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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149946
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】トレー
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/52 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01G19/52 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058781
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】山出 欽也
(57)【要約】
【課題】電力消費を抑制し得る物品載置用トレーを提供する。
【解決手段】物品が載置されるトレー10は、検知部12と、送信部21と、制御部16と、電源部18とを備える。検知部12は、物品がトレー10に載置されていることを少なくとも検知する。送信部21は、トレー10以外のゲートウェイ機器23へ向けて一方向に送信を行う。制御部16は、各種の制御を行う。電源部18は、電池式である。また、電源部18は、各部に電力を供給する。制御部16は、送信部21に第1送信処理と第2送信処理とを実行させる。第1送信処理は、送信部21がゲートウェイ機器23に向けて検知部12の検知結果に基づく情報を特定の時間間隔で送信する処理を示す。第2送信処理は、送信部21がゲートウェイ機器23に向けて送信するための時間間隔を前記第1送信処理の時間間隔よりも長い時間間隔とする処理を示す。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が載置されるトレーであって、
前記物品がトレーに載置されていることを少なくとも検知する検知部と、
前記トレー以外のゲートウェイ機器へ向けて一方向に送信を行う送信部と、
各種の制御を行う制御部と、
各部に電力を供給する電池式の電源部と、
を備え、
前記制御部は、前記送信部に第1送信処理と第2送信処理とを実行させ、
前記第1送信処理は、前記送信部が前記ゲートウェイ機器に向けて前記検知部の検知結果に基づく情報を特定の時間間隔で送信する処理を示し、
前記第2送信処理は、前記送信部が前記ゲートウェイ機器に向けて送信するための時間間隔を前記第1送信処理の時間間隔よりも長い時間間隔とする処理を示す、トレー。
【請求項2】
前記検知部の検知結果に変化が無い場合、前記制御部は前記送信部が前記第2送信処理を実行するように、前記送信部を制御する、請求項1に記載のトレー。
【請求項3】
前記検知部の検知結果に変化が生じた場合、前記制御部は、前記送信部が前記第1送信処理を実行するように、前記送信部を制御する、請求項2記載のトレー。
【請求項4】
前記制御部は、前記検知部の検知結果に変化が無い状態が一定時間以上継続した場合に、前記送信部に、前記検知部の検知結果に変化が無い状態が一定時間以上継続したことを示す情報を前記ゲートウェイ機器に向けて送信させる第3送信処理を実行させる、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のトレー。
【請求項5】
前記検知部は、前記物品が前記トレーに載置されていることのほかに、前記物品の重量と、前記トレーが配置されている場所の環境情報とのうちの少なくともいずれか一方を検知する、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のトレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品載置用トレーに関し、例えば冷蔵庫などにおいて使用可能な物品載置用トレーに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、冷蔵庫等の保管庫に備えられる物品載置用トレーにおいて、外部装置と通信により、物品情報を出力する通信手段を備えることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-114075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、例えば、外部装置との通信が保管庫である冷蔵庫と物品載置用トレーとが近づいた際に自動的に開始される。そのため、物品載置用トレーが冷蔵庫に収納された場合などの冷蔵庫と物品載置用トレーが近くにある場合には、常に通信が行われ、物品載置用トレーにおける電力消費が多くなり得る。特に、冷蔵庫において使用される物品載置用トレーでは、電源としてバッテリを使用せざるを得ないため、消費電力が多くなるとバッテリの消耗による交換頻度が高くなって不便である。
