(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149899
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】調湿装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/26 20060101AFI20231005BHJP
F24F 3/14 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B01D53/26 220
F24F3/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058698
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】森本 直行
【テーマコード(参考)】
3L053
4D052
【Fターム(参考)】
3L053BC03
3L053BC09
4D052AA08
4D052CB00
4D052DA03
4D052DA06
4D052DB01
4D052DB03
4D052GA01
4D052GB00
4D052GB09
4D052HA03
(57)【要約】
【課題】加熱部の突入電流を抑制しつつ除湿ローターの除湿効率を向上可能な調湿装置を提供する。
【解決手段】調湿装置10は、第1モーター12と、複数のヒーター15と、第1回転制御部31と、加熱制御部34とを備える。第1モーター12は、除湿ローター11を回転させる。ヒーター15は、除湿ローター11を加熱する。第1回転制御部31は、第1モーター12を制御する。加熱制御部34は、複数のヒーター15を制御する。加熱制御部34は、ヒーター15に電力が供給される場合、第1加熱処理と第2加熱処理とを実行する。第1加熱処理は、複数のヒーター15のうち、2つ以上のヒーター15に電力を供給する処理を示す。第2加熱処理は、第1加熱処理の後に実行され、第1加熱処理よりも少ない数のヒーター15に電力を供給する処理を示す。第1回転制御部31は、第2加熱処理を加熱制御部34が実行する際に第1モーター12の回転を制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
除湿ローターを回転させる第1回転部と、
前記除湿ローターを加熱する複数の加熱部と、
前記第1回転部を制御する第1回転制御部と、
前記複数の加熱部を制御する加熱制御部と
を備え、
前記加熱部に電力が供給される場合、前記加熱制御部は第1加熱処理と第2加熱処理とを実行し、
前記第1加熱処理は、前記複数の加熱部のうち、2つ以上の加熱部に電力を供給する処理を示し、
前記第2加熱処理は、前記第1加熱処理の後に実行され、前記第1加熱処理よりも少ない数の前記加熱部であって、前記第1加熱処理において電力を供給した前記加熱部以外の前記加熱部に電力を供給する処理を示し、
前記第1回転制御部は、前記第2加熱処理を前記加熱制御部が実行する際に前記第1回転部の回転を制御する、調湿装置。
【請求項2】
前記加熱部に空気を送る再生ファンを回転させる第2回転部と、
前記第2回転部を制御する第2回転制御部と、
をさらに備え、
前記第2回転制御部は、前記第2加熱処理を前記加熱制御部が実行する際に前記第2回転部の回転を制御する、請求項1に記載の調湿装置。
【請求項3】
前記第1回転制御部は、前記第2加熱処理を前記加熱制御部が実行する際に前記第1回転部の回転を前記除湿ローターの通常動作時における回転より速くし、
前記第2回転制御部は、前記第2加熱処理を前記加熱制御部が実行する際に前記第2回転部の回転を前記再生ファンの通常動作時における回転より遅くする、請求項2に記載の調湿装置。
【請求項4】
前記第2回転制御部は、前記第1回転制御部が、前記第1回転部の回転を前記除湿ローターの通常動作時における回転より遅くする場合には、前記第2回転部の回転を前記再生ファンの通常動作時における回転より速くする、請求項2又は請求項3に記載の調湿装置。
【請求項5】
前記複数の加熱部が列状に配置されて複数の前記加熱部の列を形成し、
前記加熱制御部は、
前記第1加熱処理を実行する際には、複数の前記加熱部の列のうち、一方の前記加熱部の列を形成する前記加熱部に電力を供給し、
前記第2加熱処理を実行する際には、複数の前記加熱部の列のうち、他方の前記加熱部の列を形成する前記加熱部に電力を供給する、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の調湿装置。
【請求項6】
前記加熱部が、正温度係数ヒーターである、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の調湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
