(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149974
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G16H 10/60 20180101AFI20231005BHJP
A61M 5/142 20060101ALI20231005BHJP
G16H 20/10 20180101ALI20231005BHJP
【FI】
G16H10/60
A61M5/142 530
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058819
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀典
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 航一
【テーマコード(参考)】
4C066
5L099
【Fターム(参考)】
4C066AA09
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD11
5L099AA22
5L099AA23
5L099AA24
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】薬液の投与が開始した後にポンプと処方オーダとの紐付けが行われた場合であっても、投与に関する操作ログを漏れなく情報処理装置に送信可能とする。
【解決手段】
輸液ポンプ70Aは、第1操作を受け付けると、処理オーダに従った薬液の投与と、投与に関するログの記録とを開始する。ログは、電子カルテに投与状況を記録するために利用される。端末装置60は、第2操作を受け付けると、処方オーダをポンプに関連付け、かつ輸液ポンプ70Aに処方オーダを送信する。輸液ポンプ70Aは、第2操作が第1操作によりも先に行なわれた場合には、第1操作以降におけるログを周期的に端末装置60に送信する処理を開始する一方、第1操作が第2操作によりも先に行なわれた場合には、第2操作が行われたことを条件に第2操作より前のログを端末装置60に送信し、かつ第2操作以降のログを周期的に端末装置60に送信する処理を開始する。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に対して投与する投与薬液に関する処方オーダを記憶した情報処理装置と、
第1の操作を受け付けたことに基づき、前記投与薬液の前記患者への投与と、前記投与に関するログの記録とを開始するポンプとを備え、前記ログは、電子カルテに前記投与薬液の投与状況を記録するために、前記電子カルテを記憶した外部装置に送信され、
前記情報処理装置は、第2の操作を受け付けたことに基づき、前記処方オーダを前記ポンプに関連付ける処理と、前記ポンプに前記処方オーダを送信する処理とを実行し、
前記ポンプは、
前記処方オーダを受信した場合、前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記処方オーダに基づき前記投与薬液を前記患者に投与し、
前記第2の操作が前記第1の操作によりも先に行なわれた場合には、前記第1の操作以降における前記ログを周期的に前記情報処理装置に送信する処理を開始し、
前記第1の操作が前記第2の操作によりも先に行なわれた場合には、前記第2の操作が行われたことを条件に前記第2の操作より前の前記ログを前記情報処理装置に送信し、かつ、前記第2の操作以降の前記ログを周期的に前記情報処理装置に送信する処理を開始する、システム。
【請求項2】
前記ログは、前記第1の操作の受け付け処理、前記投与薬液の投与量の積算値、および前記投与薬液の流量または投与速度の変更情報の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ポンプは、前記情報処理装置と無線で通信し、
前記ポンプは、前記ログを周期的に前記情報処理装置に送信する処理を開始した後に前記情報処理装置との通信が途切れた場合、前記通信が復旧すると前記通信が途切れた期間の前記ログを前記情報処理装置に送信する、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記ポンプは、第1の時計を含み、
前記ログは、前記第1の時計が示す時刻に基づいた時刻情報を含み、
前記情報処理装置は、
第2の時計を含み、
前記通信が途切れていない場合、前記ポンプから受信した前記ログに含まれる時刻情報を、前記第1の時計に基づく時刻情報から、前記第2の時計に基づく前記ログの受信時刻の時刻情報に変更し、
前記通信が途切れた場合、前記通信が復旧すると、前記復旧直後に受信した前記ログに含まれる時刻情報と前記第2の時計に基づく当該ログの受信時刻の時刻情報とに基づき、前記第1の時計が示す時刻と前記第2の時計が示す時刻との間のズレを算出し、
前記通信が途切れた期間の前記ログに含まれる時刻情報を、前記ズレに基づいて補正する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
患者に対して投与する投与薬液に関する処方オーダを記憶した情報処理装置と、第1の操作を受け付けたことに基づき、前記投与薬液の前記患者への投与と、前記投与に関するログの記録とを開始するポンプとを備えたシステムにおける方法であって、前記ログは、電子カルテに前記投与薬液の投与状況を記録するために、前記電子カルテを記憶した外部装置に送信され、
前記情報処理装置が、第2の操作を受け付けたことに基づき、前記処方オーダを前記ポンプに関連付ける処理と、前記ポンプに前記処方オーダを送信する処理とを実行するステップと、
前記ポンプが、前記処方オーダを受信した場合、前記第1の操作を受け付けていることを条件に、前記処方オーダに基づき前記投与薬液を前記患者に投与するステップと、
前記第2の操作が前記第1の操作によりも先に行なわれた場合には、前記ポンプが、前記第1の操作以降における前記ログを周期的に前記情報処理装置に送信する処理を開始するステップと、
前記第1の操作が前記第2の操作によりも先に行なわれた場合には、前記ポンプが、前記第2の操作が行われたことを条件に前記第2の操作より前の前記ログを前記情報処理装置に送信し、かつ、前記第2の操作以降の前記ログを周期的に前記情報処理装置に送信する処理を開始するステップとを備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、患者に薬液を投与する各種の医療用ポンプが知られている。
【0003】
国際公開第2017/150480号(特許文献1)には、操作部と、操作部の操作に基づいて輸液を行なう輸液部と、輸液の完了前に輸液開始時とは異なる処方を実施する切換操作が行われたか否かを判定する切換操作判定部と、輸液部の輸液履歴を記録する輸液履歴記録部とを備えた医療用ポンプが開示されている。輸液履歴記録部は、切換操作が行われたときの輸液履歴を記録可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ポンプによる薬液の投与に関する操作ログ(「実施記録」とも称される)を、情報処理装置を介してサーバに記憶された電子カルテに自動で書き込むことが求められている。また、医療現場では、同時に複数のポンプが使用される。
【0006】
このような場合、ポンプと、患者に対して投与する投与薬液に関する処方オーダとが情報処理装置で関連付けられないと、情報処理装置が仮にログを受信しても、どの処方オーダのログであるかを判断できない。それゆえ、電子カルテに正しい情報を記録するためには、ポンプと処方オーダとの関連付けが必須である。