【0005】
そこで、本発明は、電力消費を抑制し得る物品載置用トレーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一局面によれば、物品が載置されるトレーは、検知部と、送信部と、制御部と、電源部とを備える。検知部は、物品がトレーに載置されていることを少なくとも検知する。送信部は、トレー以外のゲートウェイ機器へ向けて一方向に送信を行う。制御部は、各種の制御を行う。電源部は、電池式である。また、電源部は、各部に電力を供給する。制御部は、送信部に第1送信処理と第2送信処理とを実行させる。第1送信処理は、送信部がゲートウェイ機器に向けて検知部の検知結果に基づく情報を特定の時間間隔で送信する処理を示す。第2送信処理は、送信部がゲートウェイ機器に向けて送信するための時間間隔を前記第1送信処理の時間間隔よりも長い時間間隔とする処理を示す。
【発明の効果】
【0007】
本発明のトレーによると、第2送信処理において、送信部がゲートウェイ機器に向けて送信するための時間間隔を第1送信処理の時間間隔よりも長い時間間隔とすることで、送信部が検知部の検知結果に基づく情報をゲートウェイ機器に向けて送信する回数を減らすことができ、このため電源部の電力消費を抑制できて電池の寿命を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態のトレーの外観を、このトレーに載置される物品とともに示す図である。
図2図1のトレーの内部構造を示す図である。
図3図1および図2のトレーを用いた冷蔵庫の管理システムを示す図である。
図4図1および図2のトレーの内部構造を含む図3の冷蔵庫の管理システムのブロック図である。
図5】トレーの他の例である玉子トレーの立体図である。
図6図5の玉子トレーの平面図である。
図7】トレーの電源部の電池の消耗を抑えるための手法を示すフローチャートである。
図8図7のフローにしたがいトレーの送信部から送信される信号の例を示す図である。
図9図7のフローにしたがいトレーの送信部から送信される信号の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施の形態のトレーの外観を、このトレーに載置される物品とともに示す図である。図2は、図1のトレーの内部構造を示す図である。図3は、図1および図2のトレーを用いた冷蔵庫の管理システムを示す図である。図4は、図1および図2のトレーの内部構造を含む図3の冷蔵庫の管理システムのブロック図である。
【0010】
図1に示すように、トレー10は、平らな方形の枡形を呈し、物品が載置される。図示の例では物品としての牛乳パック11を載置して図外の冷蔵庫に収容される。
【0011】
図2に示すように、トレー10は、検知部12と、送信部21と、制御部16と、電源部18と、タイマ部17と、記憶部19とを備える。
【0012】
検知部12は、物品がトレー10に載置されていることのほかに、物品の重量と、トレー10が配置されている場所の環境情報とのうちの少なくともいずれか一方を検知する。具体的には、検知部12は、トレー10の上における物品(図1に示す牛乳パック11)の有無を検知するための物品センサ13と、物品の重量を検知するための重量センサ14と、トレー10の周囲の環境の状況を検知するための環境センサ15とを備える。
【0013】
物品センサ13は、近接センサや測距センサなどによって構成される。これら近接センサや測距センサは、光学式のセンサなどによって構成することができる。重量センサ14は、ピエゾ素子などの圧電素子やその他の重量検知素子を備えて、物品の重量を測定することができる。例えば、物品が上記した牛乳パック11などの容器である場合には、その容器の内容物(上記の例では「牛乳」)の減り具合を検知することができる。環境センサ15は、温度センサや湿度センサなどによって構成される。トレー10が冷蔵庫で使用される場合には、環境センサ15は、庫内温度の検知などに用いられる。
【0014】
制御部16は、CPU(Central Processing Unit)およびMPU(Micro Processing Unit)のようなプロセッサと、メモリ(ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory))とを含む。制御部16は、各種の制御を行う。具体的には、制御部16は、記憶部19又はROMに記憶された制御プログラムをプロセッサが実行することにより、トレー10の各部を制御する。
