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特開2023-149908印刷検査装置、印刷装置および印刷検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149908
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】印刷検査装置、印刷装置および印刷検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01N21/956 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058715
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白坂 竜矢
(72)【発明者】
【氏名】栃木 隆之
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA11
2G051AB11
2G051BA01
2G051BA06
2G051BA08
2G051CA03
2G051CA07
2G051CB01
2G051CB05
(57)【要約】
【解決手段】検査対象容器に印刷された画像を検査するための印刷検査装置であって、前記検査対象容器に予め定められた第1波長帯の第1照射光を照射するための第1照射部と、前記第1波長帯の照射光および前記第1波長帯と異なる第2波長帯の照射光を含む第2照射光を、前記検査対象容器に照射するための第2照射部と、前記検査対象容器で反射した前記第1照射光の正反射光を受光し、前記検査対象容器で反射した前記第2照射光の乱反射光を受光する受光部と、を備える印刷検査装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象容器に印刷された画像を検査するための印刷検査装置であって、
前記検査対象容器に予め定められた第1波長帯の第1照射光を照射するための第1照射部と、
前記第1波長帯の照射光および前記第1波長帯と異なる第2波長帯の照射光を含む第2照射光を、前記検査対象容器に照射するための第2照射部と、
前記検査対象容器で反射した前記第1照射光の正反射光を受光し、前記検査対象容器で反射した前記第2照射光の乱反射光を受光する受光部と、
を備える印刷検査装置。
【請求項2】
前記第1波長帯は可視光域であり、前記第2波長帯は赤外域である
請求項1に記載の印刷検査装置。
【請求項3】
前記第2照射部は、
前記第1波長帯の照射光を前記検査対象容器に照射する第1光源と、
前記第1光源の照射光と混合して、前記第2波長帯の照射光を前記検査対象容器に照射する第2光源と、
を有する請求項1または2に記載の印刷検査装置。
【請求項4】
前記第2照射部は、
前記第1波長帯の照射光を前記検査対象容器に照射する第1光源と、
前記第1光源の照射光と混合せずに、前記第2波長帯の照射光を前記検査対象容器に照射する第2光源と、
を有する請求項1または2に記載の印刷検査装置。
【請求項5】
前記受光部は、
前記第1照射部からの前記第1波長帯の正反射光および前記第2照射部からの前記第1波長帯の乱反射光を受光するための第1センサと、
前記第2照射部からの前記第2波長帯の乱反射光を受光するための第2センサと、
を有する請求項1から4のいずれか一項に記載の印刷検査装置。
【請求項6】
前記第1センサは、可視光域を受光するためのRGBの3種類の受光素子を含み、
前記第2センサは、赤外域を受光するための受光素子を含む
請求項5に記載の印刷検査装置。
【請求項7】
前記受光部は、前記第1センサおよび前記第2センサの受光素子を予め定められた方向に配列したラインカメラを有する
請求項5または6に記載の印刷検査装置。
【請求項8】
前記第1センサから第1画像データを取得し、前記第2センサから第2画像データを取得する画像データ取得部と、
前記第1画像データおよび前記第2画像データに基づいて、前記検査対象容器に印刷された前記画像の合否判定処理を行う判定部と、
を備える請求項5から7のいずれか一項に記載の印刷検査装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記第2画像データのうち、前記検査対象容器に印刷された画像の白色の領域に対応するデータに基づいて合否判定処理を行う
請求項8に記載の印刷検査装置。
