(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149853
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20231005BHJP
E02F 9/24 20060101ALI20231005BHJP
G08G 1/01 20060101ALI20231005BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20231005BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/24 B
G08G1/01 A
G09B29/00 Z
G09B29/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058634
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】李 丹亭
【テーマコード(参考)】
2C032
2D015
5H181
【Fターム(参考)】
2C032HA02
2C032HB05
2C032HB22
2C032HC08
2C032HD26
2D015GA03
2D015GB00
2D015HA03
2D015HB03
2D015HB04
2D015HB05
5H181AA07
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC04
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF22
5H181FF33
5H181MC01
5H181MC16
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】作業機械をより安全に走行させる。
【解決手段】管理装置200は、ショベル100から当該ショベル100の位置情報を取得し、このショベル100の位置情報に基づいて、ショベル100が走行した走行領域TAを地図表示した安全マップMを生成する。すなわち、ショベル100の走行実績がある領域を走行可能領域として地図表示することができる。したがって、禁止領域を含まない領域を走行可能領域としていた従来と異なり、より確実に走行できる領域を提示することができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の位置情報を取得する情報取得手段と、
前記作業機械の位置情報に基づいて、前記作業機械が走行した第1領域を地図表示した安全地図情報を生成する地図生成手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記作業機械の作業要素の稼働範囲を検出する検出手段を備え、
前記地図生成手段は、前記第1領域から前記作業要素の稼働範囲を除外した第2領域を地図表示したものを、前記安全地図情報として生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記作業要素の稼働状況と、前記作業要素の位置情報とに基づいて、前記作業要素の稼働範囲を検出する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置と、
前記情報処理装置と情報を送受信可能な少なくとも1つの前記作業機械と、
を含む情報処理システム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの作業機械の各々は、前記安全地図情報を表示する表示手段を備える、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
コンピュータを、
作業機械の位置情報を取得する情報取得手段、
前記作業機械の位置情報に基づいて、前記作業機械が走行した第1領域を地図表示した安全地図情報を生成する地図生成手段、
として機能させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ショベルやクレーン等の作業機械が作業を行う現場では、路面に凹凸や亀裂が存在するなど、路面状態の悪い場合が珍しくない。路面状態が悪いと車体の転倒等の事故が生じ得るため、このような事故を未然に防ぐ点において、安全に走行できる領域を把握することはきわめて重要である。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、走行が禁止される禁止領域を設定し、禁止領域を含まない領域を走行可能な領域としている。
しかしながら、禁止領域以外の領域が必ずしも走行可能な領域であるとは限らない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、作業機械をより安全に走行させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る情報処理装置は、
作業機械の位置情報を取得する情報取得手段と、
前記作業機械の位置情報に基づいて、前記作業機械が走行した第1領域を地図表示した安全地図情報を生成する地図生成手段と、
を備える。
【0007】
本発明に係る情報処理システムは、
上記の情報処理装置と、
前記情報処理装置と情報を送受信可能な少なくとも1つの前記作業機械と、
を含む。
【0008】
