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特開2023-149854パウチ、カートリッジ、及びプリンタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149854
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】パウチ、カートリッジ、及びプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B41J2/175 151
B41J2/175 143
B41J2/175 101
B41J2/175 141
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058636
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】林 秀樹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056KC02
2C056KC09
2C056KC14
(57)【要約】
【課題】パウチの向きを誤ってプリンタに装着されるのを抑制できるパウチ、カートリッジ、及びプリンタを提供する。
【解決手段】パウチ100は、インク、ノズル洗浄液、又は保存液を収容し、上下方向に厚みを有する膨張状態から、平面状の収縮状態へ折り畳み可能である。袋101は、上下方向に直交する左右方向において左シール部121と右シール部122とを備える。前マチ113は、上下方向及び左右方向に直交する前後方向における袋101の端部に形成される。スパウト挿入部は、上下方向における一方の前マチ113の端縁において、左右方向における左シール部121と右シール部122との間の中央より左シール121に偏った位置に形成される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク、ノズル洗浄液、又は保存液を収容し、第1方向に厚みを有する膨張状態から、平面状の収縮状態へ折り畳み可能なパウチであって、
前記第1方向に直交する第2方向において第1縁と第2縁とを備えた胴部と、
前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向における前記胴部の端部に形成されたマチと、
前記第1方向における一方の前記マチの端縁において、前記第2方向における前記第1縁と前記第2縁との間の中央より前記第1縁に偏った位置に形成されたスパウト挿入部と、
を備えることを特徴とするパウチ。
【請求項2】
前記スパウト挿入部に挿入されたスパウトを更に備えたことを特徴とする請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のパウチを収容可能なカートリッジ。
【請求項4】
請求項3に記載のカートリッジを装着可能なプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチ、カートリッジ、及びプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のパウチ容器は、表面シート、裏面シート、底マチシート、及び天マチシートを備える。表面シート、裏面シート、底マチシート、及び天マチシートは、内容物の充填空間を形成する。表面シートの下部と裏面シートの下部は、底マチシートと接合して、底シール部を形成する。表面シートの上部と裏面シートの上部は、天マチシートと接合して、上縁シール部を形成する。裏面シートと天マチシートとが接合する上縁シール部の中央部には、内容物を取り出すための注出口部が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-030593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記パウチ容器をプリンタに挿入して使用する場合がある。この場合、パウチ容器に収容した液体をプリンタへ供給するため、パウチ容器をプリンタへ装着することとなる。注出口部が裏面シートの上縁シールの中心部にあるので、ユーザは、表面シートと裏面シートの位置を表裏誤ってプリンタに挿入する場合がある。この場合、例えば、注出口部とプリンタの接続部との接続ができず、パウチ容器からプリンタへ液体を供給することができない可能性がある。
【0005】
