(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149960
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】焼却装置
(51)【国際特許分類】
F23J 15/06 20060101AFI20231005BHJP
F23G 5/46 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F23J15/06
F23G5/46 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058798
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390032148
【氏名又は名称】永井 良昌
(71)【出願人】
【識別番号】522130140
【氏名又は名称】永井 健二
(71)【出願人】
【識別番号】522130151
【氏名又は名称】永井 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永井 良昌
【テーマコード(参考)】
3K065
3K070
【Fターム(参考)】
3K065AA24
3K065AB01
3K065AC01
3K065AC13
3K065AC17
3K065BA03
3K070DA09
3K070DA47
3K070DA48
(57)【要約】
【課題】水を使用することなく、簡単な構造で排出ガスの温度を調整して熱交換器に供給して熱交換器の熱による弊害を阻止する。
【解決手段】焼却装置100は、焼却炉の排出側に温度調整器を介して熱交換器21を設けており、温度調整器は送風器で外気を吸収して、焼却炉の排ガス通路に空気噴射部15から噴射し、外気と排出ガス31とを混合チャンバー18で混合して熱交換器21に移送し、さらに、空気噴射部15は、排ガス通路の外周に沿って所定の間隔で複数の噴射穴17を設けて、送風器から送風される外気を噴射穴17から排出ダクト7内に噴射し、噴射された外気を混合チャンバー18で混合して熱交換器21に移送する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼却炉と、前記焼却炉が排出する排出ガスの通路に設けられて、排出ガスの熱エネルギーを吸収する熱交換器とを備える焼却装置であって、
前記焼却炉と前記熱交換器との間に排出ガスの温度を低下させる温度調整器を設けており、
前記温度調整器が、
外気を吸収して強制送風する送風器と、
前記送風器から強制送風される外気を排ガス通路に噴射する空気噴射部と、
前記空気噴射部と前記熱交換器との間に連結されて、外気と排出ガスとを混合して前記熱交換器に移送する混合チャンバーとを備え、
前記空気噴射部は、前記排ガス通路の外周に沿って所定の間隔で設けてなる複数の噴射穴を有し、前記送風器が強制送風する外気が前記噴射穴から排出ダクト内に噴射され、前記排出ダクト内に噴射された外気が前記混合チャンバーで排出ガスに混合されて前記熱交換器に移送されるようにしてなることを特長とする焼却装置。
【請求項2】
前記空気噴射部が、前記排出ダクトの外側に設けてなるリング状の環状ダクトを備え、
前記環状ダクトは、長手方向に所定の間隔で前記排出ダクトに外気を強制送風する前記噴射穴を設けてなることを特長とする請求項1に記載する焼却装置。
【請求項3】
前記空気噴射部が、前記排出ダクトの外側に設けてなるリング状の環状ダクトを備え、
前記送風器が、リング状の前記環状ダクト内を循環するように外気を送風して、循環する外気を前記噴射穴から前記排出ダクト内に噴射することを特長とする請求項1又は2に記載する焼却装置。
【請求項4】
前記噴射穴から前記排出ダクトの中央に向かって噴射される外気が、前記混合チャンバーで回転しながら排出ガスと混合されて前記熱交換器に供給されるようにしてなることを特長とする請求項3に記載する焼却装置。
【請求項5】
前記送風器が外気を強制送風するファンと、このファンを回転するモータと、前記モータの回転数を調整して、外気の送風量をコントロールする空気調整器を備えることを特長とする請求項1ないし4のいずれかに記載する焼却装置。
【請求項6】
前記焼却炉が、内部の燃焼ガスの最高温度を900℃以上とすることを特長とする請求項1ないし5のいずれかに記載する焼却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可燃物を焼却する焼却装置に関し、とくに可燃物の燃焼温度を高くして排ガスの有害物質濃度を低くして排出する焼却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