本発明に係る情報処理プログラムは、
コンピュータを、
作業機械の位置情報を取得する情報取得手段、
前記作業機械の位置情報に基づいて、前記作業機械が走行した第1領域を地図表示した安全地図情報を生成する地図生成手段、
として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、作業機械をより安全に走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本実施形態に係る情報管理システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る安全マップ表示処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る安全マップ表示処理を説明するための図である。
【
図5】本実施形態に係る安全マップ表示処理を説明するための図である。
【
図6】本実施形態に係る安全マップ表示処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[ショベルの構成]
図1は、本実施形態に係るショベル100の側面図である。
この図に示すように、ショベル100は、本発明に係る作業機械の一例であり、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメント11としてのブーム4、アーム5及びバケット6と、オペレータが搭乗するキャビン10とを備える。アタッチメント11は、作業要素(例えば、バケット、クラッシャー、クレーン装置等)が設けられていれば、これに限られない。
【0013】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ(不図示)で油圧駆動されることにより、ショベル100を走行させる。
上部旋回体3は、旋回油圧モータ或いは電動機(共に不図示)等で駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回する。
【0014】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5及びバケット6は、それぞれ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
キャビン10は、オペレータが搭乗する操縦室であり、例えば上部旋回体3の前部左側に搭載される。ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5及びバケット6等の被駆動要素を駆動する。
【0015】
図2は、ショベル100を含む情報管理システム400の概略構成を示すブロック図である。
この図に示すように、情報管理システム400は、少なくとも1台のショベル100と、当該ショベル100と通信可能な管理装置200及び端末装置300を含んで構成される。
【0016】
ショベル100は、上記構成のほか、撮像装置40と、距離センサ41と、動作・姿勢状態センサ42と、位置センサ43と、方位センサ44、操作装置45と、表示装置50と、音声出力装置60と、通信機器80と、コントローラ30とを備える。
【0017】
撮像装置40は、ショベル100の周辺を撮影してその画像をコントローラ30に出力する。撮像装置40は、例えば、ショベル100の後方を撮影する後方カメラ、左方を撮影する左方カメラ、右方を撮影する右方カメラを含む。各撮像装置40は、光軸が斜め下方に向くように設置され、ショベル100近傍の地面からショベル100の遠方までを含む上下方向の撮像範囲(画角)を有する。
【0018】
距離センサ41は、ショベル100の周辺の物体までの距離を測定してその情報(二次元又は三次元の距離情報)を取得する測距手段であり、取得した情報をコントローラ30に出力する。距離センサ41は、例えば、撮像装置40に対応してショベル100の後方、左方、右方の3方の計測が可能なように設けられている。
【0019】
動作・姿勢状態センサ42は、ショベル100の動作状態や姿勢状態を検出するセンサであり、検出結果をコントローラ30に出力する。動作・姿勢状態センサ42は、ブーム角度センサと、アーム角度センサと、バケット角度センサと、三軸慣性センサ(IMU:Inertial Measurement Unit)と、旋回角度センサと、加速度センサとを含む。
これらのセンサは、ブーム等のシリンダのストロークセンサ、ロータリーエンコーダ等の回転情報を取得するセンサで構成されてもよく、IMUで取得される加速度(速度、位置も含んでもよい)により代替されてもよい。
アーム角度センサは、ブーム4を基準とするアーム5の回動角度(以下、「アーム角度」と称する)を検出する。
バケット角度センサは、アーム5を基準とするバケット6の回動角度(以下、「バケット角度」と称する)を検出する。
IMUは、ブーム4及びアーム5の各々に取り付けられ、所定の三軸に沿ったブーム4及びアーム5の加速度、及び、所定の三軸廻りのブーム4及びアーム5の角加速度を検出する。
旋回角度センサは、上部旋回体3の所定の角度方向を基準とする旋回角度を検出する。ただし、これに限られず、上部旋回体3に設けられたGPSやIMUセンサに基づいて旋回角度が検出されてもよい。
