(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149919
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231005BHJP
B41J 2/165 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B41J2/01 303
B41J2/01 451
B41J2/01 301
B41J2/165 203
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058732
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】堀 祐二
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EB13
2C056FA04
2C056HA37
2C056HA38
2C056HA58
2C056JA13
(57)【要約】
【課題】センサの検知精度の低下を抑制することができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置14は、液体を吐出するノズル44Bを有するヘッド39と、被吐出媒体12を検知するセンサ110と、ヘッド39およびセンサ110が固定された構造体51と、被吐出媒体12に対し所定の方向に往復移動するキャリッジ23と、を備える。構造体51は、キャリッジ23に着脱可能に取り付けられる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
被吐出媒体を検知するセンサと、
上記ヘッドおよび上記センサが固定された構造体と、
被吐出媒体に対し所定の方向に往復移動するキャリッジと、を備え、
上記構造体は、上記キャリッジに着脱可能に取り付けられる液体吐出装置。
【請求項2】
上記センサは、反射型の光センサである請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
上記光センサは、入力信号に応じた光を生成する光生成部と、受光した光を電圧に変換する受光部と、を有する請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
上記センサからの信号を増幅する増幅器と、
上記キャリッジに固定されたキャリッジ基板と、を更に備え、
上記増幅器は、上記キャリッジ基板に配置されている請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項5】
上記ヘッドは、吐出信号に応じて駆動し、上記ノズルから液体を吐出させる圧電素子を有し、
上記構造体に固定され、上記圧電素子に吐出信号を送るヘッド基板を更に備え、
上記ヘッド基板は、上記キャリッジに固定されたキャリッジ基板に、上記構造体の上記着脱に応じて接触状態および非接触状態が変わるように電気的に接続され、
上記センサは、上記ヘッド基板に電気的に接続される請求項1から4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
上記ヘッドは、第1の色を吐出する複数のノズルを備える第1ヘッドと、第2の色を吐出する複数のノズルを備える第2ヘッドと、を有しており、
上記構造体は、上記第1ヘッドが固定された第1構造体と、上記第2ヘッドが固定された第2構造体と、を有しており、
上記第1構造体および上記第2構造体は、上記キャリッジに別個に着脱可能に取り付けられる請求項1から5のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項7】
上記センサは、上記第1構造体と上記第2構造体のうちの一方のみに固定されている請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
上記第1の色はブラックであり、上記第2の色はカラーである請求項6又は7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
上記ノズルから吐出された液体を受けるキャップを更に備え、
上記キャリッジは、上記所定の方向である上記キャップに近づく第1方向と、上記キャップから離れる第2方向とに往復移動し、
上記センサは、上記第1構造体および上記第2構造体のうち上記第2方向に配置される構造体に固定されている請求項6から8のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項10】
上記センサと被吐出媒体との距離は、上記ヘッドと被吐出媒体との距離よりも大きい請求項1から9のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項11】
液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
被吐出媒体を検知する光を発光する発光部と上記発光部から発光された光を受光する受光部とを有するセンサと、
上記発光部および上記受光部を覆う透明体と、
上記ヘッドおよび上記透明体が固定された構造体と、
上記センサが固定され、被吐出媒体に対し所定の方向に往復移動するキャリッジと、を備え、
上記構造体は、上記キャリッジに着脱可能に取り付けられる液体吐出装置。
【請求項12】
上記透明体は、上記発光部が発光した光を集光するレンズである請求項11に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
被吐出媒体を検知する光を発光する発光部と上記発光部から発光された光を受光する受光部とを有するセンサと、
上記発光部が発光した光を反射するミラーと、
上記ヘッドおよび上記ミラーが固定された構造体と、
上記センサが固定され、被吐出媒体に対し所定の方向に往復移動するキャリッジと、を備え、