焼却炉は、廃棄物などの可燃物の燃焼温度を高くして、ダイオキシンなどの有害物質の濃度を低くでき、また、PCBなどの可燃物の焼却装置にあっては、PCBを高温で焼却して完全に分解して無害化できる。さらに、この種の焼却装置は、排出ガスの熱エネルギーを熱交換器で吸収して有効利用できる。しかしながら、高温の排出ガスは、熱交換器に熱的な弊害、たとえば、熱交換器の金属を変形し、あるいは損傷する等の弊害を与えるので、温度調整して熱交換器に供給する必要がある。このことを実現するために、高温の排出ガスの温度を低下する冷却機構を備えた焼却装置が開発されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、排出ガスの通路に水を噴射して、水を蒸発させる気化熱で排出ガスの温度を低下して熱交換器に供給する焼却装置を記載している。この焼却装置は、排出ガス中に水を噴射して気化させるので、噴射した水をすべて蒸発させるためには、大容積の冷却装置が必要なことから冷却装置が大きくなり、また、噴射した全ての水を完全に蒸発させることは難しいので、気化されずに水滴となった水が排出され、しかもこの排水が多量の煤を含有するので排水処理に手間がかかる欠点がある。
【0005】
特許文献1はこの焼却装置の欠点を解消することを目的として、
図6に示すように、高温の排出ガスの通路を、水95を収納しているタンク93内にパイプ92を配設している熱交換器91に導き、パイプ92を介して排出ガス94の持つ熱エネルギーを水の昇温及び蒸発エネルギーとして吸収して冷却した後、集塵機を介して煙突96から外部に排気する装置も開示している。しかしながら、この焼却装置90は、排ガス通路のパイプ92を水中に配置して高温の排出ガス94を直接に供給するので、熱交換器91のパイプ92が加熱されて起こる熱障害を防止できない。
【0006】
本発明は以上の欠点を解消することを目的として開発されたもので、本発明の一目的は、極めて簡単な構造で排出ガスの温度を調整して熱交換器に供給して、熱交換器の熱による弊害を有効に防止できる焼却装置を提供することにある。さらに本発明の他の目的は、汚水処理を必要とせず熱交換器の熱傷害を有効に阻止できる焼却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の請求項1の焼却装置は、焼却炉1と、焼却炉1の排ガス通路8に設けられて排出ガス31の熱エネルギーを吸収する熱交換器21とを備え、焼却炉1と熱交換器21との間には、熱交換器21の熱による弊害を防止するために、排出ガス31の温度を低下させる温度調整器10を設けている。温度調整器10は、外気を吸収して強制送風する送風器11と、送風器11から強制送風される外気を排ガス通路8に噴射する空気噴射部15と、空気噴射部15と熱交換器21との間に設けられて、外気と排出ガス31とを混合して熱交換器21に移送する混合チャンバー18とを備える。空気噴射部15は、排ガス通路8の外周に沿って所定の間隔で設けている複数の噴射穴17を有し、送風器11が強制送風する外気が噴射穴17から排出ダクト7内に噴射され、噴射された外気は混合チャンバー18で排出ガス31に混合されて熱交換器21に移送される。
【0008】
以上の焼却装置は、水を使用することなく、極めて簡単な構造で排出ガスの温度を調整して熱交換器に供給して、熱交換器の加熱による弊害を確実に防止できる特長がある。それは、以上の焼却装置が、焼却炉の排ガス通路の周囲に設けた複数の噴射穴から排ガス通路内に向かって外気を噴射し、さらに噴射された外気と排出ガスとを熱交換器との間に設けている混合チャンバーで混合して排出ガスの温度を低下させて熱交換器に移送するからである。とくに、以上の焼却装置は、排ガス通路の周囲に設けた複数の噴射穴から外気を排ガス通路に噴射して排出ガスに混合するので、排出ガスの周囲に外気が均一に噴射されて、噴射された外気が排出ガスを撹拌して効果的に混合される。さらに、外気が噴射されて撹拌状態にある排出ガスは、混合チャンバーを移送する途中で更に均一に外気と混合されて排出ガスの温度分布を均一化しながら全体の温度が低下して熱交換器に供給されるので、熱交換器が加熱されて発生する障害を効果的に防止できる特長がある。さらに、以上の焼却装置は、水の気化熱によらず、送風器で強制送風する外気を排出ガス中に噴射して温度調整するので、従来のように水の気化熱を利用する焼却装置のように汚水が排出されないので汚水処理を必要とせず、さらに空だきを防止すると共に、水の気化熱で排出ガスの温度を設定値とするために水の供給量を正確にコントロールする必要もなく、さらにまた、外気で温度調整した排出ガスを熱交換器に供給するので、熱交換器の加熱による障害を確実に防止できる特長がある。