本発明の目的は、パウチの向きを誤ってプリンタに装着されるのを抑制できるパウチ、カートリッジ、及びプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係るパウチは、インク、ノズル洗浄液、又は保存液を収容し、第1方向に厚みを有する膨張状態から、平面状の収縮状態へ折り畳み可能なパウチであって、前記第1方向に直交する第2方向において第1縁と第2縁とを備えた胴部と、前記第1方向及び前記第2方向に直交する第3方向における前記胴部の端部に形成されたマチと、前記第1方向における一方の前記マチの端縁において、前記第2方向における前記第1縁と前記第2縁との間の中央より前記第1縁に偏った位置に形成されたスパウト挿入部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
スパウト挿入部が第1縁に偏った位置に形成されている。これにより、パウチをプリンタへ装着する際、ユーザは、装着時のパウチの正しい方向を容易に理解することができる。そのため、ユーザは、パウチの向きを誤ってプリンタへ装着する可能性を低減できる。
【0008】
本発明に係るパウチは、前記スパウト挿入部に挿入されたスパウトを更に備えてもよい。カートリッジでは、ユーザがパウチの向きを誤ってプリンタに装着して、パウチからプリンタにインク、ノズル洗浄液、又は保存液が供給できなくなる可能性を低減できる。
【0009】
本発明の第2態様に係るカートリッジは、第1態様のパウチを収容可能なカートリッジであることを特徴とする。カートリッジ及びパウチをプリンタへ装着する際ユーザは、パウチの向きを誤ってプリンタに装着する可能性を低減できる。
【0010】
本発明の第3態様に係るプリンタは、第2態様のカートリッジを装着可能なプリンタであることを特徴とする。カートリッジ及びパウチをプリンタに装着する際、ユーザは、パウチの向きを誤って装着する可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】プリンタ1の斜視図である。
図2】プリンタ1の内部構成を示す断面図である。
図3】パウチ100が装着されたカートリッジ30を収容した収容部12の内部の断面図である。
図4】収容部12の斜視図である。
図5】カートリッジ30にパウチ100が装着された状態を示す斜視図である。
図6】カートリッジ30のスパウト係合溝37とパウチ100の係合部105とを上斜め右方向からみた斜視図である。
図7】カートリッジ30のスパウト係合溝37とパウチ100の係合部105とを上斜め左方向からみた斜視図である。
図8】パウチ100が膨張状態にある場合の正面図である。
図9】パウチ100が収縮状態にある場合の正面図である。
図10】パウチ100が収縮状態にある場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態に係るプリンタ1について、図面を参照して順に説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載される装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。本実施形態の説明では、図1の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、プリンタ1の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側とする。
【0013】
図1図2を参照して、プリンタ1の概略構成を説明する。プリンタ1は、長尺状の媒体Mに印刷を行うインクジェットプリンタである。媒体Mは、例えば、筒状の紙管Kにロール状に巻回された長尺状である。ユーザにより所望の印刷イメージが入力されると、プリンタ1は、印刷イメージの印刷を実行する。プリンタ1は、筐体2、表示部3、及び操作部4を備える。
【0014】
筐体2は、前壁24、右壁25、後壁26、左壁29、下壁27、上壁28、及びカバー22、23を有する。筐体2は、卓上に載置可能な大きさの直方体状である。筐体2には、排出口21が形成される。排出口21は、筐体2の前壁24に、正面視左右方向に長い矩形状に形成される。
【0015】
カバー22は、正面視矩形状の板であり、プリンタ1の前面且つ下端部に装着される。カバー22は、開口部11(図3図4参照)を閉じる閉位置と、開口部11を解放する開位置とに回動可能である。
【0016】
カバー23は、右側面視矩形状の板であり、筐体2の右側面の後下部に回動可能に支持される。カバー23は、開口を塞ぐ閉位置と、開口を開放する開位置とに回動可能である。
【0017】
表示部3は、筐体2の前壁24の前面上部に設けられる。表示部3は画像を表示する。操作部4は、筐体2の前壁24の前面上部のうち、表示部3の右側に設けられる。操作部4は、各種指示を入力する複数のボタンである。
【0018】
図2に示すように、プリンタ1は、筐体2の内部に、印刷部6、カートリッジ30、インクチューブ48、搬送装置45、隔壁55、定着ユニット40を収容する。
