(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150010
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】風向風力計
(51)【国際特許分類】
G01P 13/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G01P13/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058873
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001834
【氏名又は名称】三機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100044
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 重夫
(74)【代理人】
【識別番号】100205888
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 孝之助
(72)【発明者】
【氏名】磯村 隆司
【テーマコード(参考)】
2F034
【Fターム(参考)】
2F034AA02
2F034DA04
2F034DB04
(57)【要約】
【課題】吊り下げた糸を用いて風向と風力を同時に測定することができ、風のパターンを容易に把握できる、簡易な構成の風向風力計10を提供する。
【解決手段】支持部材11と、その支持部材11によって鉛直線N回りに回転自在に吊り下げられる風向板13と、風向板13に表示された扇状の角度表示20と、扇状の角度表示20の要に相当する部位から垂れ下がる糸14、15とを備えている。支持部材11と風向板13の間に吊り下げ部材12が介在されており、支持部材11と吊り下げ部材12の上端との間に、摩擦を減少させる球状のビーズ18が介在されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、
その支持部材によって鉛直線回りに回転自在に吊り下げられる風向板と、
風向板に表示された扇状の角度表示と、
扇状の角度表示の要に相当する部位から垂れ下がる糸とを備えている、
風向風力計。
【請求項2】
前記支持部材と風向板の間に吊り下げ部材が介在されており、
支持部材と吊り下げ部材の上端との間に、摩擦を減少させる球状のビーズが介在されている、請求項1記載の風向風力計。
【請求項3】
前記角度表示の扇の要の部位から横方向に糸支持軸が突設されており、
前記糸が張りを有し、
糸支持軸に対し、糸が風向板と略平行に揺動するように連結されている、
請求項1または2記載の風向風力計。
【請求項4】
前記糸支持軸が風向板の両側にそれぞれ突設されており、
糸支持軸のそれぞれの側に単位長さ当たり重量または風の抵抗値が異なる糸が吊られている、請求項3記載の風向風力計。
【請求項5】
前記風向板の下部に重りが設けられており、風向板が、吊り下げられている部位と重りとを結ぶ鉛直線まわりに回転する、請求項1~4のいずれかに記載の風向風力計。
【請求項6】
前記風向板が、角度表示が表示されている90度の中心角を有する扇部と、扇部より上方に延長された風受け片とを備えている、請求項1~5のいずれかに記載の風向風力計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内の換気やドラフトの風向と風力を検出する風向風力計に関し、とくに手に持って隙間風を検出したり多数配列して空間パターンを検出したりするための軽量で安価に製造できる風向風力計に関する。
【背景技術】
【0002】
空調換気や建物ドラフトなどの調査で気流の調査をする場合、従来は、たとえば熱線式のポータブル風力計により風速を測り、糸(水糸)等を垂らすことにより風向を測っている。しかし広い範囲での気流の性情を計測するには、同じ時間帯に多くの地点で風向や風速を把握する必要があるので、多くの風量計および多数の人員を要する。また、垂らした糸の揺れ角度は見る位置によって変わるので把握しにくい。そのため、安価に製造でき、測定値を把握しやすい風向風力計が望まれる。
【0003】
特許文献1には、風洞内に設置した模型などの物体の周囲の気流を検出する簡易な構成の風向指示器として、発泡スチロールなどの軽量の板で形成した風向板を支軸で鉛直線まわりに回転自在に支持するものが開示されている。また、風向板をビーズで支持して回転を容易にすること、上面から赤外線を照射して風向板の向きの時間的変化を記録することも開示されている。
