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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149955
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】微動装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/68 20060101AFI20231005BHJP
   G12B 5/00 20060101ALI20231005BHJP
   B23Q 5/22 20060101ALI20231005BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20231005BHJP
   B23Q 1/48 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
H01L21/68 K
G12B5/00 T
B23Q5/22 520F
B23Q5/22 520C
G03F7/20 521
B23Q1/48 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058792
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 俊徳
【テーマコード(参考)】
2F078
2H197
3C048
5F131
【Fターム(参考)】
2F078CA01
2F078CA03
2F078CA06
2F078CA08
2F078CB13
2F078CB14
2F078CC01
2H197CD15
2H197CD18
2H197CD41
2H197HA03
3C048BC02
3C048DD09
3C048DD12
3C048DD27
5F131EA02
5F131EA22
5F131EA27
(57)【要約】
【課題】簡便な構成で微動テーブルを基部に対して回転させることができる微動装置を提供すること。
【解決手段】微動装置は,基部と、微動テーブルと、基部に配置され、基部に対して微動テーブルを回転させる回転装置と、を備え、回転装置は、微動テーブルの第1被支持部を支持する第1移動部材を含み、第1軸線に沿って第1移動部材を移動させる第1駆動部と、微動テーブルにおいて第1被支持部と平面視での位置が異なる第2被支持部を支持する第2移動部材を含み、第1軸線と平行な第2軸線に沿って第2移動部材を移動させる第2駆動部と、微動テーブルにおいて第1被支持部および第2被支持部と平面視での位置が異なる第3被支持部を支持する第3移動部材を含み、第1軸線と平行な第3軸線に沿って第3移動部材を移動させる第3駆動部と、微動テーブルの側面を押圧することで、微動テーブルを平面視において回転させる第4駆動部と、を備えている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
微動テーブルと、
前記基部に配置され、前記基部に対して前記微動テーブルを回転させる回転装置と、を備え、
前記回転装置は、
前記微動テーブルの第1被支持部を支持する第1移動部材を含み、第1軸線に沿って前記第1移動部材を移動させる第1駆動部と、
前記微動テーブルにおいて前記第1被支持部と平面視での位置が異なる第2被支持部を支持する第2移動部材を含み、前記第1軸線と平行な第2軸線に沿って前記第2移動部材を移動させる第2駆動部と、
前記微動テーブルにおいて前記第1被支持部および前記第2被支持部と平面視での位置が異なる第3被支持部を支持する第3移動部材を含み、前記第1軸線と平行な第3軸線に沿って前記第3移動部材を移動させる第3駆動部と、
前記微動テーブルの側面を押圧することで、前記微動テーブルを平面視において回転させる第4駆動部と、を備えている、
微動装置。
【請求項2】
前記第1移動部材は、前記第1被支持部を回転支持する、
請求項1に記載の微動装置。
【請求項3】
前記第1移動部材は、第1球面を有し、
前記第1被支持部は、前記第1球面と線接触するテーパ面を有している、
請求項2に記載の微動装置。
【請求項4】
前記第2移動部材は、前記第2被支持部を可動支持し、
前記第3移動部材は、前記第3被支持部を可動支持する、
請求項1から3の何れか1項に記載の微動装置。
【請求項5】
前記第2移動部材は、第2球面を有し、
前記第2被支持部は、前記第2球面と接触する面を有し、
前記第3移動部材は、第3球面を有し、
前記第3被支持部は、前記第3球面と接触する面を有している、
請求項4に記載の微動装置。
【請求項6】
前記基部に向けて前記微動テーブルを移動させる第1マグネットをさらに備えている、
請求項1から5の何れか1項に記載の微動装置。
【請求項7】
前記第4駆動部が前記微動テーブルを押圧する方向と反対方向に前記微動テーブルを移動させる第2マグネットをさらに備えている、
請求項1から6の何れか1項に記載の微動装置。
【請求項8】
前記第1軸線と直交する直交平面と前記第1軸線との第1交点、前記直交平面と前記第2軸線との第2交点および前記直交平面と前記第3軸線との第3交点によって形成される三角形は、前記第1交点と前記第2交点とを結ぶ辺の長さと、前記第1交点と前記第3交点とを結ぶ辺の長さとが等しい二等辺三角形である、
請求項1から7の何れか1項に記載の微動装置。
【請求項9】
前記微動テーブルは、平面視において、前記第1交点を通り、かつ前記第2交点と前記第3交点とを結ぶ底辺と直交する直線を対称軸とする線対称形状である、
請求項8に記載の微動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、微動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、互いに直交する2つの軸に沿って移動可能な粗動テーブル、および、粗動テーブルに支持され、粗動テーブルに対して互いに直交する2つの軸に沿って微動可能な微動テーブルを備えているテーブル装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-39184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のテーブル装置において、微動テーブルの姿勢を調整するために、微動テーブルを支持している基部に対して微動テーブルを回転させたい要望がある。
