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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149905
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】サーバ、処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01S 1/76 20060101AFI20231005BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231005BHJP
   G01S 1/80 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01S1/76
G06Q50/10
G01S1/80
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058708
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】岐部 景子
(72)【発明者】
【氏名】秀瀬 恭平
(72)【発明者】
【氏名】吉田 敏之
【テーマコード(参考)】
5J083
5L049
【Fターム(参考)】
5J083AA05
5J083AB12
5J083AB15
5J083AB16
5J083AD02
5J083AE02
5J083AE08
5J083AF19
5J083AG09
5J083BE11
5J083BE45
5J083CA08
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】検知対象物を認識しようとする利用者の利便性をさらに向上させることが可能な技術が提供されることが望まれる。
【解決手段】センサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御する制御部を備える、サーバが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御する制御部を備える、
サーバ。
【請求項2】
前記制御部は、前記センサデータに基づいて、前記センサデータの強度が第1の閾値より大きいか否かを前記周波数および前記時刻ごとに判定し、判定して得られた結果を前記分析結果として得る、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記制御部は、前記センサデータに基づいて、前記センサデータの強度が前記第1の閾値より大きい第1の周波数帯域を検出し、前記第1の周波数帯域が第1の帯域よりも広いことに基づいて、第1の検知対象物を検知する、
請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記制御部は、前記センサデータに基づいて、前記センサデータの強度が前記第1の閾値より大きい周波数が存在する第1の時刻を検出し、前記第1の時刻から所定の時間後の第2の時刻におけるセンサデータの強度が前記第1の閾値より大きい周波数帯域を前記第1の周波数帯域として検出する、
請求項3に記載のサーバ。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の検知対象物を検知したことに基づいて、前記端末に対して検知に係る情報に対応する識別情報を与えるよう制御する、
請求項3または4に記載のサーバ。
【請求項6】
前記第1の検知対象物は、船である、
請求項3~5のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項7】
前記制御部は、あらかじめ機械学習により生成されたモデルと、前記分析結果とに基づいて、第2の検知対象物を検知する、
請求項1に記載のサーバ。
【請求項8】
前記制御部は、前記モデルと前記分析結果とに基づいて出力される前記第2の検知対象物の検知確率が所定の確率よりも大きいことに基づいて、前記第2の検知対象物を検知する、
請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
前記制御部は、前記第2の検知対象物を検知したことに基づいて、前記端末に対して検知に係る情報に対応する識別情報を与えるよう制御する、
請求項7または8に記載のサーバ。
【請求項10】
前記第2の検知対象物は、ダイバーである、
請求項7~9のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項11】
前記制御部は、前記センサデータに基づいて、前記センサデータの強度が第2の閾値より大きい第2の周波数帯域を検出し、前記第2の周波数帯域が第2の帯域よりも広いことに基づいて、前記第2の検知対象物の検知を取り消す、
請求項7~10のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項12】
前記制御部は、前記センサデータに基づいて、前記センサデータの強度が第2の閾値より大きい時間を検出し、前記時間が所定の時間よりも短いことに基づいて、前記第2の検知対象物の検知を取り消す、
請求項7~10のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項13】
前記制御部は、前記識別情報を受けた前記端末から前記識別情報に基づく送信要求を受けたことに基づいて、前記検知に係る情報を前記端末に対して与えるよう制御する、
請求項5または9に記載のサーバ。
【請求項14】
前記検知に係る情報は、前記センサの位置に応じた地図を含む、
請求項13に記載のサーバ。
【請求項15】
前記制御部は、前記端末から前記分析結果の送信要求を受けたことに基づいて、前記分析結果を前記端末に対して与えるよう制御する、
請求項1~14のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項16】
前記制御部は、前記端末から前記分析結果の送信要求を受けたことに基づいて、前記分析結果と、前記センサの位置に応じた、気圧、水温および風力の少なくともいずれか一つとを、前記端末に対して与えるよう制御する、
請求項15に記載のサーバ。
【請求項17】
前記センサは、音響センサであり、
前記センサデータは、前記音響センサによって得られた音である、
請求項1~16のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項18】
前記センサデータは、前記センサが備えるセンサ部によって検出され、
前記センサ部は、水中に存在する、
請求項1~17のいずれか一項に記載のサーバ。
【請求項19】
センサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御することを含む、
処理方法。
【請求項20】
コンピュータに、
センサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御することを実行させるためのプログラム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、センサによって検知対象物を検知する技術が知られている。例えば、複数のマイクロフォンによって検出された音響信号を構成する周波数成分から、複数の周波数区分それぞれに属する周波数成分を抽出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。かかる技術では、抽出された周波数成分が周波数区分ごとに異なる表示色によって表示される。かかる技術によれば、特定の検知対象物が検知されたことが直感的に利用者によって認識され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-85386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、検知対象物を認識しようとする利用者の利便性をさらに向上させることが可能な技術が提供されることが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するために、本発明のある観点によれば、センサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御する制御部を備える、サーバが提供される。
【0006】
前記制御部は、前記センサデータに基づいて、前記センサデータの強度が第1の閾値より大きいか否かを前記周波数および前記時刻ごとに判定し、判定して得られた結果を前記分析結果として得てもよい。
【0007】
前記制御部は、前記センサデータに基づいて、前記センサデータの強度が前記第1の閾値より大きい第1の周波数帯域を検出し、前記第1の周波数帯域が第1の帯域よりも広いことに基づいて、第1の検知対象物を検知してもよい。
【0008】
前記制御部は、前記センサデータに基づいて、前記センサデータの強度が前記第1の閾値より大きい周波数が存在する第1の時刻を検出し、前記第1の時刻から所定の時間後の第2の時刻におけるセンサデータの強度が前記第1の閾値より大きい周波数帯域を前記第1の周波数帯域として検出してもよい。
【0009】
前記制御部は、前記第1の検知対象物を検知したことに基づいて、前記端末に対して検知に係る情報に対応する識別情報を与えるよう制御してもよい。
【0010】
前記第1の検知対象物は、船であってもよい。
【0011】
前記制御部は、あらかじめ機械学習により生成されたモデルと、前記分析結果とに基づいて、第2の検知対象物を検知してもよい。
【0012】
前記制御部は、前記モデルと前記分析結果とに基づいて出力される前記第2の検知対象物の検知確率が所定の確率よりも大きいことに基づいて、前記第2の検知対象物を検知してもよい。
【0013】
前記制御部は、前記第2の検知対象物を検知したことに基づいて、前記端末に対して検知に係る情報に対応する識別情報を与えるよう制御してもよい。
【0014】
前記第2の検知対象物は、ダイバーであってもよい。
【0015】
前記制御部は、前記センサデータに基づいて、前記センサデータの強度が第2の閾値より大きい第2の周波数帯域を検出し、前記第2の周波数帯域が第2の帯域よりも広いことに基づいて、前記第2の検知対象物の検知を取り消してもよい。
【0016】
前記制御部は、前記センサデータに基づいて、前記センサデータの強度が第2の閾値より大きい時間を検出し、前記時間が所定の時間よりも短いことに基づいて、前記第2の検知対象物の検知を取り消してもよい。
【0017】
前記制御部は、前記識別情報を受けた前記端末から前記識別情報に基づく送信要求を受けたことに基づいて、前記検知に係る情報を前記端末に対して与えるよう制御してもよい。
【0018】
前記検知に係る情報は、前記センサの位置に応じた地図を含んでもよい。
【0019】
前記制御部は、前記端末から前記分析結果の送信要求を受けたことに基づいて、前記分析結果を前記端末に対して与えるよう制御してもよい。
【0020】
前記制御部は、前記端末から前記分析結果の送信要求を受けたことに基づいて、前記分析結果と、前記センサの位置に応じた、気圧、水温および風力の少なくともいずれか一つとを、前記端末に対して与えるよう制御してもよい。
【0021】
前記センサは、音響センサであり、前記センサデータは、前記音響センサによって得られた音であってもよい。
【0022】
前記センサデータは、前記センサが備えるセンサ部によって検出され、前記センサ部は、水中に存在してもよい。
【0023】
また、本発明の別の観点によれば、センサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御することを含む、処理方法が提供される。
【0024】
また、本発明の別の観点によれば、コンピュータに、センサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御することを実行させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように本発明によれば、検知対象物を認識しようとする利用者の利便性をさらに向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施形態に係る密漁対策IoTシステムの構成例を示す図である。
図2】水中音響センサの構成例を示す図である。
図3】本発明の実施形態に係るサーバの機能構成例を示す図である。
図4】センサ情報の例を示す図である。
図5】通知先情報の例を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る監視者端末の機能構成例を示す図である。
図7】分析部による分析によって得られるスペクトログラムの第一の例を示す図である。
図8】分析部による分析によって得られるスペクトログラムの第二の例を示す図である。
図9】分析部による分析によって得られる音パターンの例を示す図である。
