(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149952
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
G01L 1/16 20060101AFI20231005BHJP
G01H 17/00 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
G01L1/16 B
G01H17/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058788
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】517069066
【氏名又は名称】ロボセンサー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(72)【発明者】
【氏名】大村 昌良
(72)【発明者】
【氏名】林 正之
【テーマコード(参考)】
2G064
【Fターム(参考)】
2G064AA11
2G064AB01
2G064AB02
2G064BA02
2G064BD02
2G064CC02
2G064CC41
2G064CC42
(57)【要約】
【課題】本発明は、被検出体に好適に取り付けることができるセンサユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のセンサユニット1は、ベース部材5と、ベース部材5の下面に接して配置され振動を検出する線状センサ2と、線状センサ2を挟んでベース部材5に対向して配置された対向部材4と、ベース部材5の上面を覆う天板部31を有するカバー部材3とを備え、ベース部材5は、上下方向に貫通した第1ベース貫通孔55を有するものであり、対向部材4は、第1ベース貫通孔55に対向する位置に上下方向に貫通した対向貫通孔401を有するものであり、カバー部材3は、第1ベース貫通孔55に挿入され、下方に位置する部材に下端が接する高さ位置まで延在した筒状部33を有するものである。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
前記ベース部材の上面を覆う天板部を有するカバー部材とを備え、
前記ベース部材は、上下方向に貫通した第1ベース貫通孔を有するものであり、
前記対向部材は、前記第1ベース貫通孔に対向する位置に上下方向に貫通した対向貫通孔を有するものであり、
前記カバー部材は、前記第1ベース貫通孔に挿入され、下方に位置する部材に下端が接する高さ位置まで延在した筒状部を有するものであることを特徴とするセンサユニット。
【請求項2】
前記筒状部は、下端が前記対向部材に接したものであることを特徴とする請求項1記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記筒状部は、前記対向貫通孔に挿入されて前記対向部材の下面まで延在したものであることを特徴とする請求項1記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記カバー部材は、前記天板部の周縁部分から下方に垂下した周壁部を有し、
前記周壁部は、前記対向部材の下面まで延在したものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記カバー部材は、前記天板部の周縁部分から下方に垂下した周壁部を有し、
前記対向部材は、円盤状をした円盤部と該円盤部から側方に突出した側方突出部とを有するものであり、
前記周壁部は、前記側方突出部が挿入された周壁切欠部を有するものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記ベース部材は、下方に突出したベース凸部を有するものであり、
前記対向部材は、前記ベース凸部が挿入された第1対向凹部を有するものであることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【請求項7】
前記ベース部材は、上下方向に貫通した第2ベース貫通孔を有するものであり、
前記天板部は、前記第2ベース貫通孔に対向する位置に天板凹部を有するものであり、
前記対向部材は、前記第2ベース貫通孔に対向する位置に第2対向凹部を有するものであり、
前記第2ベース貫通孔を貫通して上端が前記天板凹部に挿入され下端が前記第2対向凹部に挿入された軸部材を備えたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項記載のセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状センサを備えたセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
内部導体と、その内部導体の外周面に接触して設けられた圧電体と、その圧電体の外周面に接触して設けられた外部導体とをセンサ線として用いた線状センサが知られている(例えば、特許文献1等参照)。この線状センサは、外部から荷重が加わることで圧電体が変形し、内部導体と外部導体との間に電圧が誘起されるという特性を有している。この特性を利用して、圧力を検出するための圧力センサや振動を検出するための振動センサとして線状センサを利用することが検討されている。また、圧電体を用いたセンサ線の代わりに、導電ゴム等の抵抗線やキャパシタ線等をセンサ線として用いて線状センサを構成することも検討されている。
【0003】
この線状センサを、工作機械、ロボット、農業機械、車、家電などの機器や、それらの機器の構成部品などの被検出体に取り付けて振動を検出するためのセンサとして用い、振動データを収集して分析することで故障予測や作業の効率化を行うことが検討されている。ところが、線状センサを固定テープで被検出体に貼り付けて被検出体の振動を検出すると、線状センサの被検出体への押付力が弱いため、被検出体で生じた振動の、線状センサへの伝達率が低くなってしまう。また、押付力を高めるために線状センサの延在方向の複数箇所をネジやクリップ等の複数の固定具で取り付けると、各固定具における締付力のばらつきがそのまま線状センサの押付力のばらつきとして検出結果に反映されて正確な測定が困難になってしまう。更に、線状センサのうち固定具から離れている部分は被検出体への押付力が作用しないため、その部分では被検出体の振動は殆ど検出できない。これらの対策として、線状センサよりも剛性の高いベース部材を有する支持体に線状センサを取り付けてセンサユニットとし、支持体によって線状センサを被検出体に押し付けることで線状センサの検出感度を高めることが提案されている(例えば、特許文献2等参照)。この特許文献2には、センサユニットに形成された貫通孔にネジを通してそのネジによってセンサユニットを被検出体に取り付けるものと、センサユニット内に磁石を配置して磁力によってセンサユニットを被検出体に取り付けるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開番号WO2019/117037
【特許文献2】特開2021-124506