【0005】
本開示の態様は、簡便な構成で微動テーブルを基部に対して回転させることができる微動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様は、基部と、微動テーブルと、前記基部に配置され、前記基部に対して前記微動テーブルを回転させる回転装置と、を備え、前記回転装置は、前記微動テーブルの第1被支持部を支持する第1移動部材を含み、第1軸線に沿って前記第1移動部材を移動させる第1駆動部と、前記微動テーブルにおいて前記第1被支持部と平面視での位置が異なる第2被支持部を支持する第2移動部材を含み、前記第1軸線と平行な第2軸線に沿って前記第2移動部材を移動させる第2駆動部と、前記微動テーブルにおいて前記第1被支持部および前記第2被支持部と平面視での位置が異なる第3被支持部を支持する第3移動部材を含み、前記第1軸線と平行な第3軸線に沿って前記第3移動部材を移動させる第3駆動部と、前記微動テーブルの側面を押圧することで、前記微動テーブルを平面視において回転させる第4駆動部と、を備えている、微動装置を提供する。
【0007】
本開示の態様によれば、微動テーブルは、第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材によって平面視において互いに位置が異なる3点で支持される。また、第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材は、それぞれ、互いに平行な第1軸線、第2軸線および第3軸線に沿って移動する。よって、第1移動部材、第2移動部材および第3移動部材の移動量および移動する向きが調整されることで、微動テーブルは、第1軸線と平行な軸線に対して傾斜することができる。換言すれば、微動テーブルは、第1軸線と直交し、かつ、互いに直交する2つの軸線それぞれを中心軸として回転することができる。
【0008】
また、微動テーブルは、第4駆動部によって側面を押圧されることで、平面視において回転することができる。つまり、微動テーブルは、第1軸線と平行な軸線を中心軸として回転することができる。よって、微動テーブルは、第1軸線と平行な軸線を含み互いに直交する3つの軸線それぞれを中心軸として回転することができる。
【0009】
このように、微動装置は、簡便な構成で微動テーブルを基部に対して回転するように微動させることができる。
【0010】
本開示の態様において、前記第1移動部材は、前記第1被支持部を回転支持してもよい。
【0011】
これにより、微動装置は、第1移動部材を中心として微動テーブルを回転させることができる。また、第1移動部材とは別に微動テーブルを回転支持する部材を微動装置が備える場合と比べて、微動装置の部品点数を低減し、微動装置を簡便な構成にすることができる。
【0012】
本開示の態様において、前記第1移動部材は、第1球面を有し、前記第1被支持部は、前記第1球面と線接触するテーパ面を有してもよい。
【0013】
これにより、第1移動部材は、簡便な形状で第1被支持部を回転支持することができる。
【0014】
本開示の態様において、前記第2移動部材は、前記第2被支持部を可動支持し、前記第3移動部材は、前記第3被支持部を可動支持してもよい。
【0015】
これにより、第2移動部材および第3移動部材は、微動テーブルが回転するように第2被支持部および第3被支持部を支持することができる。
【0016】
本開示の態様において、前記第2移動部材は、第2球面を有し、前記第2被支持部は、前記第2球面と接触する面を有し、前記第3移動部材は、第3球面を有し、前記第3被支持部は、前記第3球面と接触する面を有してもよい。
【0017】
これにより、第2移動部材および第3移動部材は、簡便な形状で、微動テーブルが回転するように、第2被支持部および第3被支持部を支持することができる。
【0018】
本開示の態様において、前記基部に向けて前記微動テーブルを移動させる第1マグネットをさらに備えてもよい。
【0019】
これにより、第1マグネットによって、第1移動部材と第1被支持部との接触状態、第2移動部材と第2被支持部との接触状態、および、第3移動部材と第3被支持部との接触状態を維持することができる。よって、回転装置は、微動テーブルを精度よく回転させることができる。
【0020】
本開示の態様において、前記第4駆動部が前記微動テーブルを押圧する方向と反対方向に前記微動テーブルを移動させる第2マグネットをさらに備えてもよい。
【0021】
これにより、微動テーブルは、第2マグネットによって、第4駆動部が微動テーブルを押圧する方向と反対方向に回転することができる。よって、第4移動部材と微動テーブルとの側面とが接触した状態を維持することができる。したがって、第4駆動部は、微動テーブルを精度よく回転させることができる。
【0022】
本開示の態様において、前記第1軸線と直交する直交平面と前記第1軸線との第1交点、前記直交平面と前記第2軸線との第2交点および前記直交平面と前記第3軸線との第3交点によって形成される三角形は、前記第1交点と前記第2交点とを結ぶ辺の長さと、前記第1交点と前記第3交点とを結ぶ辺の長さとが等しい二等辺三角形でもよい。
【0023】
これにより、第1交点、第2交点および第3交点によって形成される三角形が二等辺三角形でない場合と比べて、微動テーブルの回転量および回転の向きに対応する第1移動部材、第2移動部材、および、第3移動部材の移動量および移動の向きを簡便に算出することができる。
【0024】
本開示の態様において、微動テーブルは、平面視において、前記第1交点を通り、かつ、前記第2交点と前記第3交点とを結ぶ底辺と直交する直線を対称軸とする線対称形状でもよい。
【0025】
