【0031】
図2図3は、ポータブルトイレ100を示す斜視図である。図3では、図2のポータブルトイレ100から蓋25が取り外されている。以下のポータブルトイレ100に関する説明では、特に断らない限りにおいて、ポータブルトイレ100の前、後、左、右、上、下とは、ポータブルトイレ100を使用し、後述の便座20(図3参照)に座る使用者から見た前、後、左、右、上、下の各方向をそれぞれ意味するものとする。また、ポータブルトイレ100に関する図面において、符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれポータブルトイレ100の前、後、左、右、上、下を示している。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、ポータブルトイレ100の設置態様を何ら限定するものではない。
【0032】
ポータブルトイレ100は、主に高齢者および身障者などのいわゆる要介助者に使用されるトイレであり、介助用に好適に使用されるトイレである。また、ポータブルトイレ100は、床に固定されるトイレではなく、移動可能式のトイレである。図2に示すように、ポータブルトイレ100は、座部10と、バケツ12(図3参照)と、脚15と、便座20(図3参照)と、蓋25と、肘掛け支柱30と、肘掛け35と、背もたれ支柱40と、背もたれ45と、側方ガード50とを備えている。
【0033】
図3に示すように、座部10は、箱状に形成されており、上方に開口している。バケツ12は、ポータブルトイレ100を使用する使用者の尿や便などの排泄物が排出されるものである。バケツ12は、本発明の容器の一例である。バケツ12は、座部10の開口を通じて座部10の内側に装着され、上方に開口している。バケツ12は、座部10に対して上下に着脱可能に構成されている。
【0034】
脚15は、座部10を支持するものである。脚15は、座部10を介してバケツ12を間接的に支持している。脚15は、座部10の下面から下方に延びている。本実施形態では、脚15の数は4つである。脚15は、座部10の左前部、左後部、右前部、右後部に設けられている。なお、図2および図3では、右後部の脚15の図示が省略されている。詳しい説明は省略するが、脚15は、座部10から下方に延びる長さを調整することが可能に構成されている。座部10から下方に延びる脚15の長さを調整することで、使用者の体格に合うように、座部10(言い換えると、便座20)の高さを調整することができる。
【0035】
図3に示すように、便座20は、使用者が尻を乗せて座る部位である。便座20は、座部10の上面に配置されている。ここでは、便座20は、座部10の後部を軸に回転可能に座部10に取り付けられている。便座20は、前後に回動可能に構成されている。便座20を前方に回動させると、便座20を座部10の上面に配置し、かつ、水平に配置することができる。このとき、便座20は、バケツ12の上方に配置されるため、使用者は便座20に座って、排泄物をバケツ12に排出することができる。一方、便座20を後方に回動させると、便座20は、座部10の後部において立てることができる。このとき、座部10の内側を上方に開放することができる。よって、便座20を立てた状態にすることによって、座部10からバケツ12を上方に取り外すことができる。また、便座20を立てた状態にすることによって、バケツ12を上方から座部10に取り付けることができる。
【0036】
図2に示す蓋25は、バケツ12の上方においてバケツ12を覆うものである。蓋25は、座部10の後部を軸に回転可能に座部10に着脱可能に取り付けられている。本実施形態では、蓋25は、折り畳み可能に構成されているが、折り畳まれなくてもよい。図3では、蓋25は、取り外されているが、折り畳まれた状態で背もたれ45の下方に配置されていてもよい。例えば蓋25を前方に回動させ、かつ、展開させることによって、図2に示すように、便座20およびバケツ12を蓋25によって覆うことができる。蓋25を後方に回動させ、かつ、折り畳むことによって、便座20およびバケツ12が開放される。このことによって、使用者は、便座20に座ることができる。
【0037】
図3に示すように、肘掛け支柱30は、便座20の側方(ここでは、外方)に配置されている。なお、本実施形態において、外方(外側)とは、ポータブルトイレ100の中心から離れる方(側)のことをいい、内方(内側)とは、ポータブルトイレ100の中心に近づく方(側)のことをいう。ここでは、左側の肘掛け支柱30は、便座20の左方に配置され、右側の肘掛け支柱30は、便座20の右方に配置されている。本実施形態では、便座20の左方および右方のそれぞれに対して、前後に配置された2本の肘掛け支柱30が配置されている。左側の肘掛け支柱30は、座部10の左部から上方に延びており、右側の肘掛け支柱30は、座部10の右部から上方に延びている。