【0015】
タイマ部17は、制御部16を動作させるためのタイマ機能を発揮するとともに、一般的な計時機能も発揮する。電源部18は、各部に電力を供給する電池式の構成とされている。記憶部19は、検知部12の検知結果などを格納する。記憶部19は、例えば、フラッシュメモリ、RAM等である。
【0016】
送信部21は、トレー10以外の後述のゲートウェイ機器23へ向けて一方向に送信を行う。送信部21は、無線通信を行う通信機であり、例えば、近距離無線通信を実行する。近距離無線通信は、例えばBluetooth(登録商標)などによるビーコン通信規格に準じた通信や単方向の光や電磁界通信などである。
【0017】
上記において説明したトレー10は、冷蔵庫内において上述の牛乳パック11などの物品を載置するときに好適に用いられる。図3は、トレー10が用いられる冷蔵庫20と、この冷蔵庫20のための管理システムとを示す。冷蔵庫20は、食品などを冷蔵保存するためのものである。また冷蔵庫20は、詳細を後述するゲートウェイ機器23を備える。
【0018】
図3に示す冷蔵庫20では、トレー10に備えられた前述の送信部21が概念的に描かれている。この冷蔵庫20は、ネットワーク22との間で送受信するためのゲートウェイ機器23を備える。ゲートウェイ機器23は、ネットワーク22を介して端末装置24との間で通信を行うことができる。
【0019】
図4は、図3に示されるシステムのブロック図である。トレー10のブロック図は、主に図2の記載内容に対応する。端末装置24は、制御部25と、通信部26と、記憶部27と、表示部28とを備える。通信部26は、ネットワーク22を介してゲートウェイ機器23との間で通信する。記憶部27は、制御部25のためのプログラムやデータを格納するとともに、通信部26で受信した情報を記憶する。表示部28は、通信部26で受信した情報を表示し、また記憶部27に記憶されている情報を表示する。各部の動作は制御部25によって制御される。端末装置24は、このような構成であることで、トレー10からゲートウェイ機器23およびネットワーク22を介して送られてきた情報を、表示部28によって表示する。
【0020】
トレー10は、検知部12に物品センサ13、重量センサ14、および環境センサ15を備えることで、図1に示される物品としての牛乳パック11に関する状況や冷蔵庫の内部環境に関する状況を監視するための情報を、取得することができる。そして図示のシステムによれば、トレー10において取得したこれらの情報を、端末装置24へ送信することができる。
【0021】
まず、トレー10の送信部21と冷蔵庫20のゲートウェイ機器23との間の通信方法について説明する。この送信部21とゲートウェイ機器23との間の通信方法は、双方向の送受信ではなく、送信部21からゲートウェイ機器23に向けての一方向の通信方法である。つまり、トレー10すなわち送信部21は、受信機能は有さずに送信機能だけを有するブロードキャスト方式のものである。換言すると、送信部21は、トレー10以外のゲートウェイ機器23へ向けて一方向に送信を行う。そして送信部21は、例えば冷蔵庫20のケーシングおよびその近傍などのごく近距離までしか電波あるいは電界が届かない微弱な送信エネルギしか有しない。こうすることで、双方向の通信機能である送受信機能を有する場合や、所定の距離以上の遠方まで情報を発信する場合に比べて、通信すなわち送信のためのエネルギ消費をわずかに抑えることができる。これによって、電源部18を構成する電池の消耗を抑えることができる。
【0022】
また送信部21は、連続的な発信を行うのではなく、一定時間ごとに定期的に、つまり、時間的にみて離散的に、データの送信を行う。例えば1回/15分程度の時間間隔をおいたうえで、わずかな所要時間内に、必要なデータの送信を行う、これによっても、電源部18を構成する電池の消耗を抑えることができる。
【0023】
結局、送信部21は、上記した通信方法のもとで動作することで、電源部18を構成する電池の消耗を最小限に抑えることができる。
【0024】
つぎに、図4に示されるシステムの全体について詳細に説明する。冷蔵庫20(図3参照)に備えられたゲートウェイ機器23は、非電池方式の電源、例えば冷蔵庫20や別置きの電源から電力の供給を受けるものである。このため、ゲートウェイ機器23は、トレー10の電源部18に比べて電源容量に大幅な余裕があり、したがってネットワーク22に対して双方向の通信である送受信を行うことができる。