これにより、微動テーブルが回転した場合においても、微動テーブルの重心が平面視において対称軸の近傍に位置する。よって、微動テーブルの姿勢の安定化を図ることができる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の態様によれば、簡便な構成で微動テーブルを基部に対して回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本実施形態に係る微動装置および微動装置が取り付けられる搬送装置の一例を示す平面図である。
図2図2は、本実施形態に係る微動装置の平面図である。
図3図3は、本実施形態に係る微動装置の側面図である。
図4図4は、本実施形態に係る微動装置の断面図である。
図5図5は、本実施形態に係る第2駆動部および第3駆動部の軸方向断面図である。
図6図6は、本実施形態に係る第4駆動部の軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0029】
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。また、X軸、Y軸およびZ軸に沿う方向をそれぞれ、X方向、Y方向、および、Z方向とする。さらに、X軸、Y軸およびZ軸を中心とする回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX方向、θY方向、および、θZ方向とする。
【0030】
本実施形態において、XY平面は、後述する基部10の主面Sと平行である。Z軸は、基部10の主面Sと直交する。X軸は、YZ平面と直交する。Y軸は、XZ平面と直交する。Z軸は、XY平面と直交する。XY平面は、X軸およびY軸を含む。XZ平面は、X軸およびZ軸を含む。YZ平面は、Y軸およびZ軸を含む。
【0031】
図1は、本実施形態に係る微動装置および微動装置が取り付けられる搬送装置の一例を示す平面図である。微動装置1および搬送装置2は、例えば半導体デバイスの製造において、半導体デバイスの製造工程の一部に使用される。
【0032】
微動装置1は、半導体デバイスを製造するための物体を支持するとともに、物体の姿勢を微調整する。搬送装置2は、微動装置1を支持し、所望の位置に物体が位置するように微動装置1を搬送する。
【0033】
搬送装置2は、ベース部材3およびベース部材3に対して相対移動する支持部材4を備えている。ベース部材3には、一対のガイド部材3a、ボールねじ3b、および、回転モータ3cが配置されている。
【0034】
一対のガイド部材3aは、ベース部材3における支持部材4と対向する面(+Z側の面)にX方向に沿って延びるように配置されている。ボールねじ3bは、一対のガイド部材3aの間で、X方向に沿って延びるように配置されている。回転モータ3cは、ボールねじ3bを回転させるように駆動する。
【0035】
支持部材4は、ベース部材3と対向する面(-Z側の面)と反対側の面で微動装置1を支持する。支持部材4には、一対のリニアベアリング4aおよびナット4bが配置されている。
【0036】
一対のリニアベアリング4aは、それぞれ、支持部材4におけるベース部材3と対向する面に取り付けられ、一対のガイド部材3aと嵌合する。ナット4bは、支持部材4におけるベース部材3と対向する面に取り付けられ、ボールねじ3bと結合する。
【0037】
回転モータ3cがボールねじ3bを回転させると、ナット4bがボールねじ3bの軸線に沿って移動する。これにより、支持部材4が一対のリニアベアリング4aを介して一対のガイド部材3aに案内される。つまり、支持部材4は、X方向に沿って移動する。
【0038】
このように、支持部材4がX方向に沿って移動するように搬送装置2が構成されているが、支持部材4がX方向およびY方向に沿って2方向それぞれに移動するように搬送装置2が構成されてもよいし、支持部材4がX方向、Y方向およびZ方向に沿って3方向それぞれに移動するように搬送装置2が構成されてもよい。
【0039】
図2は、本実施形態に係る微動装置の平面図である。微動装置1は、基部10、微動テーブル20、および、回転装置30を備えている。
【0040】
基部10は、微動テーブル20と対向する面(+Z側の面)を主面Sとする板状である。基部10は、主面Sと反対の背面で支持部材4に取り付けられて支持される。
【0041】
微動テーブル20は、板状であり、例えば半導体デバイスを製造するための物体を載置可能である。微動テーブル20は、X方向に沿って延びる板状の第1板部21と、Y方向に沿って延びる板状の第2板部22とが一体となっている平面視T字状である。
【0042】
図3は、本実施形態に係る微動装置の側面図である。図4は、本実施形態に係る微動装置の断面図である。具体的には、図4は、後述する直線Lに沿った微動装置1の断面図である。
【0043】
回転装置30は、基部10に配置され、微動テーブル20を基部10に対して回転させる。回転装置30は、第1駆動部31、第2駆動部32、第3駆動部33、および、第4駆動部34を備えている。
【0044】
第1駆動部31は、基部10の主面Sにおいて、微動テーブル20の+X側の端部と対向する位置に配置されている。第1駆動部31は、第1ハウジング31a、第1駆動素子31b、第1保持部31c、および、第1移動部材31dを備えている。第1駆動部31は、第1移動部材31dを第1軸線31eに沿って移動させる。第1軸線31eは、Z方向と平行である。なお、第1軸線31eは、Z方向に対して傾斜していてもよい。
【0045】
第1ハウジング31aは、+Z側を開放する箱状である。第1駆動素子31bは、第1ハウジング31aの底部に収納され、第1移動部材31dを移動させる。第1駆動素子31bは、例えば、電圧が印加されることにより、第1軸線31eに沿う長さが変化するように変形する圧電素子(ピエゾ素子)である。
【0046】
第1保持部31cは、-Z側の面が第1駆動素子31bと接触し、かつ、第1ハウジング31aに対して第1軸線31eに沿って摺動可能に第1ハウジング31aに収納されている。また、第1保持部31cは、+Z側で第1移動部材31dを保持する。
【0047】
第1移動部材31dは、+Z側に第1球面31d1を有する球状である。なお、第1移動部材31dの-Z側が例えば円柱状であってもよいし、第1保持部31cと一体でもよい。第1軸線31eは、第1球面31d1を有する球体の中心を通る。
