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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023014994
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】落下防止装置
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/44 20060101AFI20230124BHJP
【FI】
B60P1/44 C
B60P1/44 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110708
(22)【出願日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】P 2021118849
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000229900
【氏名又は名称】日本フルハーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075177
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 尚純
(74)【代理人】
【識別番号】100102417
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100113217
【弁理士】
【氏名又は名称】奥貫 佐知子
(74)【代理人】
【識別番号】100202496
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿角 剛二
(74)【代理人】
【識別番号】100194629
【弁理士】
【氏名又は名称】小嶋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 正雄
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄大
(57)【要約】
【課題】車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板の安全柵に、ゲート板上の荷物がゲート板の後方側に崩れたり、落下したりするという問題を解消することができる落下防止装置を提供する。
【解決手段】車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板の安全柵に配設される落下防止装置であって、安全柵は、ゲート板2の車幅方向の端縁部10、12において対向する位置に配設される一対の安全柵20、30であって、一方の安全柵20の後方端部には、被結合部80が形成され、他方の安全柵30には、弾性部材93により引き込まれると共に他方の安全柵30の後方端部に配設された繰出部90から繰り出し可能な落下防止ベルト91が収納され、他方の安全柵30の繰出部90から繰り出された落下防止ベルト91の結合端部92が、一方の安全柵30の被結合部80に結合される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板の安全柵に配設される落下防止装置であって、
該安全柵は、ゲート板の車幅方向の端縁部において対向する位置に配設される一対の安全柵であって、
一方の安全柵の後方端部には、被結合部が形成され、
他方の安全柵には、弾性部材により引き込まれると共に該他方の安全柵の後方端部に配設された繰出部から繰り出し可能な落下防止ベルトが収納され、該他方の安全柵の繰出部から繰り出された該落下防止ベルトの結合端部が、該一方の安全柵の該被結合部に結合される落下防止装置。
【請求項2】
該一方の安全柵は、一対の起立部材と、該一対の起立部材の上部を連結する第一手摺部とを備え、
該他方の安全柵は、一対の起立部材と、該一対の起立部材の上部を連結する第二手摺部と、を備え、
該第二手摺部の後方端部に該繰出部が配設され、
該第二手摺部には、該弾性部材によって該第二手摺部の前方側に引かれ第二手摺部の長手方向に沿ってスライド可能に保持されたベルトスライダと、該第二手摺部の内部の該繰出部側に配設され該落下防止ベルトの固定端部が固定されるベルト固定部と、が配設され、
該落下防止ベルトは、該固定端部が該ベルト固定部に固定されると共に、該ベルトスライダに配設された巻き掛け部に巻き掛けられ、
該落下防止ベルトの結合端部が引かれて該繰出部から該落下防止ベルトが繰り出されるに伴い、該ベルトスライダが該弾性部材の引張力に抗して該繰出部側にスライドするように構成された請求項1に記載の落下防止装置。
【請求項3】
該ベルトスライダの該巻き掛け部は、第一巻き掛け部と第二巻き掛け部とを備え、
該第二手摺部の該繰出部側にベルト反転部が形成され、
該落下防止ベルトは、該固定端部が該ベルト固定部に固定されると共に、該第一巻き掛け部、該ベルト反転部、及び該第二巻き掛け部に順に巻き掛けられ、該落下防止ベルトが該第二手摺部に収納された状態では、該結合端部が該繰出部に位置付けられる請求項2に記載の落下防止装置。
【請求項4】
該安全柵は、該ゲート板上において畳まれる収納状態と起立状態との間で姿勢の変化が可能な安全柵である、請求項1から3のいずれかに記載された落下防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板の安全柵に配設される落下防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物輸送用の車両であるトラックの荷台は、車輪、はしご型フレーム、サスペンション機構等からなるシャシーフレームに架装されるため、該車両の床面と地面との間に相当の高低差が存在し、荷物の積み下ろしに際して支障となる。
