(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149962
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/75 20110101AFI20231005BHJP
H01R 24/38 20110101ALI20231005BHJP
H01R 13/6593 20110101ALI20231005BHJP
【FI】
H01R12/75
H01R24/38
H01R13/6593
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058800
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】592028846
【氏名又は名称】I-PEX株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 脩太
(72)【発明者】
【氏名】小▲柳▼ 昭人
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA04
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB07
5E021FC40
5E021LA10
5E021LA15
5E223AB06
5E223BA01
5E223BA07
5E223BA15
5E223BA17
5E223BB01
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB29
5E223CB31
5E223CB38
5E223CC09
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB08
5E223DB25
5E223EA02
5E223EB04
5E223EB13
5E223EB32
(57)【要約】
【課題】コネクタのさらなる低背化を実現する。
【解決手段】プラグコネクタ10は、複数のケーブルを保持すると共に、基板に設置された相手コネクタに対して基板に垂直方向に嵌合可能なコネクタであって、複数のケーブルの信号導体としての内部導体91に対して個別に接続する、複数のコンタクト13と、相手コネクタに嵌合する嵌合部を有するハウジング12と、ハウジング12の一部を覆うシェル11と、を有する。コンタクト13は、内部導体91と接続される接続部13aと、嵌合部に設けられて相手コネクタのコンタクトと接触する接触部13cと、接続部13aと接触部13cとを繋ぐ連結部13bと、からなる。コンタクト13は、相手コネクタとの嵌合時に接触部13c及び接続部13aが連結部13bよりも基板寄りに位置するように折り曲げられ、シェル11は、連結部13bもしくは連結部13bを覆うハウジング12の一部が露出する露出部を有する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーブルを保持すると共に、基板に設置された相手コネクタに対して前記基板に垂直方向に嵌合可能なコネクタであって、
前記複数のケーブルの信号導体に対して個別に接続する、複数の導電性からなるコンタクトと、
前記相手コネクタに嵌合する嵌合部を有するハウジングと、
前記ハウジングの一部を覆う導電性のシェルと、
を有し、
前記コンタクトは、前記信号導体と接続される接続部と、前記嵌合部に設けられて相手コネクタのコンタクトと接触する接触部と、前記接続部と前記接触部とを繋ぐ連結部と、からなり、
前記コンタクトは、前記相手コネクタと嵌合した状態で前記接触部及び前記接続部が前記連結部よりも前記基板寄りに位置するように折り曲げられ、
前記シェルは、前記連結部もしくは前記連結部を覆う前記ハウジングの一部が露出する露出部を有する、コネクタ。
【請求項2】
前記コンタクトは、前記ハウジングに一体的に設けられる、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記嵌合部は、前記コンタクトの延びる方向に沿って対向する一対の壁面を有し、
前記複数のコンタクトは、複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトとからなり、
前記第1コンタクトの前記接触部は、前記壁面の一方に設けられ、
前記第2コンタクトの前記接触部は、前記壁面の他方に設けられ、
前記複数のコンタクトの並ぶ方向に沿って、前記第1コンタクトと前記第2コンタクトが、交互に設けられる、請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記露出部は、前記シェルに設けられた開口によって構成され、
前記ハウジングは、前記開口に挿入される凸部を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記凸部と前記開口の内面とが固着することにより、前記シェルに対する前記ハウジングの移動が規制される、請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記連結部は、前記相手コネクタとの嵌合時に前記基板の主面に沿うように設けられる直線部を含み、
