特開 2023-149935 液体吐出装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2023149935

(43)【公開日】2023-10-16

(54)【発明の名称】液体吐出装置

(51)【国際特許分類】

   B41J 2/175 20060101AFI20231005BHJP

【ＦＩ】

B41J2/175 503

B41J2/175 121

B41J2/175 201

B41J2/175 501

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022058762

(22)【出願日】2022-03-31

(71)【出願人】

【識別番号】000005267

【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100117101

【弁理士】

【氏名又は名称】西木 信夫

(74)【代理人】

【識別番号】100120318

【弁理士】

【氏名又は名称】松田 朋浩

(72)【発明者】

【氏名】上坊寺 理恵

【テーマコード（参考）】

2C056

【Ｆターム（参考）】

2C056KB15

2C056KB26

2C056KB40

(57)【要約】

【課題】フィルタとヘッドとの間の狭いスペースにおいて、液体供給路と圧力センサとの間の流路長を十分に確保できる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置は、液体を貯留するタンク４７と、タンク４７から供給された液体を吐出するヘッド３８と、タンク４７とヘッド３８とを繋ぐ液体供給路６１と、液体供給路６１においてヘッド３８の上流に配置されたフィルタ６６と、液体供給路６１においてヘッド３８とフィルタ６６との間に連結する分岐流路６７と、分岐流路６７に配置された圧力センサ４８と、を備えている。圧力センサ４８は、フィルタ６６よりも上方に位置している。液体供給路６１において、分岐流路６７が連結する第１位置６７Ａは、フィルタ６６の流出ポート６６Ｂと接続する第２位置６１１ＡＡよりも下方に位置する。
【選択図】図３

【特許請求の範囲】

【請求項1】

液体を貯留するタンクと、
上記タンクから供給された液体を吐出するヘッドと、
上記タンクと上記ヘッドとを繋ぐ液体供給路と、
上記液体供給路において上記ヘッドの上流に配置されたフィルタと、
上記液体供給路において上記ヘッドと上記フィルタとの間に連結する分岐流路と、
上記分岐流路に配置された圧力センサと、を備えており、
上記圧力センサは、上記フィルタよりも上方に位置しており、
上記液体供給路において、上記分岐流路が連結する第１位置は、上記フィルタの流出ポートと接続する第２位置よりも下方に位置する液体吐出装置。

【請求項2】

上記分岐流路は、上記第１位置から上記圧力センサまで直線状に上方へ延びている請求項１に記載の液体吐出装置。

【請求項3】

上記液体供給路は、
上記フィルタの流出ポートから上方へ延びる第１部分と、
上記第１部分から上下方向と交差する横方向へ延びる第２部分と、
上記第２部分から下方へ延びる第３部分と、
上記第３部分から上記横方向へ延びて上記第１位置に至る第４部分と、を有する請求項１又は２に記載の液体吐出装置。

【請求項4】

上記第２部分を液体が流れる向きと上記第４部分を液体が流れる向きとは、反対である請求項３に記載の液体吐出装置。

【請求項5】

上記液体供給路は、直線部分を構成するチューブと、屈曲部分を構成する配管継手と、を有する請求項１から４のいずれかに記載の液体吐出装置。

【請求項6】

上記タンクと上記ヘッドとを繋ぐ液体排出路と、
上記液体供給路に配置された正圧ポンプと、
上記タンクの内部空間を減圧する負圧ポンプと、を更に備えた請求項１から５のいずれかに記載の液体吐出装置。

【請求項7】

上記液体供給路において、上記フィルタの流入ポートと接続する第３位置よりも上流側は、上方へ延びてから下方へ折り返す第５部分を有する請求項１から６のいずれかに記載の液体吐出装置。

【請求項8】

上記分岐流路の径は、上記液体供給路の径よりも大きい請求項１から７のいずれかに記載の液体吐出装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、タンクに貯留された液体をヘッドから吐出する液体吐出装置に関する。

【背景技術】

【0002】

ヘッドからインクを吐出する液体吐出装置として、例えば、特許文献１に記載されたインクジェット記録装置が知られている。特許文献１の記録装置は、記録ヘッドと、インクタンクと、記録ヘッドとインクタンクとを繋ぐ供給路と、供給路に設けられたフィルタと、供給路における記録ヘッド直前の圧力を検知する圧力測定部と、を備える。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１２－２３２４４７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

