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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149845
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】ポータブルトイレ
(51)【国際特許分類】
   A47K 11/04 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
A47K11/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058624
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000505
【氏名又は名称】アロン化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】青山 智行
(72)【発明者】
【氏名】李 剛
【テーマコード(参考)】
2D036
【Fターム(参考)】
2D036HA03
2D036HA12
2D036HA21
2D036HA22
2D036HA27
2D036HA31
2D036HA42
(57)【要約】
【課題】便器本体の高さ調整の自由度が高いポータブルトイレを提供すること。
【解決手段】ポータブルトイレ10は、便器本体50と、便器本体50に設けられた前脚110Fと、便器本体50に設けられ、かつ、前脚110Fよりも後方に位置し、かつ、便器本体50から延びる長さである脚長さを調整可能な後脚110Rrと、を備え、便器本体50は、後脚110Rrの脚長さを調整することによって傾斜可能に構成され、前脚110Fおよび後脚110Rrは、便器本体50が傾斜していないときに床面と面接触する第1脚面141と、便器本体50が傾斜しているときに床面と面接触する第2脚面142と、を有する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体と、
前記便器本体に設けられた前脚と、
前記便器本体に設けられ、かつ、前記前脚よりも後方に位置し、かつ、前記便器本体から延びる長さである脚長さを調整可能な後脚と、を備え、
前記便器本体は、前記後脚の前記脚長さを調整することによって傾斜可能に構成され、
前記前脚および前記後脚は、前記便器本体が傾斜していないときに床面と面接触する第1脚面と、前記便器本体が傾斜しているときに床面と面接触する第2脚面と、を有する、ポータブルトイレ。
【請求項2】
前記第1脚面と床面とのなす角度と、前記第2脚面と床面とのなす角度とは異なり、
前記後脚の前記脚長さと前記前脚の前記脚長さとの差が第1の長さのときに、前記第1脚面が床面と面接触し、
前記後脚の前記脚長さと前記前脚の前記脚長さとの差が第1の長さより長い第2の長さのときに、前記第2脚面が床面と面接触する、請求項1に記載のポータブルトイレ。
【請求項3】
前記第1脚面は水平面であり、
前記第2脚面は傾斜面である、請求項2に記載のポータブルトイレ。
【請求項4】
前記前脚は、前記便器本体から延びる長さである前記脚長さを調整可能に構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のポータブルトイレ。
【請求項5】
前記第1脚面と前記第2脚面との角度差は、10°以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載のポータブルトイレ。
【請求項6】
前記第1脚面の面積は、前記第2脚面の面積より大きい、請求項1から5のいずれか一項に記載のポータブルトイレ。
【請求項7】
前記後脚の前記第1脚面の面積は、前記前脚の前記第1脚面の面積より大きい、請求項1から6のいずれか一項に記載のポータブルトイレ。
【請求項8】
前記後脚の前記第2脚面の面積は、前記前脚の前記第2脚面の面積より大きい、請求項1から7のいずれか一項に記載のポータブルトイレ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブルトイレに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器本体と便器本体に設けられた脚とを備えたポータブルトイレが知られている。この種のポータブルトイレでは、使用者の体格に応じて便器本体の高さを変更することができる。例えば、特許文献1には、便器本体から下方に延びる脚の長さを調整する機構を備えたポータブルトイレが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-138898号公報
【特許文献2】特開2015-134040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ポータブルトイレを使用する使用者によっては、便器本体を通常時よりも傾斜させることで使用しやすい場合がある。従来のポータブルトイレでも、例えば、後脚の脚長さを調整することによって、便器本体を傾斜させることができた。しかしながら、脚のうち床面に接する脚面の形状によっては、便器本体を傾斜させたときに不安定となり、使用者が快適に使用できないという問題が生じ得る。なお、特許文献2に記載のように、脚の底部を交換することで便器本体を傾斜させても安定させることができるが、便器本体を傾斜させる度に使用者は底部を交換する必要があり、作業が煩雑である。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、便器本体を傾斜させたときに安定したポータブルトイレを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るポータブルトイレは、便器本体と、前記便器本体に設けられた前脚と、前記便器本体に設けられ、かつ、前記前脚よりも後方に位置し、かつ、前記便器本体から延びる長さである脚長さを調整可能な後脚と、を備えている。前記便器本体は、前記後脚の前記脚長さを調整することによって傾斜可能に構成され、前記前脚および前記後脚は、前記便器本体が傾斜していないときに床面と面接触する第1脚面と、前記便器本体が傾斜しているときに床面と面接触する第2脚面と、を有する。