前記直線部または前記直線部を覆う前記ハウジングが、前記開口から露出する、請求項4または5に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の電気ケーブルを基板上の配線と接続するためのコネクタとして、ケーブル側コネクタと、基板側コネクタとを嵌合させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、電子機器の薄型化・小型化に伴い、コネクタについても低背化することが望まれている。
【0005】
本開示は上記を鑑みてなされたものであり、コネクタのさらなる低背化が可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一形態に係るコネクタは、複数のケーブルを保持すると共に、基板に設置された相手コネクタに対して前記基板に垂直方向に嵌合可能なコネクタであって、前記複数のケーブルの信号導体に対して個別に接続する、複数の導電性からなるコンタクトと、前記相手コネクタに嵌合する嵌合部を有するハウジングと、前記ハウジングの一部を覆う導電性のシェルと、を有し、前記コンタクトは、前記信号導体と接続される接続部と、前記嵌合部に設けられて相手コネクタのコンタクトと接触する接触部と、前記接続部と前記接触部とを繋ぐ連結部と、からなり、前記コンタクトは、前記相手コネクタと嵌合した状態で前記接触部及び前記接続部が前記連結部よりも前記基板寄りに位置するように折り曲げられ、前記シェルは、前記連結部もしくは前記連結部を覆う前記ハウジングの一部が露出する露出部を有する。
【0007】
上記のコネクタによれば、コンタクトの接触部及び接続部が、前記相手コネクタと嵌合した状態で連結部よりも基板寄りに位置するように折り曲げられることで、接触部及び接続部を基板寄りの位置に配置することができる。このとき、特に、接続部に接続される信号導体が基板寄りの位置で保持される。また、連結部または連結部を覆うハウジングの一部がシェルの露出部から露出される構成とすることで、露出部においては連結部または連結部を覆うハウジングの一部に対してシェルが積層される状態を防ぐことができるため、コネクタとしての低背化を実現することができる。
【0008】
前記コンタクトは、前記ハウジングに一体的に設けられる態様であってもよい。
【0009】
上記のように、コンタクトとハウジングとが一体的に設けられることで、ハウジングによるコンタクトの保持力を向上することができる。
【0010】
前記嵌合部は、前記コンタクトの延びる方向に沿って対向する一対の壁面を有し、前記複数のコンタクトは、複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトとからなり、前記第1コンタクトの前記接触部は、前記壁面の一方に設けられ、前記第2コンタクトの前記接触部は、前記壁面の他方に設けられ、前記複数のコンタクトの並ぶ方向に沿って、前記第1コンタクトと前記第2コンタクトが、交互に設けられる態様であってもよい。
【0011】
上記のように第1コンタクトと第2コンタクトが交互に配置される構成とすることで、第1コンタクト同士の間隔および第2コンタクト同士の間隔を確保することができる。
【0012】
前記露出部は、前記シェルに設けられた開口によって構成され、前記ハウジングは、前記開口に挿入される凸部を有する態様であってもよい。
【0013】
露出が開口によって構成されていて、ハウジングが開口に挿入される構成とすることとで、低背化を実現することができる。
【0014】
前記凸部と前記開口の内面とが固着することにより、前記シェルに対する前記ハウジングの移動が規制される態様であってもよい。
【0015】
上記のように、凸部と開口の内面とが固着して、シェルに対するハウジングの移動が規制される構成とすることで、コネクタ全体としての一体化がさらに促進される。
【0016】
前記連結部は、前記相手コネクタとの嵌合時に前記基板の主面に沿うように設けられる直線部を含み、前記直線部または前記直線部を覆う前記ハウジングが、前記開口から露出する態様であってもよい。
【0017】
連結部は、接触部及び接続部と比べて基板から離れた位置に設けられる。このような連結部のうち直線部または直線部を覆うハウジングが、開口から露出する構成とすることで、直線部とシェルとをより近付けた構成とすることが可能となり、コネクタ全体としての低背化を実現することができる。
【発明の効果】
【0018】
本開示によれば、コネクタのさらなる低背化を実現する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態に係るコネクタ装置の斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、プラグコネクタの上面図であり、