圧力測定部には、圧力センサが使用されることが考えられる。圧力センサは、圧力変動に応じて変形するダイヤフラムの変形を電気的に検出して検出信号を出力するものである。特許文献１記載の記録装置においては、フィルタと記録ヘッドとの間に圧力センサが配置されており、供給路と圧力センサとがチューブなどの流路により接続される。圧力センサがインクに接液しない状態で使用されるものである場合、供給路からセンサへ分岐する分岐流路は空気で満たされている。

【0005】

しかしながら、分岐流路において供給路から圧力センサまでの距離が短いと、供給路を流れるインクが圧力センサに進入してダイヤフラムに接触するおそれがある。インクがダイヤフラムに接触すると、圧力センサの検出信号が不安定になりやすい。供給路に設けられるフィルタは、記録ヘッドへ流れるインク中の異物を除去するものなので、記録ヘッドに近い位置に配置されることが望ましい。他方、圧力センサはフィルタよりも下流に配置することが望ましいが、フィルタが記録ヘッドに近い位置に配置されると、圧力センサを配置するためのスペースが十分に確保できず、供給路とダイヤフラムとの距離が近くなりやすい。

【0006】

本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルタとヘッドとの間の狭いスペースにおいて、液体供給路と圧力センサとの間の流路長を十分に確保できる液体吐出装置を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0007】

（１）本発明に係る液体吐出装置は、液体を貯留するタンクと、上記タンクから供給された液体を吐出するヘッドと、上記タンクと上記ヘッドとを繋ぐ液体供給路と、上記液体供給路において上記ヘッドの上流に配置されたフィルタと、上記液体供給路において上記ヘッドと上記フィルタとの間に連結する分岐流路と、上記分岐流路に配置された圧力センサと、を備えている。上記圧力センサは、上記フィルタよりも上方に位置している。上記液体供給路において、上記分岐流路が連結する第１位置は、上記フィルタの流出ポートと接続する第２位置よりも下方に位置する。

【0008】

第１位置が第２位置よりも下方に位置するので、第１位置から圧力センサまでの分岐流路の流路長を長くすることができる。このため、フィルタとヘッドとの間の狭いスペースにおいて、液体供給路と圧力センサとの間の流路長を十分に確保でき、圧力センサまで液体が進入することを抑制できる。その結果、圧力センサの検出信号が安定し、液体供給路における圧力が正確に検知される。

【0009】

（２）上記分岐流路は、上記第１位置から上記圧力センサまで直線状に上方へ延びていてもよい。

【0010】

分岐流路が占めるスペースを小さくできる。

【0011】

（３）上記液体供給路は、上記フィルタの流出ポートから上方へ延びる第１部分と、上記第１部分から上下方向と交差する横方向へ延びる第２部分と、上記第２部分から下方へ延びる第３部分と、上記第３部分から上記横方向へ延びて上記第１位置に至る第４部分と、を有してもよい。

【0012】

第２部分と第４部分とが上下方向に離れている分だけ、第１位置から圧力センサまでの流路長を長くできるので、圧力センサまで液体が進入することを抑制できる。

【0013】

（４）上記第２部分を液体が流れる向きと上記第４部分を液体が流れる向きとは、反対であってもよい。

【0014】

液体供給路を配置するスペースを小さくすることができる。

【0015】

（５）上記液体供給路は、直線部分を構成するチューブと、屈曲部分を構成する配管継手とを有してもよい。

【0016】

チューブが屈曲しにくい素材で形成されていても、液体供給路の取り廻しが容易である。

【0017】

（６）上記液体供給路は、上記タンクと上記ヘッドとを繋ぐ液体排出路と、上記液体供給路に配置された正圧ポンプと、上記タンクの内部空間を減圧する負圧ポンプと、を更に備えてもよい。