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、センサユニットをネジによって被検出体にしっかり取り付けようとすると、数万N~数十万Nの締結力がセンサユニットにかかることがあり、その締結力が線状センサに加わって線状センサが押し潰されすぎてしまうことがある。線状センサが押し潰されすぎると、線状センサの感度が低下し、最悪の場合線状センサが破損してしまうこともある。また、ネジに限らずセンサユニットを被検出体に好適に取り付けることが望まれている。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、被検出体に好適に取り付けることができるセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明のセンサユニットは、
ベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
前記ベース部材の上面を覆う天板部を有するカバー部材とを備え、
前記ベース部材は、上下方向に貫通した第1ベース貫通孔を有するものであり、
前記対向部材は、前記第1ベース貫通孔に対向する位置に上下方向に貫通した対向貫通孔を有するものであり、
前記カバー部材は、前記第1ベース貫通孔に挿入され、下方に位置する部材に下端が接する高さ位置まで延在した筒状部を有するものであることを特徴とする。
【0008】
このセンサユニットによれば、前記筒状部がネジの締結力を受けることで、その締結力が前記線状センサに作用することを実質的に防止できるので該線状センサが押し潰されすぎることなく、このセンサユニットを被検出体に好適に取り付けることができる。
【0009】
ここで、前記筒状部は、このセンサユニットを被検出体に取り付けるネジを通すための中空部(筒内孔)を内側に有するものであってもよい。また、前記筒状部は、前記ネジの座下面またはネジ頭部下面がその上面に接して該ネジから締結力を受けるものであってもよい。加えて、前記ベース部材および前記線状センサは、前記カバー部材と前記対向部材によって挟み込まれたものであってもよい。
【0010】
このセンサユニットにおいて、
前記筒状部は、下端が前記対向部材に接したものであってもよい。
【0011】
この態様によれば、前記カバー部材に加わる締結力を前記対向部材を介して前記筒状部で受けることができる。
【0012】
このセンサユニットにおいて、
前記筒状部は、前記対向貫通孔に挿入されて前記対向部材の下面まで延在したものであってもよい。
【0013】
この態様によれば、前記カバー部材に加わる締結力を前記筒状部で受けることができる。
【0014】
また、このセンサユニットにおいて、
前記カバー部材は、前記天板部の周縁部分から下方に垂下した周壁部を有し、
前記周壁部は、前記対向部材の下面まで延在したものであってもよい。
【0015】
前記筒状部に加え前記周壁部でも前記カバー部材に加わる締結力を受けることができるので、より確実に前記線状センサに締結力が伝わることを防止できる。
【0016】
また、このセンサユニットにおいて、
前記カバー部材は、前記天板部の周縁部分から下方に垂下した周壁部を有し、
前記対向部材は、円盤状をした円盤部と該円盤部から側方に突出した側方突出部とを有するものであり、
前記周壁部は、前記側方突出部が挿入された周壁切欠部を有する態様であってもよい。
【0017】
締付するためのネジの回転力が前記カバー部材に加わると前記ベース部材にもその回転力が伝わる一方で前記対向部材は被検出体との間の摩擦力によって回転しにくい。このため、前記ベース部材と前記対向部材の間に相対的な回転が生じ、その回転によって前記線状センサがねじられて破損してしまう虞がある。この態様によれば、前記側方突出部が前記周壁切欠部に挿入されているので、前記カバー部材が回転すると前記対向部材も同様に回転し、前記ベース部材と該対向部材の間に相対的な回転が生じない。これにより、このセンサユニットを被検出体に取り付けるためのネジの回転によって前記線状センサが破損してしまうことが防止される。
【0018】
また、このセンサユニットにおいて、
前記ベース部材は、下方に突出したベース凸部を有するものであり、
前記対向部材は、前記ベース凸部が挿入された第1対向凹部を有するものであってもよい。
【0019】
前記ベース凸部と前記第1対向凹部によって前記ベース部材と前記対向部材の間に相対的な回転が生じることを防止できるので、このセンサユニットを被検出体に取り付けるためのネジの回転によって前記線状センサが破損してしまうことを防止できる。
【0020】
また、このセンサユニットにおいて、
前記ベース部材は、上下方向に貫通した第2ベース貫通孔を有するものであり、
前記天板部は、前記第2ベース貫通孔に対向する位置に天板凹部を有するものであり、
前記対向部材は、前記第2ベース貫通孔に対向する位置に第2対向凹部を有するものであり、
前記第2ベース貫通孔を貫通して上端が前記天板凹部に挿入され下端が前記第2対向凹部に挿入された軸部材を備えていてもよい。
【0021】
この構成によれば、前記カバー部材と前記ベース部材と前記対向部材それぞれの相対的な回転が生じることを前記軸部材によって防止できるので、このセンサユニットを被検出体に取り付けるためのネジの回転によって前記線状センサが破損してしまうことを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、被検出体に好適に取り付けることができるセンサユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態の線状センサの構造を示す断面図である。
【
図2】(a)は、本実施形態のセンサユニットの平面図であり、(b)は、同図(a)に示したセンサユニットの正面図である。
【
図3】(a)は、
図2に示したセンサユニットの下面図であり、(b)は、同図(a)に示したセンサユニットから対向部材を取り外した状態を示す下面図である。
【
図4】
図2(a)に示したセンサユニットにおいてカバー部材を透過して見た平面図である。
【
図7】
図2(a)示したセンサユニットを、固定具によって被検出体に取り付けた状態の一例を示す取付状態図である。
【
図8】第1変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【
図9】第2変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【
図10】第3変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【
図11】第4変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【
図12】第5変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本実施形態のセンサユニットは、主に被検出体の表面を伝わる振動波を検出するために用いられる。先ず、本実施形態のセンサユニットに用いられる線状センサについて説明する。
【0025】
図1は、本実施形態の線状センサの構造を示す断面図である。
【0026】
図1に示すように、線状センサ2は、センサ線20と、内側シース24と、シールド被覆25と、外側シース26とを備えている。センサ線20は、内部導体21と圧電体22と外部導体23とから構成されている。内部導体21は、線状センサ2の中心に配置されており、7本の導体線211で構成されている。圧電体22は、内部導体21の外周に設けられている。外部導体23は、圧電体22の外周に設けられている。
【0027】
7本の導体線211は、いずれも直径が50μmのものであって、このうち4本はステンレス製の導体線211Sであり、残りの3本は銅製の導体線211Cである。
図1では、ステンレス製の導体線211Sが左下がりのハッチングで、銅製の導体線211Cが右下がりのハッチングでそれぞれ示されている。