【0048】
第1駆動素子31bに電圧が印加されると、第1駆動素子31bが変形し、第1保持部31cひいては第1移動部材31dが第1軸線31eに沿って移動する。また、第1移動部材31dは、微動テーブル20の第1被支持部23を支持する。
【0049】
第1被支持部23は、微動テーブル20の-Z側の面に第1移動部材31dと対向するように配置されている。第1被支持部23は、板状であり、第1移動部材31dと対向する面にテーパ面23aを有している。テーパ面23aは、具体的には、+Z側に頂点を有する円錐面である。なお、テーパ面23aは、角錐面でもよい。
【0050】
第1移動部材31dは、第1球面31d1がテーパ面23aに線接触するように、第1被支持部23を支持する。つまり、第1移動部材31dは、第1被支持部23を回転支持する。
【0051】
第2駆動部32は、基部10の主面Sにおいて、微動テーブル20の+Y側の端部と対向する位置に配置されている。第3駆動部33は、基部10の主面Sにおいて、微動テーブル20の-Y側の端部と対向する位置に配置されている。
【0052】
図5は、本実施形態に係る第2駆動部および第3駆動部の軸方向断面図である。第2駆動部32は、第2ハウジング32a、第2駆動素子32b、第2保持部32c、および、第2移動部材32dを備えている。第2駆動部32は、第2移動部材32dを第2軸線32eに沿って移動させる。第2軸線32eは、第1軸線31eと平行である。
【0053】
第3駆動部33は、第3ハウジング33a、第3駆動素子33b、第3保持部33c、および、第3移動部材33dを備えている。第3駆動部33は、第3移動部材33dを第3軸線33eに沿って移動させる。第3軸線33eは、第1軸線31eと平行である。つまり、第1軸線31e、第2軸線32e、および、第3軸線33eは、それぞれ、互いと平行である。
【0054】
第2駆動部32および第3駆動部33は、第1駆動部31と同様に構成されている。つまり、第2ハウジング32aおよび第3ハウジング33a、第2駆動素子32bおよび第3駆動素子33b、第2保持部32cおよび第3保持部33c、並びに、第2移動部材32dおよび第3移動部材33dは、それぞれ、第1ハウジング31a、第1駆動素子31b、第1保持部31c、および、第1移動部材31dと同様に構成されている。
【0055】
第2駆動素子32bに電圧が印加されると、第2駆動素子32bが変形し、第2保持部32cひいては第2移動部材32dが第2軸線32eに沿って移動する。また、第3駆動素子33bに電圧が印加されると、第3駆動素子33bが変形し、第3保持部33cひいては第3移動部材33dが第3軸線33eに沿って移動する。
【0056】
図2に示すように、第1軸線31eと直交する直交平面と第1軸線31eとの第1交点P1、直交平面と第2軸線32eとの第2交点P2および直交平面と第3軸線33eとの第3交点P3によって形成される三角形は、第1交点P1と第2交点P2とを結ぶ辺の長さと、第1交点P1と第3交点P3とを結ぶ辺の長さとが等しい二等辺三角形である。なお、第1軸線31eがZ方向に沿っている場合、直交平面は、基部10の主面Sと平行である。
【0057】
また、微動テーブル20は、基部10に対して回転(傾斜)していない状態で、平面視において、第1交点P1を通り、かつ、第2交点P2と第3交点P3とを結ぶ底辺と直交する直線Lを対称軸とする線対称形状である。よって、微動テーブル20の重心Gは、基部10に対して回転(傾斜)していない状態で、平面視において、直線L上に位置する。
【0058】
また、図3および図4に示すように、第2移動部材32dおよび第3移動部材33dは、それぞれ、微動テーブル20の第2被支持部24および第3被支持部25を支持する。
【0059】
第2被支持部24は、微動テーブル20の-Z側の面に第2移動部材32dと対向するように配置されている。つまり、第2被支持部24の位置は、平面視において、第1被支持部23の位置と異なる。第2被支持部24は、板状であり、-Z側に第1平面24aを有している。
【0060】
第2移動部材32dは、第2球面32d1と第1平面24aとが接触するように、第2被支持部24を支持する。具体的には、第2球面32d1は、第1平面24aと点接触する。つまり、第2移動部材32dは、第2被支持部24を可動支持する。
【0061】
第3被支持部25は、微動テーブル20の-Z側の面に第3移動部材33dと対向するように配置されている。つまり、第3被支持部25の位置は、平面視において、第1被支持部23の位置および第2被支持部24の位置と異なる。第3被支持部25は、板状であり、-Z側に第2平面25aを有している。
【0062】
第3移動部材33dは、第3球面33d1と第2平面25aとが接触するように、第3被支持部25を支持する。具体的には、第3球面33d1は、第2平面25aと点接触する。つまり、第3移動部材33dは、第3被支持部25を可動支持する。
【0063】
図2および図3に示すように、第4駆動部34は、基部10における第1板部21より-Y側の位置に配置されている。第4駆動部34は、微動テーブル20の側面を押圧することで、微動テーブル20を平面視において回転させる。
【0064】
図6は、本実施形態に係る第4駆動部の軸方向断面図である。第4駆動部34は、第4ハウジング34a、第4駆動素子34b、第4保持部34c、および、第4移動部材34dを備えている。第4駆動部34は、第4移動部材34dを第4軸線34eに沿って移動させる。第4軸線34eは、第1軸線31eと直交する。具体的には、第4軸線34eは、Y方向と平行である。なお、第4軸線34eは、Y方向に対して傾斜していてもよい。
【0065】
第4ハウジング34aは、+Y側を開放する箱状である。第4駆動素子34bは、第4ハウジング34aの底部に収納され、第4移動部材34dを移動させるものである。第4駆動素子34bは、電圧が印加されることにより、第4軸線34eに沿う長さが変化するように変形する圧電素子(ピエゾ素子)である。
【0066】