【0025】
このような構成とすることで、トレー10が電池式の電源部18しか有しておらず、したがってその電気的な容量に制限があっても、トレー10とネットワーク22との間での通信を、送信だけの一方的な通信であるが、問題なく実施することができる。
【0026】
ゲートウェイ機器23は、ネットワーク22を介して、端末装置24との間で双方向の通信すなわち送受信を行うことができる。これにより、端末装置24は、トレー10から発信された情報を受信することができるとともに、受信した情報を表示部28にて表示することができる。
【0027】
トレー10の機能の詳細について説明する。トレー10は、検知部12において、物品の載置の有無を検知する物品センサ13を備えている。例えば図1に示す冷蔵庫における牛乳パック11のトレー10であると、図3に示す冷蔵庫20に牛乳パック11が貯蔵されているかどうかを検知して、その情報を端末装置24へ送信することができる。このためユーザは、端末装置24を使用することで、冷蔵庫20の扉を開かなくても、あるいは冷蔵庫20から遠く離れたスーパーマーケットに居るときなどにおいても、牛乳パック11を貯蔵しているかどうかを知ることができる。
【0028】
図1ではトレー10に載置する物品として牛乳パック11を例示している。例えば、物品センサ13が反射光を用いて物品の有無を検知する構成である場合には、飲料を収容した透光性を有する容器を載置したときに、飲料における検出光の反射率の違いから、その飲料の種類を検知することもできる。
【0029】
また検知部12は重量センサ14を備えているため、牛乳パック11などの容器の内部における飲料の残量を検知することもできる。その場合は、この残量を端末装置24の表示部28において表示させることで、ユーザは、例えば買い物中に飲料を追加で購入すべきか否かの情報を知ることができる。ただし、重量センサ14は、検知感度を低下させて、あるいは検知結果を出力するときに一定の閾値を設けて、わずかな検知差つまり重量の微小変動は出力しないようにするのが実際的で、その方がユーザの要求に適合したものとなる。
【0030】
トレー10の検知部12が環境センサ15を備えていることで、例えばトレー10の設置位置における冷蔵庫20の庫内温度を知ることができる。通常、冷蔵庫には決まった位置にしか温度計が設置されていないが、トレー10を用いると、冷蔵庫20の内部におけるトレー10が収容された任意の位置の温度、すなわち、トレー10に載置されている物品の周囲の温度を、知ることができる。これにより、物品を、冷蔵庫20の内部におけるより貯蔵に適した温度となっている位置に置くことができる。
【0031】
トレー10は、上記したように冷蔵庫20の内部で用いるほかに、他の場所で用いることもできる。例えば冷蔵する必要のない調味料の容器を載置するトレーとして用いることもでき、その場合においても、冷蔵庫20の内部において使用するときと同様に機能させることができる。
【0032】
図5および図6は、トレーの他の例を示す図である。ここに示されるトレーは、冷蔵庫用の玉子トレー90である。玉子トレー90は、複数の凹形状の玉子ホルダ91を備え、各玉子ホルダ91にそれぞれ玉子を収容することができる。92はユーザのための取っ手である。玉子トレー90には、各玉子ホルダ91の底部に、それぞれ検知部12を構成する物品センサ13が備えられている。これにより、冷蔵庫20に収容している玉子トレー90に何個の玉子が残っているのかを、端末装置24の表示部28に表示することができる。あるいは、表示部28では、物品センサ13の検知結果に基づいて、玉子トレー90の玉子ホルダ91に玉子が収容されている状態を表す画像を表示することもできる。このようにして、玉子トレー90における玉子の残数を表示部28に表示することができるため、ユーザにとって便宜である。なお、上記した点以外については、玉子トレー90の構造および動作は、トレー10と同様である。
【0033】
上述したトレー10の電源部18の電池の消耗を抑える制御部16の処理の詳細について、図7図10を参照して説明する。
【0034】
再度記載するが、物品が載置される上述のトレー10は、物品がトレー10に載置されていることを少なくとも検知する検知部12と、トレー10以外のゲートウェイ機器23へ向けて一方向に送信を行う送信部21と、各種の制御を行う制御部16と、各部に電力を供給する電池式の電源部18とを備える。
【0035】