図1に示す内部導体21では、中心に配置される導体線には、ステンレス製の導体線211Sが用いられており、外周に配置される導体線には、ステンレス製の導体線211Sと銅製の導体線211Cが交互に用いられている。銅製の導体線211Cは、ステンレス製の導体線211Sに比べて、電気抵抗が低く、かつ柔らかい。反対に、ステンレス製の導体線211Sは、銅製の導体線211Cに比べて、電気抵抗は高くなるが、機械的強度(例えば、引張強度等)および剛性は高くなる。
【0028】
7本の導体線211は、正六角形の各頂点およびその正六角形の中心に配置された状態になっている。これらの7本の導体線211は、一本に撚り合わされた状態のものである。すなわち、内部導体21は、7本の導体線211をその断面において最密構造に配置した上で撚り合わせたものである。なお、この場合の内部導体21の太さは最大150μmとなる。このように複数本の導体線211を甘撚、あるいは中撚程度に撚っておくことで、撚りの方向とは逆方向の緩みを許容し、線状センサ2に柔軟性を与えることができる。
【0029】
なお、導体線211の直径は50μmに限られず、8μm以上130μm以下であってもよく、8μm以上100μm以下にすることが好ましい。導体線211は、細ければ細いほど柔軟性は高められるが強度および剛性が低下し、太ければ太いほど柔軟性は低下するが強度および剛性が高められる。導体線211の太さが20μm以上であれば、低コストで製造することができ、且つ製造も容易である。また、異なる太さの導体線211を撚り合わせて内部導体21を構成してもよい。
【0030】
図1に示す内部導体21は、7本の導体線211を撚り合わせたものであるが、この数については7本でなくてもよい。複数の導体線211を撚り合わせることにより、線状センサ2の柔軟性を高めることができる。また例えば、複数本を撚り合わせた束を複数用意し、これらをさらに撚り合わせる、といったように複数段階に分けて撚り合わせものであってもよい。例えば、7本の細い導体線211を撚り合わせた束を7本用意し、その束をさらに撚り合わせた構成にしてもよい。複数段階に分けて撚り合わせることで、線状センサ2の柔軟性がより高まるので、線状センサ2に加わった振動等に応じて線状センサ2が変形しやすくなる。その結果、線状センサ2における検出感度を高めることができる。なお、複数段階に分けて撚り合わせる場合のように、撚り合わせの工程が複数回ある場合には、撚り合わせる方向を異ならせてもよい。一方、複数の導体線211を撚り合わせずに、直線状に束にしたものを用いてもよい。また例えば、撚り合わせない複数の導体線211の束と、撚り合わせた複数の導体線211を撚り合わせる、といったように、これらの構成を組み合わせてもよい。これらの場合であっても、圧電材料を塗布することで、複数の導体線211が互いに接着されて束ねられ、一本の圧電性繊維を製造することができる。
【0031】
以上説明したセンサ線20では、内部導体21を構成する導体線211として、機械的強度や電気抵抗が異なる複数種類の導体線が用いられているが、柔軟性をさらに高める場合や、電気抵抗をさらに低くする場合には、中心の導体線211を、銅製の導体線211Cに代えてもよく、あるいは、7本の導体線211の全てを銅製の導体線211Cにしてもよい。反対に、機械的強度および剛性をさらに高める場合には、7本の導体線211の全てをステンレス製の導体線211Sにしてもよい。また、ステンレス製の導体線211Sに代えて、タングステン製の導体線や、タングステン及びその合金等の高張力鋼材あるいは超高張力鋼からなる導体線を用いてもよいし、銅製の導体線211Cに代えて、チタン製の導体線や、チタン合金あるいはマグネシウムやマグネシウム合金等からなる導体線を用いてもよい。さらには、カーボンナノチューブを含む導体線であってもよいし、ピッチ系炭素繊維を含む導体線であってもよい。あるいは、弾性変形しやすいバネ鋼材からなる導体線を用いてもよい。
【0032】
圧電体22は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電材料を内部導体21に塗布することによって形成されたものである。ポリフッ化ビニリデンは、圧電効果が発生する軽量の高分子材料であり、これに圧力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると歪が発生する特性を備えている。圧電体22には分極処理が施されており、振動等によって圧電体22に変形が生じたときに内部導体21と外部導体23の間に電圧が誘起される。
【0033】
図1に示す圧電体22を構成する圧電材料としては、ポリフッ化ビニリデンの他に、トリフルオロエチレン(TrEF)や、PVDFとTrEFの混晶材料や、ポリ乳酸、ポリ尿酸、ポリアミノ酸等の双極子モーメントをもつ高分子材料があげられる。また、圧電材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。なお、塗布する構成に限らず、例えば、帯状のPVDFフィルムを内部導体21に螺旋状に巻き付けた構成であってもよい。
【0034】
圧電体22の厚みは、導体線211の直径以上であることが好ましい。
図1に示す圧電体22の厚さは、最も薄い箇所で75μmであるが、10μm以上150μm以下であることが好ましい。なお、圧電体22の厚さは、厚ければ厚いほど検出感度が良好になるが、圧電体22の厚さの限界値は、塗布する圧電材料の粘度や塗布方法によって決まってくる。また、圧電体22の厚さが厚すぎると線状センサ2が硬くなりすぎて柔軟性に欠けてしまうといった欠点もある。
【0035】
図1に示す内部導体21では、複数の導体線211を撚り合わせているため、導体線211同士の境目に窪みがある。この窪みの部分では、より多くの圧電材料を担持することができ、圧電材料の体積が大きく(厚く)なるため、検出感度が他の部分よりも良好になる。内部導体21には、こうした窪みによって圧電材料が他の部分よりも厚い部分が6箇所、周方向に均等間隔で存在するため、どの方向に曲げられても高感度な圧電性繊維として機能する要因になる。
【0036】
なお、
図1に示す隣り合う導体線211は互いにほぼ接しているが、わずかな隙間から毛細管現象によって圧電材料が浸透し、隣り合う導体線211同士の隙間(内部導体21の内部)が圧電材料によって埋められた状態になっている。ただし、圧電材料の粘度や塗布方法によっては、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透しない場合もある。この場合でも、内部導体21の外周に面した部分に圧電材料が担持された状態となっていればよい。なお、上述した帯状のPVDFフィルムを圧電体22として用いた構成では、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透していない線状センサ2になる。この線状センサ2では、隣り合う導体線211同士の隙間に圧電材料が浸透しているものと比較して線状センサ2の柔軟性が高まるので、線状センサ2における検出感度が高まる。
【0037】
図1に示す外部導体23は、圧電体22の外周に、カーボンナノチューブ等のカーボンを含む高分子導電性材料が塗布されることで形成されている。外部導体23を形成する導電性材料としては、銀の微粒子を含む高分子導電性材料や銀ペースト等であってもよい。また、この導電性材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。外部導体23の厚さは、導体線211の直径以下であることが好ましく、また、圧電体22の厚さ以下であることも好ましい。