【0018】

（７）上記液体供給路において、上記フィルタの流入ポートと接続する第３位置よりも上流側は、上方へ延びてから下方へ折り返す第５部分を有してもよい。

【0019】

フィルタを配置するためのスペースを小さくできる。

【0020】

（８）上記分岐流路の径は、上記液体供給路の径よりも大きくてもよい。

【0021】

液体供給路から分岐流路へ液体が進入しにくくなる。

【発明の効果】

【0022】

本発明によれば、フィルタとヘッドとの間の狭いスペースにおいて、液体供給路と圧力センサとの間の流路長を十分に確保できる。

【図面の簡単な説明】

【0023】

【図1】図１は、本発明の実施形態に係る画像記録装置１００の外観斜視図である。

【図2】図２は、図１のＩＩ－ＩＩ断面を示す断面図である。

【図3】図３は、液体供給路６１においてフィルタ６６を含む周辺の斜視図である。

【発明を実施するための形態】

【0024】

以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、画像記録装置１００が使用可能に設置された状態（図１の状態）を基準として上下方向７が定義され、排出口３３が設けられている側を手前側（前面）として前後方向８が定義され、画像記録装置１００を手前側（前面）から見て左右方向９が定義される。

【0025】

［画像記録装置１００の外観構成］
図１に示される画像記録装置１００（液体吐出装置の一例）は、インクジェット記録方式でロール体３７（図２参照）をなすシートＳに画像を記録する。

【0026】

図１に示されるように、画像記録装置１００は、筐体３０を備える。筐体３０は、上筐体３１及び下筐体３２を備える。上筐体３１及び下筐体３２は、全体として概ね直方体形状であって、卓上に載置可能な大きさである。すなわち、画像記録装置１００は、卓上に載置されて使用されるのに適している。もちろん、画像記録装置１００は、床面やラックに載置されて使用されてもよい。なお、筐体３０の内部には、各部材を支持するためのフレームが適宜設けられてもよい。

【0027】

図２に示されるように、上筐体３１は、下筐体３２によって回動可能に支持されている。上筐体３１は、後下端部に設けられ且つ左右方向９に延びる回動軸１５周りに、図２に示される閉位置と、開位置とに回動可能である。なお、上筐体３１が回動する構成は、回動軸１５によるものに限らず、例えば蝶番などによって回動してもよい。

【0028】

図２に示されるように、上筐体３１が閉位置のとき、上筐体３１の内部空間３１Ａと下筐体３２の内部空間３２Ａとが、外部に対して遮蔽される。上筐体３１が開位置のとき、上筐体３１の内部空間３１Ａと下筐体３２の内部空間３２Ａとが、外部に対して露出される。

【0029】

図１に示されるように、下筐体３２の前面３２Ｆには、左右方向９に長いスリット状の排出口３３が形成されている。排出口３３からは、画像記録済みのシートＳ（図２参照）が排出される。

【0030】

上筐体３１の前面３１Ｆには、操作パネル４４が設けられている。ユーザは、操作パネル４４に、画像記録装置１００を動作させたり各種設定を確定したりするための入力を行う。

【0031】

図１に示されるように、下筐体３２の右面３２Ｒには、右カバー３５Ａが位置する。右カバー３５Ａの開閉により、シート収容空間３２Ｃに位置するホルダ３５等（図２参照）が露出したり遮蔽されたりする。

【0032】

図１に示されるように、下筐体３２の前面３２Ｆには、前カバー３９が位置する。前カバー３９は、下端付近において左右方向９に沿って延びる回動軸（不図示）周りに、上端側が前方へ倒れるように開くことができる。前カバー３９の開閉により、下筐体３２の内部空間３２Ａに位置する装着ケース１１０等（図２参照）が露出されたり遮蔽されたりする。

【0033】

［画像記録装置１００の内部構成］
図２に示されるように、内部空間３１Ａ，３２Ａには、ホルダ３５、テンショナ４５、搬送ローラ対３６、搬送ローラ対４０、ヘッドユニット３８（ヘッドの一例）、プラテン５１、インクタンク３４、装着ケース１１０、およびインクサブタンク４７（タンクの一例）などが配置されている。なお、図示されていないが、内部空間３２Ａには、定着ユニット、画像センサ、カッタ、メンテナンス機構等が位置してもよい。

【0034】

内部空間３２Ａには、隔壁４１が設けられている。隔壁４１は、内部空間３２Ａの後下部を仕切って、シート収容空間３２Ｃを区画する。シート収容空間３２Ｃは、隔壁４１、下筐体３２により包囲され、ヘッドユニット３８などから隔離された空間である。

【0035】

テンショナ４５は、内部空間３２Ａの後部において隔壁４１よりも上方に位置する。テンショナ４５は、下筐体３２の外側を向いている外周面４５Ａを有している。外周面４５Ａは、左右方向９においてシートの最大幅以上の大きさであり、通紙中心（シートＳの左右方向９における中心）に対して互いに対称な形状を有している。外周面４５Ａの上端は、上下方向７において搬送ローラ対３６のニップＤと概ね同じ上下位置にある。