【0038】
なお、本実施形態では、右前の肘掛け支柱30には、ロール状のトイレットペーパー(図示せず)を保持するロールペーパーホルダ32が取り付けられている。ただし、ロールペーパーホルダ32は、左前の肘掛け支柱30に取り付けられてもよい。
【0039】
肘掛け35は、便座20に座った使用者の肘を置くためのものである。肘掛け35は、前後に並ぶ2本の肘掛け支柱30によって支持されている。肘掛け35は、便座20の側方(ここでは外方)に配置されている。左側の肘掛け35は、便座20の左方に配置され、座部10の左部の上方に配置されている。右側の肘掛け35は、便座20の右方に配置され、座部10の右部の上方に配置されている。肘掛け35は、前後に延びている。
【0040】
本実施形態では、肘掛け35は、高さを調整可能に構成されている。詳しくは、図3に示すように、座部10から上方に延びた肘掛け支柱30の長さを調整することによって、肘掛け35の高さを調整することができる。ここでは、肘掛け支柱30は、座部10に対して上下に移動可能に構成されている。肘掛け支柱30を下方に移動させることで、座部10の内部に配置される肘掛け支柱30の長さが長くなり、座部10から上方に延びた肘掛け支柱30の長さが短くなる。このことによって、肘掛け35を低い位置に配置することができる。また、肘掛け支柱30を上方に移動させることで、座部10の内部に配置される肘掛け支柱30の長さが短くなり、座部10から上方に延びた肘掛け支柱30の長さが長くなる。このことによって、肘掛け35を高い位置に配置することができる。
【0041】
背もたれ支柱40は、便座20よりも側方(ここでは外方)に配置されている。背もたれ支柱40は、左右一対である。左側の背もたれ支柱40は、便座20よりも左方に配置されている。右側の背もたれ支柱40は、便座20よりも右方に配置されている。背もたれ支柱40は、肘掛け支柱30の後方に配置されている。背もたれ支柱40は、座部10から上方に延びている。詳しくは、左側の背もたれ支柱40は、座部10の左後部の上面から上方に延びている。右側の背もたれ支柱40は、座部10の右後部の上面から上方に延びている。
【0042】
背もたれ45は、便座20に座った使用者が凭れ掛かるものであり、背中が接触するものである。背もたれ45は、便座20の後方に配置されており、座部10の後部の上方に配置されている。背もたれ45は、左側の肘掛け35よりも右方に配置され、かつ、右側の肘掛け35よりも左方に配置されている。背もたれ45は、背もたれ支柱40に支持されている。ここでは、背もたれ45は、左側の背もたれ支柱40の上部と、右側の背もたれ支柱40の上部とに掛け渡されている。背もたれ45の左端は、左側の背もたれ支柱40に接続され、背もたれ45の右端は、右側の背もたれ支柱40に接続されている。
【0043】
側方ガード50は、便座20に座った使用者の肩や上腕部を側方(ここでは、外方(左方および右方))から支持可能なものである。側方ガード50は、背もたれ45の側方(ここでは外方)に配置されている。詳しくは、左側の側方ガード50は背もたれ45の左方に配置され、右側の側方ガード50は背もたれ45の右方に配置されている。本実施形態では、側方ガード50は、背もたれ支柱40の外側に設けられている。側方ガード50は、肘掛け支柱30および肘掛け35よりも上方に配置されている。
【0044】
側方ガード50は、回動可能に構成されている。ここでは、側方ガード50は、後端部を軸に回動する。側方ガード50は、前後に延びた状態と、上下に延びた状態との間で回動可能に構成されている。ここでは、側方ガード50が前後に延びた状態であるとき、側方ガード50は、背もたれ支柱40よりも前方に延びている。側方ガード50が上下に延びた状態であるとき、側方ガード50は、背もたれ支柱40よりも上方に延びている。
【0045】
