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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149890
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】還元型無電解銀めっき液
(51)【国際特許分類】
   C23C 18/44 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
C23C18/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058686
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005980
【氏名又は名称】三菱製紙株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川真田 幸直
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆
【テーマコード(参考)】
4K022
【Fターム(参考)】
4K022AA02
4K022AA04
4K022AA13
4K022AA31
4K022AA41
4K022BA01
4K022CA06
4K022DA01
4K022DB01
4K022DB04
4K022DB05
(57)【要約】
【課題】シアン化合物を含まない還元型無電解銀めっき液において、十分な安定性を有すると同時に、優れた外観と高い導電性を有する銀めっき皮膜を形成することができる還元型無電解銀めっき液を提供すること。
【解決手段】銀塩、還元剤、ヨウ化物塩、および下記一般式(1)で表される化合物またはその塩を含有する還元型無電解銀めっき液。
【化1】
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀塩、還元剤、ヨウ化物塩、および下記一般式(1)で表される化合物またはその塩を含有する還元型無電解銀めっき液。
【化1】
(式中、Lは炭素数2から4のアルキレン基を表し、Zはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環の何れかの複素環を形成する連結基を表す。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は還元型無電解銀めっき液に関し、より詳しくは、十分な安定性を有すると同時に、光沢の優れた外観と高い導電性を有する銀めっき皮膜を得ることができる還元型無電解銀めっき液に関する。
【背景技術】
【0002】
銀が金属中で最も高い反射光沢を有するため、銀めっきは装飾品や美術工芸品に用いられる他、反射材料等の光学材料としても利用されている。また、銀が金属中では最も電導性が高いため、銀めっきは接点を始めとする電気部品や電磁波シールド材としても利用されている。
【0003】
銀めっきの方法としては、乾式めっきと湿式めっきの2種類の方法がある。乾式めっきは真空状態を実現できる高価な装置が必要であり、また比較的薄い膜厚のめっきしかできないため、その使用用途は限られている。一方、湿式めっきは乾式めっきに比べて安価で様々な膜厚の銀めっきを得ることが可能であるため産業上の利用価値が高い。
【0004】
湿式めっきは電解めっきと無電解めっきに大別される。電解めっきは比較的容易に安定的なめっき形成が可能であるが、下地素地に通電する必要があるため、下地素地の材質に制限があると同時に複雑な形状のめっきを行うことができず、また、場所によって膜厚にばらつきが生じやすいという問題がある。
【0005】
無電解銀めっきは置換型と還元型に別けられる。置換型無電解銀めっきは、めっき液としては安定であるが、素地金属との置換反応によって銀めっきを析出させるため、下地素地の材質や膜厚に制限がある。
【0006】
一方、還元型無電解銀めっきは、めっき液中に水溶性銀塩と共に還元剤を含有させ、該水溶性銀塩を金属銀に還元することによって下地に銀めっきを析出させるものであり、下地素地の材質の制限が少なく、めっき膜の膜厚のコントロールも容易で、良好な外観の銀めっき皮膜を形成することができる。
【0007】
しかし、還元型無電解銀めっき液は銀イオンとその還元剤を同時に含むために、両者が反応して液の濁りや沈殿の発生等の液の劣化が生じやすい。この液の劣化を制御するために通常、銀イオンの錯化剤を使用する。現在知られている還元型無電解銀めっき液の大部分は、この錯化剤としてシアン化合物を含んでいるが、シアン化合物は毒性が強いため、シアン化合物を含まない還元型無電解銀めっき液が求められている。しかしながら、シアン化合物を含まない還元型無電解銀めっき液はめっき液の劣化が生じやすく、該銀めっき液を安定化することが課題となっている。
【0008】