【0036】

外周面４５Ａには、ロール体３７から引き出されたシートＳが掛けられ当接する。シートＳは、外周面４５Ａに沿って前方に湾曲して、搬送向き８Ａに延びて搬送ローラ対３６に案内される。搬送向き８Ａは、前後方向８に沿う前向きである。テンショナ４５は、周知の手法により、シートＳにテンションを与える。

【0037】

テンショナ４５の前方には、搬送ローラ対３６が位置する。搬送ローラ対３６は、搬送ローラ３６Ａとピンチローラ３６Ｂとを有する。搬送ローラ３６Ａ、及びピンチローラ３６Ｂは、外周面４５Ａの上端と概ね同じ上下位置で当接する。

【0038】

搬送ローラ対３６の前方には、搬送ローラ対４０が位置する。搬送ローラ対４０は、搬送ローラ４０Ａとピンチローラ４０Ｂとを有する。搬送ローラ４０Ａ、及びピンチローラ４０Ｂは、外周面４５Ａの上端と概ね同じ上下位置で当接する。

【0039】

搬送ローラ３６Ａ，４０Ａは、不図示のモータから駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対３６は、テンショナ４５から搬送向き８Ａに延びるシートＳをニップしつつ回転することにより、搬送面４３Ａに沿う搬送向き８Ａに送り出す。搬送ローラ対４０は、搬送ローラ対３６から送り出されたシートＳをニップしつつ回転することにより搬送向き８Ａに送り出す。また、搬送ローラ対３６，４０の回転により、シートＳは、シート収容空間３２Ｃから隙間４２を通ってテンショナ４５に向けて引き出される。

【0040】

図２に示されるように、内部空間３２Ａには、外周面４５Ａの上端から排出口３３に至る搬送路４３が形成されている。搬送路４３は、搬送向き８Ａに沿ってほぼ直線的に延びており、シートＳが通過可能な空間である。詳細には、搬送路４３は、搬送向き８Ａ及び左右方向９に拡がり且つ搬送向き８Ａに長い搬送面４３Ａに沿っている。なお、図２では、搬送面４３Ａは、搬送路４３を示す二点鎖線で示されている。搬送路４３は、上下方向７に離れて位置するガイド部材（不図示）や、ヘッドユニット３８、プラテン５１などによって区画されている。

【0041】

ヘッドユニット３８は、搬送路４３の上方において搬送ローラ対３６よりも搬送向き８Ａの下流側に位置する。ヘッドユニット３８は、複数のノズル３８Ａを有するヘッドモジュール４９を有する。複数のノズル３８Ａは、インクサブタンク４７から供給されたインク（液体の一例）を搬送ベルト１０１に支持されたシートＳへ向かって下方へ吐出する。これにより、シートＳに画像が記録される。

【0042】

プラテン５１は、搬送路４３の下方において搬送ローラ対３６よりも搬送向き８Ａの下流に位置する。プラテン５１は、ヘッドユニット３８の下方に、ヘッドユニット３８と対向している。プラテン５１は、搬送ベルト１０１と支持部１０４を有する。搬送ベルト１０１は、搬送ローラ対３６によって搬送向き８Ａに搬送されてヘッドユニット３８の直下に位置するシートＳを支持する。搬送ベルト１０１は、支持しているシートＳを搬送向き８Ａに搬送する。

【0043】

装着ケース１１０は、下筐体３２の前端および下端付近に位置しており、前方を向いて開口する箱形状である。装着ケース１１０には、後向きへインクタンク３４が挿入される。装着ケース１１０の後向きの終面１１１には、前方へ向かって延びるインクニードル１１２が位置する。インクニードル１１２の前端は開口しており、後端はインクチューブ１１３に連結されている。インクチューブ１１３は、インクニードル１１２の内部空間とインクサブタンク４７の内部空間４７Ａとをインクが流通可能に連結している。装着ケース１１０にインクタンク３４が装着されると、インクニードル１１２がインクタンク３４の流出口（図示せず）に挿入される。これにより、インクタンク３４に貯留されたインクが、インクニードル１１２およびインクチューブ１１３を通じてインクサブタンク４７に供給される。インクチューブ１１３には、インクチューブ１１３の流路を開閉可能なインク補給バルブ１１４が配置されている。インク補給バルブ１１４の開閉は、不図示のコントローラによって制御される。