除湿機能を有する調湿装置が開発されている。例えば、特許文献1に開示されている調湿装置は、本体内に、除湿ローターと、凝縮器と、送風ファンと、再生ヒーターと、再生ファンとを備える。特許文献1に開示されている調湿装置では、駆動モーター等で回転される除湿ローターに、湿った被除湿空気が吹き込まれることで、被除湿空気中の水分が除湿ローターの吸湿部の吸湿剤によって吸着され、乾燥空気となる。一方で、水分を吸着した除湿ローターの吸湿剤は、除湿ローターに、再生ヒーターで加熱された高温の再生空気が再生ファンによって送り込まれることで、吸着した水分が除去され再生される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の調湿装置のような従来の調湿装置では、再生ヒーターは、冷えた状態では低抵抗のために、冷えた状態で電力が供給されると、大電流を流して発熱しようとする。そのため、調湿装置に設けられる全ての再生ヒーターを同時にオンすると、再生ヒーターの突入電流が大きくなる。特に、再生ファンの回転数が大きい状態では、再生ヒーターから熱が奪われるため、再生ヒーターの突入電流がより大きくなる。
【0005】
一方で、複数の再生ヒーターを、個別にオンすることで、再生ヒーター全体の突入電流は抑制できる。しかしながら、再生ヒーター全体がオンするまでに時間を要し、除湿ローターの除湿能力をすぐに発揮することができず、除湿ローターの除湿効率が悪くなるという問題がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、加熱部の突入電流を抑制しつつ除湿ローターの除湿効率を向上可能な調湿装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、調湿装置は第1回転部と、複数の加熱部と、第1回転制御部と、加熱制御部とを備える。前記第1回転部は、除湿ローターを回転させる。前記複数の加熱部は、前記除湿ローターを加熱する。前記第1回転制御部は、前記第1回転部を制御する。前記加熱制御部は、前記複数の加熱部を制御する。前記加熱部に電力が供給される場合、前記加熱制御部は第1加熱処理と第2加熱処理とを実行する。前記第1加熱処理は、前記複数の加熱部のうち、2つ以上の加熱部に電力を供給する処理を示す。前記第2加熱処理は、前記第1加熱処理の後に実行され、前記第1加熱処理よりも少ない数の前記加熱部であって、前記第1加熱処理において電力を供給した前記加熱部以外の前記加熱部に電力を供給する処理を示す。前記第1回転制御部は、前記第2加熱処理を前記加熱制御部が実行する際に前記第1回転部の回転を制御する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る調湿装置によれば、加熱部の突入電流を抑制しつつ除湿ローターの除湿効率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る調湿装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係る調湿装置の全体構成を示す説明図である。
【
図3】本実施形態に係る調湿装置のヒーターの配置を示す回路図である。
【
図4】本実施形態に係る調湿装置の除湿ローター、再生ファン、及びヒーターの制御を示すフロー図である。
【
図5】本実施形態に係る調湿装置において、ヒーターの第2加熱処理中に除湿ローター及び再生ファンの回転数を変化させた場合のヒーターの出力電流、再生ファンの回転数、及び除湿ローターの回転数の変化を示すグラフである。
【
図6】本実施形態に係る調湿装置において、ヒーターの第2加熱処理中に除湿ローター及び再生ファンの回転数を一定とした場合のヒーターの出力電流、再生ファンの回転数、及び除湿ローターの回転数の変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
まず、実施形態における調湿装置10について説明する。
図1は、本実施形態に係る調湿装置10の全体構成を示すブロック図である。
図2は、本実施形態に係る調湿装置10の全体構成を示す説明図である。
図3は、本実施形態に係る調湿装置10のヒーター15の配置を示す回路図である。
【0012】
図1に示すように、調湿装置10は、除湿ローター11と、第1モーター12(「第1回転部」の一例)と、再生ファン13と、第2モーター14(「第2回転部」の一例)と、ヒーター15(「加熱部」の一例)と、熱交換器16と、排水タンク17と、ファン18と、第3モーター19を備える。
【0013】
図2に示すように、除湿ローター11、再生ファン13、ヒーター15、熱交換器16、排水タンク17、及びファン18は、ケーシング20の内部に配置される。ケーシング20には、吸い込み口21と、吹き出し口22が形成されている。