制御部16は、送信部21に、第1送信処理と第2送信処理とを実行させる。第1送信処理は、送信部21がゲートウェイ機器23に向けて検知部12の検知結果に基づく情報を特定の時間間隔で送信する処理を示す。第2送信処理は、送信部21がゲートウェイ機器23に向けて送信するための時間間隔を第1送信処理の時間間隔よりも長い時間間隔とする処理を示す。
【0036】
このような構成のトレー10であると、第2送信処理において、送信部21がゲートウェイ機器23に向けて送信するための時間間隔を第1送信処理の時間間隔よりも長い時間間隔とすることができる。よって、送信部21が検知部12の検知結果に基づく情報をゲートウェイ機器23に向けて送信する回数を減らすことができる。このため電源部18の電力消費を抑制できて電池の寿命を延ばすことができる。
【0037】
図7は、電源部18の電池の消耗を抑えるための手法を示すフローチャートである。図8は、図7のフローにしたがいトレー10の送信部21から送信される信号の例を示す図である。図9は、図7のフローにしたがいトレー10の送信部21から送信される信号の他の例を示す図である。
【0038】
図7においてステップS1で処理が開始されたなら、まずステップS2で、図4などに示されるトレー10の制御部16が作動して、検知部12の各検知センサにより所要の検知を行う。検知結果は、トレー10の送信部21から微弱な電波や電界なとどとして発信され、それをゲートウェイ機器23が受信する。ゲートウェイ機器23はトレー10からの情報を受信したときには、ネットワーク22を介してその情報を端末装置24へ送信する。端末装置24では、送信されてきた情報が表示部28に表示される。
【0039】
所要の信号の発信が終了したなら、制御部16は、ステップS3を実行して、所定の時間経過を待つ。時間経過の動作は、トレー10に設けられたタイマ部17のカウント動作によって行う。例えば15分の時間経過を待つ(ステップS3でNo)。
【0040】
この15分の時間が経過したなら(ステップS3でYes)、ステップS4において、制御部16は、前回の検知部12の検知結果から実質的な変化があったか否かを判断する。ここにいう実質的な変化とは、ノイズやデータの揺らぎなどの外乱を排除することを意味する。
【0041】
ステップS4において、検知部12の検知結果に実質的な変化があったと判断した場合(ステップS4でYes)には、ステップS2に戻って、その検知結果を端末装置24へ送信し、表示部28に表示させる。以下、同様の処理を繰り返し、15分の間に検知部12の検知結果に実質的な変化が生じた場合には、その都度、検知結果の表示を行う。この一連の処理が、第1送信処理である。このように15分間に1度だけトレー10の送信部21からゲートウェイ機器23に送信を行うだけであるので、例えば連続的に送信を行う場合に比べて、トレー10の電源部18の電池の消耗を抑えることができる。
【0042】
反対に、ステップS4において、検知部12の検知結果に変化が無い場合、制御部16は、送信部21が第2送信処理を実行するように、送信部21を制御する。具体的には、検知部12の検知結果に実質的な変化がなかった場合(ステップS4でNo)は、ステップS5に移って、待機する時間間隔の延長を行う。例えば、さらに15分間の時間間隔を設定する。そして、ステップS6を実行して、延長された時間の経過を待つ(ステップS6でNo)。このように、検知部12の検知結果に変化が無い場合に送信部21がゲートウェイ機器23に向けて送信するための時間間隔を延長することで、送信を原因とするトレー10の電源部18の電池の消耗を抑えることができる。
【0043】
この延長時間が経過したなら、ステップS7において、ステップS4の場合と同様に、制御部16は、前回の検知部12の検知結果から実質的な変化があったか否かを判断する。変化があったと判断した場合(ステップS7でYes)には、ステップS8で延長時間をリセットしたうえで、ステップS2に戻って、上述の第1送信処理を実行する。つまり、検知部12の検知結果に変化が生じた場合、制御部16は、上述のリセットを行って、送信部21が第1送信処理を実行するように送信部21を制御する。そして、その検知結果を端末装置24へ送信し、表示部28に表示させる。以下、同様の処理を繰り返す。こうすることで、検知部12の検知結果に変化が生じたことを時間遅れなく送信部21からゲートウェイ機器23に出力してユーザに通知することができる。
【0044】
ステップS7において、延長期間中に検知部12の検知結果に実質的な変化がなかったと判断した場合(ステップS7でNo)には、ステップS9に移って、変化がなかった時間が一定の長時間以上継続したか否かを制御部16が判断する。長時間継続していないと判断した場合(ステップS9でNo)には、ステップS5に戻って、待機する時間間隔のさらなる延長を行う。例えば、さらに15分間の時間間隔を設定する。以下、同様の処理を繰り返す。