図10】検知メールの例を示す図である。
図11】検知対象物が1つの水中音響センサによって検知された場合における検知画面の例を示す図である。
図12】監視者端末によって表示されるスペクトログラムの例を示す図である。
図13】監視者端末によって表示される音パターンの例を示す図である。
図14】表示切り替えオブジェクトの選択操作が入力された場合の例を示す図である。
図15】付加情報表示領域がスクロールされた場合の例を示す図である。
図16】付加情報表示切り替えボタンの選択操作が入力された場合の例を示す図である。
図17】本発明の実施形態に係る密漁対策IoTシステムの動作例を示すフローチャートである。
図18】本発明の実施形態に係るサーバの例としての情報処理装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0028】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別する場合がある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素などの各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。また、異なる実施形態の類似する構成要素については、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合がある。ただし、異なる実施形態の類似する構成要素などの各々を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。
【0029】
[0.概要]
まず、本発明の実施形態の概要について説明する。
【0030】
近年、センサによって検知対象物を検知する技術が知られている。例えば、複数のマイクロフォンによって検出された音響信号を構成する周波数成分から、複数の周波数区分それぞれに属する周波数成分を抽出する技術が知られている(例えば、特許文献1参照。)。かかる技術では、抽出された周波数成分が周波数区分ごとに異なる表示色によって表示される。かかる技術によれば、特定の検知対象物が検知されたことが直感的に利用者によって認識され得る。
【0031】
本発明の実施形態では、検知対象物を認識しようとする利用者の利便性をさらに向上させることが可能な技術について主に提案する。より詳細に、本発明の実施形態では、検知対象物によってセンサデータの強度の周波数ごとの時間的な変化が異なることに着目する。
【0032】
さらに詳細に、本発明の実施形態では、センサデータに基づいて、センサデータの強度をセンサデータの周波数およびセンサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果が得られる。そして、分析結果が端末に対して送信される。これによって、利用者は、センサデータの強度が周波数および時刻ごとに分析された分析結果を、端末を用いて確認することができるため、利用者の利便性がさらに向上することが期待される。
【0033】
本発明の実施形態では、センサとして音響センサが用いられる場合を主に想定する。すなわち、本発明の実施形態では、音響センサによって得られたセンサデータ(音データ)から検知対象物が発する音が検出されることによって、検知対象物が検知される場合を主に想定する。しかし、センサは、音響センサに限定されず、音響センサ以外のセンサ(例えば、イメージセンサ、レーダ、レーザーセンサおよび超音波センサなど)であってもよい。センサとして音響センサ以外のセンサが用いられる場合であっても、センサとして音響センサが用いられる場合と同様に、センサデータから検知対象物の特徴が検出されることによって、検知対象物が検知され得る。
【0034】
検知対象物としては、様々な対象物が想定される。例えば、検知対象物が、密漁に用いられる各種対象物である場合が想定され得る。密漁に用いられる各種対象物の例としては、密漁船および密漁者などが挙げられる。これによって、密漁が利用者によって監視され得る。なお、密漁を監視することが重要であることは、近年の密漁による被害の大きさ、密漁の発見の困難性などに鑑みても明らかである。例えば、海上保安庁の年次報告「海上保安レポート2018」(http://www.kaiho.mlit.go.jp/info/books/report2018/html/honpen/2_04_chap3.html)は、「我が国周辺海域の豊かな水産資源は決して無尽蔵ではなく、生態系のバランスを保ち水産資源を枯渇させないために漁獲量や操業方法・区域・期間に制限を設けるなどのルールが設定されています。しかしながら、ルールに従わない一部の漁業者による違法な操業や、資金確保を目論む暴力団等による水産資源の乱獲が後を絶ちません。・・・海上保安庁では、監視能力の更なる向上や採証資機材等の充実を図り、悪質・巧妙化する密漁事犯の厳格な監視・取締りに努めます。また、引き続き、関係機関や漁業関係団体等との緊密な連携を図ることで、地域の特性に応じた未然防止対策等の総合的な密漁対策を推進し、漁業秩序の維持に努めていきます。」と示す。したがって、密漁船または密漁者が検知対象物とされることによって、本発明の実施形態は社会課題を解決しようとするものとなり、本発明の実施形態がより好適に実施され得る。
【0035】
ここで、密漁とは、一般に、「法を破ってひそかに漁をすること。」(大辞林)と解されており、免許または許可を得ずに漁業すること、禁漁や禁止漁法を定めた各種法令に違反すること、漁業権を侵害すること、などと解される。例えば、水産業に関わる業務を取り扱う京都府農林水産部の出先機関である京都府水産事務所は、「密漁とは、漁業権対象の生物を勝手にとること。」(https://www.pref.kyoto.jp/suiji/documents/mitsuryou.pdf)と示す。
【0036】
例えば、密漁の発見が困難であることは、以下のような理由による。すなわち、密漁は、夜間に暗い環境の中で行われることが多い。そのため、警備員の目視またはカメラによって密漁船および密漁者を発見するのは困難である。さらに、気象状況が悪い場合などには(例えば、降雪、台風、海霧、うねり、高波など)、視界不良になるため、警備員の目視またはカメラによって密漁船および密漁者を発見するのは昼間であっても困難である。また、海底に存在する海産資源(例えば、ナマコ、ウニ、サザエ、アワビ、牡蠣、真珠など)の密漁は、密漁者が潜水することによって行われることが多いため、警備員の目視またはカメラによって海底に存在する資源の密漁を監視するのは困難である。
【0037】
かかる密漁の発見の困難性に鑑みれば、密漁船または密漁者が検知対象物とされる場合には、センサとして音響センサが用いられるのが望ましい。その理由としては、音響センサによるセンシングの精度は、環境の明るさ(時間帯)、および視界の良さ(気象状況)の影響をほとんど受けないことが挙げられる。また、音響センサのセンシング部が水中に位置していれば、音響センサは、海中に存在する資源を採ろうとする密漁者を容易に検知することができる。以下では、センシング部が水中に位置する音響センサを「水中音響センサ」とも称する。
【0038】
なお、以下では、利用者が、密漁を監視する「監視者」であり、利用者の端末が、監視者によって用いられる「監視者端末」である場合を主に想定する。
【0039】
以上、本発明の実施形態の概要について説明した。
【0040】
[1.実施形態の詳細]
続いて、本発明の実施形態の詳細について説明する。
【0041】
[1-1.システムの構成]
まず、本発明の実施形態に係るシステムの構成例について説明する。なお、以下では、本発明の実施形態に係るシステムが密漁対策に用いられる場合を想定し、本発明の実施形態に係るシステムを特に「密漁対策IoT(Internet of Things)システム」とも称する。しかし、本発明の実施形態に係るシステムは、密漁対策以外に用いられてもよい(すなわち、本発明の実施形態に係るシステムは、IoTシステムに限定されない)。
【0042】
図1は、本発明の実施形態に係る密漁対策IoTシステムの構成例を示す図である。図1に示されるように、密漁対策IoTシステム1は、水中音響センサ10-1~10-N(Nは、1以上の整数)、サーバ20、および、監視者端末30-1~30-M(Mは、1以上の整数)を備える。なお、以下では、水中音響センサ10-1~10-Nそれぞれを区別する必要がない場合に、水中音響センサ10-1~10-Nそれぞれを「水中音響センサ10」とも称する。同様に、監視者端末30-1~30-Mそれぞれを区別する必要がない場合に、監視者端末30-1~30-Mそれぞれを「監視者端末30」とも称する。
【0043】
本発明の実施形態では、監視者端末30-1~30-Mそれぞれが、別々の監視者によって用いられる場合を主に想定する。しかし、複数の監視者端末30が1人の監視者によって用いられる場合があってもよいし、複数の監視者によって1つの監視者端末30が用いられる場合があってもよい。
【0044】
本発明の実施形態では、水中音響センサ10が、LTE(Long Term Evolution)網などのモバイル網を介して、インターネット上に存在するサーバ20と通信を行う場合を想定する。しかし、水中音響センサ10は、マルチホップ無線通信手段などの他の通信手段によってサーバ20と通信が可能であってもよい。
【0045】
一方、サーバ20は、サーバ機能を有するコンピュータによって実現され得る。
【0046】
また、本発明の実施形態では、監視者端末30が、スマートフォンによって構成される場合を主に想定する。しかし、監視者端末30は、タブレット端末、携帯電話、ビジネスフォン(キーテレホン)(ボタン電話機)、PDA(Personal Digital Assistant)(Personal Data Assistant)、オーディオプレーヤ、プリンター、ファクシミリ、スキャナー、コピー機、デジタルカメラ、自動化機器(不特定多数の人から利用され物(モノ)を自動的に取り扱うATM(cash matine)(automated teller matine)(automatic teller matine)や自動販売機や自動券売機やキオスク端末など)または現金処理機(現金の出し入れを管理する端末)、ウェアラブルコンピュータ、カーナビゲーションなどといった他の機器によって実現されてもよい。そして、監視者端末30は、LTE網などのモバイル網を介する無線通信やLAN(Local Area Network)などの有線網を介する有線通信でサーバ20と通信を行ってもよい。
【0047】
[水中音響センサ10]
水中音響センサ10は、環境に対してセンシングを行うことによってセンサデータ(音響データ)を得る。また、水中音響センサ10は、自身の状態(例えば、正常、故障および状態不明など)を示す情報(センサ状態情報)を取得する。水中音響センサ10は、センサデータおよびセンサ状態情報を得ると、センシングデータおよびセンサ状態情報をサーバ20に送信する。サーバ20に送信されるセンシングデータおよびセンサ状態情報のデータ形式は限定されないが、例えば、CSV(Comma-Separated Values)、TSV(Tab-Separated Values)ファイル、SSV(Space-Separated Values)、SSV(Semicolon-Separated Values)、HTML(HyperText Markup Language)、XML(Extensible Markup Language)、XHTML(Extensible HyperText Markup Language)、またはデータベース(dBASEやSQL(Structured Query Language)形式であってもよい。
【0048】
ここで、「センシング」とは、音、振動(震動)、温度、湿度、傾きなどの推定量の検知(増減や変化量や発生の検知)、並びに、煙、化学物質、および静電気などの発生の検知(増減や変化量や推定量の検知)を表す語として用いる。また、「センシング」とは、検知に加え、検知内容を信号に変換する処理を表す語として用いる。また、「センシング」とは、検知に加え、検知内容を計測・判別することを表す語として用いる。
【0049】
本発明の実施形態では、水中音響センサ10が、複数の音響センサ(マイクロフォン)を含む場合を想定する。これによって、複数の音響センサそれぞれによる音の検出結果に基づいて、水中音響センサ10の設置位置を基準とした音源の方位が特定され得る。ここで、水中音響センサ10の具体的な構成については限定されない。以下では、水中音響センサ10の構成例について説明する。
【0050】
図2は、水中音響センサ10の構成例を示す図である。図2を参照すると、水中音響センサ10の一例としての水中音響センサ12は、上部から順に、送信ブイ部170と、錘181と、フロート182と、センシング部130と、係留部150と、電源部140と、錘部160とを備える。しかし、これらの各構成の並び順は、図2に示された例に限定されない。また、送信ブイ部170のうち海面よりも上部の位置には、アンテナ部110、サーチライト部121、停泊灯部122および太陽電池123が設けられている。