【0007】
本発明に係るポータブルトイレによると、前脚および後脚は、便器本体が傾斜していないときに床面と面接触する第1脚面を有している。このため、便器本体が傾斜していない状態で(即ち通常時に)使用者が使用する場合には、第1脚面が床面と面接触するため便器本体が安定する。また、前脚および後脚は、便器本体が傾斜しているときに床面と面接触する第2脚面を有している。このため、便器本体が傾斜している状態で使用者が使用する場合には、第2脚面が床面と面接触するため便器本体が安定する。このように、便器本体が傾斜していない場合も傾斜している場合も、便器本体は床面に安定して配置されているため使用者は快適に使用することができる。
【0008】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1脚面と床面とのなす角度と、前記第2脚面と床面とのなす角度とは異なり、前記後脚の前記脚長さと前記前脚の前記脚長さとの差が第1の長さのときに、前記第1脚面が床面と面接触し、前記後脚の前記脚長さと前記前脚の前記脚長さとの差が第1の長さより長い第2の長さのときに、前記第2脚面が床面と面接触する。
【0009】
上記態様によれば、後脚の脚長さに応じて床面に面接触する脚面を変更することができるため、便器本体を安定して床面に配置することができる。
【0010】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1脚面は水平面であり、前記第2脚面は傾斜面である。
【0011】
上記態様によれば、便器本体を安定して床面に配置することができる。
【0012】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記前脚は、前記便器本体から延びる長さである前記脚長さを調整可能に構成されている。
【0013】
上記態様によれば、便器本体の床面からの高さを調整することができるため、使用者はより快適にポータブルトイレを使用することができる。
【0014】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1脚面と前記第2脚面との角度差は、10°以下である。
【0015】
上記態様によれば、便器本体が過度に傾斜しないため、使用者は快適にポータブルトイレを使用することができる。
【0016】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記第1脚面の面積は、前記第2脚面の面積より大きい。
【0017】
上記態様によれば、使用頻度の高い通常時での使用(即ち便器本体が傾斜していない状態)において便器本体を脚によって安定して支持することができる。
【0018】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記後脚の前記第1脚面の面積は、前記前脚の前記第1脚面の面積より大きい。
【0019】
上記態様によれば、便器本体に使用者が座る際には、通常後脚加わる荷重が大きくなるため、後脚の第1脚面の面積をより大きくすることにより、便器本体を後脚によってより安定して支持することができる。
【0020】
本発明の好ましい他の一態様によれば、前記後脚の前記第2脚面の面積は、前記前脚の前記第2脚面の面積より大きい。
【0021】
上記態様によれば、便器本体が傾斜しているときには、後脚の第2脚面の面積をより大きくすることにより、便器本体がより安定する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、便器本体の高さ調整の自由度が高いポータブルトイレを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、一実施形態に係るポータブルトイレの斜視図である。
図2図2は、一実施形態に係るポータブルトイレの斜視図である。
図3図3は、一実施形態に係るポータブルトイレの斜視図である。
図4図4は、一実施形態に係る便器本体の斜視図である。
図5図5は、前脚およびその周辺の構造の分解斜視図である。
図6図6は、前脚およびその周辺の構造の断面図である。
図7図7は、前脚の脚底部および後脚の脚底部を示す側面図である。
図8図8は、右方から見たときの通常使用時のポータブルトイレを示す側面図である。
図9図9は、右方から見たときの傾斜時のポータブルトイレを示す側面図である。
図10図10は、前脚の脚底部および後脚の脚底部を示す底面図である。
図11図11は、無段階調整機構によって脚本体部と脚底部との間隔が最も開いた状態を示す断面図である。
図12図12は、リング部材が取り外されて調整ボタンが押圧された状態を示す断面図である。
図13図13は、前脚の脚本体部および後脚の脚本体部が最も長い状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明に係るポータブルトイレの実施形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら特に本発明を限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0025】