【0019】
印刷部6は、供給部5から供給される媒体Mに画像を印刷する。印刷部6は、インクジェットヘッドである。印刷部6は、インクGを吐出方向に吐出する複数のノズル70を備える。印刷部6は、複数のノズル70からインクGを吐出することで、媒体Mに画像に印刷を行う。吐出方向は下方であり、印刷部6は、媒体Mの搬送経路Qの上方に、複数のノズル70が下方を向く姿勢で設けられる。搬送経路Qは、供給部5から繰り出され、排出口21から筐体2の外部に排出されるまでの、媒体Mが搬送される経路である。
【0020】
カートリッジ30は、収容部12に収容される。カートリッジ30は、内部にインクを収容したパウチ100を収容し、収容部12の装着部8に装着される。詳細は後述する。インクチューブ48は、筐体2の内部に配置され、装着部8と印刷部6との間を接続する。カートリッジ30内部のインクGは、インクチューブ48を介して、カートリッジ30から印刷部6に供給される。
【0021】
搬送装置45は、供給部5、搬送部7、10、15、19、支持部80、張力付与部60、及び回転体75を備える。供給部5は、閉位置にあるカバー23の左方、且つ、プリンタ1の後下部の、隔壁55と後壁26とによって囲まれた空間に設けられる。供給部5は、ロールRを保持する。供給部5は、軸部51、及びマガジン52を備える。軸部51は、左右方向に延び、ロールRの紙管Kに挿通される。マガジン52は、正面視U字状の支持台である。マガジン52は、軸部51の左右両端部を、軸部51が左右方向に延びる軸周りに回動可能に支持する。軸部51は、マガジン52に取り外し可能に支持される。マガジン52は、プリンタ1に取り外し可能に支持される。
【0022】
ロールRを交換する作業者は、カバー23を開位置に配置して、マガジン52を筐体2の内部から取り出し、ロールRの交換作業を行う。
【0023】
搬送部7は、媒体Mを供給部5から印刷部6に向かう搬送方向Fと、搬送方向Fとは反対の戻し方向Bとに搬送する。搬送方向Fは供給部5から印刷部6に向かう搬送経路Qに沿った方向である。供給部5から張力付与部60までの搬送方向Fは、媒体Mの残量に応じて変化する方向であり、概ね上方である。張力付与部60から排出口21までの搬送方向Fは、概ね前方である。
【0024】
搬送部7は印刷部6よりも搬送方向Fの上流側、且つ、供給部5に対し搬送方向下流側に設けられる。即ち搬送部7は、媒体Mの搬送経路Qにおいて、印刷部6と、供給部5との間に設けられる。搬送部7は、左右方向に延びる軸周りに回転する搬送ローラ71と、左右方向に延びる軸周りに回転するピンチローラ72とを有する。搬送部7は、搬送ローラ71とピンチローラ72で媒体Mを供給部5から印刷部6に向かう搬送方向Fにニップ搬送する。
【0025】
搬送部10は、搬送部7よりも搬送方向Fの下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向F及び戻し方向Bに搬送する。搬送部10は、供給部5に保持されたロールRを回動して、媒体Mを戻し方向Bに搬送して、ロールRに巻き取る。搬送部10は、供給部5の軸部51と取り外し可能に係合する。搬送部10は、供給部5に保持されたロールRを回動して、媒体Mを搬送方向Fに搬送して、ロールRから媒体Mを印刷部6に向けて繰り出させる。
【0026】
支持部80は、搬送部7よりも搬送方向Fの下流側、且つ、搬送部10よりも搬送方向Fの上流側に設けられ、張力付与部60と回転体75とを支持する。張力付与部60は、搬送経路Qにおいて、搬送部7と、搬送部10との間に設けられる。張力付与部60は、供給部5よりも上方に配置され、搬送部7よりも搬送方向Fの上流側において、左右方向に延びる軸周りに揺動可能に支持される。張力付与部60は、媒体Mに当接して、媒体Mを屈曲させる。これにより、張力付与部60は、媒体Mに張力を付与する。張力は、媒体Mの進行方向とは逆方向に作用する張力である。
【0027】
回転体75は、搬送部7よりも搬送方向Fの上流側、且つ、張力付与部60のうちの搬送方向Fの上流側の端部、即ち、張力付与部60の下端部よりも搬送方向Fの下流側において、左右方向に延びる軸周りに回転可能に支持される。
【0028】
搬送部15は、印刷部6の下方、且つ、搬送部7に対し搬送方向下流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fに搬送する。搬送部15は、駆動ローラ13、従動ローラ14、及び無端ベルト16を備える。駆動ローラ13と、従動ローラ14とは、前後方向に互いに離隔している。無端ベルト16は、駆動ローラ13と、従動ローラ14とに掛け渡される。無端ベルト16の回転に伴い、従動ローラ14が回転する。無端ベルト16の外周面の上端は、搬送部7により媒体Mがニップされるニップ点89の上下位置と略同じであり、印刷部6の複数のノズル70と対向する。無端ベルト16の外周面の上端は、搬送方向Fにおいて、搬送部7と、搬送部19との間で搬送される媒体Mを下方から、静電気又は負圧により無端ベルト16に吸着させた状態で搬送する。