【0051】
センシング部130は、水中に位置しており、水中をセンシングする音響センサである。センシング部130は、かかるセンシングによってセンサデータ(音響データ)を得る。送信ブイ部170は、アンテナ部110が海面よりも上部に位置する程度に浮力を受ける。アンテナ部110は、センシング部130からケーブルを介して伝達されたセンサデータと水中音響センサ12のセンサ状態情報とを無線通信によってサーバ20に送信する。
【0052】
錘181およびフロート182は、センシング部130と送信ブイ部170とを接続する(ケーブルを含んだ)ロープを撓ませたり伸ばしたりすることによって、送信ブイ部170が海面付近をある程度の範囲で移動することを許容する。係留部150は、(電源部140および錘部160を除く)水中音響センサ12を電源部140につなぎ留める。これによって、水中音響センサ12が海底まで沈み込む。電源部140は、アンテナ部110、センシング部130、サーチライト部121および停泊灯部122に電力を供給する。
【0053】
例えば、電源部140は、タイマ機能によって操業時間中(例えば、漁が行われる9時00分00秒から15時00分00秒の間)は自動的に電力の提供を停止し、操業時間以外(例えば、漁が行われない15時00分01秒から8時59分59秒の間)は自動的に電力の提供を開始してもよい。これによって、正規の船および正規のダイバー(潜水士)などが検知対象物として誤検知されることが抑制され得る。
【0054】
なお、後にも説明するように、水中音響センサ12が位置検出機能(例えば、GPS(Global Positioning System)による位置検出機能など)を有すれば、この位置検出機能によって得られた水中音響センサ12の位置が、水中音響センサ12からサーバ20に送信され得る。例えば、水中音響センサ12の位置は、所定の時間間隔で(例えば、1秒おきに)水中音響センサ12からサーバ20に送信されてもよい。また、水中音響センサ12の位置は、操業時間中であっても定期的に(例えば、1時間おきに)水中音響センサ12からサーバ20に送信されてもよい。このとき、GPSアンテナは、一例としてアンテナ部110の下部に設けられてもよいが、GPSアンテナが設けられる位置は限定されない。
【0055】
係留部150は、(錘部160を除く)水中音響センサ12を錘部160につなぎ留める。これによって、水中音響センサ12が海底まで沈み込む。錘部160は、海底に位置する程度の重さを有する物体であり、海底に沈み込み、係留部150を介し(電源部140および錘部160を除く)水中音響センサ12を所定範囲内の位置に留めさせる程度の物体であればよい。
【0056】
サーチライト部121は、周囲に対して光を照射することによって周囲を明るくする。密漁は、暗い環境の中で行われやすいため、サーチライト部121によって周囲が明るくされることによって、密漁が抑制されることが期待される。ここで、サーチライト部121は、所定時刻に光を照射してもよいし、周期的に光を照射してもよいし、ランダム(無作為)に任意のタイミングで光を照射してもよいし、センシング部130がセンサデータ(音響データ)を得ると光を照射してもよいし、サーバ20からの指示に基づき光を照射してもよい。
【0057】
停泊灯部122は、警告灯を点灯や点滅することで衝突防止注意喚起する。停泊灯部によって衝突防止注意喚起されることによって、水中音響センサ10に対する正規船や密漁船の衝突が抑制されることが期待される。なお、停泊灯部122は、電源部140から電力を供給されてもよいし、太陽電池123などから電力を供給されてもよい。なお、図2に示した水中音響センサ12は、係留部150で海底につなぎ留められた構造となっているが、センシング部130をドローンや小型無人船舶あるいは有人船舶などの移動体に取り付け、当該移動体を移動させることで異なる位置でのセンシングを可能とする構成としてもよい。
【0058】
[サーバ20]
図1に戻って説明を続ける。続いて、本発明の実施形態に係るサーバ20の機能構成例について説明する。図3は、本発明の実施形態に係るサーバ20の機能構成例を示す図である。図3に示されるように、本発明の実施形態に係るサーバ20は、制御部220と、記憶部230と、通信部240とを備える。制御部220は、分析部221と、対象物検知部222と、検知通知部223と、要求取得部224と、データ取得部225と、データ提供部226とを備える。
【0059】
[通信部240]
通信部240は、通信インタフェースによって構成され、水中音響センサ10と通信を行う。例えば、通信部240は、LTE網などのモバイル網を介して、水中音響センサ10と通信を行う。また、通信部240は、マルチホップ無線通信手段などの他の通信手段によって水中音響センサ10と通信を行ってもよい。さらに、通信部240は、監視者端末30と通信を行う。例えば、通信部240は、LTE網などのモバイル網を介して、監視者端末30と通信を行う。あるいは、通信部240は、監視者端末30と有線によって通信を行ってもよい。
【0060】
[記憶部230]
記憶部230は、制御部220を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、記憶部230は、制御部220の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってよい。例えば、記憶部230は、各種データの例として、センサ情報231および通知先情報232を記憶し得る。以下、図4を参照しながら、センサ情報231について説明し、図5を参照しながら、通知先情報232について説明する。
【0061】
[センサ情報231]
図4は、センサ情報231の例を示す図である。図4に示されるように、センサ情報231は、「センサID」と、「設置位置情報」と、「センサ状態情報」と、「センサデータ」と、「気象情報」と、「連絡先名」とが対応付けられて構成される。
【0062】
「センサID」は、水中音響センサ10を一意に識別するための情報である。
【0063】
「設置位置情報」は、水中音響センサ10が設置された位置を示す情報である。本発明の実施形態では、設置位置情報は、緯度経度によって表現される場合を主に想定する。しかし、設置位置情報の表現形式は限定されない。例えば、設置位置情報は、極座標形式によって表現されてもよい。例えば、設置位置情報は、人手によって入力されてもよいが、水中音響センサ10が自身の位置を検出する位置検出機能を有すれば、設置位置情報は、水中音響センサ10によって検出された設置位置に基づいて設定されてもよい。また、上記したように、水中音響センサ10の位置が所定の時間間隔で水中音響センサ10からサーバ20に送信される場合、サーバ20は、水中音響センサ10から受信される水中音響センサ10の位置に基づいて、所定の時間間隔で設置位置情報を更新してもよい。
【0064】
「センサ状態情報」および「センサデータ」は、水中音響センサ10から受信された場合に、センサ情報231に登録される。水中音響センサ10から受信された「センサ状態情報」および「センサデータ」に「センサID」が付されていれば、水中音響センサ10から受信された「センサID」と同一の「センサID」に対応付けられた「センサ状態情報」および「センサデータ」がセンサ情報231に登録される。
【0065】
「気象情報」は、水中音響センサ10の設置位置に応じた気象に関する情報である。気象情報はどのようにして取得されてもよい。例えば、水中音響センサ10の設置位置に応じた気象情報が所定のWebページから定期的に取得され、センサ情報231に登録されてもよい。水中音響センサ10の設置位置に応じた気象は、水中音響センサ10の設置位置そのものの気象であってもよいし、水中音響センサ10の設置位置から離れた場所(例えば、水中音響センサ10が設置された海域の管轄エリアなど)の気象であってもよい。なお、本発明の実施形態では、気象情報が、天候(例えば、風の強さ、天気など)、気温、湿度、降水量および風速などを含む場合を想定する。天気としては、晴れ、曇り、降雨および降雪、台風の接近などが想定される。例えば、天気が台風接近を示しているにも関わらず、密漁者または密漁船の検知が通知された場合などには、(台風接近中に密漁をするのは困難であると考えられることから)密漁者または密漁船の検知の通知が誤報であると判断され得る。しかし、気象情報が具体的にどのような情報を含むかは、特に限定されない。
【0066】
「連絡先名」は、水中音響センサ10に対応する連絡先(連絡を受けるべき監視者)の名称に該当する。例えば、監視者が自身の監視したいエリア(区域)に設置されている水中音響センサ10を、監視者端末30を用いてあらかじめ選択すればよい。これによって、その監視者の名称が「連絡先名」として、監視者によって選択された水中音響センサ10の「センサID」に対応付けられる。
【0067】
なお、図4に示された例において、センサ1とセンサ2とは、同じエリアに設置されており、センサ3は、センサ1およびセンサ2の設置されているエリアとは別のエリアに設置されている場合を想定する。このとき、「Aさん」と「Bさん」は、特定のエリアだけを監視しようとする者(例えば、特定の漁業協同組合など)に該当する。「Cさん」は、複数のエリアを監視しようとする者(例えば、全国漁業組合連合会など)に該当する。
【0068】
[通知先情報232]
図5は、通知先情報232の例を示す図である。図5に示されるように、通知先情報232は、「連絡先名」と、「通知先アドレス」と、「連絡先電話番号」とが対応付けられて構成される。例えば、通知先情報232は、監視者端末30を用いて監視者によってあらかじめ設定されればよい。
【0069】
「連絡先名」は、センサ情報231の「連絡先名」と同様に、水中音響センサ10に対応する連絡先(連絡を受けるべき監視者)の名称に該当する。
【0070】
「通知先アドレス」は、水中音響センサ10によって検知対象物が検知された場合に、検知の通知先を示すアドレスである。本発明の実施形態では、検知の通知手段が電子メール(検知メール)である場合を想定する。すなわち、「通知先アドレス」として、電子メールのアドレスが用いられる場合を主に想定する。しかし、「通知先アドレス」は、電子メールのアドレスに限定されない。
【0071】
例えば、後に説明するように、検知の通知には文字列が含まれる必要があるため、検知の通知手段は、文字列を送ることが可能な手段であればよい。例えば、検知の通知手段は、文字列を送信可能な所定のアプリケーションであってもよい。例えば、検知の通知手段がSNS(Social Networking Service)アプリケーションであれば、通知先アドレスはSNSのアカウントであってよい。あるいは、例えば、検知の通知手段がショートメールであれば、通知先アドレスは電話番号であってよい。
【0072】
「連絡先電話番号」は、水中音響センサ10に対応する連絡先(連絡を受けるべき監視者)の電話番号に該当する。
【0073】
[制御部220]
制御部220は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を含み、ROM(Read Only Memory)により記憶されているプログラムが演算装置によりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、これらのブロックは、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。演算装置による演算に必要なデータは、記憶部230によって適宜記憶される。
【0074】
なお、分析部221と、対象物検知部222と、検知通知部223と、要求取得部224と、データ取得部225と、データ提供部226については、後に詳細に説明する。
【0075】
[監視者端末30]
図1に戻って説明を続ける。続いて、本発明の実施形態に係る監視者端末30の機能構成例について説明する。図6は、本発明の実施形態に係る監視者端末30の機能構成例を示す図である。図6に示されるように、本発明の実施形態に係る監視者端末30は、入力部310と、制御部320と、記憶部330と、通信部340と、表示部350とを備える。
【0076】
[入力部310]
入力部310は、監視者による操作を受け付ける。本発明の実施形態では、入力部310がタッチパネルである場合を主に想定する。しかし、入力部310の種類は限定されない。例えば、入力部310は、キーボードを含んでもよいし、マウスを含んでもよいし、電子ペンを含んでもよいし、他の入力装置を含んでもよい。
【0077】
[制御部320]
制御部320は、CPUなどを含み、記憶部330により記憶されているプログラムがCPUによりRAMに展開されて実行されることにより、その機能が実現され得る。このとき、当該プログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。あるいは、制御部320は、専用のハードウェアにより構成されていてもよいし、複数のハードウェアの組み合わせにより構成されてもよい。演算装置による演算に必要なデータは、記憶部330によって適宜記憶される。