図1図2および図3は、本実施形態に係るポータブルトイレ10の斜視図である。図1は、蓋15が閉じた状態を示している。図2は、蓋15が開いた状態(蓋15が上げられた状態)を示している。図3は、蓋15および便座20が開いた状態(蓋15および便座20が上げられた状態)を示している。以下の説明において、図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ便器本体50に腰掛けた使用者から見たときの前、後、左、右、上、下をそれぞれ意味するものとする。ただし、これら方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、ポータブルトイレ10の設置態様を何ら限定するものではなく、本発明を何ら限定するものでもない。
【0026】
図1図2および図3に示すように、ポータブルトイレ10は、主に高齢者および身体障害者等のいわゆる用介助者に使用されるトイレであり、介助用に好適に使用されるトイレである。また、ポータブルトイレ10は、床面に固定されるトイレではなく、移動可能式のトイレである。ポータブルトイレ10は、蓋15と、便座20と、受け板30と、バケツ40と、便器本体50と、背もたれ70と、肘掛80と、脚100と、を備えている。
【0027】
蓋15は、便座20に被せられる部材である。図1に示すように、本実施形態では、蓋15は、略矩形の部材であり、後側の縁に設けられた図示しないヒンジを介して便器本体50の後部に取り付けられている。蓋15は、便器本体50に着脱可能に取り付けられている。蓋15は、ヒンジを軸にして回動する。蓋15は、前後方向の中間部に図示しない蝶番が取り付けられている。蓋15は、蝶番によって前後方向の中間部で折り曲げることができる。折り曲げられた蓋15は、背もたれ70に設けられた開口71を通すことができる。背もたれ70に設けられた開口71に蓋15を通すことによって、蓋15の姿勢は、背もたれ70の前で便座20の上に配置された姿勢(図1参照)と、背もたれ70の後ろに引き上げた姿勢(図2参照)とに適宜に変えられる。
【0028】
図2に示すように、便座20は、便器本体50の上部の中央に配置されている。便座20は、図示しないヒンジを介して受け板30の後部に取り付けられている。便座20は、ヒンジを軸にして受け板30に対して回動する。便座20は、便器本体50の上部に配置された姿勢(図2参照)と、便器本体50の上部から引き上げられた姿勢(図3参照)とで適宜に変えられる。便座20は、使用者がお尻を受ける座面21を有する。便座20の中央には開口22が形成されている。
【0029】
受け板30は、便器本体50の上部に配置されている。受け板30は、便器本体50に着脱可能に配置されている。受け板30の上には便座20が配置される。受け板30は、便座20を回動可能に支持する。受け板30と便座20とは一体となっている。図3に示すように、受け板30の中央部には、開口31が形成されている。受け板30は、トイレとも称される。
【0030】
バケツ40は、使用者の排泄物を受けるバケツであり、「汚物受け」と称されうる。バケツ40は、上部が開口した底が深い有底の容器である。バケツ40は、便座20の下方に配置される。バケツ40は、予め定められた向きで便器本体50に収納される。バケツ40は、受け板30の開口31内に配置される。バケツ40は、受け板30に着脱自在に収納される。図2に示すように、バケツ40の開口には蓋42(バケツ蓋)が装着されており、ポータブルトイレ10を使用する時は、蓋42を外して使用する。また、ポータブルトイレ10を使用しない時は、バケツ40に蓋42をしておき、臭気が漏れるのを抑制するとよい。
【0031】
図4は、便器本体50の斜視図である。図4に示すように、便器本体50は、本体部51と、収納部52と、脚支持部55と、を有する。本体部51は、略直方体形状に形成されている。本体部51の上部には、受け板30(図3参照)が配置される。収納部52は、本体部51の中央部に設けられており、下方に向けて窪んだ部位である。収納部52には、バケツ40が収納される。脚支持部55は、本体部51の前後左右の四隅に設けられている。脚支持部55には、上下方向に貫通した貫通穴55Hが形成されている。貫通穴55Hには脚100(図1参照)が挿入される。脚支持部55は、脚100を支持する部位である。便器本体50は、後述するように、脚100の後脚110Rr(図1参照)の脚長さを調整することによって傾斜可能に構成されている。
【0032】
図1に示すように、背もたれ70は、左側の柱部71Lと、右側の柱部71Rと、背もたれ部72と、クッション73とを備えている。左側の柱部71Lおよび右側の柱部71Rは、それぞれ便器本体50の左右両側から上方に延びている。背もたれ部72は、左側の柱部71Lおよび右側の柱部71Rの上端に架け渡されている。背もたれ部72は、左右方向に延びている。クッション73は、背もたれ部72の前面に取り付けられている。クッション73は、例えば、ポリプロピレン樹脂や発泡性の軟質樹脂材料から形成されている。また、左側の柱部71Lおよび右側の柱部71Rと背もたれ部72とで囲まれた領域は、蓋15を前後に通すための開口71を形成している。
【0033】
図1に示すように、肘掛80は、蓋15より左方に配置された左側肘掛80Lと、蓋15より右方に配置された右側肘掛80Rと、を有する。左側肘掛80Lおよび右側肘掛80Rは、凡そ同様の構造をしている。左側肘掛80Lおよび右側肘掛80Rは、使用者の肘が載置される肘掛本体部81と、肘掛本体部81から下方に延びる第1支柱82および第2支柱83とを有する。肘掛本体部81は、前後方向に延びる。第2支柱83は、第1支柱82より後方に位置する。左側肘掛80Lおよび右側肘掛80Rは、便器本体50に設けられている。左側肘掛80Lおよび右側肘掛80Rは、便器本体50に対する高さを調整可能に構成されている。左側肘掛80Lおよび右側肘掛80Rは、使用者や介助者のニーズに応じて便器本体50から適宜に取り外すことができる。