上記構造体は、上記キャリッジに着脱可能に取り付けられる液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドのノズルから被吐出媒体に液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドのノズルから被吐出媒体に液体を吐出する液体吐出装置としては、例えば、特許文献1のインクジェット記録装置が知られている。特許文献1の記録装置は、記録ヘッドと、被記録材を検知するセンサと、記録ヘッドおよびセンサが搭載されたキャリッジと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の記録装置では、例えば、記録ヘッドからインクが吐出するときに発生するインクミストがセンサに付着することにより、センサの検知精度が低下する場合がある。しかしながら、上記記録装置では、センサが交換できない構成になっているので、センサの汚れにより、装置が誤作動を起こしやすくなるという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、センサの検知精度の低下を抑制することができる液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出するノズルを有するヘッドと、被吐出媒体を検知するセンサと、上記ヘッドおよび上記センサが固定された構造体と、被吐出媒体に対し所定の方向に往復移動するキャリッジと、を備える。上記構造体は、上記キャリッジに着脱可能に取り付けられる。
【0007】
本発明によれば、ヘッドおよびセンサが固定された構造体がキャリッジから取り外せるので、センサの交換が可能である。このため、センサの汚れによる検知精度の低下を抑制することができる。また、これにより液体吐出装置を長く使うことができる。
【0008】
(2)上記センサは、反射型の光センサであってもよい。
【0009】
反射型の光センサは小型であるため、キャリッジおよび構造体を小型にすることができる。また、反射型の光センサは軽量であるため、ユーザは構造体の取り外しを容易に行うことができる。
【0010】
(3)上記光センサは、入力信号に応じた光を生成する光生成部と、受光した光を電圧に変換する受光部と、を有してもよい。
【0011】
構造体に固定された光センサが光生成部と受光部とを備えているため、キャリッジにセンサに関する部品を配置する必要がなく、ヘッドおよびセンサが固定された構造物を交換するだけで、センサの汚れによる検知精度の低下を抑制することができる。また、液体吐出装置を長く使うことができる。
【0012】
(4)上記液体吐出装置は、上記センサからの信号を増幅する増幅器と、上記キャリッジに固定されたキャリッジ基板と、を更に備えてもよい。上記増幅器は、上記キャリッジ基板に配置されていてもよい。
【0013】
センサの出力信号をより正確に検知するために用いられる増幅器は、インクミストの影響を受けにくい。増幅器が構造体に固定されていないので、構造体の交換に伴って増幅器が交換されることがなく、交換される部品を最小限にすることができる。これにより、交換対象を安価にすることができる。
【0014】
(5)上記ヘッドは、吐出信号に応じて駆動し、上記ノズルから液体を吐出させる圧電素子を有してもよい。上記液体吐出装置は、上記構造体に固定され、上記圧電素子に吐出信号を送るヘッド基板を更に備えてもよい。上記ヘッド基板は、上記キャリッジに固定されたキャリッジ基板に、上記構造体の上記着脱に応じて接触状態および非接触状態が変わるように電気的に接続されてもよい。上記センサは、上記ヘッド基板に電気的に接続されてもよい。
【0015】
仮に、ヘッド基板を経由せずにセンサがキャリッジ基板に電気的に接続される場合には、構造体の着脱に応じて、ヘッド基板とキャリッジ基板との接触状態と、センサとキャリッジ基板との接触状態とが変わるように構成する必要があるので、センサの接続構造が複雑になる。上記構成によれば、センサは、ヘッド基板を経由してキャリッジ基板に電気的に接続されるので、センサとキャリッジ基板との電気的な接続構造が簡易となる。
【0016】
(6)上記ヘッドは、第1の色を吐出する複数のノズルを備える第1ヘッドと、第2の色を吐出する複数のノズルを備える第2ヘッドと、を有してもよい。上記構造体は、上記第1ヘッドが固定された第1構造体と、上記第2ヘッドが固定された第2構造体と、を有してもよい。上記第1構造体および上記第2構造体は、上記キャリッジに別個に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0017】
第1構造体および第2構造体のうちの一方のみをキャリッジから取り外すことができるので、センサの交換作業が容易になる。
【0018】
(7)上記センサは、上記第1構造体と上記第2構造体のうちの一方のみに固定されていてもよい。
【0019】
第1構造体と第2構造体のうちのセンサが固定された方のみをキャリッジから取り外すことができる。このため、センサの検知精度が低下した場合には、センサが固定された方の構造体のみを交換すればよいため、交換が不要なヘッドまで交換されることが防止される。また、例えば、第1ヘッドと第2ヘッドのうちのセンサが固定されない方の構造体に固定されたヘッドのみ交換が必要な場合には、センサを交換しない選択も可能となる。
【0020】
(8)上記第1の色はブラックであり、上記第2の色はカラーであってもよい。
【0021】
例えば、モノクロ印刷を頻繁に実施する場合には、ブラックを吐出するノズルを有する第1ヘッドのみがより多く使われることとなる。このため、カラーとブラックのノズルは消耗度合いが変わる場合が多く、これらが分かれていることにより不要な交換を防ぐことができる。
【0022】
(9)液体吐出装置は、上記ノズルから吐出された液体を受けるキャップを更に備えてもよい。上記キャリッジは、上記所定の方向である上記キャップに近づく第1方向と、上記キャップから離れる第2方向とに往復移動してもよい。上記センサは、上記第1構造体および上記第2構造体のうち上記第2方向に配置される構造体に固定されていてもよい。
【0023】
キャリッジが、キャップから離れた位置からキャップがノズルを覆うキャッピング位置へ向かう方向に移動するときに、センサは、所定方向においてキャップを通過しなくなるので、汚れにくくなる。このため、センサの汚れによる検知精度の低下が抑制される。