【0078】
[記憶部330]
記憶部330は、制御部320を動作させるためのプログラムおよびデータを記憶することが可能な記憶装置である。また、記憶部330は、制御部320の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってよい。
【0079】
[通信部340]
通信部340は、通信インタフェースによって構成され、サーバ20と通信を行う。通信部340は、LTE網などのモバイル網を介して、サーバ20と通信を行う。あるいは、通信部340は、サーバ20と有線によって通信を行ってもよい。
【0080】
[表示部350]
表示部350は、制御部320による制御に従って表示を行う機能を有する。ここで、表示部350の形態は特に限定されない。例えば、表示部350は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置であってもよいし、液晶ディスプレイ(LCD)装置であってもよいし、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置であってもよいし、ランプなどの表示装置であってもよい。
【0081】
[分析部221]
図3に戻って説明を続ける。分析部221は、水中音響センサ10によって得られたセンサデータ(音響データ)に基づいて、音の強度を音の周波数および音が検出された時刻ごとに分析して分析結果(以下、「スペクトログラム」とも言う。)を得る。図7を参照しながら、分析部221による分析によって得られるスペクトログラムの例について説明する。
【0082】
図7は、分析部221による分析によって得られるスペクトログラムの第一の例を示す図である。図7に示されたスペクトログラムにおいて、縦軸は音の周波数を示し、横軸は音が検出された時刻を示し、周波数および時刻に対応する位置に音の強度が示されている。なお、音の強度が大きいほど、濃い黒色によって示されている。図7に示された例では、周波数と時刻との組み合わせからなるエリアD11~D13それぞれにおいて、音が検出されているのが把握される。より詳細に、エリアD11~D13それぞれに対応する音は、ダイバーが発する音である。
【0083】
図8は、分析部221による分析によって得られるスペクトログラムの第二の例を示す図である。図8に示されたスペクトログラムにおいも、図7に示されたスペクトログラムと同様に、縦軸は音の周波数を示し、横軸は音が検出された時刻を示し、周波数および時刻に対応する位置に音の強度が示されている。なお、音の強度が大きいほど、濃い黒色によって示されている。図8に示された例では、周波数と時刻との組み合わせからなるエリアD21~D22それぞれにおいて、音が検出されているのが把握される。より詳細に、エリアD21~D22それぞれに対応する音は、海洋生物が発する音である。
【0084】
図3に戻って説明を続ける。分析部221は、水中音響センサ10によって得られたセンサデータ(音響データ)に基づいて、音の強度があらかじめ定められた第1の閾値より大きいか否かを周波数および時刻ごとに判定し、判定して得られた結果を分析結果(以下、「音パターン」とも言う。)として得てもよい。図9を参照しながら、分析部221による分析によって得られる音パターンの例について説明する。
【0085】
図9は、分析部221による分析によって得られる音パターンの例を示す図である。図9に示された音パターンにおいて、縦軸は音の周波数を示し、横軸は音が検出された時刻を示し、周波数および時刻に対応する位置に音の強度が第1の閾値より大きいか否かが示されている。なお、音の強度が第1の閾値より大きいことが「1」によって示され、音の強度が第1の閾値以下であることが「0」によって示されている。
【0086】
図9に示された例では、時間経過に伴って、強度が第1の閾値より大きい音の検出される周波数帯域(すなわち、音パターンにおいて「1」が立っている周波数帯域)が広くなっていることが把握される。これは、船が音響センサ10に近づいており、船が発する音が徐々に広い周波数帯域において検出されていることが原因となっている。なお、Beam番号は、複数の検知方向それぞれに対して付された番号である。
【0087】
[対象物検知部222]
図3に戻って説明を続ける。対象物検知部222は、水中音響センサ10によって得られたセンサデータ(音響データ)に基づいて検知対象物を検知する。
【0088】
例えば、音の強度が第1の閾値よりも大きい周波数帯域があらかじめ定められた第1の帯域よりも広いという特徴を有する音を発する第1の検知対象物が存在する。そこで、対象物検知部222は、音の強度が第1の閾値より大きい第1の周波数帯域を検出し、第1の周波数帯域があらかじめ定められた第1の帯域よりも広いことに基づいて、第1の検知対象物を検知し得る。
【0089】
より詳細に、かかる第1の検知対象物は、音の強度が第1の閾値より大きい周波数が存在する時刻(第1の時刻)から所定の時間後の時刻(第2の時刻)における音の強度が第1の閾値より大きい第1の周波数帯域が第1の帯域より広いという特徴を有する音を発する。そこで、対象物検知部222は、音の強度が第1の閾値より大きい周波数が存在する第1の時刻を検出し、第1の時刻から所定の時間後の第2の時刻における音の強度が第1の閾値より大きい周波数帯域を第1の周波数帯域として検出してもよい。
【0090】
例えば、図9に示された例において、音の強度が第1の閾値より大きい周波数が存在する時刻が「1秒」であり、所定時間が「5秒」である場合、対象物検知部222は、「6秒」における音の強度が第1の閾値より大きい周波数帯域を第1の周波数帯域として検出し、第1の周波数帯域があらかじめ定められた第1の帯域よりも広いことに基づいて、第1の検知対象物を検知し得る。
【0091】
第1の検知対象物は特に限定されないが、本発明の実施形態では、対象物検知部222が、第1の検知対象物として、船を検知する場合を想定する。このとき、船が発する音には、船が発するエンジン回転による機械音、および、船が発するスクリュー回転による水切り音などが含まれ得る。なお、対象物検知部222によって検知される船が密漁船である場合を想定し、以下では、対象物検知部222によって検知される船を「密漁船」とも言う。また、船は水面に浮かぶ動力源を有する移動体を広く包含する概念であり、水上バイクなども含み得る。
【0092】
また、あらかじめ定められたルールに基づいて検知するのが困難な第2の検知対象物も存在し得る。例えば、図7に示された例において、エリアD11~D13それぞれに対応するダイバーが発する音が小さく、ダイバーが発する音が検知されにくい場合が想定され得る。かかる場合などには、対象物検知部222は、あらかじめ機械学習により生成されたモデルと、スペクトログラムとに基づいて、第2の検知対象物を検知し得る。
【0093】
より詳細に、モデルがスペクトログラムを入力とし、第2の検知対象物の検知確率を出力とする場合が想定される。かかる場合には、対象物検知部222は、あらかじめ機械学習により生成されたモデルとスペクトログラムとに基づいて出力される第2の検知対象物の検知確率が所定の確率よりも大きいことに基づいて、第2の検知対象物を検知してもよい。
【0094】
機械学習アルゴリズムの種類は限定されない。例えば、機械学習アルゴリズムは、ニューラルネットワークであってもよいし、他の機械学習アルゴリズムであってもよい。また、学習段階においては、学習用のスペクトログラムを入力データとし、学習用のスペクトログラムに第2の検知対象物が発する音が含まれることを示す値「1」または第2の検知対象物が発する音が含まれないことを示す値「0」を正解データとし、モデルが生成されてもよい。
【0095】
第2の検知対象物は特に限定されないが、本発明の実施形態では、対象物検知部222が、第2の検知対象物として、ダイバー(すなわち、人)を検知する場合を想定する。このとき、ダイバーが発する音には、ダイバーがボンベから空気を吸引する際に空気がレギュレータ(調整噐・調節器)を通過する音が含まれ得る。なお、対象物検知部222によって検知されるダイバーが密漁者である場合を想定し、以下では、対象物検知部222によって検知されるダイバーを「密漁者」とも言う。
【0096】
また、ダイバーが発する音と類似する音を発する海洋生物が存在し得る。したがって、海洋生物が発する音の検知は、ダイバーが発する音が検知されたという誤検知につながってしまう可能性がある。そこで、海洋生物が発する音が検出された場合には、ダイバーが発する音の検知が取り消されるのが望ましい。
【0097】
例えば、図8に示されたエリアD21~D22それぞれに対応する海洋生物が発する音は、強度があらかじめ定められた第2の閾値より大きい周波数帯域があらかじめ定められた第2の帯域よりも広いという特徴を有する。そこで、対象物検知部222は、音の強度が第2の閾値より大きい第2の周波数帯域を検出し、第2の周波数帯域が第2の帯域よりも広いことに基づいて、ダイバーの検知を取り消してもよい。
【0098】
さらに、図8に示されたエリアD21~D22それぞれに対応する海洋生物が発する音は、強度があらかじめ定められた第2の閾値より大きい時間が所定の時間よりも短いという特徴を有する。そこで、対象物検知部222は、音の強度が第2の閾値より大きい時間を検出し、時間が所定の時間よりも短いことに基づいて、ダイバーの検知を取り消してもよい。
【0099】
なお、対象物検知部222は、音の強度が第2の閾値より大きい第2の周波数帯域が第2の帯域よりも広いこと、および、音の強度が第2の閾値より大きい時間が所定の時間よりも短いことに基づいて、ダイバーの検知を取り消してもよい。これによって、海洋生物が発する音の検出精度が高まり、海洋生物が発する音の検知が、ダイバーが発する音が検知されたという誤検知につながってしまう可能性が低減され得る。
【0100】
上記したように、対象物検知部222は、センサデータに基づいて水中音響センサ10の設置位置を基準とした音源(すなわち、検知対象物)の方位を特定し得る。なお、複数の水中音響センサ10によって同時に同一の検知対象物が検知される場合も想定される。かかる場合には、対象物検知部222は、複数の水中音響センサ10の設置位置それぞれを基準とした検知対象物の方位を特定し得る。このとき、対象物検知部222は、複数の水中音響センサ10の設置位置それぞれを基準とした検知対象物の方位と、複数の水中音響センサ10の設置位置とに基づいて、検知対象物の位置(緯度経度)を特定し得る。
【0101】
本発明の実施形態では、対象物検知部222がサーバ20に存在する場合を主に想定する。しかし、対象物検知部222は、水中音響センサ10とサーバ20との間に図示しない分析装置が存在する場合、当該分析装置に組み込まれていてもよい。かかる場合には、分析装置は、水中音響センサ10によって得られたセンサデータを受信する。そして、分析装置は、取得したセンサデータに基づいて検知対象物を検知した場合、検知対象物の方位または位置情報と、検知対象物の種別と、検知対象物が検知された水中音響センサ10のセンサIDとを、サーバ20に送信すればよい。
【0102】
[検知通知部223]
検知通知部223は、対象物検知部222によって検知対象物が検知されたことに基づいて(すなわち、対象物検知部222によって船またはダイバーが検知されたことに基づいて)アラームを出力する(警報を発する)。より詳細に、検知通知部223は、検知に関する情報そのものに先んじて、検知に関する情報に対応する識別情報および検知対象物の種別が、水中音響センサ10にあらかじめ対応付けられた監視者端末30(より詳細には、センサ情報231において、水中音響センサ10の「センサID」に対応付けられた「通知先アドレス」が示す監視者端末30)に送信されるように通信部240を制御する。これによって、監視者端末30に検知対象物の検知が通知される。識別情報は、アラームの一例に該当し得る。
【0103】
以下では、識別情報が、検知に関する情報の所在を示すURL(Uniform Resource Locator)である場合を想定する。検知に関する情報の所在を示すURLは、インターネットに係る技術の標準を定める団体であるIETF(Internet Engineering Task Force)が発行する文書RFC(Request For Comment)(例えばRFC2396やRFC3986など)に基づき形成されてもよい。例えば、RFC3986は、一般的なURI(Uniform Resource Identifier)構文としてscheme、authority、path、queryおよびfragmentと呼ばれる構成要素の階層的なシーケンスから成ると示し、「URI=scheme”:”hier-part[”?”query][”#”fragment]」と示す。検知に関する情報の所在を示すURLは、例えば「https://sensor.server.jp/poaching/999」となる。検知に関する情報の所在を示すURL「https://sensor.server.jp/poaching/999」は、スキーム(scheme)を表す識別情報(スキーム名)「https」、HTTP(HyperText Transfer Protocol)サーバ(サーバ20)アドレスを表す識別情報(ホスト名)「sensor.server.jp」およびパスを表す識別情報「/poaching/999」(「999」は検知に関する情報を提供するプログラムやWebページを表す識別情報)により構成されている。しかし、識別情報は、検知に関する情報を識別可能な情報であれば、URLに限定されない。例えば、識別情報は、検知に関する情報の所在を示すURLに対応する文字や画像などであってもよい。この場合、検知に関する情報の所在を示すURLに対応する文字や画像などは、検知に関する情報の所在を示すURLと異なる文字や画像などであってもよい。