【0007】
したがって、当該関連付けは、ポンプによる薬液の投与の前に行なうべきである。しかしながら、このような関連付け処理を失念し、薬液の投与が開始した後に関連付けが行われる状況も想定し得る。
【0008】
本開示は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、薬液の投与が開始された後にポンプと処方オーダとの関連付けが行われた場合であっても、薬液の投与に関するログを漏れなく情報処理装置に送信可能とするシステムおよび方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示のある局面に従うと、システムは、患者に対して投与する投与薬液に関する処方オーダを記憶した情報処理装置と、第1の操作を受け付けたことに基づき、投与薬液の患者への投与と、投与に関するログの記録とを開始するポンプとを備える。ログは、電子カルテに投与薬液の投与状況を記録するために、電子カルテを記憶した外部装置に送信される。情報処理装置は、第2の操作を受け付けたことに基づき、処方オーダをポンプに関連付ける処理と、ポンプに処方オーダを送信する処理とを実行する。ポンプは、処方オーダを受信した場合、第1の操作を受け付けていることを条件に、処方オーダに基づき投与薬液を患者に投与する。ポンプは、第2の操作が第1の操作によりも先に行なわれた場合には、第1の操作以降におけるログを周期的に情報処理装置に送信する処理を開始する。ポンプは、第1の操作が第2の操作によりも先に行なわれた場合には、第2の操作が行われたことを条件に第2の操作より前のログを情報処理装置に送信し、かつ、第2の操作以降のログを周期的に情報処理装置に送信する処理を開始する。
【0010】
本開示の他の局面に従うと、方法は、患者に対して投与する投与薬液に関する処方オーダを記憶した情報処理装置と、第1の操作を受け付けたことに基づき、投与薬液の患者への投与と、投与に関するログの記録とを開始するポンプとを備えたシステムにおける方法である。ログは、電子カルテに投与薬液の投与状況を記録するために、電子カルテを記憶した外部装置に送信される。方法は、情報処理装置が、第2の操作を受け付けたことに基づき、処方オーダをポンプに関連付ける処理と、ポンプに処方オーダを送信する処理とを実行するステップと、ポンプが、処方オーダを受信した場合、第1の操作を受け付けていることを条件に、処方オーダに基づき投与薬液を患者に投与するステップと、第2の操作が第1の操作によりも先に行なわれた場合には、ポンプが、第1の操作以降におけるログを周期的に情報処理装置に送信する処理を開始するステップと、第1の操作が第2の操作によりも先に行なわれた場合には、ポンプが、第2の操作が行われたことを条件に第2の操作より前のログを情報処理装置に送信し、かつ、第2の操作以降のログを周期的に情報処理装置に送信する処理を開始するステップとを備える。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、薬液の投与が開始された後にポンプと処方オーダとの関連付けが行われた場合であっても、薬液の投与に関するログを漏れなく情報処理装置に送信可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】ネットワークシステムの概略構成を示した図である。
【
図2】通信システムにおける通信の概要を説明するための図である。
【
図3】薬剤ライブラリデータの概略構成を示した図である。
【
図4】処方リストデータの概略構成を示した図である。
【
図5】サーバのハードウェア構成例を示した図である。
【
図6】端末装置のハードウェア構成例を示した図である。
【
図7】ポンプのハードウェア構成例を示した図である。
【
図8】ポンプの操作パネルの一例を示した図である。
【
図9】通信システムにおいて実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【
図10】処方オーダと輸液ポンプとの関連付けが開始ボタンの押下よりも先になされた場合における、ログの記録および送信を説明するシーケンス図である。
【
図11】ログを記録する周期と、ログを送信する周期とを説明するための図である。
【
図12】処方オーダと輸液ポンプとの関連付けが開始ボタンの押下よりも後になされた場合における、ログの記録および送信を説明するシーケンス図である。
【
図13】輸液ポンプから端末装置へのログの送信を説明するためのシーケンス図である。
【
図14】ログの時刻情報の補正を説明するためのフロー図である。
【
図15】
図14のステップS7およびステップS8の処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本開示の各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部材には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。また、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。
【0015】
<A.システム構成>
図1は、本実施の形態のネットワークシステム1の概略構成を示した図である。
【0016】
図1に示されるように、ネットワークシステム1は、端末装置10と、電子カルテを記録するサーバ20と、薬剤部門のサーバ30と、薬剤部門とは異なる部門のサーバ40と、通信システム2とを備える。通信システム2は、サーバ50と、ラックシステム(システム)3とを含む。ラックシステム3は、端末装置(情報処理装置)60と、複数の輸液ポンプ70A,70Bと、複数のシリンジポンプ70C,70D,70Eとを有する。ラックシステム3は、看護師9または医師によって操作される。
【0017】
端末装置10は、典型的には有線にて、サーバ20と通信可能に接続されている。サーバ20は、典型的には有線にて、端末装置10とサーバ30とに通信可能に接続されている。サーバ30は、典型的には有線にて、サーバ20とサーバ50とに通信可能に接続されている。
【0018】
サーバ50は、典型的には有線にて、サーバ30とサーバ40とに通信可能に接続されている。サーバ50は、典型的には無線にて、ラックシステム3の端末装置60と通信可能にさらに接続されている。
【0019】
端末装置10は、典型的には、医師によって利用される。端末装置10は、患者に対して処方される1つ以上の薬剤に関する情報の入力を、患者毎に受け付ける。以下では、端末装置10を用いて一人の患者に対して入力された情報(処方された1以上の薬剤に関する情報)を、便宜上、「処方リストデータ」とも称する。すなわち、端末装置10は、患者別に処方リストデータの入力を受け付ける。端末装置10は、入力された処方リストデータをサーバ20に送信する。なお、処方リストデータの具体的構成については、後述する(
図4)。
【0020】
サーバ20は、処方リストデータを端末装置10から受信する。サーバ20は、患者の電子カルテに、受信した処方リストデータの内容を記録する。
【0021】
サーバ30は、薬剤ライブラリデータ(薬液データ)を予め記憶している。サーバ30は、薬剤ライブラリデータをサーバ50に送信する。サーバ30において薬剤ライブラリの更新がなされると、サーバ30は、サーバ50の薬剤ライブラリを更新するための更新用データをサーバ50に送る。サーバ30は、更新用データとして、更新後の薬剤ライブラリデータそのものを送信してもよいし、更新がされた箇所のみのデータを送信してもよい。