【0024】
(10)上記センサと被吐出媒体との距離は、上記ヘッドと被吐出媒体との距離よりも大きくてもよい。
【0025】
ヘッドのノズル面よりも上方にセンサが配置されるので、ノズルから被吐出媒体に液体を吐出するときに生じるミストがセンサに接触しにくくなる。このため、センサが汚れにくくなるので、センサの汚れによる検知精度の低下が抑制される。
【0026】
(11)本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出するノズルを有するヘッドと、被吐出媒体を検知する光を発光する発光部と上記発光部から発光された光を受光する受光部とを有するセンサと、上記発光部および上記受光部を覆う透明体と、上記ヘッドおよび上記透明体が固定された構造体と、上記センサが固定され、被吐出媒体に対し所定の方向に往復移動するキャリッジと、を備える。上記構造体は、上記キャリッジに着脱可能に取り付けられる。
【0027】
本発明によれば、ノズルから液体が吐出されたときに生じるミストがセンサに付着することが透明体によって抑制される。ヘッドおよび透明体が固定された構造体をキャリッジから取り外すことができるので、透明体の交換が可能である。このため、透明体の汚れよるセンサの検知精度の低下を抑制することができる。
【0028】
(12)上記透明体は、上記発光部が発光した光を集光するレンズであってもよい。
【0029】
センサの検知精度を向上しつつ、レンズの汚れによるセンサの検知精度の低下を抑制することができる。
【0030】
(13)本発明に係る液体吐出装置は、液体を吐出するノズルを有するヘッドと、被吐出媒体を検知する光を発光する発光部と上記発光部から発光された光を受光する受光部とを有するセンサと、上記発光部が発光した光を反射するミラーと、上記ヘッドおよび上記ミラーが固定された構造体と、上記センサが固定され、被吐出媒体に対し所定の方向に往復移動するキャリッジと、を備える。上記構造体は、上記キャリッジに着脱可能に取り付けられる。
【0031】
本発明によれば、ヘッドおよびミラーが固定された構造体をキャリッジから取り外すことができるので、ミラーの交換が可能である。このため、ミラーの汚れによるセンサの検知精度の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る液体吐出装置は、センサの検知精度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図2】
図2は、プリンタ部11の内部構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、プラテン42の右方に第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bが配置されている状態を示す図である。
【
図4】
図4は、メディアセンサ110と制御部130との間の電気的な接続状態を示す簡略図である。
【
図5】
図5は、制御部130及び記憶部140の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、キャリッジ23が第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bと上下方向7に対向する位置まで移動した状態を示す図である。
【
図7】
図7は、第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bが第1ヘッド43の下面43Cおよび第2ヘッド44の下面44Cに当接した状態を示す図である。
【
図8】
図8は、変形例に係る記録部24の簡略構成図である。
【
図9】
図9は、変形例に係る記録部24の他の簡略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明においては、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が形成されている面を前面として前後方向8が定義され、複合機10を前面から見て左右方向9(幅方向の一例)が定義される。本実施形態では、複合機10が使用可能に設置された状態において、上下方向7が鉛直方向に相当し、前後方向8及び左右方向9が水平方向に相当する。前後方向8及び左右方向9は、直交している。
【0035】
[複合機10の全体構成]
図1に示されるように、複合機10は、概ね直方体に形成されている。複合機10は、下部にインクジェット記録方式で用紙12(
図2参照)に画像を記録するプリンタ部11(画像記録装置の一例)を備える。複合機10は、ファクシミリ機能及びプリント機能などの各種の機能を有している。
【0036】
図2に示されるように、プリンタ部11は、記録部24を備えた液体吐出装置と、搬送装置とを備える。搬送装置は、給送トレイ20と、排出トレイ21と、給送部15と、搬送ローラ対49と、排出ローラ対50と、を備える。
【0037】
[給送トレイ20]
図1に示されるように、プリンタ部11は、正面に開口13を備える。給送トレイ20が、開口13から前後方向8に挿抜可能である。給送トレイ20は、各種サイズの用紙12を支持可能である。
【0038】
給送トレイ20は、上方が開放された箱形状である。給送トレイ20は底板32を備える。底板32は、A4サイズやB5サイズやリーガルサイズや葉書サイズなどの複数の定型サイズの用紙12を支持可能である。
【0039】
[排出トレイ21]
図1に示されるように、排出トレイ21は、給送トレイ20の上方に位置している。排出トレイ21は、記録部24によって画像を記録されて排出された用紙12を支持する。
【0040】
[給送部15]
図2に示されるように、給送部15は、プリンタ部11に挿入された状態の給送トレイ20の底板32の上方に配置されている。給送部15は、給送ローラ25と、給送アーム26と、軸27とを備える。
【0041】
給送ローラ25は、給送アーム26の先端部に回転可能に支持されている。給送ローラ25は、給送用モータ105(