【0009】
本発明は、焼却装置を以下に限定するものではないが、以下の構成とすることも可能である。
本発明のある態様にかかる焼却装置は、請求項2に記載するように、空気噴射部15に、排出ダクト7の外側に設けてなるリング状の環状ダクト16を設けて、環状ダクト16には、長手方向に所定の間隔で排ガス通路8に外気を強制送風する噴射穴17を設ける構造とすることができる。この焼却装置は、送風器で外気をリング状の環状ダクトに強制送風し、環状ダクトに強制送風された外気を複数の噴射穴から排ガス通路内に噴射できるので、簡単な構造で複数の噴射穴から均一に外気を排出ガス中に噴射できる特長がある。
【0010】
本発明のある態様にかかる焼却装置は、請求項3に記載するように、以上の請求項2の構成に追加して、送風器11でリング状の環状ダクト16内の外気を循環して、循環する外気を噴射穴17から排出ダクト7内に噴射することができる。また、この焼却装置は、請求項4に記載するように、噴射穴17から排出ダクト7の中央に向かって噴射される外気を混合チャンバー18で回転させながら排出ガス31と混合して熱交換器21に供給することで、外気と排出ガスとを均一に混合して温度ムラを少なくして、熱交換器に送風できる。
【0011】
さらに、本発明のある態様にかかる焼却装置は、請求項5に記載するように、送風器11を外気を強制送風するファン12と、このファン12を回転するモータ13と、モータ13の回転数を調整して、外気の送風量をコントロールする空気調整器14とで構成して、排ガス通路に噴射する外気の風量をコントロールし、外気と排出ガスとの混合比を調整して熱交換器に送風する排出ガスの温度を調整できる。この焼却装置は、熱交換器に送風する外気の温度を最適値に調整して熱交換器の熱による障害を防止しながら、熱交換器で効率よく廃熱を回収できる特長がある。
【0012】
本発明のある態様にかかる焼却装置は、請求項6に記載するように、焼却炉1における燃焼ガス30の最高温度を900℃以上として、排出ガスの有害物質をより確実に除去できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1に係る焼却装置の概略構成図である。
【
図2】
図1に示す焼却装置の空気噴射部の拡大横断面図である。
【
図4】空気噴射部のさらなる変形例に係る断面図である。
【
図5】空気噴射部のさらなる変形例に係る断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が制限されるものではない。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
さらに以下に示す実施形態は、本発明の技術思想の具体例を示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施の形態、実施例において説明する内容は、他の実施の形態、実施例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張していることがある。
【0015】
本発明の焼却装置は、廃棄物などの可燃物を高温の燃焼ガスにより燃焼させる焼却炉を使用する種々の焼却施設に利用される。また、本発明の焼却装置は、可燃物を廃棄の目的で焼却する用途に特定するものではなく、種々の可燃物を焼却して発生する熱エネルギーを有効に利用する目的で使用される。
【0016】
図1に示す焼却装置100は、焼却炉1と、焼却炉1から排出される排出ガス31の熱エネルギーを吸収する熱交換器21とを備え、焼却炉1と熱交換器21との間に排出ガス31の温度を低下させる温度調整器10を設けている。
【0017】
図1に示す焼却炉1は、廃棄物である生ゴミや木くず、プラスチックなどの可燃物を燃焼させるもので、焼却炉本体2に点火用のバーナー6を連結している。焼却炉本体2は、金属やコンクリート等の耐火物で製作された閉鎖構造で、この焼却炉本体2の内部に、可燃物を燃焼する燃焼室3を設けている。さらに、焼却炉本体2は、可燃物を燃焼室3内に投入する投入口4と、燃焼室3内の高温の燃焼ガス30を排出ガスとして外部に排出する排出口5とを開口している。
【0018】