【請求項10】
前記画像データ取得部は、前記第1画像データとして可視光域の画像データを取得し、前記第2画像データとして赤外域の画像データを取得する
請求項8または9に記載の印刷検査装置。
【請求項11】
前記検査対象容器は、金属缶である
請求項1から10のいずれか一項に記載の印刷検査装置。
【請求項12】
検査対象容器に予め定められた画像を印刷するための印刷部と、
前記画像が印刷された前記検査対象容器を回転するための回転部と、
請求項1から11のいずれか一項に記載の印刷検査装置と、
を備える印刷装置。
【請求項13】
検査対象容器に印刷された画像を検査するための印刷検査方法であって、
前記検査対象容器に予め定められた第1波長帯の第1照射光を照射する段階と、
前記第1波長帯の照射光および前記第1波長帯と異なる第2波長帯の照射光を含む第2照射光を、前記検査対象容器に照射する段階と、
前記検査対象容器で反射した前記第1照射光の正反射光を受光し、前記検査対象容器で反射した前記第2照射光の乱反射光を受光する段階と、
を備える印刷検査方法。
【請求項14】
前記第1照射光の前記正反射光および前記第2照射光の前記乱反射光を同時に受光する段階を備える
請求項13に記載の印刷検査方法。
【請求項15】
前記第1波長帯の正反射光および前記第1波長帯の乱反射光に基づく第1画像データを取得する段階と、
前記第2波長帯の乱反射光に基づく第2画像データを取得する段階と、
前記第1画像データおよび前記第2画像データに基づいて、前記検査対象容器に印刷された前記画像の合否判定処理を行う段階と、
を備える請求項13または14に記載の印刷検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷検査装置、印刷装置および印刷検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RGB画像および近赤外光画像に基づいて、容器表面の印刷を合否判定することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2014-142256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
第1波長帯の第1照射光と、第1波長帯および第2波長帯の第2照射光を用いて、容器表面の印刷を合否判定する印刷検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、検査対象容器に印刷された画像を検査するための印刷検査装置であって、前記検査対象容器に予め定められた第1波長帯の第1照射光を照射するための第1照射部と、前記第1波長帯の照射光および前記第1波長帯と異なる第2波長帯の照射光を含む第2照射光を、前記検査対象容器に照射するための第2照射部と、前記検査対象容器で反射した前記第1照射光の正反射光を受光し、前記検査対象容器で反射した前記第2照射光の乱反射光を受光する受光部と、を備える印刷検査装置を提供する。
【0005】
前記第1波長帯は可視光域であってよい。前記第2波長帯は赤外域であってよい。
【0006】
前記第2照射部は、前記第1波長帯の照射光を前記検査対象容器に照射する第1光源を有してよい。前記第2照射部は、前記第1光源の照射光と混合して、前記第2波長帯の照射光を前記検査対象容器に照射する第2光源を有してよい。
【0007】
前記第2照射部は、前記第1波長帯の照射光を前記検査対象容器に照射する第1光源を有してよい。前記第2照射部は、前記第1光源の照射光と混合せずに、前記第2波長帯の照射光を前記検査対象容器に照射する第2光源を有してよい。
【0008】
前記受光部は、前記第1照射部からの前記第1波長帯の正反射光および前記第2照射部からの前記第1波長帯の乱反射光を受光するための第1センサを有してよい。前記受光部は、前記第2照射部からの前記第2波長帯の乱反射光を受光するための第2センサを有してよい。
【0009】
前記第1センサは、可視光域を受光するためのRGBの3種類の受光素子を含んでよい。前記第2センサは、赤外域を受光するための受光素子を含んでよい。
【0010】
前記受光部は、前記第1センサおよび前記第2センサの受光素子を予め定められた方向に配列したラインカメラを有してよい。
【0011】
