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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149880
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】継手
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/12 20060101AFI20231005BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20231005BHJP
   F16L 5/02 20060101ALI20231005BHJP
   F16L 41/03 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
E03C1/12 E
F16L5/00 A
F16L5/00 H
F16L5/00 N
F16L5/02 J
F16L41/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058674
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】渕上 斉太
(72)【発明者】
【氏名】花房 幹太
【テーマコード(参考)】
2D061
3H019
【Fターム(参考)】
2D061AA04
2D061AA05
2D061AB02
2D061AB03
2D061AB05
2D061AB10
2D061AC05
2D061AC07
3H019BA21
3H019BB08
3H019BC01
(57)【要約】
【課題】継手本体と遮音カバーとの間から水が浸入したり、漏れ出したりしない継手を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の態様1に係る継手100は、上方に設けられる立管が接続される上開口部11Aと、側方に設けられる横管が接続される横開口部11Bと、下方に設けられる下部接続管30が接続される下開口部11Cと、を備える継手本体11と、上開口部11A、横開口部11B、下開口部11Cの少なくともいずれかの周囲を覆う遮音カバー40と、を備え、継手本体11の外面と、遮音カバー40と、の間に止水部材が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に設けられる立管が接続される上開口部と、側方に設けられる横管が接続される横開口部と、下方に設けられる下部接続管が接続される下開口部と、を備える継手本体と、
前記上開口部、前記横開口部、前記下開口部の少なくともいずれかの周囲を覆う遮音カバーと、
を備え、
前記継手本体の外面と、前記遮音カバーと、の間に止水部材が設けられている、
継手。
【請求項2】
上方に設けられる立管が接続される上開口部と、側方に設けられる横管が接続される横開口部と、下方に設けられる下部接続管が接続される下開口部と、を備える継手本体と、
前記立管と前記上開口部との間に配置される立管受口部材と、
前記横管と前記横開口部との間に配置される横管受口部材と、
前記立管受口部材、前記横管受口部材、の少なくともいずれかの周囲を覆う遮音カバーと、
を備え、
前記立管受口部材又は前記横管受口部材と、前記遮音カバーと、の間に止水部材が設けられている、
継手。
【請求項3】
前記立管受口部材は、前記立管が挿入される立管ブッシュを少なくとも備え、
前記横管受口部材は、前記横管が挿入される横管ブッシュを少なくとも備え、
前記止水部材は、前記立管ブッシュ又は前記横管ブッシュの外面と、前記遮音カバーと、の間に設けられている、
請求項2に記載の継手。
【請求項4】
前記立管受口部材は、前記立管が挿入される立管ブッシュと、前記立管ブッシュと前記立管との間の隙間を埋める立管ゴム輪と、前記立管ゴム輪が前記立管ブッシュから脱落することを防ぐ立管ゴム輪抑え部材と、を備え、
前記横管受口部材は、前記横管が挿入される横管ブッシュと、前記横管ブッシュと前記横管との間の隙間を埋める横管ゴム輪と、前記横管ゴム輪が前記横管ブッシュから脱落することを防ぐ横管ゴム輪抑え部材と、を備え、