図1に示す外部導体23の厚さは、30μmであるが、5μm以上80μm以下であることが好ましい。また、外部導体23に導電性材料を用いずに導線を用いてもよい。
【0038】
内側シース24は、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるために外部導体23の外周を覆っている。この内側シース24は、厚さが30μmに形成されている。内側シース24は、外側シース26に比べて柔らかい材料で構成されている。この内側シース24は、ポリアミド合成樹脂を塗布することで形成されているが、ポリ塩化ビニル樹脂を塗布することで形成してもよい。
【0039】
シールド被覆25は、ニッケルメッキ銅やステンレスなどの金属製の細線を編組してチューブ状にしたシールドである。なお、シールド被覆25は、内部導体21と圧電体22と外部導体23を内側に有する内側シース24に、蒸着によって銅やアルミニウム等を蒸着させることで形成してもよい。また、シールド被覆25は、スパッタ、EBD(電子線ビーム蒸着)、CVD(気相成長法)、塗布、浸漬(ドブ付け)、無電解メッキ、接着剤による接着等の他の方法を用いて内側シース24に付着させてもよく、金属箔を巻き付けることで形成してもよい。
【0040】
外側シース26は、内側シース24に比べて耐摩耗性が高い材料で構成されている。この外側シース26は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を塗布することで形成されている。ただし、4フッ化・6フッ化プロピレン樹脂(FEP)、4フッ化エチレンエチレン共重合(EPFE)、または4フッ化エチレンパーフロロアルコキシエチレン共重合 フッ素樹脂(PFA)を塗布することで形成してもよい。ここにいう塗布とは、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいし吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。また、ピンホールが発生することを考慮して複数回塗布することが好ましい。加えて、外側シース26は、内側シース24よりも厚くてもよい。さらに、内側シース24は、可燃性材料で形成されていてもよいが、外側シース26は、難燃性材料、不燃性材料、耐炎性材料で形成されていることが好ましい。
【0041】
図1に示す線状センサ2の直径は0.5mmである。ただし、線状センサ2の直径はさらに太くてもよくさらに細くてもよく、0.1mm以上3.0mm以下であることが好ましい。
【0042】
図2(a)は実施形態のセンサユニットの平面図であり、
図2(b)は同図(a)に示したセンサユニットの正面図であり、
図3(a)は
図2(a)に示したセンサユニットの下面図である。
図2(b)は、センサユニット1の基本姿勢を示す図であり、以下この基本姿勢における上下方向を基準にして説明する。なお、センサユニット1は基本姿勢とは異なる取付姿勢で被検出体に取り付けられることも考えられるが、その場合の上下方向は取付姿勢に応じた方向になる。例えば基本姿勢から180度反転して被検出体に取り付けられた場合、取付姿勢では基本姿勢に対して上下方向が逆になる。
【0043】
図2(a)および
図2(b)に示すように、センサユニット1は、高さが7.4mmで直径が25mmの中空円柱状をしている。センサユニット1の中心部分には、後述する筒状部33(
図3(b)参照)によって形成された筒内孔331が設けられている。この筒内孔331は直径6.2mmである。なお、センサユニット1は、使用条件等に応じて任意の大きさのものが用いられる。センサユニット1は、上述した線状センサ2と、カバー部材3と、対向部材4と、ベース部材5と、回路基板7と、信号ケーブル8とを備えている。センサユニット1が被検出体に取り付けられた状態では、
図2(b)の下側が被検出体側になる。線状センサ2の両端部はベース部材5の上面にあるが、線状センサ2の大部分はベース部材5の下面側にあり、ベース部材5の下面に接して配置されている。線状センサ2の配置については後述する。
【0044】
図2(b)に示すように、カバー部材3は、天板部31と、周壁部32と、筒状部33(
図3(b)参照)が一体に形成されたステンレス製のものである。ただし、カバー部材3は、ステンレス以外の金属で構成されていてもよく、樹脂で構成されていてもよい。天板部31はベース部材5の上面を覆っている。
図2(b)では、カバー部材3の内側面とベース部材5とが区別できるようにベース部材5は少し小さく描かれているが、実際には天板部31の下面はベース部材5の上面と接している。そして、ベース部材5およびベース部材5の下面にある線状センサ2は、天板部31と対向部材4によって挟み込まれることで固定されている。また、ベース部材5の側面と周壁部32の内周面との間には僅かな隙間しか存在していない。
【0045】
天板部31は円盤状をしている。この天板部31はセンサユニット1の上面を構成している。周壁部32は、天板部31の周縁部分から垂下している。また筒状部33(
図3(b)参照)は、天板部31の中央部分で上下方向に延在している。これらの天板部31と周壁部32と筒状部33によって下方が開口した収容空間が形成されている。すなわち、天板部31の下面と周壁部32の内周面と、筒状部33の外周壁によって収容空間が画定されている。線状センサ2、対向部材4の上側部分、ベース部材5および回路基板7は、この収容空間に収容されている。
【0046】
周壁部32には、下端から上方に向かって凹んだ2つの第1周壁切欠部321が形成されている。
図2(b)では2つの第1周壁切欠部321のうちの一方が示されている。もう一方の第1周壁切欠部321は、周壁部32の周方向において間隔をあけて180度回転した位置に形成されている。これらの第1周壁切欠部321は、周壁切欠部の一例に相当する。2つの第1周壁切欠部321は、同一形状をしており、その上端位置は対向部材4の上面よりも高い位置である。また、周壁部32は、厚肉部分32aと下端部の薄肉部分32bとから構成されており、その厚肉部分32aと薄肉部分32bの境界に周壁当接部322が形成されている。さらに、
図3(a)に示すように、周壁部32には、下端から上方に向かって凹み、信号ケーブル8が通るための第2周壁切欠部323が形成されている。なお、第2周壁切欠部323の上端位置は、第1周壁切欠部321の上端位置よりも高い位置である。
図2(b)に示した周壁当接部322は、これらの第1周壁切欠部321と第2周壁切欠部323が形成された部分を除いて周壁部32全周に形成されている。
【0047】
図2(b)に示すように、対向部材4は、線状センサ2を挟んでベース部材5に対向してセンサユニット1の下端部分に配置され、カバー部材3によって形成された収容空間の開口を塞いだ板状の部材である。この対向部材4は、板厚1.0mmのアルミ製のものである。対向部材4の材質は他の金属や樹脂であってもよい。また、板厚は材質などに応じた任意の厚みで構わない。
【0048】
図3(a)に示すように、対向部材4は、中央部分に上下方向に貫通した対向貫通孔401を有する円盤部40と、円盤部40から側方に突出した2つの側方突出部41とを有している。対向貫通孔401は、筒内孔331(
図2(a)参照)および後述する第1ベース貫通孔55(
図3(b)参照)に対向する位置に形成されており筒内孔331に連なっている。対向貫通孔401は、筒内孔331と同じ直径をしている。これら筒内孔331と対向貫通孔401によって、センサユニット1の中心部分には上下に貫通した孔が形成されている。
【0049】