図1の焼却炉1は、焼却する可燃物を投入口4から燃焼室3内に投入後、焼却炉本体2に連結されたバーナー6で火炎を放射して可燃物に点火する。点火された可燃物が燃焼するために、空気吸入口(図示せず)から燃焼用の空気が流入される。可燃物を高温で燃焼するために、空気の流入状態と流量とをコントロールする。燃焼ガス30の温度は、ダイオキシン等の有害物質が発生しないように900℃以上となるように調整する。燃焼ガス30の温度は、空気の流量状態や流入量、またバーナー6の運転で調整する。特に、水分を多く含む生ゴミや、低温で燃焼するとダイオキシンを発生させるプラスチック等を燃焼させる場合は、バーナー6で強制的に完全燃焼させる。ただし、木くずや紙などの燃焼しやすい可燃物を燃焼する場合は、可燃物に点火後、バーナー6の運転を停止してもよい。点火された可燃物が燃焼する際に発生する熱エネルギーが、残りの可燃物を加熱し、燃焼するからである。
【0019】
図1に示す焼却炉1は、一次燃焼過程のみの単段燃焼方式であるが、二次燃焼過程や三次燃焼過程を有す複数段燃焼方式の焼却炉を使用することもできる。また、炉床にロストルを有するストーカ式や、流動床式の焼却炉なども使用できる。焼却炉1は、可燃物を高温で、例えば、ダイオキシン等の有害物質が発生する恐れのない800℃以上、好ましくは900℃以上の高温で燃焼することのできる構造が好ましい。
【0020】
焼却炉1の燃焼室3内部で、可燃物が燃焼して発生する燃焼ガス30は、焼却炉本体2に設けられた排出口5から排出ガス31として排出される。排出口5には、排出ダクト7が連結されている。この排出ダクト7は金属製で、内部を排出ガス31が移送する排ガス通路8としている。また、焼却炉本体2に設けられた排出口5は、排出ダクト7を介して熱交換器21を連結している。この排出ダクト7に温度調整器10を設けている。
【0021】
温度調整器10は、排出ダクト7内を移送する高温の排出ガス31に、外気を混合することで温度を低下させる。温度が低下した排出ガス31は、熱交換器21に供給される。
図1に示す温度調整器10は、外気を吸収して強制送風する送風器11と、送風器11に連結された空気噴射部15と、空気噴射部15と熱交換器21の間に位置する混合チャンバー18とを備えている。空気噴射部15は、送風器11から供給される外気を排出ダクト7の内部に噴射する。噴射された外気は、混合チャンバー18で排出ガス31と混合される。図の温度調整器10は、送風器11が吸収した外気を空気噴射部15を介して排出ダクト7内に噴射し、混合チャンバー18内で排出ガス31と外気とを混合させることで、排出ガス31の温度を低下させている。温度調整器10で温度が低下された排出ガス31が熱交換器21に供給されるので、熱交換器21の損傷を効果的に抑制できる。
【0022】
空気噴射部15に外気を供給する送風器11は、外気を吸収し強制送風するファン12と、このファン12を回転するモータ13と、モータ13の回転数を調整して外気の送風量をコントロールする空気調整器14とを備えている。空気調整器14は、モータ13を連結している。空気調整器14は、モータ13に供給する電力を調整することで、モータ13の回転数をコントロールしている。空気調整器14でモータ13の回転数、すなわちファン12の回転数が調整される送風器11は、空気噴射部15に供給する外気の送風量を変更して最適値に調整することができる。
【0023】
外気を排出ダクト7内に噴射する空気噴射部15は、排出ダクト7の外周に沿って所定の間隔で設けられた複数の噴射穴17が設けられている。送風器11から供給された外気は、この噴射穴17から排出ダクト7内に噴射される。噴射穴17から噴射された外気は、排出ダクト7内を移送する排出ガス31に混合される。
【0024】
図1及び
図2に示す空気噴射部15は、排出ダクト7の外側にリング状の環状ダクト16を設け、環状ダクト16に送風器11を連結している。環状ダクト16は、排出ダクト7の外形よりも大きい内形を有する筒状で、その両端を閉塞している。図の環状ダクト16は金属製で、送風通路20を設けている。送風通路20は、排出ダクト7の外周面と環状ダクト16の内周面との間に形成される空間であって、送風器11から供給される外気の通路である。図の環状ダクト16は円筒状としているが、矩形状等でも構わない。また、環状ダクト16は、排出ダクト7と同様の形状が好ましいが、送風通路20を確保できればその限りではない。
【0025】
排出ダクト7は、環状ダクト16の内部において複数の噴射穴17が設けられている。噴射穴17は、
図2に示すように、環状ダクト16内の排出ダクト7の外周に沿って、所定の間隔に設けられている。また、噴射穴17は、排出ダクト7の長手方向に所定の間隔で複数設けることもできる。排出ダクト7の外周に沿って複数の噴射穴17を設ける構造は、排出ダクト7内の排出ガス31に外気が均一に噴射され、噴射された外気が、排出ガス31を撹拌して効果的に混合される。
【0026】