【0044】

インクタンク３４は、インクを貯留している。インクは、顔料などを含む液体である。インクは、顔料を均一に分散させるのに適した粘度を有している。顔料は、インクの色となるものである。インクタンク３４は、インクが消費されると装着ケース１１０から取り外され、インクを貯留している新しいインクタンク３４と交換される。

【0045】

インクサブタンク４７は、インクタンク３４の上方に位置している。インクサブタンク４７は、インクタンク３４から供給されたインクを貯留している。インクサブタンク４７には、液体供給路６１、液体排出路６２、及び大気連通路６４が接続されている。液体供給路６１および液体排出路６２は、インクサブタンク４７とヘッドユニット３８とをインクが流通可能に連結している。大気連通路６４の一端は、インクサブタンク４７の内部空間４７Ａの上部に開口しており、他端は、上筐体３１の内部空間３１Ａに開口している。

【0046】

液体供給路６１には正圧ポンプ６３が配置されている。正圧ポンプ６３は、液体供給路６１においてヘッドユニット３８へ向かう向きにインクに圧力を付与する。正圧ポンプ６３としては、例えば、ダイヤフラムポンプを挙げることができる。正圧ポンプ６３の駆動は、不図示のコントローラによって制御される。

【0047】

大気連通路６４には負圧ポンプ６５が配置されている。負圧ポンプ６５は、インクサブタンク４７の内部空間４７Ａの空気を吸引することにより、インクサブタンク４７の内部空間４７Ａを減圧する。負圧ポンプ６５としては、例えば、ダイヤフラムポンプを挙げることができる。負圧ポンプ６５によって吸引された空気は大気連通路６４を通して大気に放出される。負圧ポンプ６５の駆動は、不図示のコントローラによって制御される。

【0048】

液体供給路６１にはフィルタ６６が配置されている。フィルタ６６は、正圧ポンプ６３とヘッドユニット３８との間に位置している。なお、図２においては、フィルタ６６の配置は簡略化されて示されている。

【0049】

図３に示されるように、フィルタ６６は、上下方向７に延びる円筒状のハウジング６６Ａと、ハウジング６６Ａの上端から上向きに延びる流出ポート６６Ｂと、ハウジング６６Ａの下端から下向きに延びる流入ポート６６Ｃと、を有する。ハウジング６６Ａの内部空間には、例えば、所定の内径の複数の孔を有するメッシュタイプのフィルタ部材が収容されている。流出ポート６６Ｂは上向きに開口する。流出ポート６６Ｂの内径は、ハウジング６６Ａの内径よりも小さい。流入ポート６６Ｃは下向きに開口する。流入ポート６６Ｃの内径は、ハウジング６６Ａの内径よりも小さい。流入ポート６６Ｃから上向きにハウジング６６Ａの内部空間に流入したインクがフィルタ部材を通過するときに、インクに含まれる固体であって、フィルタ部材の孔の内径よりも大きなものがフィルタ部材に捕捉される。これにより、インクに含まれる固体がヘッドユニット３８に流れることを抑制している。

【0050】

図２、図３に示されるように、液体供給路６１は、フィルタ６６の流出ポート６６Ｂに接続される第１接続部分６１Ａと、フィルタ６６の流入ポート６６Ｃに接続される第２接続部分６１Ｂと、を有する。第１接続部分６１Ａおよび第２接続部分６１Ｂは、直線部分を構成するチューブ１２１と、屈曲部分を構成する配管継手１２２と、によって取り廻すように形成されている。

【0051】

具体的には、第１接続部分６１Ａは、第１接続部６１１Ａ（第１部分の一例）、第１前向き部６１２Ａ（第２部分の一例）、第１下向き部６１３Ａ（第３部分の一例）、及び第１後向き部６１４Ａ（第４部分の一例）を有する。第１接続部６１１Ａは、フィルタ６６の流出ポート６６Ｂに接続されている。第１接続部６１１Ａは、流出ポート６６Ｂから上向きに延びる。第１前向き部６１２Ａは、第１接続部６１１Ａの上端部から前向き（横方向の一例）に延びる。第１下向き部６１３Ａは、第１前向き部６１２Ａの前端部から流出ポート６６Ｂの開口端６６ＢＢよりも下方の位置まで下向きに延びる。第１後向き部６１４Ａは、第１下向き部６１３Ａの下端部から後向きに延びる。