【0004】
特許文献2には、細長い膜体(風船)の一端を支柱に連結した風向計が開示されている。このものは膜体内にヘリウムを充填して膜体の重量とほぼ等しい浮力を発生させ、空中に浮かばせて風向を測定する。そのため、水平方向だけでなく、斜め下向きなど、垂直方向の風の向きも検出できる。
【0005】
特許文献3には、建築現場で吹く風の風速および風向を把握し、確認するための吹き流しが開示されている。このものは強い風のときは吹き流しが横にたなびき、弱い風のときは下に垂れさがることにより、風力を検出できる。
【0006】
特許文献4には、細長い板の下辺から複数本の糸(絹繊維)が垂れ下がる簡易測定器が開示されている。このものは、使用者が板を手にもって糸の傾きなどから風向と風力を測定することができる。さらに傾いた糸の角度を測定できるよう、板に分度器を取り付けることを提案している。
【0007】
特許文献5には、クリーンルームの天井から吹き下ろす垂直層流の偏位量を、天井近辺から吊り下げた糸と水平に保持した物差し(計尺)とで測定する気流角度測定器が開示されている。特許文献6には、吊り下げた糸の吊り下げ中心(基準点)からの距離と向きを測定する、同心状の複数のリングや角度目盛を備えた気流測定器が開示されている。特許文献7には、上下および環状に多数配列した風車と回転計とでクリーンルーム内の気流の状態を測定する風力チェッカーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公平5-67911号公報
【特許文献2】特開平10-48237号公報
【特許文献3】登録実用新案第3172675号公報
【特許文献4】特開平10-54841号公報
【特許文献5】実開平4-49580号公報
【特許文献6】特開平8-189934号公報
【特許文献7】特開平7-174777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の風向指示器は構成が簡単であり、安価に製造できる。特許文献2の浮遊する膜体は微風でも風向を検出することができ、多数配置して風のパターンを把握することができる。しかしいずれも風向だけを測定するので、風力計は別途準備する必要がある。特許文献3の吹き流しは、風力と風向を同時に検出することができ、比較的大きいので視認しやすいが、大掛かりになる。
【0010】
特許文献4の吊るした糸を用いる簡易測定器は構成が簡易であり、使用者が板を手にもって測定できるので、操作も簡単である。また分度器で糸の傾きを測定することにより風力も測定できる。しかし風力が弱く、糸の振れ角(鉛直に対する傾斜角)が小さい場合は風向を見極めにくい。また、糸の振れ角を把握するには横方向から見る必要があるが、糸の傾き方向が分かりにくいので、振れ角を正確に把握するのが難しい。
【0011】
特許文献5の気流角度測定器は、天井からの気流の偏流度を吊るした糸の傾きで検出できる。また、糸の傾き方向にあらかじめ計測片を沿わせた上で計測片の目盛りを確認するので、気流の偏向度を正確に把握できる。しかし計測片の向きを糸の向きに沿わせるので、手間がかかる。
【0012】
特許文献6の気流測定装置は、揺動する糸の下端に沿って配置された凹面状の角度目盛と、環状体の全周に設けた方位目盛とによって風力と風向を同時に測定できる。しかし設備が大掛かりである。特許文献7の気流チェッカーも風力と風向を同時に測定できるが、多数の風車や回転速度を検出するパワーメータ計を用いるので、さらに設備が大掛かりになる。
【0013】
本発明は、吊り下げた糸を用いて風向と風力を同時に測定することができ、風向を容易に把握できる、簡易な構成の風向風力計を提供することを技術課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の風向風力計10は、支持部材11と、その支持部材11によって鉛直線N回りに回転自在に吊り下げられる風向板13と、風向板13に表示された扇状の角度表示20と、扇状の角度表示20の要に相当する部位から垂れ下がる糸14、15とを備えていることを特徴としている。このような風向風力計10においては、前記支持部材11と風向板13の間に吊り下げ部材12が介在されており、支持部材12と吊り下げ部材12の上端との間に、摩擦を減少させる球状のビーズ18が介在されているものが好ましい。
【0015】
また、前記角度表示20の扇の要の部位から横方向に糸支持軸(水平部12a)が突設されており、前記糸14、15が張りを有し、糸支持軸(12a)に対し、糸14、15が風向板13と略平行に揺動するように連結されているものが好ましい。その場合、前記糸支持軸が風向板の両側にそれぞれ突設されており、糸支持軸(12a)のそれぞれの側に単位長さ当たり重量または風の抵抗値が異なる糸14、15が吊られているものが好ましい。
