(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149945
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】無線通信システム及び無線通信システムにおける無線通信方法
(51)【国際特許分類】
H04W 72/566 20230101AFI20231005BHJP
H04W 16/26 20090101ALI20231005BHJP
H04W 4/38 20180101ALI20231005BHJP
H04W 28/04 20090101ALI20231005BHJP
H04W 40/24 20090101ALI20231005BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20231005BHJP
【FI】
H04W72/10
H04W16/26
H04W4/38
H04W28/04 110
H04W40/24
H04W84/18 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058780
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】濱口 良彦
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067BB27
5K067BB28
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067EE16
5K067HH28
5K067JJ18
(57)【要約】
【課題】ペアリング無しにデーターを受信する中継装置が複数ある場合に中継装置側がデーターを取捨選択してクラウドにアップロード可能な無線通信システム及び無線通信システムにおける無線通信方法を提供する。
【解決手段】無線通信システム10は、無線装置(トレー11及び電子レンジ12)と、中継装置(ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23)と、データー収集装置(クラウド31)とを含む。無線装置は、データーをブロードキャストする。中継装置は、無線装置からデーターを受信し、無線装置に対応するフラグが優先フラグの場合にデーターをデーター収集装置へ送信する。データー収集装置は、中継装置毎に、優先フラグ又は非優先フラグを設定し、設定したフラグを中継装置に通知し、中継装置からデーターを受信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ以上の無線装置と、
2つ以上の中継装置と、
1つ以上のデーター収集装置と
を備え、
前記無線装置は、データーをブロードキャストし、
前記中継装置は、
前記無線装置から前記データーを受信し、
前記無線装置に対応するフラグが優先フラグである場合に前記データーを前記データー収集装置へ送信し、
前記データー収集装置は、
前記中継装置ごとに、前記無線装置に対応するフラグとして優先フラグ又は非優先フラグを設定し、
設定した前記無線装置に対応するフラグを前記中継装置のそれぞれに通知すると共に、前記中継装置から前記データーを受信する、
無線通信システム。
【請求項2】
前記データー収集装置は、前記優先フラグを設定した前記中継装置から、前記無線装置のデーターを受信すると、すべての前記中継装置に対して前記データーの受信完了を通知する、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記中継装置は、前記無線装置から前記データーを受信した時点から一定期間内に、前記データー収集装置からの前記データーの受信完了の通知を受信しなかった場合、かつ、前記無線装置に対応するフラグが非優先フラグである場合、前記無線装置から受信した前記データーを前記データー収集装置へ送信する、
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記中継装置は、前記無線装置から前記データーを受信した時点から一定期間内に、前記データー収集装置からの前記データーの受信完了の通知を受信しなかった場合、前記無線装置に対応するフラグをリセットする、
請求項2又は請求項3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
1つ以上の無線装置と、2つ以上の中継装置と、1つ以上のデーター収集装置とを備える無線通信システムにおける無線通信方法であって、
前記無線装置が、データーをブロードキャストし、
前記中継装置が、
前記無線装置から前記データーを受信し、
前記無線装置に対応するフラグが優先フラグである場合に前記データーを前記データー収集装置へ送信し、
前記データー収集装置が、
前記中継装置ごとに、前記無線装置に対応するフラグとして優先フラグ又は非優先フラグを設定し、
設定した前記無線装置に対応するフラグを前記中継装置のそれぞれに通知すると共に、前記中継装置から前記データーを受信する、