図3(b)は、プラグコネクタの下面図である。
【
図4】
図4は、プラグコネクタより第1シェルとケーブルを除いた斜視図である。
【
図5】
図5は、プラグコネクタの第1シェルの斜視図である。
【
図6】
図6(a)、
図6(b)は、それぞれ
図3(a)のVIa-VIa矢視図、VIb-VIb矢視図である。
【
図7】
図7は、リセプタクルコネクタの斜視図である。
【
図8】
図8(a)は、リセプタクルコネクタの上面図であり、
図8(b)は、リセプタクルコネクタの下面図である。
【
図9】
図9(a)、
図9(b)は、それぞれ
図8(a)のIXa-IXa矢視図、IXb-IXb矢視図である。
【
図10】
図10(a)、
図10(b)は、コネクタ装置における嵌合状態を説明する図であり、
図6(a)、
図6(b)に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に説明される本開示に係る実施形態について説明するが、本開示は以下の内容に限定されるべきではない。以下の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0021】
[コネクタ装置の概要]
図1を参照して、コネクタ装置の概要について説明する。
図1に示すように、電気コネクタの一種であるコネクタ装置1は、プラグコネクタ10と、リセプタクルコネクタ30(相手方コネクタ)とを備える。
【0022】
プラグコネクタ10は、電気ケーブル90に取り付けられ、電気ケーブル90に電気的に接続されている。リセプタクルコネクタ30は、回路基板70に取り付けられ、回路基板70に電気的に接続されている。
【0023】
プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30は、回路基板70の主面70s(例えば、XY平面)に対して直交する第3方向(例えば、Z軸方向)に沿って互いに嵌合及び抜去可能に構成されている。プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30の嵌合状態において、回路基板70の主面70sに形成されている導電路(例えば配線であって、図示を省略する。)と電気ケーブル90とが電気的に接続される。このように、コネクタ装置1は、当該導電路と電気ケーブルとを電気的且つ物理的に接続するための装置である。
【0024】
回路基板70は、電子回路や電子部品を搭載する各種の基板であり、例えばプリント配線基板またはフレキシブルプリント基板等である。回路基板70は、主面70s上にリセプタクルコネクタ30をハンダ接続等により実装している。
【0025】
電気ケーブル90は、携帯電話等の小型の電子機器に内蔵される各種の回路基板間で信号等を伝送するために用いられる配線であり、例えば同軸ケーブル等である。電気ケーブル90は、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30の嵌合状態において、第1方向(例えばX軸方向)に沿って延びている。プラグコネクタ10は、第1方向に沿って延びる同軸ケーブル用のコネクタであってもよい。なお、電気ケーブル90は、線状に延びる金属線(例えば銅線)からなる内部導体91(信号導体)と、内部導体91の周面を覆う絶縁体92と、円筒状を呈する金属編組線からなり且つ絶縁体92の周面を覆う外部導体93と、外部導体93の周面に保護被膜94とを含む(
図6参照)。
【0026】
以下の実施形態では、第1方向がX軸方向に沿い、第2方向がY軸方向に沿い、第3方向がZ軸方向に沿うものとして説明する。
【0027】
[プラグコネクタ]
次に、
図2、
図3(a),(b)、
図4、
図5及び
図6(a),(b)を参照し、プラグコネクタ10について詳細に説明する。プラグコネクタ10は、本体部分が第2方向(Y軸方向)に沿って延びる長尺状のコネクタで、相手コネクタであるリセプタクルコネクタ30に嵌合するように構成され、且つ、電気ケーブル90が接続されたコネクタである。
図2及び
図3(a),(b)に示されるように、プラグコネクタ10は、シェル11(プラグシェル)と、ハウジング12(プラグハウジング)と、複数のコンタクト13(プラグコンタクト)とを含む。なお、複数のコンタクト13は、複数の第1コンタクト13Aと複数の第2コンタクト13Bとを含んで構成される。
【0028】
ハウジング12は、樹脂を含んだ絶縁材料で構成されており、複数のコンタクト13を保持すると共に、シェル11とコンタクト13との間を絶縁する。
図4及び
図6(a),(b)に示されるように、例えばハウジング12は、本体部12aと先端部12bとを含む。本体部12aは、Y軸方向に沿って延びる。また、
図6(a),(b)に示されるように、本体部12aは、コンタクト13を保持すると共に、X軸方向に沿った一端(電気ケーブル90と接続される端部)には、コンタクト13の先端が露出し、コンタクト13と電気ケーブル90の先端とが接続した状態で配置される切り欠き部12cを有する。