図5参照)から駆動力を付与されて回転する。なお、給送ローラ25は、後述する搬送用モータ106から駆動力を付与されて回転してもよい。
【0042】
給送アーム26の基端部は、軸27に回動可能に支持されている。軸27は、プリンタ部11のフレームに支持されている。給送アーム26は、自重またはバネ等による弾性力によって底板32へ向けて回動付勢されている。給送ローラ25は、底板32に支持された用紙12に当接した状態で回転することによって、底板32に支持された用紙12をピックアップして後述する搬送路65に給送する。
【0043】
[搬送路65]
図2に示されるように、搬送路65は、プリンタ部11の内部において、所定間隔で対向する外側ガイド部材18及び内側ガイド部材19によって区画される空間を指す。搬送路65は、給送トレイ20の後端部を基点として後方へ延び、プリンタ部11の後部において下方から上方に延びつつUターンし、記録部24を経て排出トレイ21に至る通路である。搬送路65は、搬送ローラ対49による挟持位置、記録部24及びプラテン42の間、及び排出ローラ対50による挟持位置を経て排出トレイ21へ通じている。なお、搬送路65内における用紙12の搬送向き16は、
図2において一点鎖線の矢印で示されている。
【0044】
[搬送ローラ対49及び排出ローラ対50]
図2に示されるように、搬送ローラ対49は、搬送路65に配置されている。搬送ローラ対49は、搬送ローラ60とピンチローラ61とを備える。排出ローラ対50は、搬送路65における搬送ローラ対49より下流に配置されている。排出ローラ対50は、排出ローラ62と拍車63とを備える。
【0045】
搬送ローラ60及びピンチローラ61は、相互に当接している。排出ローラ62及び拍車63は、相互に当接している。搬送ローラ60及び排出ローラ62は、搬送用モータ106(
図5参照)から駆動力が伝達されて回転する。これにより、搬送ローラ対49及び排出ローラ対50は、用紙12を挟持して搬送向き16に搬送する。
【0046】
[プラテン42]
図2に示されるように、プラテン42は、搬送路65における搬送ローラ対49及び排出ローラ対50の間に配置されている。プラテン42は、上下方向7において記録部24に対向して配置されている。プラテン42は、搬送路65を搬送される用紙12を下方から支持する。
【0047】
[第1キャップ70Aおよび第2キャップ70B]
図3に示されるように、プラテン42の右方には、左右方向9に間隔を空けて第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bが設けられている。第1キャップ70Aは、第2キャップ70Bの右方に位置している。第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bの左右方向9の間隔は、後述の第1ヘッド43および第2ヘッド44の左右方向9の間隔に対応している。
【0048】
第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bは、上方が開放された箱形状の部材である。第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bは、ゴムなどの弾性材料からなる。第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bは、可動機構71を介してフレーム46に支持されており、キャップ駆動用モータ104(
図5参照)から駆動力を付与された可動機構71によって上下動可能である。フレーム46は、プラテン42よりも右方に位置しており、前後方向8及び左右方向9に拡がった板状の部材である。可動機構71は、例えばボールネジを用いた機構や、リンク機構、およびカムを用いた機構などである。
【0049】
第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bの底面に、それぞれ貫通孔72が設けられている。各貫通孔72にはチューブ73が接続されている。チューブ73は、可撓性を有する樹脂チューブである。チューブ73は、各貫通孔72から延びて互いに合流した後、廃インクタンク78に繋がっている。チューブ73の合流点には、切換バルブ80が配置されている。切換バルブ80は、チューブ73において、第1キャップ70Aと廃インクタンク78とを連通させる第1経路と、第2キャップ70Bと廃インクタンク78とを連通させる第2経路と、に切換可能に構成されている。切換バルブ80の切換は、制御部130によって制御される。チューブ73における切換バルブ80と廃インクタンク78との間には吸引ポンプ77が配置されている。吸引ポンプ77の駆動は、制御部130によって制御される。これにより、制御部130は、第1キャップ70Aと第2キャップ70Bとを個別に吸引ポンプ77によって吸引させることができる。
【0050】
[記録部24]
図2から
図4を参照しつつ、記録部24について説明する。記録部24は、搬送路65における搬送ローラ対49及び排出ローラ対50の間に配置されている。記録部24は、搬送路65の上方において、プラテン42と対向する位置に配置されている。記録部24は、キャリッジ23、構造体51、記録ヘッド39(ヘッドの一例)、及びメディアセンサ110(センサの一例)を備える。
【0051】
キャリッジ23は、搬送路65の上方においてプラテン42に対向する位置に配置されている。キャリッジ23は、構造体51、記録ヘッド39、及びメディアセンサ110を搭載した状態で、搬送向き16と直交する走査方向(左右方向9)に往復移動する。キャリッジ23は、プラテン42の前後方向8に間隔を空けて配置されたガイドレール(不図示)によって支持されている。ガイドレールの少なくとも一方には、公知のベルト機構(不図示)が設けられている。キャリッジ23は、ベルト機構と連結されている。ベルト機構はキャリッジ駆動用モータ103(