【0014】
調湿装置10では、湿った被除湿空気Kが、ファン18の回転によって、ケーシング20の吸い込み口21から取り込まれる。取り込まれた被除湿空気Kは、除湿ローター11に供給される。除湿ローター11に供給された被除湿空気Kは、被除湿空気K中に含まれる水分が、除湿ローター11の除湿部11aによって吸着される。水分が吸着された被除湿空気Kは、乾燥された空気としてケーシング20の吹き出し口22から排出される。
【0015】
一方で、調湿装置10では、ヒーター15で加熱された再生空気Sが、再生ファン13の回転によって、除湿ローター11の除湿部11aの吸着剤に供給される。除湿ローター11の除湿部11aの吸着剤は、再生空気Sによって加熱されることで、水分が取り除かれ再生される。すなわち、除湿ローター11の除湿部11aは、吸着剤で吸着した水分を高温高湿状態で放出する。除湿部11aの吸着剤からの水分を含んだ暖かく湿った再生空気Sは、熱交換器16を通過することで水分が取り除かれる。すなわち、熱交換器16によって水蒸気から水滴に凝結される。再生空気Sは、再度乾燥された状態で除湿ローター11の除湿部11aの吸着剤に供給される。除湿ローター11、再生ファン13、ヒーター15、及び熱交換器16は、閉じられた再生空気Sの風路23上に設置される。
【0016】
除湿ローター11は、円盤状に形成されている。除湿ローター11は、厚さ方向に気流が通過するように配置されている。除湿ローター11は、
図1に示す、第1モーター12によって回転される。除湿ローター11の回転軸11bは、除湿ローター11の中心を通り、且つ除湿ローター11を通過する気流に沿っている。除湿ローター11は、第1モーター12の駆動によって回転することで、気流が通過する部分が変化する。除湿ローター11は、除湿部11aを有する。
【0017】
除湿部11aは、乾燥剤であり、ケーシング20の吸い込み口21から取り込まれる被除湿空気K中の水分を吸着する。除湿部11aは、例えば、ゼオライト素子である。除湿部11aは、再生可能であり、ヒーター15で加熱された再生空気Sによって加熱されることで、吸着した水分を放出し、再度水分を吸着可能となる。
【0018】
図1に示すように、第1モーター12は、除湿ローター11を回転させる。第1モーター12は、除湿ローター11に接続される。
【0019】
再生ファン13は、ヒーター15に再生空気Sを送るものである。再生ファン13は、第2モーター14の駆動によって回転し、再生空気Sの気流を生成する。
【0020】
第2モーター14は、ヒーター15に空気を送る再生ファン13を回転させる。第2モーター14は、再生ファン13に接続される。
【0021】
ヒーター15は、除湿ローター11を加熱する。より具体的には、ヒーター15は、発熱することで再生空気Sを加熱し、加熱した再生空気Sによって除湿ローター11を加熱する。ヒーター15は、例えば、PTC(Positive Temperature Cоefficient)ヒーター(正温度係数ヒーター)によって構成される。ヒーター15をPTCヒーターによって構成することで、ヒーター15の異常な温度上昇を抑えることができる。
【0022】
調湿装置10では、複数のヒーター15によって除湿ローター11を加熱する。
図3に示すように、ヒーター15は、列状に配置される。具体的には、例えば、4つのヒーター15が直列に配置される。調湿装置10では、複数のヒーター15が列状に配置されて複数のヒーター15の列が形成される。具体的には、例えば、4つのヒーター15が直列に配置された第1ヒーターユニット15A(「加熱部の列」の一例)、第2ヒーターユニット15B(「加熱部の列」の一例)、及び第3ヒーターユニット15C(「加熱部の列」の一例)の3列のヒーターユニットによって構成される。第1ヒーターユニット15Aは、第2ヒーターユニット15Bに対して並列に配置される。第2ヒーターユニット15Bは、第3ヒーターユニット15Cに対して並列に配置される。
【0023】
図2に示すように、熱交換器16は、内部に除湿ローター11からの暖かく湿った再生空気Sが導入される。熱交換器16は、外部においてケーシング20の吸い込み口21から取り込まれた被除湿空気Kが通過する。熱交換器16では、被除湿空気Kが通過することで、内部に導入される再生空気Sが冷却され、再生空気S中に含まれる水分が結露する。
【0024】
排水タンク17は、熱交換器16において結露した再生空気S中に含まれる水分を回収するタンクである。排水タンク17は、熱交換器16の下方に配置される。
【0025】
ファン18は、ケーシング20の吸い込み口21から取り込まれる被除湿空気Kを、ケーシング20の吹き出し口22から排出する気流を生成する。ファン18は、第3モーター19の駆動によって回転し、被除湿空気Kの気流を生成する。
【0026】