前記止水部材は、前記立管ゴム輪抑え部材又は前記横管ゴム輪抑え部材と、前記遮音カバーと、の間に設けられている、
請求項2に記載の継手。
【請求項5】
前記遮音カバーは、
少なくとも前記継手本体を覆う上部遮音カバーと、
少なくとも前記下部接続管を覆う下部遮音カバーと、
を備え、
前記上部遮音カバーと前記下部遮音カバーとの間に止水部材が設けられている、
請求項1又は2に記載の継手。
【請求項6】
前記遮音カバーは、少なくとも前記継手本体を覆う上部遮音カバーを備え、
前記上部遮音カバーは、少なくとも2つの部材で構成され、前記立管の軸方向に直交する方向、又は前記立管の軸方向に沿って分割面を有する、
請求項1又は2に記載の継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示すような集合管継手の遮音構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5771514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
遮音カバーを備えた継手が床スラブの貫通孔に配置されることがある。ここで、建物の建設途中に、継手が配置された床スラブの貫通孔付近に、上方から雨水がかかることがある。前記雨水が、継手本体と遮音カバーとの間に浸入することがある。すると、前記雨水が、継手本体と遮音カバーとの間を流下して、床スラブの下方に漏れ出す課題がある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、継手本体と遮音カバーとの間から水が浸入したり、漏れ出したりしない継手を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
<1>本発明の態様1に係る継手は、上方に設けられる立管が接続される上開口部と、側方に設けられる横管が接続される横開口部と、下方に設けられる下部接続管が接続される下開口部と、を備える継手本体と、前記上開口部、前記横開口部、前記下開口部の少なくともいずれかの周囲を覆う遮音カバーと、を備え、前記継手本体の外面と、前記遮音カバーと、の間に止水部材が設けられている。
【0007】
この発明によれば、継手本体の外面と、遮音カバーと、の間に止水部材が設けられている。これにより、継手の外側にある水が、継手本体と遮音カバーとの間に浸入することを防ぐことができる。また、仮に継手本体と遮音カバーとの間に水が浸入したとしても、継手本体と遮音カバーとの間から、継手の外側に水が漏れ出すことを防ぐことができる。よって、スラブの貫通孔に継手が配置された状態で、スラブの上方から下方に水が漏れることを防ぐことができる。
【0008】
<2>本発明の態様2に係る継手は、上方に設けられる立管が接続される上開口部と、側方に設けられる横管が接続される横開口部と、下方に設けられる下部接続管が接続される下開口部と、を備える継手本体と、前記立管と前記上開口部との間に配置される立管受口部材と、前記横管と前記横開口部との間に配置される横管受口部材と、前記立管受口部材、前記横管受口部材、の少なくともいずれかの周囲を覆う遮音カバーと、を備え、前記立管受口部材又は前記横管受口部材と、前記遮音カバーと、の間に止水部材が設けられている。
【0009】
この発明によれば、立管受口部材又は横管受口部材と、遮音カバーと、の間に止水部材が設けられている。これにより、立管受口部材又は横管受口部材と遮音カバーとの間を介して、遮音カバーと継手本体との間に水が浸入することを防ぐことができる。よって、スラブの貫通孔に継手が配置された状態で、スラブの上方から下方に水が漏れることを防ぐことができる。
【0010】
<3>本発明の態様3に係る継手は、態様2に係る継手において、前記立管受口部材は、前記立管が挿入される立管ブッシュを少なくとも備え、前記横管受口部材は、前記横管が挿入される横管ブッシュを少なくとも備え、前記止水部材は、前記立管ブッシュ又は前記横管ブッシュの外面と、前記遮音カバーと、の間に設けられている。
【0011】
この発明によれば、止水部材は、立管ブッシュ又は横管ブッシュの外面と、遮音カバーと、の間に設けられている。これにより、立管ブッシュ又は横管ブッシュと遮音カバーとの間を介して、遮音カバーと継手本体との間に水が浸入することを防ぐことができる。