【0034】
図1に示すように、脚100は、便器本体50に設けられている。脚100は、左右一対の前脚110Fと、前脚110Fより後方に位置する左右一対の後脚110Rrとを含む。前脚110Fおよび後脚110Rrは、便器本体50から延びる長さである脚長さを調整可能に構成されている。左右一対の前脚110Fは、左右方向に関して対称の構造をしている。即ち、後述する調整ボタン218が内側に配置され相互に対向している。左右一対の後脚110Rrは、左右方向に関して対称の構造をしている。即ち、調整ボタン218が内側に配置され相互に対向している。後脚110Rrには、移動用のキャスター115が設けられている。キャスター115は、後述する脚底部131と一体に形成されている。キャスター115は、便器本体50が水平の状態(即ち前脚110Fの後述する第1脚面141から便座20までの高さと後脚110Rrの後述する第1脚面141から便座20までの高さが同じ状態)のときに床面に接している。キャスター115は、便器本体50が水平の状態のときに床面より上方に位置し、床面に接していなくてもよい。キャスター115は、後脚110Rrに着脱可能に設けられていてもよい。なお、前脚110Fおよび後脚110Rrは、前脚110Fに後述する無段階調整機構260が設けられている点を除き、凡そ同様の構造であるため、以下では前脚110Fについて説明する。
【0035】
図5は、右側の前脚110Fおよびその周辺の構造の分解斜視図である。図5に示すように、脚100は、脚本体部121と、脚底部131と、規制部材150と、を有している。脚本体部121は、第1脚部の一例である。脚底部131は、第2脚部の一例である。本実施形態において、前脚110Fでは脚本体部121と脚底部131とは別体に形成されており、後脚110Rrでは脚本体部121と脚底部131とは一体に形成されている。
【0036】
図5に示すように、脚本体部121は、脚底部131より上方に位置する。脚本体部121は、上下方向に延びている。脚本体部121は、上下方向に延びる中空の脚部122と、脚部122の下方に配置された第1筒状部124と、を有する。脚部122と、第1筒状部124とは一体に形成されている。図6に示すように、脚本体部121は、脚部122と第1筒状部124との間に規制壁部128を有する。規制壁部128は、規制部材150の移動を規制する壁である。規制壁部128には、脚底部131の後述する突出部材135の一部が挿入される挿入穴129が形成されている。挿入穴129は、規制壁部128を上下方向に貫通している。
【0037】
図5に示すように、脚部122は、横断面形状が略矩形状に形成されている。脚部122の外周面(ここでは左面および右面)には、複数の脚側係合部123が形成されている。脚側係合部123は、脚部122の外周面から内方(水平方向)に向けて窪んだ形状をしている。なお、脚側係合部123は、脚部122を貫通した貫通穴であってもよい。複数の脚側係合部123は、上下方向に離間して配置されている。複数の脚側係合部123は、等間隔に配置されている。脚側係合部123は、例えば、0.3cm~3cm(好ましくは0.7cm~1.5cm。例えば1cm)間隔で設けられている。脚側係合部123は、後述する本体側係合部220と係合する。
【0038】
図5に示すように、第1筒状部124は筒状に形成されている。第1筒状部124の外形は、脚部122の外形より大きい。即ち、第1筒状部124の外周面は、脚部122の外周面より外側に位置する。第1筒状部124の外周面には、第1ねじ溝125が形成されている。図6に示すように、第1筒状部124の内部には、規制壁部128から下方に延びる突出壁127が形成されている。突出壁127は、挿入穴129より外方に形成されている。なお、後脚110Rrは、脚本体部121と脚底部131とが一体に形成されているため、第1筒状部124を有していない。
【0039】
脚底部131は、床面に面接触する。図5に示すように、脚底部131は、ベース部材132と、ベース部材132の下面に装着されるグリップ部材138と、ベース部材132から上方に突出する突出部材135と、を有する。なお、後脚110Rrは、脚本体部121と脚底部131とが一体に形成されているため、突出部材135を有していない。
【0040】
図5に示すように、ベース部材132は、扁平形状に形成されている。ベース部材132の外形は、脚本体部121の外形より大きい。ベース部材132は、脚本体部121とは異なる材料から形成されている。
【0041】
図6に示すように、グリップ部材138は、ベース部材132の裏面に取り付けられている。グリップ部材138は、例えば、ゴム材料やエラストマー材料から形成されている。ゴム材料およびエラストマー材料は、JIS K 6253-3準拠のデュロメータ タイプA硬度が30度~90度のものを好ましく用いることができる。ゴム材料としては、例えば、シリコンゴム、天然ゴム、ニトリルゴム、ブチルゴム等が挙げられる。エラストマー材料としては、例えば、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー等が挙げられる。このようなグリップ部材138により、使用者がポータブルトイレ10を使用するときに、ポータブルトイレ10が床面にしっかりと固定される。図7に示すように、グリップ部材138は、第1脚面141と、第2脚面142とを有する。第1脚面141は、第2脚面142より後方に位置する。第1脚面141と床面とのなす角度と、第2脚面142と床面とのなす角度とは異なっている。第1脚面141は、便器本体50が傾斜していないときに床面と面接触する面である(図8参照)。本実施形態では、第1脚面141は、水平面である。第2脚面142は、後述するように、便器本体50が傾斜しているときに床面と面接触する面である(図9参照)。本実施形態では、第2脚面142は、傾斜面である。第2脚面142は、前方に行くほど上方に向かうように延びている。第2脚面142は、脚本体部121より前方に位置する。第1脚面136と第2脚面137との角度差は、10°以下(例えば1°以上10°以下。好ましくは2°以上9°以下。より好ましくは3°以上7°以下。さらに好ましくは3°以上6°以下。よりさらに好ましくは3°以上5°以下。ここでは3°)である。