第4保持部34cは、-Y側の面が第4駆動素子34bと接触し、かつ、第4ハウジング34a対して第4軸線34eに沿って摺動可能に第4ハウジング34aに収納されている。また、第4保持部34cは、+Y側で第4移動部材34dを保持する。
【0067】
第4移動部材34dは、+Y側に第4球面34d1を有し、-Y側を円柱状とする形状である。なお、第4移動部材34dは、球状でもよいし、第4保持部34cと一体でもよい。第4軸線34eは、第4球面34d1を有する球体の中心を通る。
【0068】
第4駆動素子34bに電圧が印加されると、第4駆動素子34bが変形し、第4保持部34cひいては第4移動部材34dが第4軸線34eに沿って移動する。また、第4移動部材34dは、微動テーブル20の側面を、被押圧部26を介して押圧する。
【0069】
図2、3に示すように、被押圧部26は、第1板部21の-Y側の面に配置されている。被押圧部26は、板状であり、-Y側に第3平面26aを有している。第3平面26aは、微動テーブル20が配転していない状態において、Y軸と直交する。第4移動部材34dが移動することで、第4球面34d1が第3平面26aと点接触し、第3平面26aを+Y側に向けて押圧する。
【0070】
図2から図4に示すように、微動装置1は、第1マグネット50および第2マグネット60をさらに備えている。
【0071】
第1マグネット50は、基部10に向けて微動テーブル20を移動させる。第1マグネット50は、第1板部21の-Z側の面に配置されている。第1マグネット50は、例えば、永久磁石である。
【0072】
基部10の主面Sには、第1マグネット50と対向する位置に、第1マグネット50と引き合う板状の第1磁性体11が配置されている。第1磁性体11は、例えば鉄を含んで構成されている。なお、第1磁性体11は、永久磁石でもよい。
【0073】
第1マグネット50は、第1磁性体11と引き合うことで、微動テーブル20を基部10に向けて、すなわち、-Z側に移動させる。これにより、第1球面31d1とテーパ面23aとが接触している状態、第2球面32d1と第1平面24aとが接触している状態、および、第3球面33d1と第2平面25aとが接触している状態を、それぞれ、確実に維持することができる。なお、第1マグネット50が主面Sに配置され、かつ、第1磁性体11が微動テーブル20に配置されてもよい。
【0074】
第2マグネット60は、第4駆動部34が微動テーブル20を押圧する方向と反対方向に微動テーブル20を移動させる。第2マグネット60は、基部10における第1板部21より-Y側の位置に取付部60aを介して配置されている。第2マグネット60は、例えば、永久磁石である。
【0075】
第1板部21には、第2マグネット60と対向する位置に、第2マグネット60と引き合う板状の第2磁性体27が第2マグネット60から離れて配置されている。第2磁性体27は、例えば鉄を含んで構成されている。なお、第2磁性体27は、永久磁石でもよい。
【0076】
第2マグネット60は、第2磁性体27と引き合うことで、微動テーブル20を第2マグネット60に向けて、すなわち、-Y側に移動させる。つまり、第4駆動部34が微動テーブル20を押圧する方向と反対方向に微動テーブル20を移動させる。これにより、第4球面34d1と第3平面26aとが接触している状態を維持することができる。
【0077】
また、図4に示すように、微動装置1は、微動テーブル20の回転を制御する制御装置70をさらに備えている。制御装置70は、微動テーブル20を回転させるための制御信号を第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、第3駆動素子33b、および、第4駆動素子34bに出力する。第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、第3駆動素子33b、および、第4駆動素子34bに出力される制御信号は、それぞれ、第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、第3駆動素子33b、および、第4駆動素子34bの変形量および変形の向きを特定する指令値を含んでいる。
【0078】
第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、第3駆動素子33b、および、第4駆動素子34bの変形量および変形の向きを特定する指令値は、それぞれ、使用者によって制御装置70に入力される所望の微動テーブル20の回転量に基づいて制御装置70によって導出されてもよいし、物体の姿勢を検出するためのセンサ(例えば光学式測距センサ)の検出結果と、制御装置70に予め記憶されている所定の姿勢との差分に基づいて、物体が所定の姿勢となるように制御装置70によって導出されてもよい。なお、制御装置70は、搬送装置2を統括制御してもよい。
【0079】
次に、制御装置70が微動テーブル20を基部10に対して回転させる際の微動装置1の動作について説明する。はじめに、微動テーブル20の+Z側の面がXY平面と平行である微動テーブル20の初期状態から、微動テーブル20が基部10に対してθX方向に沿って回転する場合について説明する。
【0080】
微動テーブル20が初期状態から基部10に対してθX方向に沿って回転する場合、制御装置70が出力する制御信号において、例えば、第1駆動素子31bの変形量はゼロであり、第2駆動素子32bの変形量と第3駆動素子33bの変形量とは同じであり、かつ、第2駆動素子32bの変形の向きと第3駆動素子33bの変形の向きとは反対向きである。
【0081】
制御信号に基づいて、第1駆動素子31bが変形しないことで第1移動部材31dは移動しない。制御信号に基づいて、第2駆動素子32bおよび第3駆動素子33bが変形することで、第2移動部材32dおよび第3移動部材33dは、それぞれ、互いと等しい移動量で互いと異なる向きに第2軸線32eおよび第3軸線33eに沿って移動する。
【0082】