【0012】
<4>本発明の態様4に係る継手は、態様2に係る継手において、前記立管受口部材は、前記立管が挿入される立管ブッシュと、前記立管ブッシュと前記立管との間の隙間を埋める立管ゴム輪と、前記立管ゴム輪が前記立管ブッシュから脱落することを防ぐ立管ゴム輪抑え部材と、を備え、前記横管受口部材は、前記横管が挿入される横管ブッシュと、前記横管ブッシュと前記横管との間の隙間を埋める横管ゴム輪と、前記横管ゴム輪が前記横管ブッシュから脱落することを防ぐ横管ゴム輪抑え部材と、を備え、前記止水部材は、前記立管ゴム輪抑え部材又は前記横管ゴム輪抑え部材と、前記遮音カバーと、の間に設けられている。
【0013】
この発明によれば、止水部材は、立管ゴム輪抑え部材又は横管ゴム輪抑え部材と、遮音カバーと、の間に設けられている。これにより、立管ゴム輪抑え部材又は横管ゴム輪抑え部材と遮音カバーとの間を介して、遮音カバーと継手本体との間に水が浸入することを防ぐことができる。
【0014】
<5>本発明の態様5に係る継手は、態様1又は態様2に係る継手において、前記遮音カバーは、少なくとも前記継手本体を覆う上部遮音カバーと、少なくとも前記下部接続管を覆う下部遮音カバーと、を備え、前記上部遮音カバーと前記下部遮音カバーとの間に止水部材が設けられている。
【0015】
この発明によれば、上部遮音カバーと下部遮音カバーとの間に止水部材が設けられている。これにより、上部遮音カバーと下部遮音カバーとの間を介して、遮音カバーと継手本体との間に水が浸入することを防ぐことができる。
【0016】
<6>本発明の態様6に係る継手は、態様1又は態様2に係る継手において、前記遮音カバーは、少なくとも前記継手本体を覆う上部遮音カバーを備え、前記上部遮音カバーは、少なくとも2つの部材で構成され、前記立管の軸方向に直交する方向、又は前記立管の軸方向に沿って分割面を有する。
【0017】
この発明によれば、上部遮音カバーは、少なくとも2つの部材で構成され、立管の軸方向に直交する方向、又は立管の軸方向に沿って分割面を有する。これにより、分割面において2つの部材を組み合わせるようにすることで、上部遮音カバーによって継手本体を覆うことができる。よって、例えば、上部遮音カバーが可撓性を有さない場合でも、継手本体の周囲に容易に配置することができる。可撓性を有さない上部遮音カバーを用いることで、止水部材によって遮音カバーと継手本体との間に水が浸入することを防ぐ効果を顕著に得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、継手本体と遮音カバーとの間から水が浸入したり、漏れ出したりしない継手を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明に係る継手の設置例である。
図2】本発明に係る継手の断面図である。
図3】上部遮音カバーの分割面の第1例である。
図4】上部遮音カバーの分割面の第2例である。
図5】上部遮音カバーと継手本体との関係の第1例である。
図6】上部遮音カバーと継手本体との関係の第2例である。
図7】上部遮音カバーと立管受口部材との関係の第1例である。
図8】上部遮音カバーと立管受口部材との関係の第2例である。
図9】上部遮音カバーと立管受口部材との関係の第3例である。
図10】上部遮音カバーと立管受口部材との関係の第4例である。
図11】上部遮音カバーと横管受口部材との関係の第1例である。
図12】上部遮音カバーと横管受口部材との関係の第2例である。
図13】上部遮音カバーと横管受口部材との関係の第3例である。
図14】上部遮音カバーと下部遮音カバーとの関係の第1例である。
図15】上部遮音カバーと下部遮音カバーとの関係の第2例である。
図16】上部遮音カバーの変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る継手100を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る継手100は、例えば、建物の床スラブFに設けられた貫通孔Hに配置される。継手本体11は、例えば、いわゆる集合継手である。継手100は、いわゆる減速継手であってもよい。床スラブFは、例えば、段差スラブである。建物の建設途中において、雨等によって床スラブFの貫通孔Hの付近に水Wが溜まることがある。この水Wが継手100の内部に浸入して、床スラブFの下に漏れ出ることがある。本実施形態に係る継手100は、これを防ぐために下記の構成を備える。