【0016】
また、前記風向板13の下部(22)に重りWが設けられており、風向板13が、吊り下げられている部位と重りWとを結ぶ鉛直線N回りに回転するものが一層好ましい。さらに前記風向板13が、角度表示20が表示されている90度の中心角を有する扇部21と、扇部21より上方に延長された風受け片23とを備えているものが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の風向風力計は、風向板の方向によって風向きが分かりやすく示され、風向板の角度表示によって糸の振れ角を正確に把握することができる。そして構成が簡易なため、低コストで製造することができ、手に持って隙間風を検出したり多数配列して空間の気流パターンの全容を把握したりするのに適する。
【0018】
このような風向風力計において、前記支持部材と風向板の間に吊り下げ部材が介在されており、支持部材と吊り下げ部材の上端との間に摩擦を減少させる球状のビーズが介在されている場合は、風向板の回転摩擦抵抗が少ないため、微風でも風向きを正確に表示する。
【0019】
前記角度表示の扇の要の部位から横方向に糸支持軸が突設されており、前記糸が張りを有し、糸支持軸に対し、糸が風向板と略平行に揺動するように連結されている場合は、糸と風向板との摩擦抵抗が少ないため、微風でも風力を検出することができる。さらに前記糸支持軸が風向板の両側にそれぞれ突設されており、糸支持軸のそれぞれの側に単位長さ当たり重量または風の抵抗値が異なる糸が吊られている場合は、微風の場合とそれより強い風の場合とで計測する糸を変えることにより、広い範囲の風力を計測することができる。
【0020】
前記風向板の下部に重りが設けられており、風向板が、吊り下げられている部位と重りとを結ぶ鉛直線まわりに回転する場合は、風向板を軽量にしても風に煽られにくく、回転中心を確実に上下方向に維持することができる。さらに前記風向板が、角度表示が表示されている90度の中心角を有する扇部と、扇部より上方に延長された風受け片とを備えている場合は、風を受ける面積が広くなり、風により生ずるトルクが大きくなるので、微風でも風向を正確に表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の風向風力計の一実施形態を示す斜視図である。
【
図6】風向風力計の使用方法を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に示す風向風力計10は、支持部材11と、その支持部材11に対し鉛直線Nまわりに回動自在に吊り持ち支持される吊り下げ部材12と、その吊り下げ部材12の下端に吊り下げられる風向板13および2本の糸14、15とを備えている。この実施形態では吊り下げ部材12の下端は水平に延びる水平部12aとされており、その水平部12aの中央に風向板13が吊り下げられ、左右に延びる部位に糸14、15の上端が回動自在に連結されている。水平部12aの左右は糸支持軸である。
【0023】
支持部材11は、たとえば木製などの角棒であり、使用者が風向風力計10を手で持ちながら建物内を移動できるようにしている。支持部材11の先端には、ゼムクリップなどからなる受け部16がダブルクリップ17などで固定されている。受け部16は球状のビーズ18を回動自在および揺動自在に支持する部材である。ゼムクリップに代えて、金属線を折り曲げて形成した部材を受け部とすることもできる。支持部材11の先端近辺に孔を形成して受け部としてもよい。
【0024】
図2A、
図2Bに示すように、吊り下げ部材12は針金などの金属線の上部を鉛直方向に延ばし、下部を三角形状に折り曲げて左右に延びる水平部12aとしたものである。たとえば大きい三角形のクリップを拡げて形成することができる。吊り下げ部材12の上部は鉛直方向に延びている鉛直部12bであり、この実施形態では鉛直部12bを球状のビーズ18の孔に通した後、出てきた部位(突出部)12cを横向きに折り曲げて抜け止めとしている。
【0025】
突出部12cと受け部16の間に球状のビーズ18を介在させることにより、吊り下げ部材12がスムーズに回転する(
図3参照)。さらに球状のビーズ18を採用しているので、支持部材11がいくらか傾いても吊り下げ部材12をまっすぐ下向きに垂らすことができる。
【0026】
