(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149926
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B41J2/175 171
B41J2/175 121
B41J2/175 503
B41J2/175 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058750
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】上坊寺 理恵
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056KA01
2C056KB11
2C056KB15
2C056KB35
2C056KB37
(57)【要約】
【課題】バッファタンクの小型化を図りつつ、タンクの内部空間の圧力を緩やかに調整できる手段を提供する。
【解決手段】液体吐出装置100は、液体を貯留するタンク34と、タンク34から供給された液体を吐出するヘッド38と、タンク34とヘッド38とを繋ぐ第1流路61および第2流路62と、第1流路61においてヘッド38へ向かう向きに液体に圧力を付与する正圧ポンプ63と、タンク34の内部空間を減圧する負圧ポンプ65と、タンク47の内部空間47Aと連通されたバッファタンク67と、バッファタンク67と外部とを連通する大気連通路68と、大気連通路68を開閉するバルブ69と、を備える。バッファタンク67の容量は、タンク34の容量よりも小さい。大気連通路68は、外部に開口する開口端68CCの内径R1よりも内径R2が小さい細径部68DDを有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するタンクと、
上記タンクから供給された液体を吐出するヘッドと、
上記タンクと上記ヘッドとを繋ぐ第1流路および第2流路と、
上記第1流路において上記ヘッドへ向かう向きに液体に圧力を付与する正圧ポンプと、
上記タンクの内部空間を減圧する負圧ポンプと、
上記タンクの内部空間と連通されたバッファタンクと、
上記バッファタンクと外部とを連通する大気連通路と、
上記大気連通路を開閉するバルブと、
を備えており、
上記バッファタンクの容量は、上記タンクの容量よりも小さく、
上記大気連通路は、外部に開口する開口端の内径よりも内径が小さい細径部を有する液体吐出装置。
【請求項2】
上記バッファタンクの内部空間の下面は、上記タンクの内部空間の上面よりも上方に位置する請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
上記細径部は、上記開口端に位置している請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
上記細径部の内径は、上記開口端の内径の20%以下である請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
上記細径部の内径は、0.3mm以下である請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
上記大気連通路は、上記バッファタンクから上記バルブへ向かって下向きに延びる部分と、上記バルブから上向きに延びる部分と、を有しており、
上記開口端は下向きである請求項1から5のいずれかに記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクに貯留された液体をヘッドから吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドからインクを吐出する液体吐出装置として、例えば、特許文献1に記載された装置が知られている。特許文献1の装置は、インクを貯留する貯留部とインクを吐出するヘッドとを有するヘッドユニットと、大気に開放する配管を介して貯留部に繋がるデガス用バッファタンクと、上記配管を開閉する加圧制御用電磁弁と、を備える。装置は、デガス用バッファタンク内の圧力が所定の圧力よりも小さくなると、加圧制御用電磁弁を開き、デガス用バッファタンクに空気を取り込んでデガス用バッファタンク内の圧力を所定の圧力に調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の装置において、小型化の観点からデガス用バッファタンクの容量を小さくすると、加圧制御用電磁弁を開いたときに空気が溜まる容量が小さくなるので、配管を通して貯留部まで空気が流入しやすくなる。その結果、加圧制御用電磁弁を開いたときに、貯留部内の圧力が一気に上昇しやすい。