加速度センサは、上部旋回体3の旋回軸から離れた位置に取り付けられ、上部旋回体3の当該位置における加速度を検出する。これにより、加速度センサの検出結果に基づき、上部旋回体3が旋回しているのか、或いは、下部走行体1が走行しているのか等が判別されうる。
【0020】
位置センサ43は、ショベル100の位置(現在位置)の情報を取得するセンサであり、本実施形態ではGPS(Global Positioning System)受信機である。位置センサ43は、ショベル100の位置の情報を含むGPS信号をGPS衛星から受信し、取得したショベル100の位置情報をコントローラ30に出力する。なお、位置センサ43は、ショベル100の位置の情報を取得できるものであればGPS受信機でなくともよく、例えばGPS以外の衛星測位システムを利用するものであってもよい。また、位置センサ43は、下部走行体1と上部旋回体3のいずれに設けられていてもよい。
【0021】
方位センサ44は、ショベル100が向いている方位(方向)の情報を取得するセンサであり、例えば地磁気センサである。方位センサ44は、ショベル100の方位の情報を取得して、コントローラ30に出力する。なお、方位センサ44は、ショベル100の方位の情報を取得できればよく、そのセンサ種別等は特に限定されない。例えばGPS受信機を2つ設け、その位置情報の差異から方位情報を取得してもよい。
【0022】
操作装置45は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5及びバケット6等)の操作を行う操作手段である。換言すれば、操作装置45は、各動作要素を駆動するそれぞれの油圧アクチュエータの操作を行う操作手段である。操作装置45は、例えばレバーやペダル、各種ボタン等を含み、これらの操作内容に応じた操作信号をコントローラ30に出力する。
また、操作装置45は、撮像装置40、距離センサ41、動作・姿勢状態センサ42、位置センサ43、表示装置50、音声出力装置60、通信機器80等の操作を行う操作手段でもあり、これら各部に対する操作指令をコントローラ30に出力する。
【0023】
表示装置50は、キャビン10内の操縦席の周辺に設けられ、コントローラ30による制御の下、オペレータに通知する各種画像情報を表示する。表示装置50は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイであり、操作装置45の少なくとも一部を兼ねるタッチパネル式であってもよい。
【0024】
音声出力装置60は、キャビン10内の操縦席の周辺に設けられ、コントローラ30による制御の下、オペレータに通知する各種音声情報を出力する。音声出力装置60は、例えば、スピーカやブザー等である。
【0025】
通信機器80は、所定の無線通信規格に基づき、所定の通信ネットワークNWを通じて遠隔の外部機器や他のショベル100等と各種情報を送受信する通信デバイスである。通信ネットワークNWには、例えば、基地局を末端とする移動体通信網、上空の通信衛星を利用する衛星通信網、WiFiやブルートゥース(登録商標)等のプロトコルに準拠する近距離通信網、インターネット通信網等を含んでもよい。
【0026】
コントローラ30は、ショベル100各部の動作を制御してショベル100の駆動制御を行う制御装置である。コントローラ30は、キャビン10内に搭載される。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いはその組み合わせにより実現されてよく、例えば、CPU,RAM,ROM,I/O等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、これらの他にも、例えばFPGAやASICなどを含んで構成されてもよい。
【0027】
また、コントローラ30は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の内部メモリに規定される記憶領域としての記憶部35を含む。
記憶部35は、ショベル100の各部を動作させるための各種プログラムや各種データ等を格納するほか、コントローラ30の作業領域としても機能する。本実施形態の記憶部35は、後述の安全マップMを記憶する安全マップ記憶領域350を有する。
【0028】
また、情報管理システム400では、所定の通信ネットワークNWを通じて、各ショベル100が管理装置200や端末装置300と相互に通信を行うことができる。
【0029】
管理装置200(情報処理装置の一例)は、ショベル100及び端末装置300を所持するユーザ等と地理的に離れた位置に配置される。管理装置200は、例えば、ショベル100が作業する作業現場外に設けられる管理センタ等に設置され、一又は複数のサーバコンピュータ等を中心に構成されるサーバ装置である。この場合、サーバ装置は、システムを運用する事業者或いは当該事業者に関連する関連事業者が運営する自社サーバであってもよいし、レンタルサーバであってもよい。また、このサーバ装置は、いわゆるクラウドサーバであってもよい。また、管理装置200は、ショベル100の作業現場内の管理事務所等に配置されるサーバ装置(いわゆるエッジサーバ)であってもよいし、定置型或いは携帯型の汎用のコンピュータ端末であってもよい。