【0052】

第１後向き部６１４Ａには分岐流路６７が連結されている。分岐流路６７は、第１後向き部６１４Ａの上側に連結された連結位置６７Ａ（第１位置の一例）から上向きに直線状に延びている。分岐流路６７はチューブ１２１によって形成されている。分岐流路６７は、連結位置６７Ａにおいて第１後向き部６１４Ａに連通している。分岐流路６７の径Ｒ１は、第１後向き部６１４Ａの径Ｒ２よりも大きい。連結位置６７Ａは、第１接続部６１１Ａが流出ポート６６Ｂと接続する第１接続位置６１１ＡＡ（第２位置の一例）よりも下方に位置している。具体的には、連結位置６７Ａは、流出ポート６６Ｂの開口端６６ＢＢよりも下方に位置している。これにより、分岐流路６７は、連結位置６７Ａから後述の圧力センサ４８までの間の流路長Ｌ１の長さを十分に確保している。

【0053】

分岐流路６７の上端には圧力センサ４８が配置されている。圧力センサ４８は、フィルタ６６よりも上方に位置している。圧力センサ４８は、分岐流路６７内の空気の圧力を検知して、検知信号を不図示のコントローラに出力する。

【0054】

第２接続部分６１Ｂは、上向き部６１１Ｂ、第２後向き部６１２Ｂ、第２下向き部６１３Ｂ、第２前向き部６１４Ｂ、及び第２接続部６１５Ｂを有する。上向き部６１１Ｂは、フィルタ６６の流入ポート６６Ｃの前方において、流入ポート６６Ｃの開口端６６ＣＣの下方から流入ポート６６Ｃの開口端６６ＣＣの上方まで上向きに延びている。第２後向き部６１２Ｂは、上向き部６１１Ｂの上端部から後向きに延びている。第２下向き部６１３Ｂは、第２後向き部６１２Ｂの後端部から流入ポート６６Ｃの開口端６６ＣＣよりも下方の位置まで下向きに延びている。第２前向き部６１４Ｂは、第２下向き部６１３Ｂの下端部から流入ポート６６Ｃと上下方向７に重なる位置まで前向きに延びている。第２接続部６１５Ｂは、第２前向き部６１４Ｂの前端部から上向きに延びて流入ポート６６Ｃに接続されている。第２接続部６１５Ｂがフィルタ６６の流入ポート６６Ｃに接続される第２接続位置６１５ＢＢが第３位置の一例である。第２接続部分６１Ｂの上向き部６１１Ｂ、第２後向き部６１２Ｂ、第２下向き部６１３Ｂ、第２前向き部６１４Ｂ、及び第２接続部６１５Ｂは第５部分の一例である。

【0055】

[インクタンク３４からインクサブタンク４７へのインク供給]
コントローラは、例えば、装着ケース１１０にインクタンク３４が装着されたことに基づいて、インク補給バルブ１１４を開いて負圧ポンプ６５を駆動する。これにより、インクサブタンク４７の気体層が減圧され、インクサブタンク４７内の圧力とインクタンク３４内の圧力との間の圧力差により、インクタンク３４内のインクがインクチューブ１１３を通ってインクサブタンク４７に供給される。負圧ポンプ６５が、一定時間駆動されることにより、所定量のインクがインクタンク３４からインクサブタンク４７へ供給される。インクの補給が完了すると、インク補給バルブ１１４は閉じられる。

【0056】

[画像記録動作]
次に、ロール体３７から引き出されたシートＳに画像が記録されるときの画像記録装置１００の動作について説明する。

【0057】

コントローラは、操作パネル４４や、画像記録装置１００とＬＡＮなどによって接続された情報処理装置などの外部から、シートＳに画像を記録する旨の命令を受け取ると、正圧ポンプ６３および負圧ポンプ６５を駆動する。これにより、インクサブタンク４７とヘッドユニット３８との間の圧力差により、インクが液体供給路６１および液体排出路６２を循環する。このとき、インクは、第２接続部分６１Ｂの上向き部６１１Ｂ、第２後向き部６１２Ｂ、第２下向き部６１３Ｂ、第２前向き部６１４Ｂ、及び第２接続部６１５Ｂを順に流れて第２接続部分６１Ｂを通過する。第２接続部分６１Ｂを通過したインクは、フィルタ６６の流入ポート６６Ｃからハウジング６６Ａの内部に上向きに流入して流出ポート６６Ｂから上向きに流出する。このとき、インクに含まれる固体であって、フィルタ部材の孔の内径よりも大きな固体がインクに含まれている場合は、この固体はフィルタ部材に捕捉される。