円盤部40の外径は、周壁部32の薄肉部分32bの内径よりもほんの少しだけ大きい。そして、円盤部40は、周壁部32の薄肉部分32bに入り込んでいる。すなわち、円盤部40は、薄肉部分32bの内側に圧入されている。また、
図2(b)に示すように、円盤部40の周縁部分は周壁当接部322に接している。これにより、対向部材4がそれ以上上方に移動することが防止されている。周壁部32は、対向部材4の下面よりもほんの少し上方になる位置まで延在している。換言すれば、対向部材4は、周壁部32の下端よりも下方に突出している。この突出量は、0.1~0.2mm程度であるが、
図2(b)では分かりやすくするために誇張して示している。周壁部32は、対向部材4の上面よりも下方まで延在していることが好ましく、周壁部32の下面が対向部材4の下面よりも上方に位置していることも好ましい。すなわち、周壁部32の下面は、対向部材4の厚み範囲内にあることがより好ましい。周壁部32は、対向部材4よりも下方まで延在していてもよい。ただし、対向部材4よりも周壁部32が下方に突出している場合と比較して周壁部32よりも対向部材4が下方に突出している方が被検出体の振動に応じて線状センサ2が変形しやすくなるので、センサユニット1における検出感度が高まる。また、周壁部32の薄肉部分32bは、対向部材4の側面との間に隙間を設けて対向部材4に対向していてもよいがその隙間は可能な限り小さいことが好ましく、対向部材4の側面と接していることがより好ましい。
【0050】
側方突出部41の幅は、第1周壁切欠部321の内幅よりほんの少しだけ小さい。そして、側方突出部41は、第1周壁切欠部321内に挿入されている。これにより、カバー部材3と対向部材4とが、このセンサユニット1の周方向に相対的に回転することが防止されている。第1周壁切欠部321は、側方突出部41の上面よりも上方まで切り欠かれている。メンテナンス時などにおいて、このセンサユニット1を分解する際には、第1周壁切欠部321内にマイナスドライバなどの工具の先端に形成された板状部材を挿入して工具をひねることでカバー部材3と対向部材4を分離することができる。側方突出部41によって、分離作業における工具の先端の引っ掛かり長さを長くすることができるので分離作業性を高めることができる。
【0051】
図3(b)は、同図(a)に示したセンサユニットから対向部材を取り外した状態を示す下面図である。
【0052】
図3(b)に示すように、ベース部材5は、中心部分に上下方向に貫通した第1ベース貫通孔55が形成された概して中空円柱状をした樹脂製のものである。第1ベース貫通孔55は、筒状部33の外径よりも少し大きな径に形成されている。その第1ベース貫通孔55には、筒状部33が挿入されている。ベース部材5の外径は、周壁部32の厚肉部分32aの内径よりほんの少しだけ小さい。ベース部材5の下面には、螺旋溝56が形成されている。螺旋溝56は、渦巻状に略4周周回して形成されている。より正確には、螺旋溝56は、4周より少しだけ長く形成されている。螺旋溝56の両端には、ベース部材5の内周側と外周側それぞれで上下方向に貫通した引出孔52が2つ形成されている。線状センサ2は、その螺旋溝56に沿って延在している。そして、線状センサ2の一端はベース部材5の外周側に形成された引出孔52を貫通してベース部材5の上面側に達し、線状センサ2の他端はベース部材5の内周側に形成された引出孔52を貫通してベース部材5の上面側に達している。螺旋溝56において引出孔52の間近部分は、線状センサ2が急激に折れ曲ががらないように側面から見て上方に向かうR形状に形成されている。このR形状部分にある線状センサ2の一部は対向部材4に接触しない。その接触しない長さを考慮して螺旋溝56を4周より長く形成することで、ベース部材5の下面に配置された線状センサ2の機能発揮部分が4周になるように設計されている。線状センサ2の周回数は4周に限られないが、0.5周の倍数周であることが好ましい。0.5周の倍数周であれば、センサユニット1の径方向におけるどの方向から伝達された振動であっても同じ条件で検出することができる。これにより、線状センサ2の検出方向の指向性をなくすことができる。
【0053】
図4は、
図2(a)に示したセンサユニットにおいてカバー部材を透過して見た平面図である。
【0054】
図4に示すように、ベース部材5の上面には、線状センサ2の両端部、回路基板7、信号ケーブル8の一端部分などが配置される空間を画定するベース上面凹部51が形成されている。上下方向に貫通した2つの引出孔52は、ベース上面凹部51内に繋がっている。これらの引出孔52を貫通した線状センサ2の両端部は、ベース上面凹部51内に配置された入力側端子部材27に接続されている。入力側端子部材27は、線状センサ2の両端部を包み込ように折り曲げられることで重ね合わせられたフィルム状をした、いわゆるフレキシブルプリント配線板である。
図1に示した線状センサ2の内部導体21、外部導体23、シールド被覆25は、それぞれ個別に入力側端子部材27にハンダによって接続されている。入力側端子部材27は、回路基板7に接続されている。
【0055】
ベース上面凹部51は、ベース部材5の外周端まで延びたケーブル案内部51aを有している。ケーブル案内部51aには、信号ケーブル8の一端部分が嵌め込まれている。ケーブル案内部51aには、溝幅方向中心側に向かって突出した複数の突起が形成されている。信号ケーブル8は、これらの突起によって挟み込まれることで、信号ケーブル8の長手方向への移動が防止されるとともに、信号ケーブル8がケーブル案内部51aから抜けることも抑制されている。また、ベース部材5の周縁部分には、周方向に間隔をあけて180度回転した位置にベース切欠部53が2つ形成されている。これらのベース切欠部53は、第1周壁切欠部321(
図2(b)参照)に対向する位置に形成されている。ベース切欠部53は、第1周壁切欠部321から離間する方向に凹み上方と側方とが開口した有底の切欠きである。メンテナンス時などにおいて、第1周壁切欠部321を通してマイナスドライバなどの工具に形成された板状部材をこのベース切欠部53内に挿入して工具をひねることでカバー部材3(
図2参照)とベース部材5を分離することができる。ただし、ベース切欠部53は省略してもよい。なお、メンテナンス時などにおいて、センサユニット1を分解する際には、まずカバー部材3から対向部材4を外した後、上述したようにカバー部材3からベース部材5を分離する2段階の作業を行う。カバー部材3に対向部材4が圧入されている状態でベース切欠部53内に工具を挿入してひねることで、対向部材4とベース部材5の両方をカバー部材3から同時に取り外すことも可能だが、線状センサ2を押し潰してしまう虞もあるため2段階に分けて外すことが好ましい。
【0056】
回路基板7は、ベース上面凹部51内に配置されている。この回路基板7には、各種電子部品が実装されている。回路基板7は、上面に配線パターンが形成され、下面にはグランドパターンが形成されている。回路基板7の構成については後に詳述する。
【0057】
信号ケーブル8は、信号線と、シグナルグランド線と、アース線と、電源線とを内部に有し、外側がプロテクションチューブによって覆われたケーブルである。信号ケーブル8は、線状センサ2で得られ回路基板7によって調整された信号を外部機器に伝達するためのものである。信号ケーブル8の一端は、ベース上面凹部51内に配置された出力側端子部材81に接続されている。出力側端子部材81は、入力側端子部材27と同様のものであり、信号ケーブル8の一端を包み込ように折り曲げられることで重ね合わせられたフィルム状をした、いわゆるフレキシブルプリント配線板である。信号ケーブル8の、信号線、シグナルグランド線、アース線および電源線は、それぞれ個別に出力側端子部材81にハンダによって接続されている。出力側端子部材81は、回路基板7に接続されている。プロテクションチューブは、ステンレス製のチューブの周囲がPVCやオレフィン系エラストマーなどによって被覆されたものである。このプロテクションチューブによって、内部にある信号線などが保護されている。プロテクションチューブは、カバー部材3(
