(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149896
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】保健事業支援サーバ及び保健事業支援方法
(51)【国際特許分類】
G16H 50/70 20180101AFI20231005BHJP
【FI】
G16H50/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058693
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大崎 高伸
(72)【発明者】
【氏名】岩田 淳也
(72)【発明者】
【氏名】伴 秀行
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 泰隆
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA21
(57)【要約】
【課題】健診データが欠測している個人を含むグループに対して、ポピュレーションアプローチ施策に関する分析を実行するための適切なデータを生成する。
【解決手段】保健事業支援サーバは、グループに属する個人の属性を示す個人属性情報と、個人の健診結果を示す健診情報と、を保持し、グループに属する個人のうち健診情報に含まれない健診無し群の個人それぞれを、個人属性情報が示す属性に基づいて、グループに属する個人のうち健診情報に含まれる健診あり群の個人とマッチングし、マッチングが成功した健診無し群の個人それぞれの健診結果として、当該マッチングが成功した健診あり群の個人の健診結果を代入する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
保健事業支援サーバであって、
プロセッサとメモリとを含み、
前記メモリは、
グループに属する個人の属性を示す個人属性情報と、
個人の健診結果を示す健診情報と、を保持し、
前記プロセッサは、
前記グループに属する個人のうち前記健診情報に含まれない健診無し群の個人それぞれを、前記個人属性情報が示す属性に基づいて、前記グループに属する個人のうち前記健診情報に含まれる健診あり群の個人とマッチングし、
マッチングが成功した健診無し群の個人それぞれの健診結果として、当該マッチングが成功した健診あり群の個人の前記健診情報が示す健診結果を代入する代入処理を実行する、保健事業支援サーバ。
【請求項2】
請求項1に記載の保健事業支援サーバであって、
前記メモリは、
個人が受けた医療の結果を示す医療情報を保持し、
前記プロセッサは、
前記健診無し群の個人のうち、前記医療情報に含まれない個人からなる健診無し・医療無し群と、前記医療情報に含まれる個人からなる健診無し・医療あり群と、を特定し、
前記健診あり群の個人のうち、前記医療情報に含まれない個人からなる健診あり・医療無し群と、前記医療情報に含まれる個人からなる健診あり・医療あり群と、を特定し、
前記健診無し・医療無し群の個人それぞれを、前記個人属性情報が示す属性に基づいて、前記健診あり群・医療無し群の個人とマッチングし、
前記健診無し・医療あり群の個人それぞれを、前記個人属性情報が示す属性及び前記医療情報が示す医療の結果に基づいて、前記健診あり群・医療あり群の個人とマッチングし、
前記代入処理として、
マッチングが成功した健診無し・医療無し群の個人それぞれの健診結果として、当該マッチングが成功した健診あり・医療無し群の個人の前記健診情報が示す健診結果を代入する第1代入処理と、
マッチングが成功した健診無し・医療あり群の個人それぞれの健診結果として、当該マッチングが成功した健診あり・医療あり群の個人の前記健診情報が示す健診結果を第2代入処理と、を実行する、保健事業支援サーバ。
【請求項3】
請求項1に記載の保健事業支援サーバであって、
前記メモリは、
複数のポピュレーションアプローチと、前記複数のポピュレーションアプローチそれぞれの実施状況を評価するための実施指標と、前記複数のポピュレーションアプローチそれぞれの効果を評価するための効果指標と、を示すポピュレーションアプローチ情報を保持し、
前記実施指標及び前記効果指標は、前記属性及び前記健診結果の少なくとも一部の情報によって定義され、
前記プロセッサは、
前記個人属性情報が示す属性、前記健診情報が示す健診結果、及び前記代入処理において代入された健診結果の少なくとも一部の情報に基づいて、前記複数のポピュレーションアプローチそれぞれについて、前記グループの前記実施指標及び前記効果指標を算出し、
前記算出した実施指標が所定の第1条件に基づいて低い、かつ前記算出した効果指標が所定の第2条件に基づいて低い、と判定したポピュレーションアプローチを推奨ポピュレーションアプローチとして選択し、
前記推奨ポピュレーションアプローチを示す情報を出力するためのデータを生成する、保健事業支援サーバ。
【請求項4】
請求項3に記載の保健事業支援サーバであって、
前記算出した実施指標が所定の第1条件に基づいて高い、かつ前記算出した効果指標が所定の第2条件に基づいて低い、と判定したポピュレーションアプローチを推奨しないことを示す情報を出力するためのデータを生成し、
前記算出した実施指標が所定の第1条件に基づいて低い、かつ前記算出した効果指標が所定の第2条件に基づいて高い、と判定したポピュレーションアプローチを推奨しないことを示す情報を出力するためのデータを生成し、
前記算出した実施指標が所定の第1条件に基づいて高い、かつ前記算出した効果指標が所定の第2条件に基づいて高い、と判定したポピュレーションアプローチを他のグループへ紹介することを推奨することを示す情報を出力するためのデータを生成する、保健事業支援サーバ。
【請求項5】
請求項3に記載の保健事業支援サーバであって、
前記ポピュレーションアプローチ情報は、前記複数のポピュレーションアプローチそれぞれについて前記実施指標と前記効果指標との関係を示す予測モデルを示し、
前記プロセッサは、
前記個人属性情報が示す属性、前記健診情報が示す健診結果、及び前記代入処理において代入された健診結果の少なくとも一部の情報に基づいて、前記複数のポピュレーションアプローチのうち前記予測モデルにおいて前記実施指標が高くなるほどに前記効果指標が高くなるポピュレーションアプローチそれぞれについて、前記グループの前記実施指標及び前記効果指標を算出し、
当該ポピュレーションアプローチのうち、前記算出した実施指標が前記第1条件に基づいて低い、かつ前記算出した効果指標が前記第2条件に基づいて低い、と判定したポピュレーションアプローチであって、前記予測モデルが示す前記実施指標と効果指標との相関係数が所定の第3条件に基づいて高いポピュレーションアプローチ、を前記推奨ポピュレーションアプローチとして選択する、保健事業支援サーバ。
【請求項6】
請求項5に記載の保健事業支援サーバであって、
前記プロセッサは、
前記推奨ポピュレーションアプローチの推計値を算出するための値の入力を受け付け、
前記入力を受け付けた値と、前記属性及び前記健診結果の少なくとも一部の情報と、に基づいて、前記推奨ポピュレーションアプローチの実施指標の推計値を算出し、
前記実施指標の推計値と、前記予測モデルと、に基づいて、前記推奨ポピュレーションアプローチの効果指標の推計値を算出し、
前記算出した効果指標と、前記算出した効果指標の推計値と、を出力するためのデータを生成する、保健事業支援サーバ。
【請求項7】
請求項3に記載の保健事業支援サーバであって、
前記個人属性情報は、第1期間及び第2期間におけるグループに属する個人の属性を示し、
前記健診情報は、第1期間及び第2期間における個人の健診結果を示し、
前記プロセッサは、
前記第1期間における前記個人属性情報及び前記健診結果に基づいて前記マッチング及び前記代入処理を実行し、
前記推奨ポピュレーションアプローチの選択に用いられる実施指標及び効果指標を、前記第1期間における、前記個人属性情報が示す属性、前記健診情報が示す健診結果、及び前記第1期間における前記代入処理において代入された健診結果の少なくとも一部の情報に基づいて、算出し、
前記第2期間において前記グループに属する個人のうち前記第2期間における前記健診情報に含まれない健診無し群の個人それぞれを、前記第2期間における個人属性情報が示す属性に基づいて、前記第2期間において前記グループに属する個人のうち前記第2期間における健診情報に含まれる健診あり群の個人とマッチングし、
当該マッチングが成功した健診無し群の個人それぞれの健診結果として、当該マッチングが成功した健診あり群の個人の前記健診情報が示す健診結果を代入する、前記第2期間における代入処理を実行し、
前記第2期間における、前記個人属性情報が示す属性、前記健診情報が示す健診結果、及び前記代入処理において代入された健診結果の少なくとも一部の情報に基づいて、前記グループの前記第2期間における前記推奨ポピュレーションアプローチの前記実施指標及び前記効果指標を算出し、
前記第1期間における前記推奨ポピュレーションアプローチの実施指標及び効果指標、並びに前記第2期間における前記推奨ポピュレーションアプローチの実施指標及び効果指標を出力するためのデータを生成する、保健事業支援サーバ。