【0021】
図2に示すように、継手100は、集合部10と、中間管20と、下部接続管30と、遮音カバー40と、を備える。上方に位置する立管(以下、上立管T1)及び横管Yは集合部10に接続されている。集合部10に流入した排水は下部接続管30へと移動し、下部接続管30に接続された下方に位置する立管(以下、下立管T2)へと移動する。
集合部10は、継手本体11と、立管受口部材12と、横管受口部材13と、を備える。
【0022】
継手本体11は、集合部10に備えられた各構成品の中央に位置している。継手本体11は、上立管T1が接続される上開口部11Aと、側方に設けられる横管Yが接続される横開口部11Bと、下方に設けられる下部接続管30が接続される下開口部11Cと、を備える。本実施形態において、上開口部11Aには立管受口部材12が、横開口部11Bには横管受口部材13が設けられている。また、継手本体11の内側には偏流板11Dが、継手本体11の下部には中間管20を介して下部接続管30が接続されている。
【0023】
偏流板11Dは、継手本体11の内側に一体に成形された突起状の部位である。ここで、継手本体11内に多量の排水が流入したとき、継手100および配管内を流れる排水の流速が増加し、結果として配管内が負圧となることがある。これに対し、上立管T1から継手本体11内に流入した排水が偏流板11Dに接触すると、継手100内を流れる排水が偏流する。これにより、継手100及び上立管T1内において通気を取りやすくし、継手100内部における圧力変動を減らす役割を有する。
継手本体11に設けられる偏流板11Dの数は任意に選択可能である。例えば、1箇所のみに設けられてもよいし、継手本体11の内周面において間隔をあけて複数設けられていてもよい。また、偏流板11Dは後述する立管受口部材12の立管ブッシュ12Aの内部に設けられていてもよい。
【0024】
中間管20は、継手本体11と下部接続管30とを接続する。本実施形態において、継手本体11、中間管20及び下部接続管30との取付には、接着が好適に用いられる。中間管20は、全体が単一の樹脂組成物からなる単層構造でもよいし、複数の層からなる複層構造でもよい。中間管20が単層構造の場合、熱膨張材を含有する樹脂組成物から形成されていてもよい。中間管20が複層構造の場合、いずれかの層が熱膨張材を含有する樹脂組成物から形成されていればよく、例えば、中間管20として表層と中間層と内層とからなる3層構造である場合、中間層が熱膨張材を含有する樹脂組成物から形成されたものが挙げられる。熱膨張材を含むことで火災時の延焼を防止する耐火性を継手100に付与することができる。
【0025】
ここで、継手本体11の成形には、ポリ塩化ビニル系樹脂を用いた射出成型が好適に用いられる。なお、継手本体11は透明としてもよい。この場合は、立管受口部材12や横管受口部材13との接合状態を容易に確認することができる。
中間管20の内径は、下部接続管30(後述する)の上端の内径と同じか、より大きいことが好ましい。また、中間管20の外径は、下開口部11C及び下部接続管30の上接続部32の内径と同じであることが好ましい。
【0026】
立管受口部材12は、上開口部11Aに配置されている。本実施形態において、立管受口部材12は、立管ブッシュ12Aと、立管ゴム輪12Bと、立管ゴム輪抑え部材12Cと、を備える。
立管ブッシュ12Aは、立管受口部材12と継手本体11とを接続する筒状の部材である。立管ブッシュ12Aには、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。立管受口部材12と継手本体11との取付は、例えば、接着が好適に用いられる。また、立管ブッシュ12Aの内周面には、立管ゴム輪12Bが設けられている。
【0027】