【0003】
上記した荷物の積み下ろしの荷役作業における作業性を向上し、作業者の負担を軽減するため、荷物を積載する際に使用されるゲート板を地面と荷台の床面との間で昇降されるテールゲート機構が知られている。このようなゲート板は、通常、トラックの後端部分に装着され、ゲート板上の荷物の落下を防止するため、これを水平状態に保ったまま昇降させる構成を備えている。
【0004】
近年においては、作業中の荷物が誤ってゲート板の側縁から脱落、転落するのを防止するために、該ゲート板上にサイドガードを設けることが提案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0005】
また、本出願人によって、夜間、又は暗所において作業する際に、ゲート板の側縁を目視しやすいように、ゲート板の側縁に発光体を配設して、作業者がゲート板の幅方向における端縁を容易に認知することができる技術も提案されている(特許文献2を参照)。
【0006】
さらに、ゲート板上で荷役作業を実施する際に、作業者がバランスを崩すことがある。その際に、作業者が手で掴むことができる安全柵が配設されていると作業者は安心して作業に臨むことができることから、ゲート板の車幅方向の左右両方の端縁部において対向する位置に安全柵を設置することが考えられる。このような技術課題に対し、例えば、車いす等を載せて車両の後方から車内に誘導する昇降可能なゲート板に安全柵を配設し、該ゲート板の開閉に連動して開閉作動する安全柵の機構が提案されている(例えば特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2017-030628号公報
【特許文献2】特開2019-006246号公報
【特許文献3】特開平08-020277号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上記した先行技術においては、ゲート板の車幅方向の左右両方の端縁部において対向する位置に安全柵を設置した場合であっても、ゲート板の後方側は開放されたままとなる。したがって、該ゲート板上に荷物を載置した状態で該ゲート板を昇降させると、該昇降動作に起因して発生する振動、及び揺動運動によって、該ゲート板上の荷物がゲート板の後方側に崩れたり、落下したりする恐れがある。
【0009】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板の安全柵に、ゲート板上の荷物がゲート板の後方側に崩れたり、落下したりするという問題を解消することができる落下防止装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板の安全柵に配設される落下防止装置であって、該安全柵は、ゲート板の車幅方向の端縁部において対向する位置に配設される一対の安全柵であって、一方の安全柵の後方端部には、被結合部が形成され、他方の安全柵には、弾性部材により引き込まれると共に該他方の安全柵の後方端部に配設された繰出部から繰り出し可能な落下防止ベルトが収納され、該他方の安全柵の繰出部から繰り出された該落下防止ベルトの結合端部が、該一方の安全柵の該被結合部に結合される落下防止装置が提供される。
【0011】
該一方の安全柵は、一対の起立部材と、該一対の起立部材の上部を連結する第一手摺部とを備え、該他方の安全柵は、一対の起立部材と、該一対の起立部材の上部を連結する第二手摺部と、を備え、該第二手摺部の後方端部に該繰出部が配設され、該第二手摺部には、該弾性部材によって該第二手摺部の前方側に引かれ第二手摺部の長手方向に沿ってスライド可能に保持されたベルトスライダと、該第二手摺部の内部の該繰出部側に配設され該落下防止ベルトの固定端部が固定されるベルト固定部と、が配設され、該落下防止ベルトは、該固定端部が該ベルト固定部に固定されると共に、該ベルトスライダに配設された巻き掛け部に巻き掛けられ、該落下防止ベルトの結合端部が引かれて該繰出部から該落下防止ベルトが繰り出されるに伴い、該ベルトスライダが該弾性部材の引張力に抗して該繰出部側にスライドするように構成されることが好ましい。
【0012】
該ベルトスライダの該巻き掛け部は、第一巻き掛け部と第二巻き掛け部とを備え、該第二手摺部の該繰出部側にベルト反転部が形成され、該落下防止ベルトは、該固定端部が該ベルト固定部に固定されると共に、該第一巻き掛け部、該ベルト反転部、及び該第二巻き掛け部に順に巻き掛けられ、該落下防止ベルトが該第二手摺部に収納された状態では、該結合端部が該繰出部に位置付けられることが好ましい。そして、該安全柵は、該ゲート板上において畳まれる収納状態と起立状態との間で姿勢の変化が可能な安全柵であってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の落下防止装置は、車両の開口部に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板の安全柵に配設される落下防止装置であって、該安全柵は、ゲート板の車幅方向の端縁部において対向する位置に配設される一対の安全柵であって、一方の安全柵の後方端部には、被結合部が形成され、他方の安全柵には、弾性部材により引き込まれると共に該他方の安全柵の後方端部に配設された繰出部から繰り出し可能な落下防止ベルトが収納され、該他方の安全柵の繰出部から繰り出された該落下防止ベルトの結合端部が、該一方の安全柵の該被結合部に結合されるものであることから、ゲート板上の荷物がゲート板の後方側に崩れたり、落下したりするという問題を解消することができ、さらには、該他方の安全柵に落下防止ベルトが収納されることから、該落下防止ベルトを使用しない状況においては、該落下防止ベルトが邪魔になることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】(a)本実施形態の安全柵が適用された車両であって、ゲート板に設置された安全柵が収納状態にある斜視図、(b)(a)に記載された安全柵が起立状態にある斜視図である。