第3モーター19は、ファン18を回転させる。第3モーター19は、ファン18に接続される。
【0027】
図1に示すように、調湿装置10は、処理装置30をさらに備える。処理装置30は、調湿装置10全体を制御する。処理装置30は、例えば、プロセッサー及びメモリーを有するマイクロコンピューターによって構成される。処理装置30は、第1回転制御部31と、第2回転制御部32と、第3回転制御部33と、加熱制御部34を備える。
【0028】
第1回転制御部31は、除湿ローター11の回転を制御する。より具体的には、第1回転制御部31は、第1モーター12を制御することによって、除湿ローター11の回転を制御する。第1回転制御部31は、第1モーター12に接続される。
【0029】
第2回転制御部32は、再生ファン13の回転を制御する。より具体的には、第2回転制御部32は、第2モーター14を制御することによって、再生ファン13の回転を制御する。第2回転制御部32は、第2モーター14に接続される。
【0030】
第3回転制御部33は、ファン18の回転を制御する。より具体的には、第3回転制御部33は、第3モーター19を制御することによって、ファン18の回転を制御する。第3回転制御部33は、第3モーター19に接続される。
【0031】
加熱制御部34は、ヒーター15を制御する。加熱制御部34は、ヒーター15の通電状態を制御することによって、ヒーター15の稼働、停止、及びヒーター15の温度調整を行う。
【0032】
図1及び
図3に示すように、加熱制御部34は、第1リレー35介して、第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15Bの各ヒーター15への電力の供給を制御する。具体的には、加熱制御部34は、第1リレー35を制御する。第1リレー35は、第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15Bの各ヒーター15のオン/オフを制御する。加熱制御部34は、第1リレー35に接続される。第1リレー35は、第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15Bに接続される。
【0033】
加熱制御部34は、第2リレー36介して、第3ヒーターユニット15Cの各ヒーター15への電力の供給を制御する。具体的には、加熱制御部34は、第2リレー36を制御する。第2リレー36は、第3ヒーターユニット15Cの各ヒーター15のオン/オフを制御する。加熱制御部34は、第2リレー36に接続される。第2リレー36は、第3ヒーターユニット15Cに接続される。
【0034】
ここで、ヒーター15は、冷えた状態では低抵抗である。そのため、ヒーター15は、冷えた状態で電力が供給されると、大電流を流して発熱しようとする。それゆえに、第1ヒーターユニット15A、第2ヒーターユニット15B及び第3ヒーターユニット15Cの各ヒーター15を同時にオンすると、ヒーター15の突入電流が大きくなる。そこで、ヒーター15の突入電流を抑制するために、ヒーターユニット毎(列毎)に順次ヒーター15をオン(例えば、第1ヒーターユニット15A、第2ヒーターユニット15B、第3ヒーターユニット15Cの順で各ヒーター15をオン)する制御が考えられる。
【0035】
しかしながら、ヒーターユニット毎にヒーター15をオンすると、全てのヒーター15がオンになるまでに時間を要し、除湿ローター11の除湿能力をすぐに発揮することができない。また、ヒーターユニット毎にヒーター15をオンするためには、ヒーターユニット毎にリレーを設ける必要があり(調湿装置10の場合には3つのリレーを設ける必要があり)部品点数が増加する。
【0036】
そこで、加熱制御部34は、各ヒーター15に電力が供給される場合、第1加熱処理と第2加熱処理とを実行する。ここで、第1加熱処理とは、複数のヒーターユニット(加熱部)のうち、2つ以上のヒーターユニット(加熱部)に電力を供給する処理をいう。)また、第2加熱処理とは、第1加熱処理の後に実行され、第1加熱処理よりも少ない数のヒーターユニット(加熱部)に電力を供給する処理をいう。
【0037】
加熱制御部34は、第1加熱処理と第2加熱処理とを実行することで、ヒーター15に電力を供給するタイミングを、第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15Bの各ヒーター15と、第3ヒーターユニット15Cの各ヒーター15とに分けている。このため、第1ヒーターユニット15A、第2ヒーターユニット15B及び第3ヒーターユニット15Cの各ヒーター15を同時にオンする場合と比べてヒーター15の突入電流を抑制することができる。また、ヒーターユニット毎(列毎)に順次ヒーター15をオンする場合と比べて、全てのヒーター15がオンになるまでの時間を短縮することができる。それゆえに、除湿ローター11の除湿能力をすぐに発揮することができ、除湿ローター11の除湿効率を向上できる。