【0029】
先端部12bは本体部12aの一端(切り欠き部12cが設けられる端部は逆の端部)からX軸方向に突出している。先端部12bは、X軸方向に延びるコンタクト13を保持している。また、先端部12bは、コンタクト13と共にプラグコネクタ10の凸部Wを構成している。凸部Wは、リセプタクルコネクタ30に対する嵌合部として機能する。そのため、先端部12bの厚さ(Z軸方向の長さ)は、リセプタクルコネクタ30の溝部32cの高さ(Z軸方向の長さ)に対応している。なお、先端部12bは、Y軸方向に延びる一対の側面として、電気ケーブル90に対して遠い側面12fと、近い側面12gとを有している。
【0030】
図10(a),(b)に示されるように、プラグコネクタ10がリセプタクルコネクタ30と嵌合した状態においては、先端部12bに取り付けられたコンタクト13と、溝部32cから露出したコンタクト33とが接触することで、例えば、信号回路の一部を構成する。
【0031】
また、
図4に示されるように本体部12a及び先端部12bの上面には、凸部12dが形成される。この凸部12dは、後述のシェル11の開口11dに対応した形状とされていて、組み立てた際には、凸部12dが開口11dに入り込む状態となる。この点は後述する。
【0032】
シェル11は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、弾性及び導電性を有する。また、シェル11は、ハウジング12の上方を覆う第1シェル11Aと、第1シェル11Aに連結されてハウジング12の下方を覆う第2シェル11Bとを含んで構成される。
【0033】
図5に示されるように、例えば第1シェル11Aは、上壁部11aと、側壁部11bと、前壁部11cとを含む。
【0034】
上壁部11aは、
図3(a)に示されるように、電気ケーブル90の先端部を覆うと共にハウジング12の上面を覆う。上壁部11aは、
図3(a)及び
図5に示されるようにY軸方向に延びている。上壁部11aには、Y軸方向に延びる開口11dが2つ設けられている。開口11dは、Y軸方向において電気ケーブル90と重なる位置に設けられる。開口11dには、上述の通りハウジング12の凸部12dが入り込む状態となる。開口11dとハウジング12の凸部12dとは固着されている。これにより、ハウジング12と第1シェル11Aとが一体化されているとともに第1シェル11Aに対するハウジング12の移動が規制されている。
【0035】
上記のように、開口11dに対してハウジング12の凸部12dが入り込んでいる結果、
図2等に示すように、シェル11の上面において、開口11dからハウジング12が露出する露出部15が形成される。すなわち、開口11d内部が露出部15に相当する。
【0036】
図5に戻り、側壁部11bは、上壁部11aのY軸方向の両端から下方(凸部Wの突出する方向)に延びるように設けられている。一対の側壁部11bは、互いに対向するように設けられている。
【0037】
前壁部11cは、
図6(a),(b)に示されるように、上壁部11aのX軸方向の一端(電気ケーブル90が接続される端部とは逆の端部)から下方(凸部Wの突出する方向)に延びるように設けられている。前壁部11cは、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30が嵌合した状態において、リセプタクルコネクタ30のシェル31の側壁部31bに重なるように設けられている。
【0038】
第2シェル11Bは、ハウジング12の下方に設けられる。
図3(b)、
図4、
図6(a),(b)に示されるように第2シェル11Bは、底壁部11eと、側壁部11fとを有する。
【0039】
底壁部11eは、
図6(a),(b)に示されるように、ハウジング12の本体部12aのうち切り欠き部12cが設けられる端部から連続するように設けられ、且つ、電気ケーブル90の先端下方に設けられている。底壁部11eはY軸方向に延びている。
【0040】
側壁部11fは、底壁部11eのY軸方向の両端から上方(ハウジング12が積層される方向)に延びるように設けられている。一対の側壁部11fは、互いに対向するように設けられていて、Y軸方向においてハウジング12を挟む混むように構成されている。プラグコネクタ10を組み立てた際に、第2シェル11Bの側壁部11fと第1シェル11Aの側壁部11bとが接する。これにより、シェル11全体として同一の電位となる。
【0041】
さらに、シェル11は、
図6(a),(b)に示されるように、底壁部11e及び上壁部11aに連続して、電気ケーブル90の先端部において外部導体93の周囲を支持し、外部導体93と電気的に接続されるケーブル支持部11gが設けられる。
【0042】
複数のコンタクト13は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、導電性を有する。複数のコンタクト13は、Y軸方向に沿って配列されている。