図2】安全柵に設置される落下防止装置において、落下防止ベルトが繰り出された状態を示す斜視図である。
図3図2に示す落下防止ベルトが第二手摺部に収納された状態を示す斜視図である。
図4】(a)図3に示す第一手摺部及び第二手摺部の一部を透過して示す平面図、(b)(a)に示す第二手摺部の内部を透過して示す側面図である。
図5】(a)図2に示す第一手摺部及び第二手摺部の一部を透過して示す平面図、(b)(a)に示す第二手摺部の内部を透過して示す側面図である。
図6図1(a)の第一安全柵及び第一支持基台を拡大して示す斜視図である。
図7図2に示す第一安全柵及び第一支持基台の内部を透過して示す側面図である。
図8図1に示す第一安全柵の第一係合解除機構を拡大して示す斜視図である。
図9】第一安全柵が、収納状態(a)から中間状態(b)を経て起立状態(c)へと変化する態様を示す一部を透過して示す側面図である。
図10】第一安全柵が起立状態にある際の第一起立部材及び第一支持基台を拡大して示す斜視図である。
図11】(a)第一手摺部及び落下防止ベルトが収納された別の実施形態の第二手摺部の一部を透過して示す平面図、(b)(a)に示す第二手摺部の内部を透過して示す側面図である。
図12図11の第二手摺部に装着される弾性部材を拡大して示す斜視図である。
図13】(a)図11に示す第一手摺部及び落下防止ベルトが繰り出された第二手摺部の一部を透過して示す平面図、(b)(a)に示す第二手摺部の内部を透過して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に基づいて構成される落下防止装置に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0016】
図1には、本実施形態の落下防止装置が適用される箱型荷台110(2点鎖線で示している)を有する車両100が示されている。図1(a)には、車両100の後方に配設され地上面と車両内部の床面との間で昇降されるゲート板2を含むテールゲート機構130が示されている。ゲート板2は、車両100の荷役作業が行われない場合は、箱型荷台110の後方の開閉扉120に沿って直立させられて格納状態とされ、荷役作業を実施する際には、図1(a)に示すように、矢印R1で示す方向に開かれて水平な状態とされる。なお、図1に矢印で示すX方向が車両の前後方向であり、Y方向が車両の幅方向であり、Z方向が上下方向であって、以降の図面においても、このXYZ方向は共通の方向を示すものとする。また、図示の実施形態では、箱型荷台110の後方の開閉扉120が2枚の観音開きドアで構成されている例を示すが、本発明はこれに限定されず、4枚に分割された開閉扉であったり、箱型荷台110の後方の開口の一部がゲート板2によって開閉されたりする構成であってもよい。
【0017】
ゲート板2は、全体が略矩形状で構成され、荷受け面4と、前方端縁部6と、後方端縁部8と、右方端縁部10と、左方端縁部12とを備えている。ゲート板2の荷受け面4上の車幅方向の端縁部である右方端縁部10及び左方端縁部12には、本実施形態の落下防止装置が適用される一対の安全柵、より具体的には、第一安全柵20及び第二安全柵30が対向するように配設されている。第一安全柵20及び第二安全柵30は、例えば、合金鋼によって構成され、ゲート板2に畳まれる収納状態(図1(a)を参照)と、起立状態(図1(b)を参照)との間で姿勢の変化が可能な安全柵である。なお、第一安全柵20、第二安全柵30が起立状態とされた図1(b)では、箱型荷台110の後方の開閉扉120は開かれた状態となっている(図示は省略している)。
【0018】
第一安全柵20は、収納状態と起立状態とでゲート板2に対して90度姿勢が変化する起立部材24を備えている。該起立部材24は、車両後方側の第一起立部材24Aと、車両前方側の第二起立部材24Bとを含む。第二安全柵30も、上記した第一安全柵20と略同様の構成を備えており、上記した収納状態と起立状態とで姿勢が変化する起立部材34を備えている。該起立部材34は、収納状態と起立状態とで90度姿勢が変化する車両後方側の第一起立部材34Aと、車両前方側の第二起立部材34Bとを含む。
【0019】
第一安全柵20は、ゲート板2の右方端縁部10の後方に配置され第一起立部材24Aの一端側(起立した際に下方となる側)を支持する第一支持基台40と、前方に配置され第二起立部材24Bの一端側(起立した際に下方となる側)を支持する第二支持基台50とを備えている。同様に、第二安全柵30は、ゲート板2の左方端縁部12の後方に配置され第二安全柵30の第一起立部材34Aの一端側(起立した際に下方となる側)を支持する第一支持基台60と、前方に配置され第二起立部材34Bの一端側(起立した際に下方となる側)を支持する第二支持基台70とを備えている。
【0020】
第一安全柵20は、該第一起立部材24Aの他端側(起立した際に上方となる側)と、該第二起立部材24Bの他端側(起立した際に上方となる側)と、を連結する連結部材である第一手摺部22を備えている。また、該第一起立部材24Aと該第二起立部材24Bとは、第一手摺部22に加え、水平メンバ26によって連結されている。さらに第一安全柵20は、第一起立部材24Aから車両後方側に延長された柵延長部27を備えている。
【0021】