【0022】
サーバ30は、薬剤師等の入力操作に基づき、指定された患者の処方リストデータをサーバ20から取得する。サーバ30は、これから治療を開始する患者(以下、「対象患者」とも称する)の処方リストデータをサーバ50に送信する。
【0023】
以上の処理により、サーバ50には、対象患者の処方リストデータと、最新の薬剤ライブラリデータとが記憶される。なお、サーバ50は、サーバ40から他の各種のデータを取得する。たとえば、サーバ50は、サーバ40から、対象患者の麻酔に関するデータを取得する。
【0024】
本例では、シリンジポンプ70C,70Eにシリンジ90がセットされている。シリンジ90は、バレル91と、プランジャロッド92とを含む。プランジャロッド92は、フランジ921を有する。シリンジポンプ70C,70D,70Eは、押圧面741を有する駆動部74を備える。輸液ポンプ70A,70Bおよびシリンジポンプ70C,70D,70Eの各々は、ディスプレイ772,773を有する。
【0025】
図2は、
図1に示した通信システム2における通信の概要を説明するための図である。
【0026】
図2に示されるように、サーバ50は、本例では無線にて端末装置60と通信する。サーバ50は、典型的には、無線LAN(Local Area Network)にて端末装置60と通信する。
【0027】
端末装置60は、本例では無線にて、輸液ポンプ70A,70Bと、シリンジポンプ70C,70D,70Eと通信する。詳しくは、端末装置60は、無線LANまたはNFC(Near Field Communication)によって、輸液ポンプ70A,70Bと、シリンジポンプ70C,70D,70Eと通信する。なお、以下では、輸液ポンプ70A,70Bおよびシリンジポンプ70C,70D,70Eのうち任意の1つのポンプ(医療用ポンプ)を、「ポンプ70」とも称する。
【0028】
サーバ50は、サーバ20から各々取得した薬剤ライブラリデータと対象患者の処方リストデータとを、端末装置60に送信する。これにより、ラックシステム3の端末装置60に、薬剤ライブラリデータと対象患者の処方リストデータとが記憶される。
【0029】
サーバ50の薬剤ライブラリデータが更新されると、端末装置60の薬剤ライブラリデータも更新される。これにより、サーバ20(
図1)、サーバ50、端末装置60の各々において、同じ薬剤ライブラリデータが記憶されることになる。なお、サーバ20の薬剤ライブラリデータがマスタデータである。
【0030】
<B.データ>
図3は、
図1で示した薬剤ライブラリデータの概略構成を示した図である。
【0031】
図3に示されるように、薬剤ライブラリデータD3には、少なくとも、薬剤識別情報に関連付けて、少なくとも、流量(mL/h)の閾値と、投与量(mL)の閾値と、投与速度(μg/kg/min)の閾値とが記憶されている。投与量は、「予定量」とも称される。
【0032】
薬剤識別情報は、たとえば、薬剤番号と薬剤名(薬液名)とを含む。流量の閾値は、流量の上限値と、流量の下限値とを含む。投与量の閾値は、投与量の上限値と、投与量の下限値とを含む。投与速度の閾値は、投与速度の上限値と、投与速度の下限値とを含む。なお、薬剤ライブラリデータD3は、各薬液に関して、各上限値および各下限値の全てが必ずしも記憶されている必要はない。
【0033】
このような薬剤ライブラリデータD3は、上述したように、サーバ20と、サーバ50と、端末装置60とに記憶される。上述したように、サーバ20の薬剤ライブラリデータD3が更新されると、サーバ50の薬剤ライブラリデータD3と端末装置60の薬剤ライブラリデータD3とが更新される。
【0034】
図4は、
図1で示した処方リストデータの概略構成を示した図である。
【0035】
図4に示されるように、処方リストデータD41は、対象患者を識別するための患者IDと、1つ以上の処方オーダ#1,#2,#3…を含む。
【0036】
本例では、処方オーダ#1,#2,#3…の各々は、薬剤識別情報と、流量の設定値と、投与量の設定値とを含む。流量の設定値および投与量の設定値は、医師によって指定された設定値である。当該設定値は、端末装置10において入力された値である。処方オーダ#1,#2,#3…の各々は、投与速度の設定値を含んでいてもよい。
【0037】
処方オーダとしては、「生理食塩水500mLを20mL/hで投与」のような例が挙げられる。この場合、薬剤識別情報としての「生理食塩水」と、流量の設定値としての「20mL/h」と、投与量の設定値としての「500mL」とが処方オーダに含まれる。
【0038】
薬剤部門は、流量の設定値(あるいは投与速度の設定値)および投与量の設定値の各々が、予め定められた範囲内であるか否かをチェックする。仮に設定値が適切でない場合には、薬剤部門は、担当医師(処方リストデータを作成した医師)に数値の確認を行ない、担当医師に設定値の修正を促す。それゆえ、サーバ50および端末装置60に送信される流量の設定値(あるいは投与速度の設定値)と投与量の設定値とは、通常、上記予め定められた範囲内となる。
【0039】
詳しくは、上記予め定められた範囲は、下限値と上限値との少なくとも一方で規定される。薬剤ライブラリデータD3(
図3参照)には、このような上限値と下限値とが、薬液毎に記録されている。
【0040】
<C.装置構成>
通信システム2(
図1参照)を構成する、サーバ50と、端末装置60と、ポンプ70との具体的構成について説明する。
【0041】
(c1.サーバ)
図5は、サーバ50のハードウェア構成例を示した図である。
【0042】
図5に示されるように、サーバ50は、制御ユニット51と、通信IF(Interface)52と、時計53とを備える。制御ユニット51は、プロセッサ511と、メモリ512とを含む。プロセッサ511と、メモリ512と、通信IF52と、時計53とは、典型的には、マザーボード(図示せず)に取り付けられている。
【0043】
メモリ512は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶媒体で構成される。メモリ512は、対象患者毎に作成された処方リストデータD41,D42,D43,D44…を記憶している。
【0044】
処方リストデータD41は、患者IDが「0001」の患者のデータである。同様に、処方リストデータD42は、たとえば患者IDが「0002」の患者のデータである。処方リストデータD43は、たとえば患者IDが「0003」の患者のデータである。
【0045】
通信IF52は、サーバ30,40および端末装置60との間で通信するためのインターフェイスである。通信IF52によって、サーバ50は、薬剤ライブラリデータD3、および処方リストデータD41等を取得することができる。
【0046】
時計53は、時刻を計時する。計時された時刻の情報は、制御ユニット51に送られる。
【0047】
制御ユニット51は、サーバ50の全体的な動作を制御する。具体的には、プロセッサ511が、メモリ512に記憶されたオペレーティングシステム(図示せず)および各種のアプリケーションプログラム(図示せず)を実行することにより、サーバ50は各種の動作を実行する。
【0048】
(c2.端末装置)
図6は、端末装置60のハードウェア構成例を示した図である。
【0049】
