(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023149981
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】温度調整装置、電子部品ハンドリング装置、電子部品試験装置、及びDUTの温度調整方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/26 20200101AFI20231005BHJP
【FI】
G01R31/26 H
G01R31/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058828
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390005175
【氏名又は名称】株式会社アドバンテスト
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊池 有朋
【テーマコード(参考)】
2G003
【Fターム(参考)】
2G003AA08
2G003AB16
2G003AC03
2G003AD03
2G003AG11
(57)【要約】
【課題】DUTの冷却効率の向上を図ることが可能な温度調整装置を提供する。
【解決手段】温度調整装置40は、入口132及び出口133を有する空間131と、空間131内に配置されたダイ110と、を備えたDUT100を試験する際に、当該DUT100の温度を調整する温度調整装置である。この温度調整装置40は、DUT100の空間131の入口132に接続される接続口411を有する流通孔41と、流通孔41に接続され、温度調整用の流体をDUT100の空間131に供給する流体供給システム50と、を備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口及び出口を有するデバイス流路と、前記デバイス流路内に配置されたダイと、を備えたDUTを試験する際に、前記DUTの温度を調整する温度調整装置であって、
前記温度調整装置は、
前記デバイス流路の前記入口に接続される第1の接続口を有する第1の流路と、
前記第1の流路に接続され、温度調整用の第1の流体を前記デバイス流路に供給する流体供給システムと、を備えた温度調整装置。
【請求項2】
請求項1に記載の温度調整装置であって、
前記温度調整装置は、
前記デバイス流路の前記出口に接続される第2の接続口を有する第2の流路と、
前記第1及び第2の流路に接続され、パージ用の第2の流体を前記デバイス流路に供給するパージシステムと、を備えた温度調整装置。
【請求項3】
請求項2に記載の温度調整装置であって、
前記流体供給システムは、
前記第1の流路に接続された第3の流路と、
前記第2の流路に接続された第4の流路と、
前記第3の流路に配置された第1のバルブと、
前記第4の流路に配置された第2のバルブと、を備え、
前記パージシステムは、
前記第2の流体を供給する第1の供給源が接続される接続部と、
前記接続部と前記第1の流路とを接続する第5の流路と、
前記第2の流路に接続された第6の流路と、
前記第5の流路に配置された第3のバルブと、
前記第6の流路に配置された第4のバルブと、を備え、
前記流体供給システムは、前記第3及び第4のバルブを閉じた状態で前記第1及び第2のバルブを開いて、前記第1の流体を前記デバイス流路に供給し、
前記パージシステムは、前記第1及び第2のバルブを閉じた状態で前記第3及び第4のバルブを開いて、前記第2の流体を前記デバイス流路に供給する温度調整装置。
【請求項4】
請求項3に記載の温度調整装置であって、
前記第6の流路は、前記流体供給システムに接続されている温度調整装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の温度調整装置であって、
前記パージシステムは、前記第1及び第2の接続口が前記入口及び出口から離れる際に、前記第1、第2及び第4のバルブを閉じた状態で前記第3のバルブを開いて、前記第2の流体を前記デバイス流路に供給する温度調整装置。
【請求項6】
請求項2~5のいずれか一項に記載の温度調整装置であって、
前記温度調整装置は、
前記第1の流路内の圧力を検出する圧力センサと、
前記圧力センサが検出した圧力値に基づいて、前記入口と前記第1の接続口との密閉状態、及び、前記第2の接続口と前記出口との密閉状態を判定する判定装置と、を備えた温度調整装置。
【請求項7】
請求項6に記載の温度調整装置であって、
前記流体供給システムは、
前記第1の流路に接続された第3の流路と、
前記第2の流路に接続された第4の流路と、
前記第3の流路に配置された第1のバルブと、
前記第4の流路に配置された第2のバルブと、を備え、
前記パージシステムは、
前記第2の流体を供給する第1の供給源が接続される接続部と、
前記接続部と前記第1の流路とを接続する第5の流路と、
前記第2の流路に接続された第6の流路と、
前記第5の流路に配置された第3のバルブと、
前記第6の流路に配置された第4のバルブと、を備え、
前記パージシステムは、前記第1、第2及び第4のバルブを閉じた状態で前記第3のバルブを開いて、前記第2の流体を供給し、
前記判定装置は、前記第3のバルブを閉じた後に、異なるタイミングで前記圧力センサにより取得した第1及び第2の圧力値に基づいて、前記密閉状態を判定する温度調整装置。
【請求項8】
請求項2~7のいずれか一項に記載の温度調整装置であって、
前記温度調整装置は、
前記第1の接続口を囲むように配置された複数の第1のシールリングと、
前記第2の接続口を囲むように配置された複数の第2のシールリングと、を備えた温度調整装置。
【請求項9】
請求項2~8のいずれか一項に記載の温度調整装置であって、
前記第1の流体は、
第3の流体と、
前記第3の流体の温度とは異なる温度を有する第4の流体と、を含み、
前記流体供給システムは、
前記第3の流体を供給する第2の供給源と、
前記第4の流体を供給する第3の供給源と、を備えた温度調整装置。
【請求項10】
前記DUTをハンドリングする電子部品ハンドリング装置であって、
請求項2~9のいずれか一項に記載の温度調整装置と、
前記温度調整装置の前記第1及び第2の流路が配置されていると共に、前記DUTに接触して前記DUTをソケットに押圧する押圧部材と、を備えた電子部品ハンドリング装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電子部品ハンドリング装置であって、
前記DUTは、
前記ダイと、
前記ダイが実装された基板と、
前記ダイを覆うように前記基板に装着されたリッドと、を備え、
前記デバイス流路は、前記基板と前記リッドとの間に形成された空間であり、
前記入口及び出口は、前記リッドに形成されている電子部品ハンドリング装置。
【請求項12】
DUTを試験する電子部品試験装置であって、