第二安全柵30も、第一安全柵20と同様に、該第一起立部材34Aの他端側(起立した際に上方となる側)と、該第二起立部材34Bの他端側(起立した際に上方となる側)と、を連結する連結部材である第二手摺部32を備えている。また、該第一起立部材34Aと該第二起立部材34Bとは、第二手摺部32に加え、水平メンバ36によって連結されている。さらに、第二安全柵30は、第二起立部材34Bから車両後方側に延長された柵延長部37を備えている。
【0022】
本実施形態のゲート板2の車幅方向の端縁部において対向する位置に配設された一対の安全柵を構成する第一安全柵20及び第二安全柵30には、以下に図2~6に基づいて説明する落下防止装置が配設される。なお、図2図3では、ゲート板2が配設される車両100の箱型荷台110は省略されている。
【0023】
本実施形態の落下防止装置は、図2図3に示すように、一方の第一安全柵20の後方端部に形成された略D字形状の被結合部80と、他方の第二安全柵30に収納可能で、該第二安全柵30の後方端部に配設された繰出部90から矢印R8で示す方向に繰り出し可能な落下防止ベルト91と、落下防止ベルト91の端部に形成された結合端部92と、を備えている。第二安全柵30の繰出部90から繰り出された落下防止ベルト91の該結合端部92は、図に示すように、第一安全柵20の被結合部80に結合される。このような落下防止ベルト91を含む落下防止装置が設定されることにより、例えば、ゲート板2上に荷物を積み上げた状態でゲート板2を昇降させる際に、該荷物が崩れて、ゲート板2から後方に落下することが防止される。また、ゲート板2を車両内部の床面と面一の高さに設定した状態で、作業者が、車両内部とゲート板2との間で荷物を移動させる際に、この落下防止ベルト91を繰り出して結合端部92を被結合部80に結合しておくことで、荷物の落下等に対する作業者の不安が抑制され、作業上の安全がより高まる。
【0024】
図3には、上記の落下防止ベルト91が、第二安全柵30の第一起立部材34Aの上部と第二起立部材34Bの上部とを連結する第二手摺部32の内部に収納された状態が示されている。落下防止ベルト91が第二手摺部32に収納された状態では、フック形状をなす結合端部92が繰出部90で止まり後方に露出する。
【0025】
図4(a)には、第一安全柵20の第一手摺部22と、第二安全柵30の第二手摺部32の平面図が示されている(説明の都合上、両者の間隔を詰めて記載している)。図4(b)には、第二手摺部32の側方図が示されている。なお、図4(a)、(b)に記載の第二手摺部32は、落下防止ベルト91が第二手摺部32の内部に収納された状態を示し、説明の都合上、内部の構成を透過して示している。
【0026】
図4(a)、(b)から理解されるように、該第二手摺部32の内部には弾性部材93が配設されている(中間部のばねの形状は省略されている)。該弾性部材93は、例えば引っ張りコイルばねである。該弾性部材93の一端部93aは、第二手摺部32の車両前方側(図中左方側)の端部に係止され、他端部93bは、第二手摺部32内において、長手方向にスライド可能に保持されたベルトスライダ94の係止部94aに係止されている。該ベルトスライダ94には、上記の落下防止ベルト91が巻き掛けられる巻き掛け部95が形成されている。本実施形態の巻き掛け部95は、第二手摺部32の長手方向に沿って車両後方側(図中右方側)に配設された第一巻き掛け部95aと、車両前方側に配設された第二巻き掛け部95bとを備えている。第二手摺部32の内部の繰出部90側には、落下防止ベルト91の固定端部91aが固定されるベルト固定部96が配設されている。該ベルト固定部96に固定端部91aが固定された落下防止ベルト91は、まず、ベルトスライダ94の第一巻き掛け部95aに巻き掛けられて反転され、該ベルト固定部96の近傍に配設されたベルト反転部97に巻き掛けられて反転され、さらに、ベルトスライダ94の第二巻き掛け部95bに巻き掛けられて反転され、落下防止ベルト91の結合端部92が、第二手摺部32の繰出部90に係止される。なお、本実施形態の第二手摺部32内には、ベルト反転部97において反転される落下防止ベルト91が上記のベルト固定部96と干渉しないように離反させるガイドピン98も配設されている。上記した構成により、ベルトスライダ94には、上記した弾性部材93の引張力が常に作用しており、落下防止ベルト91は、その全体が第二手摺部32の内部に引き込まれる。
【0027】
上記の構成を備えた落下防止装置において、落下防止ベルト91を、図2図5に示す如く繰り出して落下防止ベルト91の結合端部92を被結合部80に結合する場合、作業者は、結合端部92を掴んで引き、第二手摺部32の繰出部90から落下防止ベルト91を繰り出す。これに伴い、第二手摺部32の内部に配設されたベルトスライダ94が、弾性部材93の引張力に抗して、図4図5に矢印R9で示す方向、すなわち繰出部90側にスライドする。ここで、落下防止ベルト91の長さは、第二手摺部32の繰出部90から繰り出され、該結合端部92が第一手摺部22側の被結合部80に達し、該結合端部92を該被結合部80に係合させるだけの遊び分のみを含む長さに設定される。これにより、落下防止ベルト91をさらに引き出そうとする力が作用しても、必要以上に延びて撓むことが防止され、ゲート板2上に積み上げられた荷物が崩れようとした場合でも、落下防止ベルト91が該荷物を支持し、該荷物が崩れることが防止される。また、上記したように、落下防止ベルト91を使用しない場合は、完全に第二手摺部32の内部に収納されるため、邪魔になることがない。さらに、上記したように、落下防止ベルト91は、第二手摺部32の内部において、繰出部90側のベルト固定部96と、第二手摺部32の内部においてスライドするベルトスライダ94の巻き掛け部95に巻き掛けられて収納されており、一般的に知られたベルトパーテーション装置のようにロール状に巻き取られるものではないため、第二手摺部32を格別に太くしたり、ロール状に巻き取る巻き取り部を配設したりする必要がなく、落下防止ベルト91を太くした場合であっても、外観の構成をシンプルにすることができる。
