(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149864
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】可食体の搬送状態検出装置および印刷装置
(51)【国際特許分類】
B65G 43/08 20060101AFI20231005BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231005BHJP
A61J 3/06 20060101ALI20231005BHJP
B41F 17/36 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B65G43/08 E
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
A61J3/06 Q
B41F17/36 B
B41J2/01 109
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058647
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000228110
【氏名又は名称】クオリカプス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001597
【氏名又は名称】弁理士法人アローレインターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】藤中 大弥
(72)【発明者】
【氏名】大北 幸輔
【テーマコード(参考)】
2C056
3F027
4C047
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EB03
2C056EB13
2C056EB37
2C056EC03
2C056EC12
2C056FB09
2C056HA29
2C056HA58
3F027AA02
3F027CA01
3F027DA08
3F027DA16
3F027EA06
4C047LL10
(57)【要約】
【課題】 可食体の搬送状態を容易且つ確実に検出することができる搬送状態検出装置を提供する。
【解決手段】 複数の可食体Pを搬送路2aに沿って列状に搬送する搬送部2と、搬送部2により搬送される可食体Pを検知する検知部30と、検知部30の検知に基づいて可食体Pの1次元または2次元の外観情報を取得し、前記外観情報に基づく指標値を基準値と比較することにより、各可食体Pが分離状態で搬送されているか否かを判別する制御部とを備える可食体の搬送状態検出装置100である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の可食体を搬送路に沿って列状に搬送する搬送部と、
前記搬送部により搬送される可食体を検知する検知部と、
前記検知部の検知に基づいて可食体の1次元または2次元の外観情報を取得し、前記外観情報に基づく指標値を基準値と比較することにより、各可食体が分離状態で搬送されているか否かを判別する制御部とを備える可食体の搬送状態検出装置。
【請求項2】
前記検知部を通過した可食体を、前記検知部よりも搬送方向上流側に選択的に戻す戻し部を更に備え、
前記制御部は、非分離状態と判別した複数の可食体に対して前記戻し部を作動させて、前記検知部に再び通過させる請求項1に記載の可食体の搬送状態検出装置。
【請求項3】
前記検知部は、センサまたはカメラであり、
前記制御部は、可食体の搬送方向長さを前記指標値とする請求項1または2に記載の可食体の搬送状態検出装置。
【請求項4】
前記検知部は、カメラであり、
前記制御部は、可食体の面積、輪郭長さ、フィレ径、円形度または形状一致度の少なくともいずれかを前記指標値とする請求項1または2に記載の可食体の搬送状態検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の可食体の搬送状態検出装置と、