貯留部内の圧力が一気に上昇すると、ヘッドにおいても圧力変動が生じ、ノズルのメニスカスが壊れるなどの不具合が生じるおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、バッファタンクの小型化を図りつつ、タンクの内部空間の圧力を緩やかに調整できる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る液体吐出装置は、液体を貯留するタンクと、上記タンクから供給された液体を吐出するヘッドと、上記タンクと上記ヘッドとを繋ぐ第1流路および第2流路と、上記第1流路において上記ヘッドへ向かう向きに液体に圧力を付与する正圧ポンプと、上記タンクの内部空間を減圧する負圧ポンプと、上記タンクの内部空間と連通されたバッファタンクと、上記バッファタンクと外部とを連通する大気連通路と、上記大気連通路を開閉するバルブと、を備えている。上記バッファタンクの容量は、上記タンクの容量よりも小さい。上記大気連通路は、外部に開口する開口端の内径よりも内径が小さい細径部を有する。
【0007】
バルブが閉じられた状態で正圧ポンプおよび負圧ポンプが駆動されて、第1流路および第2流路を通じてタンクとヘッドとの間で液体が循環しているときに、正圧ポンプおよび負圧ポンプが停止されたとき、タンクおよびバッファタンクの内部空間が大気圧に対して負圧となっていることがある。そのときにバルブが開かれると、外部から細径部を通じて、バッファタンクおよびタンクに空気が流入する。バッファタンクの容量をタンクの容量よりも小さくしても、細径部により、タンク内の圧力が急激に上昇することが抑制される。したがって、バッファタンクの小型化を図りつつ、タンクの内部空間の圧力を緩やかに調整できる。
【0008】
(2)上記バッファタンクの内部空間の下面は、上記タンクの内部空間の上面よりも上方に位置してもよい。
【0009】
バッファタンクに流入した液体は、バルブが開放されると、重力によってタンクへ流れる。
【0010】
(3)上記細径部は、上記開口端に位置していてもよい。
【0011】
バッファタンクから大気連通路へ進入した液体が細径部に到達しにくくなる。このため、液体による細径部の目詰まりが抑制される。
【0012】
(4)上記細径部の内径は、上記開口端の内径の20%以下であってもよい。
【0013】
(5)上記細径部の内径は、0.3mm以下であってもよい。
【0014】
(6)上記大気連通路は、上記バッファタンクから上記バルブへ向かって下向きに延びる部分と、上記バルブから上向きに延びる部分と、を有してもよい。上記開口端は下向きであってもよい。
【0015】
バッファタンクから大気連通路へ進入した液体が開口端まで到達しにくい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、バッファタンクの小型化を図りつつ、タンクの内部空間の圧力を緩やかに調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る画像記録装置100の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、第2大気連通路68の開口端68CCを含む周辺の斜視図である。
【
図4】
図4は、第2大気連通路68におけるディスク部材68Dを含む周辺の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、画像記録装置100が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口33が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、画像記録装置100を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0019】
[画像記録装置100の外観構成]
図1に示される画像記録装置100(液体吐出装置の一例)は、インクジェット記録方式でロール体37(
図2参照)をなすシートSに画像を記録する。
【0020】
図1に示されるように、画像記録装置100は、筐体30を備える。筐体30は、上筐体31及び下筐体32を備える。上筐体31及び下筐体32は、全体として概ね直方体形状であって、卓上に載置可能な大きさである。すなわち、画像記録装置100は、卓上に載置されて使用されるのに適している。もちろん、画像記録装置100は、床面やラックに載置されて使用されてもよい。なお、筐体30の内部には、各部材を支持するためのフレームが適宜設けられてもよい。
【0021】
図2に示されるように、上筐体31は、下筐体32によって回動可能に支持されている。上筐体31は、後下端部に設けられ且つ左右方向9に延びる回動軸15周りに、