【請求項8】
請求項1に記載の保健事業支援サーバであって、
前記メモリは、
複数のポピュレーションアプローチと、前記複数のポピュレーションアプローチそれぞれの実施状況を評価するための実施指標と、前記複数のポピュレーションアプローチそれぞれの効果を評価するための効果指標と、を示すポピュレーションアプローチ情報を保持し、
前記実施指標及び前記効果指標は、前記属性及び前記健診結果の少なくとも一部の情報によって定義され、
前記プロセッサは、
前記個人属性情報が示す属性、前記健診情報が示す健診結果、及び前記代入処理において代入された健診結果の少なくとも一部の情報に基づいて、前記複数のポピュレーションアプローチそれぞれについて、前記グループの前記実施指標及び前記効果指標を算出し、
前記複数のポピュレーションアプローチそれぞれについて、
前記算出した実施指標が所定の第1条件に基づいて低い、かつ前記算出した効果指標が所定の第2条件に基づいて低い領域である、第1領域と、
前記算出した実施指標が所定の第1条件に基づいて高い、かつ前記算出した効果指標が所定の第2条件に基づいて低い領域である、第2領域と、
前記算出した実施指標が所定の第1条件に基づいて低い、かつ前記算出した効果指標が所定の第2条件に基づいて高い領域である、第3領域と、
前記算出した実施指標が所定の第1条件に基づいて高い、かつ前記算出した効果指標が所定の第2条件に基づいて高い領域、第4領域と、
前記算出した前記実施指標及び前記効果指標が、前記第1領域、前記第2領域、前記第3領域、及び前記第4領域のうち、どの象限に属しているかを示す情報と、を出力するためのデータを生成する、保健事業支援サーバ。
【請求項9】
請求項1に記載の保健事業支援サーバであって、
前記プロセッサは、前記健診なし群の前記代入処理が実行された後の健診結果、及び前記健診なし群の健診結果を示す情報を出力するためのデータを生成する、保健事業支援サーバ。
【請求項10】
保健事業支援サーバによる保健事業支援方法であって、
前記保健事業支援サーバは、プロセッサとメモリとを含み、
前記メモリは、
グループに属する個人の属性を示す個人属性情報と、
個人の健診結果を示す健診情報と、を保持し、
前記保健事業支援方法
前記プロセッサが、前記グループに属する個人のうち前記健診情報に含まれない健診無し群の個人それぞれを、前記個人属性情報が示す属性に基づいて、前記グループに属する個人のうち前記健診情報に含まれる健診あり群の個人とマッチングし、
前記プロセッサが、マッチングが成功した健診無し群の個人それぞれの健診結果として、当該マッチングが成功した健診あり群の個人の前記健診情報が示す健診結果を代入する代入処理を実行する、保健事業支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保健事業支援サーバ及び保健事業支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自治体を始めとする保険者は、高齢化に伴う医療費及び介護費の高騰に対して、被保険者の健康を維持し、医療費及び介護費の適正化を図るために、保健事業など施策を実施している。
【0003】
また、都道府県のような上位階層の自治体は、市町村のような下位階層の自治体間の保険料の均一化を進めるため、下位階層の自治体間の保険料の差を縮小したいなどの、医療費適正化のニーズを有する。このような中、上位階層の自治体及び下位階層の自治体などの保険者は、レセプト、介護データ、及び健診データなどを分析して、保健事業のPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルなどの施策を実施している。
【0004】
本発明の背景技術として、特開2014-182472号公報(特許文献1)がある。特許文献1には、「健康管理支援サーバ20の制御部21は、レセプトデータの登録処理、健診結果データの登録処理を実行する。そして、制御部21は、統計指標の算出処理を実行する。更に、制御部21は、レセプトの評価処理、健診結果の評価処理、レセプトと健診結果の突合による評価処理を実行する。更に、医療機関における受診状況や健診受診状況を出力するモニタリング処理を実行する。レセプトデータ、健診結果データを用いて、将来の医療費を予測し、それに対応した保健指導を決定する将来予測処理を実行する。更に、保健指導の効果を確認する保健指導支援処理を実行する。」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は、健診やレセプトなどのデータに基づいて将来の疾病等のリスクが高い個人を特定し、特定した個人に対するハイリスクアプローチ施策による保健事業施策を実施する。しかし、健診や医療の受けていない個人については健診やレセプト等のデータがなく、将来の疾病などのリスクも予測されず、ハイリスクアプローチ施策による保健事業施策の対象にもならない。
【0007】
そこで、ハイリスク者のみを対象としたハイリスクアプローチ施策だけでなく、対象をハイリスク者だけに限定せずに個人のグループ単位(例えば地域単位)で施策を提供するポピュレーションアプローチも重要である。
【0008】
しかし、ポピュレーションアプローチ施策の対象者を特定するためのデータなどが存在しないことが多い。特に、ポピュレーションアプローチ施策は、健診を受けていないなどの健診データの無い個人も対象者となるが、従来では健診データの無い個人はポピュレーションアプローチ施策を選定するための分析対象とはなっておらず、健診データの無い個人を多く含むグループに対する適切なポピュレーションアプローチ施策を選択することは困難であった。
【0009】
また、健診データの無い個人を多く含むグループに対して、ポピュレーションアプローチ施策を実施した場合の効果や、ポピュレーションアプローチ施策の実施後の効果も評価が困難であるなど、ポピュレーションアプローチ施策を含む保健事業に対する、PDCAサイクルの実現が困難であった。
【0010】
そこで、本発明の一態様は、健診データが欠測している個人を含むグループに対して、ポピュレーションアプローチ施策に関する分析を実行するための適切なデータを生成する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために本発明の一態様は、以下の構成を採用する。保健事業支援サーバは、プロセッサとメモリとを含み、前記メモリは、グループに属する個人の属性を示す個人属性情報と、個人の健診結果を示す健診情報と、を保持し、前記プロセッサは、前記グループに属する個人のうち前記健診情報に含まれない健診無し群の個人それぞれを、前記個人属性情報が示す属性に基づいて、前記グループに属する個人のうち前記健診情報に含まれる健診あり群の個人とマッチングし、マッチングが成功した健診無し群の個人それぞれの健診結果として、当該マッチングが成功した健診あり群の個人の前記健診情報が示す健診結果を代入する代入処理を実行する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、健診データが欠測している個人を含むグループに対して、ポピュレーションアプローチ施策に関する分析を実行するための適切なデータを生成することができる。
【0013】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施例1における保健事業支援システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】実施例1におけるサーバ、データベース、及び端末それぞれを構成する計算機の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施例1における個人属性情報のデータ構成例を示す図である。
【
図4】実施例1における地域属性情報のデータ構成例を示す図である。
【
図5】実施例1における健診情報のデータ構成例を示す図である。
【
図6】実施例1におけるレセプト情報のデータ構成例を示す図である。
【
図7】実施例1におけるハイリスクアプローチ情報のデータ構成例を示す図である。
【
図8】実施例1におけるポピュレーションアプローチ情報のデータ構成例を示す図である。
【
図9】実施例1におけるポピュレーションアプローチ効果モデル情報のデータ構成例を示す図である。
【
図10】実施例1におけるポピュレーションアプローチマスタ情報のデータ構成例を示す図である。
【
図11】実施例1におけるポピュレーションアプローチ効果試算処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】実施例1におけるマッチング処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】実施例1におけるポピュレーションアプローチ選択処理及びポピュレーションアプローチ効果適用処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】実施例1におけるポピュレーションアプローチ効果評価処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】実施例1におけるポピュレーションアプローチ選定画面の一例を示す図である。