【0029】
定着ユニット40は、印刷部6に対し搬送方向下流側且つ搬送部19に対し搬送方向上流側に配置される。また、定着ユニット40は、搬送経路Qの下側に設けられる。定着ユニット40は、伝導加熱可能な熱源41と、熱源41によって加熱される加熱板42とを備える。加熱板42は、搬送経路Qを通過する媒体Mを下方から支持する。媒体Mが加熱板42に加熱されることで、印刷部6により媒体M上に吐出されたインクGは媒体Mに定着する。
【0030】
搬送部19は、印刷部6及び定着ユニット40に対し搬送方向下流側、且つ排出口21に対し搬送方向上流側に設けられ、媒体Mを搬送方向Fと、戻し方向Bとに搬送する。搬送部19は、左右方向に延びる軸を中心に回転する搬送ローラ17と、ピンチローラ18とを有し、搬送ローラ17と、ピンチローラ18とで媒体Mを上下に挟んでニップ搬送を行う。
【0031】
印刷処理が実行される場合、プリンタ1の制御部は、搬送部7、10、15、19を駆動して、媒体Mを搬送する。プリンタ1は、張力付与部60により媒体Mに張力が付与されるように搬送部7、10の駆動量を調整する。プリンタ1の制御部は、媒体Mの搬送と同期して印刷部6を駆動して、カートリッジ30からインクチューブ48を介して供給されたインクGを媒体Mに吐出する。プリンタ1の制御部は、ハロゲンランプ41を駆動して、媒体M上のインクGを媒体Mに定着させる。媒体Mは排出口21から筐体2の外部に排出される。
【0032】
図3図4を参照して、プリンタ1の収容部12について説明する。プリンタ1の下端部には、収容部12が設けられる。収容部12は、左右方向に延びる直方体状である。収容部12は、前方に開口する開口部11を備える。カバー22を閉状態から開状態にした場合、収容部12の開口部11は開口する。
【0033】
収容部12の左側には、カートリッジ30が収容される。プリンタ1の収容部12にカートリッジ30が収容された状態で、カートリッジ30は、装着部8に装着される。
【0034】
装着部8は、収容部12の下方側且つ後端部に設けられる。装着部8は、二つの位置決めボス8A、8Bとニードル9とを備える。カートリッジ30が収容部12に収容された場合、装着部8の二つの位置決めボス8A、8Bは、それぞれ、インクG等の液体を収容するパウチ100の係合部105の二つの位置決め穴105B、105A(図5参照)に係合する。この係合により、カートリッジ30のプリンタ1内での位置決めがなされる。
【0035】
ニードル9は、位置決めボス8A、8Bの中央部に設けられる。ニードル9の内部は中空である。カートリッジ30が収容部12に収容された場合、ニードル9は、パウチ100のスパウト107の供給孔107Aに挿入される。これにより、パウチ100内のインクG等の液体が、インクチューブ48を介して、プリンタ1のインクジェットヘッドに供給可能となる。
【0036】
一方、収容部12の右側には、メンテナンスボックスが収容される。メンテナンスボックスは、カートリッジ30と同様に、直方体状である。メンテナンスボックスは、収容部12の装着部81に装着される。装着部81は、位置決めボス81A、81Bとニードル91が設けられる。位置決めボス81A、81Bは、メンテナンスボックス前面の係合部に係合する。ニードル91は、メンテナンスボックス前面側に配置されたスパウトの内部に配置される。メンテナンスボックスには、メンテナンス用のノズル洗浄液を収容したパウチが収容される。メンテナンスボックスからノズル洗浄液がキャップに供給され、メンテナンス時にノズル70がキャップのノズル洗浄液に浸されることでノズル70が洗浄される。なお、メンテナンスボックス内に収容されるパウチは、カートリッジ30に装着されるパウチ100と同じものを使用するものとする。
【0037】
図5図7を参照して、カートリッジ30について説明する。以下の説明では、図5の左下側、右上側、右下側、左上側、上側、及び下側を各々、カートリッジ30の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側とする。パウチ100が収容されたカートリッジ30をプリンタ1へ装着する場合、カートリッジ30及びパウチ100の上、下、左、右、前、後が、それぞれ図1図4に示すプリンタ1の上、下、右、左、後、前に一致するように装着する。また、図6図7では、パウチ100は、説明の便宜上2点鎖線で示す。
【0038】