図6(a),(b)に示されるように、各コンタクト13は、X軸方向に沿って延び、接続部13aと、連結部13bと、接触部13cと、を含む。第1コンタクト13Aと第2コンタクト13Bとは、その形状が一部異なり、プラグコネクタ10における取り付け位置が互いに異なるため、以下は取り付け位置を含めて個別に説明する。
【0043】
図6(b)に示されるように、第1コンタクト13Aの接続部13aは、ハウジング12の内部において電気ケーブル90の先端部の内部導体91に沿って延びると共に、露出した状態の内部導体91がハンダMで接続されている。第1コンタクト13Aの連結部13bは、接続部13aと接触部13cとを連結している。第1コンタクト13Aの接触部13cは、ハウジング12の先端部12bに沿って延び、その上方が先端部12bの電気ケーブル90と対向する側面である側面12gに露出した状態とされる。接触部13cは、リセプタクルコネクタ30及びプラグコネクタ10の嵌合状態において、リセプタクルコネクタ30の第1コンタクト33Aに接触する。接触部13cには、第1コンタクト33Aとの確実な接触を確保するための凹部13dが形成されていてもよい。
【0044】
図6(b)に示されるように、連結部13bは、中央部分が水平方向(XY方向)に延びている直線部13eとなっていて、端部が下方(凸部Wの突出する方向)へ向かうように折り曲げられた下降部13fとなっている。これにより、接触部13c及び接続部13aは、相手コネクタであるリセプタクルコネクタ30との嵌合時に連結部13bの中央部よりも下方、すなわち、回路基板70寄りに位置するように折り曲げられている。また、直線部13eの上面(シェル11の上壁部11a寄りの面)は、上壁部11aの下面(電気ケーブル90と対向する面)とほぼ同じ高さとされている。
【0045】
図6(a)に示されるように、第2コンタクト13Bの接続部13aは、ハウジング12の内部において電気ケーブル90の先端部の内部導体91に沿って延びると共に、露出した状態の内部導体91がハンダMで接続されている。第2コンタクト13Bの連結部13bは、接続部13aと接触部13cとを連結している。第2コンタクト13Bの接触部13cは、ハウジング12の先端部12bに沿って延び、その上方が先端部12bの電気ケーブル90と対向する側面とは逆の側面である側面12fに露出した状態とされる。接触部13cは、リセプタクルコネクタ30及びプラグコネクタ10の嵌合状態において、リセプタクルコネクタ30の第2コンタクト33Bに接触する。接触部13cには、第2コンタクト33Bとの確実な接触を確保するための凹部13dが形成されていてもよい。
【0046】
図6(a)に示されるように、連結部13bは、中央部分が水平方向(XY方向)に延びている直線部13eとなっていて、端部が下方(凸部Wの突出する方向)へ向かうように折り曲げられた下降部13fとなっている。これにより、接触部13c及び接続部13aは、相手コネクタであるリセプタクルコネクタ30との嵌合時に連結部13bの中央部よりも下方、すなわち、回路基板70寄りに位置するように折り曲げられている。また、直線部13eの上面(シェル11の上壁部11a寄りの面)は、上壁部11aの下面(電気ケーブル90と対向する面)とほぼ同じ高さとされている。
【0047】
図3(a),(b)等に示されるように、第1コンタクト13A及び第2コンタクト13BはY軸方向に沿って交互に配列されている。また、第1コンタクト13A及び第2コンタクト13Bは、それぞれY軸方向に沿って一列に配列されている。
【0048】
本実施形態に係るプラグコネクタ10では、
図2、
図6(a),(b)等に示されるようにシェル11の開口11dによって形成される露出部15において、コンタクト13の周囲を覆うハウジング12が露出する状態とされている。また、開口11dの内面に対してハウジング12の凸部12dが固着することによって、シェル11とハウジング12との接続が強固にされている。ただし、凸部12dの形状は適宜変更することができる。また、露出部15からハウジング12だけでなくコンタクト13の一部が露出してもよい。例えば、環状の凸部12dの内側を、コンタクト13の直線部13eが確認できるまで掘り下げた形状としてもよい。この場合、露出部15からは、ハウジング12の凸部12dとコンタクト13との両方が露出されることになる。さらに、ハウジング12の凸部12dを形成せず、少なくともコンタクト13とシェル11との間が絶縁できる程度にハウジング12を設ける構成としてもよい。また、上記のプラグコネクタ10では、凸部12dは上面が平坦な四角形状とされていて、開口11dの形状に対応している。これに対して、凸部12dを、開口11dの内面に対応した環状としてもよい。この場合でも、開口11dの内面とハウジング12の凸部12dとの固着が可能であるため、シェル11とハウジング12との接続が強固にされている。このように、露出部15の周辺のハウジング12の形状は適宜変更される。
【0049】
[リセプタクルコネクタ]
図7、
図8(a),(b)及び