なお、ポータブルトイレ100を形成する材料は、特に限定されない。ここでは、ポータブルトイレ100の汚れ難さ(清拭性)、剛性、耐衝撃性、成形性などの観点から、ポータブルトイレ100は、樹脂製であることが好ましい。本実施形態では、ポータブルトイレ100を構成する部品の多く、または全部は、樹脂によって形成されている。なお、ポータブルトイレ100を形成する樹脂の種類は特に限定されない。ポータブルトイレ100を形成する樹脂として、ABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの3種類の成分を組み合わせた樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂などを用いることができる。これらの樹脂の種類のうち、ポータブルトイレ100の成形性(すなわち、成形のし易さ)の観点から、ABS樹脂、または、ポリプロピレン樹脂を用いてポータブルトイレ100を形成することが好ましい。ここでは、ポータブルトイレ100を構成する各部品は、射出成形で製造される。
【0046】
以上、ポータブルトイレ100の基本的な構成について説明した。本実施形態では、図1に示すように、ポータブルトイレシステム1は、重量センサ60と、人感センサ65とを備えている。重量センサ60は、ポータブルトイレ100に排出された排泄物の排泄量を測定するものである。本実施形態では、重量センサ60は、ポータブルトイレ100毎に設けられている。ここでは、重量センサ60は、ポータブルトイレ100に対する排泄量を測定することができれば、ポータブルトイレ100に対する配置位置は特に限定されない。
【0047】
図4は、バケツ12を示す正面図であり、重量センサ60の配置位置を示す図である。本実施形態では、図4に示すように、重量センサ60は、ポータブルトイレ100のバケツ12に設けられており、バケツ12に排泄された排泄物の排泄量を測定する。詳しくは、重量センサ60は、バケツ12を下方から支持するように、バケツ12の下方に配置されている。ここでは、バケツ12は、重量センサ60に載置されている。また、バケツ12は、便座20の下方に配置されており、便座20とは接触していない。よって、バケツ12には、便座20から荷重が掛からないように構成されている。重量センサ60は、少なくとも、バケツ12に排泄物が排泄されるとバケツ12の底面が接触して、バケツ12から荷重が掛けられるように構成されている。このバケツ12から掛けられる荷重の大きさの変化量が排泄量となる。
【0048】
なお、重量センサ60の種類は特に限定されない。すなわち、重量センサ60は、バケツ12から掛かる荷重に基づいて排泄量を測定する構成に限定されない。例えばバケツ12には、水が入れられており、排泄物がバケツ12に排泄されるとバケツ12の水位が上昇する。そこで、重量センサ60は、バケツ12の水位を測定することで、バケツ12の水位から排泄量を推定するものであってもよい。
【0049】
ここでは、例えば重量センサ60には、排泄物が排泄されていないときのバケツ12から重量センサ60に掛けられる基準荷重が予め設定されている。このような状態で、重量センサ60は、バケツ12に排泄物が排泄されたときにバケツ12から掛けられる荷重を測定する。このときの重量センサ60の測定値と、基準荷重との差が排泄量となる。
【0050】
本実施形態では、ポータブルトイレ100を使用者が使用する前において、バケツ12に所定量(例えば1リットル程度)の水を入れた状態で、バケツ12を座部10の内側に装着する。このとき、水が入れられたバケツ12は、重量センサ60に載置される。なお、バケツ12に水を入れないことも可能であるが、バケツ12に排泄された排泄物の処分のし易さを考慮すると、バケツ12には水が入れられていることが好ましい。このように、バケツ12を重量センサ60に載置したときの重量センサ60の測定値が基準荷重となる。ここでは、例えば重量センサ60にはリセットボタン(図示せず)が設けられている。バケツ12を重量センサ60に載置したときに、リセットボタンを操作し、基準荷重を0として、重量センサ60を用いて排泄量を測定してもよい。
【0051】
図3に示す人感センサ65は、ポータブルトイレ100を使用者が使用したことを感知するセンサである。人感センサ65は、ポータブルトイレ100毎に設けられている。ここでは、人感センサ65は、使用者がポータブルトイレ100を使用することを感知することができれば、人感センサ65の種類、および、ポータブルトイレ100に対する配置位置は特に限定されない。例えば人感センサ65として、赤外線センサ、重量センサ、または音波センサなどを用いることができる。
【0052】