管理装置200は、上述の如く、通信ネットワークNWを通じて、ショベル100及び端末装置300のそれぞれと相互に通信を行うことができる。これにより、管理装置200は、ショベル100からアップロードされる各種情報を受信し、記憶(蓄積)しておくことができる。また、管理装置200は、端末装置300からの要求に応じて、端末装置300に各種情報を送信することができる。また、管理装置200は、複数のショベル100に関する情報をショベル100ごとに識別可能なように、各ショベル100のID情報に対応付けるなどして管理(記憶)している。
具体的に、管理装置200は、制御部210と記憶部220を備える。制御部210は、ユーザの操作内容等に基づいて管理装置200の各部を動作させたり、記憶部220に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。記憶部220は、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部210の作業領域としても機能する。
【0030】
端末装置300は、ユーザが利用するユーザ端末である。ユーザには、例えば、作業現場の監督者、管理者、ショベル100のオペレータ、ショベル100の管理者、ショベル100のサービスマン、ショベル100の開発者等が含まれてよい。端末装置300は、例えば、ユーザが所持するラップトップ型のコンピュータ端末、タブレット端末、スマートフォン等の汎用の携帯端末である。また、端末装置300は、デスクトップ型のコンピュータ等の定置型の汎用端末であってもよい。また、端末装置300は、情報の提供を受けるための専用の端末(携帯端末或いは定置端末)であってもよい。
端末装置300は、通信ネットワークNWを通じて、管理装置200と相互に通信を行うことができる。これにより、端末装置300は、管理装置200から送信される情報を受信し、自身に搭載される表示装置を通じて、ユーザに情報を提供することができる。また、端末装置300は、通信ネットワークNWを通じて、ショベル100と相互に通信可能に構成されてもよい。
【0031】
[安全マップ表示処理]
続いて、安全な走行領域を示す安全マップMを生成して表示する安全マップ表示処理について説明する。
図3は、安全マップ表示処理の流れを示すフローチャートである。
図4~
図6は、安全マップ表示処理を説明するための図であって、これら各図の(a)が作業現場の平面図であり、(b)が(a)に対応する安全マップMである。
【0032】
安全マップ表示処理は、ショベル100のコントローラ30(又は管理装置200の制御部210)が記憶部に格納された所定のプログラムを実行することにより、ショベル100と管理装置200との間で協働して実行される。この処理は、オペレータの操作に基づいて実行・終了されてもよいし、ショベル100の運転中に継続的に実行されてもよい。
ここでは、或る作業現場で作業する複数台のショベル100からの情報に基づいて、管理装置200がこの作業現場の安全マップMを生成するものとする。安全マップMは、ショベル100が安全に走行できる(であると推定される)走行領域TA又は安全領域SAを地図表示したものである。
【0033】
図3に示すように、安全マップ表示処理が実行されると、まず各ショベル100のコントローラ30は、位置センサ43により自車の位置情報を取得し、管理装置200に送信する(ステップS1)。
このとき、各ショベル100のコントローラ30は、送信する位置情報を、自車のID情報と対応付けておいてもよい。
【0034】
次に、管理装置200の制御部210は、各ショベル100から取得した位置情報に基づいて、各ショベル100が実際に走行した走行領域TAを求める(ステップS2)。
具体的には、
図4(a)に示すように、制御部210は、ショベル100の車幅Wの両側に追加幅αを加えたものを、ショベル100の走行幅として走行領域TAを求める。車幅Wの値は、各ショベル100の車両情報として記憶されている場合にはそれを用いてもよいし、簡易的に一般的なショベル車等の車幅の値を用いてもよい。追加幅αの値は特に限定されず、ゼロであってもよいし、マイナス値であってもよい。
【0035】
次に、管理装置200の制御部210は、走行領域TAからバケット6の稼働範囲Rを除外した安全領域SAを求める(ステップS3)。
ここで、バケット6(アタッチメント11)の「稼働」とは、バケット6(アタッチメント11)が掘削等の作業(作業中の姿勢変更等も含む)を現に行っていることを意味し、単に掘削物を保持しているだけの状態等は含まない。つまり、バケット6の稼働範囲Rとは、バケット6が掘削等の作業を行っているときのその動作範囲をいう。
具体的に、バケット6の稼働範囲Rは、バケット6(アタッチメント11)の稼働状況と、バケット6の位置情報とに基づいて求められる。アタッチメント11の稼働状況(稼働しているか否か)は、アタッチメント11を駆動する各種アクチュエータや動作・姿勢状態センサ42からバケット6の動作や負荷を検出することにより求められる。また、バケット6の位置情報は、動作・姿勢状態センサ42から取得したアタッチメント11の姿勢情報から求められる。
例えば、
図5(a)に示すように、ショベル100が穴91を掘削していたり、掘削した土を盛って土山92にしていたりする場合、その周辺がバケット6の稼働範囲Rとされる。そして、この稼働範囲Rを走行領域TAから除外することで安全領域SAが求められる。