シアン化合物を含まない還元型無電解銀めっき液を安定化する取り組みとして、シアン化合物以外の錯化剤や安定化剤を含有する還元型無電解銀めっき液が検討されている。例えば、特開昭61-15986号公報(特許文献1)には、錯化剤としてアンモニアあるいはエチレンジアミンを、安定化剤としてヨードチロシンを含む還元型無電解銀めっき液が開示されており、特開平5-287542号公報には亜硫酸塩、チオ硫酸塩、もしくはチオサリチル酸を含有する還元型無電解銀めっき液が開示されており、特開2000-8174号公報には分子内に2個のモノスルフィド基を有する化合物を含有する還元型無電解銀めっき液が開示されており、特開2005-105386号公報(特許文献2)には、錯化剤としてアミン類を、安定剤としてメルカプト化合物やチオ尿素等の含硫黄化合物を含有する繊維用の無電解銀めっき液が開示されている。
【0009】
また、特開2012-82444号公報には、錯化剤としてコハク酸イミド、ヒダントイン誘導体等の化合物を、安定化剤としてチオ尿素類、メルカプト化合物、含硫黄複素環等の含硫黄化合物を含有する還元型無電解銀めっき液が記載されており、特開2010-189753号公報(特許文献3)には、銀めっき液の添加剤として複素環骨格を有するアミノ化合物またはチオール化合物を用いてもよい旨の記載がある。
【0010】
このように、シアン化合物を含まない還元型無電解銀めっき液の検討がなされてきており、めっき液の安定性は向上してきているものの、一方で外観や導電性のさらなる向上が求められている。即ち、上記のような錯化剤や安定化剤によって液の安定性を向上させようとすると、外観や導電性が低下し、その両立が大きな課題となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭61-15986号公報
【特許文献2】特開2005-105386号公報
【特許文献3】特開2010-189753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、シアン化合物を含まない還元型無電解銀めっき液において、十分な安定性を有すると同時に、光沢の優れた外観と高い導電性を有する銀めっき皮膜を得ることができる還元型無電解銀めっき液を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の上記目的は、下記に記載の発明により達成される。
銀塩、還元剤、ヨウ化物塩、および下記一般式(1)で表される化合物またはその塩を含有する還元型無電解銀めっき液。
【0014】
【化1】
【0015】
式中、Lは炭素数2から4のアルキレン基を表し、Zはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環の何れかの複素環を形成する連結基を表す。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、十分な安定性を有すると同時に、光沢の優れた外観と高い導電性を有する銀めっき皮膜を得ることができる還元型無電解銀めっき液を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の還元型無電解銀めっき液(以下単に銀めっき液とも称す)が含有する銀塩は、水溶性もしくは該銀めっき液が含有する他の成分の存在下で銀めっき液に溶解する銀塩であれば良い。このような銀塩としては、硝酸銀、酸化銀、硫酸銀、過塩素酸銀、塩化銀、炭酸銀、酢酸銀、乳酸銀、メタンスルホン酸銀、エタンスルホン酸銀、パラトルエンスルホン酸銀、スルファミン酸銀、シュウ酸銀、クエン酸銀等を挙げることができる。
【0018】
本発明の銀めっき液における銀塩の含有量としては、硝酸銀換算濃度として0.1~20g/Lとすることが好ましく、より好ましくは0.5~10g/Lである。銀塩の含有量を上記濃度の範囲とすることにより、銀めっきの析出速度を良好にし、またより安定性の高い銀めっき液とすることができる。
【0019】
本発明の銀めっき液が含有する還元剤としては、銀めっき液中の銀塩を金属銀に還元する能力を有するものであって水溶性の化合物であれば良い。例えばヒドラジン化合物、ホルムアルデヒド化合物、ヒドロキシルアミン類、還元糖類、ロッセル塩、水素化ホウ素化合物、次亜リン酸塩、ジメチルアミンボラン、アスコルビン酸や、ハイドロキノンに代表されるポリフェノール類や、アミノフェノール類等を挙げることができる。これらの還元剤の中でもヒドラジン化合物が、めっき速度が速く好ましい。ヒドラジン化合物としては、ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、炭酸ヒドラジン等を挙げることができる。
【0020】
還元剤の含有量としては、0.1~30g/Lとすることが好ましい。還元剤の含有量が0.1g/Lより少ない場合には、銀めっき液中の銀塩を金属銀に還元することができず十分な銀めっきを形成することができない場合がある。一方で、30g/Lよりも多すぎると、銀めっき液の安定性が低下する場合がある。
【0021】
本発明の銀めっき液は錯化剤として下記一般式(1)で表される化合物またはその塩を含有する。
【0022】
【化2】
【0023】
式中、Lは炭素数2から4のアルキレン基を表し、Zはピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環の何れかの複素環を形成する連結基を表す。これらの複素環は置換基としてアルキル基、ヒドロキシ基、およびヒドロキシアルキル基を有していてもよい。