カートリッジ30は、前板31、後板32、右板33、左板34、底板35、及びカバー36を備える。カートリッジ30は、直方体状である。
【0039】
前板31は、底板35の前端から上方へ向けて延びる。前板31は、左右方向に長い矩形状である。前板31の左下部には、スパウト係合溝37が設けられる。スパウト係合溝は、左右方向において前板31の中央部よりも左方側に偏った位置に設けられる。スパウト係合溝37は、前板31を前後方向に貫通し、且つ上方に開口する。スパウト係合溝37には、パウチ100の係合部105が上方から係合する。具体的には、係合部105は、リブ105C、105D、105E、105Fを備える。スパウト係合溝37の一部は、壁37A、37Bにより構成される。パウチ100をカートリッジ30に装着する際、壁37Aをリブ105C及びリブ105Dの間に通し、壁37Bをリブ105E及びリブ105Fの間に通す。リブ105C及びリブ105Dで壁37Aを、リブ105E及びリブ105Fで壁37Bを、それぞれ挟み込むことにより、スパウト107がカートリッジ30によって固定される。
【0040】
右板33は、底板35の右端から上方へ向けて延びる。右板33の前上部は、後方に向かうにつれて上方へ傾斜する。右板33の前端部の上下方向における長さは、前板31の右端部の上下方向における長さと略同じである。
【0041】
左板34は、底板35の左端から上方へ向けて延びる。左板34の前端部の上下方向における長さは、前板31の左端部の上下方向における長さと略同じである。左板34の前上部は、後方に向かうにつれて上方へ傾斜する。右板33と左板34の後方側の上下方向における長さは、右板33と左板34の前端部の上下方向における長さの役2倍の長さである。
【0042】
後板32は、底板35の後端から上方に向けて延びる。後板32は、上下方向に延びる。底板35の上下方向の長さは、右板33及び左板34の後方側の上下方向における長さと等しい。底板35、前板31、右板33、左板34、及び後板32により、上方へ開口する開口部39が形成される。
【0043】
カバー36は、後板32の上端部に、開閉可能に装着される。カバー36は、開口部39を閉じる閉状態と、開口部39を開口する開状態とに回動する。開状態において、カバー36の前端部は、前板31、右板33の前端部、及び左板34の前端部の形状に応じて、前方に向けて突出する。カバー36が開状態の場合、作業者は、パウチ100をカートリッジ30に着脱可能となる。カバー36が閉状態の場合、カートリッジ30は、プリンタ1の収容部12に収容可能となる。
【0044】
図8図10を参照して、印刷に使用されるインクGを収容するパウチ100について説明する。以下の説明では、図8図9の手前側、奥側、右側、左側、上側、及び下側を各々、パウチ100の前側、後側、右側、左側、上側、及び下側とする。なお、図8図9の一点鎖線で示す直線C1は、上下方向に平行な直線であり、パウチ100の左右方向における中央を示す。また、図10では、説明の便宜上、パウチ100のスパウト107、及び係合部105は省略されている。なお、図10の二点鎖線で示す直線C2は、前後方向に平行な直線であり、パウチ100の左右方向における中央を示す。
【0045】
インクGの色は、例えばホワイト、マゼンタ、シアン、及びイエロー等である。パウチ100は、上下方向に厚みを有する膨張状態(図8参照)から、平面状の収縮状態(図9参照)へ折り畳み可能である。パウチ100は、樹脂フィルムで構成される。樹脂フィルムは、耐衝撃性、耐磨耗性、及び耐熱性など、包装体としての基本的な性能を備えるとよい。
【0046】
パウチ100は、袋101、スパウト107、及び係合部105を備える。パウチ100の袋101は、一枚の合成樹脂製のシートが織り込まれ、縁部等が熱溶着されることで形成される。袋101は、胴部101A、前マチ113、後マチ114、及びスパウト挿入部115を備える。胴部101Aは、上部111及び下部112を備える。上部111及び下部112は、左右方向に長い矩形状である。
【0047】
前マチ113は、前方向における胴部101Aの端部に形成される。後マチ114は、後方向における胴部101Aの端部に形成される。前マチ113と後マチ114は前後方向に対向する。前マチ113及び後マチ114は、パウチ100が収縮状態から膨張状態となった場合で、折り畳まれた状態から平面状に広がる。ここで、前マチ113及び後マチ114が平面状に広がると、前マチ113及び後マチ114は、パウチ100の膨張に伴い、上下方向の幅が広がり、且つ左右方向の幅が狭くなる。前マチ113及び後マチ114は、パウチ100の収縮状態で上部111と下部112の間に折りたたまれる。
【0048】
袋101は、その端部において、上記の熱溶着により形成された、シール部121~130を備える。
【0049】