図6に示されるように、端末装置60は、制御ユニット61と、タッチスクリーン62と、通信IF(Interface)63と、時計64とを備える。制御ユニット61は、プロセッサ611と、メモリ612とを含む。タッチスクリーン62は、タッチパネル621と、ディスプレイ622とを含む。タッチパネル621は、ディスプレイ622上に設置されている。プロセッサ611と、メモリ612と、通信IF63と、時計64とは、典型的には、マザーボード(図示せず)に取り付けられている。
【0050】
メモリ612は、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の記憶媒体で構成される。メモリ612は、一人の対象患者(本例の局面では、患者IDが「0003」の患者)の処方リストデータD43を記憶している。詳しくは、看護師9が、患者IDが「0003」の患者の処方リストデータD43をサーバ50から取得する操作を端末装置60にて行なったため、端末装置60のメモリ612には処方リストデータD43が記憶されている。
【0051】
端末装置60が、処方リストデータD43そのものを取得する必要はなく、処方オーダ#1と処方オーダ#2とを別々に、患者IDと関連付けて取得してもよい。少なくとも、端末装置60が、処方オーダ#1と、処方オーダ#2とを、サーバ50から取得できればよい。取得の際のユーザ操作については特に限定されるものではない。以下の説明では、端末装置60が、処方オーダ#1と処方オーダ#2とを個別に取得する場合を例に挙げて説明する。
【0052】
通信IF63は、サーバ50および複数のポンプ70との間で通信するためのインターフェイスである。通信IF63によって、端末装置60は、薬剤ライブラリデータD3と、処方リストデータD43とを取得することができる。
【0053】
時計64は、時刻を計時する。計時された時刻の情報は、制御ユニット61に送られる。
【0054】
タッチスクリーン62は、ユーザの入力を受け付け、かつ、各種の表示を行なう。ディスプレイ622は、プロセッサ611からの出力に基づき、各種の画面を表示する。タッチパネル621は、当該画面が表示されている状態でユーザ入力(典型的には、看護師9によるタッチ操作)を受け付けと、当該入力基づく信号をプロセッサ611に送信する。
【0055】
制御ユニット61は、端末装置60の全体的な動作を制御する。具体的には、プロセッサ611が、メモリ612に記憶されたオペレーティングシステム(図示せず)および各種のアプリケーションプログラム(図示せず)を実行することにより、端末装置60は各種の動作を実行する。
【0056】
(c3.ポンプ)
図7は、ポンプ70のハードウェア構成例を示した図である。
【0057】
図7に示されるように、制御ユニット71と、通信IF72と、時計73と、駆動部74と、スピーカ75と、警報ランプ76と、操作パネル77とを備える。制御ユニット71は、プロセッサ711と、メモリ712とを含む。操作パネル77は、操作ボタン771と、ディスプレイ772,773とを含む。プロセッサ711と、メモリ712と、通信IF72と、時計73とは、典型的には、マザーボード(図示せず)に取り付けられている。
【0058】
メモリ712は、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の記憶媒体で構成される。メモリ712は、一人の対象患者(本例の局面では、患者IDが「0003」の患者)の処方リストデータD43に含まれている処方オーダ#1(
図6参照)を記憶している。詳しくは、看護師9が、処方リストデータD43の処方オーダ#1をポンプ70に送信する操作を端末装置60にて行なったため、ポンプ70のメモリ712には処方リストデータD43の処方オーダ#1が記憶されている。
【0059】
さらに、メモリ712は、処方リストデータD43の処方オーダ#1に記載された薬液(以下、「投与薬液」とも称する)の流量の閾値と当該投与薬液の投与量の閾値とが記憶されている。なお、1つの処方オーダには、上述したように、1つの薬液の情報が記載されている。
【0060】
詳しくは、看護師9が、処方リストデータD43の処方オーダ#1をポンプ70に送信する操作を端末装置60にて行なったことに基づき、当該処方オーダ#1に記載された投与薬液の流量の閾値と当該投与薬液の投与量の閾値とが端末装置60からポンプ70に送信され、かつメモリ712に記憶される。
【0061】
制御ユニット71は、ポンプ70の全体的な動作を制御する。具体的には、プロセッサ711が、メモリ712に記憶されたオペレーティングシステム(図示せず)および各種のアプリケーションプログラム(図示せず)を実行することにより、ポンプ70は各種の動作を実行する。
【0062】
通信IF72は、端末装置60と通信するためのインターフェイスである。通信IF72によって、ポンプ70は、処方オーダ#1と、流量の閾値と、投与量の閾値とを取得することができる。
【0063】
時計73は、時刻を計時する。計時された時刻の情報は、制御ユニット71に送られる。
【0064】
駆動部74は、ポンプ70にセットされた薬液を患者に投与するための機構である。駆動部74は、制御ユニット71からの指令により動作する。ポンプ70がシリンジポンプである場合、駆動部74は、シリンジ90(
図1参照)のプランジャロッド92をシリンジ90のバレル91内で移動させるための機構である。詳しくは、駆動部74は、フランジ921を押圧面741で押すことにより、プランジャロッド92をバレル91方向に移動させる。これにより、薬液が患者に投与される。
【0065】
スピーカ75は、制御ユニット71からの指令により所定の報知(音声での報知)を行なう。
【0066】
警報ランプ76は、制御ユニット71からの指令により所定の報知(発光による報知)を行なう。警報ランプ76は、インジケータとも称される。
【0067】
操作パネル77は、看護師9による操作を受け付け、かつ、各種の表示を行なう。詳しくは、操作ボタン771は、看護師9による操作を受け付ける。操作ボタン771は、典型的には、複数の操作ボタンを含む。受け付けた操作内容に応じた指示が操作パネル77から制御ユニット71に送られる。
【0068】
ディスプレイ772,773(
図1参照)は、プロセッサ711からの出力に基づき、各種の画面を表示する。ディスプレイ772には、たとえば、投与速度等が表示される。ディスプレイ773には、たとえば、流量等の情報が表示される。
【0069】
図8は、ポンプ70の操作パネル77の一例を示した図である。
【0070】
図8に示されているように、操作パネル77は、上述した操作ボタン771の具体例として、電源ボタン771Aと、メニューボタン771B,771Cと、積算量クリアボタン771Dと、流量設定ボタン771E,771Fと、ボーラスボタン771Gと、開始ボタン771Hと、停止または消音ボタン771Iとを含む。操作パネル77は、上述したように、ディスプレイ772と、ディスプレイ773とを備える。
【0071】
ポンプ70は、操作パネル77の両側に、2つの警報ランプ76を備える。なお、警報ランプ76の位置は、当該位置に限定されず、ポンプのユーザに発光していることを視認可能となる位置であればよい。
【0072】
電源ボタン771Aは、ポンプ70の電源をオンおよびオフさせるためのボタンである。メニューボタン771Bは、ディスプレイ772に各種のメニューを表示させるためのボタンである。メニューボタン771Cは、ディスプレイ773に各種のメニューを表示させるためのボタンである。
【0073】
積算量クリアボタン771Dは、投与された薬液の投与量の積算値のデータ(ログデータ)を、ポンプのメモリから消去するためのボタンである。流量設定ボタン771Eは、薬液の流量の設定値を上げるためのボタンである。流量設定ボタン771Fは、薬液の流量の設定値を下げるためのボタンである。ポンプ70に、ボーラス投与を実行させるためのボタンである。