請求項10又は11の電子部品ハンドリング装置と、
ソケットを有するテスタと、を備えた電子部品試験装置。
【請求項13】
請求項1~9のいずれか一項に記載の温度調整装置を用いたDUTの温度調整方法であって、
前記温度調整方法は、
前記デバイス流路の前記入口に前記第1の接続口を接続する第1の工程と、
前記第1の流路を介して前記第1の流体を前記デバイス流路に供給する第2の工程と、を備えたDUT温度調整方法。
【請求項14】
請求項13に記載のDUT温度調整方法であって、
前記温度調整装置は、
前記デバイス流路の前記出口に接続される第2の接続口を有する第2の流路と、
前記第1及び第2の流路に接続され、パージ用の第2の流体を前記デバイス流路に供給するパージシステムと、を備えており、
前記温度調整方法は、前記第1の流体の供給を停止した後に、前記第2の流体を前記デバイス流路に供給する第3の工程を備えたDUT温度調整方法。
【請求項15】
請求項14に記載のDUT温度調整方法であって、
前記パージシステムは、
前記第2の流体を供給する第1の供給源が接続される接続部と、
前記接続部と前記第1の流路とを接続する第5の流路と、
前記第2の流路に接続された第6の流路と、
前記第5の流路に配置された第3のバルブと、
前記第6の流路に配置された第4のバルブと、を備えており、
前記温度調整方法は、前記第1及び第2の接続口が前記入口及び出口から離れる際に、前記第4のバルブを閉じた状態で前記第3のバルブを開いて、前記第2の流体を前記デバイス流路に供給する第4の工程を備えたDUT温度調整方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載のDUT温度調整方法であって、
前記温度調整装置は、前記第1の流路内の圧力を検出する圧力センサを備えており、
前記温度調整方法は、
前記第2の流体を供給する第5の工程と、
前記第2の流体の供給を停止した後に、前記圧力センサにより第1の圧力値を検出する第6の工程と、
前記第6の工程の後に、前記圧力センサにより第2の圧力値を検出する第7の工程と、
前記第1の圧力値と前記第2の圧力値とに基づいて、前記入口と前記第1の接続口との間の密閉状態、及び、前記第2の接続口と前記出口との間の密閉状態を判定する第8の工程と、を備えており、
前記第2の工程を実行する前に、前記第5~第8の工程を実行し、
前記第8の工程において前記密閉状態が確保されていると判定された場合に、前記第2の工程を実行するDUT温度調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路素子等の被試験電子部品(DUT:Device Under test)の温度を調整する温度調整装置、その温度調整装置を備えた電子部品ハンドリング装置及び電子部品試験装置、並びに、その温度調整装置を用いたDUTの温度調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
DUTを保持するコンタクトチャックに設けられた熱交換器の流路に液体を供給することで、当該DUTの温度調整を行う技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2019/0302178号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、流路内を流れる流体とDUTのダイとの間に介在する介在物が熱抵抗となるため、DUTの効率的な冷却が難しい、という問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、DUTの冷却効率の向上を図ることが可能な温度調整装置、その温度調整装置を備えた電子部品ハンドリング装置及び電子部品試験装置、並びに、その温度調整装置を用いたDUTの温度調整方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の態様1は、入口及び出口を有するデバイス流路と、前記デバイス流路内に配置されたダイと、を備えたDUTを試験する際に、前記DUTの温度を調整する温度調整装置であって、前記温度調整装置は、前記デバイス流路の前記入口に接続される第1の接続口を有する第1の流路と、前記第1の流路に接続され、温度調整用の第1の流体を前記デバイス流路に供給する流体供給システムと、を備えた温度調整装置である。
【0007】
[2]本発明の態様2は、態様1の温度調整装置において、前記温度調整装置は、前記デバイス流路の前記出口に接続される第2の接続口を有する第2の流路と、前記第1及び第2の流路に接続され、パージ用の第2の流体を前記デバイス流路に供給するパージシステムと、を備えた温度調整装置であってもよい。
【0008】
[3]本発明の態様3は、態様2の温度調整装置において、前記流体供給システムは、前記第1の流路に接続された第3の流路と、前記第2の流路に接続された第4の流路と、前記第3の流路に配置された第1のバルブと、前記第4の流路に配置された第2のバルブと、を備え、前記パージシステムは、前記第2の流体を供給する第1の供給源が接続される接続部と、前記接続部と前記第1の流路とを接続する第5の流路と、前記第2の流路に接続された第6の流路と、前記第5の流路に配置された第3のバルブと、前記第6の流路に配置された第4のバルブと、を備え、前記流体供給システムは、前記第3及び第4のバルブを閉じた状態で前記第1及び第2のバルブを開いて、前記第1の流体を前記デバイス流路に供給し、前記パージシステムは、前記第1及び第2のバルブを閉じた状態で前記第3及び第4のバルブを開いて、前記第2の流体を前記デバイス流路に供給する温度調整装置であってもよい。
【0009】
[4]本発明の態様4は、態様3の温度調整装置において、前記第6の流路は、前記流体供給システムに接続されている温度調整装置であってもよい。
【0010】
[5]本発明の態様5は、態様3又は4の温度調整装置において、前記パージシステムは、前記第1及び第2の接続口が前記入口及び出口から離れる際に、前記第1、第2及び第4のバルブを閉じた状態で前記第3のバルブを開いて、前記第2の流体を前記デバイス流路に供給する温度調整装置であってもよい。
【0011】
[6]本発明の態様6は、態様2~5のいずれか一つの温度調整装置において、前記温度調整装置は、前記第1の流路内の圧力を検出する圧力センサと、前記圧力センサが検出した圧力値に基づいて、前記入口と前記第1の接続口との密閉状態、及び、前記第2の接続口と前記出口との密閉状態を判定する判定装置と、を備えた温度調整装置であってもよい。
【0012】