このような第1移動部材31d、第2移動部材32d、および、第3移動部材33dの動作により、第1被支持部23は、テーパ面23aと第1球面31d1とが接触した状態で、第1移動部材31dに対して、第1球面31d1の中心点を中心として回転し、平面視でY方向に沿って移動する。第2被支持部24は、第1平面24aと第2球面32d1とが接触した状態で、第2移動部材32dに対して回転し、平面視でY方向に沿って移動する。第3被支持部25は、第2平面25aと第3球面33d1とが接触した状態で、第3移動部材33dに対して回転し、平面視でY方向に沿って移動する。
【0083】
このような第1被支持部23、第2被支持部24、および、第3被支持部25の動作により、微動テーブル20は、初期状態から基部10に対してθX方向に沿って、第1移動部材31dを中心に回転する。
【0084】
また、制御信号において、第4駆動素子34bの変形量および変形の向きは、微動テーブル20がθX方向に沿って回転することで生じる被押圧部26の第3平面26aにおける第4軸線34eに沿った変形量および変形の向きと等しくなるようにしてもよい。このような制御信号によって、微動テーブル20がθX方向に沿って回転することで生じる第3平面26aの変位に対応するように、第4移動部材34dが移動する。これにより、第4移動部材34dが微動テーブル20のθX方向の回転を妨げることを防ぐことができる。
【0085】
次に、微動テーブル20が初期状態から基部10に対してθY方向に沿って回転する場合について説明する。この場合、制御装置70が出力する制御信号において、例えば、第1駆動素子31bの変形の向きが+Z側または-Z側であり、第2駆動素子32bの変形量および第3駆動素子33bの変形量がゼロである。
【0086】
このような制御信号によって、第1駆動素子31bが変形することで第1移動部材31dは第1軸線31eに沿って+Z側または-Z側に向けて移動し、第2駆動素子32bおよび第3駆動素子33bが変形しないことで第2移動部材32dおよび第3移動部材33dは移動しない。
【0087】
このような第1移動部材31d、第2移動部材32d、および、第3移動部材33dの動作により、第1被支持部23は、テーパ面23aと第1球面31d1とが接触した状態で、第1移動部材31dに対して、第1球面31d1の中心点を中心として回転し、平面視でX方向に沿って移動する。第2被支持部24は、第1平面24aと第2球面32d1とが接触した状態で、第2移動部材32dに対して回転し、平面視でX方向に沿って移動する。第3被支持部25は、第2平面25aと第3球面33d1とが接触した状態で、第3移動部材33dに対して回転し、平面視でX方向に沿って移動する。
【0088】
このような第1被支持部23、第2被支持部24、および、第3被支持部25の動作により、微動テーブル20は、初期状態から基部10に対してθY方向に沿って、第1移動部材31dを中心に回転する。
【0089】
また、上記のように、被押圧部26の第3平面26aはY軸と直交しているため、微動テーブル20が基部10に対してθY方向に沿って回転する際、被押圧部26の第3平面26aは第4軸線34eに沿って変位しない。つまり、第4移動部材34dの移動量がゼロでも、微動テーブル20の回転は妨げられない。よって、制御信号において、第4駆動素子34bの変形量は、ゼロである。
【0090】
なお、微動テーブル20が初期状態から基部10に対してθY方向に沿って回転する場合、制御装置70が出力する制御信号において、例えば、第1駆動素子31bの変形量がゼロであり、第2駆動素子32bの変形量と第3駆動素子33bの変形量とは同じであり、かつ、第2駆動素子32bの変形の向きと第3駆動素子33bの変形の向きとは同じ向きとしてもよい。
【0091】
次に、微動テーブル20が初期状態から基部10に対してθZ方向に沿って回転する場合について説明する。この場合、制御装置70が出力する制御信号において、例えば、第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、および、第3駆動素子33bの変形量がゼロであり、第4駆動素子34bの変形量および変形の向きは、所望のθZ方向の回転量および回転の向きに対応している。
【0092】
このような制御信号によって、第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、および、第3駆動素子33bが変形しないことで第1移動部材31d、第2移動部材32d、および、第3移動部材33dが移動せず、第4駆動素子34bが変形することで、第4移動部材34dは第4軸線34eに沿って+Y側または-Y側に移動する。
【0093】
このような第1移動部材31d、第2移動部材32d、第3移動部材33d、および、第4移動部材34dの動作により、第4移動部材34dが第4軸線34eに沿って+Y側に移動する場合、第4移動部材34dが被押圧部26を押圧することで、被押圧部26が+Y側に向けて移動する。一方、第4移動部材34dが第4軸線34eに沿って-Y側に移動する場合、第2マグネット60と第2磁性体27とが引き合うことで、被押圧部26が-Y側に移動する。
【0094】
このような被押圧部26の移動により、微動テーブル20が変位することで、第1被支持部23は、テーパ面23aと第1球面31d1とが接触した状態で、第1移動部材31dに対して、第1軸線31eを中心軸としてθZ方向に沿って回転する。第2被支持部24は、第1平面24aと第2球面32d1とが接触した状態で、第2移動部材32dに対して、第1軸線31eを中心軸としてθZ方向に沿って回転する。
【0095】
そして、第3被支持部25は、第2平面25aと第3球面33d1とが接触した状態で、第3移動部材33dに対して、第1軸線31eを中心軸としてθZ方向に沿うように移動する。さらに、被押圧部26は、第3平面26aと第4球面34d1とが接触した状態で、第4移動部材34dに対して、第1軸線31eを中心軸としてθZ方向に沿うように移動する。
【0096】
このような第1被支持部23、第2被支持部24、第3被支持部25および被押圧部26の動作により、微動テーブル20は、初期状態から基部10に対して、第1移動部材31dを中心にθZ方向に沿って回転する。
【0097】