【0104】
上記したように、検知の通知手段は限定されないが、検知メール(電子メール)によって検知が通知される場合、検知通知部223は、検知に関する情報の所在を示すURLの文字列を本文に含む検知メールが監視者端末30に送信されるように制御すればよい。また、検知メール(HTML電子メール)によって検知が通知される場合、検知通知部223は、検知に関する情報の所在を示すURLに対応する文字や画像などを本文に含む検知メールが監視者端末30に送信されるように制御すればよい。なお、検知に関する情報の具体的な例については、後に説明する。
【0105】
[検知メール]
図10は、検知メールの例を示す図である。図10に示されるように、検知メールG10は、送信者、件名、(検知メールの)送信日時、(検知メールの)宛先、および、本文を含んでいる。本文には、検知対象物の種別の例として「密漁船」および「密漁者」が記述されている。また、検知に関する情報の所在を示すURL(B10)(https://sensor.server.jp/poaching/999)が記述されている。監視者端末30において、制御部320は、通信部340によって検知メールG10が受信されると、表示部350によって検知メールG10が表示されるように表示部350を制御する。なお、監視者端末30(制御部320)は、検知メールG10を受信すると、自動的に検知メールG10を表示するよう制御するものであってもよいし、監視者の操作に応じて検知メールG10を表示するよう制御するものであってもよい。
【0106】
監視者は、検知に関する情報を確認したいと考えたタイミングで、URL(B10)の選択操作を入力部310に対して行う。例えば、入力部310がタッチパネルを含む場合には、選択操作は、タッチパネルへのタップ操作であってよい。あるいは、入力部310がマウスを含む場合には、選択操作は、マウスを用いたクリック操作であってよい。その他、選択操作は、入力部310の種類に応じて適宜に変更されてよい。なお、検知に関する情報の所在を示すURL(B10)が検知に関する情報の所在を示すURLに対応する文字や画像などであると、監視者は、検知に関する情報を確認したいと考えたタイミングで、検知に関する情報の所在を示すURLに対応する文字や画像などの選択操作を入力部310に対して行う。
【0107】
入力部310によってURLの選択操作(URLに対応する文字や画像などの選択操作)が受け付けられると、制御部320は、URL(URLに対応する文字や画像など)に対応するデータ送信要求がサーバ20に送信されるように通信部340を制御する。例えば、制御部320は、データ送信要求(HTTPメッセージ)として、リクエスト行にGETメソッド(文字「GET」)およびリクエスト対象「https://sensor.server.jp/poaching/999」(文字)が含まれるHTTPのGETリクエストがサーバ20に送信されるように通信部340を制御する。ここで、データ送信要求におけるリクエスト対象「https://sensor.server.jp/poaching/999」は、検知メールG10に含まれる検知に関する情報の所在を示すURL(B10)である。
【0108】
なお、監視者が選択操作を行ってから所定の時間以内に監視者端末30にて何らかの連絡機能(例えば、電話機能、メール機能など)によって他人に連絡を行った場合、監視者から連絡を受けた当該他人の名称(連絡先名)や当該他人の連絡先の情報(通知先アドレスおよびまたは連絡先電話番号)が監視者端末30からサーバ20に通知されてもよい。このとき、サーバ20は、監視者端末30から通知された当該他人の名称を「連絡先名」としてセンサ情報231(図4)に新たに登録し、監視者端末30から通知された当該他人の名称と当該他人の連絡先の情報とを「連絡先名」「通知先アドレス(およびまたは連絡先電話番号)」として通知先情報232(図5)に新たに登録してもよい。そして、サーバ20は監視者に加え、新たに登録された当該他人の連絡先の情報に基づき、当該他人に検知メールG10を送信してもよい。サーバ20は、通知先情報232(図5)に新たに登録することで、監視者端末30に送付済みの検知メールG10を当該他人の通知先アドレスに再送することができるようになり、監視者端末30に検知メールG10を新たに送付する際に当該他人の通知先アドレスを含めることができるようになる。
【0109】
[要求取得部224]
図3に戻って説明を続ける。サーバ20において、通信部240によって、監視者端末30からURLに対応するデータ送信要求が受信されると、要求取得部224は、通信部240からURLに対応するデータ送信要求を取得する。
【0110】
[データ取得部225]
データ取得部225は、要求取得部224によってURLに対応するデータ送信要求が取得された場合、URLに対応する検知に関する情報を取得する。本発明の実施形態では、検知に関する情報が、検知対象物が検知された水中音響センサ10の設置位置に応じた地図を含む場合を想定する。
【0111】
なお、本発明の実施形態では、データ取得部225が、所定の地図提供API(Application Programming Interface)から地図を取得する場合を主に想定する。かかる場合には、データ取得部225は、取得したい地図の基準点と、基準点を中心とした地図の範囲(例えば、ズーム)とを地図提供APIに通知すれば、その基準点を中心とした範囲の地図を地図提供APIから得ることができる。
【0112】
したがって、地図提供APIは、地図情報を管理すると共に提供する地図提供プログラムとデータ取得部225とが互いにやりとりするためのインタフェースの仕様であって、地図情報を提供する地図提供プログラムとデータ取得部225との間に介在するプログラムである。地図提供APIは、地図提供プログラム内に内在するものであってもよいし、地図提供プログラムとは別のプログラムとして存在するものであってもよい。
【0113】
また、地図提供プログラムと地図提供APIとは、サーバ20に配されてもよいし、サーバ20以外の外部のサーバに配されてもよい。地図提供プログラムおよび地図提供APIがサーバ20に配される場合、記憶部230に地図情報が記憶されており、データ取得部225は地図提供APIを介して記憶部230から地図が取得できる。地図提供プログラムおよび地図提供APIがサーバ20以外の外部のサーバに配される場合、外部のサーバに地図情報が記憶されており、データ取得部225はネットワークと地図提供APIとを介して外部のサーバから地図が取得できる。
【0114】
例えば、地図提供プログラムおよび地図提供APIがサーバ20以外の外部のHTTPサーバに配されており、データ取得部225が、所定の地図提供APIから地図を取得する場合、HTTPを利用することができる。この場合、外部のHTTPサーバは地図情報を管理すると共にHTTPの通信プロトコルに基づいてネットワーク越しで地図を提供する地図提供サーバであるから、地図提供APIを地図提供WebAPI(地図提供Webサービス)と換言してもよい。
【0115】
ここで、基準点は、監視者端末30にあらかじめ対応付けられた水中音響センサ10の設置位置であってもよい。このとき、地図の範囲は、監視者端末30にあらかじめ対応付けられた水中音響センサ10の検知可能範囲が収まるように決められるのが望ましい。
【0116】
あるいは、監視者端末30にあらかじめ対応付けられた水中音響センサ10が複数存在する場合、基準点は、複数の水中音響センサ10の設置位置に応じた位置(例えば、重心位置など)であってもよい。このとき、地図の範囲は、監視者端末30にあらかじめ対応付けられた複数の水中音響センサ10すべての検知可能範囲が収まるように決められるのが望ましい。
【0117】
あるいは、基準点は、監視者端末30にあらかじめ対応付けられた1または複数の水中音響センサ10のうち、検知対象物が検知された水中音響センサ10の設置位置であってもよい。このとき、地図の範囲は、検知対象物が検知された水中音響センサ10の検知可能範囲が収まるように決められるのが望ましい。
【0118】
さらに、本発明の実施形態では、検知に関する情報が、地図以外の付加情報を含む場合を想定する。しかし、検知に関する情報は、地図および付加情報の少なくともいずれか一方を含んでいればよい。
【0119】
本発明の実施形態では、付加情報が、検知対象物が検知された水中音響センサ10にあらかじめ対応付けられた連絡先名および連絡先電話番号(図5)を含む場合を想定する。なお、連絡先名および連絡先電話番号は、通知先に関する情報の例であるため、通知先名および連絡先電話番号の代わりに、他の通知先に関する情報(例えば、通知先アドレスなど)が付加情報に含まれてもよい。
【0120】
さらに、本発明の実施形態では、付加情報が、検知対象物が検知された水中音響センサ10のセンサ状態情報(図4)を含む場合を想定する。また、本発明の実施形態では、付加情報が、検知対象物が検知された水中音響センサ10の設置位置に応じた気象情報を含む場合を想定する。
【0121】
さらに、本発明の実施形態では、付加情報が、監視者端末30への検知メール送信日時(検知メール送信日付および検知メール送信時刻)を含む場合を想定する。しかし、付加情報は、監視者端末30への検知メール送信日時の代わりに、または、監視者端末30への検知メール送信日時に追加して、検知対象物の検知日時(検知対象物の検知日付および検知対象物の検知時刻)を含んでもよい。
【0122】
[データ提供部226]
データ提供部226は、検知に関する情報が監視者端末30に送信されるように通信部240を制御する。例えば、データ提供部226は、HTTPのGETリクエストに対する応答として、検知に関する情報を含むHTTPレスポンスが監視者端末30に返信されるように通信部240を制御する。
【0123】
[検知画面]
監視者端末30においては、通信部340によって検知に関する情報が受信されると、制御部320によって検知に関する情報が取得される。制御部320は、検知に関する情報に基づいて、検知画面が表示部350によって表示されるように表示部350を制御する。監視者は、表示部350によって表示された検知画面を見ることによって、検知に関する情報を把握することができる。以下、図11図16を参照しながら、検知画面の例について説明する。
【0124】
図11は、検知対象物が1つの水中音響センサ10によって検知された場合における検知画面G20の例を示す図である。図11を参照すると、検知画面G20には、地図が表示される領域(地図表示領域W21)と、付加情報が表示される領域(付加情報表示領域W22)が含まれている。地図表示領域W21を参照すると、データ取得部225によって、検知対象物が検知された水中音響センサ10の設置位置に対応する地図上の位置(地図上のセンサ位置)に、センサを示すオブジェクト(センサオブジェクトB211)が付加されている。
【0125】
地図表示領域W21を参照すると、データ取得部225によって、密漁者の方位に対応する地図上の方向に、地図上のセンサ位置を基準としたオブジェクト(密漁者検知方向オブジェクトD211)が付されている。さらに、地図表示領域W21を参照すると、データ取得部225によって、密漁船の方位に対応する地図上の方向に、地図上のセンサ位置を基準としたオブジェクト(密漁船検知方向オブジェクトD212)が付されている。
【0126】
なお、図11に示された例では、密漁者検知方向オブジェクトD211と密漁船検知方向オブジェクトD212とが、色の違いとサイズの違いによって区別されているが、密漁者検知方向オブジェクトD211と密漁船検知方向オブジェクトD212とは、他の態様によって区別されていてもよい。例えば、密漁者検知方向オブジェクトD211と密漁船検知方向オブジェクトD212とは、形状の違いによって区別されてもよい。
【0127】
また、図11に示された例では、密漁者検知方向オブジェクトD211および密漁船検知方向オブジェクトD212それぞれの形状が、扇形であるが、密漁者検知方向オブジェクトD211および密漁船検知方向オブジェクトD212それぞれの形状は限定されない。例えば、密漁者検知方向オブジェクトD211および密漁船検知方向オブジェクトD212それぞれの形状は、地図上のセンサ位置に頂点が位置するような三角形などであってもよい。