また、図に示す噴射穴17は円形状としているが、噴射穴は種々の形状とすることもできる。例えば、噴射穴は、
図3に示す長円形や、図示しないがスリット状とすることもできる。長円形やスリット状の噴射穴を備える空気噴射部15は、開口される方向を特定することで、排出ダクトに流入される外気の流動方向を調整することができる。また、複数の噴射穴は、必ずしも等間隔で設ける必要はなく、多数の噴射穴をランダムに開口することで、外気を実質的に均等に混合させることもできる。
【0027】
排出ダクト7の外側に環状ダクト16を設ける構造の空気噴射部15は、
図2に示すように送風器11から供給される外気が、排出ダクト7の外周に沿って環状に循環する。排出ダクト7に沿って環状に循環する外気が、複数の噴射穴17から排出ダクト7内の中央に向かって噴射されることにより、排出ダクト7内を移送する排出ガス31に外気が混合されて渦流の回転が発生する。このように、排出ガス31と外気が、排出ダクト7の内面に沿って回転しながら混合チャンバー18で均一に混合されることで、排出ガス31の温度をムラなく低下させて熱交換器21に供給することができる。
【0028】
また、この構造の空気噴射部15は、排出ダクト7の内面に付着する煤塵の付着量を少なくすることができる。それは、排出ダクト7内を移送する排出ガス31の周囲に外気が噴射されることで、外気が混合された排出ガス31が、排出ダクト7内で回転しながら移送されるからである。排出ガス31には煤塵が含まれており、この煤塵を除去するためのフィルターを設けることが、焼却装置では一般的である。しかし、フィルターは、その性能から排出ガス31の温度を200℃程度に低下させてから流入させる必要があるので、焼却炉1の排出口5と温度調整器10の間にフィルターを設けることができない。したがって、排出ダクト7を移送する排出ガス31は、煤塵が含まれた状態である。長期間にわたって焼却装置100を運転させると、排出ガス31に含まれる煤塵が、排出ダクト7の内面に付着して噴射穴17を塞ぐ恐れがある。さらに、排出ダクト7内を移送する排出ガス31は、その流動が一様ではなく偏りが生じている。これにより、排出ダクト7内面の特定の位置のみに煤塵の付着が進行し、排出ダクト7の内面において煤塵の付着量が不均一となるので、排出ダクト7内のメンテナンスを頻繁に行う必要が生じる。空気噴射部15において、排出ダクト7の外周から排出ガス31の周囲に外気が噴射されることで、排出ダクト7の内面と排出ガス31との接触が少なくなり、必然と煤塵の付着量が減少する。さらにまた、排出ガス31と外気の混合気体が、排出ダクト7内で渦流となって回転することで、排出ガス31の流動に偏りが生じないので、煤塵の付着量が不均一となることを防ぎ、メンテナンス周期を長くすることができる。
【0029】
空気噴射部15は、排出ダクト7の長手方向に延伸させてもよい。
図4に示す空気噴射部15は、環状ダクト16を排出ダクト7の長手方向に延伸し、排出ダクト7の外周に螺旋状に位置するように噴射穴17を設けている。この構造の空気噴射部15は、排出ガス31の移送方向に向かって排出ダクト7内に外気を流入させるので、排出ダクト7内を移送する排出ガス31の温度を徐々に低下させることができる。すなわち、混合チャンバー18として外気と混合される領域を広くして、より効率的に排出ガス31の温度を低下させることができる。また、噴射穴17を螺旋状に配置することで、排出ダクト7内を移送する排出ガス31に渦流の回転を発生させやすくする特徴も備える。
【0030】
さらに空気噴射部15は、
図5に示すように、噴射穴17の開口面積を調整する開口調整機構19を設けることもできる。開口調整機構19は、排出ダクト7の表面に沿って配置されており、排出ダクト7の表面に沿って移動可能である。開口調整機構19を移動させることで、排出ダクト7に設けた噴射穴17の一部、または全部を自在に開閉して、排出ダクト7内に噴射される外気の送風量を調整する。排出ダクト7内に噴射される外気の送風量は、送風器11の空気調整器14でコントロールできる。しかしながら、送風量の細かな調整を行いたい時や、空気調整器14を備えない送風器11を使用した場合に、開口調整機構19は便利に使用できる。
【0031】