本実施形態では、ポータブルトイレ100の便座20に使用者が座ったときを、ポータブルトイレ100を使用者が使用したときと定義する。人感センサ65は、便座20に使用者が座ったことを感知することで、使用者がポータブルトイレ100を使用したことを感知する。そのため、人感センサ65は、使用者が便座20に座ったことを感知することができれば、ポータブルトイレ100に対する配置位置は特に限定されない。本実施形態では、図3に示すように、人感センサ65は、背もたれ支柱40に設けられている。ここでは、人感センサ65は、右側の背もたれ支柱40に設けられているが、左側の背もたれ支柱40に設けられていてもよい。人感センサ65は、例えば便座20よりも高い位置に配置されるように、背もたれ支柱40に設けられている。
【0053】
本実施形態では、図1に示すように、ポータブルトイレシステム1は、記憶装置70と、制御装置80とを備えている。記憶装置70には、例えばポータブルトイレ100に排泄された排泄物の排泄量や、ポータブルトイレ100を使用者が使用したタイミング(例えばポータブルトイレ100の使用時間)を記憶する装置である。
【0054】
本実施形態では、ポータブルトイレシステム1は、クライアントサーバシステムによって実現される。ただし、ポータブルトイレシステム1は、いわゆるクラウドコンピューティングによって実現されてもよい。また、ポータブルトイレシステム1は、いわゆるスタンドアローン型のシステムであってもよい。
【0055】
本実施形態では、記憶装置70は、サーバによって実現される。記憶装置70は、例えばサーバに内蔵されたストレージによって構成されている。記憶装置70は、1つのサーバによって実現されてもよいし、複数のサーバによって協働で実現されるものであってもよい。
【0056】
ただし、記憶装置70は、ポータブルトイレ100に設けられてもよい。この場合、記憶装置70は、使用者がポータブルトイレ100を使用することを邪魔しない位置に配置されていることが好ましい。例えば記憶装置70は、座部10の後部であって、背もたれ45の下方、かつ、バケツ12および便座20の後方に設けられていてもよい。記憶装置70がポータブルトイレ100に設けられている場合、記憶装置70の数は、ポータブルトイレ100の数と同じになり得る。また、記憶装置70は、サーバによって実現された上で、ポータブルトイレ100に設けられるものであってもよい。
【0057】
制御装置80は、ポータブルトイレ100の使用の管理に関する制御を行う装置である。制御装置80は、ポータブルトイレ100に排泄された排泄物の排泄量や、ポータブルトイレ100を使用したことを取得し、取得した排泄量などの使用情報を通知することに関する制御を行う装置である。制御装置80の構成は特に限定されない。制御装置80は、例えばマイクロコンピュータである。制御装置80は、例えばI/Fと、CPUと、ROMと、RAMと、記憶装置と、を備えている。
【0058】
本実施形態では、図1に示すように、制御装置80は、ポータブルトイレ100毎に設けられているものである。そのため、制御装置80は、設置先のポータブルトイレ100に対する制御を行う。制御装置80は、使用者がポータブルトイレ100を使用することを邪魔しない位置に配置されていることが好ましい。
【0059】
図5は、ポータブルトイレ100を示す背面図である。図5に示すように、例えば制御装置80は、座部10の後部であって、背もたれ45の下方、かつ、バケツ12(図3参照)および便座20の後方に設けられている。本実施形態では、座部10の後部であり、かつ、背もたれ45の下方には、脱臭装置17が設けられている。脱臭装置17の下方には、例えば上方に開口した収容部18が設けられている。制御装置80は、収容部18内に配置されている。
【0060】
なお、例えば記憶装置70がポータブルトイレ100に設けられている場合、制御装置80と記憶装置70は、同じ位置に配置され、1つのマイクロコンピュータによって実現されてもよい。また、制御装置80は、ポータブルトイレ100に設けられた上で、サーバによって実現されるものであってもよい。また、制御装置80は、後述の端末110(図1参照)によって実現されるものであってもよい。制御装置80は、ポータブルトイレ100に設けられた制御装置80と、サーバと、端末110とによって協働で実現されるものであってもよい。
【0061】
図6は、本実施形態に係るポータブルトイレシステム1のブロック図である。図6に示すように、制御装置80は、記憶装置70と通信可能に接続されている。例えば記憶装置70がサーバによって実現されている場合、制御装置80は、インターネットを介して記憶装置70と接続されている。また、制御装置80は、重量センサ60および人感センサ65と通信可能に接続されている。制御装置80は、重量センサ60および人感センサ65とケーブルなどの有線で接続されているが、無線で接続されてもよい。また、制御装置80は、インターネットを介して重量センサ60および人感センサ65と接続されてもよい。