図5参照)により駆動される。これにより、キャリッジ23は、左右方向9(所定の方向の一例)に往復移動可能である。言い換えると、キャリッジ23は、第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bに近づく右向き(第1方向の一例)と、第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bから離れる左向き(第2方向の一例)と、に往復移動可能である(
図3参照)。
【0052】
キャリッジ23には、キャリッジ基板52が固定されている。キャリッジ基板52は、後述の制御部130(
図5参照)に第1電気配線101によって接続された電気回路(図示せず)を有する。電気回路は、キャリッジ基板52から外部へ露出する第1接続端子52Aおよび第2接続端子52Bを有する。キャリッジ基板52には増幅器53が配置されている。増幅器53は、キャリッジ基板52の電気回路に電気的に接続されている。増幅器53は、メディアセンサ110からの信号を増幅して制御部130に出力する。
【0053】
構造体51は、キャリッジ23に着脱可能に取り付けられている。構造体51は、例えば、フックなどのユーザが容易に着脱可能な固定手段によってキャリッジ23に取り付けられる。構造体51は、第1構造体51Aおよび第2構造体51Bを有する(
図3参照)。第1構造体51Aは、第2構造体51Bの右方(第1方向の一例)に位置する。言い換えると、第2構造体51Bは、第1構造体51Aの左方(第2方向の一例)に位置する。第1構造体51Aおよび第2構造体51Bは、前後方向8および左右方向9に拡がる略平板状である。第1構造体51Aおよび第2構造体51Bは、キャリッジ23に別個に着脱可能である。
【0054】
第1構造体51Aには、第1ヘッド基板54(ヘッド基板の一例)が固定されている(
図4参照)。第1ヘッド基板54は、第1接続端子52Aに電気的に接続可能な第3接続端子54Aを含む電気回路を有する。第3接続端子54Aは、第1構造体51Aをキャリッジ23に取り付けたときに、第1接続端子52Aと接触状態になるように第1構造体51Aの外部に露出している。第3接続端子54Aは、第1構造体51Aをキャリッジ23から取り外したときに、第1接続端子52Aと非接触状態になるように構成されている。
【0055】
第1ヘッド基板54は、第1ドライバIC56を有する。第1ドライバIC56は、制御部130からの吐出信号に応じて後述の第1圧電素子43Aに電圧を印加することにより、第1圧電素子43Aを駆動する。
【0056】
第2構造体51Bには、第2ヘッド基板55(ヘッド基板の一例)が固定されている。第2ヘッド基板55は、第2接続端子52Bに電気的に接続可能な第4接続端子55Aを含む電気回路を有する。第4接続端子55Aは、第2構造体51Bをキャリッジ23に取り付けたときに、第2接続端子52Bと接触状態になるように第2構造体51Bの外部に露出している。第4接続端子55Aは、第2構造体51Bをキャリッジ23から取り外したときに、第2接続端子52Bと非接触状態になるように構成されている。
【0057】
第2ヘッド基板55は、第2ドライバIC57を有する。第2ドライバIC57は、制御部130からの吐出信号に応じて後述の第2圧電素子44Aに電圧を印加することにより、第2圧電素子44Aを駆動する。
【0058】
記録ヘッド39は構造体51に固定されている。具体的には、記録ヘッド39は、第1構造体51Aに固定された第1ヘッド43と第2構造体51Bに固定された第2ヘッド44とを有する。
【0059】
第1ヘッド43は、インクを吐出する複数の第1ノズル43Bを有する。各第1ノズル43Bは、第1ヘッド43の下面43Cに形成されている。各第1ノズル43Bは、ブラックインク(第1の色の一例)を吐出する。各第1ノズル43B内には第1圧電素子43A(
図5参照)が設けられている。第1圧電素子43Aは、第1ヘッド基板54の第1ドライバIC56に電気的に接続されている。第1圧電素子43Aは、第1ドライバIC56から直流電圧を供給されることによって変形する素子である。第1圧電素子43Aは、変形することにより、第1ノズル43B内のインクに圧力を加えて第1ノズル43Bからインクを吐出させる。第1圧電素子43Aとしては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いることができる。
【0060】
第2ヘッド44は、インクを吐出する複数の第2ノズル44Bを有する。各第1ノズル44Bは、第2ヘッド44の下面44Cに形成されている。各第2ノズル44Bは、カラーインク(第2の色の一例)を吐出する。各第2ノズル44B内には第2圧電素子44A(
図5参照)が設けられている。第2圧電素子44Aは、第2ヘッド基板55の第2ドライバIC57に電気的に接続されている。第2圧電素子44Aは、第2ドライバIC57から直流電圧を供給されることによって変形する素子である。第2圧電素子44Aは、変形することにより、第2ノズル44B内のインクに圧力を加えて第2ノズル44Bからインクを吐出させる。第2圧電素子44Aとしては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いることができる。
【0061】
第1ヘッド43および第2ヘッド44には、インクカートリッジ(不図示)からインクが供給される。第1ヘッド43および第2ヘッド44は、それぞれ第1ノズル43Bおよび第2ノズル44Bからインクを微小なインク滴として吐出する。キャリッジ23が左右方向9へ往復移動しているときに、第1ノズル43Bおよび第2ノズル44Bからプラテン42へ向けてインク滴が吐出される。これにより、プラテン42に支持されている用紙12にインク滴が着弾し、用紙12に画像が記録される。
【0062】
メディアセンサ110は第2構造体51Bに固定されている。メディアセンサ110は、第2ヘッド44よりも搬送向き16の上流に位置している。メディアセンサ110は、第2ヘッド44の下面44Cよりも上方に位置している。メディアセンサ110と用紙12との間の上下方向7の距離L1は、第2ヘッド44の下面44Cと用紙12との間の上下方向7の距離L2よりも大きい。メディアセンサ110は、プラテン42に支持された用紙12を検知する。
【0063】