以上の空気噴射部15を備える温度調整器10は、噴射穴17から排出ダクト7内に外気を噴射して排出ガス31を撹拌させる。この状態の排出ガス31が、混合チャンバー18を移送する途中でさらに均一に外気と混合されて、温度が低下される。また、混合チャンバー18の熱交換器21側には、温度センサ(図示せず)を設けている。この温度センサで、熱交換器21に供給させる排出ガス31の温度を検出し、その温度に応じて排出ダクト7内に噴射する外気の送風量を調整する。焼却炉1で900℃以上の燃焼ガス30で可燃物を燃焼すると、ダイオキシン等の有害物質が発生することなく安全に可燃物を焼却できる。焼却炉から排出される高温の排出ガスは、温度調整器10で温度をコントロールしながら熱交換器21に供給する。温度調整器10は、温度センサで排出ガス31の温度を確認しながら外気の送風量を調整する。温度調整器10は、好ましくは、排出ガス31の温度を500℃以下とするように送風器の流量を調整する。500℃以下程度に調整された排出ガス31は、その熱で熱交換器21を損傷するのを抑制しながら、安全に熱交換器21に供給される。空気噴射部は、排出ダクトに外気を噴射して排出ガスの温度を低下するが、熱交換器に強制送風する排出ガスの風量を増加して、熱交換効率の低下を少なくする。熱交換器に供給する排出ガスの風量が増加して、熱交換器表面を流れる排出ガスの流速が増加することが、熱交換効率を高くするからである。
【0032】
熱交換器21は、温度調整器10から移送された排出ガス31と熱交換して、排出ガス31の温度をさらに低下させる。
図1に示す熱交換器21は、混合チャンバー18の排出側に設けられている。図の熱交換器21は、水冷式で、内部に蛇行状または螺旋状に形成された熱伝導率の高い金属製のパイプ22が配設されている。このパイプ22は、熱交換器21に供給される冷却用の水25を貯留するタンク23が連結されており、給水ポンプ24を介してタンク23内の水25が供給される。供給された水25が、パイプ22内を流通して、排出ガス31の熱エネルギーはパイプ22を介して水に熱伝導される。パイプ22内を流通する水25は、排出ガス31との熱交換によって加熱されて温水となり、タンク23内に還流される。この温水は、給湯熱源や暖房熱源として有効に利用することができる。熱交換器21を通過した排出ガス31は、集じん器(図示せず)で煤塵を除去した後に、煙突26を介して外部へ排出される。
【0033】
以上の焼却装置100は、以下の工程で運転して排出ガス31の温度を調整する。
(1)焼却炉1の投入口4から、所定量の可燃物を燃焼室3内に投入する。
(2)バーナー6に点火して、火炎を噴射する。また、温度調整器10の送風器11の運転も開始する。点火されたバーナー6から噴射される火炎は、可燃物に点火する。可燃物の燃焼が開始すると、燃焼用の空気量やバーナー6の運転を調整して、900℃以上の高温の燃焼ガス30で安定して燃焼するようにコントロールする。燃焼室3内で可燃物を燃焼させた高温の燃焼ガス30は、排出口5から排出ガス31として排出されて、排出ダクト7に流入する。
(3)排出ガス31が排出ダクト7内に流入されると、稼働中の送風器11が、排出ダクト7内に噴射させる外気の送風量を調整し、空気噴射部15の環状ダクト16に供給する。外気の送風量は、温度センサが検出した排出ガス31の温度に応じて、空気調整器14でコントロールして調整される。空気調整器14は、ファン12を連結するモータ13の回転数をコントロールすることで、送風量を調整する。送風量が調整された外気は、環状ダクト16内の送風通路20を循環すると共に、噴射穴17から排出ダクト7の中央に向かって噴射される。噴射された外気は排出ガス31と混合され、渦流の回転を発生させながら、混合チャンバー18内でさらに均一に排出ガス31と混合される。外気が混合された排出ガス31は、500℃以下に温度が低下し、熱交換器21に供給される。
(4)熱交換器21に供給された排出ガス31は、熱交換器21内に配設された金属製のパイプ22内を流通する水25と熱交換して温度が低下する。温度が低下した排出ガス31は、集じん器で煤塵を除去後、煙突26から外部へと排出される。また、パイプ22内を流通する水25は、排出ガス31との熱交換によって加熱されて温水となり、有効に利用される。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の焼却装置は、可燃物を高温で焼却して熱エネルギーを回収して有効利用する装置として有効に使用できる。
【符号の説明】
【0035】
100…焼却装置
1…焼却炉
2…焼却炉本体
3…燃焼室
4…投入口
5…排出口
6…バーナー
7…排出ダクト
8…排ガス通路
10…温度調整器
11…送風器
12…ファン
13…モータ
14…空気調整器
15…空気噴射部
16…環状ダクト
17…噴射穴
18…混合チャンバー
19…開口調整機構
20…送風通路
21…熱交換器
22…パイプ
23…タンク
24…給水ポンプ
25…水
26…煙突
30…燃焼ガス
31…排出ガス
90…焼却装置
91…熱交換器
92…パイプ
93…タンク
94…排出ガス
95…水
96…煙突