無線通信システムにおける無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム及び無線通信システムにおける無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、冷蔵庫内に収納される物品トレーが開示されている。特許文献1に記載された物品トレーは、物品を保持する物品ホルダーと、物品ホルダーに保持される物品の状態を表す物品情報を検出する物品センサーと、冷蔵庫のドアの開閉に基づいて物品情報を送信する通信部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示す物品トレーのようなIoT(Internet оf Things)周辺機器は、通信相手(後述する中継装置等)とのペアリング無しに通信を行う場合がある。ペアリング無しにデーターを受信した中継装置は、受信したデーターをクラウド上のサーバーにアップロードする。
【0005】
しかしながら、IoT周辺機器の周囲に、ペアリング無しにデーターを受信する中継装置が複数ある場合に、中継装置のそれぞれが受信したデーターを加工することなくクラウド上のサーバーにアップロードすると、ネットワークのトラフィック負荷が増大すると共に、クラウド上のサーバーに重畳データーが増加する。
【0006】
そこで、本発明は、ペアリング無しにデーターを受信する中継装置が複数ある場合に中継装置側がデーターを取捨選択してクラウド上のサーバーにアップロード可能な無線通信システム及び無線通信システムにおける無線通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、1つ以上の無線装置と、2つ以上の中継装置と、1つ以上のデーター収集装置とを備える無線通信システムである。無線装置は、データーをブロードキャストする。中継装置は、無線装置からデーターを受信し、無線装置に対応するフラグが優先フラグである場合にデーターをデーター収集装置へ送信する。データー収集装置は、中継装置ごとに、無線装置に対応するフラグとして優先フラグ又は非優先フラグを設定し、設定した無線装置に対応するフラグを中継装置のそれぞれに通知すると共に、中継装置からデーターを受信する。
【0008】
本発明は、1つ以上の無線装置と、2つ以上の中継装置と、1つ以上のデーター収集装置とを備える無線通信システムにおける無線通信方法である。無線通信システムにおける無線通信方法では、無線装置が、データーをブロードキャストする。中継装置が、無線装置から前記データーを受信し、無線装置に対応するフラグが優先フラグである場合にデーターをデーター収集装置へ送信する。データー収集装置が、中継装置ごとに、無線装置に対応するフラグとして優先フラグ又は非優先フラグを設定し、設定した無線装置に対応するフラグを中継装置のそれぞれに通知すると共に、中継装置からデーターを受信する。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明によると、中継装置側がデーターを取捨選択してクラウド上のサーバーにアップロードするため、重畳したデーターがクラウド上のサーバーにアップロードされることが抑制される。そのため、ネットワークのトラフィック及びクラウド上のサーバーのデーター量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態における無線通信システムの一例を示す概要図である。
【
図2】実施形態における無線通信システムの一例を示すブロック図である。
【
図3】無線装置から中継装置を介してクラウド上のサーバーに所定のデーターをアップロードする場合のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態における無線通信システム10の一例を示す概要図である。
図2は、実施形態における無線通信システム10の一例を示すブロック図である。
【0012】
図1及び
図2に示すように、無線通信システム10は、1つ以上の無線装置と、2つ以上の中継装置と、1つ以上のデーター収集装置と、を含む。より具体的には、無線通信システム10は、無線装置の一例であるトレー11及び電子レンジ12と、中継装置の一例であるゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23と、データー収集装置の一例であるクラウド31(サーバー32)と、を含む。
【0013】
トレー11及び電子レンジ12と、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23とは、例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)(「Bluetooth」は登録商標。以下では登録商標の記載を省略する。)によって通信可能に接続されている。トレー11及び電子レンジ12と、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23との間の通信は、トレー11及び電子レンジ12からゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23への一方向である。
【0014】
ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23と、クラウド31上のサーバー32とは、例えば、無線LAN(Local Area Network)によってアクセスポイント30を介して通信可能に接続されている。ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23と、クラウド31上のサーバー32との間の通信は、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23と、クラウド31上のサーバー32の双方向からである。