【0062】
本実施形態では、制御装置80は、取得部81と、使用取得部83と、記録部85と、通知部87とを備えている。取得部81と、使用取得部83と、記録部85と、通知部87とは、ソフトウェアによって構成されていてもよいし、ハードウェアによって構成されていてもよい。例えば取得部81と、使用取得部83と、記録部85と、通知部87は、1つまたは複数のプロセッサによって行われるものであってもよいし、回路に組み込まれるものであってもよい。なお、制御装置80の各部の具体的な制御については、後述する。
【0063】
次に、本実施形態に係るポータブルトイレシステム1の制御装置80の制御手順について、図7のフローチャートに沿って説明する。ここでは、使用者がポータブルトイレ100を使用して排泄物を排泄する際の制御手順について説明する。
【0064】
ここでは、まず図7のステップS101では、ポータブルトイレ100の使用が開始されたことを取得する。ポータブルトイレ100に対する使用の開始の取得は、図6の使用取得部83によって実現される。人感センサ65は、使用者が居ることを感知することで、ポータブルトイレ100が使用されていると判断する。使用取得部83は、人感センサ65の感知結果に基づいて、ポータブルトイレ100を使用者が使用したことを取得する。ここでは、人感センサ65は、便座20に使用者が座ったことを感知する。人感センサ65が使用者を感知したとき、使用者は便座20に座っていると推定される。そのため、使用取得部83は、人感センサ65の感知結果に基づいて、使用者が便座20に座ったことを取得する。
【0065】
本実施形態では、例えば人感センサ65は、使用者が便座20に座るとONになり、使用者が便座20から立ち上って離れるとOFFになるように構成されている。人感センサ65は、OFFからONに切り替わったタイミングで、人感センサ65からON信号が制御装置80に送信される。使用取得部83は、人感センサ65からのON信号を受信することで、使用者によるポータブルトイレ100の使用が開始されたことを取得する。なお、使用取得部83は、ON信号を取得したときの時刻を取得する。ON信号を取得した時刻のことを、開始時刻T11という。
【0066】
使用者は便座20に座った後、排泄物をポータブルトイレ100のバケツ12に排泄する。そのため、次に図7のステップS103では、ポータブルトイレ100に排泄された排泄物の排泄量V1を取得する。この排泄量V1の取得は、図6の取得部81によって実現される。取得部81は、重量センサ60の測定結果に基づいて、ポータブルトイレ100の排泄量V1を取得する。例えば取得部81は、例えば連続的に、または、定期的(ここでは、所定の間隔毎)に重量センサ60から、重量センサ60が測定した測定値を取得する。
【0067】
例えば記憶装置70には、上述の基準荷重が記憶されている。基準荷重とは、排泄物が排泄されていないときのバケツ12から重量センサ60に掛けられる荷重のことである。取得部81は、記憶装置70に記憶された基準荷重を取得し、重量センサ60の測定値と、基準荷重との差を算出する。そして、取得部81は、測定値と基準荷重との差を排泄量V1として取得する。本実施形態では、重量センサ60の測定値に基づいて、排泄量V1が一意的に決定されるため、重量センサ60は、排泄量V1を測定しているといえる。また、取得部81は、重量センサ60から排泄量V1を取得しているといえる。
【0068】
また、本実施形態では、取得部81は、重量センサ60から排泄量V1を取得したときの時刻を取得する。取得部81が排泄量V1を取得した時刻のことを排泄時刻T2という。排泄時刻T2は、重量センサ60から送られた測定値を取得部81が取得した時刻のことである。排泄時刻T2は、ポータブルトイレ100のバケツ12に使用者が排泄物を排泄した時刻とも言い換えることが可能である。
【0069】
このように、使用者がバケツ12に排泄物を排泄した後、使用者はポータブルトイレ100の使用を終了する。そこで、次に、図7のステップS105では、ポータブルトイレ100の使用が終了されたことを取得する。ポータブルトイレ100に対する使用の終了の取得は、図6の使用取得部83によって実現される。本実施形態では、便座20から使用者が立ち上がってポータブルトイレ100から離れたときに、ポータブルトイレ100の使用が終了したと判断される。人感センサ65は、使用者を感知しなくなったとき、使用者は便座20から離れたと推定される。使用取得部83は、人感センサ65の感知結果に基づいて、使用者が便座20から離れたことを取得する。