図2参照)の外側からカバー部材3の内側まで延在している。信号ケーブル8の、カバー部材3から延び出した直ぐの部分は強い曲げ応力を受けやすいが、その部分がプロテクションチューブで保護されることで内部の信号線などの断線が防止されている。
【0058】
【0059】
上述したように、カバー部材3の中央には上下方向に延在する筒状部33が形成されている。そして、筒状部33の内側には対向貫通孔401に連なる筒内孔331が形成されている。
図5に示すように、筒状部33の上端部分は天板部31に接続している。筒状部33の下端は、対向部材4の上面に接している。換言すれば、筒状部33は、対向部材4に接する高さ位置まで延在している。
【0060】
図5に丸で囲った拡大図に示すように、線状センサ2は、対向部材4とベース部材5に挟まれることで高さ方向に押し潰され、高さ方向の径がh1になっている。本実施形態では、線状センサ2の高さがh1になるように、ベース部材5の高さ、螺旋溝56の深さ、天板部31から周壁当接部322までの距離が設定されている。このh1は、螺旋溝56の深さと概略一致している。線状センサ2をh1まで押し潰し、その状態で線状センサ2が更に微小量変形できるように、螺旋溝56の深さは、0より大きくh1以下であることが好ましい。また、対向部材4とベース部材5に挟まれることで線状センサ2は楕円状に変形して横幅が拡がるため、螺旋溝56の幅は、線状センサ2の直径よりも広く設定されている。
図5では挟み込まれる前(無負荷状態)の線状センサ2を一点鎖線で示している。
【0061】
無負荷状態の線状センサ2は、外径がh2であり、h1はh2の90%である。線状センサ2は、無負荷状態に対して径方向に80%以上90%以下の高さになるように挟み込んだ状態にすることで振動などの検出感度が最も高まる特性がある。無負荷状態に対して径方向に80%未満になるように線状センサ2を挟み込むと線状センサ2が変形しにくくなり検出感度が低下する。一方で、無負荷状態に対して径方向に90%を超えるように線状センサ2を挟み込むと、振動による変位が大きいときに線状センサ2が対向部材4またはベース部材5と離間してしまい振動の一部が検出ができなくなるため検出感度が低下する。このため、h1/h2が80%以上90%以下になるように線状センサ2を挟み込むことが好ましい。また、螺旋溝56の深さがh1と一致しているので、対向部材4が上側に撓もうとしてもベース部材5の下面によって撓みが防止され、線状センサ2はh1を超えて強く押し潰されることはない。これにより、対向部材4が撓むことで線状センサ2が断線したり故障してしまうことが防止されている。なお、この実施形態では、ベース部材5の下面は螺旋溝56を除いて平坦であるが、螺旋溝56の深さを浅くし、ベース部材5の下面に突出面の高さ位置が螺旋溝56底面からh1の位置になるベース突出部を形成してもよい。
【0062】
また、回路基板7は、2層の絶縁層の間にシールド層が挟まれたシールドシート79によって上面と側面を覆われている。シールドシート79は、いわゆるフレキシブル基板である。シールド層は、回路基板7に形成されたグランドに電気的に接続されている。シールドシート79は、下面がベース上面凹部51の底面に接着剤によって貼り付けられている。また、回路基板7の下面はシールドシート79に接着剤によって貼り付けられている。なお、シールドシート79の上側の折り重なった部分どうしを接着テープで固定してもよい。回路基板7は、シールドシート79によって全体が覆われることで外部からのノイズが入り込みにくくなっている。これらの回路基板7とシールドシート79の代わりに、回路基板7とシールドシート79とを一体化したリジッドフレキシブル基板を用いてもよい。リジッドフレキシブル基板のシールド層は回路部分のグランドと電気的に接続されている。リジッドフレキシブル基板を用いる場合は、回路基板7の下面をシールドシート79に貼り付ける必要がないので、製造工程の削減が見込める。
【0063】
【0064】
図6に示すように、回路基板7は、プリアンプ71と、A/D変換部72と、イコライザー73と、記憶部74と、補正値選択部76と、温度センサ77と、プロトコル処理部78とを有している。プリアンプ71は、線状センサ2の出力信号を増幅するためのものである。プリアンプ71は、線状センサ2からの信号電圧を±5V程度の範囲に収まるように調整されたゲインで増幅する。なお、プリアンプ71のゲインは回路基板7に設けられたつまみを用いて調整可能である。また、このプリアンプ71は、線状センサ2側である入力側のインピーダンスが高く、出力側のインピーダンスは入力側よりも低い。入力側のインピーダンスは、10kΩ以上10MΩ以下が好ましい。出力側のインピーダンスは、10Ω以上100kΩ以下が好ましい。本実施形態では、入力側のインピーダンスは1MΩで、出力側のインピーダンスは50Ωに設定している。こうすることで、プリアンプ71に入力した信号は、電圧が増幅されてプリアンプ71から出力される。A/D変換部72は、プリアンプ71によって増幅された信号をデジタル変換するものである。
【0065】
記憶部74には、線状センサ2の特性に基づく補正情報が記憶されている。センサの構成上、線状センサ2には感度の高い周波数と感度の低い周波数が存在する。このため、線状センサ2から得られる信号の出力レベルには線状センサ2の特性に基づくばらつきが生じてしまう。また、線状センサ2の特性は雰囲気温度によって変化する。記憶部74には、線状センサ2から得られる信号における出力レベルのばらつきを周波数ごとに補正するための情報が補正情報として雰囲気温度ごとに記憶されている。この補正情報として、ここでは各周波数ごとの増幅度を示すデジタル値が記憶部74に保存されている。
【0066】
補正値選択部76は、温度センサ77から得られた雰囲気温度の情報を取得する。そして、記憶部74に記憶された補正情報の中から雰囲気温度の情報に応じた補正情報を選択してイコライザー73に伝達する。
【0067】
イコライザー73は補正値選択部76から受け取った補正情報を用いて周波数特性を補正することで、線状センサ2の特性に基づく出力レベルのばらつきを補正して出力する。従って、線状センサ2の特性によらず、周波数毎に同じ条件によるデータを出力することができる。このイコライザー73は、補正出力部の一例に相当する。なお、本実施形態のイコライザー73はCPUとプログラムによって構成されているが、その一部または全部をFPGAで構成してもよい。ここで、記憶部74に記憶されている補正情報は、周波数ごとに乗算する係数(増幅度)であってもよい。その場合、データが不要な周波数に0を記憶させておけば、イコライザー73をバンドパスフィルターとしても利用できる。
【0068】
プロトコル処理部78は、イコライザー73によって補正されたデジタル信号を、TCP/IPなどの通信規格に適した形式に変換して出力する。なお、プロトコル処理部78に代えてD/A変換部を設けてアナログ信号を出力するようにしてもよい。
【0069】
続いて、このセンサユニット1の組立方法を説明する。
【0070】