[7]本発明の態様7は、態様6の温度調整装置において、前記流体供給システムは、前記第1の流路に接続された第3の流路と、前記第2の流路に接続された第4の流路と、前記第3の流路に配置された第1のバルブと、前記第4の流路に配置された第2のバルブと、を備え、前記パージシステムは、前記第2の流体を供給する第1の供給源が接続される接続部と、前記接続部と前記第1の流路とを接続する第5の流路と、前記第2の流路に接続された第6の流路と、前記第5の流路に配置された第3のバルブと、前記第6の流路に配置された第4のバルブと、を備え、前記パージシステムは、前記第1、第2及び第4のバルブを閉じた状態で前記第3のバルブを開いて、前記第2の流体を供給し、前記判定装置は、前記第3のバルブを閉じた後に、異なるタイミングで前記圧力センサにより取得した第1及び第2の圧力値に基づいて、前記密閉状態を判定する温度調整装置であってもよい。
【0013】
[8]本発明の態様8は、態様2~7のいずれか一つの温度調整装置において、前記温度調整装置は、前記第1の接続口を囲むように配置された複数の第1のシールリングと、前記第2の接続口を囲むように配置された複数の第2のシールリングと、を備えた温度調整装置であってもよい。
【0014】
[9]本発明の態様9は、態様2~8のいずれか一つの温度調整装置において、前記第1の流体は、第3の流体と、前記第3の流体の温度とは異なる温度を有する第4の流体と、を含み、前記流体供給システムは、前記第3の流体を供給する第2の供給源と、前記第4の流体を供給する第3の供給源と、を備えた温度調整装置であってもよい。
【0015】
[10]本発明の態様10は、前記DUTをハンドリングする電子部品ハンドリング装置であって、態様2~9のいずれか一つの温度調整装置と、前記温度調整装置の前記第1及び第2の流路が配置されていると共に、前記DUTに接触して前記DUTをソケットに押圧する押圧部材と、を備えた電子部品ハンドリング装置である。
【0016】
[11]本発明の態様11は、態様10の電子部品ハンドリング装置において、前記DUTは、前記ダイと、前記ダイが実装された基板と、前記ダイを覆うように前記基板に装着されたリッドと、を備え、前記デバイス流路は、前記基板と前記リッドとの間に形成された空間であり、前記入口及び出口は、前記リッドに形成されている電子部品ハンドリング装置であってもよい。
【0017】
[12]本発明の態様12は、DUTを試験する電子部品試験装置であって、態様10又は11の電子部品ハンドリング装置と、ソケットを有するテスタと、を備えた電子部品試験装置である。
【0018】
[13]本発明の態様13は、DUTを試験する電子部品試験装置であって、態様2~9のいずれか一つの温度調整装置と、前記温度調整装置の前記第1及び第2の流路が配置されたソケットを有するテスタと、前記DUTをハンドリングして前記DUTをソケットに押圧する電子部品ハンドリング装置と、を備えた電子部品試験装置である。
【0019】
[14]本発明の態様14は、態様1~9のいずれか一つの温度調整装置を用いたDUTの温度調整方法であって、前記温度調整方法は、前記デバイス流路の前記入口に前記第1の接続口を接続する第1の工程と、前記第1の流路を介して前記第1の流体を前記デバイス流路に供給する第2の工程と、を備えたDUT温度調整方法である。
【0020】
[15]本発明の態様15は、態様14の温度調整方法において、前記温度調整装置は、前記デバイス流路の前記出口に接続される第2の接続口を有する第2の流路と、前記第1及び第2の流路に接続され、パージ用の第2の流体を前記デバイス流路に供給するパージシステムと、を備えており、前記温度調整方法は、前記第1の流体の供給を停止した後に、前記第2の流体を前記デバイス流路に供給する第3の工程を備えたDUT温度調整方法であってもよい。
【0021】
[16]本発明の態様16は、態様15の温度調整方法において、前記パージシステムは、前記第2の流体を供給する第1の供給源が接続される接続部と、前記接続部と前記第1の流路とを接続する第5の流路と、前記第2の流路に接続された第6の流路と、前記第5の流路に配置された第3のバルブと、前記第6の流路に配置された第4のバルブと、を備えており、前記温度調整方法は、前記第1及び第2の接続口が前記入口及び出口から離れる際に、前記第4のバルブを閉じた状態で前記第3のバルブを開いて、前記第2の流体を前記デバイス流路に供給する第4の工程を備えたDUT温度調整方法であってもよい。
【0022】
[17]本発明の態様17は、態様15又は16の温度調整方法において、前記温度調整装置は、前記第1の流路内の圧力を検出する圧力センサを備えており、前記温度調整方法は、前記第2の流体を供給する第5の工程と、前記第2の流体の供給を停止した後に、前記圧力センサにより第1の圧力値を検出する第6の工程と、前記第6の工程の後に、前記圧力センサにより第2の圧力値を検出する第7の工程と、前記第1の圧力値と前記第2の圧力値とに基づいて、前記入口と前記第1の接続口との間の密閉状態、及び、前記第2の接続口と前記出口との間の密閉状態を判定する第8の工程と、を備えており、前記第2の工程を実行する前に、前記第5~第8の工程を実行し、前記第8の工程において前記密閉状態が確保されていると判定された場合に、前記第2の工程を実行するDUT温度調整方法であってもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第1の流路を介して流体供給システムが温度調整用の流体をDUTのデバイス流路に供給することで、第1の流体をダイに直接接触させることができるので、DUTの冷却の効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態における電子部品試験装置の全体構成を示す概略断面図である。
【
図2】
図2(a)は、本発明の第1実施形態におけるDUTを示す平面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のIIB-IIB線に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1実施形態における
図1のIII部に対応するコンタクトチャックの断面と温度調整装置のシステム構成を示す図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、本発明の第1実施形態におけるコンタクトチャックの先端部を示す断面図及び底面図であり、
図3のIV部に対応する図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1実施形態におけるコンタクトチャックの先端部の変形例を示す断面図である。
【
図6】
図6は、本発明の第1実施形態における温度調整方法を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、本発明の第1実施形態における温度調整装置の動作を示す図であり、
図6のステップS10に対応する図である。
【
図7B】
図7Bは、本発明の第1実施形態における温度調整装置の動作を示す図であり、
図6のステップS20に対応する図である。
【
図7C】
図7Cは、本発明の第1実施形態における温度調整装置の動作を示す図であり、
図6のステップS30に対応する図である。