【0128】
さらに、地図表示領域W21を参照すると、地図には、地図の表示サイズを調整するためのオブジェクト(表示サイズ調整オブジェクトD272)が含まれている。これによって、監視者は、表示サイズ調整オブジェクトD272を用いて拡大操作または縮小操作を入力部310に入力することによって、拡大または縮小後の地図がサーバ20から監視者端末30に提供され、表示部350によって拡大または縮小後の地図が新たに表示される。
【0129】
さらに、地図表示領域W21を参照すると、地図には、実空間での幅に対応する地図上での幅がスケールバーとして含まれている。実空間での幅の例として「100m」が表示されている。スケールバーを確認することによって、監視者は、地図上での幅と実空間での幅との対応関係を把握することができる。その他、地図表示領域W21を参照すると、地図には、データ取得部225によって、表示切り替えオブジェクトB210が付加されている。表示切り替えオブジェクトB210については、後に説明する。
【0130】
付加情報表示領域W22には、地図が最後に更新された日時を示す「最終更新日時」が含まれている。また、付加情報表示領域W22には、システムの状態を示す「状態:密漁検知中」が含まれている。さらに、付加情報表示領域W22には、付加情報表示切り替えボタンB221が含まれている。付加情報表示切り替えボタンB221については、後に説明する。その他、付加情報表示領域W22には、「検知メール送信日時」が含まれているが、上記したように、「検知メール送信日時」の代わりに、または、「検知メール送信日時」に追加して、検知対象物の検知日時が含まれてもよい。
【0131】
さらに、付加情報表示領域W22には、クリアボタンB222が含まれている。監視者は、クリアボタンB222の選択操作を入力部310に入力することによって、サーバ20に対して、検知メール送信日時をクリアさせることができる。検知メールが監視者端末30に一度送信されれば、一定時間は検知対象物が再度検知されたとしても検知メールが監視者端末30に送信されないのが通例である。しかし、クリアボタンB222が選択された後には、一定時間が経過しなくても、検知対象物が再度検知されたタイミングで検知メールが監視者端末30に送信される。
【0132】
その他、付加情報表示領域W22には、「連絡先一覧」が含まれている。「連絡先一覧」は、検知対象物が検知された水中音響センサ10にあらかじめ対応付けられた連絡先名および連絡先電話番号(図5)の一覧である。しかし、上記したように、連絡先名および連絡先電話番号は、通知先に関する情報の例であるため、通知先名および連絡先電話番号の代わりに、他の通知先(例えば、警備会社や警察など)に関する情報(例えば、通知先アドレスなど)が付加情報表示領域W22に含まれてもよい。
【0133】
付加情報表示領域W22には、音声再生ボタンB224も含まれる。監視者が、音声再生ボタンB224の選択操作を入力部310に入力すると、監視者端末30は、再生要求をサーバ20に送信する。データ提供部226は、監視者端末30から通信部240を介して再生要求を受けたことに基づいて、対象物検知部222によって検知対象物が検知された際の録音データを再生し、再生された音を監視者端末30に対して与えるように通信部240を制御する。監視者端末30において、表示部350は、再生された音を出力する。
【0134】
これによって、監視者は、船またはダイバーの音が検知されたのか、その他の音が検知されたのかを自身の聴覚によって確認することができる。
【0135】
付加情報表示領域W22には、スペクトログラム参照ボタンB225も含まれる。監視者が、スペクトログラム参照ボタンB225の選択操作を入力部310に入力すると、監視者端末30は、スペクトログラム送信要求をサーバ20に送信する。データ提供部226は、監視者端末30から通信部240を介してスペクトログラム送信要求を受けたことに基づいて、スペクトログラムを監視者端末30に対して与えるように通信部240を制御する。監視者端末30において、表示部350は、スペクトログラムを表示する。
【0136】
図12は、監視者端末30によって表示されるスペクトログラムの例を示す図である。図12を参照すると、スペクトログラムが表示されている他、開始日選択欄B231、開始時刻選択欄B232、終了日選択欄B233、終了時刻選択欄B234、音響センサ選択欄B235、表示ボタンB236が設けられている。
【0137】
開始日選択欄B231は、表示されるスペクトログラムの開始日を選択するための選択欄である。開始時刻選択欄B232は、表示されるスペクトログラムの開始時刻を選択するための選択欄である。終了日選択欄B233は、表示されるスペクトログラムの終了日を選択するための選択欄である。終了時刻選択欄B234は、表示されるスペクトログラムの終了時刻を選択するための選択欄である。
【0138】
音響センサ選択欄B235は、どの音響センサによって検知された音のスペクトログラムを表示するかを選択するための選択欄である。表示ボタンB236は、スペクトログラムの表示を開始するためのボタンである。なお、ここでは、表示されるスペクトログラムの開始から終了までの時間幅を監視者が指定する場合を想定している。しかし、検知対象物の種類に応じて音の特徴が現れる時間幅が異なることが想定される。そこで、データ提供部226は、検知対象物の種類に応じて表示されるスペクトログラムの開始から終了までの時間幅を決めてもよい。一例として、船が発する音よりもダイバーが発する音のほうが、音の特徴が現れる時間幅が狭いことが想定される。そこで、データ提供部226は、検知対象物が船である場合よりも、検知対象物がダイバーである場合のほうが、表示されるスペクトログラムの開始から終了までの時間幅を狭くしてもよい。
【0139】
図12を参照すると、気圧、水温、風力も表示されている。すなわち、データ提供部226は、監視者端末30から通信部240を介してスペクトログラム送信要求を受けたことに基づいて、スペクトログラムの他に、音響センサ10の位置に応じた、気圧、水温および風力の少なくともいずれか一つを監視者端末30に対して与えるように通信部240を制御してもよい。気圧、水温、風力などによっても、音響センサ10による音の検知の状況が変わり得ることが想定されるため、気圧、水温、風力などといった情報も、監視者にとって有用となり得る。
【0140】
なお、気圧、水温、風力は、水中音響センサ10の設置位置そのものの気圧、水温、風力であってもよいし、水中音響センサ10の設置位置から離れた場所(例えば、水中音響センサ10が設置された海域の管轄エリアなど)の気圧、水温、風力であってもよい。気圧、水温、風力はどのようにして取得されてもよい。例えば、水中音響センサ10の位置に応じた気圧、水温、風力が所定のWebページから取得されてもよい。
【0141】
図11に戻って説明を続ける。付加情報表示領域W22には、音パターン参照ボタンB226も含まれる。監視者が、音パターン参照ボタンB226の選択操作を入力部310に入力すると、監視者端末30は、音パターン送信要求をサーバ20に送信する。データ提供部226は、監視者端末30から通信部240を介して音パターン送信要求を受けたことに基づいて、音パターンを監視者端末30に対して与えるように通信部240を制御する。監視者端末30において、表示部350は、音パターンを表示する。
【0142】
図13は、監視者端末30によって表示される音パターンの例を示す図である。図13を参照すると、音パターンが表示されている他、図12に示された例と同様に、開始日選択欄B231、開始時刻選択欄B232、終了日選択欄B233、終了時刻選択欄B234、音響センサ選択欄B235、表示ボタンB236が設けられている。また、図13に示された例では、スクロールバーB234が設けられている。
【0143】
開始日選択欄B231は、表示される音パターンの開始日を選択するための選択欄である。開始時刻選択欄B232は、表示される音パターンの開始時刻を選択するための選択欄である。終了日選択欄B233は、表示される音パターンの終了日を選択するための選択欄である。終了時刻選択欄B234は、表示される音パターンの終了時刻を選択するための選択欄である。
【0144】
音響センサ選択欄B235は、どの音響センサによって検知された音の音パターンを表示するかを選択するための選択欄である。表示ボタンB236は、音パターンの表示を開始するためのボタンである。スクロールバーB234は、音パターンのうち表示される時間をスクロールさせるためのスクロールバーである。なお、ここでは、表示される音パターンの開始から終了までの時間幅を監視者が指定する場合を想定している。しかし、検知対象物の種類に応じて音の特徴が現れる時間幅が異なることが想定される。そこで、データ提供部226は、検知対象物の種類に応じて表示される音パターンの開始から終了までの時間幅を決めてもよい。一例として、船が発する音よりもダイバーが発する音のほうが、音の特徴が現れる時間幅が狭いことが想定される。そこで、データ提供部226は、検知対象物が船である場合よりも、検知対象物がダイバーである場合のほうが、表示される音パターンの開始から終了までの時間幅を狭くしてもよい。また、図13を参照すると、図12と同様に、気圧、水温、風力も表示されている。
【0145】
なお、図13に示された例では、音の強度が第1の閾値より大きい周波数および時刻に対応する位置には着色が施され、音の強度が第1の閾値以下である周波数および時刻に対応する位置には、着色が施されていない。この例のように、音の強度が第1の閾値より大きい周波数および時刻に対応する位置の表示態様と、音の強度が第1の閾値以下である周波数および時刻に対応する位置の表示態様とが異なることによって、音の強度と周波数および時刻との対応関係が監視者によって直感的に把握され得る。
【0146】
さらに、付加情報表示領域W22には、検知メール履歴ボタンB227も含まれる。監視者が、検知メール履歴ボタンB227の選択操作を入力部310に入力すると、監視者端末30は、検知メール履歴送信要求をサーバ20に送信する。データ提供部226は、監視者端末30から通信部240を介して検知メール履歴送信要求を受けたことに基づいて、検知メール送信時刻の履歴を監視者端末30に対して与えるように通信部240を制御する。監視者端末30において、表示部350は、検知メール送信時刻の履歴を表示する。これによって、監視者によって検知メール送信時刻の履歴が把握され得る。
【0147】
さらに、付加情報表示領域W22には、ダウンロードボタンB228も含まれる。監視者が、ダウンロードボタンB228の選択操作を入力部310に入力すると、監視者端末30は、ダウンロード要求をサーバ20に送信する。データ提供部226は、監視者端末30から通信部240を介してダウンロード要求を受けたことに基づいて、音響センサ10の電源部140の電圧と音響センサ10の位置とを監視者端末30に対して与えるように通信部240を制御する。監視者端末30において、表示部350は、電源部140の電圧と音響センサ10の位置とを表示する。これによって、監視者によって電源部140の残量がどのくらいか、音響センサ10がどこにあるかが把握され得る。
【0148】
図14は、表示切り替えオブジェクトB210の選択操作が入力された場合の例を示す図である。表示切り替えオブジェクトB210は、水中音響センサ10に関する情報の表示と非表示との間で切り替えを行うためのオブジェクトである。かかる表示切り替えオブジェクトB210は、データ取得部225によって、地図に対して付加される。
【0149】
図14に示された例では、水中音響センサ10に関する情報の例として、水中音響センサ10のセンサ名D217が地図に付加されている。その他、水中音響センサ10に関する情報の例として、密漁者を検知した音響センサに関する情報D215(密漁者の「検知時刻」、センサを基準とした密漁者の「方位」、密漁者検知範囲の「半径」)、および、密漁船を検知した音響センサに関する情報D216(密漁船の「検知時刻」、センサを基準とした密漁船の「方位」、密漁船検知範囲の「半径」)が地図に付加されている。
【0150】
なお、表示切り替えオブジェクトB210の選択解除が入力された場合には、センサ名D217、密漁者を検知した音響センサに関する情報D215、および、密漁船を検知した音響センサに関する情報D216は、非表示にされてよい。
【0151】
図15は、付加情報表示領域W22がスクロールされた場合の例を示す図である。ここでは、監視者によって、付加情報表示領域W22の下方向へのスクロール操作が入力部310に入力された場合を想定する。このとき、付加情報表示領域W22に、「気象情報」および「地図凡例」が含まれるようになっている。
【0152】