左シール部121は、胴部101Aの左端部において、上部111と下部112との端部同士を熱溶着して形成される。右シール部122は、胴部101Aの右端部において、上部111と下部112の端部同士を熱溶着して形成される。
【0050】
上縁シール部123は、胴部101Aの前端部において、上部111の前端と前マチ113の上縁同士を熱溶着して形成される。下縁シール部124は、胴部101Aの前端部において、下部112の前端と前マチ113の下縁とを熱溶着して形成される。
【0051】
上縁シール部125は、胴部101Aの後端部において、上部111の後端と後マチ114の上縁同士を熱溶着して形成される。下縁シール部126は、胴部101Aの後端部において、下部112の後端と後マチ114の下縁同士を熱溶着して形成される。
【0052】
シール部127、128、129、130は、上部111と下部112との四隅を熱溶着して形成される。左前シール部127は、胴部101Aの左前部に形成される。左前シール部127は、左後且つ右前に向けて直線状に延びる。右前シール部128は、胴部101Aの右前部に形成される。右前シール部128は、前左且つ右後に向けて直線状に延びる。
【0053】
左後シール部129は、胴部101Aの左後部に形成される。左後シール部128は、左前且つ右後に向けて直線状に延びる。右後シール部130は、胴部101Aの右後部に形成される。左前シール部130は、左後且つ右前に向けて直線状に延びる。
【0054】
パウチ100の収縮状態では、シール部127~130は、平面視、図10に示すように前後方向に対して斜めに配置される。これに対して、パウチ100が膨張状態となった場合、シール部127~130は、平面視した場合、前後方向に沿って配置される。
【0055】
図10に示すように、スパウト挿入部115は、前マチ113の左下部に設けられる。より詳細には、スパウト挿入部115は、下縁シール部124の左右方向における中央(C1、C2)よりも左側の位置に設けられる。つまり、スパウト挿入部115は、前マチ113の下端部において、胴部101Aの左縁の左シール部121と胴部101Aの右縁の右シール部122との間の中央(C1、C2)より左シール部121に偏った位置に形成される。スパウト挿入部115は、前マチ113の下端部の一部が熱溶着されないことで形成される。スパウト挿入部115は、パウチ100の内外を連通させる。スパウト挿入部115には、スパウト107が挿通されている。スパウト107は、袋101に熱溶着される。スパウト107は、前後方向に延びる中空部材である。係合部105は、スパウト107と一体成型により形成される。
【0056】
パウチ100をカートリッジ30に収容する作業者は、カバー36を開状態にして、開口部39を介して上方から収縮状態のパウチ100を収容する。この場合、カートリッジ30のスパウト係合溝37に対して、上方から係合部105を係合する。その後、作業者は、インクG等の液体を、供給孔107Aを介してパウチ100の袋101に注入する。パウチ100の内部がインクG等で満たされると、パウチ100は、膨張状態となる。そして、作業者は、カバー36を閉じる。これにより、パウチ100は、カートリッジ30に収容される。
【0057】
前マチ113の下縁シール部124の左側、即ち中央(C1、C2)よりも左シール部121に偏った位置にスパウト107が設けられるので、パウチ100をカートリッジ30に収容する作業者が、カートリッジ30にパウチ100の向きを誤って装着する可能性を低減できる。また、カートリッジ30及びパウチ100をプリンタ1にする作業者が、プリンタ1にパウチ100の向きを誤って装着する可能性を低減できる。
【0058】
カートリッジ30をプリンタ1に装着する作業者は、カバー22を開状態にして、開口部11を介して前方からカートリッジ30を収容部12に挿通する。カートリッジ30が収容部12の奥まで挿通されると、装着部8は、係合部105と連結する。この場合、装着部8のニードル9は、スパウト107内に配置される。カートリッジ30の左下側、即ち左板34に偏った位置にパウチ100のスパウト107が配置されるので、作業者が、カートリッジ30及びパウチ100の向きを誤ってプリンタ1に装着する可能性を低減できる。
【0059】
以上説明したように、スパウト挿入部115は、上下方向におけるマチ103の下端部において、左右方向における左シール部121と右シール部122との間の中央(C1、C2)より左シール部121に偏った位置に形成される。
【0060】
これにより、作業者がカートリッジ30にパウチ100の向きを誤って装着する可能性を低減できる。また、カートリッジ30及びパウチ100をプリンタ1へ装着する際、ユーザは、装着時のパウチ100の正しい方向を容易に理解することができる。そのため、ユーザは、プリンタ1にパウチ100の向きを誤って装着する可能性を低減できる。