分離状態と判別された可食体に印刷する印刷部とを備える印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可食体の搬送状態検出装置および印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や食品等の可食体の搬送状態を検出して印刷する装置として、例えば、特許文献1に開示された錠剤印刷装置が知られている。この装置は、ランダムに供給される錠剤をラインセンサカメラにより撮像して画像データを取得し、画像データの輝度が一定レベル以上であって、かつその状態が一定スパン以上続いた場合にのみ、当該画像データを錠剤の画像データとして取り込んで印刷を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された錠剤印刷装置は、隣接する2つの錠剤が互いに接触した、いわゆる双子錠の状態で搬送されると、これらを単一の錠剤の画像データとして取り込むおそれがあり、これによって印刷の位置ずれや欠け、抜け等の印刷ミスを生じるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、可食体の搬送状態を容易且つ確実に検出することができる可食体の搬送状態検出装置およびこれを備える印刷装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、複数の可食体を搬送路に沿って列状に搬送する搬送部と、前記搬送部により搬送される可食体を検知する検知部と、前記検知部の検知に基づいて可食体の1次元または2次元の外観情報を取得し、前記外観情報に基づく指標値を基準値と比較することにより、各可食体が分離状態で搬送されているか否かを判別する制御部とを備える可食体の搬送状態検出装置により達成される。
【0007】
この可食体の搬送状態検出装置は、前記検知部を通過した可食体を、前記検知部よりも搬送方向上流側に選択的に戻す戻し部を更に備えることが好ましく、前記制御部は、非分離状態と判別した複数の可食体に対して前記戻し部を作動させて、前記検知部に再び通過させることが好ましい。
【0008】
前記検知部は、センサまたはカメラであり、前記制御部は、可食体の搬送方向長さを前記指標値とすることができる。あるいは、前記検知部は、カメラであり、前記制御部は、可食体の面積、輪郭長さ、フィレ径、円形度または形状一致度の少なくともいずれかを前記指標値とすることができる。
【0009】
また、本発明の前記目的は、上述した可食体の搬送状態検出装置と、分離状態と判別された可食体に印刷する印刷部とを備える印刷装置により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の可食体の搬送状態検出装置によれば、可食体の搬送状態を容易且つ確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態に係る印刷装置の概略正面図である。
【
図3】
図1に示す印刷装置の要部を示す平面図である。
【
図4】
図1に示す印刷装置の他の要部を示す平面図である。
【
図6】
図1に示す印刷装置の作動を説明するための図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係る印刷装置の作動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、 本発明の一実施形態に係る印刷装置1の概略正面図である。
図1に示すように、印刷装置1は、可食体の搬送状態検出装置(以下、単に「搬送状態検出装置」という)100を備えている。搬送状態検出装置100は、搬送部2、検知部30および戻し部40を備えている。可食体は、錠剤、カプセル剤、空カプセル、固形食品等の定形性を有する小物品である。本実施形態においては、可食体が錠剤である場合を例に説明する。
【0013】
図2は
図1のA-A断面図であり、
図3は
図1に示す搬送部2の要部平面図である。
図1から
図3に示すように、搬送部2は、第1搬送装置10および第2搬送装置20を備えている。第1搬送装置10は、笠状のディスク11と、ディスク11を収容する中間リング12と、中間リング12を収容する回転リング13とを備えている。
【0014】
ディスク11および回転リング13の回転軸11a,13aが鉛直方向に延びるのに対し、中間リング12の回転軸12aは、回転軸11a,13aに対して若干傾斜するように配置されている。回転軸11a,12a,13aは、それぞれ減速機11b,12b,13bを介して、個別に設けられたモータ等の駆動源(図示せず)に接続されており、ディスク11、中間リング12および回転リング13を、それぞれ独立に回転駆動することができる。
【0015】
中間リング12および回転リング13の上部には、周方向に沿って搬送面12c,13cがそれぞれ形成されている。回転リング13の搬送面13cは、径方向外側がリング状の突部13dにより覆われている。