「地図凡例」には、センサ状態情報に応じたセンサオブジェクトB211の態様の変化に関する説明が記述されている。ここでは、センサ状態情報に応じたセンサオブジェクトB211の形状が変化する場合が示されている。しかし、データ取得部225によるセンサ状態情報に応じたセンサオブジェクトB211の態様の変化のさせ方は、かかる例に限定されない。例えば、センサオブジェクトB211は、センサ状態情報に応じて色が変化してもよい。あるいは、センサ状態情報を示すテキストデータがセンサオブジェクトB211に(例えば、吹き出しとして)付加されてもよい。
【0153】
ここで、監視者によって、付加情報表示切り替えボタンB221(図14)の選択操作が入力部310に入力された場合を想定する。このとき、データ取得部225によって付加情報表示領域W22が非表示にされる。これによって、より広範囲に地図が表示されるようになる(地図表示領域W21がより広くなる)。監視者によって、図示しない付加情報表示切り替えボタンの選択操作が入力部310に入力されると、データ取得部225によって付加情報表示領域W22が再度表示されてよい。
【0154】
図16は、付加情報表示切り替えボタンB221の選択操作が入力された場合の例を示す図である。ここでは、監視者によって、付加情報表示切り替えボタンB221の選択操作が入力部310に入力された場合を想定する。このとき、データ取得部224によって付加情報表示領域W22が非表示にされている。これによって、より広範囲に地図が表示されるようになっている(地図表示領域W21がより広くなっている)。なお、図16を参照すると、検知画面G20に付加情報表示切り替えボタンB223が含まれている。監視者によって、付加情報表示切り替えボタンB223の選択操作が入力部310に入力されると、データ取得部224によって付加情報表示領域W22が再度表示されてよい。
【0155】
上述にて、本発明の実施形態に係わる種々の表示態様を説明した。本発明の実施形態に係わる表示態様は検知に関する情報の把握に寄与するものであるが、さらに表示内容を保存できるようにして、検知に関する情報の保全を図れるようにしてもよい。具体的には、監視者端末30における検知画面(図11図16)の表示に際し、検知画面の一部または全ての内容を画像やPDF(Portable Document Format)として保存できようにしてもよい。この場合、データ提供部22は、検知画面の保存に係わる表示内容保全ボタンを含む検知に関する情報を監視者端末30に与え、監視者端末30において検知画面が表示された状態で、表示内容保全ボタンが操作されることで検知画面の一部または全ての内容を画像やPDFとして保存させる。このように、監視者の保全ニーズに基づき検知画面(図11図16)の全てまたはいずれかに対し表示内容保全ボタンを配することでできるため、監視者のニーズにあわせて検知に関する情報の保全を図れるようになる。
【0156】
[1-2.システムの動作]
続いて、本発明の実施形態に係る密漁対策IoTシステムの動作例について説明する。図17は、本発明の実施形態に係る密漁対策IoTシステムの動作例を示すフローチャートである。まず、図17に示されたように、水中音響センサ10は、水中に対してセンシングを行うことによってセンサデータを得る。水中音響センサ10は、センサデータをサーバ20に送信する(S11)。
【0157】
サーバ20においては、通信部240によってセンサデータが受信される(S21)。対象物検知部222は、センサデータに基づいて検知対象物の検知を試みる。対象物検知部222によって、検知対象物が検知されない場合には(S22において「NO」)、S11に動作が移行される。一方、検知通知部223は、対象物検知部222によって、検知対象物が検知された場合(S22において「YES」)、かつ、判定部222によって検知対象物が密漁船または密漁ダイバーであると判定された場合、地図表示用のURLを取得し(S23)、URLを含んだ検知メールが監視者端末30に送信されるように通信部240を制御する(S24)。
【0158】
監視者端末30においては、通信部340によって検知メールが受信されると(S31)、表示部350によって検知メールが表示される。監視者によって、検知メールに含まれたURLに対するクリック操作が入力部310に入力されない場合(S32において「NO」)、S11に動作が移行される。一方、監視者によって、検知メールに含まれたURLに対するクリック操作が入力部310に入力された場合(S32において「YES」)、制御部320は、データ送信要求の例として地図表示要求がサーバ20に送信されるように通信部340を制御する(S33)。
【0159】
サーバ20においては、通信部240によって地図表示要求が受信されると(S25)、要求取得部224は、地図表示要求を取得する。データ取得部225は、URLに対応する地図(および付加情報)を取得すると、取得した地図(および付加情報)が監視者端末30に送信されるように通信部240を制御する(S26)。監視者端末30においては、通信部340によって地図(および付加情報)が受信されると(S34)、表示部350によって地図(および付加情報)が表示される(S35)。S34およびS35は、所定時間ごとに繰り返し実行されてよい。これによって、表示部350によって表示される地図(および付加情報)が所定時間ごとに更新される。
【0160】
以上、本発明の実施形態に係る密漁対策IoTシステムの動作例について説明した。
【0161】
[2.ハードウェア構成例]
続いて、本発明の実施形態に係るサーバ20のハードウェア構成例について説明する。ただし、本発明の実施形態に係る監視者端末30のハードウェア構成例も同様に実現され得る。
【0162】
以下では、本発明の実施形態に係るサーバ20のハードウェア構成例として、情報処理装置900のハードウェア構成例について説明する。なお、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成例は、サーバ20のハードウェア構成の一例に過ぎない。したがって、サーバ20のハードウェア構成は、以下に説明する情報処理装置900のハードウェア構成から不要な構成が削除されてもよいし、新たな構成が追加されてもよい。
【0163】
図18は、本発明の実施形態に係るサーバ20の例としての情報処理装置900のハードウェア構成を示す図である。情報処理装置900は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、ブリッジ905と、外部バス906と、インタフェース907と、入力装置908と、出力装置909と、ストレージ装置910と、通信装置911と、を備える。
【0164】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置900内の動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータなどを記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータなどを一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス904により相互に接続されている。
【0165】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0166】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。情報処理装置900を操作するユーザは、この入力装置908を操作することにより、情報処理装置900に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0167】
出力装置909は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置、ランプなどの表示装置およびスピーカなどの音声出力装置を含む。
【0168】
ストレージ装置910は、データ格納用の装置である。ストレージ装置910は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置910は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)で構成される。このストレージ装置910は、ハードディスクを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0169】
通信装置911は、例えば、ネットワークに接続するための通信デバイスなどで構成された通信インタフェースである。また、通信装置911は、無線通信または有線通信のどちらに対応してもよい。
【0170】
以上、本発明の実施形態に係るサーバ20のハードウェア構成例について説明した。
【0171】
[3.まとめ]
以上に説明したように、本発明の実施形態によれば、センサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御する制御部を備える、サーバが提供される。かかる構成によれば、検知対象物を認識しようとする利用者の利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0172】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0173】
上記では、「法を破ってひそかに漁をすること」を意味する文言として「密漁」との文言を用いた。ここで、「密漁」との文言は、魚介類を採取することのみを意味する文言として狭く解されるべきではなく、魚介類以外の生物をも意味する文言として広く解されるべきである。例えば、「密漁」は、水中で生活する哺乳類(例えば、イルカ、あざらしなど)を採取することをも含み得る。すなわち、水中で生活する哺乳類を採取することを意味する文言として「密猟」との文言が一般に用いられることがあるが、本発明の実施形態にて用いられた「密漁」は、水中で生活する哺乳類を採取することを意味する「密猟」を除外するものではない。
【0174】
[4.他の実施形態]
本発明の実施形態は、密輸、密航、不法投棄(例えば、油および廃棄などの投棄)、海底資源不法取得(例えば、原油、天然ガスおよびメタンハイドレードなどの不法取得)、海賊の検知にも適用し得る。また、本発明の実施形態は、サーバ20が水中音響センサ12と異なるセンサのセンシング結果に基づき密漁を検知し得る。
【0175】
[4.1.密輸対策に適用した形態]
例えば、本発明の実施形態を密輸対策に適用する場合、本発明の実施形態に係るシステムは「密輸対策IoTシステム」となる。この場合、検知対象物が、密輸船および密輸者などの密輸に用いられる各種対象物となり、密輸が利用者によって監視され得る。密輸船および密輸者が検知対象物とされることによって、「密輸対策IoTシステム」は社会課題を解決しようとするものとなり、より好適に実施され得る。
【0176】
本発明の実施形態を密輸対策に適用すると、密輸船および密輸者が活動する可能性がある領域に配したセンサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御する制御部を備える、サーバの提供が可能となる。かかる構成によれば、利用者の利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0177】
[4.2.密航対策に適用した形態]
例えば、本発明の実施形態を密航対策に適用する場合、本発明の実施形態に係るシステムは「密航対策IoTシステム」となる。この場合、検知対象物が、密航船および密航者などの密航に用いられる各種対象物となり、密航が利用者によって監視され得る。密航船および密航者が検知対象物とされることによって、「密航対策IoTシステム」は社会課題を解決しようとするものとなり、より好適に実施され得る。
【0178】
本発明の実施形態を密航対策に適用すると、密航船および密航者が活動する可能性がある領域に配したセンサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御する制御部を備える、サーバの提供が可能となる。かかる構成によれば、利用者の利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0179】
[4.3.不法投棄対策に適用した形態]
例えば、本発明の実施形態を不法投棄対策に適用する場合、本発明の実施形態に係るシステムは「不法投棄対策IoTシステム」となる。この場合、検知対象物が、不法投棄船および不法投棄者などの不法投棄に用いられる各種対象物となり、不法投棄が利用者によって監視され得る。不法投棄船および不法投棄者が検知対象物とされることによって、「不法投棄対策IoTシステム」は社会課題を解決しようとするものとなり、より好適に実施され得る。
【0180】
本発明の実施形態を不法投棄対策に適用すると、不法投棄船および不法投棄者が活動する可能性がある領域に配したセンサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御する制御部を備える、サーバの提供が可能となる。かかる構成によれば、利用者の利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0181】