図9(a),(b)を参照してリセプタクルコネクタ30について説明する。リセプタクルコネクタ30は、本体部分が第2方向(Y軸方向)に沿って延びる長尺状のコネクタであり、回路基板70の主面70s(
図7参照)に取り付けられている。
【0050】
図7、
図8(a),(b)等に示されるように、リセプタクルコネクタ30は、シェル31と、回路基板70に対面するハウジング32と、複数のコンタクトであるコンタクト33とを含む。なお、複数のコンタクト33は、複数の第1コンタクト33Aと複数の第2コンタクト33Bとを含んで構成される。
【0051】
ハウジング32は、樹脂を含んだ絶縁材料で構成され、Y軸方向に並列配置された複数のコンタクト33を保持する。また、ハウジング32は、シェル31とコンタクト33との間に介在し、両者を絶縁する。
図9(a)、
図9(b)に示されるように、ハウジング32は、シェル31に覆われた状態で、コンタクト33を保持する。
【0052】
例えばハウジング32は、側壁部32a,32bを含む。側壁部32a,32bはそれぞれハウジング32の長辺に沿ってY軸方向に延びている側面である。
図9(b)に示されるように、複数のコンタクト33のうち、第1コンタクト33Aの一端が側壁部32aからX軸方向に突出する。また、
図9(a)に示されるように、第2コンタクト33Bの一端が側壁部32bからX軸方向に突出している。
【0053】
図7及び
図9(a),(b)に示されるように、ハウジング32は、その上面を開口するように、Y軸方向に伸びる凹状の溝部32cを有する。溝部32cは、プラグコネクタ10を収容する空間である。溝部32cの内部には、プラグコネクタ10の凸部W(
図3(b)等参照)を収容する。また、溝部32cの内部では、第1コンタクト33A及び第2コンタクト33Bの他端が露出される。
【0054】
また、ハウジング32には、
図9(a),(b)等に示されるように、第1コンタクト33Aを支持するための貫通孔32dと、第2コンタクト33Bを支持するための貫通孔32eと、が設けられる。貫通孔32d,32eは、コンタクト33の取り付け位置に対応するように形成されている。
【0055】
なお、ハウジング32の上面32fの一部はシェル31によって覆われるが、上面32fの残りの部分及び底面32gは、
図8(a),(b)等に示されるように、シェル31に覆われず露出している。なお、側壁部32a,32bとは別のX軸方向に延びる一対の側壁部は、シェル31に覆われている。
【0056】
シェル31は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、弾性及び導電性を有する。例えばシェル31は、
図7、
図8(a),(b)に示されるように、概略ハウジング32を覆うように、上面部31aと、X軸方向に沿って延びる一対の側壁部である側壁部31b,31cと、Y軸方向に沿って延びている一対の側壁部31dと、を含む。
【0057】
上面部31aは、ハウジング32の上面32fを覆うようにXY平面に沿って延びている。また、上面部31aの長手方向に沿った中央付近において、ハウジング32の溝部32cに対して上方からプラグコネクタ10の凸部Wを挿入できるように、上面部31aは、ハウジング32の上面32fのうち溝部32cを挟んで第1コンタクト33Aの一端寄りの上面と第2コンタクト33Bの一端寄りの上面とを覆うように形成されている。
【0058】
側壁部31b,31cは、
図8(a)等に示されるように、X軸方向において互いに対向し、Y軸方向に沿って延びている。側壁部31bは、
図7に示されるように、Y軸方向の両端部では、回路基板70の主面70sから上方に延びている。一方、
図9(a),(b)等に示されるように、Y軸方向の中央部では、側壁部31bの下端(回路基板70寄りの端部)は、回路基板70から離れた位置に設けられている。中央部における側壁部31bの下方(回路基板70寄り)の空間からは、第1コンタクト33Aが突出している。また、側壁部31bのZ軸方向の一端において側壁部31bと上面部31aとが連続している。
【0059】
側壁部31cは、ハウジング32の側壁部32bよりもX軸方向の外方に位置している。側壁部31cは、
図7に示されるように、Y軸方向の両端部では、回路基板70の主面70sから上方に延びている。一方、
図9(a),(b)等に示されるように、Y軸方向の中央部では、側壁部31cの下端(回路基板70寄りの端部)は、回路基板70から離れた位置に設けられている。中央部における側壁部31cの下方(回路基板70寄り)の空間からは、第2コンタクト33Bが突出している。また、側壁部31cは、上方の端部がハウジング32の上面32fに沿って折り曲げられている。側壁部31cのY軸方向の両端部において、側壁部31cと上面部31aとが連続している。
【0060】
なお、側壁部31b,31cには、水平方向(XY方向)に沿って外方(ハウジング32から離間する方向)に突出する突起部31yが複数設けられている。この突起部31yは、シェル31を回路基板70の主面70sに対して固定するために使用され得る。すなわち、突起部31yは、主面70sに対してハンダ等によって固定され得る。