【
図16】実施例1におけるポピュレーションアプローチ効果試算結果表示画面の一例を示す図である。
【
図17】実施例1におけるポピュレーションアプローチ効果評価画面の一例を示す図である。
【
図18】実施例1における欠測値代入画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施形態において、同一の構成には原則として同一の符号を付け、繰り返しの説明は省略する。なお、本実施形態は本発明を実現するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。
【実施例0016】
図1は、保健事業支援システムの構成例を示すブロック図である。保健事業支援システムは、例えば、サーバ100、データベース200、及び端末300を含む。サーバ100は、例えば、インターネット等のネットワークを介してデータベース200及び端末300に接続されている。なお、サーバ100、データベース200、及び端末300の少なくとも一部が一体化されていてもよい。
【0017】
サーバ100は、例えば、いずれも機能部である、データ分類部111、欠測値代入部112、ポピュレーションアプローチ選択部113、ポピュレーションアプローチ効果算出部114、及び可視化部115を含む。
【0018】
データ分類部111は、後述する個人属性情報121が示す個人の全体を、健診の有無及び医療の有無に従って分類する。欠測値代入部112は、健診の欠測値に値を代入する。ポピュレーションアプローチ選択部113は、各地域に推奨するポピュレーションアプローチ施策を選択する。ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、実施されたポピュレーションアプローチ施策の効果を算出する。可視化部115は、サーバ100の各機能部が実行した処理を可視化する画面を生成するためのデータを生成する。
【0019】
データベース200は、例えば、個人属性情報121、地域属性情報122、健診情報123、レセプト情報124、ハイリスクアプローチ情報125、ポピュレーションアプローチ情報126、ポピュレーションアプローチ効果モデル情報127、及びポピュレーションアプローチマスタ情報128を保持する。なお、データベース200が保持する情報の一部又は全部をサーバ100が保持していてもよい。なお、データベース200は、ハイリスクアプローチ情報125を保持しなくてもよい。
【0020】
個人属性情報121は、個人の属性を示す情報を保持する。地域属性情報122は、個人が居住する地域の属性を示す。健診情報123は、個人が受診した健診結果を示する。レセプト情報124は個人が受けた医療のレセプトを示す。
【0021】
ハイリスクアプローチ情報125は、地域に対して実施されたハイリスクアプローチを示す。ポピュレーションアプローチ情報126は、地域に対して実施されたポピュレーションアプローチを示す。ポピュレーションアプローチ効果モデル情報127は、ポピュレーションアプローチ施策の効果を予測するための効果モデルを示す。ポピュレーションアプローチマスタ情報128は、ポピュレーションアプローチ施策のマスタデータである。
【0022】
端末300は、例えば、いずれも機能部である表示部311及び入力部312を含む。表示部311は、端末300の後述する出力装置105に情報を表示する。入力部312は、端末300の後述する入力装置104への入力を受け付ける。
【0023】
図2は、サーバ100、及びデータベース200、及び端末300それぞれを構成する計算機の構成例を示すブロック図である。計算機400は、例えば、CPU(Central Processing Unit)101、メモリ102、補助記憶装置103、入力装置104、出力装置105、及び通信装置106を有する計算機によって構成される。
【0024】
CPU101は、プロセッサを含み、メモリ102に格納されたプログラムを実行する。メモリ102は、不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)及び揮発性の記憶素子であるRAM(Random Access Memory)を含む。ROMは、不変のプログラム(例えば、BIOS(Basic Input/Output System))などを格納する。RAMは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のような高速かつ揮発性の記憶素子であり、CPU101が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを一時的に格納する。
【0025】
補助記憶装置103は、例えば、磁気記憶装置(HDD(Hard Disk Drive))、フラッシュメモリ(SSD(Solid State Drive))等の大容量かつ不揮発性の記憶装置であり、CPU101が実行するプログラム及びプログラムの実行時に使用されるデータを格納する。すなわち、プログラムは、補助記憶装置103から読み出されて、メモリ102にロードされて、CPU101によって実行される。
【0026】
入力装置104は、キーボードやマウスなどの、オペレータからの入力を受ける装置である。出力装置105は、ディスプレイ装置やプリンタなどの、プログラムの実行結果をオペレータが視認可能な形式で出力する装置である。
【0027】
通信装置106は、所定のプロトコルに従って、他の装置との通信を制御するネットワークインターフェース装置である。また、通信装置106は、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のシリアルインターフェースを含む。
【0028】
CPU101が実行するプログラムの一部またはすべては、非一時的記憶媒体であるリムーバブルメディア(CD-ROM、フラッシュメモリなど)又は、非一時的記憶装置を備える外部計算機からネットワークを介して計算機400に提供され、非一時的記憶媒体である不揮発性の補助記憶装置103に格納されてもよい。このため、計算機400は、リムーバブルメディアからデータを読み込むインターフェースを有するとよい。
【0029】
サーバ100、データベース200、及び端末300それぞれは、物理的に一つの計算機上で、又は、論理的又は物理的に構成された複数の計算機上で構成される計算機システムであり、同一の計算機上で別個のスレッドで動作してもよく、複数の物理的計算機資源上に構築された仮想計算機上で動作してもよい。
【0030】
図1に示されている各機能部は、当該機能部を備える装置を構成する計算機400のCPU101に含まれる。例えば、サーバ100を構成する計算機400に含まれるCPU101は、当該計算機400に含まれるメモリ102にロードされたデータ分類プログラムに従って動作することで、データ分類部111として機能し、当該メモリ102にロードされた欠測値代入プログラムに従って動作することで、欠測値代入部112として機能する。
【0031】
なお、保健事業支援システムに含まれる各装置を構成する計算機400のCPU101に含まれる機能部による機能の一部又は全部が、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0032】
図1に示されている各装置が有する情報は、当該装置を構成する計算機400の補助記憶装置103に格納されている。なお、保健事業支援システムに含まれる各装置を構成する計算機400の補助記憶装置103に格納されている一部又は全部の情報は、当該計算機400のメモリ102に格納されていてもよいし、当該装置に接続され保健事業支援システムの外部のデータベースに格納されていてもよい。
【0033】
なお、本実施形態において、保健事業支援システムが使用する情報は、データ構造に依存せずどのようなデータ構造で表現されていてもよい。本実施形態ではテーブル形式で情報が表現されているが、例えば、リスト、データベース又はキューから適切に選択したデータ構造体が、情報を格納することができる。
【0034】
図3は、個人属性情報121のデータ構成例を示す図である。個人属性情報121は、例えば、個人ID欄1211、年度欄1212、地域欄1213、性別欄1214、及び生年月日欄1215を含む。個人ID欄1211は、個人を識別する個人IDを保持する。年度欄1212は、年度を示す情報を保持する。個人属性情報121の各レコードが示す属性情報は当該レコードの年度欄1212が示す年度の属性情報である。
【0035】
地域欄1213、性別欄1214、及び生年月日欄1215は、それぞれ、当該個人の居住地域、性別、及び生年月日を示す情報を保持する。地域欄1213、性別欄1214、及び生年月日欄1215が示す情報は、いずれも個人の属性情報の例である。個人属性情報121は、個人の属性情報として、例えば、個人が従事する職種、就労の有無、及び個人の家族構成等の情報を含んでもよい。なお、個人の属性情報は年度によって変化する情報(例えば居住地域等)を含んでもよいため、個人属性情報121は、同一の個人IDについて複数年度それぞれのレコードを保持してもよい。