【0024】
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示すが、発明はこれに限定されるものではない。
【0025】
【化3】
【0026】
前記一般式(1)で表される化合物の銀めっき液に対する含有量としては、10~200g/Lが好ましく、より好ましくは20~100g/Lである。一般式(1)で表される化合物の含有量が前記した範囲よりも多過ぎるとめっき速度が低下し生産性が低下する場合がある。また、少なすぎると当該化合物の効果が発現しにくくなり、銀めっき液の安定性が低下する場合がある。
【0027】
本発明の銀めっき液は、本発明の効果を損なわない範囲で、一般式(1)以外の錯化剤を含有してもよい。一般式(1)以外の錯化剤としては、アンモニア、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のポリアミン、エチレンジアミン4酢酸、ジエチレントリアミン5酢酸等のアミノカルボン酸、コハク酸イミド、シュウ酸イミド等の酸イミド、ヒダントイン化合物、ピロリドン化合物、モノエタノールアミン等のアミノアルコール、グリシン、アラニン等のアミノ酸、クエン酸、リンゴ酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。
【0028】
本発明の銀めっき液は安定化剤としてヨウ化物塩を含有する。ヨウ化物塩としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化マグネシウム等を挙げることができる。
【0029】
ヨウ化物塩の最適な含有量は共存する一般式(1)で表される化合物やその他の成分の種類や量によって異なる。一般式(1)で表される化合物の含有量をSg/L、ヨウ化物塩の含有量をYmg/Lとした時に、SとYの積の値が、25以上300以下の範囲であることが好ましい。SとYの積の値が大き過ぎると、めっき速度が極端に低下する場合があり、SとYの積の値が小さ過ぎると液の安定性が低下する場合がある。
【0030】
本発明の銀めっき液は、本発明の効果を損なわない範囲で、ヨウ化物塩以外の安定化剤を含有してもよい。ヨウ化物塩以外の安定化剤としては、チオ硫酸塩に代表される無機硫黄化合物、メチルチオ尿素に代表されるチオ尿素化合物、ベンゾトリアゾールに代表される含窒素複素環化合物、2,2′-チオジエタノールに代表されるスルフィド化合物、2-メルカプトベンゾチアゾールに代表されるメルカプト複素環化合物、チオグリコール酸、メルカプトエチルアミン、チオグリセリン等のその他のチオール化合物等を挙げることができる。
【0031】
本発明の銀めっき液の好ましいpHは、還元剤の種類や錯化剤の含有量によって異なるが、通常は、7~14の範囲であることが好ましく、より好ましくは9~12の範囲である。pHが高すぎると基材によってはアルカリで分解が生じる等の不具合が生じる場合がある。またpHが低すぎると銀めっき液の安定性が低下する場合がある。
【0032】
本発明の銀めっき液は、その他の成分として、界面活性剤、平滑剤、pH調整剤、緩衝剤、応力緩和剤等の公知の成分を含有してもよい。
【0033】
本発明の銀めっき液の使用方法としては、表面に触媒活性を有する被処理体を本発明の銀めっき液に浸漬することにより無電解銀めっき層を形成することができる。被処理体が銅やニッケルのような表面に触媒活性を有する場合には、脱脂処理等の前処理を行った後、銀めっき液に浸漬することにより無電解銀めっき層を形成することができる。
【0034】
表面に触媒活性を有しないセラミックス、プラスチックス等の被処理体の場合には、活性化処理を行うことによって表面に触媒活性を付与することができる。活性化処理には、キャタリスト-アクセラレーター法、センシタイズ-アクチベーター法等のパラジウム触媒を用いる方法や、被処理体を塩酸酸性塩化スズ(II)溶液に浸漬した後に、硝酸銀溶液に浸漬することで被処理体に触媒活性を付与する方法等を用いることができる。
【0035】
被処理体の種類によっては無電解銀めっき層と被処理体との接着が十分でない場合がある。そのような場合には、被処理体と無電解銀めっき層との間にめっき下地層を設けて接着性を向上させることができる。このようなめっき下地層としては、特開2004-203014号公報、特開2006-111857号公報、および特開2019-130697号公報等に記載されるウレタン系塗料組成物を塗布して得られるめっき下地層を挙げることができる。
【実施例0036】
以下、実施例を用いて本発明を説明するが、無論この記述により本発明が限定されるものではない。なお、以下の記述の中における単位として%は、特に記載がない限り質量基準である。
【0037】
ABS樹脂板の上に下記の塗料組成物をスプレー塗装した後に、80℃で1時間加熱乾燥して厚さ20μmのめっき下地層を形成した。めっき下地層に用いた塗料組成物は、アクリルポリオール樹脂(大橋化学工業株式会社製ミラーシャインアンダーコートクリアD-1)にポリイソシアネート化合物(大橋化学工業株式会社製ミラーシャインアンダーコート用硬化剤N)とシンナー(メチルエチルケトンとブチルセロソルブを質量比1:1の割合で混合)をそれぞれ質量比10:2:10の割合で混合し、この塗料組成物の全量に対して3-メルカプトプロピルトリメトキシシランを2質量%と、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランを2質量%添加して作製した。