立管ゴム輪12Bは、立管ブッシュ12Aの内周面に設けられ、立管受口部材12に接続された立管と直接接する環状の部品である。これにより立管受口部材12に接続された上立管T1との隙間をなくし、排水が漏れ出すことを防ぐ役割を有する。立管ゴム輪12Bには、例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等の通常排水設備に使用されているゴム材料が好適に用いられる。
【0028】
立管ゴム輪抑え部材12Cは、立管ブッシュ12A及び立管ゴム輪12Bの端部を覆うように設けられた環状の部材である。これにより、立管ブッシュ12Aから立管ゴム輪12Bが脱落することを防ぐ役割を有する。立管ゴム輪抑え部材12Cには、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。
【0029】
立管受口部材12と上立管T1との接続は、上立管T1の下端部を立管ブッシュ12A内に挿入することで行う。このため、立管ゴム輪12Bの内径は、上立管T1の外径よりも小さいことが好ましい。これにより、上立管T1が挿入されることで生じる立管ゴム輪12Bの有する弾性力によって上立管T1を締め付け、立管受口部材12と上立管T1とを固定する。
または、挿入された上立管T1と立管受口部材12とを接着により固定してもよい。この場合、立管ゴム輪12Bは設けられていなくてもよい。
【0030】
立管受口部材12への上立管T1の挿入量の確認には、任意の方法が用いられる。例えば、上立管T1に規定の挿入代を示すマーキングを施し、挿入時にマーキングの位置を目視する方法が挙げられる。
あるいは、立管受口部材12の各構成部品を透明にすることで、立管受口部材12の内部における上立管T1の挿入代を目視で確認してもよい。この場合は、挿入代の確認をより容易に行うことができる。
【0031】
横管受口部材13は、横開口部11Bに配置されている。継手100に設けられる横管受口部材13の数は、施工現場の条件や継手100の大きさ等に合わせて任意に設定可能である。
本実施形態において、横管受口部材13は、横管ブッシュ13Aと、横管ゴム輪13Bと、横管ゴム輪抑え部材13Cと、を備える。
なお、横管受口部材13は、横管Yの挿入を規制するストッパーを設けていてもよい。このとき、ストッパーは集合部10の内部、または外部に位置するように設けられる。ストッパーが集合部10の外部にあり、横管受口部材13が透明な場合には、横管Yの挿入を外部から容易に確認できる。また、ストッパーが集合部10の内部にある場合、横管Yを長くできるため適切な排水勾配にしやすい。
【0032】
横管ブッシュ13Aは、横管受口部材13と継手本体11とを接続する筒状の部材である。横管ブッシュ13Aには、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。横管受口部材13と継手本体11との取付は、例えば、接着が好適に用いられる。また、横管ブッシュ13Aの内周面には、横管ゴム輪13Bが設けられている。
【0033】
横管ゴム輪13Bは、横管ブッシュ13Aの内周面に設けられ、横管受口部材13に接続された横管Yと直接接する環状の部品である。これにより横管受口部材13に接続された横管Yとの隙間をなくし、排水が漏れ出すことを防ぐ役割を有する。横管ゴム輪13Bには、例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等の通常排水設備に使用されているゴム材料が好適に用いられる。
【0034】
横管ゴム輪抑え部材13Cは、横管ブッシュ13A及び横管ゴム輪13Bの端部を覆うように設けられた環状の部材である。これにより、横管ブッシュ13Aから横管ゴム輪13Bが脱落することを防ぐ役割を有する。横管ゴム輪抑え部材13Cには、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。
【0035】
横管受口部材13と横管Yとの接続は、横管Yの端部を横管ブッシュ13A内に挿入することで行う。このため、横管ゴム輪13Bの内径は、横管Yの外径よりも小さいことが好ましい。これにより、横管Yが挿入されることで生じる横管ゴム輪13Bの有する弾性力によって横管Yを締め付け、横管受口部材13と横管Yとを固定する。