図2に示される閉位置と、開位置とに回動可能である。なお、上筐体31が回動する構成は、回動軸15によるものに限らず、例えば蝶番などによって回動してもよい。
【0022】
図2に示されるように、上筐体31が閉位置のとき、上筐体31の内部空間31Aと下筐体32の内部空間32Aとが、外部に対して遮蔽される。上筐体31が開位置のとき、上筐体31の内部空間31Aと下筐体32の内部空間32Aとが、外部に対して露出される。
【0023】
図1に示されるように、下筐体32の前面32Fには、左右方向9に長いスリット状の排出口33が形成されている。排出口33からは、画像記録済みのシートS(
図2参照)が排出される。
【0024】
上筐体31の前面31Fには、操作パネル44が設けられている。ユーザは、操作パネル44に、画像記録装置100を動作させたり各種設定を確定したりするための入力を行う。
【0025】
図1に示されるように、下筐体32の右面32Rには、右カバー35Aが位置する。右カバー35Aの開閉により、シート収容空間32Cに位置するホルダ35等(
図2参照)が露出したり遮蔽されたりする。
【0026】
図1に示されるように、下筐体32の前面32Fには、前カバー39が位置する。前カバー39は、下端付近において左右方向9に沿って延びる回動軸(不図示)周りに、上端側が前方へ倒れるように開くことができる。前カバー39の開閉により、下筐体32の内部空間32Aに位置する装着ケース110等(
図2参照)が露出されたり遮蔽されたりする。
【0027】
[画像記録装置100の内部構成]
図2に示されるように、内部空間31A,32Aには、ホルダ35、テンショナ45、搬送ローラ対36、搬送ローラ対40、ヘッドユニット38、プラテン51、インクタンク34、装着ケース110、およびインクサブタンク(タンクの一例)47などが配置されている。なお、図示されていないが、内部空間32Aには、定着ユニット、画像センサ、カッタ、メンテナンス機構等が位置してもよい。
【0028】
内部空間32Aには、隔壁41が設けられている。隔壁41は、内部空間32Aの後下部を仕切って、シート収容空間32Cを区画する。シート収容空間32Cは、隔壁41、下筐体32により包囲され、ヘッドユニット38などから隔離された空間である。
【0029】
テンショナ45は、内部空間32Aの後部において隔壁41よりも上方に位置する。テンショナ45は、下筐体32の外側を向いている外周面45Aを有している。外周面45Aは、左右方向9においてシートの最大幅以上の大きさであり、通紙中心(シートSの左右方向9における中心)に対して互いに対称な形状を有している。外周面45Aの上端は、上下方向7において搬送ローラ対36のニップDと概ね同じ上下位置にある。
【0030】
外周面45Aには、ロール体37から引き出されたシートSが掛けられ当接する。シートSは、外周面45Aに沿って前方に湾曲して、搬送向き8Aに延びて搬送ローラ対36に案内される。搬送向き8Aは、前後方向8に沿う前向きである。テンショナ45は、周知の手法により、シートSにテンションを与える。
【0031】
テンショナ45の前方には、搬送ローラ対36が位置する。搬送ローラ対36は、搬送ローラ36Aとピンチローラ36Bとを有する。搬送ローラ36A、及びピンチローラ36Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接する。
【0032】
搬送ローラ対36の前方には、搬送ローラ対40が位置する。搬送ローラ対40は、搬送ローラ40Aとピンチローラ40Bとを有する。搬送ローラ40A、及びピンチローラ40Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接する。
【0033】
搬送ローラ36A,40Aは、不図示のモータから駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対36は、テンショナ45から搬送向き8Aに延びるシートSをニップしつつ回転することにより、搬送面43Aに沿う搬送向き8Aに送り出す。搬送ローラ対40は、搬送ローラ対36から送り出されたシートSをニップしつつ回転することにより搬送向き8Aに送り出す。また、搬送ローラ対36,40の回転により、シートSは、シート収容空間32Cから隙間42を通ってテンショナ45に向けて引き出される。
【0034】
図2に示されるように、内部空間32Aには、外周面45Aの上端から排出口33に至る搬送路43が形成されている。搬送路43は、搬送向き8Aに沿ってほぼ直線的に延びており、シートSが通過可能な空間である。詳細には、搬送路43は、搬送向き8A及び左右方向9に拡がり且つ搬送向き8Aに長い搬送面43Aに沿っている。なお、