【0038】
上記のめっき下地層を塗装したABS樹脂板に対して活性化処理を行った。即ち、下地塗装済みのABS樹脂板を25℃に保温した下記めっき活性化液(1)に20秒間浸漬した後に脱イオン水で洗浄し、続いて25℃に保温した下記めっき活性化液(2)に20秒間浸漬し脱イオン水で洗浄した。
【0039】
<めっき活性化液(1)>
35%塩酸10gおよび塩化すず(II)30gに脱イオン水を加えて1Lとした。
<めっき活性化液(2)>
硝酸銀10gに脱イオン水を加えて1Lとした。
【0040】
上記活性化処理を行ったABS樹脂板を、ガラスビーカーに25℃で保温した下記銀めっき液(1)~(20)に10分間浸漬し、銀めっきサンプルを得た。
【0041】
<銀めっき液(1)>
硝酸銀3.5g、硫酸ヒドラジン5g、ヨウ化カリウム10mg、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gに脱イオン水を加え1Lとした。pHは6mol/Lの硫酸により10に調整し、銀めっき液(1)を得た。なお、銀めっき液(1)のSとYの積の値は200である。
【0042】
<銀めっき液(2)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を10mg、1-(2-アミノエチル)ピペラジンの量を30gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(2)を得た。なお、銀めっき液(2)のSとYの積の値は300である。
【0043】
<銀めっき液(3)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mg、1-(2-アミノエチル)ピペラジンの量を50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(3)を得た。なお、銀めっき液(3)のSとYの積の値は50である。
【0044】
<銀めっき液(4)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mg、1-(2-アミノエチル)ピペラジンの量を100gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(4)を得た。なお、銀めっき液(4)のSとYの積の値は100である。
【0045】
<銀めっき液(5)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を0.5mg、1-(2-アミノエチル)ピペラジンの量を50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(5)を得た。なお、銀めっき液(5)のSとYの積の値は25である。
【0046】
<銀めっき液(6)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジンを加えなかった以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(6)を得た。なお、銀めっき液(6)のSとYの積の値は0である。
【0047】
<銀めっき液(7)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムを加えず、1-(2-アミノエチル)ピペラジンの量を50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(7)を得た。なお、銀めっき液(7)のSとYの積の値は0である。
【0048】
<銀めっき液(8)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを1-(2-アミノエチル)ピロリジン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(8)を得た。なお、銀めっき液(8)のSとYの積の値は50である。
【0049】
<銀めっき液(9)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを1-(2-アミノ-2-メチルエチル)ピロリジン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(9)を得た。なお、銀めっき液(9)のSとYの積の値は50である。
【0050】
<銀めっき液(10)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを1-(2-アミノエチル)ピペリジン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(10)を得た。なお、銀めっき液(10)のSとYの積の値は50である。
【0051】