【0016】
第2搬送装置20は、それぞれの回転軸21a,22aが水平に配置された第1プーリ21および第2プーリ22と、第1プーリ21および第2プーリ22に巻き掛けられた無端状のベルト体23と、ベルト体23の搬送方向に沿って配置されたガイド部材24とを備えている。第2プーリ22の径は、第1プーリ21の径よりも小さい。第1プーリ21と第2プーリ22との間に位置するベルト体23の直線部は、第1プーリ21および第2プーリ22の上方で水平に配置されて直線状の搬送路2aが形成される一方、第1プーリ21および第2プーリ22の下方において傾斜している。
【0017】
図2に示すように、第1プーリ21は、2つの円板21b,21cが互いに間隔をあけた状態で回転軸21aにより連結されて構成されている。第2プーリ22も、第1プーリ21と同様に、互いに間隔をあけて回転軸22aにより連結された2つの円板を備えている。本実施形態においては、第1プーリ21を駆動モータ(図示せず)に接続された駆動プーリとして、第2プーリ22を従動プーリとしているが、第1プーリ21を従動プーリとして第2プーリ22を駆動プーリとしてもよい。
【0018】
ベルト体23は、帯状の2つの搬送ベルト23a,23bを備えており、各搬送ベルト23a,23bが、第1プーリ21の円板21b,21cにそれぞれ巻き掛けられている。2つの搬送ベルト23a,23bの間には、微細な隙間からなる開口部23cが、ベルト体23の全周にわたって形成されている。搬送ベルト23a,23bは、例えば、シリコンゴム等の軟質材料からなる平ベルトにより形成することができるが、Vベルトや歯付きベルト等を使用してもよい。
【0019】
図1に示すように、ガイド部材24は、第1プーリ21と第2プーリ22との間で搬送路2aに沿って水平に延びるベルト体23の近傍直下に配置された直線部24aと、直線部24aの搬送方向両側にそれぞれ設けられた円弧部24b,24cとを備えている。各円弧部24b,24cは、第1プーリ21および第2プーリ22が備える2つの円板の間にそれぞれ挿入されており、第1プーリ21および第2プーリ22に巻き掛けられたベルト体23に沿って円弧状に湾曲するように形成されている。
【0020】
図2に示すように、ガイド部材24は中空筒状に形成されており、ガイド部材24がベルト体23の開口部23cに対向する部分には、開口部23cに沿ってスリット状の吸引部25が形成されている。ガイド部材24の内部は、真空ポンプ(図示せず)の作動により減圧可能とされており、ベルト体23の開口部23cを介して錠剤Pを吸引部25に吸引することにより、錠剤Pをベルト体23に吸着させた状態でベルト体23と共に搬送することができる。本実施形態のベルト体23の開口部23cは、2つの搬送ベルト23a,23bの間に長手方向に沿って連続的に形成されているが、ベルト体23を単一の帯状ベルトとして、この帯状ベルトの長手方向に沿って円形状、楕円形状、スリット状などの開口部を断続的に形成してもよい。
【0021】
図4は、
図1の搬送路2aの近傍を拡大して示す平面図である。
図4に示すように、検知部30は、搬送路2aを挟んで水平方向両側に配置された投光部31および受光部32を備える透過型の光電センサからなり、投光部31と受光部32との間を錠剤Pが通過することで受光部32での受光が遮断される間、錠剤Pの検知信号が生成される。検知部30は、搬送部2により搬送される錠剤Pを検知可能なレーザセンサ、反射型光電センサ、ファイバセンサ、近接センサ等の他のセンサであってもよい。また、検知部30は、CCDやCMOS等の撮像素子を備えるラインカメラやエリアカメラ等のカメラであってもよい。検知部30がカメラである場合、錠剤Pの撮像方向を、例えば鉛直方向または水平方向とすることができる。
【0022】
戻し部40は、搬送路2aの近傍において、検知部30の搬送方向下流側に配置されており、搬送路2aを搬送される錠剤Pに対して圧縮エアを噴射することにより、第1搬送装置10に錠剤Pを選択的に戻すことができる。戻し部40の作動により搬送路2aから離脱した錠剤Pは、搬送路2aの下方に配置された第1搬送装置10に直接またはシュータ(図示せず)を介して落下し、検知部30を再び通過するように搬送される。戻し部40は、検知部30を通過した錠剤Pを、検知部30よりも搬送方向上流側の搬送路2aに選択的に戻すことが可能であれば、その構成や配置は特に限定されない。例えば、搬送路2a上の錠剤Pを物理的に押圧するプッシャ等からなる戻し部40を、作動時に錠剤Pが第1搬送装置10に落下するように配置することができる。