また、メディアセンサ110は、第2ヘッド44よりも左方に配置されている。つまり、後述するキャップ70Bが第2ヘッド44を覆う位置に移動する際に、メディアセンサ110がキャップ70Bを左右方向9において通過しなくてもよい位置に配置されている。
【0064】
メディアセンサ110は、反射型の光センサである。メディアセンサ110は、第2ヘッド基板55に第2電気配線102によって接続されている。これにより、メディアセンサ110は、第2ヘッド基板55およびキャリッジ基板52を介して制御部130と電気的に繋がっている。メディアセンサ110は、発光ダイオードなどからなる発光部111(光生成部の一例)と、光学式センサなどからなる受光部112と、を有する。発光部111は、後述する制御部130(
図5参照)によって指示された入力信号に応じた光量で、プラテン42へ向けて光を照射する。プラテン42へ照射された光は、プラテン42またはプラテン42に支持された用紙12において反射する。反射された光は受光部112で受光される。受光部112は、受光した光を受光量に応じた電圧に変換することにより、受光量に応じた電気信号を制御部130へ出力する。例えば、メディアセンサ110は、受光量が大きい程、レベルの高い電気信号を制御部130へ出力する。
【0065】
[制御部130及び記憶部140]
以下、
図5が参照されて、制御部130及び記憶部140の構成が説明される。
【0066】
図5に示されるように、制御部130は、CPU131及びASIC135を備えている。記憶部140は、ROM132、RAM133、及びEEPROM134を備えている。CPU131、ASIC135、ROM132、RAM133、及びEEPROM134は、内部バス137によって接続されている。
【0067】
ROM132には、CPU131が各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0068】
ASIC135には、給送用モータ105、搬送用モータ106、及びキャリッジ駆動用モータ103が接続されている。ASIC135には、各モータを制御する駆動回路が組み込まれている。CPU131は、各モータを回転させるための駆動信号を各モータに対応する駆動回路(不図示)に出力する。駆動回路は、CPU131から取得した駆動信号に応じた駆動電流を対応するモータへ出力する。これにより、対応するモータが回転する。つまり、制御部130は、給送用モータ105を制御して、給送部15に用紙12を給送させる。また、制御部130は、搬送用モータ106を制御して、搬送ローラ対49及び排出ローラ対50に用紙12を搬送させる。また、制御部130は、キャリッジ駆動用モータ103を制御して、キャリッジ23を移動させる。制御部130は、メディアセンサ110から取得した電気信号のレベルに基づいて、反射光の受光量を認識する。また、制御部130は、ポンプモータ107の駆動を制御して、吸引ポンプ77を駆動する。
【0069】
制御部130は、キャリッジ基板52を介して第1ヘッド基板54の第1ドライバIC56に吐出信号を出力する。第1ドライバICは、受信した吐出信号に応じて第1圧電素子43Aに電圧を印加することにより、第1圧電素子43Aを駆動する。電圧が印加された第1圧電素子43Aは、変形することにより、第1ノズル43B内のインクに圧力を加えて第1ノズル43Bからインクを吐出させる。
【0070】
制御部130は、キャリッジ基板52を介して第2ヘッド基板55の第2ドライバIC57に吐出信号を出力する。第2ドライバIC57は、受信した吐出信号に応じて第2圧電素子44Aに電圧を印加することにより、第2圧電素子44Aを駆動する。電圧が印加された第2圧電素子44Aは、変形することにより、第2ノズル44B内のインクに圧力を加えて第2ノズル44Bからインクを吐出させる。
【0071】
制御部130は、キャリッジ基板52、第2ヘッド基板55を介してメディアセンサ110の発光部111に入力信号を出力する。発光部111は、受信した入力信号に応じた光量で、プラテン42へ向けて光を照射する。受光部112は、発光部111から照射された光がプラテン42または用紙12で反射した反射光を受光すると、受光した光の受光量に応じた電気信号を第2ヘッド基板55およびキャリッジ基板52を介して制御部130に出力する。制御部130は、発光部111からの電気信号に基づいて用紙12の左右両端位置を検出する。
【0072】
[画像記録動作]
次に、用紙12に画像が記録されるときの複合機10の動作について説明する。
【0073】
画像記録動作は、複合機10の操作部17(
図1参照)や複合機10と接続された外部機器などから、用紙12への印刷指示が制御部130に送られることにより開始される。
【0074】
印刷指示が制御部130に送られると、制御部130は、給送用モータ105を駆動する。これにより、給送ローラ25が回転して、給送トレイ20に支持された用紙12が搬送路65に給送される。
【0075】
用紙12が搬送ローラ対49の配置位置に到達すると、制御部130は、搬送用モータ106を駆動する。これにより、搬送ローラ60及び排出ローラ62が回転して、用紙12は、搬送ローラ対49によって、用紙12がメディアセンサ110と対向可能な位置まで搬送向き16に搬送される。
【0076】
次に、制御部130は、キャリッジ駆動用モータ103を駆動して、キャリッジ23を、用紙検出開始位置に移動させる。用紙検出開始位置は、左右方向9において、プラテン42に支持されている用紙12よりも外方(右方または左方)の位置である。本実施形態において、用紙検出開始位置は、プラテン42に支持されている用紙12よりも右方の位置であるとする。
【0077】
制御部130は、キャリッジ駆動用モータ103を駆動して、キャリッジ23を、用紙検出開始位置から当該用紙12よりも左方の位置へ移動させる。また、制御部130は、キャリッジ23の移動と並行して、所定レベルの電気信号をメディアセンサ110へ出力する。これにより、メディアセンサ110の発光部111は、所定レベルに応じた光量の光を下方の用紙12へ向けて照射する。そして、用紙12で反射された反射光の受光量に応じた電気信号が受光部112から制御部130に出力される。このとき、増幅器53によって電気信号が増幅される。制御部130は、移動させたキャリッジ23の位置と受信したプラテン42および用紙12の電気信号の差とに基づいて用紙12の左右両端位置を検出する。