前記印刷検査装置は、前記第1センサから第1画像データを取得し、前記第2センサから第2画像データを取得する画像データ取得部を備えてよい。前記印刷検査装置は、前記第1画像データおよび前記第2画像データに基づいて、前記検査対象容器に印刷された前記画像の合否判定処理を行う判定部を備えてよい。
【0012】
前記判定部は、前記第2画像データのうち、前記検査対象容器に印刷された画像の白色の領域に対応するデータに基づいて合否判定処理を行ってよい。
【0013】
前記画像データ取得部は、前記第1画像データとして可視光域の画像データを取得し、前記第2画像データとして赤外域の画像データを取得してよい。
【0014】
前記検査対象容器は、金属缶であってよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、検査対象容器に予め定められた画像を印刷するための印刷部と、前記画像が印刷された前記検査対象容器を回転するための回転部と、前記印刷検査装置と、を備える印刷装置を提供する。
【0016】
本発明の第3の態様においては、検査対象容器に印刷された画像を検査するための印刷検査方法であって、前記検査対象容器に予め定められた第1波長帯の第1照射光を照射する段階と、前記第1波長帯の照射光および前記第1波長帯と異なる第2波長帯の照射光を含む第2照射光を、前記検査対象容器に照射する段階と、前記検査対象容器で反射した前記第1照射光の正反射光を受光し、前記検査対象容器で反射した前記第2照射光の乱反射光を受光する段階と、を備える印刷検査方法を提供する。
【0017】
前記印刷検査方法は、前記第1照射光の前記正反射光および前記第2照射光の前記乱反射光を同時に受光する段階を備えてよい。
【0018】
前記印刷検査方法は、前記第1波長帯の正反射光および前記第1波長帯の乱反射光に基づく第1画像データを取得する段階と、前記第2波長帯の乱反射光に基づく第2画像データを取得する段階と、前記第1画像データおよび前記第2画像データに基づいて、前記検査対象容器に印刷された前記画像の合否判定処理を行う段階と、を備えてよい。
【0019】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】印刷検査装置100の構成の一例を示す。
図2】不良箇所を有する検査対象容器300の一例を示す。
図3】印刷検査装置100による検査方法の一例である。
図4A】比較例である印刷検査装置500による検査方法の一例である。
図4B】比較例である印刷検査装置500による検査方法の一例である。
図5A】第2照射部20の構成例を示す。
図5B】第2照射部20の変形例を示す。
図6】受光部30の具体的な構成の一例である。
図7A】検査対象容器300に画像を印刷するための印刷装置200一例である。
図7B】検査対象容器300の検査時の構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0022】
図1は、印刷検査装置100の構成の一例を示す。印刷検査装置100は、検査対象容器300に印刷された画像を検査する。印刷検査装置100は、第1照射部10と、第2照射部20と、受光部30と、画像データ取得部40と、判定部50とを備える。
【0023】
検査対象容器300は、缶、ペットボトル、瓶、パウチ、箱、紙パック、カップ、またはチューブであってよい。また、検査対象容器300は、蓋またはキャップであってもよい。本例の検査対象容器300は、缶蓋を取り付ける前の金属缶である。検査対象容器300は、2ピース缶であってよく、3ピース缶であってもよい。検査対象容器300の材料である金属は、アルミニウムまたは鉄等の合金であってよい。さらに、検査対象容器300は、基体に対し、表面加工、曲げ伸ばし加工、しごき加工、またはインパクト加工等の加工が施されて成形されるトリム缶であってよい。
【0024】
検査対象容器300に印刷される画像は、絵柄でも下地であってもよい。検査対象容器300に印刷される画像は、記号、符号、文字、数字、図形、色、若しくはこれらの組合せであってよい。検査対象容器300に印刷される画像は、白色の領域を含んでよいし、その他の色の領域を含んでよい。
【0025】
第1照射部10は、検査対象容器300に予め定められた第1波長帯B1の第1照射光L1を照射する。本例の第1波長帯B1は、可視光域であるがこれに限定されない。第1照射部10は、LED等の発光素子を有してよい。第1照射部10は、受光部30が受光する正反射光の光源として機能する。正反射光とは、予め定められた入射角で反射面に入射した光の反射光であって、入射角と同一の反射角で反射する反射光である。正反射光は、ハーフミラー等を使用して光学関係を調整することで生成してもよい。