【0074】
開始ボタン771Hは、ポンプによる薬液の投与を開始させるためのボタンである。開始ボタン771Hの押下により、駆動部74(
図7)が動作する。停止または消音ボタン771Iは、薬液の投与を停止させ、またはスピーカ75が音を発しないようにするためのボタンである。停止または消音ボタン771Iの押下により、どちらの機能が実行されるかは、ポンプ70の状態に基づく。
【0075】
ディスプレイ772,773上には、タッチパネルが設置されてもよい。すなわち、操作パネル77は、ディスプレイ772とタッチパネルとを有するタッチスクリーンと、ディスプレイ773とタッチパネルとを有するタッチスクリーンとを備えていてもよい。タこのような構成によれば、ディスプレイ772,773に表示された各種の項目(メニュー内の項目)をタッチ操作により選択することが可能となる。また、操作パネル77は、メニュー内の項目を選択するための物理的なボタンを別途備えていてもよい。
【0076】
<D.処理の流れ>
(d1.処理オーダおよび流量の閾値の送信)
以下では、説明の便宜上、患者IDが「0003」の患者の処方リストデータD43に着目して説明する。また、説明の便宜上、5つのポンプ70のうち、輸液ポンプ70Aと輸液ポンプ70Bとに着目して説明する。処方リストデータD43および輸液ポンプ70A,70Bは、一例であって、これらに限定されるものではない。
【0077】
また、以下の例では、説明を簡略化する観点から、
図3に示した流量の閾値と投与量の閾値と投与速度の閾値とのうち、流量の閾値に着目して説明する。なお、流量の下限値と、投与量の閾値と、投与速度の閾値についても、端末装置60は、同様の処理を実行し得る。
【0078】
図9は、通信システム2において実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【0079】
図9に示されるように、シーケンスSQ1において、サーバ50は、処方リストデータD43に含まれる処方オーダ#1を端末装置60に送信する。なお、処方オーダ#1は、上述したように、少なくとも薬剤識別情報と流量の設定値(医師によって設定された値)とを含む。
【0080】
シーケンスSQ2において、端末装置60は、受信した処方オーダ#1に記載された薬液#1の流量の閾値をメモリ612から読み出す。具体的には、端末装置60は、メモリ612に記憶された薬剤ライブラリデータD3(
図6参照)から薬液#1の流量の閾値を読み出す。
【0081】
シーケンスSQ3において、端末装置60は、看護師9の入力操作に基づき、処方オーダ#1と輸液ポンプ70Aとを関連付ける。すなわち、端末装置60は、処方オーダ#1と輸液ポンプ70Aとを紐付ける。シーケンスSQ4において、端末装置60は、看護師9の入力操作に基づき、処方オーダ#1と薬液#1の流量の閾値とを、処方オーダ#1に関連付けられた輸液ポンプ70Aに送信する。
【0082】
以上により、輸液ポンプ70Aに、処方オーダ#1と、処方オーダ#1に記載された薬液#1の流量の閾値とが設定される。輸液ポンプ70Aは、看護師9等によって薬液#1の流量の設定値が変更されない限り、開始ボタンの押下をトリガーとして、薬液#1の流量の設定値に基づいて薬液#1を患者に投与することを開始する。
【0083】
シーケンスSQ5において、サーバ50は、処方リストデータD43に含まれる処方オーダ#2を端末装置60に送信する。なお、処方オーダ#2は、上述したように、少なくとも薬剤識別情報と流量の設定値とを含む。
【0084】
シーケンスSQ6において、端末装置60は、受信した処方オーダ#2に記載された薬液#2の流量の閾値をメモリ612から読み出す。具体的には、端末装置60は、メモリ612に記憶された薬剤ライブラリデータD3から薬液#2の流量の閾値を読み出す。
【0085】
シーケンスSQ7において、端末装置60は、看護師9の入力操作に基づき、処方オーダ#2と輸液ポンプ70Bとを関連付ける。すなわち、端末装置60は、処方オーダ#2と輸液ポンプ70Bとを紐付ける。シーケンスSQ8において、端末装置60は、看護師9の入力操作に基づき、処方オーダ#2と薬液#2の流量の閾値とを、処方オーダ#2に関連付けられた輸液ポンプ70Bに送信する。
【0086】
以上により、輸液ポンプ70Bに、処方オーダ#2と、処方オーダ#2に記載された薬液#2の流量の閾値とが設定される。輸液ポンプ70Bは、看護師9等によって薬液#2の流量の設定値が変更されない限り、開始ボタンの押下をトリガーとして、薬液#2の流量の設定値に基づいて薬液#2を患者に投与することを開始する。
【0087】
ラックシステム3について小括すると、以下のとおりである。ラックシステム3は、薬液を患者に投与可能なポンプ70(たとえば、輸液ポンプ70A)と、ポンプ70と通信可能であって、かつ、複数の薬液の各々の識別情報に流量の閾値が関連付けられた薬剤ライブラリデータD3を記憶した端末装置60とを備える。
【0088】
端末装置60は、ラックシステム3の外部機器であるサーバ50から、上記複数の薬液のうち患者(たとえば、患者IDが「0003」の患者)に対して投与する投与薬液(たとえば、薬液#1)の識別情報と、上記患者に対して設定された投与薬液の流量の設定値とを含む処方オーダ(たとえば、処方オーダ#1)を取得する。端末装置60は、薬剤ライブラリデータD3から、投与薬液の流量の閾値を取得する(具体的には、閾値を読み出す)。端末装置60は、ポンプ70に対して、処方オーダと、投与薬液の流量の閾値とを送信する。
【0089】
このような構成によれば、薬剤ライブラリデータD3を各ポンプ70に送信する必要はなくなる。それゆえ、各ポンプ70における薬液データの更新処理が不要となる。さらに、各ポンプ70は、処方オーダのみならず、ポンプ70にセットされる投与薬液の流量の閾値も得ることができる。
【0090】
(d2.ログの取得)
以下では、説明の便宜上、複数のポンプ70のうち輸液ポンプ70Aを例に挙げて説明する。本例では、
図9のシーケンスSQ3に示したように、看護師9の入力操作に基づき、処方オーダ#1と輸液ポンプ70Aとが互いに関連付け(紐付け)られる。
【0091】
以下では、まず、このような関連付けが輸液ポンプ70Aの稼働前に行われた場合を、
図10および
図11に基づき説明する。すなわち、関連付けの後に投薬を開始した場合を説明する。具体的には、関連付けの後に開始ボタン771H(
図9参照)が押下された場合を説明する。次いで、関連付けが輸液ポンプ70Aの稼働後に行われた場合を、
図12に基づき説明する。詳しくは、投薬中に端末装置60において上記関連付けがなされた場合について説明する。
【0092】
本実施の形態では、ログは時刻情報を含む。ログは、たとえば、ボタンの押下等のイベントの発生時刻の情報を含む。本例では、ログとして、少なくとも、ユーザの操作に基づく操作ログと、上述した積算値のログとを含む。操作ログは、少なくとも、薬液投与の開始を示す操作ログと、薬液投与の完了を示す操作ログと、流量の設定値の変更操作に関する操作ログとを含む。なお、積算値とは、薬液の投与が開始された直後からログを取るときまで、当該薬液の投与量の総計である。
【0093】
図10は、処方オーダ#1と輸液ポンプ70Aとの関連付けが開始ボタン771Hの押下よりも先になされた場合における、ログの記録およびログの送信を説明するシーケンス図である。すなわち、
図10は、正しい手順で投薬の処置が行われた場合を示している。