【0070】
本実施形態では、人感センサ65は、ONからOFFに切り替わったタイミングで、人感センサ65からOFF信号が制御装置80に送信される。使用取得部83は、人感センサ65からのOFF信号を受信することで、使用者によるポータブルトイレ100の使用が終了されたことを取得する。なお、使用取得部83は、OFF信号を取得したときの時刻を取得する。OFF信号を取得した時刻のことを、終了時刻T12という。
【0071】
このように、使用取得部83は、開始時刻T11と終了時刻T12を取得することができる。開始時刻T11から終了時刻T12までの時間は、使用者が便座20に座っていた時間、すなわち使用者がポータブルトイレ100を使用していた時間である。そこで、使用取得部83は、開始時刻T11と終了時刻T12とに基づいて使用時間T1を算出することで、ポータブルトイレ100を使用者が使用した使用時間T1を取得する。
【0072】
次に、図7のステップS107では、記憶装置70に、排泄量V1、排泄時刻T2、使用時間T1を記録する。排泄量V1、排泄時刻T2、使用時間T1の記憶装置70への記録は、図6の記録部85によって実現される。記録部85は、取得部81によって取得された排泄量V1および排泄時刻T2を、記憶装置70に記録する。また、記録部85は、使用取得部83によって取得された使用時間T1を記憶装置70に記録する。なお、記録部85は、使用時間T1として、開始時刻T11と終了時刻T12とを記憶装置70に記録してもよいし、使用時間T1と共に、開始時刻T11と終了時刻T12を記憶装置70に記録してもよい。
【0073】
本実施形態では、記録部85は、排泄量V1と、排泄時刻T2と、使用時間T1(または開始時刻T11と終了時刻T12)とを関連付けて記憶装置70に記録する。例えば記憶装置70は、データベースを有している。ここで、「関連付ける」とは、例えば記憶装置70のデータベースの同じ行に、排泄量V1と、排泄時刻T2と、使用時間T1(または開始時刻T11と終了時刻T12)とを登録することをいう。
【0074】
なお、本実施形態では、ステップS105の処理が終了したときのタイミングで、排泄量V1、排泄時刻T2、使用時間T1をまとめて記憶装置70に記録しているが、ステップ毎に、記憶装置70に記録してもよい。例えばステップS103の処理が終了したときのタイミングで、記録部85は、排泄量V1と排泄時刻T2を記憶装置70に記録してもよい。
【0075】
次に、図7のステップS109では、介助者への通知を行う。介助者への通知は、図6の通知部87によって実現される。通知部87は、排泄量V1を介助者へ通知する。更に、通知部87は、排泄量V1と共に、排泄時刻T2、および、使用時間T1(または開始時刻T11と終了時刻T12)を介助者へ通知する。以下の説明において、排泄量V1、排泄時刻T2、および、使用時間T1などを総称して、ポータブルトイレ100の使用情報という。ここで、介助者への使用情報の通知先は、特に限定されない。
【0076】
ここでは、通知部87は、図1に示す端末110に使用情報を通知する。端末110は、介助者が使用するデスクトップ型またはラップトップ型のパーソナルコンピュータである。ただし、端末110は、介助者が使用するスマートフォンやタブレット端末であってもよい。本実施形態では、図6に示すように、制御装置80は、端末110と通信可能に接続されている。ここでは、制御装置80は、インターネットを介して端末110と接続されている。そのため、制御装置80は、端末110に使用情報を通知することが可能となる。
【0077】
なお、通知部87による介助者への具体的な通知方法は、特に限定されない。また、通知部87から通知するタイミングも特に限定されない。例えば定期的(所定の通知間隔毎)に、通知部87から端末110に使用情報が通知されてもよい。例えば端末110側で介助者が期間を設定し、端末110から制御装置80に通知信号が送信される。通知部87は、通知信号を受信したタイミングで、介助者が設定した期間の使用情報を端末110に通知してもよい。
【0078】