【0023】
図5にブロック図で示すように、搬送状態検出装置100は、制御部50を更に備えている。制御部50は、搬送部2、検知部30および戻し部40の作動を制御する。
【0024】
図1から
図5に示すように、本実施形態の印刷装置1は、上述した搬送状態検出装置100の他に、印刷部60、印刷検査部70および振分ダンパ80を備えている。印刷部60、印刷検査部70および振分ダンパ80は、搬送路2aの近傍において戻し部40の搬送方向下流側に順次設けられている。印刷部60、印刷検査部70および振分ダンパ80の作動は、制御部50により制御される。
【0025】
印刷部60は、レーザ印刷装置であり、所定位置に搬送された錠剤Pの表面をレーザスポットの走査により加熱変性させることで、文字、数字、記号、図形等をマーキングすることができる。印刷部60は、インクジェット印刷装置など他の印刷装置であってもよい。
【0026】
次に、上記の構成を備える印刷装置1の作動を説明する。第1搬送装置10のディスク11、中間リング12および回転リング13を同方向に回転駆動した状態で、ディスク11上に錠剤Pを複数供給することにより、錠剤Pが遠心力を受けて、中間リング12の搬送面12cを介して回転リング13の搬送面13cに移動する。こうして、錠剤Pの長手方向が回転リング13の周方向に沿うように、搬送面13cに錠剤Pを一列に整列させて、回転リング13の回転方向(
図3の矢示D1方向)に錠剤Pを搬送することができる。ディスク11、中間リング12および回転リング13の回転速度は、ディスク11の回転速度が最も遅く、回転リング13の回転速度が最も速くなるように、それぞれ設定されることが好ましく、これによって回転リング13による錠剤Pの確実な整列搬送を促すことができる。
【0027】
第1搬送装置10は、回転リング13の搬送面13cに錠剤Pを整列させて回転リング13の回転方向に搬送する構成であればよく、例えば、中間リング12を設けずに、ディスク11および回転リング13の各回転軸を互いに傾斜させ、ディスク11上に供給された錠剤Pを、回転リング13の搬送面13cに直接移動させる構成であってもよい。回転リング13の回転軸13aは、本実施形態のように鉛直方向に沿って配置することが好ましいが、上下方向に延びる配置であればよく、例えば、鉛直方向に対して回転軸13aが若干傾斜してもよい。
【0028】
第1搬送装置10により第2搬送装置20に向けて整列搬送された錠剤Pは、吸引部25の吸引により、第1プーリ21の下部近傍でベルト体23に順次吸着されて上昇し、吸着状態のまま第1プーリ21および第2プーリ22の上方を、
図3の矢示D2方向に直線的に搬送される。こうして、第1搬送装置10で整列した錠剤Pが、第2搬送装置20により整列状態を維持しつつ、直線状の搬送路2aに沿って搬送される。回転リング13からベルト体23への錠剤Pの受け渡し位置においては、本実施形態のように、回転リング13による搬送方向とベルト体23による搬送方向とが一致することが好ましく、これによって錠剤Pの受け渡しを確実に行うことができる。
【0029】
回転リング13による錠剤Pの搬送速度は、ベルト体23による錠剤Pの搬送速度よりも遅くすることで、搬送路2aを印刷部60に向けて整列搬送される錠剤P間のピッチ(間隔)を広げることができる一方、遅過ぎると錠剤Pの搬送効率が低下することから、錠剤Pのピッチはなるべく小さくすることが好ましい。このため、搬送路2aに沿って搬送される一部の錠剤Pについては、ピッチを確保できずに互いに接触した状態で搬送される場合が生じ得る。
【0030】
検知部30は、搬送路2aを搬送される錠剤Pが通過する間、検知信号を制御部50に送信する。制御部50は、検知部30の検知に基づき、錠剤Pの搬送速度と検知信号の継続時間から、錠剤Pの外観情報である搬送方向長さを指標値として算出し、基準値と比較する。
【0031】
図6(a)に示すように各錠剤Pが分離状態で搬送されている場合には、制御部により算出される指標値は、錠剤Pの搬送方向長さL1に一致するのに対し、
図6(b)に示すように複数の錠剤Pが接触状態で搬送されている場合には、制御部50により算出される指標値は、互いに接触する複数の錠剤Pの搬送方向長さL1を合計したL2になる。したがって、基準値をL1とL2との間の適当な値に設定することで、各錠剤Pが分離状態で搬送されているか否かを制御部50が正しく判別することができる。