【0036】
図4は、地域属性情報122のデータ構成例を示す図である。地域属性情報122は、例えば、地域ID欄1221、年度欄1222、名称欄1223、及び人口欄1224を含む。地域ID欄1221は、地域を識別する地域IDを保持する。年度欄1212は、年度を示す情報を保持する。地域属性情報122の各レコードが示す属性情報は当該レコードの年度欄1222が示す年度の属性情報である。
【0037】
名称欄1223は、当該地域の名称を示す情報を保持する。人口欄1224は、当該地域の人口を示す情報を保持する。人口欄1224が示す情報は、地域の属性情報の例である。地域属性情報122は、地域の属性情報として、例えば、地域の緯度及び経度等を含んでもよい。地域属性情報122は、その他の地域の属性情報として、例えば、人口を正規化した人口密度又は可住面積当たりの人口密度、財政力指数及び所得などの経済力に関する指標、老年人口比率、高齢化率、及び生産年齢人口比率などの年齢構成に関する指標、一次産業、二次産業、及び三次産業の就業人口比率などの産業構造に関する指標、人口又は面積当たりの医療機関数又は病床数、並びに介護施設数又はその定員、医師数など医療及び介護資源に関する指標などを含んでもよい。なお、地域の属性情報は年度によって変化する情報(例えば人口等)を含んでもよいため、地域属性情報122は、同一の地域IDについて複数年度それぞれのレコードを保持してもよい。
【0038】
図5は、健診情報123のデータ構成例を示す図である。健診情報123は、例えば、健診ID欄1231、個人ID欄1232、受診日欄1233、受診時年齢欄1234、腹囲欄1235、拡張期血圧欄1236、収縮期血圧欄1237、血糖値欄1238、及び中性脂肪欄1239を含む。健診ID欄1231は、健診を識別するIDを保持する。個人ID欄1232は、健診を受診した個人の個人IDを保持する。
【0039】
受診日欄1233は当該健診の受診日を示す情報を保持する。受診時年齢欄1234、腹囲欄1235、拡張期血圧欄1236、収縮期血圧欄1237、血糖値欄1238、及び中性脂肪欄1239は、それぞれ、当該健診における、受診時年齢、並びに腹囲、拡張期血圧、収縮期血圧、血糖値、及び中性脂肪の検査値を示す。
【0040】
なお、受診時年齢欄1234、腹囲欄1235、拡張期血圧欄1236、収縮期血圧欄1237、血糖値欄1238、及び中性脂肪欄1239が示す情報は、それぞれ、いずれも健診の検査値を示す情報の例である。なお、個人が複数回の健診を受診することがあるため、健診情報123は、同一の個人IDについて複数回の健診それぞれのレコードを保持してもよい。
【0041】
図6は、レセプト情報124のデータ構成例を示す図である。レセプト情報124は、例えば、レセプトID欄1241、地域ID欄1242、個人ID欄1243、診療年月欄1244、医療機関番号欄1245、傷病名欄1246、診療行為欄1247、医薬品欄1248、及び請求点数欄1249を含む。レセプトID欄1241は、レセプトを識別するIDを保持する。地域ID欄1242は、当該レセプトを発行した医療機関が位置する地域の地域ID又は当該レセプトの対象の個人が居住する地域の地域IDを保持する。
【0042】
個人ID欄1243は、当該レセプトの対象の個人の個人IDを保持する。診療年月欄1244は、当該レセプトに対応する診療が行われた年月を示す情報を保持する。医療機関番号欄1245は、当該レセプトを発行した医療機関(例えば、病院、調剤薬局、又は保健機関等)を識別する医療機関番号を保持する。
【0043】
傷病名欄1246、診療行為欄1247、医薬品欄1248、及び請求点数欄1249は、それぞれ、当該レセプトに対応する、傷病名、診療行為、医薬品、及び請求点数を示す情報を保持する。診療年月欄1244、医療機関番号欄1245、傷病名欄1246、診療行為欄1247、医薬品欄1248、及び請求点数欄1249それぞれが示す情報は、いずれもレセプトが示す情報の例である。なお、個人が複数のレセプトを受領することがあるため、レセプト情報124は、同一の個人IDについて複数のレセプトそれぞれのレコードを保持してもよい。
【0044】
なお、傷病名、診療行為、及び医薬品はいずれも医療データの一例である。なお、レセプト情報124が含む医療データは上記した項目に限られず、レセプトの区分や診療行為等から判断される入院有無及び手術有無等の他の項目を上記した項目に代えて又は加えて含んでもよい。
【0045】
図7は、ハイリスクアプローチ情報125のデータ構成例を示す図である。ハイリスクアプローチ情報125は、例えば、地域ID欄1251、施策ID欄1252、施策名欄1253、対象者ID欄1254、開始日欄1255、及び目標達成フラグ欄1256を含む。地域ID欄1251は、実施されたハイリスクアプローチ施策の対象者が居住する地域の地域IDを保持する。施策ID欄1252は、当該ハイリスクアプローチ施策を識別する施策IDを保持する。
【0046】
施策名欄1253は、当該ハイリスクアプローチ施策の名称を示す情報を保持する。対象者ID欄1254は、当該ハイリスクアプローチ施策の対象者を識別する対象者ID(例えば個人IDと紐づけられている)を保持する。開始日欄1255は、当該ハイリスクアプローチ施策の開始日を示す情報を保持する。目標達成フラグ欄1256は、当該ハイリスクアプローチ施策を実施された対象者が、当該ハイリスクアプローチ施策の目標を達成したかを示す目標達成フラグ(「1」であれば目標達成、「0」であれば目標未達)を保持する。
【0047】
なお、同一の個人に対して複数回のハイリスクアプローチ施策が実施されることがあるため、ハイリスクアプローチ情報125は、同一の対象者IDについて複数回のハイリスクアプローチ施策それぞれのレコードを保持してもよい。
【0048】
図8は、ポピュレーションアプローチ情報126のデータ構成例を示す図である。ポピュレーションアプローチ情報126は、例えば、地域ID欄1261、施策ID欄1262、施策名欄1263、年度欄1264、想定対象者数欄1265、及び参加人数欄1266を含む。地域ID欄1261は、ポピュレーションアプローチ施策が実施された地域の地域IDを保持する。施策ID欄1262は、当該ポピュレーションアプローチ施策を識別する施策IDを保持する。施策名欄1263は、当該ポピュレーションアプローチ施策の名称を示す情報を保持する。
【0049】
年度欄1264は、当該ポピュレーションアプローチ施策が実施された年度を示す情報を保持する。想定対象者数欄1265は、当該ポピュレーションアプローチ施策の想定された対象者数を示す情報を保持する。参加人数欄1266は、当該ポピュレーションアプローチ施策に実際に参加した人数を示す情報を保持する。
【0050】
なお、同一の地域に対して複数回及び複数年度のポピュレーションアプローチ施策が実施されることがあるため、ポピュレーションアプローチ情報126は、同一の地域IDについて複数回及び複数年度のポピュレーションアプローチ施策それぞれのレコードを保持してもよい。
【0051】
図9は、ポピュレーションアプローチ効果モデル情報127のデータ構成例を示す図である。ポピュレーションアプローチ効果モデル情報127は、例えば、施策ID欄1271、施策名欄1272、年度欄1273、及びモデル式欄1274を含む。施策ID欄1271は、ポピュレーションアプローチ施策の施策IDを保持する。施策名欄1272は、ポピュレーションアプローチ施策の施策名を示す情報を保持する。
【0052】
年度欄1273は、ポピュレーションアプローチ効果モデルが適用される年度を示す情報を保持する。モデル式欄1274は、ポピュレーションアプローチ効果モデルのモデル式を示す情報を保持する。
【0053】
なお、年度が異なるポピュレーションアプローチ効果モデルのモデル式も異なることがあるため、ポピュレーションアプローチ効果モデル情報127は、同一の施策IDについて複数年度のポピュレーションアプローチ効果モデルそれぞれのレコードを保持してもよい。
【0054】
図10は、ポピュレーションアプローチマスタ情報128のデータ構成例を示す図である。ポピュレーションアプローチマスタ情報128は、例えば、施策ID欄1281、施策名欄1282、対象者条件欄1283、実施指標欄1284、及び効果指標欄1285を含む。
【0055】
施策ID欄1281は、ポピュレーションアプローチ施策の施策IDを保持する。施策名欄1282は、ポピュレーションアプローチ施策の施策名を示す情報を保持する。対象者条件欄1283は、当該ポピュレーションアプローチ施策の対象者の条件を示す情報を保持する。
【0056】
実施指標欄1284は、当該ポピュレーションアプローチ施策に対する、例えば実施回数、参加者数、資料などの配布枚数、及び対象者に占める参加者の割合などの実施状況を評価するための指標である実施指標の算出方法を示す情報を保持する。実施指標が大きいほど当該ポピュレーションアプローチ施策に対する広く実施していることを示す。効果指標欄1285は、当該ポピュレーションアプローチ施策が実施された際の、当該ポピュレーションアプローチ施策の効果を評価するための指標である効果指標の算出方法を示す情報を保持する。効果指標が大きいほど当該ポピュレーションアプローチ施策の効果が出ていることを示す。