【0038】
また、加熱制御部34は、第1加熱処理を実行する場合には、第1リレー35をオンすることで、第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15Bに電力を供給する。さらに、加熱制御部34は、第2加熱処理を実行する場合には、第2リレー36をオンすることで、第3ヒーターユニット15Cに電力を供給する。このため、調湿装置10では、リレーの個数を減らす(リレーの数を3個から2個に減らす)ことができる。
【0039】
具体的には、加熱制御部34は、各ヒーター15に電力の供給を開始する場合には、まず、第1加熱処理を実行する。加熱制御部34は、第1加熱処理を実行する場合には、3つのヒーターユニット(第1ヒーターユニット15A、第2ヒーターユニット15B、及び第3ヒーターユニット15C)のうち、2つのヒーターユニット(第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15B)に電力を供給する。すなわち、加熱制御部34は、第1加熱処理を実行する際には、第1ヒーターユニット15A、第2ヒーターユニット15B、及び第3ヒーターユニット15C(複数のヒーター15の列)のうち、第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15B(一方のヒーター15の列)を形成するヒーター15に電力を供給する。より具体的には、加熱制御部34は、第1加熱処理を実行する場合には、第1リレー35をオンすることで、第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15Bに電力を供給する。これによって、第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15Bの各ヒーター15に電力が供給される。
【0040】
また、加熱制御部34は、第1加熱処理を実行した後に、第2加熱処理を実行する。加熱制御部34は、第2加熱処理を実行する場合には、第1加熱処理よりも少ない数の1つのヒーターユニット(第3ヒーターユニット15C)に電力を供給する。すなわち、加熱制御部34は、第2加熱処理を実行する際には、第1ヒーターユニット15A、第2ヒーターユニット15B、及び第3ヒーターユニット15C(複数のヒーター15の列)のうち、第3ヒーターユニット15C(他方のヒーター15の列)を形成するヒーター15に電力を供給する。より具体的には、加熱制御部34は、第2加熱処理を実行する場合には、第2リレー36をオンすることで、第3ヒーターユニット15Cに電力を供給する。これによって、第3ヒーターユニット15Cの各ヒーター15に電力が供給される。
【0041】
このように、加熱制御部34は、第1加熱処理を実行する際には、第1ヒーターユニット15A、第2ヒーターユニット15B、及び第3ヒーターユニット15Cのうち、第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15Bを形成するヒーター15に電力を供給し、第2加熱処理を実行する際には、第3ヒーターユニット15Cを形成するヒーター15に電力を供給することから、第1ヒーターユニット15A、第2ヒーターユニット15B及び第3ヒーターユニット15Cの各ヒーター15を同時にオンする場合と比べてヒーター15の突入電流を抑制することができる。また、ヒーターユニット毎(列毎)に順次ヒーター15をオンする場合と比べて、全てのヒーター15がオンになるまでの時間を短縮することができる。それゆえに、除湿ローター11の除湿能力をすぐに発揮することができ、除湿ローター11の除湿効率を向上できる。
【0042】
一方で、冷えた状態のヒーター15に電力が供給される際に、再生ファン13の回転数が大きい状態にあると、ヒーター15に多量の再生空気Sが供給されるため、ヒーター15から熱が奪われる。そのため、ヒーター15は、大電流を流してさらに発熱しようとし、結果としてヒーター15の突入電流がさらに大きくなる。
【0043】
そこで、第2回転制御部32は、加熱制御部34が各ヒーター15に電力を供給する際には、第2モーター14を制御することによって再生ファン13の回転数を制御する。具体的には、第2回転制御部32は、第2加熱処理を加熱制御部34が実行する際に第2モーター14の回転を制御する。より具体的には、第2回転制御部32は、第2加熱処理を加熱制御部34が実行する際に第2モーター14の回転を遅くすることで再生ファン13の回転数を下げる。或いは、第2回転制御部32は、第2モーター14の停止することで再生ファン13を停止させる。すなわち、第2加熱処理を加熱制御部34が実行する際に第2モーター14の回転を再生ファン13の通常動作時における回転より遅くする。このように、加熱制御部34が第2加熱処理を実行する際に、第2回転制御部が第2モーター14の回転を制御することで、ヒーター15に多量の再生空気Sが供給されることがなく、ヒーター15から熱が奪われ難くなる。そのため、ヒーター15が大電流を流してさらに発熱することがないため、ヒーター15の突入電流を抑制することができる。