【0078】
用紙12の左右両端位置が検出されると、キャリッジ23が用紙12と上下方向7に対向する位置まで移動する。そして、第1ヘッド43の複数の第1ノズル43Bからブラックインクが吐出されるとともに、第2ヘッド44の複数の第2ノズル44Bからカラーインクが吐出される。これにより、用紙12に画像が記録される。また、このとき、第1ノズル43Bおよび第2ノズル44Bからインクが吐出されることによってインクミストが生成しても、メディアセンサ110が第2ヘッド44の下面44Cよりも上方に位置するので、インクミストがメディアセンサ110に接触しにくい。
【0079】
用紙12に画像が記録されると、制御部130は、搬送ローラ60及び排出ローラ62を回転させる。これにより、用紙12は、搬送ローラ対49の排出ローラ62と拍車63とによって挟持されて搬送向き16に搬送される。搬送ローラ対49によって搬送向き16に搬送された用紙12は、排出トレイ21に排出される。
【0080】
[第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bの移動]
制御部130は、第1ノズル43Bおよび第2ノズル44Bを洗浄するメンテナンスを開始する前に、キャリッジ23を第1ヘッド43および第2ヘッド44がプラテン42と上下方向7に対向する位置(
図3参照)から、第1ヘッド43および第2ヘッド44が第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bに上下方向7に対向する離間位置(
図6参照)まで右向きに移動させる。そして、制御部130は、第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bを離間位置から上向きに
図7に示される被覆位置まで移動させる。被覆位置では、第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bは、第1キャップ70Aの上端が第1ヘッド43の下面43Cに当接し、かつ、第2キャップ70Bの上端が第2ヘッド44の下面44Cに当接した状態となる。つまり、第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bは、それぞれ複数の第1ノズル43Bおよび複数の第2ノズル44Bを下方から覆った状態となる。制御部130は、第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bが被覆位置にあるときに、メンテナンスを開始する。
【0081】
第1ヘッド43のメンテナンスを行うときは、制御部130は、チューブ73の経路を第1経路に切換て吸引ポンプ77を駆動させる。これにより、第1キャップ70Aの内部に負圧が発生し、この負圧が所定の圧力に達すると、複数の第1ノズル43Bからインクがキャップ70Aに排出される。このとき、第1ノズル43Bに詰まっていた異物も同時に排出される。第1キャップ70Aは、当該インクや異物を受ける。第1キャップ70Aが受けたインクや異物は、チューブ73へ吸引され、チューブ73を通って廃インクタンク78へ排出される(
図3参照)。
【0082】
第2ヘッド44のメンテナンスを行うときは、制御部130は、チューブ73の経路を第2経路に切換て吸引ポンプ77を駆動させる。これにより、第2キャップ70Bの内部に負圧が発生し、この負圧が所定の圧力に達すると、複数の第2ノズル44Bからインクがキャップ70Bに排出される。このとき、第2ノズル44Bに詰まっていた異物も同時に排出される。第2キャップ70Bは、当該インクや異物を受ける。第2キャップ70Bが受けたインクや異物は、チューブ73へ吸引され、チューブ73を通って廃インクタンク78へ排出される(
図3参照)。
【0083】
[実施形態の作用効果]
複合機10では、記録ヘッド39およびメディアセンサ110が固定された構造体51がキャリッジ23から取り外せるので、メディアセンサ110の交換が可能である。このため、メディアセンサ110の汚れによる検知精度の低下を抑制することができる。また、これにより複合機10を長く使うことができる。
【0084】
複合機10では、メディアセンサ110は、反射型の光センサであるので、小型である。このため、キャリッジ23および構造体51を小型にすることができる。また、反射型の光センサは軽量であるため、ユーザは構造体51の取り外しを容易に行うことができる。
【0085】
複合機10では、構造体51に固定されたメディアセンサ110が発光部111と受光部112とを備えるので、キャリッジ23にメディアセンサ110に関する部品を配置する必要がなく、記録ヘッド39およびメディアセンサ110が固定された構造体51を交換するだけで、メディアセンサ110の汚れによる検知精度の低下を抑制することができる。また、複合機10を長く使うことができる。
【0086】
複合機10では、メディアセンサ110の出力信号をより正確に検知するために用いられる増幅器53は、インクミストの影響を受けにくい。増幅器53が構造体51に固定されていないので、構造体51の交換に伴って増幅器53が交換されることがなく、交換される部品を最小限にすることができる。これにより、交換対象を安価にすることができる。
【0087】
仮に、第2ヘッド基板55を経由せずにメディアセンサ110がキャリッジ基板52に電気的に接続される場合には、第2構造体51Bの着脱に応じて、第2ヘッド基板55とキャリッジ基板52との接触状態と、メディアセンサ110とキャリッジ基板52との接触状態とが変わるように構成する必要があるので、メディアセンサ110の接続構造が複雑になる。複合機10では、メディアセンサ110は、第2ヘッド基板55を経由してキャリッジ基板52に電気的に接続されるので、メディアセンサ110とキャリッジ基板52との電気的な接続構造が簡易である。