【0057】
図11は、ポピュレーションアプローチ効果試算処理の一例を示すフローチャートである。なお、ポピュレーションアプローチ効果試算処理が開始する前に、地域属性情報122、個人属性情報121、健診情報123、レセプト情報124、ポピュレーションアプローチ情報126、及びポピュレーションアプローチマスタ情報128が、予め設定されている。なお、特に断らない限り、
図11の処理においては、年度(又は年月)を示す項目が含まれる情報については1つの同じ年度の情報が使用されるものとしている。
【0058】
データ分類部111は、個人属性情報121に登録されている個人の全体を、レセプト情報124に登録されていないか登録されているか(医療無し群と又は医療あり群と)で分割する(S101)。
【0059】
また、データ分類部111は、ステップS101において、さらに医療無し群の個人の全体を、健診情報123に登録されていないか登録されているか(健診無し・医療無し群と健診あり・医療無し群)とに分割し、医療あり群の個人の全体を、健診情報123に登録されていないか登録されているか(健診無し・医療あり群と健診あり・医療あり群)とに分割する。なお、データ分類部111は、健診情報123の一部の検査項目の値が欠測している個人を、健診無し群に含まれるものとして扱ってもよいし、健診あり群に含まれるものとして扱ってもよい。
【0060】
また、データ分類部111は、健診無し・医療無し群、健診あり・医療無し群、健診無し・医療あり群、及び健診あり・医療あり群それぞれの人数を、例えば属性ごとに(例えば10歳刻みごとの年齢階級ごと等)算出してもよい。また、データ分類部111は、当該年度には個人属性情報121含まれていたもののm年後(mは所定数)には含まれていない個人の人数や、当該年度には個人属性情報121含まれていないもののm年後(mは所定数)には含まれている個人の人数を併せて算出してもよい。
【0061】
医療無し群に対してはステップS103の処理に、医療あり群に対してはステップS108の処理に遷移する(S102)。欠測値代入部112は、健診無し・医療無し群の各個人を、属性(性、年齢、及び地域)等の指標を用いて、健診あり・医療無し群の個人とマッチングする(S103)。ステップS103のマッチング処理については
図12を用いて後述する。なお、なお、健診無し・医療無し群の個人のうち、マッチング処理において、健診あり・医療無し群のどの個人ともマッチングしない個人も存在し得る。
【0062】
欠測値代入部112は、健診無し・医療無し群の各個人に健診データを代入して(S104)、ステップS105に遷移する。具体的には、例えば、欠測値代入部112は、健診無し・医療無し群の各個人について、ステップS103において当該個人とマッチングした健診あり・医療無し群の個人の健診情報123が示す健診の検査値を代入する。なお、欠測値代入部112は、健診無し・医療無し群の個人であって、健診あり・医療無し群の複数の個人とマッチングした個人については、当該複数の個人の健診の検査値の平均値等の統計量を代入してもよい。
【0063】
欠測値代入部112は、健診無し・医療あり群の各個人を、属性(性、年齢、及び地域)、並びに傷病名、医薬品、入院有無、及び手術有無等のレセプト情報124が示す医療データを用いて、健診あり・医療あり群の個人とマッチングする(S108)。ステップS108のマッチング処理については
図12を用いて後述する。なお、健診無し・医療あり群の個人のうち、マッチング処理において、健診あり・医療あり群のどの個人ともマッチングしない個人も存在し得る。
【0064】
健診無し・医療あり群の個人のうちステップS108で健診あり・医療あり群の個人とマッチングした個人に対してはステップS110の処理に、健診無し・医療あり群の個人のうちステップS108で健診あり・医療あり群の個人とマッチングしなかった個人に対してはステップS111の処理に遷移する(S109)。
【0065】
欠測値代入部112は、健診無し・医療あり群の各個人に健診データを代入して(S110)、ステップS105に遷移する。具体的には、例えば、欠測値代入部112は、健診無し・医療あり群の各個人について、ステップS108において当該個人とマッチングした健診あり・医療あり群の個人の健診情報123が示す検査値を代入する。なお、欠測値代入部112は、健診無し・医療あり群の個人であって、健診あり・医療あり群の複数の個人とマッチングした個人については、当該複数の個人の健診の検査値の平均等の統計量を代入してもよい。
【0066】
なお、健診情報123の一部の検査項目の値が欠測している個人が健診無し群に含まれるものとして扱われている場合、欠測値代入部112は、ステップS104及びステップS110の代入処理において、当該一部の検査項目の値のみが代入され、他の検査項目については本人の値がそのまま利用されることが望ましい。
【0067】
なお、欠測値代入部112は、健診無し・医療無し群、健診あり・医療無し群、健診無し・医療あり群、及び健診あり・医療あり群それぞれについて、ステップS104及びステップS109の代入処理後に、有所見率(例えば、健診の所定の検査値が所定の条件を満たす個人の割合)を算出してもよい(但し、ステップS109でマッチングしなかった健診無し・医療あり群の個人については集計対象から有所見率の算出対象からする)。
【0068】
また、欠測値代入部112は、ステップS104及びステップS109の代入処理を端末300のユーザの指示に従って、実行してもよい。
【0069】
欠測値代入部112は、健診無し・医療あり群の個人のうちステップS108で健診あり・医療あり群の個人とマッチングしなかった個人からなる群を、健診の受診が期待できない群として取り扱う(S111)。欠測値代入部112は、健診の受診が期待できない群に属する個人の人数であるアンマッチ人数を算出して(S112)、ステップS108に遷移する。
【0070】
健診の受診が期待できない群の個人は、例えば入院履歴や手術履歴等があり入院時や手術時において検査を受診している等の理由によって健診を受診しないと想定される。また、健診の受診が期待できない群の個人は、健診の受診を促す以前に、病気等で既に医療を受診している可能性が高いため、健診又は各種の保健事業の対象とならず、また、保健事業などによる健康改善や医療費適正化なども期待できない。従って、健診の受診が期待できない群の個人は、検査値等が推定できない人として、後述するポピュレーションアプローチ効果の推定等の処理から除外される対象であるため、欠測値代入部112は、ステップS112においてアンマッチ人数を算出している。
【0071】
また、欠測値代入部112は、ステップS103、ステップS104、ステップS108、ステップS109、ステップS110の処理によって、健診を受診していない個人に対して健診を受診済みの類似する個人の健診結果を代入することで、健診無し・医療無し群及び健診無し・医療あり群の集団としての健診結果の傾向を高精度に推定することができる。
【0072】
また、特に、医療無し群は医療あり群よりも健康である個人が多い可能性が高い等のように、医療無し群と医療あり群とで健康状態の傾向が異なる可能性が高いため、欠測値代入部112は、医療無し群と医療あり群とに分けてマッチングを実行することにより、より高精度に健診結果の傾向を推定することができる。なお、
図9の例において、医療無し群と医療あり群とに個人の全体が分割されることなく、健診無し群と健診あり群との間でマッチング処理及び健診結果の代入処理が行われてもよい。
【0073】
続いて、ポピュレーションアプローチ選択部113は、ポピュレーションアプローチ施策を選択し、健診無し群(健診無し・医療無し群及び健診あり・医療無し群)にポピュレーションアプローチ効果モデルを適用する(S105)。ステップS105におけるポピュレーションアプローチ選択処理及びポピュレーションアプローチ効果モデル適用処理の詳細は
図13を用いて後述する。
【0074】
ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、ステップS105でポピュレーションアプローチ効果モデル施策を適用した場合における効果を試算する(S106)。具体的には、例えば、ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、ポピュレーションアプローチマスタ情報128を参照して当該選択したポピュレーションアプローチ施策の対象者条件、実施指標、及び効果指標を特定する。ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、個人属性情報121、健診情報123、及びレセプト情報124等の少なくとも一部の情報を参照して、当該特定したポピュレーションアプローチ施策の対象者条件に該当する対象者数を特定する。ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、当該特定した対象者数以外の実施指標の算出に必要な情報(例えば、想定される参加人数等の推計値)を端末300のユーザによる入力等によって取得する。