【0015】
トレー11及び電子レンジ12は、BluetoothのBLEビーコン等の方式でデーターをブロードキャストすることが可能なIoT機器である。
【0016】
トレー11は、牛乳パック90等の物品を保持するトレーである。トレー11は、冷蔵庫22内に配置される。トレー11は、ホルダー13と、トレー制御部14Aと、トレー記憶部15Aと、Bluetooth通信部16Aと、物品センサー17と、電源部18等を含む。
【0017】
ホルダー13は、牛乳パック90等が載置される。ホルダー13は、例えば、牛乳パック90を保持するために周囲にリブを有する矩形となっている。
【0018】
トレー制御部14Aは、CPU(Central Processing Unit)、又はMPU(Micro-processing Unit)等であって、トレー記憶部15Aに格納されるプログラムに従って、トレー11における各種の情報処理を実行する。
【0019】
トレー記憶部15Aは、フラッシュメモリ、又はRAM(Random Access Memory)等であって、トレー制御部14Aによって実行されるプログラム、及びトレー制御部14Aによるプログラムの実行によって生成されるデーター等を記憶する。
【0020】
Bluetooth通信部16Aは、インターフェース等であって、Bluetoothを利用して、ゲートウェイ21、エアコン23及び冷蔵庫22と通信を行うBLE無線機である。Bluetooth通信部16Aは、例えばブロードキャスト方式で通信を行う機能を有する。Bluetooth通信部16Aは、ビーコン信号を発する。Bluetooth通信部16Aは、トレー11のホルダー13に内蔵されていても良く、また、トレー11のホルダー13に外付けされる通信アダプタに設けられていても良い。Bluetooth通信部16Aは、ゲートウェイ21、エアコン23及び冷蔵庫22に対して所定の情報を送信可能に構成され、情報を間欠的に送信している。
【0021】
物品センサー17は、ホルダー13に牛乳パック90が保持されているか否かを検知する。物品センサー17としては、例えば、重量センサー、及び距離センサー等が挙げられる。
【0022】
電源部18は、トレー11の各部に電力を供給する。電源部18としては、例えば、電池、及び蓄電池等が挙げられる。
【0023】
電子レンジ12は、本体制御部14Bと、本体記憶部15Bと、Bluetooth通信部16Bとを含む。
【0024】
本体制御部14Bは、CPU、又はMPU等であって、本体記憶部15Bに格納されるプログラムに従って、電子レンジ12における各種の情報処理を実行する。
【0025】
本体記憶部15Bは、フラッシュメモリ、又はRAM等であって、本体制御部14Bによって実行されるプログラム、及び本体制御部14Bによるプログラムの実行によって生成されるデーター等を記憶する。
【0026】
Bluetooth通信部16Bは、インターフェース等であって、Bluetoothを利用して、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23と通信を行うBLE無線機である。Bluetooth通信部16Bは、例えばブロードキャスト方式で通信を行う機能を有する。Bluetooth通信部16Bは、ビーコン信号を発する。Bluetooth通信部16Bは、電子レンジ12の本体に内蔵されていても良く、また、電子レンジ12の本体に外付けされる通信アダプタに設けられていても良い。Bluetooth通信部16Bは、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23に対して所定の情報を送信可能に構成され、情報を間欠的に送信している。
【0027】
ゲートウェイ21はアクセスポイント30が対応する通信方式とトレー11及び電子レンジ12が対応する通信方式との間での通信方式(プロトコル)の変換を行うものである。ゲートウェイ21は、トレー11及び電子レンジ12からデーターを受信し、トレー11或いは電子レンジ12に対応するフラグが優先フラグである場合にデーターをクラウド31上のサーバー32へ送信する。ゲートウェイ21が優先フラグの有無によってデーターをクラウド31上のサーバー32へ送信することから、重畳したデーターがクラウド31上のサーバー32にアップロードされることがない。
【0028】
冷蔵庫22及びエアコン23は、ゲートウェイ21と同様、アクセスポイント30が対応する通信方式とトレー11及び電子レンジ12が対応する通信方式との間での通信方法の変換を行う機能を有する家電である。
【0029】
冷蔵庫22は、本体制御部24Aと、本体記憶部25Aと、無線通信部26Aとを含む。
【0030】
本体制御部24Aは、CPU、又はMPU等であって、本体記憶部25Aに格納されるプログラムに従って、冷蔵庫22における各種の情報処理を実行する。
【0031】
本体記憶部25Aは、フラッシュメモリ、又はRAM(RAndom Access Memory)等であって、本体制御部24Aによって実行されるプログラム、及び本体制御部24Aによるプログラムの実行によって生成されるデーター等を記憶する。