【
図7D】
図7Dは、本発明の第1実施形態における温度調整装置の動作を示す図であり、
図6のステップS40に対応する図である。
【
図7E】
図7Eは、本発明の第1実施形態における温度調整装置の動作を示す図であり、
図6のステップS60に対応する図である。
【
図7F】
図7Fは、本発明の第1実施形態における温度調整装置の動作を示す図であり、
図6のステップS70に対応する図である。
【
図7G】
図7Gは、本発明の第1実施形態における温度調整装置の動作を示す図であり、
図6のステップS80に対応する図である。
【
図8】
図8は、本発明の第2実施形態における温度調整装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は本発明の第1実施形態における電子部品試験装置1の全体構成を示す概略断面図であり、
図2(a)は本発明の第1実施形態におけるDUTを示す平面図であり、
図2(b)は
図2(a)のIIB-IIB線に沿った断面図である。
【0027】
本実施形態における電子部品試験装置1は、被試験電子部品であるDUT100の電気的特性を試験する装置である。
図1に示すように、この電子部品試験装置1は、DUT100を試験するテスタ2と、DUT100を搬送してソケット10に押し付けるハンドラ20と、を備えている。このハンドラ20が本発明の態様における「電子部品ハンドリング装置」の一例に相当する。
【0028】
ここで、試験対象であるDUT100は、特に限定されないが、例えば、ロジックデバイス、SoC(System on a chip)、又は、メモリデバイス等の半導体デバイスである。このDUT100は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、ダイ110と、基板120と、リッド130と、を備えている。
【0029】
ダイ110は、半導体ウェハをダイシングすることで形成されたベアダイである。このダイ110には、試験対象である主回路に加えて、ジャンクション温度を検出する温度検出回路111を有している。
【0030】
この温度検出回路111は、例えば、サーマルダイオードを含む回路である。なお、温度検出回路111は、サーマルダイオードを含む回路に限定されず、例えば、温度に依存した抵抗特性やバンドギャップ特性を有する素子を含む回路を用いて温度検出回路111を構成してもよい。或いは、温度検出回路111として、熱電対を用いてもよい。
【0031】
基板120は、ダイ110がその上面に実装された配線板であり、その下面に端子121を有している。後述のように、コンタクトアーム30によってDUT100がソケット10に押し付けられた際に、この端子121にソケット10の接触子11が接触する(
図7B参照)。
【0032】
リッド130は、ダイ110を覆うように、基板120に固定された蓋部材であり、ダイ110とリッド130との間に空間131が形成されている。本実施形態では、リッド130に入口132と出口133が形成されている。空間131は、この入口132と出口133を介して外部と連通している。この空間131、入口132、及び、出口133は、後述する温度調整装置40によるDUT100の温度制御に用いられる。この空間131が本発明の態様における「デバイス流路」の一例に相当する。
【0033】
なお、本実施形態では、入口132及び出口133は矩形の形状を有しているが、入口132及び出口133の形状は、特にこれに限定されない。例えば、入口132及び出口133の形状が円形であってもよい。また、本実施形態では、入口132及び出口133がそれぞれ1つずつ形成されているが、入口132及び出口133の数は、特にこれに限定されない。例えば、複数の入口132と複数の出口133がリッド130に形成されていてもよい。
【0034】
テスタ2は、後述する温度調整装置40によって温度が制御されているDUT100を試験する。このテスタ2は、
図1に示すように、メインフレーム(テスタ本体)3と、テストヘッド4と、を備えている。メインフレーム3は、ケーブル5を介してテストヘッド4に接続されている。このテストヘッド4の上部にはソケット10が搭載されている。テストヘッド4は、開口22を介してソケット10がハンドラ20内の内部に位置するように、ハンドラ20の下部に設けられた空間21に配置されている。
【0035】
ソケット10は、DUT100の端子121に接触する接触子11(
図7B参照)を備えている。こうした接触子11としては、特に限定されないが、ポゴピン、カンチレバー型のプローブ針、異方導電性ゴムシート、又は、絶縁性膜にバンプを形成したメンブレンタイプの接触子を例示することができる。なお、テストヘッド4の上部に搭載されるソケット10の数は、特に限定されず、複数のソケット10をテストヘッド4の上部に搭載してもよい。
【0036】
ハンドラ20は、試験前のDUT100をソケット10まで搬送して当該DUT100をソケット10に押し付けたり、試験結果に応じてDUT100を分類するように構成されている。このハンドラ20は、
図1に示すように、コンタクトアーム30と、温度調整装置40(
図3参照)と、を備えている。
【0037】
コンタクトアーム30は、DUT100を保持して移動させて当該DUT100をソケット10に押し付ける搬送アームである。このコンタクトアーム30によってDUT100がソケット10に押し付けられることで、当該DUT100とソケット10とが電気的に接続される。
【0038】
コンタクトアーム30は、アーム本体31と、コンタクトチャック32と、を備えている。アーム本体31は、特に図示しないアクチュエータによって、XY平面上において移動及び回転が可能になっていると共に、Z方向に沿って上下動することが可能となっている。このアーム本体31の先端にコンタクトチャック32が装着されている。このコンタクトチャック32が本発明の態様における「押圧部材」の一例に相当する。
【0039】
図3は本発明の第1実施形態における
図1のIII部に対応するコンタクトチャック32の断面と温度調整装置40のシステム構成を示す図である。
図4(a)及び
図4(b)は本発明の第1実施形態におけるコンタクトチャック32の先端部を示す断面図及び底面図であり、
図3のIV部に対応する図である。
【0040】
コンタクトチャック32は、
図3に示すように、当該コンタクトチャック32の先端面321に開口する吸着パッド322を備えている。この吸着パッド322は、当該コンタクトチャック32に形成された流通孔323を介して、真空ポンプ80に連通している。コンタクトアーム30は、この吸着パッド322でDUT100の上面を吸着することで、当該DUT100を保持することが可能となっている。
【0041】