まず、ベース部材5の螺旋溝56底面に仮止め用の接着剤を塗布し、線状センサ2の一端を引出孔52に差し込んで線状センサ2を螺旋溝56に沿って配線する。なお、接着剤の代わりに、螺旋溝56の底部に両面テープを貼り付けて線状センサ2を仮止めしてもよい。そして、線状センサ2の他端をもう一方の引出孔52を通し、線状センサ2の両端を入力側端子部材27に接続する。また、信号ケーブル8の一端に出力側端子部材81を接続する。そして、ベース上面凹部51に回路基板7を嵌めこみ、その回路基板7に入力側端子部材27と出力側端子部材81をそれぞれ接続する。
【0071】
次に、線状センサ2、回路基板7および信号ケーブル8が組み込まれたベース部材5アッシーを、ベース上面凹部51が天板部31側になるよう向けて、第1ベース貫通孔55に筒状部33を挿入しつつカバー部材3内に嵌め込む。その際、信号ケーブル8が第2周壁切欠部323に入るようにカバー部材3とベース部材5アッシーとの相対的な回転位置を調整する。
【0072】
最後に、カバー部材3によって形成された収容空間の開口を塞ぐように対向部材4を周壁部32の薄肉部分32bに圧入する。その際、対向部材4の側方突出部41が第1周壁切欠部321に入るようにカバー部材3と対向部材4との相対的な回転位置を調整してから、円盤部40の周縁部分が周壁当接部322に突き当たるまで対向部材4を圧入する。対向部材4は、周壁部32に形成された周壁当接部322に当接したあとは、それ以上上方に移動することは防止される。以上により、センサユニット1の組立が完了する。
【0073】
図7は、
図2(a)示したセンサユニットを、固定具によって被検出体に取り付けた状態の一例を示す取付状態図である。
【0074】
図7に示すように、センサユニット1は、座付きネジSSによって被検出体DBに取り付けられる。この座付きネジSSは、固定具の一例に相当する。なお、座付きネジSSの代わりに座SSaのないネジやワッシャ付きのネジを用いてもよい。被検出体DBの測定箇所には、ネジ穴DBaが設けられている。座付きネジSSのネジ部は、カバー部材3の筒内孔331および対向部材4の対向貫通孔401を通過してネジ穴DBaに螺合している。センサユニット1は、座付きネジSSによって、被検出体DBに押し付けられて固定されている。この押し付け力は、主に座付きネジSSと被検出体DBの間に挟まれ内側に座付きネジSSのネジ部が挿入されている筒状部33(
図5参照)と円盤部40(
図5参照)とが受け止めている。
【0075】
以上説明した実施形態のセンサユニット1によれば、座付きネジSSによる締結力(被検出体DBへの押し付け力)を、主に対向部材4の円盤部40を介して筒状部33が受けるので、その締結力が線状センサ2に作用することを実質的に防止できる。このため、座付きネジSSを締め付け過ぎた場合でも、線状センサ2が押し潰されすぎることなく、このセンサユニット1を被検出体DBに好適に取り付けることができる。また、カバー部材3の周壁部32が対向部材4の下面まで延在しているので、仮に座付きネジSSによる締結力などで筒状部33または円盤部40が圧縮されそうになったとしても周壁部32もその締結力を受けとめているので、線状センサ2に締結力が伝わることをより確実に防止できる。
【0076】
また、座付きネジSSを締め込む際に座付きネジSSからカバー部材3に回転力が加わるとベース部材5にもその回転力が伝わる一方で対向部材4は被検出体DBとの間の摩擦力によって回転しにくいため、ベース部材5と対向部材4の間に相対的な回転が生じ、その回転によって線状センサ2がねじられて破損してしまう虞がある。本実施形態では、側方突出部41が第1周壁切欠部321内に挿入されることで、カバー部材3と対向部材4とがセンサユニット1の周方向に相対的に回転することが防止されているので、カバー部材3が回転すると対向部材4も同様に回転してベース部材5と対向部材4の間に相対的な回転は生じない。これにより、座付きネジSSを締めこむことで、線状センサ2がねじられて破損してしまうことを防止できる。
【0077】
また、周壁部32の周壁当接部322および筒状部33によって、対向部材4が必要以上に上方に移動することが防止されているので、このセンサユニット1の組み立て時において対向部材4をカバー部材3に強く圧入しても、に線状センサ2が押し潰されすぎて線状センサ2を傷つけてしまうことがない。同様に、センサユニット1の被検出体DBへの取り付け時に、センサユニット1と被検出体DBとの間に異物が挟まっている場合や、被検出体DBの表面に小さな凸部が存在している場合でも、座付きネジSSの締め込みによって必要以上に線状センサ2が押し潰されすぎて線状センサ2を傷つけてしまうことがない。加えて、対向部材4を筒状部33および周壁当接部322に当接するまで圧入することで、線状センサ2が適度な押し付け力で押し潰した状態になるので、検出感度の高いセンサユニット1を形成することができる。
【0078】
また、対向部材4が横方向に動くと線状センサ2に負荷が加わって線状センサ2が傷ついたり断線したりしてしまうことがある。これに対し、この実施形態のセンサユニット1では、対向部材4の横方向の動きが周壁部32によって規制されるので、対向部材4の横方向の動きによって線状センサ2が傷つくことも防止できる。これにより、このセンサユニット1の耐久性が高まっている。特に本実施形態では、対向部材4が周壁部32に圧入されてカバー部材3に固定されているので、対向部材4が横方向に動くことがなく線状センサ2が傷つくことを確実に防止できる。
【0079】
また、メンテナンス時などにおいて、カバー部材3と対向部材4とを分離することがあるが圧入によって結合されているので分離が困難になりやすい。また、例えばカバー部材3と対向部材4を接着剤などの圧入以外の方向で結合した場合も同様に分離が困難になる。この実施形態では、周壁部32に第1周壁切欠部321を形成しているので、その第1周壁切欠部321にマイナスドライバなどの工具の板状部材を挿入してその工具をひねることで、カバー部材3と対向部材4を容易に分離することができる。
【0080】
次に、第1変形例のセンサユニット1について説明する。これより後の説明では、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号を付して説明し、重複する説明は省略することがある。
【0081】
図8は、第1変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【0082】
図8に示すセンサユニット1は、先の実施形態のセンサユニット1とはカバー部材3の形状と対向部材4の形状が異なる。カバー部材3は、筒状部33の突出長さが先の実施形態のものよりも長く、筒状部33は対向部材4の下面まで延在している。対向部材4は、対向貫通孔401の大きさが先の実施形態のものよりも大きく、筒状部33の外形よりも少し大きい。そして、筒状部33の下端部分は、対向貫通孔401に挿入されている。
【0083】
この第1変形例も、先の実施形態と同様の効果を奏する。ただし、座付きネジSSによる締結力を主に筒状部33のみが受ける点と対向部材4の上方への移動防止を周壁当接部322のみが受け持つ点とが先の実施形態と異なる。
【0084】
図9は、第2変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【0085】
図9に示すセンサユニット1は、先の実施形態のセンサユニット1とは対向部材4の形状とベース部材5の形状が異なる。ベース部材5の下端面には、下方に向かって突出した円柱状のベース凸部58が形成されている。対向部材4には、ベース凸部58に対向する位置にベース凸部58の外径とほぼ同じ内径をした第1対向凹部402が形成されている。また、第1対向凹部402の深さは、ベース凸部58の突出長よりも少し深い。そして、ベース凸部58は、第1対向凹部402に挿入されている。なお、この実施形態では、ベース凸部58と第1対向凹部402は一組のみ形成されているが、二組以上形成されていてもよい。