【0075】
ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、ポピュレーションアプローチマスタ情報128を参照し、対象者数及び当該取得した情報(想定される参加人数等の推計値)に基づいて実施指標の推計値を算出する。ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、当該選択されたポピュレーションアプローチ施策の効果モデルをポピュレーションアプローチ効果モデル情報127から特定し、当該特定した効果モデルに当該算出した実施指標の推計値を代入することで、効果指標の値を試算する。
【0076】
可視化部115は、ステップS105で選択されたポピュレーションアプローチ施策や、ステップS106で試算されたポピュレーションアプローチ効果や、データ分類部111による分類結果や、欠測値代入部112による代入結果等を可視化するための画面を出力装置105に表示して(S107)、ポピュレーションアプローチ効果試算処理を終了する。
【0077】
図12は、ステップS102、ステップS103、及びステップS108におけるマッチング処理の一例を示すフローチャートである。医療無し群に対してはステップS202の処理に、医療あり群に対してはステップS201の処理に遷移する(S201)。
【0078】
欠測値代入部112は、医療無し群に対して、属性(性、年齢、及び地域)それぞれを独立変数として、健診情報123に登録されているかによって示される健診の受診有無を従属変数として設定する(S202)。欠測値代入部112は、医療あり群に対して、属性(性、年齢、及び地域)それぞれ、並びに傷病名、医薬品、入院有無、及び手術有無等の医療データそれぞれを独立変数として、健診情報123に登録されているかによって示される健診の受診有無を従属変数として設定する(S203)。
【0079】
欠測値代入部112は、健診あり・医療無し群と健診あり・医療あり群それぞれについて、従属変数と独立変数の値に基づいて、独立変数から従属変数を推定するモデル(例えばロジスティック回帰モデル)を生成する(S204)。なお、ロジスティック回帰モデルを例に説明したが、統計的なモデルや機械学習手法など、独立変数から従属変数の推定に用いることができれば、他の手法を用いてもよい。
【0080】
欠測値代入部112は、医療無し群の各個人に対して健診あり・医療無し群から生成されたモデルを適用し、医療あり群の各個人に対して健診あり・医療あり群から生成されたモデルを適用し、全ての個人に対して傾向スコアを算出する(S205)。
【0081】
欠測値代入部112は、健診無し・医療無し群の各個人に対して、傾向スコアが最も近い(又は所定の差以内)健診あり・医療無し群の個人(又は傾向スコアが近い順に所定数の個人)をマッチングし、健診無し・医療あり群の各個人に対して、傾向スコアが最も近い(又は所定の差以内)健診あり・医療あり群の個人(又は傾向スコアが近い順に所定数の個人)をマッチングして(S206)、マッチング処理を終了する。
【0082】
なお、欠測値代入部112は、欠測値代入部112は、健診無し・医療無し群の個人のうち、傾向スコアが所定の差以内の健診あり・医療無し群の個人がいない個人については、マッチング相手がいないものとして取り扱ってもよい。同様に、欠測値代入部112は、健診無し・医療あり群の個人のうち、傾向スコアが所定の差以内の健診あり・医療あり群の個人がいない個人については、マッチング相手がいないものとして取り扱ってもよい。
【0083】
図13は、ステップS105におけるポピュレーションアプローチ選択処理及びポピュレーションアプローチ効果適用処理の一例を示すフローチャートである。ポピュレーションアプローチ選択部113は、地域別(即ちポピュレーションアプローチ施策の実施対象グループごと)に、ポピュレーションアプローチ実施指標及びポピュレーションアプローチ効果指標を算出する(S301)。
【0084】
具体的には、例えば、ポピュレーションアプローチ選択部113は、ポピュレーションアプローチ情報126を参照して実施済みのポピュレーションアプローチ施策を地域別に特定し、特定したポピュレーションアプローチ施策に対応する実施指標及び効果指標を、ポピュレーションアプローチマスタ情報128を参照して特定する。さらに、例えば、ポピュレーションアプローチ選択部113は、個人属性情報121が示す属性、健診情報123が示す検査値、レセプト情報124が示す医療データ、及びポピュレーションアプローチマスタ情報128が示す対象者条件等の少なくとも一部の情報を参照して、実施済みのポピュレーションアプローチ施策の実施指標及び効果指標を、地域ごとに算出する。
【0085】
なお、ポピュレーションアプローチ選択部113は、実施指標及び効果指標の算出において、健診情報123が示す検査値を使用する場合、健診無し群の個人については代入された健診データの検査値を用いるものとする。
【0086】
ポピュレーションアプローチ選択部113は、ポピュレーションアプローチ施策ごとに、ステップS301で算出した実施指標と効果指標とに基づいて、実施指標から効果指標を算出するためのモデルである、効果モデルを生成して、ポピュレーションアプローチ効果モデル情報127に格納する(S302)。具体的には、例えば、ポピュレーションアプローチ選択部113は、ポピュレーションアプローチ施策ごとに、実施指標と効果指標の関係から、最小二乗法で回帰モデルを作成する(つまり、当該回帰モデルの傾き、切片、及び相関係数等を算出する)。なお、当該回帰モデルの傾きは実施指標の値の増加に対する効果指標の値の改善の関係を示す。
【0087】
ポピュレーションアプローチ選択部113は、いずれかの地域で実施済みの全てのポピュレーションアプローチ施策のモデル化が完了したと判定した場合(S303:YES)、ステップS304に遷移し、いずれかの地域で実施済みのポピュレーションアプローチ施策のうちモデル化が完了していないポピュレーションアプローチ施策があると判定した場合(S303:NO)、当該ポピュレーションアプローチ施策に対してステップS301及びステップS302の処理を実行する。
【0088】
なお、ポピュレーションアプローチ施策の効果モデルが予め与えられてもよい。つまり、
図13の処理が開始するよりも前に、ポピュレーションアプローチ効果モデル情報127が予め設定されていてもよく、この場合、ステップS301~ステップS303の処理が省略される。
【0089】
ポピュレーションアプローチ選択部113は、実施指標の値の増加に対して効果指標の値が改善する方向となる傾きを有する効果モデルに対応するポピュレーションアプローチ施策を特定し、当該特定したポピュレーションアプローチ施策かつステップS304で未選択のポピュレーションアプローチ施策のうち効果モデルにおける(実施指標と効果指標の)相関係数が最大のポピュレーションアプローチ施策を選択する(S304)。
【0090】
ポピュレーションアプローチ選択部113は、選択中のポピュレーション施策の実施指標をx軸、効果指標をy軸とし、x軸方向の正の方向を実施指標の値が高くなる方向、y軸方向の正の方向を効果指標の値が悪くなる方向とし、実施指標の中央値と効果指標の中央値を原点とした座標平面を生成し、生成した座標平面を4象限(4つの領域)に分割する(S305)。なお、中央値によって座標平面の原点が定義されているが、平均値等の他の統計量や予め定められた値によって原点が定義されてもよい。
【0091】
以下、実施指標がその中央値より小さく(第1条件の一例)かつ効果指標がその中央値より小さい(第2条件の一例)象限を象限(1)、実施指標がその中央値より大きくかつ効果指標がその中央値より小さい象限を象限(2)、実施指標がその中央値より大きいかつ効果指標がその中央値より小さい象限を象限(3)、実施指標がその中央値より大きくかつ効果指標がその中央値より大きい象限を象限(4)と呼ぶ。なお、x軸上の点及びy軸上の点は、例えば、当該点に隣接するいずれかの象限に属するものとする。
【0092】
ポピュレーションアプローチ選択部113は、推奨するポピュレーションアプローチ施策が選定されていない、かつ当該選択中のポピュレーションアプローチ施策の座標平面の象限(1)に属する(つまり、実施指標と効果指標とで定義される点が象限(1)に属する)地域に対して、当該選択中のポピュレーションアプローチ施策を推奨するポピュレーションアプローチ施策として選定する(S307)。
【0093】
なお、ステップS304で選択されたポピュレーションアプローチ施策の実施指標及び効果指標の値の組み合わせが象限(1)に属する地域は、当該ポピュレーションアプローチを施策の実施指標を高めると実施指標が改善する可能性がある地域である。従って、象限(1)に属する地域には、当該ポピュレーションアプローチ施策が推奨されることが望ましい。
【0094】