【0026】
第2照射部20は、検査対象容器300に第2照射光L2を照射する。第2照射光L2は、第1波長帯B1の照射光および第1波長帯B1と異なる第2波長帯B2の照射光を含んでよい。本例の第2波長帯B2は赤外域であるがこれに限定されない。第1波長帯B1および第2波長帯B2は、一部が重複していてもよいし、重複していなくてもよい。第1波長帯B1および第2波長帯B2は、互いに干渉しない波長帯域であってよい。第2照射部20は、LED等の発光素子を有してよい。第2照射部20は、受光部30が受光する乱反射光の光源として機能する。乱反射光は、反射面に入射した光のうち、正反射光以外の反射光を指してよい。
【0027】
受光部30は、第1照射部10および第2照射部20を光源として、検査対象容器300の外周で反射した光を受光する。本例の受光部30は、正反射光Lr1および乱反射光Ld2を受光する。正反射光Lr1は、検査対象容器300で反射した第1照射光L1の正反射光である。乱反射光Ld2は、検査対象容器300で反射した第2照射光L2の乱反射光である。即ち、受光部30は、第1波長帯B1および第2波長帯B2の両方の波長帯の反射光を受光する。本例の受光部30は、第1センサ31および第2センサ32を有する。
【0028】
第1センサ31は、第1波長帯B1の光を受光するための受光素子を有する。本例の第1センサ31は、第1照射部10からの第1波長帯B1の正反射光Lr1および第2照射部20からの第1波長帯B1の乱反射光Ld2を受光する。第1センサ31は、第1波長帯B1の光を受光するが、第2波長帯B2の光を受光しなくてよい。第1センサ31は、可視光を受光するための可視光センサであってよい。
【0029】
第2センサ32は、第2波長帯B2の光を受光するための受光素子を有する。本例の第2センサ32は、第2照射部20からの第2波長帯B2の乱反射光Ld2を受光する。第2センサ32は、第2波長帯B2の光を受光するが、第1波長帯B1の光を受光しなくてよい。第2センサ32は、赤外光を受光するための赤外光センサであってよい。
【0030】
画像データ取得部40は、第1センサ31から第1画像データD1を取得し、第2センサ32から第2画像データD2を取得する。ここで、第1画像データD1は、第1波長帯B1の正反射光Lr1および第1波長帯B1の乱反射光Ld2に応じた情報を含む。第2画像データD2は、第2波長帯B2の乱反射光Ld2に応じた情報を含む。即ち、画像データ取得部40は、第1波長帯B1の第1画像データD1と、第2波長帯B2の第2画像データD2とを分けて取得することができる。画像データ取得部40は、第1画像データD1として可視光域の画像データを取得し、第2画像データD2として赤外域の画像データを取得してよい。
【0031】
判定部50は、第1画像データD1および第2画像データD2に基づいて、検査対象容器300に印刷された画像の合否判定処理を行う。判定部50は、第1画像データD1および第2画像データD2を表示するためのディスプレイなどの表示部を有してよい。判定部50が表示した情報に基づいて、ユーザが画像の合否判定を行ってもよい。判定部50は、画像の合否判定結果を外部に出力してもよい。判定部50は、スピーカを有し、画像の合否判定結果を音声によって出力してもよい。
【0032】
判定部50は、第2画像データD2のうち、検査対象容器300に印刷された画像の白色の領域に対応するデータに基づいて合否判定処理を行ってよい。これにより、印刷検査装置100は、検査対象容器300の白色インクのはじきを検査することができる。判定部50は、検査対象容器300に印刷される画像の白色の領域の位置情報を予め取得しておいてよい。例えば、判定部50は、元の印刷用の画像データから白色の領域を特定しておき、特定した領域に基づいて画像の合否を判定する。また、判定部50は、不良のない検査対象容器300の可視光画像から白色の領域を特定してもよい。
【0033】
なお、本例では、第1波長帯B1を可視光域とし、第2波長帯B2を赤外域としたが、検査対象容器300の画像に応じて適宜変更されている。例えば、第1波長帯B1を赤色域として、第2波長帯B2を青色域としてもよい。即ち、印刷検査装置100が使用する光は、受光部30で分離して受光することが可能であり、検査する画像を判別できるような波長帯の光であれば、可視光域と赤外域の光に限定されない。