【0028】
また、上記したように、本実施形態の落下防止装置は、いわゆる動滑車を使用してその原理を説明することが可能な作業者の引張力を低減する機構を備えている。より具体的には、巻き掛け部95を構成する第一巻き掛け部95a及び第二巻き掛け部95bが動滑車に相当し、ベルト反転部97が定滑車に相当し、第一巻き掛け部95a及び第二巻き掛け部95bが配設されたベルトスライダ94が、弾性部材93(引っ張りコイルばね)によって引っ張られていることから、結合端部92を引いて落下防止ベルト91を繰り出す場合に必要な引張力は、該動滑車の原理により、上記の機構を備えていない場合に比して1/4に低減される。
【0029】
上記した実施形態では、本発明に基づき搭載される落下防止装置の落下防止ベルト91を、第二安全柵30の第二手摺部32に収納して繰り出すように構成した例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、第二手摺部32に収納することに替えて、第一安全柵20の第一手摺部22に落下防止ベルト91を収納するように構成し、第2安全柵30の第二手摺部32の後端側に被結合部80を形成して、第一安全柵20の第一手摺部22から繰り出した落下防止ベルト91の結合端部92を、第二安全柵30の第二手摺部32の被結合部80に結合するように構成することもできる。
【0030】
さらに、上記した実施形態では、落下防止ベルト91を、第一安全柵20の第一手摺部22、又は第二安全柵30の第二手摺部32に収納するように構成した例を説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、第一手摺部22や第二手摺部32とは別に、第一安全柵20の第一起立部材24A及び第二起立部材24Bを水平方向で連結する第一水平メンバ、及び第二安全柵30の第一起立部材24A及び第二起立部材24Bを水平方向で連結する第二水平メンバを新規に配設し、該第一水平メンバ、第二水平メンバのいずれか一方に上記した落下防止ベルト91を収納する構成を配設すると共に、他方側に被結合部80を形成することで、本発明の落下防止装置を構成することも可能である。
【0031】
上記したように、本実施形態の安全柵(第一安全柵20、第二安全柵30)は、ゲート板2上において畳まれる収納状態と起立状態との間で姿勢の変化が可能な安全柵に採用されている。以下に、図1に加え、図6~10を参照しながら、本実施形態の安全柵の支持構造について説明する。なお、以下に説明する実施形態の安全柵の支持構造は一例にすぎず、本発明の落下防止装置が適用される安全柵の支持構造は、これに限定されない。
【0032】
図6には、図1(a)に記載されたゲート板2に対して第一安全柵20が折り畳まれた状態の第一安全柵20の第一起立部材24Aと、該第一起立部材24Aを支持する第一支持基台40とを拡大して示している。なお、図6では、第一起立部材24Aと第一支持基台40との支持構造を説明する都合上、一部の構成を透過して示している。
【0033】
図6に示すように、第一支持基台40は、ゲート板2の荷受け面4上に固定される矩形平板状のプレート部材41と、プレート部材41に対して垂直に、且つ、互いに対向する位置に立設される一対の回転軸支持部材43、44と、一対の回転軸支持部材43、44をゲート板2の右方端縁部10側において連結する連結メンバ45と、回転軸支持部材43、44の中間位置に立設され後述する係合部材が係合する被係合部材46と、を備えている。プレート部材41は、プレート部材41の4隅にゲート板2の下方からボルトが挿入され、プレート部材41の上面でナットBによって固定される。
【0034】
該第一起立部材24Aの該一端側には、該第一起立部材24Aの姿勢が収納状態から起立状態に変化する際に回動中心となる回転軸241が配設されている。回転軸241は、第一起立部材24Aの一端側を延長しX方向において対向するように配設された2つの延長プレート243、244によって支持されると共に、上記した第一支持基台40の回転軸支持部材43、44に回転自在に支持される。
【0035】
図6に加え、図7も参照しながら、第一起立部材24Aと第一支持基台40とによる支持構造について、さらに詳細に説明する。
【0036】
第一起立部材24Aは、第一起立部材24Aの長手方向(図中Y方向)に移動可能に支持された第一連結ロッド245を備えている。第一連結ロッド245の一端側には、第一連結ロッド245と一体的に移動可能に連結されたスライドシャフト246が配設され、該スライドシャフト246の一端側端部には、係合部材としての回転ローラ242が回転自在に支持されている。該スライドシャフト246は、第一起立部材24Aの延長プレート243、244を連結するように長手方向に間隔を開けて固定された支持プレート248a、248bに対して相対的に移動可能に挿通されると共に、該支持プレート248a、248b間に配設されたコイル状の圧縮ばね247を貫通するように配設される。また、該圧縮ばね247は、一方が、支持プレート248aに当接すると共に、他方が、スライドシャフト246に対して直交する方向に貫通して保持されたピン249によって支持されている。このような構成を備えていることにより、第一起立部材24Aの回転ローラ242は、第一起立部材24Aの一端側、すなわち第一支持基台40の被係合部材46側に向かって押し付けられる。なお、本実施形態では、上記したように、第一連結ロッド245の一端側に別の部材であるスライドシャフト246を、連結部245aを介して連結したが、第一連結ロッド245とスライドシャフト246を一体的に形成するようにしてもよい。