ステップS304で選択されたポピュレーションアプローチ施策の実施指標及び効果指標の値の組み合わせが象限(2)に属する地域は、当該ポピュレーションアプローチ施策の実施指標が良いにも関わらず効果指標が改善していない地域である。従って、象限(2)に属する地域には、当該ポピュレーションアプローチ施策を推奨せず他のポピュレーションアプローチ施策が推奨されることが望ましい。
【0095】
ステップS304で選択されたポピュレーションアプローチ施策の実施指標及び効果指標の値の組み合わせが象限(3)に属する地域は、当該ポピュレーションアプローチ施策の実施指標が悪くとも効果指標が良い地域である。従って、象限(3)に属する地域には、当該ポピュレーションアプローチ施策を推奨せず他のポピュレーションアプローチ施策が推奨されることが望ましい。
【0096】
ステップS304で選択されたポピュレーションアプローチ施策の実施指標及び効果指標の値の組み合わせが象限(4)に属する地域は、当該ポピュレーションアプローチ施策の実施指標が良く効果指標も良い地域、つまり当該ポピュレーションアプローチ施策による効果が得られている可能性が高い地域である。従って、象限(4)に属する地域に対して、当該ポピュレーションアプローチ施策を実施していることを褒めることが望ましい。
【0097】
ポピュレーションアプローチ選択部113は、推奨するポピュレーションアプローチ施策が選定されていない地域があり、かつステップS304で特定したポピュレーションアプローチ施策のうち未選択の施策があると判定した場合、ステップS304に戻り、推奨するポピュレーションアプローチ施策が選定されていない地域がない、又はステップS304で特定したポピュレーションアプローチ施策のうち未選択の施策がないと判定した場合、ポピュレーションアプローチ選択処理及びポピュレーションアプローチ効果適用処理を終了する(S308)。
【0098】
なお、
図13の例では、各地域に対して、ステップS304で特定したポピュレーションアプローチ施策であって当該地域が象限(1)に属するポピュレーションアプローチ施策、のうち効果モデルにおける相関係数が最も大きいものが、推奨されるポピュレーションアプローチとして選定されるが、ステップS304で特定したポピュレーションアプローチ施策であって当該地域が象限(1)に属するポピュレーションアプローチ施策の全てが推奨されるポピュレーションアプローチとして選定されてもよいし、ステップS304で特定したポピュレーションアプローチ施策であって当該地域が象限(1)に属するポピュレーションアプローチ施策、のうち効果モデルにおける相関係数が所定値以上のもの又は高い順に所定数のものが、推奨されるポピュレーションアプローチとして選定されてもよい。
【0099】
なお、ステップS304~ステップS308において推奨されるポピュレーションアプローチ施策が選定されなかった地域に対しては、例えば、いずれのポピュレーションアプローチ施策も推奨されないものとして取り扱われる。
【0100】
なお、
図13の例では、各地域に対して、推奨されるポピュレーションアプローチ施策が自動で選定されているが、全てのポピュレーションアプローチ施策に対してステップS305の処理が実行されて(つまり、全てのポピュレーションアプローチ施策に対して上記した座標平面が生成されて、全ての座標平面それぞれに各地域の実施指標及び効果指標の組み合わせで定義される点が配置される)、当該処理の実行結果を各地域の端末300に表示して、端末300のユーザにポピュレーションアプローチ施策を選定させてもよい。この場合に表示されるポピュレーションアプローチ施策選定画面の詳細については、
図15を用いて後述する。
【0101】
図13に示したポピュレーションアプローチ選択処理及びポピュレーションアプローチ効果適用処理により、各地域に対して、実施指標と効果指標との相関が大きく、かつ実施指標を高めることにより効果指標を高める可能性が高いポピュレーションアプローチ施策を推奨することができ、ひいては各地域の個人の健康状況を改善し、かつ医療費の抑制に資することが期待できる。
【0102】
図14は、ポピュレーションアプローチ効果評価処理の一例を示すフローチャートである。
図14の例におけるポピュレーションアプローチ効果評価処理では、前年度に実施されたポピュレーションアプローチ施策の評価を今年度のデータを用いて評価する。なお、ポピュレーションアプローチ効果試算処理が開始する前に、前年度及び今年度における、個人属性情報121、地域属性情報122、健診情報123、レセプト情報124、ポピュレーションアプローチ情報126が予め設定されている。また、ポピュレーションアプローチ効果試算処理が開始する前にポピュレーションアプローチマスタ情報128が、予め設定されている。
【0103】
ステップS401、ステップS402、ステップS403、ステップS404、ステップS407、ステップS408、ステップS409、ステップS410、及びステップS411の処理は、それぞれ、ステップS101、ステップS102、ステップS103、ステップS104、ステップS108、ステップS109、ステップS110、ステップS111、及びステップS112の処理が、前年度及び今年度それぞれの情報に対して実行されることで実現される。また、ステップS101、ステップS102、ステップS103、ステップS104、ステップS108、ステップS109、ステップS111、及びステップS112の処理で生成済みのデータを再利用してもよい。
【0104】
ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、地域別に、実施されたポピュレーションアプローチ施策の実施指標及び効果指標を算出する(S405)。具体的には、例えば、ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、地域別に、以下の処理を実行する。
【0105】
ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、ポピュレーションアプローチ情報126を参照して、前年度に実施されたポピュレーションアプローチ施策、並びに前年度に実施されたポピュレーションアプローチ施策の想定対象者数及び参加人数を特定する。
【0106】
ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、ポピュレーションアプローチマスタ情報128を参照して当該特定したポピュレーションアプローチ施策の対象者条件、実施指標、及び効果指標を特定する。ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、ポピュレーションアプローチマスタ情報128を参照して、前年度の実施指標の値を算出する。
【0107】
ポピュレーションアプローチ効果算出部114は、個人属性情報121、健診情報123、及びレセプト情報124等を参照して、当該特定したポピュレーションアプローチ施策の前年度の対象者条件に該当する対象者を特定し、当該対象者の今年度の効果指標の値を算出する。
【0108】
可視化部115は、ステップS405で特定されたポピュレーションアプローチ施策、算出された実施指標及び効果指標の値等を可視化するための画面を出力装置105に表示して(S412)、ポピュレーションアプローチ効果評価処理を終了する。
【0109】
図15は、ポピュレーションアプローチ選定画面の一例を示す図である。ポピュレーションアプローチ選定画面1500は、例えば、効果指標表示領域1501、実施指標表示領域1502、及び座標平面表示領域1503を含む。
【0110】
効果指標表示領域1501には、効果指標の種類が表示され、実施指標表示領域1502には、ポピュレーションアプローチ施策と当該ポピュレーションアプローチ施策に対応する実施指標の種類との組み合わせが表示される。
【0111】
例えば、効果指標表示領域1501においていずれかの効果指標の種類が選択されると、ポピュレーションアプローチマスタ情報128において当該選択された効果指標に対応する、ポピュレーションアプローチ施策と当該ポピュレーションアプローチ施策に対応する実施指標の種類との組み合わせが、実施指標表示領域1502において自動で選択される。
【0112】
また、例えば、実施指標表示領域1502においてポピュレーションアプローチ施策と実施指標の種類とのいずれかの組み合わせが選択されると、ポピュレーションアプローチマスタ情報128において当該選択された組み合わせに対応する効果指標が、効果指標表示領域1501において自動で選択される。
【0113】
座標平面表示領域1503には、選択されたポピュレーションアプローチ施策についての実施指標と効果指標の相関を示す座標平面(ステップS304で示した方法で生成される座標平面)が表示される。座標平面表示領域1503には、象限(1)~象限(4)を示す領域と、各地域の実施指標と効果指標との組み合わせを示す点と、が表示される。
【0114】
また、座標平面表示領域1503には、例えば、当該端末300を利用する地域の実施指標と効果指標との組み合わせを示す点1504と、ステップS304で生成された当該ポピュレーションアプローチ施策の効果モデルのグラフ1504と、が表示される。