【0042】
図8に示すように、後脚110Rrの脚長さRrLと前脚110Fの脚長さFLとの差が第1の長さのときに第1脚面141が床面MMと面接触する。図9に示すように、後脚110Rrの脚長さRrLと前脚110Fの脚長さFLとの差が第1の長さより長い第2の長さ(例えば第1の長さ+数cm(例えば1cm~5cm。例えば2cm。))のときに第2脚面142が床面MMと面接触する。このとき、第1脚面141は、床面MMと面接触しない。なお、本実施形態では、前脚110Fの脚長さFLは後述する挟持部材230(図6参照)に取り付けられたストッパー部材240の下端から脚底部131の第1脚面141までの上下方向の距離であり、後脚110Rrの脚長さRrLは挟持部材230に取り付けられたストッパー部材240の下端から脚底部131の第1脚面141までの上下方向の距離である。本実施形態では、図8に示すように、後脚110Rrの脚長さRrLと前脚110Fの脚長さFLとが最も短い状態において、脚長さFLは脚長さRrLより長い。なお、後脚110Rrの脚長さRrLと前脚110Fの脚長さFLとが最も短い状態において、脚長さFLと脚長さRrLとが同じ場合には、上記第1の長さはゼロになる。
【0043】
図10に示すように、前脚110Fの第1脚面141および第2脚面142と、後脚110Rrの第1脚面141および第2脚面142とは形状が異なっている。前脚110Fの第1脚面141の面積は、前脚110Fの第2脚面142の面積より大きい。後脚110Rrの第1脚面141の面積は、後脚110Rrの第2脚面142の面積より大きい。後脚110Rrの第1脚面141の面積は、前脚110Fの第1脚面141の面積より大きい。後脚110Rrの第2脚面142の面積は、前脚110Fの第2脚面142の面積より大きい。
【0044】
図5に示すように、突出部材135は、ベース部材132と一体に形成されている。図6に示すように、突出部材135は、脚本体部121に挿入される。突出部材135は、後述する無段階調整機構260に挿入されて、無段階調整機構260を回転可能に支持する台座部135Aと、台座部135Aの上方に位置しかつ突出部材135が脚本体部121に対して所定量以上挿入されることを抑制する段差部135Bと、段差部135Bの上方に位置しかつ後述する規制部材150が係止する先端部135Cと、台座部135Aの内部に設けられかつ規制部材150を支持する支持部135Dと、を有する。突出部材135は、先端部135Cから台座部135Aに向けて段階的に外方へ突出したテーパー形状の突起である。段差部135Bは、突出壁127に接触可能に形成されている。段差部135Bが突出壁127に接触することにより、突出部材135の上方への移動が規制される。先端部135Cには、規制部材150が挿入される挿入穴135Hが形成されている。先端部135Cは、脚本体部121の規制壁部128に形成された挿入穴129に挿入されている。
【0045】
図6に示すように、規制部材150は、脚本体部121と脚底部131との間に設けられている。規制部材150は、脚底部131と脚本体部121との間隔LSが所定の長さ以上になることを規制する。間隔LSとは、図6に示すように、脚本体部121の第1筒状部124の下端と脚底部131のベース部材132の上端との間隔である。規制部材150は、上下方向に延びかつ棒状に形成された棒状部材151と、棒状部材151の上端に設けられた第1規制片152と、棒状部材151の下端に設けられた第2規制片153とを有する。棒状部材151は、突出部材135の先端部135Cに形成された挿入穴135Hに挿入されている。棒状部材151は、突出部材135の支持部135Dに支持されている。第1規制片152は、先端部135Cに係止している。第1規制片152は、先端部135Cに所定の角度以上回転しないように係止している。第1規制片152は、脚本体部121の内部に位置する。第2規制片153は、支持部135Dに係止している。第2規制片153は、脚底部131の内部に位置する。図11に示すように、第1規制片152は、脚底部131と脚本体部121との間隔LSが最も大きい間隔LSLのときに脚本体部121の規制壁部128と接触する。これにより、脚本体部121と脚底部131との間隔LSが最も大きい間隔LSLより広がることが抑制される。一方、第1規制片152は、脚底部131と脚本体部121との間隔LSが最も大きい間隔LSL未満のときには、脚本体部121の規制壁部128と接触しない(図6参照)。
【0046】
図5に示すように、ポータブルトイレ10は、脚長さ調整機構200を備えている。脚長さ調整機構200は、脚100が便器本体50から延びる長さである脚長さを調整するように構成されている。脚長さ調整機構200は、前脚110Fおよび後脚110Rrにそれぞれ設けられている。前脚110Fに設けられた脚長さ調整機構200は、脚長さを有段階で調整する有段階調整機構210と、脚長さを無段階で調整する無段階調整機構260とを備えている。一方、後脚110Rrに設けられた脚長さ調整機構200は、脚長さを有段階で調整する有段階調整機構210を備えている。有段階調整機構210は、長さ調整ロック部の一例である。
【0047】