また、微動テーブル20は、基部10に対して回転せずにZ方向に移動可能、すなわち、Z方向に沿って並進可能である。微動テーブル20が初期状態から基部10に対してZ方向に沿って並進する場合、制御装置70が出力する制御信号において、例えば、第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、および、第3駆動素子33bの変形量それぞれは互いと同じであり、かつ、第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、および、第3駆動素子33bの変形の向きそれぞれは互いと同じである。
【0098】
このような制御信号によって、第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、および、第3駆動素子33bが変形することで、第1移動部材31d、第2移動部材32d、および、第3移動部材33dは、それぞれ、互いと等しい移動量で互いと異なる向きに移動する。
【0099】
このような第1移動部材31d、第2移動部材32d、および、第3移動部材33dの動作により、第1被支持部23は、テーパ面23aと第1球面31d1とが接触した状態で、Z方向に沿って並進する。第2被支持部24は、第1平面24aと第2球面32d1とが接触した状態で、Z方向に沿って並進する。第3被支持部25は、第2平面25aと第3球面33d1とが接触した状態で、Z方向に沿って並進する。
【0100】
このような第1被支持部23、第2被支持部24、および、第3被支持部25の動作により、微動テーブル20は、Z方向に沿って並進する。また、この場合、上記のように、被押圧部26の第3平面26aはY軸と直交しているため、微動テーブル20がZ方向に沿って並進する際、被押圧部26の第3平面26aは第4軸線34eに沿って変位しない。つまり、第4移動部材34dの移動量がゼロでも、微動テーブル20のZ方向の並進は妨げられない。よって、制御信号において、第4駆動素子34bの変形量は、ゼロである。
【0101】
このように、回転装置30は、微動テーブル20を、θX方向、θY方向およびθZ方向に沿って回転させることができ、かつ、Z方向に沿って並進させることができる。つまり、微動テーブル20の自由度は4である。第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、第3駆動素子33b、および、第4駆動素子34bの変形量および変形の向きそれぞれが調整されることで、微動テーブル20の回転量および並進量が調整される。また、第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、第3駆動素子33b、および、第4駆動素子34bの変形量および変形の向きそれぞれが調整されることで、回転装置30は、上記と異なる方向(例えば、X軸、Y軸およびZ軸それぞれと交差する軸線を中心軸とする方向)に微動装置1を回転させることができる。
【0102】
以上、説明したように、本実施形態によれば、微動装置1は、微動テーブル20と、基部10に配置され、基部10に対して微動テーブル20を回転させる回転装置30と、を備えている。回転装置30は、微動テーブル20の第1被支持部23を支持する第1移動部材31dを含み、第1軸線31eに沿って第1移動部材31dを移動させる第1駆動部31と、微動テーブル20において第1被支持部23と平面視での位置が異なる第2被支持部24を支持する第2移動部材32dを含み、第1軸線31eと平行な第2軸線32eに沿って第2移動部材32dを移動させる第2駆動部32と、微動テーブル20において第1被支持部23および第2被支持部24と平面視での位置が異なる第3被支持部25を支持する第3移動部材33dを含み、第1軸線31eと平行な第3軸線33eに沿って第3移動部材33dを移動させる第3駆動部33と、微動テーブル20の側面を押圧することで、微動テーブル20を平面視において回転させる第4駆動部34と、を備えている。
これによれば、微動テーブル20は、第1移動部材31d、第2移動部材32dおよび第3移動部材33dによって平面視において互いに位置が異なる3点で支持される。また、第1移動部材31d、第2移動部材32dおよび第3移動部材33dは、それぞれ、互いに平行な第1軸線31e、第2軸線32eおよび第3軸線33eに沿って移動する。よって、第1移動部材31d、第2移動部材32dおよび第3移動部材33dの移動量および移動する向きが調整されることで、微動テーブル20は、第1軸線31eと平行な軸線に対して傾斜することができる。換言すれば、微動テーブル20は、第1軸線31eと直交し、かつ、互いに直交する2つの軸線それぞれを中心軸として回転することができる。
また、微動テーブル20は、第4駆動部34によって側面を押圧されることで、平面視において回転することができる。つまり、微動テーブル20は、第1軸線31eと平行な軸線を中心軸として回転することができる。よって、微動テーブル20は、第1軸線31eと平行な軸線を含み互いに直交する3つの軸線を中心軸として回転することができる。
このように、微動装置1は、簡便な構成で微動テーブル20を基部10に対して回転するように微動させることができる。
【0103】
また、本実施形態において、第1移動部材31dは、第1被支持部23を回転支持する。
これにより、微動装置1は、第1移動部材31dを中心として微動テーブル20を回転させることができる。また、第1移動部材31dとは別に微動テーブル20を回転支持する部材を微動装置1が備える場合と比べて、微動装置1の部品点数を低減し、微動装置1を簡便な構成にすることができる。
【0104】
また、本実施形態において、第1移動部材31dは、第1球面31d1を有する。第1被支持部23は、第1球面31d1と線接触するテーパ面23aを有する。
これにより、第1移動部材31dは、簡便な形状で第1被支持部23を回転支持することができる。
【0105】
また、本実施形態において、第2移動部材32dは、第2被支持部24を可動支持する。第3移動部材33dは、第3被支持部25を可動支持する。