【0086】
この第2変形例も、先の実施形態と同様の効果を奏する。また、ベース凸部58と第1対向凹部402によって、ベース部材5と対向部材4の間の相対的な回転を防止できる。これにより、座付きネジSSを締めこむことで、線状センサ2がねじられて破損してしまうことをより確実に防止できる。
【0087】
以上説明した第2変形例のセンサユニット1からは以下の発明概念を抽出できる。
【0088】
ベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材とを備え、
前記ベース部材は、下方に突出したベース凸部を有するものであり、
前記対向部材は、前記ベース凸部が挿入された第1対向凹部を有するものであることを特徴とするセンサユニット。
【0089】
図10は、第3変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【0090】
図10に示すセンサユニット1は、先の実施形態のセンサユニット1とはカバー部材3の形状と対向部材4の形状とベース部材5の形状が異なる。また、回転止ピン6が設けられている点も先の実施形態のセンサユニット1と異なる。この回転止ピン6は、軸部材の一例に相当する。ベース部材5には、上下下方に貫通した第2ベース貫通孔59が形成されている。この第2ベース貫通孔59の内径は回転止ピン6の外径とほぼ同じである。カバー部材3の天板部31の下面には、第2ベース貫通孔59に対向する位置に上方に向かって凹んだ天板凹部311が形成されている。この天板凹部311の内径は回転止ピン6の外径とほぼ同じである。また、対向部材4には、第2ベース貫通孔59に対向する位置に第2対向凹部403が形成されている。第2対向凹部403の内径も回転止ピン6の外径とほぼ同じである。そして、回転止ピン6は、第2ベース貫通孔59に挿入されている。この回転止ピン6は、第2ベース貫通孔59よりも長く、第2ベース貫通孔59を貫通して上端が天板凹部311に挿入され、下端が第2対向凹部403に挿入されている。
【0091】
この第3変形例も、先の実施形態と同様の効果を奏する。また、回転止ピン6によって、カバー部材3とと対向部材4とベース部材5とが相対的に回転してしまうことが防止されている。これにより、座付きネジSSを締めこむことで、線状センサ2がねじられて破損してしまうことをより確実に防止できる。
【0092】
以上説明した第3変形例のセンサユニット1からは以下の発明概念を抽出できる。
【0093】
ベース部材と、
前記ベース部材の下面に接して配置され振動を検出する線状センサと、
前記線状センサを挟んで前記ベース部材に対向して配置された対向部材と、
前記ベース部材の上面を覆う天板部を有するカバー部材とを備え、
前記ベース部材は、上下方向に貫通したベース貫通孔を有するものであり、
前記天板部は、前記第2ベース貫通孔に対向する位置に天板凹部を有するものであり、
前記対向部材は、前記第2ベース貫通孔に対向する位置に第2対向凹部を有するものであり、
前記ベース貫通孔を貫通して上端が前記天板凹部に挿入され下端が前記対向凹部に挿入された軸部材を備えたことを特徴とするセンサユニット。
【0094】
図11は、第4変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【0095】
図11に示すセンサユニット1は、先の実施形態のセンサユニット1とはカバー部材3の形状と対向部材4の形状が異なる。カバー部材3は、周壁部32の長さが先の実施形態のものよりも短い。周壁部32の下端は、筒状部33の下端とほぼ同じ位置にある。ただし、周壁部32の下端の方が少し上方に位置していてもよい。対向部材4は、その大きさが先の実施形態のものよりも大きく、天板部31とほぼ同じ外径をした側方突出部41(
図3(a)参照)のない円盤状をしている。このため、周壁部32の下端は、対向部材4の上面に対面している。この対面部分が接着剤によって接着されることでカバー部材3と対向部材4は結合している。なお、接着剤に代えて、両面テープを用いてもよい。また、上述の対面部分に代えて筒状部33の下端と対向部材4との接触部分を接着剤等で接着してもよく、その接触部分と上述の対面部分の両方を接着剤等で接着してもよい。
【0096】
この第4変形例も、先の実施形態と同様の効果を奏する。また、薄肉部分32b(
図2(b)参照)を形成する必要がなく、対向部材4の外径の公差も粗くてよいので、カバー部材3および対向部材4を安価に形成することができる。
【0097】
図12は、第5変形例のセンサユニットを示す
図5と同様の断面図である。
【0098】
図12に示すセンサユニット1は、先の実施形態のセンサユニット1とはカバー部材3の形状と対向部材4の形状が異なる。カバー部材3は、薄肉部分32b(
図2(b)参照)がなく、下端まで同一の厚みをしている。対向部材4は、その大きさが先の実施形態のものよりも小さく、周壁部32の内周面とほぼ同じ外径をした側方突出部41(
図3(a)参照)のない円盤状をしている。ただし、対向部材4の外径の方が周壁部32の内周面よりも少し小さくてもよい。対向部材4は、筒状部33の下端との接触部分が接着剤等で接着されることでカバー部材3に結合している。なお、接着剤に代えて、両面テープを用いてもよい。また、上述の接触部分に代えて周壁部32の下端部分の内周面と対向部材4の側周面との間を接着剤等で接着してもよく、その間と上述の接触部分の両方を接着剤等で接着してもよい。
【0099】
この第5変形例も、先の実施形態と同様の効果を奏する。また、薄肉部分32b(
図2参照)を形成する必要がないので、カバー部材3および対向部材4を安価に形成することができる。
【0100】
本発明は上述の実施形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形を行うことが出来る。たとえば、本実施形態では、圧電体22を用いた線状センサ2について説明したが、導電ゴム等の抵抗線やキャパシタ線等を用いた線状センサ2に変更してもよい。また、対向部材4とベース部材5との間に線状センサ2を渦巻状になるように配置する例を示したが、線状センサ2は、波形状またはつづら折り状に配置してもよく、ベース部材5の内周側と外周側に向かって複数回屈曲しながら周回することで星状または歯車の歯先状になるように配置してもよい。さらに、回路基板7を省略して線状センサ2と信号ケーブル8とを直接または端子部材によって接続してもよい。またさらに、カバー部材3とベース部材5の接触部にゴムや発泡ゴムなどの弾性体を配置してもよい。加えて、カバー部材3と対向部材4は、接着剤や両面テープなどによって接合してもよく、カバー部材3とベース部材5も接着剤や両面テープなどによって接合してもよい。また、ベース部材5は、複数の部材の集合体であってもよい。また、回路基板7のイコライザー73の代わりに、FFTと、そのFFTから出力された周波数スペクトル信号を補正値選択部76からの補正情報を用いて補正する補正出力部とを設けてもよい。さらに、回路基板7は、線状センサ2からの信号をアナログ信号のまま処理して出力するものであってもよい。
【0101】
なお、以上説明した各変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 センサユニット
2 線状センサ
3 カバー部材
4 対向部材
5 ベース部材
31 天板部
33 筒状部
55 第1ベース貫通孔
401 対向貫通孔