【0034】
本例の第2照射部20は、第1波長帯B1および第2波長帯B2の2つの波長帯域の第2照射光L2を照射するが、第1波長帯B1の照射光を省略してもよい。但し、印刷検査装置100は、第1波長帯B1の乱反射光Ld2を用いることで、可視光画像をより正確に検査することができる。また、第1画像データD1と第2画像データD2がいずれも乱反射光Ld2を含むことにより、第1画像データD1と第2画像データD2との間の画像の調整が容易になる。
【0035】
図2は、不良箇所を有する検査対象容器300の一例を示す。本例の検査対象容器300は、印刷領域310およびはじき領域312を有する。
【0036】
印刷領域310は、印刷検査装置100で合否判定の対象となる領域である。本例の印刷領域310は、白色のインクが印刷される領域である。
【0037】
はじき領域312は、印刷不良によって印刷領域310のインクがはじかれた領域である。はじき領域312は、印刷不良によって、下地の金属材料が露出した領域などの金属光沢を有する領域を含んでよい。はじき領域312は、水、油またはごみ等の付着によって発生し得る。はじき領域312は、検査対象容器300に付着したごみ等によっても発生し得る。はじき領域312は、印刷用のブランケットまたは版体に付着したごみ等によっても発生する場合がある。
【0038】
ここで、正反射光と乱反射光による第1画像データD1を用いた検査では、白色の印刷領域310と金属光沢を有する下地部分のはじき領域312とを同色に撮像してしまい、判別できない場合がある。一方、乱反射光のみの第2画像データD2では、白色の領域が明るくなり、金属の下地部分が暗くなる。これにより、印刷検査装置100は、白色の領域とはじき領域を判別することができる。なお、白色以外の領域については第1画像データD1を用いて検査してよい。
【0039】
なお、本例では、金属の下地に白色のインクを塗布する場合について説明したが、印刷検査装置100が検出する検査対象容器300はこれに限定されない。検査対象容器300は、白色の下地に他の色の画像を印刷した領域であってよい。同様の原理によって、印刷検査装置100は、Lab空間でLの異なる領域を判別して、合否判定することができる。この場合、印刷検査装置100は、Lab空間でLの異なる領域として、インクの厚さの異なる領域を検査することができる。
【0040】
図3は、印刷検査装置100による検査方法の一例である。本例の印刷検査装置100は、第1波長帯B1の第1照射光L1と、第1波長帯B1および第2波長帯B2の第2照射光L2とを検査対象容器300に照射している。
【0041】
受光部30は、第1波長帯B1の正反射光Lr1と、第1波長帯B1および第2波長帯B2の乱反射光Ld2とを受光している。そのため、受光部30は、1度の照射で複数の波長帯の反射光を受光することができる。受光部30は、第1波長帯B1の光を受光する第1センサ31と、第2波長帯B2の光を受光する第2センサ32を有しているため、第1波長帯B1の正反射光Lr1(B1)と乱反射光Ld2(B1)による第1画像データD1および、第2波長帯B2の乱反射光Ld2(B2)による第2画像データD2を1度の撮像で取得することができる。即ち、受光部30は、第1照射光L1の正反射光Lr1および第2照射光L2の乱反射光Ld2を同時に受光することができる。なお、第2照射部20の正反射光Lr2は、受光部30に受光されなくてよい。
【0042】
図4Aは、比較例である印刷検査装置500による検査方法の一例である。比較例の印刷検査装置500は、第1照射部510、第2照射部520および受光部530を備える。第1照射部510および第2照射部520は、可視光域の照射光を検査対象容器300に照射する。受光部530は、可視光センサである。
【0043】
本例の印刷検査装置500は、第1照射部510および第2照射部520の両方で検査対象容器300を照射している。印刷検査装置500は、可視光域の正反射光Lr510(VL)および乱反射光Ld520(VL)を受光して、検査対象容器300の可視光画像を取得する。即ち、受光部530に入射する光が全て可視光であるので、印刷検査装置500は、乱反射光Ld520(VL)の画像データを取り出すためには、第1照射部510の光源を切ってさらに画像を取得する必要がある。
【0044】