または、挿入された横管Yと横管受口部材13とを接着により固定してもよい。この場合、横管ゴム輪13Bは設けられていなくてもよい。
【0036】
横管受口部材13への横管Yの挿入量の確認には、任意の方法が用いられる。例えば、横管Yに規定の挿入代を示すマーキングを施し、挿入時にマーキングの位置を目視する方法が挙げられる。
あるいは、横管受口部材13の各構成部品を透明にすることで、横管受口部材13の内部における横管Yの挿入代を目視で確認してもよい。この場合は、挿入代の確認をより容易に行うことができる。
【0037】
下部接続管30は、継手100の下方に設けられる部材である。下部接続管30の上端には上述の中間管20が接続される。また、下部接続管30の下端は下立管T2に接続される。
下部接続管30は、テーパ部31と、上接続部32と、下接続部33と、を備える。テーパ部31は、上方から下方に向けて縮径する部位である。上接続部32は、中間管20が挿入される受口である。下接続部33は、下立管T2が接続される受口である。中間管20と上接続部32との取付は、例えば、接着が好適に用いられる。
【0038】
下部接続管30の成形方法には、押出成形した管を受口加工(拡径)する方法や、射出成型、ブロー成型による方法が挙げられる。また、下部接続管30にはポリ塩化ビニル系樹脂が好適に用いられる。ここで、押出成形によると下部接続管30の内外径がどの部位においても一定になるのに対し、射出成型によると下部接続管30の管軸方向に抜き勾配による肉厚差や内外径差が生じる。このため、押出成形した管を受口加工することによる成形が好適に用いられる。
【0039】
遮音カバー40は、継手100の内部を排水が流れることによって生じる音が、外部に伝播することを防ぐ役割を有する。本実施形態において、遮音カバー40は、上開口部11A、横開口部11B、下開口部11Cの少なくともいずれかの周囲を覆う。あるいは、遮音カバー40は、立管受口部材12、横管受口部材13、の少なくともいずれかの周囲を覆う。遮音カバー40の成形方法には、射出成型による方法が挙げられる。また、遮音カバー40には、ポリ塩化ビニル系樹脂やオレフィン系樹脂が好適に用いられる。
【0040】
遮音カバー40は、継手本体11を覆う上部遮音カバー41と、下部接続管30を覆う下部遮音カバー42と、を備える。
上部遮音カバー41は少なくとも2つの部材で構成される。すなわち、上部遮音カバー41は、第1上部遮音カバー41Aと、第2上部遮音カバー41Bと、を備える。第1上部遮音カバー41A及び第2上部遮音カバー41Bは、例えば、図3に示すように、上立管T1又は下立管T2の軸方向に直交する方向に分割面40Cを有する。第1上部遮音カバー41A及び第2上部遮音カバー41Bは、図4に示すように、上立管T1又は下立管T2の軸方向に分割面40Cを有してもよい。これにより、第1上部遮音カバー41A及び第2上部遮音カバー41Bは、分割面40Cにおいて、噛み合わせるように配置される。
以下、本実施形態に係る継手100は、図3に示すように、上立管T1又は下立管T2の軸方向に直交する方向に分割面40Cを有するものとして説明する。
【0041】
下部遮音カバー42は、下部接続管30の周囲を覆うように配置される。本実施形態において、下部遮音カバー42は、下部接続管30の外形に合わせ、テーパを有する筒状に一体成型されることが好ましい。
上部遮音カバー41と下部遮音カバー42とは、例えば、互いに嵌め込むように組み合わせることで固定される(詳細は後述する)。
【0042】
本実施形態に係る継手100は、止水部材Sを備える。これにより、継手本体11と遮音カバー40との間に水Wが浸入することを防ぐ。また、継手本体11と遮音カバー40との間に浸入した水Wが、外に漏れ出ることを防ぐ。本実施形態において、止水部材Sは、弾性体である。止水部材Sは、後述する複数の構成同士の間に配置される。このとき、止水部材Sは、複数の構成同士の間の全周に設けられる。また、複数の構成同士の間に配置された止水部材Sは、常に圧縮された状態であることが好ましい。これにより、複数の構成同士の間の隙間を埋めることが好ましい。
止水部材Sは、例えば、ゴム輪部材である。止水部材Sは、接着剤であってもよい。
【0043】