なお、バケット6の稼働範囲Rを求める手法は上記のものに限定されない。例えば、撮像装置40を車体前方向きに取り付け、この撮像装置40により取得された画像データに基づいて、アタッチメント11の稼働範囲R又は稼働状況を取得してもよい。また、バケット6による作業は、例えば、単純掘削作業、法面仕上げ作業、溝掘削作業、水平掘削作業、旋回地ならし作業、土羽打ち作業、ばらまき作業、押し付け作業、クレーン作業、積み込み作業等を含む。
【0036】
次に、管理装置200の制御部210は、安全領域SAを地図表示した安全マップMを生成し、記憶部220に記憶させる(ステップS4)。
ここでは、例えば、
図5(b)に示すように、予め取得した作業現場の地図データ上に安全領域SAをマッピングすることにより、安全マップMが生成される。安全マップMに含まれる情報は特に限定されず、例えば建物や道路等を含んでもよい。ただし、各ショベル100の位置やその向きは含まれるのが好ましい。また、作業現場の地図データは予め取得したものでなくともよく、インターネット上などから取得してきてもよいし、新たに作成してもよい。
【0037】
なお、安全マップMは、
図4(b)に示すように、少なくとも走行領域TAを地図表示したものであればよい。
また、
図6(a),(b)に示すように、例えば穴91が埋められたり土山92が削られたりした後に、ショベル100が新たに走行した領域は、走行領域TA(安全領域SA)と見なしてよい。
【0038】
次に、管理装置200の制御部210が安全マップMを各ショベル100に送信し、各ショベル100のコントローラ30が、当該安全マップMを安全マップ記憶領域350に記憶させるとともに表示装置50に表示させる(ステップS5)。
これにより、各ショベル100のオペレータは、表示された安全マップMを見ることで、走行実績のある領域であってバケット6が作業していない領域を認識することができ、より安全にショベル100を走行させることができる。
なお、表示装置50に表示させる際には、自車を判別しやすいように安全マップM上で識別表示(強調表示)させるのが好ましい。
【0039】
次に、制御部210は、安全マップ表示処理を終了させるか否かを判定し(ステップS6)、終了させないと判定した場合には(ステップS6;No)、上述のステップS1へ処理を移行する。これにより、安全マップ表示処理の実行中は、ステップS1~S5の処理が例えば一定の時間間隔で繰り返され、安全マップMが随時更新される。
そして、例えば作業完了等により、安全マップ表示処理を終了させると判定した場合には(ステップS6;Yes)、管理装置200の制御部210及びショベル100のコントローラ30は、安全マップ表示処理を終了させる。
【0040】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、ショベル100の位置情報に基づいて、ショベル100が走行した走行領域TAを地図表示した安全マップMが生成される。
すなわち、ショベル100の走行実績がある領域を走行可能領域として地図表示することができる。したがって、禁止領域を含まない領域を走行可能領域としていた従来と異なり、より確実に走行できる領域を提示することができる。ひいては、ショベル100をより安全に走行させることができる。
【0041】
また、本実施形態によれば、安全マップMでは、走行領域TAからバケット6の稼働範囲Rを除外した安全領域SAが地図表示される。
これにより、作業中のバケット6が動いている範囲を、安全に走行できない(可能性がある)領域として、これを走行領域TAから除いた安全マップMを提示することができる。したがって、ショベル100をより一層安全に走行させることができる。
【0042】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態やその変形例に限られない。
例えば、上記実施形態では、生成した安全マップMを表示装置50に表示させてオペレータに提示することとした。しかし、例えば自律走行する作業機械の走行制御など、作業の動作制御に利用してもよい。また、安全マップMは、作業現場の作業管理情報として、当該作業現場の情報に紐付けられて管理装置200に管理(記憶)されるのが好ましい。
【0043】
また、上記実施形態では、本発明に係る情報処理装置として、専ら管理装置200が主たる制御を行うこととした。しかし、本発明に係る情報処理装置はこれに限定されず、例えば作業機械に搭載されてもよい。この場合、各作業機械が個別に安全マップを生成・表示してもよいし、特定の作業機械が他の作業機械に安全マップに係る情報を送信してもよい。
また、本発明に係る情報処理システムは、情報処理装置と、少なくとも1つの作業機械とを含むものであればよい。
【0044】
また、本発明に係る作業機械は、ショベルに限定されず、建設機械全般に適用可能であるのは勿論のこと、建設機械を含む作業機械にも好適に適用可能である。
その他、実施の形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0045】
6 バケット(作業要素)
11 アタッチメント
30 コントローラ
35 記憶部
42 動作・姿勢状態センサ
43 位置センサ(情報取得手段)
50 表示装置(表示手段)
91 穴
92 土山
100 ショベル(作業機械)
200 管理装置(情報処理装置)
210 制御部
220 記憶部
400 情報管理システム(情報処理システム)
M 安全マップ(安全地図情報)
R 稼働範囲
SA 安全領域
TA 走行領域
W 車幅
α 追加幅