【0061】
一対の側壁部31dは、
図8(a),(b)等に示されるように、Y軸方向において互いに対向し、X軸方向に沿って延びている。一対の側壁部31dは、それぞれハウジング32のY軸方向に沿った両端の側面を覆うように設けられている。一対の側壁部31dは、それぞれ上面部31aに連結されている。
【0062】
コンタクト33(第1コンタクト33A及び第2コンタクト33B)は、例えばプレス加工された金属の板状部材によって構成され、弾性及び導電性を有する。
図9(a),(b)等に示されるように、各コンタクト33は、X軸方向に沿って延び、接続部33aと、連結部33bと、接触部33cと、を含む。さらに、コンタクト33は、連結部33bから分岐してX軸方向に延びる分岐部33dを含む。第1コンタクト33Aと第2コンタクト33Bとは同一形状であるが、リセプタクルコネクタ30における取り付け位置が互いに異なるため、以下は取り付け位置を含めて個別に説明する。
【0063】
まず、第1コンタクト33Aの各部について説明する。
図9(b)に示されるように、第1コンタクト33Aの接続部33aは、回路基板70の主面70s上に配置され、回路基板70の導電路と例えばハンダ等によって接続されている。接続部33aは、シェル31の側壁部31bの下方において、ハウジング32の側壁部32aから突出している。
【0064】
第1コンタクト33Aの連結部33bは、接続部33aと接触部33cとを連結している。連結部33bは、ハウジング32の側壁部32aから溝部32c内まで延びている。
【0065】
連結部33bから分岐する分岐部33dは、上方に延びて、ハウジング32の貫通孔32d内に挿入される。貫通孔32dの径は分岐部33dの外径に対応していて、貫通孔32d内では分岐部33dがハウジング32によって支持された状態となる。これにより、第1コンタクト33Aはハウジング32に固定される。
【0066】
第1コンタクト33Aの接触部33cは、溝部32c内に突出する部分である。
図9(b)に示されるように、接触部33cは、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30の嵌合状態において、プラグコネクタ10のコンタクト13に接触する。接触部33cの先端部分は湾曲されている。また、接触部33cは、弾性変形可能に構成されている。
【0067】
第2コンタクト33Bの各部について説明する。
図9(a)に示されるように、第2コンタクト33Bの接続部33aは、回路基板70の主面70s上に配置され、回路基板70の導電路と例えばハンダ等によって接続されている。接続部33aは、シェル31の側壁部31cの下方において、ハウジング32の側壁部32bから突出している。
【0068】
第2コンタクト33Bの連結部33bは、接続部33aと接触部33cとを連結している。連結部33bは、ハウジング32の側壁部32bから溝部32c内まで延びている。
【0069】
連結部33bから分岐する分岐部33dは、上方に延びて、ハウジング32の貫通孔32e内に挿入される。貫通孔32eの径は分岐部33dの外径に対応していて、貫通孔32e内では分岐部33dがハウジング32によって支持された状態となる。これにより、第2コンタクト33Bはハウジング32に固定される。
【0070】
第2コンタクト33Bの接触部33cは、溝部32c内に突出する部分である。
図9(a)に示されるように、接触部33cは、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30の嵌合状態において、プラグコネクタ10のコンタクト13に接触する。接触部33cの先端部分は湾曲されている。また、接触部33cは、弾性変形可能に構成されている。
【0071】
図8(b)等に示されるように、第1コンタクト33A及び第2コンタクト33BはY軸方向に沿って交互に配列されている。また、第1コンタクト33A及び第2コンタクト33Bは、それぞれY軸方向に沿って一列に配列されている。
【0072】
[嵌合状態]
図10(a),(b)を参照し、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30の嵌合状態について説明する。プラグコネクタ10がリセプタクルコネクタ30に嵌合した際には、
図10(a),(b)に示されるように、リセプタクルコネクタ30の溝部32cにプラグコネクタ10の凸部Wが収容される。
【0073】
嵌合状態においては、
図10(b)に示されるように、プラグコネクタ10の第1コンタクト13Aの接触部13cと、リセプタクルコネクタ30の第1コンタクト33Aの接触部33cとが接触することにより、第1コンタクト13A,33A同士が互いに電気的に接続される。また、
図10(a)に示されるように、プラグコネクタ10の第2コンタクト13Bの接触部13cと、リセプタクルコネクタ30の第2コンタクト33Bの接触部33cとが接触することにより、第2コンタクト13B,33B同士が互いに電気的に接続される。