【0094】
図10に示すように、シーケンスSQ11において、端末装置60は、ユーザ操作に基づき、処方オーダ#1を輸液ポンプ70Aに関連付ける。なお、シーケンスSQ11の処理は、
図9のシーケンスSQ3に対応する。
【0095】
シーケンスSQ12において、端末装置60は、処方オーダ#1を輸液ポンプ70Aに送る。詳しくは、端末装置60は、
図9のシーケンスSQ4に示したように、薬液#1の流量の閾値も輸液ポンプ70Aに送る。
【0096】
シーケンスSQ13において、輸液ポンプ70Aは、操作パネル77の開始ボタン771Hの押下操作を受け付ける。輸液ポンプ70Aは、開始ボタン771Hの押下操作を受け付けると、シーケンスSQ14において、投与開始の操作ログをメモリ712に記憶するとともに、シーケンスSQ15において、処方オーダ#1に規定された流量(すなわち、設定値)で投薬を開始する。
【0097】
輸液ポンプ70Aは、投薬を開始すると、シーケンスSQ16において、薬液#1の投与量の積算値を時刻に関連付けて周期的にログとして記録する。本例では、輸液ポンプ70Aは、積算値のログを予め定められた周期Taで記録する。シーケンスSQ15において薬液の投与を開始後、所定の期間(周期Tb)が経過すると、シーケンスSQ17において、輸液ポンプ70Aは、投与開始の操作ログと、未送信の積算値のログとを、端末装置60に送信する。以降、シーケンスSQ17、SQ18,SQ19,SQ20として示すように、輸液ポンプ70Aは、予め定められた周期Tb(Tb≧Ta)毎に、未送信の積算値のログを端末装置60に送信する。
【0098】
図11は、ログを記録する周期Taと、ログを送信する周期Tbとを説明するための図である。
図11は、周期Tbが周期Taよりも長い場合を示している。
【0099】
図11に示されるように、時刻t0において開始ボタン771Hが押下されると、輸液ポンプ70Aは投与開始の操作ログを記憶する。時刻t0から時間Taが経過した後に、当該タイミングにおける投与量の積算値を記録する。その後、周期Taが到来する度に、当該タイミングにおける投与量の積算値を記録する。
【0100】
輸液ポンプ70Aは、時刻t0から時間Tbが経過した後に、時刻t0から時刻t0+Tbまでの間に記録されたログを端末装置60に対して送信する。その後、周期Tbが到来する度に、未送信のログを端末装置60に対して送信する。
【0101】
なお、TaとTbとが同じ値に設定されているときには、端末装置60に対する一回のデータ送信で、1つの積算値のログが送信される。TaおよびTbは、適宜設定される。
【0102】
端末装置60は、投与開始の操作ログを輸液ポンプ70Aから取得するにより、薬液#1の投与が開始された時刻を知ることができる。したがって、電子カルテを記録しているサーバ20に投与開始の時刻を通知することができる。
【0103】
また、端末装置60は、輸液ポンプ70Aから積算値のログを周期的に取得することができる。積算値のログは、時刻情報を含む。それゆえ、端末装置60は、輸液ポンプ70Aにおける、薬液#1の投与状態(積算値の推移)を判断することができる。たとえば、端末装置60は、流量の設定値が変更され場合等においても、実際の流量を判断できる。端末装置60は、電子カルテを記録しているサーバ20に対して、これらの情報を通知することができる。
【0104】
図12は、処方オーダ#1と輸液ポンプ70Aとの関連付けが開始ボタン771Hの押下よりも後になされた場合における、ログの記録およびログの送信を説明するシーケンス図である。すなわち、
図12は、正しくない手順で投薬の処置が行われた場合を示している。
【0105】
図12に示すように、シーケンスSQ101において、輸液ポンプ70Aは、操作パネル77の開始ボタン771Hの押下操作を受け付ける。輸液ポンプ70Aは、開始ボタン771Hの押下操作を受け付けると、シーケンスSQ102において、投与開始の操作ログをメモリ712に記憶するとともに、シーケンスSQ103において、設定された流量で投薬を開始する。典型的には、輸液ポンプ70Aは、看護師9等によって輸液ポンプ70Aに直接入力された値の流量で、投薬を開始する。
【0106】
輸液ポンプ70Aは、投薬を開始すると、シーケンスSQ104において、薬液#1の投与量の積算値を時刻に関連付けて周期的にログとして記録する。輸液ポンプ70Aは、積算値のログを予め定められた周期Taで記録する。なお、この時点では、輸液ポンプ70Aと処方オーダ#1とは関連付けられていない。このため、輸液ポンプ70Aは、処方オーダ#1のみならず、いずれの処方オーダも端末装置60から受け取っていない。それゆえ、輸液ポンプ70Aは、記憶したログを送信する処理を行なわない。
【0107】
シーケンスSQ105において、端末装置60は、ユーザ操作に基づき、処方オーダ#1を輸液ポンプ70Aに関連付ける。シーケンスSQ106において、端末装置60は、処方オーダ#1を輸液ポンプ70Aに送る。これにより、輸液ポンプ70Aは、処方オーダ#1を取得する。以後、シーケンスSQ107において、処方オーダ#1に規定された流量で投薬を開始する。
【0108】
シーケンスSQ107において処方オーダ#1で規定された流量で投薬を開始後、所定の期間(周期Tb)が経過すると、シーケンスSQ108において、輸液ポンプ70Aは、投与開始の操作ログと、未送信の積算値のログとを、端末装置60に送信する。輸液ポンプ70Aと処方オーダ#1とが関連付けられた結果、輸液ポンプ70Aは、ログの送信を開始する。
【0109】
詳しくは、シーケンスSQ108では、過去に未送信であったログを全て端末装置60に送信する。具体的には、輸液ポンプ70Aは、シーケンスSQ102で記録した操作ログ、シーケンスSQ104で記録した1以上の積算値のログ、シーケンスSQ107以降の積算値のログ等を、端末装置60に送信する。
【0110】
以降、シーケンスSQ109、SQ110,SQ111として示すように、輸液ポンプ70Aは、予め定められた周期Tb(Tb≧Ta)毎に、未送信の積算値のログを端末装置60に送信する。
【0111】
このように輸液ポンプ70Aは、処方オーダ#1と輸液ポンプ70Aとの関連付けが端末装置60においてなされたことを条件に、ログの送信を開始する。
【0112】
(d3.小括)
以上の
図1~
図12(特に、
図10~
図12)に基づき説明した処理を小括すると、以下のとおりである。
【0113】
ラックシステム3は、患者に対して投与する投与薬液に関する処方オーダ#1を記憶した端末装置60と、第1の操作(本例では、開始ボタン771Hの押下操作)を受け付けたことに基づき、投与薬液(本例では、薬液#1)の患者への投与と、投与に関するログの記録とを開始する輸液ポンプ70Aをさらに備える。当該ログは、サーバ20の電子カルテに投与薬液の投与状況を記録させるために利用される。当該ログは、電子カルテに投与薬液の投与状況を記録させるために、電子カルテを記憶したサーバ20に送信される。当該ログは、サーバ50を介して、電子カルテを記憶したサーバ20に送信される。
【0114】
端末装置60は、第2の操作(本例では、看護師9の入力操作)を受け付けたことに基づき、処方オーダ#1を輸液ポンプ70Aに関連付ける処理と、輸液ポンプ70Aに処方オーダ#1を送信する処理とを実行する。具体的には、「第2の操作」とは、たとえば、複数のポンプ70を示す画像が表示されたポンプ選択画面(端末装置60に表示される画面)おいて、看護師等が処方オーダ#1の送信先のポンプ70として輸液ポンプ70Aを指定する操作と、処方オーダ#1を送信するための操作とを含む。
【0115】