【0032】
検知部30を通過した錠剤Pは、印刷部60に向けて搬送される。制御部50は、分離状態と判別した錠剤Pについては戻し部40を通過させる一方、非分離状態と判別した錠剤P(すなわち、互いに接触している複数の錠剤P)については戻し部40を作動させて、検知部30よりも搬送方向上流側である第1搬送装置10に戻す。第1搬送装置10に戻された錠剤Pは、検知部30を再び通過することになるが、この際に分離状態と判別されれば、戻し部40を通過して印刷部60に搬送される。なお、制御部50は、錠剤Pの搬送方向長さを算出するだけでなく、隣接する錠剤P間のピッチを算出してもよく、このピッチが所定の範囲内にあることで、各錠剤Pが安定して搬送されていることを確認することができる。
【0033】
印刷部60で印刷された錠剤Pは、印刷検査部70により撮像されて印刷検査が行われる。印刷検査により良否判別が行われた錠剤Pは、制御部50が振分ダンパ80の作動を制御することにより、良品ボックス81と不良品ボックス82とに振り分けられる。
【0034】
本実施形態の印刷装置1によれば、錠剤Pが分離状態で搬送されているか否かを搬送状態検出装置100により検出することができるので、非分離状態の錠剤Pに印刷することで生じる印刷の位置ずれや欠け、抜け等の印刷ミスを確実に防止することができる。したがって、錠剤P間のピッチを最小限にすることができ、これによって錠剤Pの搬送効率および印刷効率を高めることができる。
【0035】
また、非分離状態と判別された複数の錠剤Pは、廃棄されることなく、戻し部40の作動により検知部30の搬送方向上流側に戻されて、再び検知部30を通過するので、搬送される全ての錠剤Pに対して印刷部60による印刷を行うことができる。
【0036】
本実施形態の制御部50は、上記のようにセンサまたはカメラからなる検知部30の検知に基づいて搬送方向に沿った1次元の外観情報を取得し、この外観情報に基づく搬送方向長さを指標値としているが、カメラからなる検知部30により錠剤Pを上方から撮像することで、水平面に沿った2次元の外観情報を取得することも可能であり、これによって錠剤Pの分離状態の判別をより精度良く行うことができる。
【0037】
2次元の外観情報に基づく指標値としては、例えば、錠剤Pの面積を挙げることができる。
図7は、検知部30により撮像された画像データの一例を示している。
図7(a)に示すように各錠剤Pが分離状態で搬送されている場合には、画像データに基づいて制御部50が算出する指標値は、各錠剤Pの面積S1に一致するのに対し、
図7(b)に示すように複数の錠剤Pが接触状態で搬送されている場合には、制御部50が算出する指標値は、互いに接触する複数の錠剤Pの面積S1を合計したS2になる。したがって、基準値をS1とS2との間の適当な値に設定することで、各錠剤Pが分離状態で搬送されているか否かを制御部50が正しく判別することができる。錠剤Pの面積を指標値とする場合、撮像データから錠剤Pの画像を抽出して指標値を算出してもよく、あるいは、撮像データから背景の画像を抽出して指標値を算出することもできる。
【0038】
2次元の外観情報に基づく指標値は、錠剤Pの面積に限定されるものではなく、例えば、錠剤Pの輪郭長さ、錠剤Pのフィレ径、錠剤Pの円形度や、形状一致度等を挙げることができ、予め設定された基準値との比較により、錠剤Pが分離状態で搬送されているか否かを判別することができる。錠剤Pのフィレ径は、例えば、搬送方向のフィレ径や、搬送方向と直交する方向のフィレ径とすることができる。また、形状一致度は、予め設定された基準パターンとのパターンマッチングにより算出することができる。これらの指標値は、複数を適宜組み合わせて、分離状態の判別に利用してもよい。
【0039】
搬送部2は、複数の錠剤Pを搬送路に沿って列状にランダムに搬送する構成であれば、特に限定されない。例えば、
図1に示す搬送部2を、ベルト体23を使用せずに、第1のプーリ21の外周面に錠剤Pを直接吸着して搬送するように構成し、第1のプーリ21の周方向に沿って、検知部30、戻し部40および印刷部60を順次配置してもよい。あるいは、国際公開第2018/100980号に開示されているように、複数の搬送ベルトの一方側面の間に錠剤Pを挟持して搬送する搬送部を使用することもできる。
【符号の説明】
【0040】
1 印刷装置
2 搬送部
2a 搬送路
30 検知部
40 戻し部
50 制御部
60 印刷部
100 搬送状態検出装置
P 錠剤(可食体)