端末110は、通知部87から通知された使用情報に基づいて、端末110の画面(図示せず)に使用情報を表示してもよい。また、音や光を発する、またはバイブレーション機能を作動させることで使用情報を受信したことを介助者に通知してもよい。例えば端末110には、本実施形態に係るポータブルトイレシステム1の専用のアプリケーションがインストールされている。当該アプリケーションは、通知部87から通知された使用情報を編集する編集機能を有している。編集機能として、例えば使用情報をグラフ化するグラフ作成機能が挙げられる。グラフ作成機能は、例えば使用者毎に、所定の時間(例えば1日、1時間など)の排泄量V1や、排泄回数などを示したグラフを作成する機能である。上記アプリケーションは、グラフ作成機能によって作成されたグラフを端末110の画面に表示する。介助者は、端末110の画面に表示されたグラフなどの使用情報を見ることで、使用者毎のポータブルトイレ100の使用頻度や使用のタイミング、排泄量V1や排泄回数などから分かる使用者の健康状態を把握することができる。
【0079】
以上、本実施形態では、図1に示すように、ポータブルトイレシステム1は、ポータブルトイレ100と、ポータブルトイレ100に排泄された排泄物の排泄量V1を測定する重量センサ60と、制御装置80と、記憶装置70と、を備えている。図6に示すように、制御装置80は、取得部81と、記録部85とを備えている。取得部81は、図7のステップS103に示すように、重量センサ60の測定結果に基づいて、ポータブルトイレ100の排泄量V1を取得する。記録部85は、図7のステップS107に示すように、取得部81によって取得された排泄量V1を記憶装置70に記録する。このことによって、使用者がポータブルトイレ100に排泄した排泄物の排泄量V1を記憶装置70に記録することができる。よって、介助者は、記憶装置70に記録された排泄量V1を知ることで、排泄量V1から使用者の健康状態を把握することができる。
【0080】
本実施形態では、取得部81は、図7のステップS103に示すように、排泄量V1を取得した排泄時刻T2を取得する。記録部85は、図7のステップS107に示すように、排泄量V1と排泄時刻T2とを関連付けて記憶装置70に記録する。このことによって、介助者は、記憶装置70に記録された排泄量V1と排泄時刻T2を知ることで、使用者が排泄物を排泄するタイミングを把握することができる。
【0081】
本実施形態では、ポータブルトイレ100は、図3に示すように、排泄物が排泄される容器の一例であるバケツ12を備えている。図4に示すように、重量センサ60は、バケツ12に排泄された排泄物の排泄量V1を測定する。このように、バケツ12内の排泄量V1を測定することで、使用者が排泄した排泄物の排泄量V1を容易に測定することができる。
【0082】
本実施形態では、図1に示すように、ポータブルトイレシステム1は、ポータブルトイレ100を使用者が使用したことを感知する人感センサ65を備えている。制御装置80は、人感センサ65の感知結果に基づいて、ポータブルトイレ100を使用者が使用したことを取得する使用取得部83(図6参照)を備えている。このことによって、介助者は、ポータブルトイレ100を使用者が使用したタイミングを把握することができる。
【0083】
本実施形態では、図3に示すように、ポータブルトイレ100は、使用者が座る便座20を備えている。人感センサ65は、便座20に使用者が座ったことを感知する。このように、便座20に使用者が座ったときは、ポータブルトイレ100を使用して排泄物を排泄するタイミングであると推定される。よって、使用者が便座20に座ったことを感知することで、ポータブルトイレ100を使用者が使用するタイミングを容易に把握することができる。
【0084】
本実施形態では、使用取得部83は、図7のステップS105に示すように、ポータブルトイレ100を使用者が使用した使用時間T1を取得する。記録部85は、図7のステップS107に示すように、使用取得部83によって取得された使用時間T1を記憶装置70に記録する。このことによって、介助者は、記憶装置70に記録された使用時間T1を知ることで、使用者がどのようなタイミングでどれくらいの時間、ポータブルトイレ100を使用するかを把握することができる。よって、使用者が排泄することに関する生活のリズムを把握し易い。
【0085】
本実施形態では、制御装置80は、取得部81によって取得された排泄量V1を介助者に通知する通知部87(図6参照)を備えている。このことによって、介助者は、排泄量V1が通知されるタイミングで、排泄量V1から使用者の健康状況を把握することができる。
【0086】
本実施形態では、記憶装置70は、サーバによって実現されている。このことによって、複数のポータブルトイレ100に対する排泄量V1を、記憶装置70にまとめて記録することができる。よって、ポータブルトイレシステム1の管理がし易い。