有段階調整機構210は、便器本体50に対して脚100を固定する固定動作(図6参照)と、便器本体50に対して脚100を移動可能にする解除動作(図12参照)と、を実行可能に構成されている。有段階調整機構210は、固定動作と解除動作とによって脚100の脚長さを有段階で調整する機構である。図5に示すように、有段階調整機構210は、リング部材215と、挟持部材230と、ストッパー部材240と、を備えている。図6に示すように、リング部材215および挟持部材230は、便器本体50の脚支持部55に固定されている。即ち、リング部材215および挟持部材230は、便器本体50の一部である。
【0048】
図5に示すように、リング部材215は、筒状に形成された本体部216と、本体部216の外周面から外方に向けて突出する調整ボタン218と、本体部216の内周面から内方に向けて突出する本体側係合部220と、本体部216から下方に延びる延伸部222(図6参照)と、を有している。
【0049】
調整ボタン218は、押圧されて移動するように構成されている。図12に示すように、調整ボタン218は、押圧されることにより挟持部材230および脚100(脚本体部121)に対して水平方向(ここでは右方)に移動する。調整ボタン218が押圧されたときには、便器本体50に対して脚100を移動させることができる。即ち、図12に示すように、調整ボタン218が押圧されたときには、本体側係合部220と脚100の脚側係合部123との係合が解除されて、便器本体50に対して脚100を上下方向に移動させることができる(解除動作)。調整ボタン218が押圧された状態で、本体側係合部220に係合させる脚側係合部123を変更することで、脚長さを調整する(変更する)ことができる。図13は、前脚110Fの脚本体部121の脚長さと後脚110Rrの脚本体部121の脚長さが最も長い状態を示す側面図である。図13の例では、無段階調整機構260による調整は行っていない。なお、後述するようにストッパー部材240が挟持部材230に取り付けられているときは、調整ボタン218を押圧することができない(図6参照)。図6に示すように、調整ボタン218が押圧されていないときには、便器本体50に対して脚100を固定することができる。調整ボタン218が押圧されていないときには、調整ボタン218の裏面と挟持部材230との間に設けられた後述するコイルばね238によって調整ボタン218は挟持部材230から離れる方向(即ち本体側係合部220が脚側係合部123に挿入される方向。ここでは左方。)に付勢される。即ち、調整ボタン218が押圧されていないときには、本体側係合部220と脚側係合部123とが係合して、便器本体50に対して脚100を固定することができる(固定動作)。
【0050】
図6に示すように、本体側係合部220は、リング部材215の本体部216に設けられている。即ち、本体側係合部220は、便器本体50に設けられている。本体側係合部220は、本体部216の内周面から内方(水平方向。ここでは左方。)に向けて突出している。本体側係合部220は、調整ボタン218の反対側に設けられている。本体側係合部220は、調整ボタン218の移動に連動する。本体側係合部220は、脚100の脚側係合部123に係合する。本体側係合部220は、脚側係合部123に挿入される。本体側係合部220は、本体部216の内周面に複数(例えば4個)設けられている。複数の本体側係合部220は、上下方向に離間して配置されている。複数の本体側係合部220は、等間隔に配置されている。本体側係合部220の間隔は、脚側係合部123の間隔と同じである。本体側係合部220は、例えば、0.3cm~3cm(好ましくは0.7cm~1.5cm。例えば1cm)間隔で設けられている。
【0051】
図6に示すように、延伸部222は、挟持部材230の後述する第2挟持部材232に形成された溝236に収容される。延伸部222の外方には、ストッパー部材240が着脱可能に取り付けられる。
【0052】
図6に示すように、挟持部材230は、脚100を側方から挟持可能な部材である。挟持部材230は、挟持部材230の長手方向に沿った断面(鉛直面)にて分割された第1挟持部材231と第2挟持部材232とを有する。第1挟持部材231と第2挟持部材232とによって脚100を側方から挟持する。第1挟持部材231および第2挟持部材232は、リング部材215に挿入される第1部分233と、半円形状に形成されかつ外周面に雄ねじ溝237が形成された第2部分234とを含む。第1部分233は、第2部分234より上方に位置する。第1挟持部材231の第1部分233には、コイルバネ238を保持するばね受け凹部235が形成されている。コイルばね238は、挟持部材230とリング部材215との間に設けられ、リング部材215を外方に向けて付勢する。第2挟持部材232の第2部分234には、リング部材215の延伸部222が収容される溝236が形成されている。第1部分233の上端には、脚支持部55に係止する係止爪239が設けられている。
【0053】
図5に示すように、ストッパー部材240は、リング状に形成されている。ストッパー部材240には、脚100の脚本体部121が挿入されている。ストッパー部材240の内周面には雌ねじ溝242が形成されている。雌ねじ溝242は、挟持部材230の雄ねじ溝237と螺合する。ストッパー部材240は、いわゆるナットである。図6に示すように、ストッパー部材240の雌ねじ溝242が挟持部材230の雄ねじ溝237に螺合しているときには、挟持部材230によって脚100の脚本体部121が挟持される。また、雌ねじ242と雄ねじ溝237とが螺合するときには、ストッパー部材240がリング部材215の延伸部222の外方に位置するため、調整ボタン218を押圧しても調整ボタン218は移動しない。即ち、ストッパー部材240は、調整ボタン218の移動を規制する。ストッパー部材240が調整ボタン218の移動を規制するときのストッパー部材240の位置を第1位置P1とする。