【0044】
また一方で、ヒーター15の突入電流を抑制するために、再生ファン13の回転数を小さくし、或いは、再生ファン13を停止させると、ヒーター15に再生空気Sが供給されなくなる。そのため、ヒーター15の熱が除湿ローター11に籠り、籠ったヒーター15の熱によって除湿ローター11が変色或いは変形する。
【0045】
そこで、第1回転制御部31は、加熱制御部34が各ヒーター15に電力を供給する際には、第1モーター12を制御することによって除湿ローター11の回転数を制御する。具体的には、第1回転制御部31は、第2加熱処理を加熱制御部34が実行する際に第1モーター12の回転を制御する。より具体的には、第1回転制御部31は、第2加熱処理を加熱制御部34が実行する際に第1モーター12の回転を速くすることで除湿ローター11の回転数を上げる。すなわち、第1回転制御部31は、第2加熱処理を加熱制御部34が実行する際に第1モーター12の回転を除湿ローター11の通常動作時における回転より速くする。このように、加熱制御部34が第2加熱処理を実行する際に、第1回転制御部31が第1モーター12の回転を制御することで、除湿ローター11にヒーター15の熱が籠り難くなるため、籠ったヒーター15の熱によって除湿ローター11が変色或いは変形することを抑制できる。
【0046】
次に、各ヒーター15に電力を供給する際の除湿ローター11、再生ファン13、及びヒーター15の制御の流れについて説明する。
図4は、本実施形態に係る調湿装置10の除湿ローター11、再生ファン13、及びヒーター15の制御を示すフロー図である。
図5は、本実施形態に係る調湿装置10において、ヒーター15の第2加熱処理中に除湿ローター11及び再生ファン13の回転数を変化させた場合のヒーター15の出力電流、再生ファン13の回転数、及び除湿ローター11の回転数の変化を示すグラフである。
図6は、本実施形態に係る調湿装置10において、ヒーター15の第2加熱処理中に除湿ローター11及び再生ファン13の回転数を一定とした場合のヒーター15の出力電流、再生ファン13の回転数、及び除湿ローター11の回転数の変化を示すグラフである。
【0047】
図1、
図4及び
図5に示すように、加熱制御部34は、除湿ローター11の除湿部11aの吸着剤を再生するに際して、各ヒーター15に電力を供給するために、第1加熱処理を実行する(S1)。この際、第1回転制御部31は、除湿ローター11の回転数が通常動作時の回転数R1(例えば、1rpm)となるように、第1モーター12の回転を制御する。同様に、第2回転制御部32は、再生ファン13の回転数が通常動作時の回転数R2(例えば、3000rpm)となるように、第2モーター14の回転を制御する。
【0048】
加熱制御部34が第1加熱処理を実行することで、第1リレー35がオンされ、第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15Bの各ヒーター15に電力が供給される。この際、ヒーター15には、第1突入電流A1(例えば、最大14.8Aの突入電流)が流れるが、徐々に通常動作時の電流まで下がる。
【0049】
加熱制御部34は、第1加熱処理を実行して所定時間(例えば、30秒)が経過すると、第2加熱処理を実行する(S2)。この際、第1回転制御部31は、除湿ローター11の回転数R3が通常動作時の回転数R1より大きくなるように(例えば、除湿ローター11の回転数が通常動作時の1rpmから1.5rpmとなるように)、第1モーター12の回転を除湿ローター11の通常動作時における回転より速くする(S3)。一方、第2回転制御部32は、再生ファン13の回転数R4が通常動作時の回転数R2より小さくなるように(例えば、再生ファン13の回転数が通常動作時の3000rpmから500rpmとなるように)、第2モーター14の回転を再生ファン13の通常動作時における回転より遅くする(S4)。
【0050】
加熱制御部34が第2加熱処理を実行することで、第2リレー36がオンされ、第3ヒーターユニット15Cの各ヒーター15に電力が供給される。さらに、再生ファン13の回転数が通常動作時の回転数より小さくなることで、ヒーター15に供給される再生空気Sの量が抑えられる。そのため、ヒーター15から熱が奪われ難くなり、ヒーター15が大電流を流してさらに発熱することがない。それゆえに、