輸液ポンプ70Aは、処方オーダ#1を受信した場合、上記第1の操作を受け付けていることを条件に、処方オーダ#1に基づき投与薬液を患者に投与する。輸液ポンプ70Aは、第2の操作が第1の操作によりも先に行なわれた場合(
図10の場合)には、第1の操作以降におけるログを周期的に端末装置60に送信する処理を開始する。輸液ポンプ70Aは、第1の操作が第2の操作によりも先に行なわれた場合(
図12の場合)には、第2の操作が行われたことを条件に第2の操作より前のログを端末装置60に送信し、かつ、第2の操作以降のログを周期的に端末装置60に送信する処理を開始する。
【0116】
このような構成によれば、輸液ポンプ70Aにおいて薬液#1の投与が開始された後に、端末装置60において輸液ポンプ70Aと処方オーダ#1との関連付けが行われた場合であっても、輸液ポンプ70Aは、薬液#1の投与に関するログを漏れなく端末装置60に送信可能となる。
【0117】
なお、ログは、第1の操作の受け付け処理、投与薬液の投与量の積算値、および投与薬液の流量の変更情報の少なくとも1つを含む。
【0118】
上記においては、輸液ポンプ70Aを例に挙げて説明したが、
図10から
図12の処理は、他のポンプ70(輸液ポンプ70B、シリンジポンプ70C,70D,70E)においても輸液ポンプ70Aと同様に行なわれる。
【0119】
<E.変形例>
(e1.第1の変形例)
ラックシステム3は、上記実施の形態に示した各処理に加えて、以下の処理をさらに実行してもよい。
【0120】
上述したように、ポンプ70は、端末装置60と無線で通信を行なう。それゆえ、有線の場合に比べて、通信が不安定となる可能性もある。そこで、本変形例では、輸液ポンプ70Aが投薬している際に、輸液ポンプ70Aと端末装置60との間の通信が一時的に途切れた場合について説明する。詳しくは、輸液ポンプ70Aが端末装置60と通信ができなくなった場合のログの送信処理について説明する。
【0121】
図13は、輸液ポンプ70Aから端末装置60へのログの送信を説明するためのシーケンス図である。
【0122】
図13に示されるように、シーケンスSQ201において、輸液ポンプ70Aは、未送信の積算値のログを端末装置60に送信する。以後、シーケンスSQ202,SQ203において、輸液ポンプ70Aは、周期Tbにて未送信の積算値のログを端末装置60に送信する。
【0123】
シーケンスSQ203の後に、輸液ポンプ70Aと端末装置60との間で通信障害が発生したとする。通信障害が発生してから通信が復旧するまでの期間(通信が途絶えた期間)は、端末装置60は、輸液ポンプ70Aからのログを受信することはできない。すなわち、端末装置60は、輸液ポンプ70AがシーケンスSQ204~SQ207において送信された積算値のログを取得できない。
【0124】
この場合、輸液ポンプ70Aは、端末装置60からログを受信したことを示す通知(レスポンス)を受信しない。それゆえ、輸液ポンプ70Aは、当該ログが端末装置60で受信できていないことを判断できる。
【0125】
輸液ポンプ70Aは、通信が復旧すると、シーケンスSQ208において、シーケンスSQ204~SQ207で送信を試みた積算値のログ(端末装置60で受信できなかったログ)に加えて、この度の周期での積算値のログを、端末装置60に送信する。その後、輸液ポンプ70Aは、周期Tbにしたがって、シーケンスSQ209,S210において、それぞれ、未送信の積算値のログを端末装置60に送信する。
【0126】
以上のように、輸液ポンプ70Aは、端末装置60と無線で通信する。輸液ポンプ70Aは、ログを周期的に端末装置60に送信する処理を開始した後に端末装置60との通信が途切れた場合、当該通信が復旧すると通信が途切れた期間のログを端末装置60に送信する。
【0127】
このような構成によれば、端末装置60は、通信が途切れた間のログを取得できる。それゆえ、ネットワークシステム1によれば、端末装置60と輸液ポンプ70Aとの間の通信が途切れた場合であっても、その間のログを電子カルテのサーバ20に送信し得る。それゆえ、ラックシステム3を用いることにより、電子カルテに漏れなく情報を記録可能となる。
【0128】
なお、上記においては、輸液ポンプ70Aを例に挙げて説明したが、
図13の処理は、他のポンプ70(輸液ポンプ70B、シリンジポンプ70C,70D,70E)においても輸液ポンプ70Aと同様の処理が実行される。
【0129】
(e2.第2の変形例)
輸液ポンプ70Aが積算値等のログをメモリ712に記録した直後に、当該ログを端末装置60に送信する場合には、端末装置60は以下のような処理を実行することが好ましい。具体的には、周期Taと周期Tbとが同一であって、ログの取得直後にログを送信するように輸液ポンプ70Aが構成されている場合には、端末装置60を以下のように構成することが好ましい。
【0130】
(1)端末装置60は、輸液ポンプ70Aから受信したログに含まれる時刻情報を、輸液ポンプ70Aの時計73に基づく時刻情報から、端末装置60の時計64に基づく当該ログの受信時刻の時刻情報に変更する。端末装置60は、ログの時刻情報を、端末装置60の時刻情報で置換する。このように、ログの時刻は、端末装置60の時計に基づく時刻で更新(調整)される。
【0131】
これにより、各ポンプ70の時計の時刻が一致していない場合(たとえば、同期していない場合)であっても、個々の時計73に起因する、基準となる時刻(本例では、端末装置60の時計64の時刻)に対する時刻のバラツキを無視できる。したがって、ラックシステム3によれば、ログの時刻情報の精度を向上させることができる。
【0132】
(2)ただし、第1の変形例のように通信が一時的に途切れた場合においては、端末装置60は、通信が復旧した直後に受信した積算値のログの時刻情報(具体的には、シーケンスSQ208において受信した積算値のログの時刻情報)を、輸液ポンプ70Aの時計73に基づく時刻情報から、端末装置60の時計64に基づくログの受信時刻の時刻情報に変更しない。その理由は、以下のとおりである。
【0133】
シーケンスSQ208において受信した積算値のログの時刻情報を、端末装置60の時計64に基づく当該ログの受信時刻の時刻情報に更新すると、シーケンスSQ208で送信されたログの全ての時刻情報が同一となってしまう。シーケンスSQ208で送信されたログには、シーケンスSQ204~SQ207で送信を試みた積算値のログ(端末装置60で受信できなかったログ)を含んでいる。それゆえ、受信時刻に基づきログの時刻情報を更新してしまうと、ログの時刻情報の精度が低下する。このため、端末装置60は、シーケンスSQ208において受信した積算値のログの時刻情報については、当該ログの受信時刻の時刻情報に変更しない。
【0134】
(3)通信が復旧した直後に受信したログの時刻情報(
図13の例の場合、シーケンスSQ208において受信した積算値のログの時刻情報)を、以下の手法で補正してもよい。詳しくは、通信が復旧した直後に受信したログの時刻情報の一部を、以下の手法で補正してもよい。
【0135】
図14は、ログの時刻情報の補正を説明するためのフロー図である。
【0136】
図14に示されるように、ステップS1において、端末装置60は、輸液ポンプ70Aから送信されるログの取得(受信)を開始する。ステップS2において、端末装置60は、輸液ポンプ70Aとの間に通信障害が発生したか否かを判断する。
【0137】
通信障害が発生していない場合(ステップS2においてNO)、端末装置60は、ステップS3において、新たに取得したログに含まれる時刻情報を、端末装置60の時計64に基づく時刻方法に変更する。すなわち、端末装置60は、上述した実施の形態で説明したとおりにログの時刻情報を変更する。