【0054】
一方、図12に示すように、ストッパー部材240を挟持部材230に対して相対的に回転させてストッパー部材240を挟持部材230から取り外したとき、即ち、ストッパー部材240の雌ねじ溝242が挟持部材230の雄ねじ溝237に螺合していないときには、挟持部材230によって脚100の脚本体部121は挟持されない。また、雌ねじ242と雄ねじ237とが螺合していないときには、ストッパー部材240がリング部材215の延伸部222の外方に位置しないため、調整ボタン218を押圧することができる。即ち、ストッパー部材240は、調整ボタン218の移動を許容する。ストッパー部材240が調整ボタン218の移動を許容するときのストッパー部材240の位置を第2位置P2とする。ストッパー部材240は、第1位置P1(図6参照)と第2位置P2との間で移動可能に設けられている。なお、ストッパー部材240が挟持部材230から取り外された状態では、ストッパー部材240は、第1筒状部124上に位置する。
【0055】
無段階調整機構260は、回転することによって脚100の脚長さを無段階で調整するねじ式の機構である。図6に示すように、無段階調整機構260は、脚本体部121と脚底部131との間に設けられている。無段階調整機構260は、脚本体部121と脚底部131との間隔LSを無段階に調整する。なお、図6では、脚本体部121と脚底部131との間隔LSは、最も小さい間隔LSSである。図11では、脚本体部121と脚底部131との間隔LSは、最も大きい間隔LSLである。
【0056】
図5に示すように、無段階調整機構260は、筒状に形成された第2筒状部262を有している。第2筒状部262は、外側に位置する外周壁263と、外周壁263の内側に位置する内周壁264と、外周壁263の下端と内周壁264の下端とを接続する接続壁265(図6参照)とを有する。図6に示すように、外周壁263は、上下方向に延びる。外周壁263は平面視でリング状に形成されている。内周壁264は、下方から上方に行くほど内方に向かうように傾斜している。内周壁264は平面視でリング状に形成されている。内周壁264の上下方向の長さは、外周壁263の上下方向の長さより短い。接続壁265は、水平方向に延びる。外周壁263の内周面には、第2ねじ溝266が形成されている。第2ねじ溝266は、脚本体部121の第1筒状部124に形成された第1ねじ溝125と螺合する。
【0057】
図6に示すように、無段階調整機構260の第2筒状部262は、脚本体部121の第1筒状部124に対して相対的に回転可能に構成されている。第2筒状部262を第1筒状部124に対して相対的に回転させることによって、脚本体部121と脚底部131との間隔LSを無段階に調整することができる。例えば、第2筒状部262を第1筒状部124に対して第1の方向に回転させることによって、脚本体部121と脚底部131との間隔LSを広げることができる(図11参照)。一方、第2筒状部262を第1筒状部124に対して第1の方向とは反対の第2の方向に回転させることによって、脚本体部121と脚底部131との間隔LSを狭くすることができる(図6参照)。脚本体部121と脚底部131との間隔LSは、例えば、0mmから有段階調整機構210の脚側係合部123の上下方向の間隔(以下ピッチ幅という)までの範囲である。また、間隔LSは、例えば、脚本体部121と脚底部131との最小間隔(例えば数mm)から上記ピッチ幅より大きい値までの範囲である。また、間隔LSは、例えば、上記ピッチ幅より大きい値まで調整可能である。なお、無段階調整機構260の第2筒状部262は、脚底部131の突出部材135に挿入されているが、第2筒状部262と突出部材135とは連結されていないため、第2筒状部262は突出部材135を中心に突出部材135に対して相対的に回転することができる。このため、第2筒状部262を回転させても突出部材135は回転せず、脚底部131の向きは変わらない(常に第2脚面142は、第1脚面141の前方に位置する。)。このように、本実施形態では、無段階調整機構260を回転させたときに、脚底部131は回転しないように構成されている。
【0058】
図8は、ポータブルトイレ10の通常時の状態を示しており、便器本体50は傾斜していない。また、図9は、ポータブルトイレ10を傾斜させた状態を示しており、便器本体50は前方に傾斜している。即ち、便座20の座面21(図2参照)が通常時の状態と比較して、前に行くほど下方に向かうように傾斜している。ポータブルトイレ10を傾斜させた状態で使用する場合には、前脚110Fおよび後脚110Rrの脚長さ調整機構200をそれぞれ適宜調整することによって、前脚110Fの第1脚面141から便座20までの高さに対して後脚110Rrの第1脚面141から便座20までの高さを数cm(例えば1cm~5cm。例えば2cm)高くすることで便座20の座面21を好適に傾斜させることができる。このとき、図9に示すように、前脚110Fの第2脚面142および後脚110Rrの第2脚面142が床面MMに面接触する。
【0059】
本実施形態のポータブルトイレ10は、樹脂材料から形成されている。即ち、蓋15と、便座20と、受け板30と、バケツ40と、便器本体50と、背もたれ70と、肘掛80と、脚100とは、樹脂材料から形成されている。樹脂材料としては、汚れにくさ(清拭性)、剛性、耐衝撃性および成形性の観点から、例えば、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等を用いることができる。特に、成形性の観点から、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂を好ましく用いることができる。上記各部品は、例えば、射出成形で製造される。