温度調整装置40は、DUT100の高温試験又は低温試験を可能にすると共に、DUT100の自己発熱を相殺するために、当該DUT100の温度を調整する装置である。この温度調整装置40は、コンタクトアーム30の先端部(コンタクトチャック32)がDUT100と接触している状態で、冷媒と温媒を用いて当該DUT100の温度を調整する。本実施形態では、温度調整装置40がDUT100の入口132を介して冷媒及び温媒を当該DUT100の内部の空間131に供給して、冷媒及び温媒をダイ110に直接接触させることで、DUT100の温度調整を効率的に実行する。
【0042】
本実施形態の温度調整装置40は、
図3に示すように、流通孔41~44と、流体供給システム50と、パージシステム60と、制御装置70と、を備えている。流通孔41が本発明の態様における「第1の流路」の一例に相当し、流通孔42が本発明の態様における「第2の流路」の一例に相当する。
【0043】
流通孔41~44は、コンタクトアーム30のコンタクトチャック32に形成されている。流通孔41,42は、コンタクトチャック32の先端面321に開口する接続口411,421をその一端に有している。この流通孔41,42の他端は、流体供給システム50に接続されている。これに対し、流通孔43,44は、流通孔41,42からそれぞれ分岐しており、いずれもパージシステム60に接続されている。
【0044】
この接続口411,421は、上述したDUT100の入口132及び出口133の形状に対応した矩形の形状を有している(
図4(b)参照)。また、この接続口411,421は、入口132及び出口133にそれぞれ対応するように、コンタクトチャック32の先端面321に配置されている。そして、コンタクトチャック32の先端面321がDUT100のリッド130の上面に接触した際に、一方の接続口411が入口132に対向して当該入口132と連通すると共に、他方の接続口421が出口133に対向して当該出口133と連通する。
【0045】
このコンタクトチャック32は、アーム本体31に交換可能に装着されている。例えば、DUT100の品種変更の際に、当該変更後のDUT100に適合したコンタクトチャック32に交換される。この交換後のコンタクトチャック32は、変更後のDUT100の入口132及び出口133に対応した接続口411,421を有している。
【0046】
なお、
図5に示すように、接続口411,421がコンタクトチャック32の先端面321から下方に向かって管状に突出してもよい。この場合には、コンタクトチャック32の先端面321がDUT100のリッド130に接触した際に、接続口411,421がリッド130の入口132及び出口133にそれぞれ挿入される。
図5は本実施形態におけるコンタクトチャック32の先端部の変形例を示す断面図である。
【0047】
図4(a)及び
図4(b)に戻り、本実施形態では、2つの環状の溝321a,321bが接続口411を囲むようにコンタクトチャック32の先端面321に形成されている。一方の溝321aは、接続口411に隣接するように配置されており、他方の溝321bはその一方の溝321aの外側に配置されている。そして、この2つの溝321a,321bにシールリング324a,324bがそれぞれ圧入されている。このシールリング324a,324bが本発明の態様における「第1のシールリング」の一例に相当する。
【0048】
接続口421に関しても同様に、2つの環状の溝が接続口421を囲むように、当該溝がコンタクトチャック32の先端面321に形成されている。一方の溝は、接続口421に隣接するように配置されており、他方の溝はその一方の溝の外側に配置されている。そして、この2つの溝にシールリング324c,324dがそれぞれ圧入されている。このシールリング324c,324dが本発明の態様における「第2のシールリング」の一例に相当する。
【0049】
すなわち、本実施形態では、接続口411の周囲にシールリング324a,324bが二重に配置されており、接続口411と入口132との間の密閉性の向上が図られている。同様に、接続口421の周囲にシールリング324c,324dが二重に配置されており、接続口421と出口133との間の密閉性の向上が図られている。こうしたシールリング324a~324dとして、例えば、ゴム等の弾性変形可能な樹脂材料から構成された環状の部材を例示することができる。
【0050】
なお、接続口411,421の周囲に配置されるシールリングの数は、特に上記に限定されず、1つ或いは3つ以上のシールリングをそれぞれの接続口411,421の周囲に配置してもよい。3つ以上のシールリングをそれぞれの接続口411,421の周囲の配置する場合には、当該シールリングはそれぞれの接続口411,421の周囲に多重に配置される。
【0051】
流体供給システム50は、流通孔41,42を介して、DUT100に冷媒及び温媒を供給及び回収するシステムである。なお、流体供給システム50の構成は、流通孔41,42を介して温度調整用の流体をDUT100に供給するものであれば、以下に説明する構成に特に限定されない。
【0052】
この流体供給システム50は、
図3に示すように、冷媒供給源51と、温媒供給源52と、配管531~538と、バルブ541~544と、を備えている。
【0053】
冷媒供給源51は、例えばチラー及びポンプを備えており、冷媒の温度を第1の温度に調整して、当該冷媒を配管531に供給する。この配管531にバルブ541が設置されており、当該バルブ541により冷媒の流量を調整することが可能となっている。この冷媒が本発明の態様における「第1の流体」及び「第3の流体」の一例に相当し、冷媒供給源51が本発明の態様における「第2の供給源」の一例に相当する。
【0054】
一方、温媒供給源52は、例えばボイラー及びポンプを備えており、温媒の温度を第1の温度よりも高い第2の温度に調整して、当該温媒を配管532に供給する。この配管532にバルブ542が設置されており、当該バルブ542により温媒の流量を調整することが可能となっている。この温媒が本発明の態様における「第1の流体」及び「第4の流体」の一例に相当し、温媒供給源52が本発明の態様における「第3の供給源」の一例に相当する。
【0055】
配管531,532は合流して配管533に接続されている。さらに、この配管533は、上述のコンタクトチャック32の流通孔41に接続されている。配管531~533が本発明の態様における「第3の流路」の一例に相当し、バルブ541,542が本発明の態様における「第1のバルブ」の一例に相当する。
【0056】
配管534は、上述のコンタクトチャック32の流通孔42に接続されている。この配管534は配管535,536に分岐している。一方の配管535は冷媒供給源51に接続されているのに対し、他方の配管536は温媒供給源52に接続されている。
【0057】
一方の配管535にバルブ543が設置されており、当該バルブ543により冷媒供給源51に導かれる流体の流量を調整することが可能となっている。同様に、他方の配管536にもバルブ544が設置されており、当該バルブ544により温媒供給源52に導かれる流体の流量を調整することが可能となっている。配管534~536が本発明の態様における「第4の流路」の一例に相当し、バルブ543,544が本発明の態様における「第2のバルブ」の一例に相当する。