【0087】
上記実施形態では、重量センサ60、人感センサ65、記憶装置70、および、制御装置80は、ポータブルトイレシステム1に備えられていた。しかしながら、重量センサ60、人感センサ65、記憶装置70、および、制御装置80は、ポータブルトイレ100の構成要素の一部であってもよい。例えばポータブルトイレ100は、使用者によって排泄された排泄物の排泄量V1を測定する重量センサ60と、制御装置80と、記憶装置70とを備えていてもよい。ポータブルトイレ100の制御装置80は、重量センサ60の測定結果に基づいて、排泄量V1を取得する取得部81と、取得部81によって取得された排泄量V1を記憶装置70に記録する記録部85とを備えていてもよい。また、ポータブルトイレ100の制御装置80は、取得部81によって取得された排泄量V1を介助者に通知する通知部87を備えてもよい。
【0088】
また、ポータブルトイレ100の重量センサ60は、容器12に排泄された排泄物の排泄量V1を測定してもよい。ポータブルトイレ100において、取得部81は、排泄量V1を取得した排泄時刻T2を取得し、記録部85は、排泄量V1と排泄時刻T2とを関連付けて記憶装置70に記録してもよい。また、ポータブルトイレ100は、使用者が使用したことを感知する人感センサ65を備えていてもよい。ポータブルトイレ100の人感センサ65は、便座20に使用者が座ったことを感知してもよい。この場合、ポータブルトイレ100の制御装置80は、人感センサ65の感知結果に基づいて、ポータブルトイレ100を使用者が使用したことを取得する使用取得部83を備えてもよい。ポータブルトイレ100において、使用取得部83は、ポータブルトイレ100を使用者が使用した使用時間T1を取得し、記録部85は、使用取得部83によって取得された使用時間T1を記憶装置70に記録してもよい。また、ポータブルトイレ100の制御装置80は、取得部81によって取得された排泄量V1を介助者に通知する通知部87を備えてもよい。このようなポータブルトイレ100の構成にした場合であっても、上記実施形態と同様の効果が得られる。
【0089】
上記実施形態では、重量センサ60は、ポータブルトイレ100のバケツ12に設けられており、バケツ12から掛かる荷重に基づいて、排泄量V1を測定していた。しかしながら、重量センサ60は、ポータブルトイレ100の全体の重量を測定することで、排泄量V1を測定してもよい。例えば重量センサ60は、便座20に使用者が座ったときのポータブルトイレ100の全体の重量であって、排泄物を排泄する前後の重量を比較し、その差分を排泄量V1とするように構成されてもよい。
【0090】
上記実施形態では、ポータブルトイレ100は、バケツ12を備えており、いわゆるバケツ仕様のポータブルトイレであった。しかしながら、ポータブルトイレシステム1が備えるポータブルトイレ100は、バケツ仕様のポータブルトイレに限定されない。例えばポータブルトイレ100は、いわゆる自動ラップ仕様のポータブルトイレであってもよい。自動ラップ仕様のポータブルトイレとは、例えば特開2019-4935号公報に開示されたようなポータブルトイレのことである。自動ラップ仕様のポータブルトイレでは、便座の下方に密封装置が設けられ、密封装置の下方にはトレイが設けられている。密封装置は、使用者が排泄した排泄物をフィルムで密封する装置である。例えば密封装置は、熱溶着によってフィルムを袋状に形成し、袋状のフィルムの内部に排泄物を収容し、フィルムを密封する。排泄物が収容された袋状のフィルムは、密封装置の下方に設けられたトレイに受けられる。
【0091】
ポータブルトイレ100が自動ラップ仕様のポータブルトイレの場合、重量センサ60は、トレイに設けられてもよい。重量センサ60は、トレイが受けた、排泄物が収容された袋状のフィルムの重量を測定するように構成されていてもよい。この場合であっても、重量センサ60は、排泄物が収容された袋状のフィルムの重量を測定することで、ポータブルトイレ100に排泄された排泄物の排泄量V1を測定することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 ポータブルトイレシステム
12 バケツ(容器)
20 便座
60 重量センサ
65 人感センサ
70 記憶装置
80 制御装置
81 取得部
83 使用取得部
85 記録部
87 通知部
100 ポータブルトイレ
T1 使用時間
T2 排泄時刻
V1 排泄量
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7