図5に示すように、ヒーター15に第2突入電流A2(例えば、最大10.9Aの突入電流)が流れるが、第1加熱処理時におけるヒーター15の第1突入電流A1(例えば、最大14.8Aの突入電流)より小さくなる。
【0051】
一方で、再生ファン13の回転数R4が通常動作時の回転数R2より小さくなると同時に、除湿ローター11の回転数R3が通常動作時の回転数R1より大きくなることで、除湿ローター11にヒーター15の熱が籠り難くなり、籠ったヒーター15の熱によって除湿ローター11が変色或いは変形することを抑制できる。
【0052】
なお、加熱制御部34が第2加熱処理を実行すると同時に、第1回転制御部31が第1モーター12の回転を制御せず、且つ第2回転制御部32が第2モーター14の回転を制御しなかった場合には、
図6に示すように、第2加熱処理時におけるヒーター15の第2突入電流A2(例えば、最大15.2Aの突入電流)が、第1加熱処理時におけるヒーター15の第1突入電流A1(例えば、最大14.8Aの突入電流)より大きくなる。すなわち、ヒーター15の突入電流が抑制されない。
【0053】
加熱制御部34が第2加熱処理を実行してから所定時間(例えば、10秒)経過後、第1回転制御部31は、除湿ローター11の回転数R3が通常動作時の回転数R1となるように、第1モーター12の回転を制御する(加熱制御部34の第2加熱処理時における回転より遅くする、S5)。同様に、第2回転制御部32は、再生ファン13の回転数R4が通常動作時の回転数R2となるように、第2モーター14の回転を制御する(加熱制御部34の第2加熱処理時における回転より速くする、S6)。
【0054】
以上のように、本実施形態によると、ヒーター15の突入電流を抑制しつつ除湿ローター11の除湿効率を向上できる。
【0055】
ヒーター15の突入電流を抑制できることで、出力の大きなヒーター15を短時間で加熱することができる。すなわち、本発明の実施形態では、加熱制御部34が第1加熱処理を実行する際に、3つのヒーターユニット(第1ヒーターユニット15A、第2ヒーターユニット15B、及び第3ヒーターユニット15C)のうちの2つのヒーターユニット(第1ヒーターユニット15A及び第2ヒーターユニット15B)のヒーター15の加熱を開始するため、3つのヒーターユニットを1つずつ加熱する場合より早く各ヒーター15を加熱することができる。
【0056】
ヒーター15の突入電流を抑制できることで、ヒーター15を制御するための第1リレー35及び第2リレー36を、より安価なりリレーによって構成することができる。
【0057】
また、本実施形態では、ヒーター15のオンに合わせて再生ファン13の回転数を制御するため、ヒーター15の突入電流を検知するための電流検知回路を設ける必要がない。
【0058】
さらに、本実施形態では、ヒーター15に電力を供給する際に、再生ファン13の回転数を低下させた場合に、除湿ローター11の回転数を上げることから、除湿ローター11にヒーター15の熱が籠り難くなり、籠ったヒーター15の熱によって除湿ローター11が変色或いは変形することを抑制できる。
【0059】
なお、調湿装置10では、ケーシング20の吸い込み口21から取り込まれる被除湿空気Kの湿度が低い場合には、第1回転制御部31は、第1モーター12の回転を除湿ローター11の通常動作時における回転より遅くすることで、除湿ローター11の回転数を低下させる。同時に、第2回転制御部32は、第2モーター14の回転を再生ファン13の通常動作時における回転より速くすることで、再生ファン13の回転数を上昇させる。すなわち、第2回転制御部32は、第1回転制御部31が、第1モーター12の回転を除湿ローター11の通常動作時における回転より遅くする場合には、第2モーター14の回転を再生ファン13の通常動作時における回転より速くする。このように、第2回転制御部32が第2モーター14を制御することで、除湿ローター11を低速で回転させて多くの被除湿空気Kを除湿ローター11に取り込ませて効率良く被除湿空気Kの除湿を行わせる一方で、ヒーター15の熱が過度に除湿ローター11付近に滞ることを抑制できる。
【0060】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、加熱部の突入電流を抑制しつつ除湿効率を向上できることができる。よって、本発明の産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0062】
10 調湿装置
11 除湿ローター
12 第1モーター(第1回転部)
13 再生ファン
14 第2モーター(第2回転部)
15 ヒーター(加熱部)
15A 第1ヒーターユニット(加熱部の列)
15B 第2ヒーターユニット(加熱部の列)
15C 第3ヒーターユニット(加熱部の列)
31 第1回転制御部
32 第2回転制御部
34 加熱制御部