図2では、搬送面43Aは、搬送路43を示す二点鎖線で示されている。搬送路43は、上下方向7に離れて位置するガイド部材(不図示)や、ヘッドユニット38、プラテン51などによって区画されている。
【0035】
ヘッドユニット38は、搬送路43の上方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流側に位置する。ヘッドユニット38は、複数のノズル38Aを有するヘッドモジュール49を有する。複数のノズル38Aは、インクサブタンク47から供給されたインク(液体の一例)を搬送ベルト101に支持されたシートSへ向かって下方へ吐出する。これにより、シートSに画像が記録される。
【0036】
プラテン51は、搬送路43の下方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流に位置する。プラテン51は、ヘッドユニット38の下方に、ヘッドユニット38と対向している。プラテン51は、搬送ベルト101と支持部104を有する。搬送ベルト101は、搬送ローラ対36によって搬送向き8Aに搬送されてヘッドユニット38の直下に位置するシートSを支持する。搬送ベルト101は、支持しているシートSを搬送向き8Aに搬送する。
【0037】
装着ケース110は、下筐体32の前端および下端付近に位置しており、前方を向いて開口する箱形状である。装着ケース110には、後向きへインクタンク34が挿入される。装着ケース110の後向きの終面111には、前方へ向かって延びるインクニードル112が位置する。インクニードル112の前端は開口しており、後端はインクチューブ113に連結されている。インクチューブ113は、インクニードル112の内部空間とインクサブタンク47の内部空間47Aとをインクが流通可能に連結している。装着ケース110にインクタンク34が装着されると、インクニードル112がインクタンク34の流出口(図示せず)に挿入される。これにより、インクタンク34に貯留されたインクが、インクニードル112およびインクチューブ113を通じてインクサブタンク47に供給される。
【0038】
インクタンク34は、インクを貯留している。インクは、顔料などを含む液体である。インクは、顔料を均一に分散させるのに適した粘度を有している。顔料は、インクの色となるものである。インクタンク34は、インクが消費されると装着ケース110から取り外され、インクを貯留している新しいインクタンク34と交換される。
【0039】
インクサブタンク47は、インクタンク34の上方に位置している。インクサブタンク47は、インクタンク34から供給されたインクを貯留している。インクサブタンク47には、液体供給路61(第1流路の一例)および液体排出路62(第2流路の一例)が接続されている。液体供給路61および液体排出路62は、例えばチューブの内部空間であり、インクサブタンク47とヘッドユニット38とをインクが流通可能に連結している。
【0040】
液体供給路61には正圧ポンプ63が配置されている。正圧ポンプ63は、液体供給路61においてヘッドユニット38へ向かう向きにインクに圧力を付与する。正圧ポンプ63としては、例えば、ダイヤフラムポンプを挙げることができる。液体供給路61には圧力センサ48が配置されている。圧力センサ48は、液体供給路61におけるインクの圧力を検知して、検知信号をコントローラへ出力する。
【0041】
インクサブタンク47には、大気に連通する第1大気連通路64が接続されている。第1大気連通路64の一端は、インクサブタンク47の内部空間47Aの上部に開口しており、他端は、上筐体31の内部空間31Aに開口している。第1大気連通路64には負圧ポンプ65が配置されている。負圧ポンプ65は、インクサブタンク47の内部空間47Aの空気を吸引することにより、インクサブタンク47の内部空間47Aを減圧する。負圧ポンプ65としては、例えば、ダイヤフラムポンプを挙げることができる。負圧ポンプ65によって吸引された空気は第1大気連通路64を通して大気に放出される。負圧ポンプ65および正圧ポンプ63の駆動は、不図示のコントローラによって制御される。
【0042】
インクサブタンク47は、接続流路66を通してバッファタンク67に繋がっている。接続流路66の一端は、インクサブタンク47の内部空間47Aの上面47Bに開口している。接続流路66の他端は、バッファタンク67の内部空間67Aの下面67Bに開口している。
【0043】
バッファタンク67は、インクサブタンク47よりも上方に位置する。バッファタンク67の内部空間67Aの下面67Bは、インクサブタンク47の内部空間47Aの上面47Bよりも上方に位置する。バッファタンク67の容量は、インクサブタンク47の容量よりも小さい。バッファタンク67は、インクサブタンク47に向けて流入した外気が一時的に滞留することによって、インクサブタンク47の内部空間47Aに外気が一気に流入することを抑制するためのものである。また、バッファタンク67は、インクサブタンク47から接続流路66を通して流入したインクを貯留するためのものである。