【0037】
上記した第一支持基台40の被係合部材46は、図7に示すように、第一安全柵20が収納状態にあるときに係合部材である回転ローラ242が係合して第一安全柵20の収納状態を維持する第一係合凹部461と、該第一安全柵20が起立状態にあるとき該回転ローラ242が係合して第一安全柵20の起立状態を維持する第二係合凹部462と、第一係合凹部461と第二係合凹部462とを接続し、第一安全柵20の状態が収納状態と起立状態との間で変化する際に該回転ローラ242が移動する接続部463と、を備えている。
【0038】
上記の説明では、第一起立部材24A及び第一支持基台40により構成される支持構造を説明したが、本実施形態の第一安全柵20では、第二起立部材24B及び第二支持基台50にも、上記した構成と同様の支持構造が配設されている。すなわち、第二起立部材24Bには、上記の第一連結ロッド245に相当する第二連結ロッド(図示を省略する)が配設され、該第二連結ロッドの一端側には上記の回転ローラ242に相当する回転ローラ(図示を省略する)が配設され、第二支持基台50には、上記の被係合部材46に相当する被係合部材(図示を省略する)も配設される。図1図6から理解されるように、第一安全柵20には、上記の第一連結ロッド245の他端側と図示が省略された第二起立部材24Bの第二連結ロッドの他端側とを連結し水平方向に延びるロッド連結バー29が配設されている。また、図6の第一起立部材24Aの略中央部に形成され該ロッド連結バー29の芯材29bの端部が挿入される長孔240が第二起立部材24Bの略中央部にも形成され、ロッド連結バー29は、第一起立部材24A及び第二起立部材24Bの長手方向に平行移動可能に支持される。このような構成を備え、ロッド連結バー29を該長孔240に沿って平行移動させることで、第一起立部材24Aの係合部材である回転ローラ242、及び第二起立部材24Bの係合部材である回転ローラ(図示は省略する)を、第一起立部材24A及び第二起立部材24Bの長手方向に沿って移動させることが可能になっている。
【0039】
図1図7に示すように、本実施形態の第一安全柵20には、上記した被係合部材46の第一係合凹部461、及び第二係合凹部462に対する回転ローラ242の係合を解除するための係合解除部材として機能する第一係合解除機構28が配設されている。図1、6~10を参照しながら、本実施形態の第一係合解除機構28の構成及び機能について、より具体的に説明する。
【0040】
本実施形態の第一係合解除機構28は、図1に示すように、第一手摺部22における第一起立部材24Aと第二起立部材24Bとの間の略中間位置に配設されている。また、図7図8に示すように、第一係合解除機構28は、第一起立部材24Aの回転ローラ242及び第二起立部材24Bの回転ローラ(図示は省略)を第一起立部材24A及び第二起立部材24Bの他端側(図8では左方側)に引くための索状部材281を備えている。索状部材281は、例えば、綱、紐、ベルト状の部材を含み、柔軟性を有する滑りの良い部材が好ましく、本実施形態では、樹脂製の平ベルトが採用されている。該索状部材281は、ベルトブラケット282の固定連結部283に固定される一端部281aと、作業者が把持して引っ張る環状に形成された把持部281bとを備えている。
【0041】
ベルトブラケット282の固定連結部283に該一端部281aが固定された索状部材281は、上記のロッド連結バー29に巻き掛けられて反転され、該ベルトブラケット282の固定連結部283に隣接して配設された固定巻き掛け部284に巻き掛けられて一端側に反転される。この構成により、ロッド連結バー29は、該索状部材281の把持部281bを矢印R4で示す方向に引くことで第一起立部材24A及び第二起立部材24Bの長手方向に沿って移動する移動巻き掛け部として機能する。また、ロッド連結バー29は、図6図7から理解されるように、中空のパイプ状の外形部29aと芯材29bとを少なくとも含み構成され、図8に示すように索状部材281を上記の如くR4に示す方向に引くことにより、ロッド連結バー29の外形部29aを回転させながら、図中矢印R5で示す方向に滑らかに移動させることができる。
【0042】
図9には、上記した第一係合解除機構28を操作することにより、第一安全柵20が、ゲート板2に畳まれた収納状態(a)から、中間状態(b)を経て、起立状態(c)に変化する態様が示されている。
【0043】
まず、第一安全柵20が、図9に示す収納状態(a)にあるとき、第一起立部材24Aの回転ローラ242は、圧縮ばね247の作用によって被係合部材46の第一係合凹部461側に押し付けられて係合されている。これにより、第一安全柵20は、収納状態(a)で固定されている。ここで、作業者は、上記した第一係合解除機構28の索状部材281の把持部281bを掴み、図8中矢印R4で示した方向に引く。ロッド連結バー29は、上記したように、第一起立部材24Aの第一連結ロッド245を介して回転ローラ242と、第二起立部材24Bの第二連結ロッドを介して回転ローラ(図示は省略する)に連結されている。したがって、索状部材281に作用する引張力は、スライドシャフト246のピン249を介して圧縮ばね247の圧縮ばね力に抗する力となって、図9中矢印R6で示す方向に作用して、被係合部材46の第一係合凹部461に対する回転ローラ242の係合が解除される。なお、これと同時に、第二支持基台50の図示を省略する被係合部材の第一係合凹部に対する第二起立部材24Bの図示を省略する回転ローラの係合も解除される。
【0044】