【0045】
このようにすることで、検知部12の検知結果に実質的な変化がなかった場合には、検知結果をトレー10の送信部21からゲートウェイ機器23へ送信して、最終的に端末装置24の表示部28に表示させる処理を行わない。すると、送信を行わないことで、トレー10の電源部18の電池の消耗を抑えることができる。
【0046】
このときのトレー10の送信部21からゲートウェイ機器23への信号の送信の様子を、図8および図9を参照して詳細に説明する。図8は、図7のフローにしたがいトレー10の送信部21から送信される信号の例を示す図である。図9は、図7のフローにしたがいトレー10の送信部21から送信される信号の他の例を示す図である。
【0047】
図8は、送信の時間間隔をステップS3のように例えば上述の15分に広げた場合を示す。すなわち15分に一度、信号の送信が行われる。これによってトレー10の電源部18の電池の消耗が抑えられる。
【0048】
ステップS4で検知結果に変化がなかったと判断された場合(ステップS4でNo)は、ステップS5において、図8に示された時間間隔を延長する。このため、延長しなかった場合に本来送信される筈であった信号が送信されなくなる。すなわち送信がスキップされる。この状態を、図8において破線で表示する。
【0049】
このとき、ステップS7で検知結果に変化があったと制御部16が判断した場合(ステップS7でYes)には、ステップS2へ戻って、その変化のあった検知結果をトレー10の送信部21からゲートウェイ機器23へ送信する。このときの信号の様子を図8において実線で示す。符号30が、変化があったときの検知情報の信号を指す。ステップS7からステップS2に戻るときに、ステップS8において、延長時間のリセットを行う。これによって延長時間は0になり、元の経過時間である15分に戻される。つまり、制御部16は送信部21が第1送信処理を実行するように送信部21を制御する。
【0050】
ステップS9において、制御部16は、検知部12の検知結果に変化が無い状態が一定時間以上継続した場合(ステップS9でYes)に、送信部21に、検知部12の検知結果に変化が無い状態が一定時間以上継続したことを示す情報をゲートウェイ機器23に向けて送信させる第3送信処理を実行させる。具体的には、変化がなかった時間が一定の長時間以上、例えば6時間以上継続したと制御部16が判断(ステップS9でYes)すると、制御部16は、図8に示すように、ステップS10において、変化がなかった時間が一定の長時間以上継続したこと、つまり冷蔵庫20における物品の出し入れが一定の長時間以上行われなかったことについての警告信号31を、送信部21からゲートウェイ機器23に向けて送信させる。この警告信号31に関する情報は、ゲートウェイ機器23からネットワーク22を介して端末装置24に送信され、端末装置24の表示部28によって表示されるとともに、記憶部27に記憶される。これにより、長時間変化がなくても、一定時間毎に端末装置24の情報が更新されるため、ユーザが安心して使用することができる。ステップS10において警告信号31を送信した後は、ステップS8へ進んで延長時間のリセットを行い、そのうえでステップS2に戻る。
【0051】
図8では、トレー10の送信部21からゲートウェイ機器23への1回の信号の送信時に単数の信号を送信する例を示した。これに対し図9は、トレー10の送信部21からゲートウェイ機器23への1回の信号の送信時に、信号すなわち情報が確実にゲートウェイ機器23へ伝わる複数回数の送信を行う例を示す。図9の下段は変化があったときの検知情報の信号31が存在する例を示し、図9の上段は変化があったときの検知情報の信号31が存在しない例を示す。
【0052】
また、端末装置24の制御部25は、変化がなかった時間が一定の長時間以上継続したときにステップS10にてトレー10から警告信号31が実際に出力されたかどうかを判断してもよい。警告信号31が出力された場合には、処理を終了して、次の処理を開始する。
【0053】