これにより、第2移動部材32dおよび第3移動部材33dは、微動テーブル20が回転するように第2被支持部24および第3被支持部25を支持することができる。
【0106】
また、本実施形態において、第2移動部材32dは、第2球面32d1を有する。第2被支持部24は、第2球面32d1と接触する面を有する。第3移動部材33dは、第3球面33d1を有する。第3被支持部25は、第3球面33d1と接触する面を有する。
これにより、第2移動部材32dおよび第3移動部材33dは、簡便な形状で、微動テーブル20が回転するように、第2被支持部24および第3被支持部25を支持することができる。
【0107】
また、本実施形態において、微動装置1は、基部10に向けて微動テーブル20を移動させる第1マグネット50を備える。
これにより、第1マグネット50によって、第1移動部材31d、第2移動部材32d、および、第3移動部材33dと第1被支持部23、第2被支持部24、および、第3被支持部25とがそれぞれ接触した状態を維持することができる。よって、回転装置30は、微動テーブル20を精度よく回転させることができる。
【0108】
また、本実施形態において、微動装置1は、第4駆動部34が微動テーブル20を押圧する方向と反対方向に微動テーブル20を移動させる第2マグネット60を備える。
これにより、微動テーブル20は、第2マグネット60によって、第4駆動部34が微動テーブル20を押圧する方向と反対方向に回転することができる。よって、第2マグネット60によって第4移動部材34dと微動テーブル20との側面とが接触した状態を維持することができる。したがって、第4駆動部34は、微動テーブル20を精度よく回転させることができる。
【0109】
また、本実施形態において、第1軸線31eと直交する直交平面と第1軸線31eとの第1交点P1、直交平面と第2軸線32eとの第2交点P2および直交平面と第3軸線33eとの第3交点P3によって形成される三角形は、第1交点P1と第2交点P2とを結ぶ辺の長さと、第1交点P1と第3交点P3とを結ぶ辺の長さとが等しい二等辺三角形である。
これにより、第1交点P1、第2交点P2、および、第3交点P3によって形成される三角形が二等辺三角形でない場合と比べて、微動テーブル20の回転量および回転の向きに対応する第1移動部材31d、第2移動部材32d、および、第3移動部材33dの移動量および移動の向き、ひいては、第1駆動素子31b、第2駆動素子32b、および、第3駆動素子33bの変形量および変形の向きを簡便に算出することができる。
【0110】
また、本実施形態において、微動テーブル20は、平面視において、第1交点P1を通り、かつ、第2交点P2と第3交点P3とを結ぶ底辺と直交する直線Lを対称軸とする線対称形状である。
これにより、微動テーブル20が回転した場合においても、微動テーブル20の重心Gが平面視において対称軸の近傍に位置する。よって、微動テーブル20の姿勢の安定化を図ることができる。
【0111】
なお、本実施形態において、第1被支持部23のテーパ面23aを、平面および曲面に代えてもよい。この場合、微動装置1は、第1移動部材31dに代えて、第1被支持部23、第2被支持部24、および、第3被支持部25と異なる位置で微動テーブル20を回転支持する部材をさらに備えてもよい。
【0112】
また、第2被支持部24の第1平面24a、第3被支持部25の第2平面25aおよび被押圧部26の第3平面26aを、曲面に代えてもよい。さらに、第1移動部材31d、第2移動部材32d、第3移動部材33d、および、第4移動部材34dの第1球面31d1、第2球面32d1、第3球面33d1、および、第4球面34d1を、錐面に代えてもよい。
【0113】
また、第1移動部材31d、第2移動部材32d、第3移動部材33d、および、第4移動部材34dは、それぞれ、第1被支持部23、第2被支持部24、第3被支持部25および被押圧部26と面接触する形状でもよい。この場合、第1移動部材31d、第2移動部材32d、第3移動部材33d、および、第4移動部材34dは、円柱状でもよく、端面で第1被支持部23、第2被支持部24、第3被支持部25および被押圧部26と面接触してもよい。
【0114】
また、第1交点P1、第2交点P2、および、第3交点P3によって形成される三角形が二等辺三角形以外の三角形でもよい。微動テーブル20の形状は、平面視T字状以外の平面視多角形状でもよいし、線対称形状以外の形状でもよい。
【0115】
また、微動装置1は、第1マグネット50を備えなくてもよい。この場合、第1移動部材31d、第2移動部材32d、および、第3移動部材33dは、それぞれ微動テーブル20の重みによって第1被支持部23、第2被支持部24、および、第3被支持部25を支持してもよい。
【0116】
また、第2マグネット60および被押圧部26は、第1板部21の+Y側の面に配置されてもよい。この場合、被押圧部26は、例えば永久磁石であり、第2マグネット60と反発しあうように配置される。
【0117】
また、微動装置1は、第2マグネット60を備えなくてもよい。この場合、微動装置1は、第4駆動部34が微動テーブル20を押圧する方向と反対方向に微動テーブル20の側面を押圧する押圧部材を備えてもよい。
【0118】
なお、被押圧部26が第1板部21に配置されずに、第4移動部材34dが微動テーブル20の側面を直接押圧してもよい。この場合、第4移動部材34dが微動テーブル20と接触する面は、円柱面でもよい。
【符号の説明】
【0119】
1 微動装置
10 基部
20 微動テーブル
23 第1被支持部
23a テーパ面
24 第2被支持部
24a 第1平面
25 第3被支持部
25a 第2平面
30 回転装置
31 第1駆動部
31d 第1移動部材
31d1 第1球面
31e 第1軸線
32 第2駆動部
32d 第2移動部材
32d1 第2球面
32e 第2軸線
33 第3駆動部
33d 第3移動部材
33d1 第3球面
33e 第3軸線
34 第4駆動部
34d 第4移動部材
34d1 第4球面
34e 第4軸線
50 第1マグネット
60 第2マグネット
G 重心
L 直線
P1 第1交点
P2 第2交点
P3 第3交点
図1
図2
図3
図4
図5
図6