【0060】
以上のように、本実施形態のポータブルトイレ10によると、前脚110Fおよび後脚110Rrは、便器本体50が傾斜していないときに床面と面接触する第1脚面141を有している。このため、便器本体50が傾斜していない状態で(即ち通常時に)使用者が使用する場合には、第1脚面141が床面と面接触するため便器本体50が安定する。また、前脚110Fおよび後脚110Rrは、便器本体50が傾斜しているときに床面と面接触する第2脚面142を有している。このため、便器本体50が傾斜している状態で使用者が使用する場合には、第2脚面142が床面と面接触するため便器本体50が安定する。このように、便器本体50が傾斜していない場合も傾斜している場合も、便器本体50は安定して床面に配置されているため使用者は快適にポータブルトイレ10を使用することができる。
【0061】
本実施形態のポータブルトイレ10では、第1脚面141と床面とのなす角度と、第2脚面142と床面とのなす角度とは異なり、後脚110Rrの脚長さと前脚110Fの脚長さとの差が第1の長さのときに、第1脚面141が床面と面接触し、後脚110Rrの脚長さと前脚110Fの脚長さとの差が第1の長さより長い第2の長さのときに、第2脚面142が床面と面接触する。かかる構成によると、後脚110Rrの脚長さに応じて床面に面接触する脚面を変更することができるため、便器本体50を安定して床面に配置することができる。
【0062】
本実施形態のポータブルトイレ10では、第1脚面141は水平面であり、第2脚面142は傾斜面である。かかる構成によると、便器本体50を安定して床面に配置することができる。
【0063】
本実施形態のポータブルトイレ10では、前脚110Fは、便器本体50から延びる長さである脚長さを調整可能に構成されている。かかる構成によると、便器本体50の床面からの高さを調整することができるため、使用者はより快適にポータブルトイレ10を使用することができる。
【0064】
本実施形態のポータブルトイレ10では、第1脚面141と第2脚面142との角度差は、10°以下である。かかる構成によると、便器本体50が過度に傾斜しないため、使用者は快適にポータブルトイレ10を使用することができる。
【0065】
本実施形態のポータブルトイレ10では、第1脚面141の面積は、第2脚面142の面積より大きい。かかる構成によると、使用頻度の高い通常時での使用(即ち便器本体50が傾斜していない状態)において便器本体50を脚100によって安定して支持することができる。
【0066】
本実施形態のポータブルトイレ10では、後脚110Rrの第1脚面141の面積は、前脚110Fの第1脚面141の面積より大きい。便器本体50に使用者が座る際には、通常後脚110Rrに加わる荷重が大きくなるため、後脚110Rrの第1脚面141の面積をより大きくすることにより、便器本体50を後脚110Rrによってより安定して支持することができる。
【0067】
本実施形態のポータブルトイレ10では、後脚110Rrの第2脚面142の面積は、前脚110Fの第2脚面142の面積より大きい。便器本体50が傾斜しているときには、後脚110Rrの第2脚面142の面積をより大きくすることにより、便器本体50がより安定する。
【0068】
以上、本発明の好適な実施形態について説明した。しかし、上述の実施形態は例示に過ぎず、本発明は他の種々の形態で実施することができる。
【0069】
上述した実施形態では、無段階調整機構260は、前脚110Fにのみ設けられていたが、これに限定されない。無段階調整機構260は、後脚110Rrにのみ設けられていてもよい。また、無段階調整機構260は、前脚110Fおよび後脚110Rrの両方に設けられていてもよい。さらに、ポータブルトイレ10は、無段階調整機構260を備えていなくてもよい。
【0070】
上述した実施形態では、無段階調整機構260は、回転することによって脚100の脚長さを無段階で調整するねじ式の機構であるが、これに限定されない。無段階調整機構260は、回転以外の方法によって脚100の脚長さを無段階に調整する機構であってもよい。無段階調整機構260は、例えば、脚本体部121が脚底部131に対して上下方向にスライド移動する機構であり、脚本体部121と脚底部131とをねじによって締結する機構であってもよい。
【0071】
上述した実施形態では、有段階調整機構210は、調整ボタン218を押圧することで脚側係合部123と本体側係合部220との係合および係合の解除を実行しているが、これに限定されない。調整ボタン218に代えてレバー等の他の構造によって、脚側係合部123と本体側係合部220との係合および係合の解除を実行するように構成されていてもよい。
【0072】
上述した実施形態では、移動用のキャスター115は、後脚110Rrに設けられていたが、前脚110Fに設けられていてもよい。
【0073】
便座20の座面21の表面(使用者が着座する面)には、発泡性の軟質樹脂材料から形成されたクッションが配置されていてもよい。
【0074】
脚底部131のグリップ部材138は、第1脚面141および第2脚面142に加えて他の脚面を備えていてもよい。他の脚面としてグリップ部材138が第3脚面を有する場合、例えば、前脚110Fの方が後脚110Rrより長く、便器本体50が後傾3°になるように設置されたときに、第3脚面は床面に面接触する様に形成されている。
【符号の説明】
【0075】
10 ポータブルトイレ
50 便器本体
100 脚
110F 前脚
110Rr 後脚
121 脚本体部
131 脚底部
141 第1脚面
142 第2脚面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13