【0058】
冷媒及び温媒の具体例としては、特に限定されないが、例えば、フッ素系不活性溶液のブラインを例示することができる。
【0059】
さらに、本実施形態の流体供給システム50は、冷媒及び温媒として用いられる液体が貯留された補充タンク55を備えている。この補充タンク55は、配管537,538を介して冷媒供給源51及び温媒供給源52にそれぞれ接続されている。
【0060】
例えば、冷媒供給源51における冷媒の量が規定値以下となった場合に、この補充タンク55から配管537を介して液体が冷媒供給源51に補充される。同様に、温媒供給源52における温媒の量が規定値以下となった場合に、補充タンク55から配管538を介して液体が温媒供給源52に補充される。
【0061】
なお、
図3に示す例では、流体供給システム50が温度調整用の液体をコンタクトアーム30のアーム本体31側からコンタクトチャック32に供給しているが、特にこれに限定されない。例えば、ソケット10の周囲に設けられたソケットガイド(不図示)を介して、流体供給システム50がテストヘッド4側からコンタクトチャック32に液体を供給してもよい。
【0062】
同様に、
図3に示す例では、流体供給システム50がコンタクトチャック32からアーム本体31側に液体を回収しているが、特にこれに限定されない。例えば、ソケットガイド(不図示)を介して、流体供給システム50が液体をコンタクトチャック32からテストヘッド4側に回収してもよい。
【0063】
パージシステム60は、流通孔41,42を介してDUT100の内部の空間131にパージエアを供給して、当該空間131内に残っている液体をDUT100の外部に排出するシステムである。このパージシステム60は、接続部61と、配管621,622と、バルブ631,632と、圧力センサ64と、を備えている。
【0064】
接続部61には、パージ用の空気(パージエア)を供給するエア供給源90に接続されている。エア供給源90は、例えば、外気を接続部61に供給するポンプを備えている。このエア供給源90として、既設の工場配管等を用いてもよい。エア供給源90が本発明の態様における「第1の供給源」の一例に相当する。
【0065】
この接続部61は、配管621の一端に設けられている。この配管621の他端は、コンタクトチャック32の流通孔43に接続されている。また、この配管621にバルブ631が設置されており、当該バルブ631を開閉することで、エア供給源90から流通孔41にパージエアを供給し又は停止したり、パージエアの流量を調整することが可能となっている。配管621と流通孔43が本発明の態様における「第5の流路」の一例に相当し、バルブ631が本発明の態様における「第3のバルブ」の一例に相当する。
【0066】
また、この配管621には、圧力センサ64が接続されている。この圧力センサ64は、配管621及び流通孔43を介して流通孔41内の圧力を検出することが可能となっている。この圧力センサ64は、その検出結果を判定部72(後述)に出力可能なように、制御装置70に接続されている。
【0067】
これに対し、配管622は、コンタクトチャック32の流通孔44と補充タンク55とを接続している。この配管622にバルブ632が設置されており、当該バルブ632を開閉することで、流通孔44と補充タンク55とを連通させ又は遮断することが可能となっている。配管622と流通孔44が本発明の態様における「第6の流路」の一例に相当し、バルブ632が本発明の態様における「第4のバルブ」の一例に相当する。
【0068】
なお、
図3に示す例では、パージシステム60がパージエアをコンタクトアーム30のアーム本体31側からコンタクトチャック32に供給しているが、特にこれに限定されない。例えば、ソケット10の周囲に設けられたソケットガイド(不図示)を介して、パージシステム60がテストヘッド4側からコンタクトチャック32にエアを供給してもよい。
【0069】
同様に、
図3に示す例では、パージシステム60がコンタクトチャック32からアーム本体31側にパージエアを回収しているが、特にこれに限定されない。例えば、ソケットガイド(不図示)を介して、パージシステム60がエアをコンタクトチャック32からテストヘッド4側に回収してもよい。
【0070】
制御装置70は、制御部71と、判定部72と、を備えている。制御部71は、流体供給システム50とパージシステム60を制御する機能を有しており、例えば、バルブ541~544,631,632の開閉制御を行う。
【0071】
具体的には、DUT100の温度制御を行う際には、この制御部71は、DUT100の温度検出回路111からの出力信号に基づいて、バルブ541~544の制御を行うことで、DUT100の空間131に供給される流体の流量を調整する。なお、この温度検出回路111からの出力信号は、ソケット10を介して取得される。また、この制御部71は、バルブ631,632の制御を行うことで、DUT100の空間131内のパージ処理を行ったり、密着しているDUT100からのコンタクトチャック32の離脱のサポートを行ったりする。
【0072】
判定部72は、圧力センサ64の検出結果に基づいて、コンタクトチャック32の接続口411とDUT100のリッド130の入口132との密閉状態と、コンタクトチャック32の接続口421とDUT100のリッド130の出口133との密閉状態と、を判定する。
【0073】
この制御装置70は、例えば、プロセッサを備えたコンピュータにより構成されており、制御部71及び判定部72を機能的に備えている。これらの機能71,72は、制御装置70を構成する上記のコンピュータにインストールされたソフトウェアをプロセッサが実行することによって実現される。なお、この制御装置70を、コンピュータに代えて、回路基板により構成してもよい。
【0074】
以下に、
図6及び
図7A~
図7Gを参照しながら、上記に説明した温度調整装置40を用いたDUT100の温度調整方法について説明する。
【0075】
図6は本発明の第1実施形態における温度調整方法を示すフローチャートであり、
図7A~
図7Gは本発明の第1実施形態における温度調整装置の動作を示す図である。
【0076】
先ず、
図6のステップS10において、コンタクトアーム30が、DUT100が載置されている保持体200の上方に移動した後、コンタクトチャック32を下降させることで、
図7Aに示すように、コンタクトチャック32の先端面321をDUT100のリッド130の上面に接触させる。次いで、流通孔323を介して真空ポンプ80により吸引することで、吸着パッド322によりDUT100を吸着保持する。なお、保持体200の具体例としては、特に限定されないが、例えば、カスタマトレイ、ヒートプレート、又は、バッファプレート等を例示することができる。