止水部材Sは、例えば、継手本体11の外面と、遮音カバー40と、の間に設けられる。このとき、例えば、図5に示すように、第1上部遮音カバー41A及び第2上部遮音カバー41Bは、継手本体11の横開口部11Bと密着する形状を有する。更に、図6に示すように、第1上部遮音カバー41Aが、継手本体11の上開口部11Aと密着する形状を有してもよい。第2上部遮音カバー41Bが、継手本体11の下開口部11Cと密着する形状を有してもよい。
【0044】
止水部材Sは、立管受口部材12又は横管受口部材13と、遮音カバー40と、の間に設けられていてもよい。
立管受口部材12と遮音カバー40との間に止水部材Sが設けられる場合、例えば、立管ゴム輪抑え部材12Cと第1上部遮音カバー41Aとの間に止水部材Sが設けられる。このとき、図7に示すように、第1上部遮音カバー41Aは、例えば、立管ゴム輪抑え部材12Cの外面と密着する形状を有する。図8に示すように、立管ゴム輪抑え部材12Cが、第1上部遮音カバー41Aの外面に密着する形状を有してもよい。
【0045】
また、図9に示すように、立管ゴム輪抑え部材12C及び第1上部遮音カバー41Aにそれぞれ密着する、第2立管ゴム輪抑え部材12Caを設けてもよい。このとき、第2立管ゴム輪抑え部材12Caと第1上部遮音カバー41Aとの間に止水部材Sを設けてもよい。
立管受口部材12と遮音カバー40との間に止水部材Sが設けられる場合、立管ブッシュ12Aの外面と第1上部遮音カバー41Aとの間に止水部材Sが設けられてもよい、このとき、図10に示すように、第1上部遮音カバー41Aは、立管ブッシュ12Aの外面に密着する形状を有してもよい。
【0046】
横管受口部材13と遮音カバー40との間に止水部材Sが設けられる場合、例えば、横管ゴム輪抑え部材13Cと第1上部遮音カバー41Aとの間に止水部材Sが設けられる。このとき、例えば、図11に示すように、第1上部遮音カバー41Aは、横管ゴム輪抑え部材13Cの外面に密着する形状を有する。図12に示すように、第1上部遮音カバー41Aの端部が横管ブッシュ13Aと横管ゴム輪抑え部材13Cとの間に位置するような形状としてもよい。
また、横管ブッシュ13Aの外面と第1上部遮音カバー41Aとの間に止水部材Sが設けられてもよい、このとき、図13に示すように、第1上部遮音カバー41Aは、横管ブッシュ13Aの外面に密着する形状を有してもよい。
【0047】
止水部材Sは、上部遮音カバー41と下部遮音カバー42との間に設けられていてもよい。ここで、上部遮音カバー41と下部遮音カバー42とは、例えば、図14に示すように、第2上部遮音カバー41Bの下端が、下部遮音カバー42の外面に密着する形状を有する。この場合、止水部材Sは、第2上部遮音カバー41Bの内面と、下部遮音カバー42の外面との間に設けられる。
上部遮音カバー41と下部遮音カバー42とは、図15に示すように、第2上部遮音カバー41Bの下端が、下部遮音カバー42の内面に密着する形状を有してもよい。このとき、下部遮音カバー42の上端に、受口が設けられてもよい。この場合、止水部材Sは、第2上部遮音カバー41Bの外面と、下部遮音カバー42の受口の内面との間に設けられてもよい。
なお、本実施形態において、継手100は、上述した止水部材Sのうちの少なくとも1つを備える。継手100は、上述した止水部材Sのうちの複数を兼ね備えていてもよい。
【0048】
また、上述の構成に加えて、図16に示すように、上部遮音カバー41が継手本体11又は立管受口部材12と密着する形状を有さない部位において、ゴム輪等からなる止水部材Sを設けてもよい。この場合、止水部材Sは、例えば、立管ブッシュ12Aと遮音カバー40との間、上開口部11Aと遮音カバー40との間、下開口部11Cと遮音カバー40との間の少なくともいずれかに設けられてもよい。
【0049】