【0032】
無線通信部26Aは、インターフェース等であって、トレー11のBluetooth通信部16A及び電子レンジ12のBluetooth通信部16Bからデーターを受信し、トレー11或いは電子レンジ12に対応するフラグが優先フラグである場合にデーターをクラウド31へ送信するゲートウェイ機器である。無線通信部26Aが優先フラグの有無によってデーターをクラウド31上のサーバー32へ送信することから、重畳したデーターがクラウド31上のサーバー32にアップロードされることがない。無線通信部26Aは、アクセスポイント30が対応する通信方式とトレー11のBluetooth通信部16A及び電子レンジ12が対応する通信方式との間での通信方式の変換を行う。無線通信部26Aは、無線LANを利用してアクセスポイント30と通信を行う。無線通信部26Aは、Bluetoothを利用して、トレー11のBluetooth通信部16A及び電子レンジ12と通信を行う。なお、無線通信部26Aは、冷蔵庫22の本体に内蔵されていても良く、また、冷蔵庫22の本体に外付けされる通信アダプタに設けられていても良い。
【0033】
エアコン23は、本体制御部24Bと、本体記憶部25Bと、無線通信部26Bとを含む。なお、本体制御部24B、本体記憶部25B及び無線通信部26Bの主な構成は、冷蔵庫22の本体制御部24A、本体記憶部25A及び無線通信部26Aと同様のため説明を省略する。
【0034】
クラウド31上のサーバー32は、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23ごとに、トレー11或いは電子レンジ12に対応するフラグとして優先フラグ又は非優先フラグを設定する。具体的には、サーバー32は、トレー11及び電子レンジ12からのデーター受信時のゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23の電波強度或いは過去の通信履歴等に基づいて優先フラグ又は非優先フラグを設定する。より具体的には、サーバー32は、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23のうち、トレー11からのデーター受信時の電波強度が強いもの(例えば、冷蔵庫22)に優先フラグを設定し、その他のもの(例えば、ゲートウェイ21及びエアコン23)に非優先フラグを設定する。同様に、サーバー32は、電子レンジ12からのデーター受信時の電波強度が強いもの(例えば、ゲートウェイ21)に優先フラグを設定し、その他のもの(例えば、冷蔵庫22及びエアコン23)に非優先フラグを設定する。なお、サーバー32は、トレー11及び電子レンジ12からのデーターを受信しないもの(例えば、季節的に使用されずにコンセントが外されたエアコン23)についてはフラグを設定しない。
【0035】
サーバー32は、優先フラグ又は非優先フラグを、トレー11或いは電子レンジ12と、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23と、の間で1対1に対応させて設定する。具体的には、サーバー32は、例えば、冷蔵庫22に対して、トレー11に対応する優先フラグを設定する場合には、ゲートウェイ21及びエアコン23に対しては、トレー11に対応する非優先フラグを設定する。また、サーバー32は、優先フラグ及び非優先フラグの設定を、所定のタイミング(例えば、週1回、月1回等)で消去する。これによって、トレー11及び電子レンジ12(無線装置)、或いはゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23(中継装置)の配置場所或いは通電状態等に起因してデーターのアップロードができない状態が続くことを防止できる。
【0036】
サーバー32は、設定したトレー11或いは電子レンジ12に対応するフラグ(優先フラグ又は非優先フラグ)をゲートウェイ21、並びに、冷蔵庫22及びエアコン23の無線通信部26のそれぞれに通知すると共に、優先フラグを設定したゲートウェイ21、並び、冷蔵庫22及びエアコン23の無線通信部26からデーターを受信する。このように、サーバー32が、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23にフラグを設定した上で、優先フラグを設定したゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23からデーターを受信するため、重畳したデーターがサーバー32にアップロードされることがない。そのため、ネットワークのトラフィック及びサーバー32のデーター量を抑えることができる。
【0037】