<銀めっき液(11)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを1-(4-アミノブチル)ピペリジン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(11)を得た。なお、銀めっき液(11)のSとYの積の値は50である。
【0052】
<銀めっき液(12)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを1-(2-アミノエチル)-3-ヒドロキシメチルピペリジン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(12)を得た。なお、銀めっき液(12)のSとYの積の値は50である。
【0053】
<銀めっき液(13)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを1-(2-アミノエチル)-4-メチルピペラジン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(13)を得た。なお、銀めっき液(13)のSとYの積の値は50である。
【0054】
<銀めっき液(14)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを4-(2-アミノエチル)モルホリン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(14)を得た。なお、銀めっき液(14)のSとYの積の値は50である。
【0055】
<銀めっき液(15)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを1-アミノピペラジン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(15)を得た。なお、銀めっき液(15)のSとYの積の値は0である。
【0056】
<銀めっき液(16)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを4-(2-アミノエチル)ピペリジン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(16)を得た。なお、銀めっき液(16)のSとYの積の値は0である。
【0057】
<銀めっき液(17)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを3-アミノピリジン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(17)を得た。なお、銀めっき液(17)のSとYの積の値は0である。
【0058】
<銀めっき液(18)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gをエチレンジアミン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(18)を得た。なお、銀めっき液(18)のSとYの積の値は0である。
【0059】
<銀めっき液(19)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gをN,N-ジエチルエチレンジアミン50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(19)を得た。なお、銀めっき液(19)のSとYの積の値は0である。
【0060】
<銀めっき液(20)>
銀めっき液(1)のヨウ化カリウムの量を1mgとし、1-(2-アミノエチル)ピペラジン20gを2,2′-チオジエタノール50gに変更した以外は銀めっき液(1)と同様にして、銀めっき液(20)を得た。なお、銀めっき液(20)のSとYの積の値は0である。
【0061】
使用後の銀めっき液(1)~(20)について、室温で24時間放置し液の濁りや沈殿の発生、ガラスビーカーへの銀の付着を観察し、下記の基準により銀めっき液の安定性を評価した。
○(良) ;液の濁りがなく容器への銀の付着も見られない。
△(可) ;わずかに液の濁りが見られるが、容器への銀の付着は発生していない。
×(不可);明らかな液の濁りが見られるかあるいは容器への銀の付着が見られる。
【0062】
また、得られた銀めっきサンプルについて、外観および導電性について評価した。外観については下記の基準により評価した。
○(良) ;表面が均一で光沢のある白色の銀めっきが得られた。
△(可) ;表面が均一で光沢はあるが、やや着色した銀めっきが得られた。
×(不可);表面が均一でない、光沢がない、もしくは明らかに着色している、の何れかである銀めっきが得られた。
【0063】
導電性につては下記の評価基準により評価した。
○(良) ;表面抵抗率が0.1Ω未満
△(可) ;表面抵抗率が0.1Ω以上0.2未満
×(不可);表面抵抗率が0.2Ω以上
【0064】
以上の結果を表1に示す。
【0065】
【表1】
【0066】
表1の結果から明らかなように、本発明により、シアン化合物を含まない還元型無電解銀めっき液において、十分な安定性を有すると同時に、光沢性の優れた外観と高い導電性を有する銀めっき皮膜を形成できる還元型無電解銀めっき液を提供することができる。