【0088】
複合機10では、第1構造体51Aおよび第2構造体51Bは、キャリッジ23に別個に着脱可能に取り付けられているので、第1構造体51Aおよび第2構造体51Bのうちの一方のみをキャリッジ23から取り外すことができる。このため、メディアセンサ110の交換作業が容易である。
【0089】
複合機10では、メディアセンサ110の検知精度が低下した場合には、メディアセンサ110が固定された第2構造体51Bのみをキャリッジ23から取り外せばよいので、交換が不要な第1ヘッド43まで交換しなくても済む。一方、第1構造体51Aに固定された第1ヘッド43のみの交換が必要な場合には、メディアセンサ110を交換しない選択ができる。
【0090】
複合機10では、第1ヘッド43の第1ノズル43Bから吐出されるインクはブラックインクであり、第2ヘッド44の第2ノズル44Bから吐出されるインクはカラーインクである。このため、例えば、モノクロ印刷を頻繁に実施する場合には、第1ヘッド43のみがより多く使われることとなるので、第1ノズル43Bの消耗度合いが第2ノズル44Bの消耗度合いに比べて大きくなる。この場合、第1ヘッド43が固定された第1構造体51Aのみを交換することにより、第2ヘッド44の不要な交換を防ぐことができる。
【0091】
複合機10では、メディアセンサ110は、第2構造体51Bの左方に固定されている。このため、キャリッジ23が、第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bから左方に離れた位置から、第1キャップおよび第2キャップ70Bがそれぞれ第1ノズル43Bおよび第2ノズル44Bを覆うキャッピング位置へ向かって右向きに移動するときに、メディアセンサ110は、第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bを右向きに通過しないので、汚れにくい。このため、メディアセンサ110の汚れによる検知精度の低下が抑制される。
【0092】
複合機10では、メディアセンサ110と用紙12(プラテン42)との間の上下方向7の距離L1は、第2ヘッド44の下面44Cと用紙12(プラテン42)との間の上下方向7の距離L2よりも大きい。このため、第1ノズル43Bおよび第2ノズル44Bから下向きにインクが吐出されるときに生じるミストがメディアセンサ110に接触しにくい。その結果、メディアセンサ110の汚れが抑制されるので、メディアセンサ110の汚れによる検知精度の低下が抑制される。
【0093】
[変形例]
複合機10では、メディアセンサ110は、第2構造体51Bに固定されたが、
図8に示されるように、キャリッジ23に固定されてもよい。この場合、メディアセンサ110は、キャリッジ基板52に第2電気配線102によって接続される。発光部111が発光した光を集光するレンズ121(透明体の一例)が第2構造体51Bに固定される。このようにすると、メディアセンサ110がレンズ121によって下方から覆われるので、第2ノズル44Bからインクが下向きに吐出されたときに生じるインクミストがメディアセンサ110に接触することがレンズ121によって抑制される。このため、メディアセンサ110の検知精度をレンズ121によって向上しつつ、レンズ121の汚れによるメディアセンサ110の検知精度の低下を抑制することができる。
【0094】
複合機10では、メディアセンサ110は、第2構造体51Bに固定されたが、
図9に示されるように、キャリッジ23に固定されてもよい。この場合、メディアセンサ110は、キャリッジ基板52に第2電気配線102によって接続される。発光部111が発光した光を反射するミラー122が第2構造体51Bに固定される。ミラー122は、反射した光をプラテン42に向けて下向きに反射する。ミラー122は、プラテン42または用紙12よって反射された光を受光部112に向けて反射する。このようにすると、ミラー122が固定された第2構造体51Bをキャリッジ23から取り外すことができるので、ミラー122の交換が可能である。このため、ミラー122の汚れによるメディアセンサ110の検知精度の低下を抑制することができる。
【0095】
複合機10では、第1構造体51Aおよび第2構造体51Bは、別々にキャリッジ23に着脱可能に取り付けられたが、一体としてキャリッジ23に着脱可能に取り付けられてもよい。
【0096】
複合機10では、構造体51は、フックなどのユーザが容易に着脱可能な固定手段によってキャリッジ23に取り付けられたが、キャリッジ23に着脱可能に取り付けられていれば、固定手段は特に限定されることはない。例えば、構造体51は、ボルトによってキャリッジ23に取り付けられてもよく、構造体51の一部分をキャリッジ23に圧入することによってキャリッジ23に取り付けられてもよい。
【0097】
複合機10では、記録ヘッド39は、第1ヘッド43および第2ヘッド44を有したが、更に第3ヘッドを有してもよい。この場合、第1キャップ70Aおよび第2キャップ70Bに加えて、第3ヘッドに当接可能な第3キャップが設けられてもよい。
【0098】
複合機10では、メディアセンサ110は、反射型の光センサであったが、透過型の光センサであってもよい。この場合、発光部111と受光部112のうちの一方が第2構造体51Bに固定されてもよい。また、メディアセンサ110は、超音波センサ、静電センサであってもよい。
【0099】
複合機10では、メディアセンサ110は、第2構造体51Bに固定されたが、第1構造体51Aに固定されてもよい。
【符号の説明】
【0100】
14・・・液体吐出装置
23・・・キャリッジ
39・・・記録ヘッド
43・・・第1ヘッド
43A・・・第1圧電素子
43B・・・第1ノズル
44・・・第2ヘッド
44A・・・第2圧電素子
44B・・・第2ノズル
51・・・構造体
51A・・・第1構造体
51B・・・第2構造体
52・・・キャリッジ基板
53・・・増幅器
55・・・ヘッド基板
70A・・・第1キャップ
70B・・・第2キャップ
110・・・メディアセンサ
111・・・発光部
112・・・受光部
121・・・レンズ
122・・・ミラー