サーバー32は、優先フラグを設定したゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23から、トレー11或いは電子レンジ12のデーターを受信すると、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23のすべてに対してデーターの受信完了を通知する。具体的には、サーバー32は、優先フラグを設定した冷蔵庫22からトレー11のデーターを受信した場合は、受信完了をゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23に対して通知する。このように、サーバー32が受信完了を通知することで、トレー11或いは電子レンジ12のデーターがサーバー32において確実に受信されたことを、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23に認識させることができる。ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23は、トレー11或いは電子レンジ12のデーターを受信したにもかかわらず、サーバー32からの受信完了の通知が無い場合には、非優先フラグを設定されていたとしてもデーターを送信することで、サーバー32におけるデーターの受信漏れを防止することができる。
【0038】
次に、トレー11及び電子レンジ12からゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23を介してクラウド31上のサーバー32に所定のデーターをアップロードする場合の方法について一例を説明する。なお、以下では、トレー11及び電子レンジ12を無線装置と称し、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23を中継装置と称して説明する。
図3は、無線装置から中継装置を介してクラウド31上のサーバー32に所定のデーターをアップロードする場合のフローチャートである。
【0039】
図3に示すように、無線装置(例えば、トレー11)から所定のデーターが送信されると(S1)、全ての中継装置(ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23)は、無線装置から送信される所定のデーターを受信する(S2)。中継装置がデーターを受信すると(S2)、無線装置に対応するフラグ(優先フラグ、非優先フラグ)が中継装置に設定されているか否かが判断される(S3)。無線装置に対応するフラグが中継装置に設定されていると判断されると(S3-Yes)、設定されているフラグが優先フラグである中継装置(例えば、エアコン23)が、クラウド31上のサーバー32に対してデーターを送信する。クラウド31上のサーバー32は、優先フラグを設定した中継装置(例えば、エアコン23)からデーターを受信する(S4)。サーバー32は、優先フラグを設定した中継装置から、無線装置のデーターを受信すると、すべての中継装置に対してデーターの受信完了を通知する(S5)。
【0040】
非優先フラグが設定された中継装置(例えば、ゲートウェイ21、冷蔵庫22)は、無線装置からデーターを受信した時点から一定期間内に、サーバー32からのデーターの受信完了の通知を受信したか否かを判断する(S6)。すなわち、非優先フラグが設定された中継装置は、優先フラグが設定された中継装置からサーバー32にデーターがアップロードされたか否かが不明なため、サーバー32からのデーターの受信完了の通知に基づいて、データーがサーバー32にアップロードされたか否かを判断することで、データーがサーバー32にアップロードされているかを適宜確認できる。非優先フラグが設定された中継装置が、サーバー32からのデーターの受信完了の通知を受信したと判断した場合(S6-Yes)、無線装置からサーバー32へのデーターのアップロードは終了する。
【0041】
一方で、非優先フラグが設定された中継装置が、サーバー32からのデーターの受信完了の通知を受信していないと判断した場合(S6-No)、優先フラグが設定された中継装置が動作していないと判断する(S7)。例えば、優先フラグが設定されていたエアコン23が、季節的に使用されずにコンセントが外された状態で動作していない場合が挙げられる。非優先フラグが設定された中継装置は、優先フラグが設定された中継装置が動作していないと判断すると(S7)、設定されていた非優先フラグを消去する(S8)。
【0042】
中継装置は、設定されていた非優先フラグを消去すると(S8)、無線装置から受信したデーターのうち、特定の低容量のデーターのみをクラウド31上のサーバー32に送信する(S9)。ここで、特定の低容量のデーターとは、無線装置を特定するシリアルデーター、中継装置における無線装置からのデーター受信感度、データー種類、又は日時を示すデーター等をいう。
【0043】
中継装置が特定の低容量のデーターを送信すると(S9)、サーバー32は、低容量のデーターを受信する(S10)。サーバー32は、低容量のデーターを受信すると(S10)、受信した低容量のデーターに基づいて、無線装置から受信したデーターをアップロード可能な中継装置(例えば、冷蔵庫22)を選択する(S11)。例えば、サーバー32は、無線装置からのデーター受信感度が最も高い中継装置を選択する。サーバー32は、選択した中継装置に対してデーターのアップロードを許可する許可信号を送信すると共に、選択しなかった中継装置(例えば、ゲートウェイ21)に対してデーターのアップロードを不許可とする不許可信号を送信する(S12)。
【0044】
中継装置は、サーバー32からアップロードの許可信号を受信すると(S13-Yes)、優先フラグが設定されると共に、無線装置から受信したデーターをサーバー32に対してアップロードする(S14)。一方で、中継装置は、サーバー32からアップロードの不許可信号を受信すると(S13-No)、非優先フラグが設定されると共に、無線装置から受信したデーターを破棄する(S15)。