【0058】

フィルタ６６の内部を通過したインクは、第１接続部分６１Ａの第１接続部６１１Ａ、第１前向き部６１２Ａ、第１下向き部６１３Ａ、及び第１後向き部６１４Ａを順に流れて第１接続部分６１Ａを通過する。このとき、第１後向き部６１４Ａから分岐流路６７にインクが流入しても、連結位置６７Ａから圧力センサ４８までの間の流路長Ｌ１の長さが十分に確保されているので（図３参照）、インクが圧力センサに接触することが抑制される。第１接続部分６１Ａを通過したインクは、ヘッドユニット３８に到達する。

【0059】

ヘッドユニット３８に到達したインクは、プラテン５１に支持されているシートＳに向けてノズル３８Ａから吐出される。これにより、シートＳに画像が記録される。画像が記録されたシートＳは、カッタ等によって所定のサイズに切断されて排出口３３から排出される。

【0060】

ここで、インクが消費されること等によって液体供給路６１におけるインクの圧力が変動し得る。圧力センサ４８の検知信号に基づいて、コントローラが、例えば、液体供給路６１における圧力が所定の閾値よりも小さくなったと判定したとき、コントローラは、正圧ポンプ６３の吐出圧力を大きくする制御を行う。そして、ヘッドユニット３８からインクが吐出されるに伴って、インクサブタンク４７内の水位が下がっていく。

【0061】

インクサブタンク４７内の水位が所定の水位よりも低くなると、コントローラは、インクサブタンク４７に設置されたセンサからの検知信号に基づいてインク補給バルブ１１４を開く。これにより、負圧ポンプ６５によって減圧されているインクサブタンク４７と大気圧となっているインクタンク３４との間の圧力差によってインクタンク３４からインクサブタンク４７にインクがくみ上げられる。インクサブタンク４７内の水位が所定の水位に達すると、コントローラは、インクサブタンク４７のセンサからの検知信号に基づいてインク補給バルブ１１４を閉じる。このようにして、インクがインクサブタンク４７に補充される。

【0062】

[実施形態の作用効果]
画像記録装置１００では、第１後向き部６１４Ａに連結された連結位置６７Ａが、流出ポート６６Ｂの開口端６６ＢＢの位置よりも下方に位置するので（図３参照）、連結位置６７Ａから圧力センサ４８までの分岐流路６７の流路長Ｌ１が長い。このため、上下方向７におけるフィルタ６６とヘッドユニット３８との間の狭いスペースであっても、分岐流路６７における第１後向き部６１４Ａと圧力センサ４８との間の流路長Ｌ１が十分に確保され、第１後向き部６１４Ａを流通するインクが圧力センサ４８まで進入することが抑制される。その結果、圧力センサ４８の検出信号が安定し、液体供給路６１における圧力が正確に検知される。

【0063】

画像記録装置１００では、分岐流路６７は、第１後向き部６１４Ａに連結された連結位置６７Ａから圧力センサ４８まで直線状に上向きに延びているので（図３参照）、分岐流路６７が占めるスペースが小さい。また、分岐流路６７には、屈曲部分を構成する配管継手１２２が配置されていないので、分岐流路６７が配管継手１２２で繋がっている場合と比較して、インクが配管継手１２２を介して上方に上ってきづらい。このため、圧力センサ４８にインクが侵入することを抑制できる。

【0064】

画像記録装置１００では、第１前向き部６１２Ａの上側に分岐流路６７が連結される場合に比べて、第１前向き部６１２Ａの上側と第１後向き部６１４Ａの上側との間の上下方向７の距離Ｌ２分だけ、分岐流路６７における連結位置６７Ａから圧力センサ４８までの流路長Ｌ１が長い（図３参照）。このため、圧力センサ４８までインクが進入することが抑制される。

【0065】

画像記録装置１００では、第１前向き部６１２Ａをインクが流れる向きと第１後向き部６１４Ａをインクが流れる向きとは反対であるので（図３参照）、液体供給路６１を配置するスペースが小さい。