図4Bは、比較例である印刷検査装置500による検査方法の一例である。本例の印刷検査装置500は、第1照射部510をオフして、第2照射部520のみで検査対象容器300を照射している。受光部530は、正反射光Lr510(VL)から乱反射光Ld520(VL)を分離して受光する。これにより、印刷検査装置500は、検査対象容器300のはじき領域312を検出することができる。このように、比較例の印刷検査装置500では、乱反射光画像のみを取得するために光源を切り替える必要がある。
【0045】
これに対して、印刷検査装置100は、第1波長帯B1および第2波長帯B2の第2照射光L2を用いるので、光源の切り替えを不要として、一回の照射で検査することができる。これにより、検査対象容器300の検査時間を短縮できる。また、印刷検査装置100は、一回の照射で検査できるので、2回の画像データを用いる場合と比較して、画像データ処理を簡略化することができる。
【0046】
図5Aは、第2照射部20の構成例を示す。本例の第2照射部20は、第1光源21および第2光源22を有する。
【0047】
第1光源21は、第1波長帯B1の照射光を検査対象容器300に照射する。本例の第1光源21は、第2照射光L2のうち可視光の照射光を照射する。第2光源22は、第1光源21の照射光と混合せずに、第2波長帯B2の照射光を検査対象容器300に照射する。本例の第2光源22は、第2照射光L2のうち赤外域の照射光を照射する。
【0048】
第2照射部20は、第1光源21および第2光源22を近接させた状態で配置してよい。第2照射部20は、第1光源21および第2光源22を離間して配置して、異なる位置から検査対象容器300に照射してもよい。本例の第2照射部20は、第1光源21および第2光源22の位置を自由に配置できるので、取り付けレイアウトの自由度を向上させることができる。
【0049】
図5Bは、第2照射部20の変形例を示す。本例の第2照射部20は、第1光源21、第2光源22および混合部23を有する。
【0050】
第1光源21は、第1波長帯B1の照射光を検査対象容器300に照射する。本例の第1光源21は、可視光の照射光を照射する。第2光源22は、第1光源21の照射光と混合して、第2波長帯B2の照射光を検査対象容器300に照射する。本例の第2光源22は、混合部23を用いて、第1波長帯B1の照射光と混合して、第2波長帯B2の照射光を検査対象容器300に照射する。
【0051】
混合部23は、第1光源21および第2光源22と接続される。混合部23は、内部でファイバを混ぜ合わせるなどして第1光源21と第2光源22の照射光を混合してよい。即ち、混合部23は、第1波長帯B1と第2波長帯B2を含む第2照射光L2を照射している。本例の第2照射部20は、第1照射光L1および第2照射光L2を混合することにより、同じ方向から検査対象容器300に照射することができる。
【0052】
図6は、受光部30の具体的な構成の一例である。受光部30は、第1センサ31および第2センサ32の受光素子を予め定められた方向に配列したラインカメラを有する。但し、受光部30の種類は、ラインカメラに限定されない。
【0053】
第1センサ31は、可視光域を受光するためのRGBの3種類の受光素子を含む。図中のRGBの文字は、それぞれ受光素子の位置を示す。第1センサ31は、予め定められた配列方向に配列された受光素子Rと、当該配列方向に配列された受光素子Gと、当該配列方向に配列された受光素子Bとを有する。RGBの3つの受光素子は、配列方向と直交する方向に配列されてよい。
【0054】
第2センサ32は、赤外域を受光するための受光素子を含む。図中のIRの文字は、赤外域を受光するための受光素子の位置を示す。第2センサ32は、予め定められた配列方向に配列された受光素子IRを有する。受光素子の配列方法は、ベイヤー配列等の他の配列方法であってよい。
【0055】
図7Aは、検査対象容器300に画像を印刷するための印刷装置200一例である。印刷装置200は、印刷部210および容器供給搬出部220を備え、検査対象容器300に予め定められた画像を印刷する。検査対象容器300に印刷された画像は、印刷検査装置100で検査される。
【0056】
印刷部210は、検査対象容器300に予め定められた画像を印刷する。印刷部210は、インクステーション212と、プレートシリンダ214と、ブランケット215と、ブランケット胴217と、回転軸218とを備える。本例の印刷部210は、6種類のインクステーション212およびプレートシリンダ214を有するが、インクの種類はこれに限定されない。