【0044】
バッファタンク67には、大気に連通する第2大気連通路68(大気連通路の一例)が接続されている。第2大気連通路68は、大気に開口する開口端68CCに向かって上下に屈曲するように延びている。具体的には、
図3、
図4に示されるように、第2大気連通路68は、下方部68A、上方部68B、開口端部68C、及びディスク部材68Dを有する。下方部68Aは、バッファタンク67から下向きに延びて後述の大気開放バルブ69(バルブの一例)に接続されている。上方部68Bは、大気開放バルブ69から上向きに延びている。開口端部68Cは、上方部68Bから横方向に延びて開口端68CCが下向きに形成されている。開口端68CCには、開口端68CCの内径R1よりも大きい内径を有する筒状の接続部70が形成されている。
【0045】
ディスク部材68Dは、開口端部68Cの開口端68CCに位置している。ディスク部材68Dは、円形平板状に形成されている。ディスク部材68Dは接続部70に嵌め込まれている。ディスク部材68Dは、ディスク部材68Dを貫通する貫通孔である細径部68DDを有する。細径部68DDは、ディスク部材68Dの中心に位置している。細径部68DDの内径R2の中心と開口端68CCの内径R1の中心とは一致している。細径部68DDの内径R2は、開口端68CCの内径R1の20%以下である。具体的には、内径R1は、1.5mm~2.0mmの範囲内であり、内径R2は、0.3mm以下である。大気開放バルブ69は、第2大気連通路68を開閉する。大気開放バルブ69は例えば電磁弁であり、不図示のコントローラによって開閉が制御される。また、大気開放バルブ69は、電力が失われると開状態となる。
【0046】
[インクタンク34からインクサブタンク47へのインク供給]
コントローラは、例えば、装着ケース110にインクタンク34が装着されたことに基づいて、負圧ポンプ65を駆動する。負圧ポンプ65の駆動により、インクサブタンク47の気体層が減圧されると、インクタンク34からインクサブタンク47へインクが吸引される。負圧ポンプ65が、例えば一定時間駆動されることにより、所定量のインクがインクタンク34からインクサブタンク47へ供給される。
【0047】
[画像記録動作]
次に、ロール体37から引き出されたシートSに画像が記録されるときの画像記録装置100の動作について説明する。
【0048】
コントローラは、操作パネル44や、画像記録装置100とLANなどによって接続された情報処理装置などの外部から、シートSに画像を記録する旨の命令を受け取ると、正圧ポンプ63および負圧ポンプ65を駆動する。また、大気開放バルブ69を閉じた状態とする。これにより、インクサブタンク47とヘッドユニット38との間の圧力差により、インクが液体供給路61および液体排出路62を循環する。このとき、プラテン51に支持されているシートSに向けてヘッドユニット38のノズル38Aからインクが吐出されてシートSに画像が記録される。画像が記録されたシートSは、カッタ等によって所定のサイズに切断されて排出口33から排出される。ヘッドユニット38からインクが吐出されるに伴って、インクタンク34からインクサブタンク47へインクが供給される。
【0049】
印字中にインクが消費されること等によって液体供給路61におけるインクの圧力が変動し得る。圧力センサ48の検知信号に基づいて、コントローラが、液体供給路61における圧力が所定の閾値よりも大きくなったと判定したとき、コントローラは、大気開放バルブ69を開く。これにより、第2大気連通路68を通じてインクサブタンク47の内部空間47Aに外気が流入する。このとき、外気は、細径部68DDを通してインクサブタンク47に流入するが、細径部68DDにより開口端68CCよりも大きな流路抵抗が生じるので、バッファタンク67の容量がインクサブタンク47の容量よりも小さくても、インクサブタンク47に外気が一気に流入することはない。このため、インクサブタンク47の内部空間47Aの圧力が急激に上昇することが抑制される。
【0050】