【0138】
通信障害が発生していると判断した場合(ステップS2においてYES)、端末装置60は、ステップS5において、輸液ポンプ70Aとの間の通信が復旧したか否かを判断する。復旧していないと判断した場合(ステップS5においてNO)、端末装置60は、処理をステップS5に進める。復旧したと判断した場合(ステップS5においてYES)、端末装置60は、ステップS6において、輸液ポンプ70Aから、通信が途絶えた期間のログを取得する。
【0139】
ステップS7において、端末装置60は、復旧直後に受信したログに含まれる時刻情報に基づき、輸液ポンプ70Aの時計73が示す時刻と、端末装置60の時計64が示す時刻との間のズレΔtを算出する。ステップS8において、端末装置60は、輸液ポンプ70Aとの追伸が途切れた期間のログに含まれる時刻情報を、ズレΔtに基づいて補正する。
【0140】
ステップS4において、端末装置60は、輸液ポンプ70Aから、操作終了のログを取得したか否かを判断する。なお、輸液ポンプ70Aにおいて停止または消音ボタン771Iが押下されたことに基づき、端末装置60は、操作終了のログを取得する。端末装置60は、操作終了のログを取得したと判断した場合(ステップS4においてYES)、一連の処理を修了する。端末装置60は、操作終了のログを取得していないと判断した場合(ステップS4においてNO)、処理をステップS2に進める。
【0141】
図15は、
図14のステップS7およびステップS8の処理を説明するための図である。
【0142】
図15に示すように、輸液ポンプ70Aによるログ送信のタイミングにおいて、輸液ポンプ70Aとの間の通信状態が良好である場合には、端末装置60は、受信したログの時刻情報を、端末装置60の時計64に基づく当該ログの受信時刻の情報に変更する。
【0143】
たとえば、ログ識別情報“0001”のログについては、端末装置60は、ログの時刻情報を、時刻t1から当該ログを端末装置60が受信した時刻t1’に変更する。同様に、端末装置60は、時刻t2~t7を、それぞれ、時刻t2’~t7’に変更する。
【0144】
その後、端末装置60と輸液ポンプ70Aとの間において通信障害が発生したとする。また、ログ識別情報“0010”のログの送信タイミングの後、かつ、ログ識別情報“0011”のログの送信タイミングの前に、通信障害が復旧したとする。
【0145】
この場合、端末装置60は、ログ識別情報“0008”のログと、ログ識別情報“0009”のログと、ログ識別情報“0010”のログと、ログ識別情報“0011”のログとを同じタイミングで受信する。本例では、時刻t11’に4つのログを同時に受信する。なお、ログ識別情報“0008”のログに含まれる時刻情報と、ログ識別情報“0009”のログに含まれる時刻情報と、ログ識別情報“0010”のログに含まれる時刻情報と、ログ識別情報“0011”のログに含まれる時刻情報とは、本例では、それぞれ、t8,t9,t10,t11である。
【0146】
端末装置60は、復旧直後に受信したログに含まれる時刻情報(t11)に基づき、輸液ポンプ70Aの時計73が示す時刻と、端末装置60の時計64が示す時刻との間のズレΔtを算出する(
図14のステップS7に対応)。典型的には、端末装置60は、時刻t11’から時刻t11を引く演算を行なうことにより、ズレ量Δtを求める。
【0147】
さらに、端末装置60は、輸液ポンプ70Aとの追伸が途切れた期間のログに含まれる時刻情報を、ズレΔtに基づいて補正する(
図14のステップS8に対応)。典型的には、端末装置60は、時刻t8,t9,t10の各々に、算出されたズレ量Δt(=t11’-t11)を加える。これにより、たとえば、ログ識別情報“0008”のログについては、端末装置60は、ログの時刻情報を、時刻t8から時刻t8+(t11’-t11)に変更する。
【0148】
なお、シーケンスSQ208で送信されるログのうち、ログ識別情報“0011”のログに含まれる時刻情報(t11)は、通常どおり、端末装置60での受信時刻の情報(t11’)に変更される。
【0149】
以上のように、端末装置60は、輸液ポンプ70Aとの通信が途切れていない場合、輸液ポンプ70Aから受信したログに含まれる時刻情報を、輸液ポンプ70Aの時計73に基づく時刻情報から、端末装置60の時計64に基づくログの受信時刻の時刻情報に変更する。端末装置60は、輸液ポンプ70Aとの通信が途切れた場合、当該通信が復旧すると、復旧直後に受信したログに含まれる時刻情報と端末装置60の時計64に基づく当該ログの受信時刻の時刻情報とに基づき、輸液ポンプ70Aの時計73が示す時刻と端末装置60の時計64が示す時刻との間のズレΔtを算出する。端末装置60は、当該通信が途切れた期間のログに含まれる時刻情報を、ズレΔtに基づいて補正する。
【0150】
このような構成によれば、通信が復旧した直後に受信したログの時刻情報の精度を高めることができる。当該補正は、積算値のログの時刻情報の補正のみならず、操作ログの時刻情報の補正を含む。
【0151】
なお、上記においては、輸液ポンプ70Aを例に挙げて説明したが、
図14の処理は、他のポンプ70(輸液ポンプ70B、シリンジポンプ70C,70D,70E)においても輸液ポンプ70Aと同様の処理が実行される。
【0152】
(e3.第3の変形例)
図9においては、流量の上限値および下限値をポンプ70に送信する場合を例に挙げて説明したが、上限値および下限値のうちの一方の値を送信するように、端末装置60を構成してもよい。
【0153】
また、
図9においては、「流量の閾値」と「投与量の閾値」と「投与速度の閾値」との3種類の閾値のうち、流量の閾値のみをポンプ70に送信する場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。当該3種類の閾値のうち、少なくとも1種類の閾値を端末装置60がポンプ70に送信する構成であればよい。たとえば、流量の閾値と投与量の閾値とをポンプ70に送信するように、端末装置60を構成してもよい。
【0154】
流量の閾値と同様、投与量の閾値のうち上限値および下限値の少なくとも一方をポンプ70に送信するように、端末装置60を構成してもよい。同様に、投与速度の閾値のうち上限値および下限値の少なくとも一方をポンプ70に送信するように、端末装置60を構成してもよい。
【0155】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0156】
1 ネットワークシステム、2 通信システム、3 ラックシステム、10,60 端末装置、20,30,40,50 サーバ、51,61,71 制御ユニット、53,64,73 時計、62 タッチスクリーン、70A,70B 輸液ポンプ、70C,70D,70E シリンジポンプ、74 駆動部、75 スピーカ、76 警報ランプ、77 操作パネル、90 シリンジ、91 バレル、92 プランジャロッド、511,611,711 プロセッサ、512,612,712 メモリ、621 タッチパネル、622,772,773 ディスプレイ、741 押圧面、771 操作ボタン、771A 電源ボタン、771B,771C メニューボタン、771D 積算量クリアボタン、771E,771F 流量設定ボタン、771G ボーラスボタン、771H 開始ボタン、771I 停止または消音ボタン、921 フランジ、D3 薬剤ライブラリデータ、D41,D42,D43,D44 処方リストデータ。