変化がなかった時間が一定の長時間以上継続しているにもかかわらず、そのことを示す警告信号31に関する情報が端末装置24に届かず表示部28においてその情報が表示されなかった場合は、端末装置24の制御部25は、トレー10の電源部18が電池切れを起こしたと判断する。そして、その旨を表示部28にて表示させる。これにより、ユーザは、トレー10の電源部18が電池切れを起こしたことを知ることができる。電源部18の電池が切れたことの表示は、トレー10に適当な表示装置を設けることによって行うことも可能である。しかし、トレー10は物品を載置させるものであるため、そのような表示装置を設けても、表示装置が物品で覆われたり物品の陰になったりして、表示を認識しにくい。またトレー10が冷蔵庫20において使用される場合には、トレー10の表示を確認するために冷蔵庫20の扉をわざわざ開かなければならない。これに対し、上記のように端末装置24に電池切れの情報を表示すれば、上述の不都合を解消することができる。
【0054】
一般的に、ユーザが就寝中である夜間には、冷蔵庫20の内部の物品が庫外に取り出されて使用されることはない。そこで、例えば夜間など1日のうちで冷蔵庫20の内部の物品が庫外に取り出されることがない時間帯を、タイマ部17を備えたトレー10の制御部16が学習する機能を有するように構成することができる。そして、その場合には、冷蔵庫20の内部の物品が庫外に取り出されることの少ない時間帯では、それ以外の時間帯、すなわち冷蔵庫20の内部の物品が庫外に取り出されて使用される時間帯よりも、冷蔵庫20における物品の出し入れが一定の長時間以上行われなかったことについての警告信号31を発信するまでの時間を延長することができる。具体的には、上記のように警告信号31を送信するまでの時間を、6時間からさらに延長することができる。そうすることによっても、電源部18の電池の消耗を抑えることができる。
【0055】
あるいは、ユーザによっては、例えば1日のうちで時間帯によって物品の使用頻度が変化することもある。そこで、トレー10の制御部16は、ユーザによる物品の使用履歴を学習して、その結果を記憶部19に格納する。そして、学習結果に基づいて、使用頻度が低くなる時間帯においては、それ以外の時間帯に比べて、冷蔵庫20における物品の出し入れが一定の長時間以上行われなかったことについての警告信号31を発信するまでの時間を延長することができる。この場合も、同様に、電源部18の電池の消耗を抑えることができる。
【0056】
以上の記載から、特許請求の範囲には記載されていない、下記[1]から[4]の通り技術的特徴を要約することができる。
【0057】
[1]
上記したトレー10を収容する冷蔵庫であって、
送信部21から送信され受信した情報をネットワーク22に向けて送信するゲートウェイ機器23を備える、冷蔵庫。
【0058】
[2]
上記した[1]の冷蔵庫と、
ネットワーク22を介してゲートウェイ機器23との間で通信する端末装置24と、
を備え、
端末装置24は、ゲートウェイ機器23から送信されてきた情報を表示する、冷蔵庫の管理システム。
【0059】
[3]
上記したトレー10と、
上記したゲートウェイ機器23と、
ネットワーク22を介してゲートウェイ機器23との間で通信する端末装置24と、
を備え、
ゲートウェイ機器23は、送信部21から送信され受信した情報をネットワーク22に向けて送信し、
ネットワーク22は、ゲートウェイ機器23から送信されてきた、検知部12の検知結果に変化が無い状態が一定時間以上継続したことを示す情報を受信したときに、電源部18が電池切れであることを端末装置24に表示させる、トレーの管理システム。
【0060】
[4]
上記したトレー10を収容する冷蔵庫20と、
ネットワーク22を介してゲートウェイ機器23との間で通信する端末装置24と、
を備え、
ゲートウェイ機器23は、送信部21から送信され受信した情報をネットワーク22に向けて送信し、
ネットワーク22は、ゲートウェイ機器23から送信されてきた、検知部12の検知結果に変化が無い状態が一定時間以上継続したことを示す情報を受信したときに、電源部18が電池切れであることを端末装置24に表示させる、冷蔵庫の管理システム。
【0061】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質、形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の構成から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0062】
10 トレー
11 牛乳パック(物品)
12 検知部
13 物品センサ
14 重量センサ
15 環境センサ
16 制御部
17 タイマ部
18 電源部
20 冷蔵庫
21 送信部
22 ネットワーク
23 ゲートウェイ機器
24 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9