遮音カバー40と継手本体11との間には、例えば、吸音材が配置される。吸音材としては、グラスウールやロックウールなどの無機繊維、フェルトなどの有機繊維、ウレタンなどの多孔質体などが挙げられ、耐火性を向上させるためにアルミニウム箔やガラス繊維などを積層した多層構造のもの用いることができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態に係る継手100によれば、継手本体11の外面と、遮音カバー40と、の間に止水部材Sが設けられている。これにより、継手100の外側にある水Wが、継手本体11と遮音カバー40との間に浸入することを防ぐことができる。また、仮に継手本体11と遮音カバー40との間に水Wが浸入したとしても、継手本体11と遮音カバー40との間から、継手100の外側に水Wが漏れ出すことを防ぐことができる。よって、スラブの貫通孔Hに継手100が配置された状態で、スラブの上方から下方に水Wが漏れることを防ぐことができる。
【0051】
また、立管受口部材12又は横管受口部材13と、遮音カバー40と、の間に止水部材Sが設けられている。これにより、立管受口部材12又は横管受口部材13と遮音カバー40との間を介して、遮音カバー40と継手本体11との間に水Wが浸入することを防ぐことができる。よって、スラブの貫通孔Hに継手100が配置された状態で、スラブの上方から下方に水Wが漏れることを防ぐことができる。
【0052】
また、止水部材Sは、立管ブッシュ12A又は横管ブッシュ13Aの外面と、遮音カバー40と、の間に設けられている。これにより、立管ブッシュ12A又は横管ブッシュ13Aと遮音カバー40との間を介して、遮音カバー40と継手本体11との間に水Wが浸入することを防ぐことができる。
【0053】
また、止水部材Sは、立管ゴム輪抑え部材12C又は横管ゴム輪抑え部材13Cと、遮音カバー40と、の間に設けられている。これにより、立管ゴム輪抑え部材12C又は横管ゴム輪抑え部材13Cと遮音カバー40との間を介して、遮音カバー40と継手本体11との間に水Wが浸入することを防ぐことができる。
【0054】
また、上部遮音カバー41と下部遮音カバー42との間に止水部材Sが設けられている。これにより、上部遮音カバー41と下部遮音カバー42との間を介して、遮音カバー40と継手本体11との間に水Wが浸入することを防ぐことができる。
【0055】
また、上部遮音カバー41は、少なくとも2つの部材で構成され、立管の軸方向に直交する方向、又は立管の軸方向に沿って分割面40Cを有する。これにより、分割面40Cにおいて2つの部材を組み合わせるようにすることで、上部遮音カバー41によって継手本体11を覆うことができる。よって、例えば、上部遮音カバー41が可撓性を有さない場合でも、継手本体11の周囲に容易に配置することができる。可撓性を有さない上部遮音カバー41を用いることで、止水部材Sによって遮音カバー40と継手本体11との間に水Wが浸入することを防ぐ効果を顕著に得ることができる。
【0056】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上部遮音カバー41は、立管ゴム輪抑え部材12C又は横管ゴム輪抑え部材13Cを兼ねてもよい。具体的には、立管ゴム輪抑え部材12C又は横管ゴム輪抑え部材13Cを設けず、上部遮音カバー41によって立管ゴム輪12B又は横管ゴム輪13Bの脱落を防ぐ役割を担ってもよい。
【0057】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
例えば、上記実施形態においては、継手本体11と下部接続管30とを接続する中間管20を備えていたが、中間管20を備えていなくてもよい。この場合、継手本体11と下部接続管30とは互いに直接接続される。具体的には、差口とされた継手本体11の下端が、下部接続管30の受口である上接続部32に挿入された構造、もしくは、受口とされた継手本体11の下端に、差口とされた下部接続管30の上端が挿入された構造とすることができる。
【符号の説明】
【0058】
11 継手本体
11A 上開口部
11B 横開口部
11C 下開口部
12 立管受口部材
12A 立管ブッシュ
12B 立管ゴム輪
12C 立管ゴム輪抑え部材
12Ca 第2立管ゴム輪抑え部材
13 横管受口部材
13A 横管ブッシュ
13B 横管ゴム輪
13C 横管ゴム輪抑え部材
30 下部接続管
40 遮音カバー
40C 分割面
41 上部遮音カバー
42 下部遮音カバー
100 継手
H 貫通孔
S 止水部材
W 水
Y 横管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16