【0061】
パウチ100は、スパウト挿入部115に挿入されたスパウト107を備える。カートリッジ30では、カートリッジ30及びパウチ100の向きを誤ってプリンタ1に装着して、パウチ100からプリンタ1にインクGを供給できなくなる可能性を低減できる。
【0062】
カートリッジ30は、パウチ100を収容可能である。カートリッジ30では、ユーザは、パウチ100が誤った方向でカートリッジ30に収容される可能性を低減できる。また、カートリッジ30及びパウチ100をプリンタ1へ装着する際、ユーザは、プリンタ1にパウチ100の向きを誤って装着する可能性を低減できる。
【0063】
プリンタ1は、カートリッジ30を装着可能である。カートリッジ30及びパウチ100をプリンタ1に装着する場合、ユーザは、プリンタ1にパウチ100の向きを誤って装着する可能性を低減できる。
【0064】
上記実施形態において、図5図10のパウチ100の上下方向は、本発明の「第1方向」の一例である。図5図10のパウチ100の左右方向は、本発明の「第2方向」の一例である。図5図10のパウチ100の前後方向は、本発明の「第3方向」の一例である。左シール部121は、本発明の「第1縁」の一例である。右シール部122は、本発明の「第2縁」の一例である。前マチ113は、本発明の「マチ」の一例である。
【0065】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更可能である。上記実施形態では、パウチ100は、インクGを収容したがこれに限らない。例えば、パウチ100は、インクG以外の液体を収容してもよい。パウチ100はメンテナンス用の液体を収容してもよい。メンテナンス用の液体は、例えば、ノズル洗浄液である。この場合、メンテナンスボックスにノズル洗浄液を収容したパウチ100が収容される。更に、プリンタ1の出荷時又は長期保管時に、カートリッジ30及びパウチ100とプリンタ1のヘッドとを結ぶインクチューブ48内でのインクGの固化を抑制するためにインクチューブ48に導入される保存液(保管液、出荷液)が、パウチ100に貯留されていてもよい。この場合、保存液としては、揮発しにくい特性を有する液体が採用されてもよい。
【0066】
上記実施形態では、パウチ100をカートリッジ30に収容し、カートリッジ30ごとプリンタ1へ装着したがこれに限らない。例えば、プリンタ1では、パウチ100はカートリッジ30に収容されず、そのままプリンタ1へ装着可能な構成でもよい。この場合でも、パウチ100は、上記実施形態と同様の効果を有する。
【0067】
上記実施形態では、パウチ100の形状は直方体状であったがこれに限らない。例えば、パウチ100の形状は、他の多面体の形状あってもよいし、円筒状であってもよい。また、パウチ100は、前後方向に対象の形状でなくてもよい。この場合、例えば、上部111が下部112よりも長くてもよいし、短くてもよい。
【0068】
パウチ100は、一枚の合成樹脂製のシートが織り込まれ、縁部等が熱溶着されることで形成されたがこれに限らない。例えば、複数のシートの縁部が熱溶着されることでパウチが形成されてもよい。例えば、パウチは、上シート、下シート、右シート、左シートの四枚のシート、前マチ、及び後マチで形成されてもよい。
【0069】
上記実施形態では、スパウト挿入部115は、図8図10に示す位置、即ち前マチ113の左下側(下縁シール部124)に設けられたがこれに限らない。スパウト挿入部115は、前マチ113の上方向の端縁に設けられてもよい。この場合、スパウト挿入部115は、上縁シール部123に設けられてもよい。カートリッジ30のスパウト係合溝37は対応する位置に設けられるとよい。
【0070】
スパウト挿入部115は、左右方向における中央(C1、C2)と左シール部121との間の位置であれば何れの位置に配置されてもよい。この場合、カートリッジ30のスパウト接続部38は、対応する位置に設けられるとよい。
【0071】
上記実施形態では、スパウト挿入部115は、左右方向において左シール部121側に偏った位置に設けられたがこれに限らない。例えば、スパウト挿入部115は、中央(C1、C2)より右シール部側に偏った位置に設けられてもよい。この場合、カートリッジ30のスパウト接続部38は、対応する位置に設けられるとよい。
【符号の説明】
【0072】
1 プリンタ
30 カートリッジ
100 パウチ
101 胴部
107 スパウト
113 前マチシート
115 スパウト挿入部
121 左シール部
122 右シール部
G インク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10