図9に示す中間状態(b)から理解されるように、第一安全柵20を矢印R7で示す方向に引き起こして、作業者は、第一手摺部22を掴みながら、さらに、起立状態(c)へ向けて第一安全柵20の姿勢を変化させることができる。このとき、索状部材281からは手を離すことが可能であり、第一起立部材24Aの回転ローラ242は、被係合部材46の上記した接続部463と接しながら移動させられ、第一安全柵20が、ゲート板2に対して直立した起立状態(c)となる(図10も併せて参照)。これにより、圧縮ばね247の作用により回転ローラ242が、被係合部材46側に押し付けられて、自動的に第二係合凹部462と係合し、起立状態(c)となる(図10では、説明の都合上、回転軸支持部材43、44は省略されている)。また、延長プレート243の第一支持基台40の連結メンバ45と当接する側には、段差部243aが配設されており、回転ローラ242が被係合部材46の第二係合凹部462と係合する際には、該段差部243aが第一支持基台40の連結メンバ45と当接する状態となる。なお、他方の延長プレート244に対しても同様の形状の段差部が形成されており、該連結メンバ45に当接する。この結果、該回転ローラ242が第二係合凹部462に係合して、第一安全柵20が内側に倒れることを規制すると共に、第一安全柵20が外側に倒れることを規制して、起立状態(c)の姿勢が良好に維持される。
【0045】
ところで、上記の第一係合解除機構28は、いわゆる動滑車を使用してその原理を説明することが可能な作業者の引張力を低減する構成を備えている。すなわち、第一係合解除機構28の固定巻き掛け部284がいわゆる定滑車に相当し、ロッド連結バー29がいわゆる動滑車に相当する。このような構成によれば、作業者が索状部材281を引っ張り、圧縮ばね247の圧縮ばね力に抗って第一係合凹部461に対する回転ローラ242の係合を解除する際の力が、該構成を備えていない場合に比して半減される。この結果、作業者が索状部材281に作用させることができる引張力の範囲で、圧縮ばね247のばね力がより強いものを選択することができ、上記した第一安全柵20が収納状態(a)、又は起立状態(c)とされた際の状態を、より適切に維持することができる。
【0046】
第一安全柵20を起立状態(c)にある状態から、収納状態(a)とする場合も、上記の索状部材281の把持部281bを作業者が引っ張り、該引張力が該移動巻き掛け部として機能するロッド連結バー29に作用して、該第二係合凹部462に対する該回転ローラ242の係合を解除すると共に、第二起立部材24Bにおける、図示を省略する回転ローラの第二係合凹部に対する係合も解除して、第一安全柵20を中間状態(b)とした後、ゲート板2に畳まれた収納状態(a)とすることができる。
【0047】
さらに、図1に示す第二安全柵30も、上記の第一安全柵20と同様の支持構造を備えており、第二安全柵30に配設された第二係合解除機構38の索状部材を引っ張ることにより、第二安全柵30のロッド連結バー39を移動して、第二安全柵30を図1(a)に示す収納状態と、図1(b)に示す起立状態との間で容易に作動させることができる(詳細な説明は省略する)。
【0048】
上記した実施形態では、落下防止ベルト91が収納される一方の安全柵において、該落下防止ベルト91に対し引張力を作用させる弾性部材93として、引っ張りコイルばねを採用した例を示した。しかし、本発明はこれに限定されず、他の弾性部材を採用する別の実施形態も含む。図11~13を参照しながら、他の弾性部材を採用した別の実施形態について以下に説明する。なお、図11~13に示す実施形態は、上記した第二安全柵30を、第二手摺部32に替えて第二手摺部32’を採用した第二安全柵30’とし、該第二手摺部32’に落下防止ベルト91を収納する例を示すものであり、図4、5に示す第二の安全柵30に配設された部材と同一の部材については同一の番号を付しており、詳細な説明については省略する。
【0049】
図11(a)には、第一安全柵20の第一手摺部22と、第二安全柵30’の第二手摺部32’の平面図が示されている(説明の都合上、両者の間隔を詰めて記載している)。図11(b)には、第二手摺部32’の側方図が示されている。
【0050】
図11(a)、(b)から理解されるように、第二手摺部32’の内部には、図4に基づき説明した弾性部材93に替えて、ゼンマイばねを含み構成された弾性部材99が装着されている。図12を参照しながら、第二手摺部32’に装着された弾性部材99についてより具体的に説明する。
【0051】
図12に示す弾性部材99は、複数のゼンマイばねを含み構成されており、ゼンマイばねケース991に支持された第一ゼンマイばね992、第二ゼンマイばね993、及び第三ゼンマイばね994を備えている。ゼンマイばねケース991は、一対の側壁部991a、991aと、前壁部991bと、後壁部991cとにより構成されている。第一ゼンマイばね992を構成する渦巻コイル992a、第二ゼンマイばね993を構成する渦巻コイル993a、及び第三ゼンマイばね994を構成する渦巻コイル994aは金属製の薄板からなり、渦巻コイル992a、渦巻コイル993a、及び渦巻コイル994aの一端部は、それぞれ、一対の側壁部991a、991aに支持された回転軸992b、回転軸993b、回転軸994bに固定されている。
【0052】
また、渦巻コイル992a、渦巻コイル993a、及び渦巻コイル994aの他端部は、重ねられた状態で、リベット等の留め具995により連結されて一体とされ、該他端部側には、例えばステンレスで形成されたワイヤ997の一端部997aが、例えばボルトナットからなる連結具996によって連結されている。弾性部材99には、上記した構成により、該他端部に連結されたワイヤ997を矢印R10で示す方向に引き込むエネルギーが蓄えられている。すなわち、ワイヤ997を矢印R11で示す方向に引き出すと、ワイヤ997には、矢印R10で示す方向に引っ張る力が作用する。