【0077】
この状態において、コンタクトチャック32の接続口411がDUT100の入口132と接続され、コンタクトチャック32の流通孔41とDUT100の空間131とが連通する。同様に、コンタクトチャック32の接続口421がDUT100の出口133と接続され、コンタクトチャック32の流通孔42とDUT100の空間131とが連通する。また、この状態において、全てのバルブ541~544,631,632が閉じられている。
【0078】
次いで、
図6のステップS20において、
図7Bに示すように、コンタクトアーム30が、DUT100をソケット10の上方に移動させた後、コンタクトチャック32を下降させることで、DUT100をソケット10に押圧する。これにより、DUT100の端子121がソケット10の接触子11に接触し、DUT100とソケット10が電気的に接続される。
【0079】
次いで、
図6のステップS30において、制御装置70の判定部72が、コンタクトチャック32の接続口411,421とDUT100の入口132及び出口133との密閉状態を判定する。なお、このステップS30をステップS10の後であってステップS20の前に実行してもよい。
【0080】
具体的には、
図6のステップS31において、制御部71の制御により、バルブ521~524,632を閉じたままの状態で、バルブ631を開く。これにより、
図7Cに示すように、配管621及び流通孔43,41を介して、エア供給源90からパージエアがDUT100の空間131に供給される。
【0081】
次いで、
図6のステップS32において、バルブ631を閉じた後に、圧力センサ64が圧力を検出する。この際、全てのバルブ541~544,631,632が閉じられているため、パージエアの圧力の低下は、当該パージエアの漏洩に起因する。また、配管621は流通孔43を介して流通孔41に接続されているので、圧力センサ64は、流通孔41内の圧力を検出する。そして、圧力センサ64は、その検出結果を第1の圧力値P
1として、制御装置70の判定部72に出力する。
【0082】
次いで、上記のステップS32から所定時間経過後に、
図6のステップS33において、圧力センサ64が圧力を再度検出する。圧力センサ64は、検出した流通孔41内の圧力を第2の圧力値P
2として、制御装置70の判定部72に出力する。なお、特に限定されないが、所定時間の具体例としては、例えば1秒である。
【0083】
次いで、
図6のステップS34において、制御装置70の判定部72は、第1の圧力値P
1と第2の圧力値P
2とを比較し、その差分ΔPが所定値P
0未満であるか否かを判断する(P
1-P
2=ΔP<P
0)。
【0084】
そして、判定部72は、差分ΔPが所定値P
0未満でない場合(ΔP≧P
0)には、コンタクトチャック32の接続口411,421とDUT100の入口132及び出口133との間の密閉性は確保されていると判定する。この場合には、後述の
図6のステップS40において温度調整用の流体をDUT100の空間131に供給しても、当該液体が接続口411と入口132との間、或いは、接続口421と出口133との間から漏洩することはないため、ステップS40に進む(ステップS34においてYES)。
【0085】
これに対し、判定部72は、差分ΔPが所定値P
0未満であるとした場合(ΔP<P
0)には、コンタクトチャック32の接続口411,421とDUT100の入口132及び出口133との間の密閉性が確保されていないと判定する。この場合には、後述の
図6のステップS40において温度調整用の流体をDUT100の空間131に供給すると、当該液体が接続口411と入口132との間、或いは、接続口421と出口133との間から漏洩するおそれがあるため、
図6のステップS100においてDUT100のテストを中止する(ステップS34においてNO)。
【0086】
このように、本実施形態では、温度調整用の液体を供給する前に、パージシステム60を利用してDUT100とコンタクトチャック32との密閉状態を確認することができ、温度調整用の液体の漏洩の発生の抑制を図ることができる。
【0087】
そして、ステップS34において密閉性の確保が確認されたら(ステップS34においてYES)、
図6のステップS40において、DUT100の温度調整を開始する。
【0088】
具体的には、先ず、制御装置70の制御部71は、ソケット10を介してDUT100の温度検出回路111の出力信号を取得する。次いで、制御部71は、この出力信号に基づいて、ダイ110のジャンクション温度Tjを算出する。そして制御部71は、ジャンクション温度Tjの算出結果とDUT100の目標温度との差が小さくなるように、バルブ541~544を制御する。
【0089】
この際のジャンクション温度を用いる制御の具体例としては、米国特許出願第15/719,849(米国特許出願公開第2019/0101587号明細書)、米国特許出願第16/351,363(米国特許出願公開第2020/0033402号明細書)、米国特許出願第16/575,460(米国特許出願公開第2020/0241582号明細書)、及び、米国特許出願第16/575,470(米国特許出願公開第2020/0241040号明細書)に記載された制御を例示することができる。
【0090】
例えば、DUT100の温度を低下させる場合には、バルブ541,543を開くと共に、バルブ542,544を閉じることで、
図7Dに示すように、冷媒が冷媒供給源51から配管531,533及び流通孔41を介してDUT100の空間131に供給される。そして、DUT100の空間131内に進入した冷媒は、入口132から出口133に向かって空間131を通過する間に、ダイ110に直接接触して熱交換を行うことで、ダイ110を冷却する。出口133を通過した冷媒は、流通孔42及び配管534,535を介して冷媒供給源51に回収される。なお、この状態において、バルブ631,632は閉じられている。
【0091】
これに対し、DUT100の温度を上昇させる場合には、バルブ542,544を開くと共にバルブ541,543を閉じることで、
図7Dに示すように、温媒が温媒供給源52から配管532,533及び流通孔41を介してDUT100の空間131に供給される。そして、DUT100の空間131内に進入した温媒は、入口132から出口133に向かって空間131を通過する間に、ダイ110に直接接触して熱交換を行うことで、ダイ110を加熱する。出口133を通過した温媒は、流通孔42及び配管534,536を介して温媒供給源52に回収される。なお、この状態において、バルブ631,632は閉じられている。
【0092】
なお、バルブ541により冷媒の流量を調整すると共に、バルブ542により温媒の流量を調整することで、冷媒と温媒の混合液をDUT100の空間131に供給してもよい。
【0093】
DUT100の温度が目標温度となったら、