[4.4.海底資源不法取得対策に適用した形態]
例えば、本発明の実施形態を海底資源不法取得対策に適用する場合、本発明の実施形態に係るシステムは「海底資源不法取得対策IoTシステム」となる。この場合、検知対象物が、海底資源不法取得船(例えば、掘削船など)および海底資源不法取得者などの海底資源不法取得に用いられる各種対象物となり、海底資源不法取得が利用者によって監視され得る。海底資源不法取得船および海底資源不法取得者が検知対象物とされることによって、「海底資源不法取得対策IoTシステム」は社会課題を解決しようとするものとなり、より好適に実施され得る。
【0182】
本発明の実施形態を海底資源不法取得対策に適用すると、海底資源不法取得船および海底資源不法取得者が活動する可能性がある領域に配したセンサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御する制御部を備える、サーバの提供が可能となる。かかる構成によれば、利用者の利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0183】
[4.5.海賊対策に適用した形態]
例えば、本発明の実施形態を海賊対策に適用する場合、本発明の実施形態に係るシステムは「海賊対策IoTシステム」となる。この場合、検知対象物が、海賊船および海賊などの海賊行為に用いられる各種対象物となり、海賊行為が利用者によって監視され得る。海賊船および海賊が検知対象物とされることによって、「海賊対策IoTシステム」は社会課題を解決しようとするものとなり、より好適に実施され得る。
【0184】
本発明の実施形態を海賊対策に適用すると、海賊船および海賊が活動する可能性がある領域に配したセンサから受けるセンサデータに基づいて、前記センサデータの強度を前記センサデータの周波数および前記センサデータが得られた時刻ごとに分析して分析結果を得て、前記分析結果を端末に対して与えるよう制御する制御部を備える、サーバの提供が可能となる。かかる構成によれば、利用者の利便性をさらに向上させることが可能となる。
【0185】
[4.6.テロ行為防止対策に適用した形態]
例えば、本発明の実施形態をテロ行為防止対策(例えば、沿岸重要施設(原子力発電所など)へのテロ行為防止対策)に適用する場合、本発明の実施形態に係るシステムは「テロ行為防止対策IoTシステム」となる。この場合、管理物が、あらかじめ登録されている沿岸を巡視する正規船となり、正規船に搭載される搭載端末の位置情報と検知対象物の位置情報とに基づいて、検知対象物が不審船または不審ダイバーであるか否かが判定され得る。
【0186】
[4.7.他のセンサを適用した形態]
本発明の実施形態は、サーバ20が水中音響センサ12のセンシング結果に基づき密漁を検知するものであった。ここで、本発明の実施形態は、サーバ20が水中音響センサ12と異なるセンサのセンシング結果に基づき密漁を検知するものであってもよい。つまり、音以外の情報に基づいて検知対象物が検知されてもよい。この場合、センサとして水中音響センサ12が用いられる場合と同様に、センサデータから検知対象物の特徴が検出されることによって、検知対象物が検知され得る。
【0187】
例えば、サーバ20が、アクティブソーナー、レーダ、レーザーセンサおよびイメージセンサなどのセンシング結果に基づき密漁を検知してもよい。
【0188】
[4.7.1.アクティブソーナーを適用した形態]
サーバ20が、アクティブソーナーのセンシング結果に基づき密漁を検知する場合、密漁対策IoTシステム1はアクティブソーナー(図示省略)を含み、アクティブソーナーの検出結果に基づき密漁を検知する。この場合、アクティブソーナーは、水中に音波を放射する音波送信部と、複数のマイクロフォンで検知対象物からの反射音を受信する音波反射波受信部を有し、かかるセンシングによって得るセンサデータ(音響データ、音波送信時間、音波反射波受信時間)とセンサ状態情報とを無線通信によってサーバ20に送信する。サーバ20は、受信した放射音と反射音との時間差や音響データから得られる反射音の検出方位から、検知対象物の位置や距離を検出する。そして、サーバ20は、検出結果を用いて上記の本実施形態同様に検知対象物を検知する。なお、水中に音波を放射して検知対象物からの反射音を捉えるアクティブソーナーに対し、上記の本実施形態は水中(水面含む)に存在する検知対象物(例えば船やダイバーなど)が発生する音波を捉えるパッシブソーナーである。
【0189】
[4.7.2.レーダを適用した形態]
サーバ20が、レーダのセンシング結果に基づき密漁を検知する場合、密漁対策IoTシステム1はレーダ(図示省略)を含み、レーダの検出結果に基づき密漁を検知する。この場合、レーダは、センシング可能な位置に配されるように設置され(例えば、監視領域の沿岸等の陸上に設置され)、レーダアンテナを介して検出範囲内にミリ波またはマイクロ波などの電波を探査波として送信する電波送信部と、検知対象物からの反射波を受信する電波反射波受信部とを有し、かかるセンシングによって得る検出データ(レーダデータ、電波送信時間、電波反射波受信時間)とセンサ状態情報とを無線通信、または有線通信によってサーバ20に送信する。サーバ20は、受信した探査波と反射波との時間差やレーダデータから得られる反射波の検出方位から、検知対象物の位置や距離を検出する。そして、サーバ20は、検出結果を用いて上記の本実施形態同様に検知対象物を検知する。
【0190】
[4.7.3.レーザーセンサを適用した形態]
サーバ20が、レーザーセンサ(LRF(Laser rangefinder)やLIDAR(Light Detection and Ranging))のセンシング結果に基づき密漁を検知する場合、密漁対策IoTシステム1はレーザーセンサ(図示省略)を含み、レーザーセンサの検出結果に基づき密漁を検知する。この場合、レーザーセンサは、センシング可能な位置に配されるように設置され(例えば、監視領域の沿岸等の陸上に設置され)、可視光や紫外線やX線や赤外線などのレーザー光を送信するレーザー光送信部と、検知対象物からの反射光を受信するレーザー反射光受信部とを有し、かかるセンシングによって得る検出データ(レーザーデータ、レーザー光送信時間、レーザー反射光受信時間)とセンサ状態情報とを無線通信、または有線通信によってサーバ20に送信する。サーバ20は、受信したレーザー光とレーザー反射光との時間差やレーザーデータから得られるレーザー反射波の移動方位から、検知対象物の位置や距離を検出する。そして、サーバ20は、検出結果を用いて上記の本実施形態同様に検知対象物を検知する。
【0191】
[4.7.4.イメージセンサを適用した形態]
サーバ20が、イメージセンサ(以下、カメラとする)のセンシング結果に基づき密漁を検知する場合、密漁対策IoTシステム1はカメラ(図示省略)を含み、カメラの検出結果に基づき密漁を検知する。この場合、カメラは、センシング可能な位置に配されるように設置され(例えば、監視領域の沿岸等の陸上に設置され)、かかるセンシングによって得る撮像データ(撮像画像)とセンサ状態情報とを無線通信、または有線通信によってサーバ20に送信する。サーバ20は、予め記憶された検知対象物の画像情報とのパターンマッチングなどによって検知対象物を検知する。サーバ20は、操業時間以外にカメラより受信した撮像データより検知対象物を検知した場合に、密漁船または密漁者と判定してもよい。なお、撮像データは、動画像または静止画像であってもよい。
【0192】
カメラが単一カメラの場合、サーバ20には、予め対応付けられた、カメラ設置位置から所定距離毎(例えば1m毎)の検知対象物である船またはダイバーの複数の画像情報と各距離情報とが記憶されている。サーバ20は、カメラから取得した撮像画像に対しパターンマッチングなどによって検知対象物の距離や位置を検出する。また、サーバ20に予め記憶される情報として、検知対象物である船またはダイバーと共に撮像される距離マーカの複数の画像情報であってもよい。
【0193】
カメラが複数カメラの場合、サーバ20は、複数台のカメラの光軸(例えば、2台のカメラの光軸)を平行にして検知対象物を画像処理し、各々の映像の重ね合わせで、そのシフト量から三角測量の原理で検知対象物の座標を計測して位置を特定してもよい。また、サーバ20は、複数台のカメラからそれぞれ得る撮像データをパターンマッチングにより検知対象物を検知し、中心座標を求めて各々のカメラの方向角から三角測量で検知対象物の座標位置を検出して位置を特定してもよい。
【0194】
さらに、カメラは、動画像または静止画像を撮像する際、第1モード、第2モードまたは第3モードで撮像してもよい。ここで、第1モードは、一般的なカラー撮影であってよい。また、第2モードは赤外線に感度をもたせた赤外線撮影であってよい。また、第3モードは赤外線に基づき温度分布の可視化を行うサーモグラフィ撮影であってよい。この場合、カメラは、第1モードに対応する第1撮像手段、第2モードに対応する第2撮像手段、第3モードに対応する第3撮像手段、及びいずれの撮像手段を適用するかを決める撮像手段切り替え手段を有する。
【0195】
具体的には、カメラの起動時に第1撮像手段が適用されている場合、撮像手段切り替え手段が、適用する撮像手段を、第1撮像手段から第2撮像手段へと切り替えてもよい。また、撮像手段切り替え手段は、第1撮像手段を単独で適用する状態から、第2撮像手段と第3撮像手段を同時に適用する状態へと切り替え制御を行ってもよい。ここで、撮像手段切り替え手段は、所定間隔(例えば10秒や8時間など)で撮像手段切り替えを制御してもよいし、サーバ20などの外部装置からの指示に基づいて撮像手段切り替えを制御してもよい。サーバ20からの指示は、例えば、2020年3月31日の18時に、適用する撮像手段を第1撮像手段から第2撮像手段に切り替えさせる指示命令であってもよい。また、例えば、サーバ20以外の外部装置に備えられる昼夜検知器(遮光センサ)が周辺の光の強度に基づいて昼か夜かを検知し、当該検出情報をサーバ20に通知してもよい。この場合、カメラの撮像手段切り替え手段は、受信した上記の検出情報に基づいて、適用する撮像手段を第1撮像手段から第2撮像手段へと切り替えてもよい。さらに、撮像手段切り替え手段は、カメラが撮像した検知対象物の画像情報に係る分析結果に基づいて、適用する撮像手段の切り替え制御を行ってもよい。すなわち、撮像手段切り替え手段は、画像分析により判定された密漁船または密漁者のいずれかに基づいて、適用する撮像手段の切り替えを制御することもできる。なお、カメラの構成は、周辺の環境に応じて適宜変更され得る。なお、上述の第1モード、第2モード、第3モードに限らず、カメラはその他のモードに切り替えてもよい。
【0196】
[4.7.5.センサ切り替えを適用した形態]
また、密漁対策IoTシステム1は、本実施形態に係る水中音響センサ12に加えて、上記に例示したアクティブソーナー、レーダ、レーザーセンサ、イメージセンサを備えてよく、各センサもしくはサーバ20は、いずれのセンサを適用するかを決めるセンサ切り替え手段を有し、当該センサ切り替え手段により、水中音響センサ12、アクティブソーナー、レーダ、レーザーセンサ、イメージセンサなどの間で適用するセンサを切り替えることができる。具体的には、センサの起動時に水中音響センサ12が適用されている場合、センサ切り替え手段が、適用するセンサを、水中音響センサ12からイメージセンサへと切り替えてもよい。また、センサ切り替え手段は、水中音響センサ12を単独で適用するモードから、水中音響センサ12とイメージセンサを同時に適用するモードへと切り替え制御を行ってもよい。ここで、センサ切り替え手段は、所定間隔(例えば10秒や8時間など)でセンサの切り替えを制御してもよいし、サーバ20からの指示に基づいてセンサ切り替えを制御してもよい。サーバ20からの指示は、例えば、2020年3月31日の9時に、適用するセンサを水中音響センサ12からイメージセンサに切り替えさせる指示命令であってもよい。
【0197】
以上説明したように他のセンサを適用した形態によれば、利用者の利便性をさらに向上させることが可能となり、検知対象物として誤検知されることが抑制され得る。
【符号の説明】
【0198】
1 密漁対策IoTシステム
10、12 水中音響センサ
110 アンテナ部
121 サーチライト
122 停泊灯部
123 太陽電池
130 センシング部
140 電源部
150 係留部
160 錘部
170 送信ブイ部
181 錘
182 フロート
20 サーバ
220 制御部
221 分析部
222 対象物検知部
223 検知通知部
224 要求取得部
225 データ取得部
226 データ提供部
230 記憶部
231 センサ情報
232 通知先情報
240 通信部
30 監視者端末
310 入力部
320 制御部
330 記憶部
340 通信部
350 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
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図18