【0074】
[作用]
上記のコネクタ装置1に含まれるプラグコネクタ10では、相手コネクタであるリセプタクルコネクタ30との嵌合時に、コンタクト13の接触部13c及び接続部13aが連結部13bよりも回路基板70寄りに位置するように、コンタクト13が折り曲げられている。このため、接続部13aに接続される電気ケーブル90が回路基板70寄りの位置で保持される。また、連結部13bまたは連結部13bを覆うハウジング12がシェル11の露出部15から露出される構成とすることで、露出部15においては連結部13bまたは連結部13bを覆うハウジング12に対してシェル11が積層される状態を防ぐことができるため、コネクタとしての低背化を実現することができる。
【0075】
また、上記のようにプラグコネクタ10が低背化される場合、コネクタ装置1としても低背化が実現される。上記のように、コネクタ装置1においては、リセプタクルコネクタ30に対してプラグコネクタ10が回路基板70に対して垂直な方向に嵌合される。この場合、プラグコネクタ10を低背化することによってコネクタ装置1としての低背化も実現される。したがって、例えば、薄型の電子機器のように低背化されたコネクタ装置1が求められる場面において本コネクタ装置1は有用となる。
【0076】
プラグコネクタ10のように、コンタクト13は、ハウジング12に一体的に設けられていてもよい。このような構成とすることで、ハウジング12によるコンタクト13の保持力を向上することができ、コンタクト13の位置ずれ等を防ぐことができる。
【0077】
プラグコネクタ10の嵌合部として機能する凸部Wには、コンタクト13の延びる方向に沿って対向する一対の壁面であるハウジングの側面12f、12gを有している。また、第1コンタクト13Aの接触部13cは一方の側面12fに設けられ、第2コンタクト13Bの接触部13cは他方の側面12gに設けられる。また、複数のコンタクト13の並ぶ方向に沿って、第1コンタクト13Aと第2コンタクト13Bが、交互に設けられる。このような構成とすることで、第1コンタクト13A同士の間隔および第2コンタクト13B同士の間隔を確保することができる。よって、適切にコンタクト間を絶縁することができる。
【0078】
露出部15は、シェル11に設けられた開口11dによって構成されていてもよく、ハウジング12は、開口11dに挿入される凸部12dを有していてもよい。このように、露出部15が開口11dによって構成されていて、ハウジング12の凸部12dが開口に挿入される構成とすることとで、コンタクト13の周囲にハウジング12を適切に配置しつつ低背化を実現することができる。
【0079】
このとき、凸部12dと開口11dの内面とが固着することにより、前記シェルに対する前記ハウジングの移動が規制される態様であってもよい。このような構成とすることでプラグコネクタ10全体としての一体化がさらに促進される。
【0080】
コンタクト13の連結部13bは、相手コネクタとの嵌合時に回路基板70の主面70sに沿うように設けられる直線部13eを含んでいてもよい。このとき、直線部13eまたは直線部13eを覆うハウジング12が、開口11dから露出してもよい。上述したように、連結部13bは、接触部13c及び接続部13aと比べて回路基板70から離れた位置に設けられる。このような連結部13bのうち、直線部13eまたは直線部13eを覆うハウジング12が、開口11dから露出する構成とすることで、直線部13eとシェル11とをより近付けた構成とすることが可能となり、プラグコネクタ10全体としての低背化を実現することができる。
【0081】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも例示した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0082】
例えば、プラグコネクタ10及びリセプタクルコネクタ30のいずれについても各部の形状等は特に限定されず、適宜変更される。また、コンタクト13とコンタクト33との位置関係等についても適宜変更してもよい。さらに、上記実施形態で説明したプラグコネクタ10の低背化に係る構造は、例えば、第1コンタクト13A及び第2コンタクト13Bの区別がないプラグコネクタに対しても適用が可能である。
【符号の説明】
【0083】
1…コネクタ装置、10…プラグコネクタ、11…シェル、11A…第1シェル、11B…第2シェル、11d…開口、12…ハウジング、12a…本体部、12b…先端部、12c…切り欠き部、12d…凸部、13…コンタクト、13A…第1コンタクト、13B…第2コンタクト、13a…接続部、13b…連結部、13c…接触部、13e…直線部、15…露出部、30…リセプタクルコネクタ、31…シェル、32…ハウジング、33…コンタクト、33A…第1コンタクト、33B…第2コンタクト、70…回路基板、70s…主面、90…電気ケーブル。