図6のステップS50において、テスタ2がDUT100の電気的特性を試験する。具体的には、テスタ2は、DUT100を試験するための試験パターンに基づく試験信号をDUT100に入力して、当該試験信号に応じてDUT100が出力する出力信号に基づいてDUT100の良否を判定する。なお、この試験に伴ってDUT100が自己発熱するため、試験中も温度調整装置40により当該DUT100の温度が調整されている。
【0094】
DUT100の試験が完了したら、制御部71の制御によりバルブ541~544を閉じた後に、
図6のステップS60において、流体供給システム50から供給された液体を、DUT100の空間131から排出するパージ処理を実行する。なお、このステップS60をステップS70の後であってステップS80の前に実行してもよい。
【0095】
具体的には、制御部71の制御により、バルブ631,632を開くと共に、バルブ541~544を閉じる。これにより、
図7Eに示すように、配管621及び流通孔43,41を介して、エア供給源90からパージエアがDUT100の空間131に供給される。そして、このパージエアが空間131内に残っている液体を出口133から排出する。この液体は、流通孔42,44及び配管622を介して補充タンク55に回収され、温度調整用の液体として再利用される。
【0096】
このように、本実施形態では、流体供給システム50による温度調整後にパージシステム60からパージエアを供給することによって温度調整用の液体をDUT100から排出するので、当該DUT100内の当該液体の残留の発生を抑制することができる。
【0097】
また、本実施形態では、パージエアによってDUT100から排出した温度調整用の液体を流体供給システム50に回収するので、温度調整用の液体の使用量の低減を図ることもできる。
【0098】
次いで、
図6のステップS70において、
図7Fに示すように、コンタクトアーム30がDTU100を上昇させて、DUT100をソケット10から離脱させる。
【0099】
そして、
図6のステップS80において、コンタクトアーム30がDUT100を保持体200の上方に移動させた後、当該DUT100を下降させることで、保持体200(
図7G参照)にDUT100を載置する。なお、保持体200は、上述のステップS10で言及した保持体200と同じものであってもよいし、ステップS10の保持体200とは別のものであってもよい。
【0100】
そして、
図7Gに示すように、コンタクトチャック32によるDUT100の吸着保持を停止し、コンタクトアーム30が上昇することで、コンタクトチャック32がDUT100から離れる。この際、DUT100とコンタクトチャック32とが密着している場合があるため、本実施形態では、パージシステム60を利用して、DUT100からのコンタクトチャック32の離脱をサポートする。
【0101】
具体的には、制御部71の制御により、バルブ631を開くと共にバルブ632を閉じる。これにより、
図7Gに示すように、配管621及び流通孔43,41を介して、エア供給源90からパージエアがDUT100の空間131に供給される。この際、バルブ541~544,632が閉じられているため、パージエアの圧力により、コンタクトチャック32がDUT100から離れ易くなる。なお、この状態において、バルブ541~544は閉じられている。
【0102】
以上のように、本実施形態では、流通孔41を介して流体供給システム50が温度調整用の流体をDUT100の空間131に供給することで、当該流体をダイ110に直接接触させることができるので、DUT100の冷却の効率の向上を図ることができる。
【0103】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0104】
例えば、流体供給システム50がDUT100の空間131に供給する流体は、DUT100を冷却するための冷媒のみであってもよい。すなわち、流体供給システム50が液体の供給源として冷媒供給源のみを備えていてもよい。或いは、流体供給システム50がDUT100の空間131に供給する流体が、DUT100を加熱するための温媒のみであってもよい。すなわち、流体供給システム50が液体の供給源として温媒供給源のみを備えていてもよい。
【0105】
また、上述の実施形態では、流体供給システム50がDUT100の空間131に供給する流体が液体であるが、この温度調整用の流体が気体であってもよい。DUT100の温度調整用の気体としては、例えば、窒素又は空気を例示することができる。温度調整用に流体として気体を用いた場合には、当該流体を回収する必要はないので、コンタクトチャック32の先端面321がDUT100と接している状態において、DUT100の出口133を露出させて、流体を外部に放出してもよい。
【0106】
また、上述の実施形態では、DUT100の入口132及び出口133に接続される接続口411,421をコンタクトチャック32に配置した例について説明したが、
図8に示すように、接続口411,421をソケット10に設けてもよい。この場合には、入口132及び出口133は、基板120を貫通するように当該基板120に形成される。
図8は本発明の第2実施形態における温度調整装置40を示す断面図である。
【0107】
また、特に図示しないが、入口132をDUT100のリッド130に形成すると共に接続口411をコンタクトチャック32に配置し、出口133をDUT100の基板120に形成すると共に接続口421をソケット10に配置してもよい。或いは、入口132をDUT100の基板120に形成すると共に接続口421をソケット10に配置し、出口133をDUT100のリッド130に形成すると共に接続口411をコンタクトチャック32に配置してもよい。
【0108】
また、上述の実施形態では、コンタクトアーム30を備えたハンドラ20に温度調整装置40を適用した例について説明したが、特にこれに限定されない。例えば、DUTをテストトレイに搭載した状態で当該DUTをソケットに押し付けるタイプのハンドラに、上述した温度調整装置40を適用してもよい。この場合には、テストトレイに搭載された複数のDUT100をそれぞれ押圧する複数のプッシャに流通孔41~44をそれぞれ形成する。
【符号の説明】
【0109】
1…電子部品試験装置
2…テスタ
10…ソケット
20…ハンドラ
30…コンタクトアーム
31…アーム本体
32…コンタクトチャック
324a~324d…シールリング
40…温度調整装置
41~44…流通孔
411,421…接続口
50…流体供給システム
51…冷媒供給源
52…温媒供給源
531~538…配管
541~544…バルブ
55…補充タンク
60…パージシステム
61…接続部
621,622…配管
631,632…バルブ
64…圧力センサ
70…制御装置
71…制御部
72…判定部
90…エア供給源
100…DUT
110…ダイ
130…リッド
131…空間
132…入口
133…出口