【0057】
インクステーション212は、予め定められた色のインクを貯留して、プレートシリンダ214が支持する版体に供給する。インクステーション212は、インクを供給するためのフォームローラを有してよい。インクステーション212は、フォームローラを介して、プレートシリンダ214が有する版体へインクを供給する。
【0058】
ブランケット215は、各インクステーション212により載置されたインクを移送するゴム状の部材である。ブランケット215は、ブランケット胴217の外周に支持される。ブランケット215は、回転軸218を中心としたブランケット胴217の回転に応じて、各インクステーション212と対応する位置に移送される。ブランケット215が各プレートシリンダ214の版体に次々に接触して、ブランケット215上にインクが載置される。
【0059】
ブランケット215は、ブランケット胴217とマンドレルターレット224との間に移送され、ブランケット胴217および検査対象容器300の間で押圧される。これにより、ブランケット215に載置されたインクは、検査対象容器300へと転写される。
【0060】
容器供給搬出部220は、シュータ222と、マンドレルターレット224と、トランスファターレット226と、バニッシュコーティング部228と、搬出経路229とを有する。検査対象容器300は、シュータ222を通過して、マンドレルターレット224に搬送される。
【0061】
マンドレルターレット224は、ブランケット胴217と対向して設けられる。マンドレルターレット224は、検査対象容器300を保持して回転して、検査対象容器300をブランケット215と対向する位置に移動する。そして、マンドレルターレット224とブランケット胴217との間において、検査対象容器300が印刷される。
【0062】
その後、検査対象容器300は、トランスファターレット226を介して、搬出経路229に搬出される。バニッシュコーティング部228は、マンドレルターレット224に併設され、印刷処理後の検査対象容器300にオーバーバニッシュを塗布してよい。
【0063】
図7Bは、検査対象容器300の検査時の構成の一例を示す。印刷検査装置100は、検査対象容器300の印刷工程の後の任意の工程で、検査対象容器300の画像を検査してよい。印刷検査装置100は、搬出経路229で搬出された後に設けられてよい。
【0064】
回転部230は、画像が印刷された検査対象容器300を回転させる。本例の回転部230は、検査対象容器300の内部を支持して回転させるためのマンドレルスリーブを有する。印刷検査装置100は、回転部230により回転された検査対象容器300を撮影して検査する。但し、印刷検査装置100は、検査対象容器300を静止させた状態で撮影して検査してもよい。
【0065】
印刷検査装置100は、1つの検査対象容器300に対して、照射光を継続して照射してもよいし、断続的に照射してもよい。検査対象容器300が金属缶である場合、検査対象容器300に缶蓋を取り付ける前の金属缶を検査してもよいし、金属缶に中身が充填された後に検査してもよい。
【0066】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0067】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0068】
10・・・第1照射部、20・・・第2照射部、21・・・第1光源、22・・・第2光源、23・・・混合部、30・・・受光部、31・・・第1センサ、32・・・第2センサ、40・・・画像データ取得部、50・・・判定部、100・・・印刷検査装置、200・・・印刷装置、210・・・印刷部、212・・・インクステーション、214・・・プレートシリンダ、215・・・ブランケット、217・・・ブランケット胴、218・・・回転軸、222・・・シュータ、224・・・マンドレルターレット、226・・・トランスファターレット、228・・・バニッシュコーティング部、229・・・搬出経路、220・・・容器供給搬出部、230・・・回転部、300・・・検査対象容器、310・・・印刷領域、312・・・はじき領域、510・・・第1照射部、520・・・第2照射部、530・・・受光部、500・・・印刷検査装置
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7A
図7B