【0045】
サーバー32に対してデーターがアップロードされると(S14)、サーバー32は、優先フラグが設定された中継装置及び非優先フラグが設定された中継装置に対してデーターの受信完了を通知する(S16)。
【0046】
なお、それぞれの中継装置(ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23)が、無線装置から送信される所定のデーターを受信した時点で(S2)、無線装置に対応するフラグ(優先フラグ及び非優先フラグ)が設定されていない場合には、(S3-No)、それぞれの中継装置は、無線装置から受信したデーターに基づく特定の低容量のデーターのみをクラウド31上のサーバー32に送信する(S9)。この場合、中継装置からサーバー32へアップロードされるデーター数は削減されないが、アップロードされる合計のデーター容量は低減されるため、ネットワークのトラフィック負荷は抑制される。
【0047】
このように、クラウド31は、同一の無線装置に基づく特定の低容量のデーターを複数受信した場合には、データーをアップロードする中継装置(ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23)を指定する。そして、指定された中継装置(例えば、冷蔵庫22)からのみデーターがアップロードされ、指定されていない他の中継装置(ゲートウェイ21及びエアコン23)からはデーターがアップロードされない。また、無線機器からのデーター受信時の電波強度、或いは過去の通信履歴等に基づいて過去に設定された優先フラグがある場合には、次回以降のアップロードでは、特定の無線機器(例えば、トレー11)からのデーターは、特定の中継装置(例えば、冷蔵庫22)からのみアップロードされる。このような仕組みによって、無線装置からデーターがブロードキャストされた場合に、特定の中継装置(例えば、冷蔵庫22)からのみデーターをアップロードし、他の中継装置(ゲートウェイ21及びエアコン23)からはデーターをアップロードしないことで、ネットワークのトラフィック及びクラウド31上のサーバー32のデーター容量の抑制を実現することができる。
【0048】
さらに、優先的にデーターをアップロードする中継装置が最適であるかどうかは、定期或いは不定期に、優先フラグ及び非優先フラグを消去することで、最適な受信であるかどうかを再判定し登録する。
【0049】
なお、非優先フラグが設定された中継装置は、サーバー32からのデーターの受信完了の通知を受信していないと判断した場合(S6-No)、優先フラグが設定された中継装置が動作していないと判断し(S7)、優先フラグが設定された中継装置の代わりに、データーをサーバー32へアップロードしてもよい。これにより、サーバー32におけるデーターの受信漏れを防止することができる。
【0050】
以上のように、実施形態によると、ペアリング無しにデーターを受信する中継装置が複数ある場合に中継装置(ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23)側がデーターを取捨選択してクラウド31上のサーバー32にアップロードするため、重畳したデーターがクラウド31上のサーバー32にアップロードされることが抑制される。そのため、ネットワークのトラフィック及びクラウド31上のサーバー32のデーター量を抑えることができる。
【0051】
なお、実施形態では、無線装置を冷蔵庫22内のトレー11及び電子レンジ12としているが、これに限定されるものではなく、BLE無線機を有するものであれば、洗濯機、エアコン等の家電であっても構わない。また、BLE無線機単体であっても構わない。また、無線装置の通信方式はBLE等のBluetooth方式に限定されるものではなく、ペアリング無しにデーターをブロードキャストできる通信方式であればよい。
【0052】
また、実施形態では、中継装置をゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23としているが、これに限定されるものではなく、ゲートウェイ機器を有するものであれば、洗濯機、電子レンジ等の家電であっても構わない。
【0053】
また、実施形態では、クラウド31上のサーバー32が、ゲートウェイ21、冷蔵庫22及びエアコン23ごとに、トレー11或いは電子レンジ12に対応するフラグとして優先フラグ又は非優先フラグを設定しているが、これに限定されるものではなく、冷蔵庫22等のユーザーが図示しない通信端末等によって優先フラグ及び非優先フラグを設定しても構わない。
【0054】
以上、図面を参照しながら実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によると、ネットワークのトラフィック及びクラウド上のサーバーのデーター量を抑えることができる。よって、本発明の産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0056】
10 無線通信システム
11 トレー(無線装置)
12 電子レンジ(無線装置)
21 ゲートウェイ(中継装置)
22 冷蔵庫(中継装置)
23 エアコン(中継装置)
31 クラウド(データー収集装置)