【0115】
なお、点1504が象限(1)に属している場合には、当該ポピュレーションアプローチ施策を推奨すること(及び当該ポピュレーションアプローチ施策の実施指標を高めると効果指標の改善の可能性が高いこと)を示すメッセージが、さらに表示されてもよい。
【0116】
点1504が象限(2)に属している場合には、当該ポピュレーションアプローチ施策を推奨しないこと(及び当該ポピュレーションアプローチ施策の実施指標が高いものの効果指標が悪いこと)を示すメッセージが、さらに表示されてもよい。
【0117】
点1504が象限(3)に属している場合には、当該ポピュレーションアプローチ施策を推奨しないこと(及び当該ポピュレーションアプローチ施策の実施指標を高めずとも効果指標が良いこと)を示すメッセージが、さらに表示されてもよい。
【0118】
点1504が象限(4)に属している場合には、当該ポピュレーションアプローチ施策の他の地域への紹介を推奨すること(及び当該ポピュレーションアプローチ施策の実施指標が高いゆえに効果指標が高くなっている可能性があること)を示すメッセージが、さらに表示されてもよい。
【0119】
なお、ステップS105において、推奨されるポピュレーションアプローチ施策が選定された場合には、ポピュレーションアプローチ選定画面1500において、当該選定されたポピュレーションアプローチ施策を端末300のユーザが認識可能なように表示してもよいし、当該選定されたポピュレーションアプローチ施策のみの情報が表示されるようにしてもよい。
【0120】
ポピュレーションアプローチ選定画面1500によって、端末300のユーザは、ポピュレーションアプローチ施策の実施指標と効果指標との関係を容易に認識することができ、効果が高いポピュレーションアプローチを選定することができる。
【0121】
図16は、ポピュレーションアプローチ効果試算結果表示画面の一例を示す図である。ポピュレーションアプローチ効果試算結果表示画面1600は、例えば、効果指標表示領域1601、実施指標表示領域1602、及び座標平面表示領域1603を含む。
【0122】
効果指標表示領域1601には、推奨されるポピュレーションアプローチ施策として選定されたポピュレーションアプローチ施策の効果指標の種類が表示され、実施指標表示領域1602には、当該選定されたポピュレーションアプローチ施策と当該選定されたポピュレーションアプローチ施策に対応する実施指標の種類との組み合わせが表示される。また、実施指標表示領域1602には、現状(例えば今年度)における当該地域の実施指標の値と、効果指標の試算に用いられた当該地域の実施指標の推計値と、が表示される。
【0123】
座標平面表示領域1603には、当該選定されたポピュレーションアプローチ施策についての実施指標と効果指標の相関を示す座標平面(ステップS304で示した方法で生成される座標平面)が表示される。座標平面表示領域1603には、象限(1)~象限(4)を示す領域と、各地域の実施指標と効果指標との組み合わせを示す点と、が表示される。
【0124】
また、座標平面表示領域1603には、例えば、当該端末300を利用する地域の現状の実施指標と現状の効果指標との組み合わせを示す点1604と、ステップS304で生成された当該ポピュレーションアプローチ施策の効果モデルのグラフ1605と、当該端末300を利用する地域の実施指標の推計値と効果指標の試算値との組み合わせを示す点1606と、が表示される。
【0125】
なお、ポピュレーションアプローチ効果試算結果表示画面1600においても、点1604が属する象限又は点1606が属する象限に従って、ポピュレーションアプローチ選定画面1500の説明において上記したメッセージが併せて表示されてもよい。
【0126】
ポピュレーションアプローチ効果試算結果表示画面1600によって、端末300のユーザは、ポピュレーションアプローチ施策が実施された場合の効果の試算結果を容易に認識することができる。
【0127】
図17は、ポピュレーションアプローチ効果評価画面の一例を示す図である。ポピュレーションアプローチ効果評価画面1700は、例えば、効果指標表示領域1701、実施指標表示領域1702、及び座標平面表示領域1703を含む。
【0128】
効果指標表示領域1701には、効果評価の対象であるポピュレーションアプローチ施策の効果指標の種類が表示され、実施指標表示領域1702には、当該ポピュレーションアプローチ施策と当該ポピュレーションアプローチ施策に対応する実施指標の種類との組み合わせが表示される。また、実施指標表示領域1702には、前年度における当該地域の実施指標の値と、効果指標の試算に用いられた当該地域の実施指標の(前年度に試算された)推計値と、今年度における当該地域の実施指標の値と、が表示される。
【0129】
座標平面表示領域1703には、当該ポピュレーションアプローチ施策についての実施指標と効果指標の相関を示す座標平面(ステップS304で示した方法で生成される座標平面)が表示される。座標平面表示領域1703には、象限(1)~象限(4)を示す領域と、各地域の実施指標と効果指標との組み合わせを示す点と、が表示される。
【0130】
また、座標平面表示領域1703には、例えば、当該端末300を利用する地域の前年度の実施指標と現状の効果指標との組み合わせを示す点1604と、ステップS304で生成された当該ポピュレーションアプローチ施策の効果モデルのグラフ1605と、(前年度に試算された)当該端末300を利用する地域の実施指標の推計値と効果指標の試算値との組み合わせを示す点1706と、当該端末300を利用する地域の今年度の実施指標と効果指標との組み合わせを示す点1707と、が表示される。
【0131】
なお、ポピュレーションアプローチ効果評価画面1700においても、点1707が属する象限に従って、ポピュレーションアプローチ選定画面1500の説明において上記したメッセージが併せて表示されてもよい。
【0132】
ポピュレーションアプローチ効果評価画面1700によって、端末300のユーザは、実施されたポピュレーションアプローチの効果、及びポピュレーションアプローチの効果の試算結果と実施されたポピュレーションアプローチの効果との乖離を容易に認識することができる。
【0133】
図18は、欠測値代入画面の一例を示す図である。欠測値代入画面1800は、例えば、データ分類結果表示領域1801、第1ボタン1802、第2ボタン1803、及び代入結果表示部1804を含む。
【0134】
データ分類結果表示領域1801には、データ分類部111による分類処理によって生成された群それぞれの個人の属性(例えば10歳刻みの年齢階級)ごとの人数が表示される。第1ボタン1802が選択されるとステップS104の処理が実行され、第2ボタン1803が選択されるとステップS110の処理が実行される。また、第1ボタン1802及び第2ボタン1803が選択されると代入結果表示部1804が表示される。
【0135】
代入結果表示部1804には、ステップS104及びステップS110の処理が実行された後の、健診無し・医療無し群、健診あり・医療無し群、健診無し・医療あり群、及び健診あり・医療あり群それぞれの有所見率が表示される。
【0136】
なお、欠測値代入画面1800には、第1ボタン1802及び第2ボタン1803が選択されると、ステップS104及びステップS110の処理が実行された後の、健診あり・医療あり群、健診あり・医療なし群、健診なし・医療あり群、及び健診なし・医療なし群それぞれの代入後の健診の検査値の分布等がさらに表示されてもよい。
【0137】
欠測値代入画面1800によって、端末300のユーザは当該地域のデータ分類結果及び欠測値代入後の有所見率等の情報の推測結果を容易に認識することができる。
【0138】
以上、本実施例の保健事業支援システムは、健診結果の欠測値を代入して補った情報を用いて、ポピュレーションアプローチ施策の選択、効果試算、及び効果評価を実行することにより、ポピュレーションアプローチ施策による保健事業のPDCAサイクルを実行することができる。
【0139】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0140】
また、上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に置くことができる。
【0141】
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
100 サーバ、101 CPU、102 メモリ、103 補助記憶装置、104 入力装置、105 出力装置、106 通信装置、111 データ分類部、112 欠測値代入部、113 ポピュレーションアプローチ選択部、114 ポピュレーションアプローチ効果算出部、115 可視化部、121 地域属性情報、122 個人属性情報、123 健診情報、124 レセプト情報、126 ポピュレーションアプローチ情報、127 ポピュレーションアプローチ効果モデル情報、128 ポピュレーションアプローチマスタ情報、200 データベース