【0053】
上記した渦巻コイル992a、渦巻コイル993a、及び渦巻コイル994aの他端部は、ゼンマイばねケース991の後壁部991cに形成された開口部991dから引き出される。また、ゼンマイばねケース991の前壁部991bには、複数の雌ネジ孔991eが形成されており、図11(b)に示すように、第二手摺部32’の車両前方側(図中左方側)の端部に、複数のボルト998によって固定される。
【0054】
ワイヤ997の他端部997bは、第二手摺部32’内において、長手方向にスライド可能に保持されたベルトスライダ94の係止部94aに係止される。これにより、ベルトスライダ94には、上記した弾性部材99の引張力が作用し、落下防止ベルト91は、第二手摺部32’の内部に引き込まれる(ベルトスライダ94の構成については、先に説明した実施形態の説明を参照)。
【0055】
上記した別の実施形態の弾性部材99を含む落下防止装置において、落下防止ベルト91を、図13に示す如く繰り出して落下防止ベルト91の結合端部92を被結合部80に結合する場合、作業者は、結合端部92を掴み、第二手摺部32’の繰出部90から落下防止ベルト91を引き出す。これに伴い、第二手摺部32’の内部に配設されたベルトスライダ94が、弾性部材99の引張力に抗して、図11、13に矢印R12で示す方向、すなわち繰出部90側にスライドする。なお、先に説明した実施形態と同様に、落下防止ベルト91の長さは、第二手摺部32’の繰出部90から繰り出され、該結合端部92が第一手摺部22側の被結合部80に達し、該結合端部92を該被結合部80に係合させるだけの遊び分のみを含む長さに設定される。これにより、落下防止ベルト91をさらに引き出そうとする力が作用しても、必要以上に延びて撓むことが防止され、ゲート板2上に積み上げられた荷物が崩れようとした場合でも、落下防止ベルト91が該荷物を支持し、該荷物が崩れることが防止される。また、落下防止ベルト91を使用しない場合は、弾性部材99の作用により第二手摺部32’の内部に収納されるため、邪魔になることがない。
【0056】
上記した弾性部材99は、定荷重ばねとして知られるゼンマイばねを採用していることから、引っ張りコイルばねを採用した場合と比較して、落下防止ベルト91を引っ張る際の引張力が、引き出し量に関わらず安定する。また、ゼンマイばねを採用していることにより、引っ張りコイルばねと同等の引張力を確保する際のスペースが少なく済む。特に、上記した実施形態のように、小径のゼンマイばねを複数連結することで、必要な引張力を確保しながら、狭い空間で構成された手摺り内に配設することが容易になる。さらに言えば、上記した実施形態では、弾性部材99の渦巻コイル992a、渦巻コイル993a、及び渦巻コイル994aの一端部とベルトスライダ94とを、ワイヤ997によって連結していることから、上記した実施形態のゲート板2とサイズが異なるゲート板、例えば、前後長が短く、幅が広いゲート板に本発明を適用するような場合であっても、ワイヤ997の長さを調整することで対応が可能であり、汎用性が高い。なお、弾性部材99を構成するゼンマイばねの個数は特に限定されず、必要な引張力に応じて適宜調整され、1個である場合も含まれる。また、上記した実施形態では、弾性部材99の渦巻コイル992a、渦巻コイル993a、及び渦巻コイル994aの一端部とベルトスライダ94とを連結する連結部材として、例えばステンレスのワイヤ997によって連結した例を示したが、本発明はこれに限定されず、他の素材のワイヤ、ボールチェーン、ロープ等を連結部材として使用することも可能である。
【符号の説明】
【0057】
2:ゲート板
4:荷受け面
6:前方端縁部
8:後方端縁部
10:右方端縁部
12:左方端縁部
20:第一安全柵
22:第一手摺部
24:起立部材
24A:第一起立部材
241:回転軸
242:回転ローラ
243、244:延長プレート
245:第一連結ロッド
246:スライドシャフト
247:圧縮ばね
24B:第二起立部材
26:水平メンバ
27:柵延長部
28:第一係合解除機構
281:索状部材
281a:一端部
281b:把持部(他端部)
282:ベルトブラケット
283:固定連結部
284:固定巻き掛け部
29:ロッド連結バー
29a:外形部
29b:芯材
30、30’:第二安全柵
32、32’:第二手摺部
34:起立部材
34A:第一起立部材
34B:第二起立部材
36:水平メンバ
37:柵延長部
38:第二係合解除機構
39:ロッド連結バー
40:第一支持基台
41:プレート部材
43、44:回転軸支持部材
45:連結メンバ
46:被係合部材
461:第一係合凹部
462:第二係合凹部
463:接続部
50:第二支持基台
60:第一支持基台
70:第二支持基台
80:被結合部
90:繰出部
91:落下防止ベルト
92:結合端部
93:弾性部材(引っ張りコイルばね)
93a:一端部
93b:他端部
94:ベルトスライダ
94a:係止部
95:巻き掛け部
95a:第一巻き掛け部
95b:第二巻き掛け部
96:ベルト固定部
97:ベルト反転部
98:ガイドピン
99:弾性部材(ゼンマイばね)
991:ゼンマイばねケース
991a:側壁部
991b:前壁部
991c:後壁部
992:第一ゼンマイばね
992a:渦巻コイル
992b:回転軸
993:第二ゼンマイばね
993a:渦巻コイル
993b:回転軸
994:第三ゼンマイばね
994a:渦巻コイル
994b:回転軸
995:留め具
996:連結具
997:ワイヤ
998:ボルト
100:車両
110:箱型荷台
120:開閉扉
130:テールゲート機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13