【0066】

画像記録装置１００では、液体供給路６１は、直線部分を構成するチューブ１２１と、屈曲部分を構成する配管継手１２２とを有するので、チューブ１２１が屈曲しにくい素材で形成されていても、液体供給路６１の取り廻しが容易である。

【0067】

画像記録装置１００は、インクサブタンク４７とヘッドユニット３８とを繋ぐ液体供給路６１および液体排出路６２と、液体供給路６１に配置された正圧ポンプ６３と、インクサブタンク４７の内部空間４７Ａを減圧する負圧ポンプ６５と、を備える。このため、インクは、液体供給路６１および液体排出路６２を循環しつつ、ノズル３８Ａから吐出される。

【0068】

画像記録装置１００では、フィルタ６６がインクサブタンク４７の近傍に配置される場合において、フィルタ６６の流入ポート６６Ｃに既存のチューブを接続しようとすると、フィルタ６６の流入ポート６６Ｃとインクサブタンク４７との間の高さ方向の距離が近すぎるため、チューブ１２１を流入ポート６６Ｃに接続することができない。画像記録装置１００では、流入ポート６６Ｃに接続される第２接続部分６１Ｂは、上向き部６１１Ｂ、第２後向き部６１２Ｂ、第２下向き部６１３Ｂ、第２前向き部６１４Ｂ、及び第２接続部６１５Ｂを有するので（図３参照）、上方へ延びてから下方へ折り返すように延びている。このため、インクサブタンク４７とフィルタ６６との間の高さ方向の距離が短くても、第２接続部分６１Ｂをフィルタ６６の流入ポート６６Ｃに接続することができる。

【0069】

画像記録装置１００では、分岐流路６７の径Ｒ１は、液体供給路６１の第１後向き部６１４Ａの径Ｒ２よりも大きいので（図３参照）、第１後向き部６１４Ａから分岐流路６７へ液体が進入しにくい。

【0070】

[変形例]
画像記録装置１００では、分岐流路６７は、連結位置６７Ａから圧力センサ４８まで直線状に上向きに延びたが、屈曲部分を有してもよい。

【0071】

画像記録装置１００では、液体供給路６１の第１接続部分６１Ａおよび第２接続部分６１Ｂは、直線部分を構成するチューブ１２１と屈曲部分を構成する配管継手１２２とによって取り廻すように形成されたが、１本のフレキシブルチューブによって取り廻すように形成されてもよい。

【0072】

画像記録装置１００では、分岐流路４７の径Ｒ１は、液体供給路６１の第１後向き部６１４Ａの径Ｒ２よりも大きいが、第１後向き部６１４Ａの径Ｒ２と同等以下の長さでもよい。

【0073】

画像記録装置１００では、圧力センサ４８の検知信号は、コントローラが正圧ポンプ６３の圧力を制御するために使用されたが、他の目的に使用されてもよい。圧力センサ４８の検知信号は、例えば、インクサブタンク４７の内部空間４７Ａの負圧が所定の閾値よりも大きくなったときに、インクサブタンク４７に接続されている大気開放バルブ（図示省略）を開く制御を行うために使用されてもよい。また、インクサブタンク４７内の圧力を検知する圧力センサを設けておき、この圧力センサの検知信号が大気開放バルブ（図示省略）を開く制御を行うために使用されてもよい。

【符号の説明】

【0074】

３８・・・ヘッドユニット
４７・・・インクサブタンク
４７Ａ・・・内部空間
４８・・・圧力センサ
６１・・・液体供給路
６２・・・液体排出路
６３・・・正圧ポンプ
６５・・・負圧ポンプ
６６・・・フィルタ
６６Ｂ・・・流出ポート
６６Ｃ・・・流入ポート
６７・・・分岐流路
６７Ａ・・・連結位置
１２１・・・チューブ
１２２・・・配管継手
６１１Ａ・・・第１接続部
６１１ＡＡ・・・第１接続位置
６１１Ｂ・・・上向き部
６１２Ａ・・・第１前向き部
６１２Ｂ・・・第２後向き部
６１３Ａ・・・第１下向き部
６１３Ｂ・・・第２下向き部
６１４Ａ・・・第１後向き部
６１４Ｂ・・・第２前向き部
６１５Ｂ・・・第２接続部
６１５ＢＢ・・・第２接続位置
Ｒ１・・・径
Ｒ２・・・径

【図1】

【図2】

【図3】