仮に、印字中に画像記録装置100の電源がオフにされたとする。電源オフにより、駆動中の正圧ポンプ63および負圧ポンプ65は停止する。また、電源オフにより、大気開放バルブ69は開状態となる。インクサブタンク47の内部空間47Aおよびバッファタンク67の内部空間67Aが負圧であると、その負圧によって、ヘッドユニット38から液体排出路62を通じてインクサブタンク47へインクが流入する。流入するインクにより、インクサブタンク47の容量を超えたインクが接続流路66を通してバッファタンク67に流入するおそれがあるが、電源オフにより大気開放バルブ69が開状態となることにより、インクサブタンク47の内部空間47Aおよびバッファタンク67の内部空間67Aが負圧であれば、第2大気連通路68を通じて外気が流入する。これにより、インクサブタンク47のインクが接続流路66を通してバッファタンク67に流入することが抑制される。仮に、一時的にインクがバッファタンク67に流入したとしても、大気開放バルブ69が開状態なので、バッファタンク67の内部空間67Aに流入したインクは、重力によって接続流路66を流れてインクサブタンク47へ戻る。
【0051】
[実施形態の作用効果]
画像記録装置100では、インクサブタンク47の内部空間47Aの負圧を調整するため、大気開放バルブ69が開かれても、外気は細径部68DDを通してインクサブタンク47に取り込まれる。細径部68DDにより外気がインクサブタンク47に急激に流入することが抑制されるので、バッファタンク67の容量をインクサブタンク47の容量より小さくすることができる。その結果、バッファタンク67の小型化を図りつつ、インクサブタンク47の内部空間47Aの圧力変動を緩やかに調整できる。
【0052】
画像記録装置100では、仮に、バッファタンク67にインクが流入した状態になると、バッファタンク67の負圧を保持する空気容積が小さくなるので、印字品質の悪化につながる。画像記録装置100では、バッファタンク67の内部空間67Aの下面67Bは、インクサブタンク47の内部空間47Aの上面47Bよりも上方に位置しているので、バッファタンク67に流入した液体は、大気開放バルブ69が開放されると、重力によって接続流路66を流れてインクサブタンク47へ戻る。このため、バッファタンク67の負圧保持能力が復旧され、印字品質の悪化を抑制することができる。また、バッファタンク67に流入したインクをポンプ等で排出する場合に比べて、インクを無駄にすることがない。
【0053】
画像記録装置100では、第2大気連通路68の細径部68DDは、大気に開口する開口端68CCに位置しているので、バッファタンク67から第2大気連通路68へインクが進入しても、インクが細径部68DDに到達しにくい。このため、インクによる細径部68DDの目詰まりが抑制される。
【0054】
画像記録装置100では、細径部68DDの内径R2は、開口端68CCの内径R1の20%以下であるので、外気が第2大気連通路68を通してインクサブタンク47に一気に流入することが抑制される。
【0055】
画像記録装置100では、細径部68DDの内径R2は、0.3mm以下であるので、外気が第2大気連通路68を通してインクサブタンク47に一気に流入することが抑制される。
【0056】
画像記録装置100では、第2大気連通路68は、バッファタンク67から大気開放バルブ69へ向かって下向きに延びる下方部68Aと、大気開放バルブ69から上向きに延びる上方部68Bと、上方部68Bから横方向に延びて開口端68CCが下向きに形成された開口端部68Cと、を有する。このため、バッファタンク67から第2大気連通路68へインクが進入しても、インクが開口端68CCまで到達しにくい。
【0057】
[変形例]
画像記録装置100では、細径部68DDは、第2大気連通路68の開口端部68Cの開口端68CCに位置したが、第2大気連通路68に位置していれば、特に限定されることはない。例えば、細径部68DDは、開口端部68Cにおける開口端68CCよりも大気開放バルブ69側に位置してもよい。また、細径部68DDは、バッファタンク67から下向きに延びて大気開放バルブ69に接続された下方部68Aに位置してもよく、大気開放バルブ69から上向きに延びる上方部68Bに位置してもよい。
【0058】
画像記録装置100では、コントローラは、液体供給路61におけるインクの圧力を検知する圧力センサ48の検知信号に基づいて、液体供給路61における圧力が所定の閾値よりも大きくなったと判定したとき、大気開放バルブ69を開いたが、インクサブタンク47内の圧力を検知する圧力センサを設けておき、この圧力センサの検知信号に基づいて、インクサブタンク47内の負圧が所定の閾値よりも大きくなったと判定したとき、大気開放バルブ69を開いてもよい。
【符号の説明】
【0059】
38・・・ヘッドユニット
47・・・インクサブタンク
47A・・・内部空間
47B・・・上面
61・・・液体供給路
62・・・液体排出路
63・・・正圧ポンプ
65・・・負圧ポンプ
67・・・バッファタンク
67A・・・内部空間
67B・・・下面
68・・・第2大気連通路
68A・・・下方部
68B・・・上方部
68CC・・・開口端
68DD・・・細径部
69・・・大気開放バルブ
100・・・画像記録装置
R1・・・内径
R2・・・内径