風向板13は、たとえば角度表示20を印刷した紙を2枚の透明の合成樹脂フィルム(ラミネートフィルム)で挟み込み、フィルム同士を熱接合した積層シートを所定の形状に切断して形成することができる。紙としては、例えば40~60kg/1000枚のコピー用紙(とくに上質55kg)などを用いることができる。合成樹脂フィルムとしては、厚さ50~150μm(とくに100μm)のポリエステルフィルムを用いることができる。紙のみ、また合成樹脂フィルムのみから構成してもよい。合成樹脂フィルムでラミネートした紙からなる積層シートは、耐久性が高く、水分をはじくことができ、汚れにくい。
【0027】
図4に示すように、角度表示20は、縦方向に延びる縦線20aと、その縦線20aの上端から90度の角度で水平に延びる水平線20bと、それらの間に15度刻みで表示した傾斜線20cとからなる(
図4参照)。水平線20bから15度の傾斜線20c1には「強」の文字が、45度の傾斜線20c2には「中」の文字が、75度の傾斜線20c3には「弱」の文字が付されている。水平線20bと30度の線の間の扇形を赤系統の色とし、30度と60度の間の扇形を水色とし、60度と縦線20aの間を青色とするなど、色彩で区別すると一層風の強度を見極めやすくなる。
図2Aに示すように、風力が強い場合は、糸14が水平に近い位置まで大きく傾き、風力が弱い場合は糸14がほぼ下に垂れ下がる。
【0028】
図4に示すように、風向板13は、角度表示20が設けられた略90度の中心角を有する扇部21と、その扇部21の上下方向の一辺(縦辺)21aに沿って延長された重り取り付け片22と、水平に延びる他辺(横辺、想像線)21bから上向きに延長された風受け片23とを備えている。扇部21の縦辺21aと横辺21bの間には略円弧状の縁部21cが設けられている。重り取り付け片22には重りWが取り付けられる(
図2A参照)。重りWは扇部21に直接取り付けることもできる。重り取り付け片22を下方に延長させることにより、風向板13の回動に与えるトルクが大きくなり、風向板13が安定しやすくなる。
【0029】
重りWを取り付けることにより、吊り下げ部材12による上向きの力と協働して風向板13を上下に引っ張ることができ、回転の軸となる鉛直線N(
図1参照)を規定することができ、風向板13が鉛直線N回りにスムーズに回転する。そして鉛直線Nは風向板13の端(縦辺21a)に接近しているため、
図3に示すように、扇部21や風受け片23が風を受けたとき、風見鶏と同様に、扇部21や風受け片23が風下になるように鉛直線N回りに回転する。それにより風の向き(矢印P)を示すことができる。重りWとしては、いわゆるガチャ玉(紙を閉じるのに用いる薄い金属板製クリップ)やダブルクリップ、鉛片など、入手が容易なものを採用することができる。
【0030】
風受け片23は、この実施形態では小鳥の頭部を模しており、体や羽根に見立てることができる扇部21と合わせて、風向板13全体が小鳥の形態をしている。それにより親しみやすく、癒し効果も見込まれる。風受け片23を設けることにより、微風であっても風の向き(矢印P)に沿いやすくなる。なお扇部21の一部を水平に延長すると、糸14、15が見にくくなる可能性があるが、上方へ延長する場合はそのおそれがない。風受け片23は風向板13の吊り下げ位置である扇の要の部位24から離れている。それにより風向板13の回動に与えるトルクを大きくすることができる。
【0031】
図2A、
図2Bに示すように、扇部の要の部位24には、ハトメ(鳩目)25が固着されており、ハトメ25の穴に円筒状のビーズ26が嵌合されている。そして
図5に示すように、ビーズ26の中心孔を吊り下げ部材12の水平部12aが貫通しており、風向板13が水平部12aの回りに回動自在に吊られている。ハトメ25を取り付けることにより穴の周囲を保護することができ、ハトメ25の鍔部を介して風向板13と吊り下げ部材12の左右の位置関係が規制される。
【0032】
ハトメ25の穴は水平部12aを構成する金属線の径に比して大き過ぎてガタが生ずるが、円筒状のビーズ26を設けることにより、ガタを小さくすることができる。円筒状のビーズ26としては、たとえばアイロンビーズと呼ばれる、多数のビーズを並べてアイロンで端面を加熱加圧することにより互いに溶着連結させて所定の形状にする玩具のビーズを採用することができる。風向板13を吊り下げ部材12の水平部12a回りに回動自在とすることにより、支持部材11を手で持って移動する場合でも、風向板13の姿勢が安定する。ただし風向板13を吊り下げ部材12に固定することもできる。
【0033】
前記糸14、15は、天然繊維あるいは合成繊維からなる撚り糸によって構成することができる。とくに墨出し用のナイロン製の撚り糸(墨つぼ剛糸)の撚りをほぐして1/4~1/2程度の太さにしたものが好ましい。とくに太さ0.3~0.8mm程度、1m当たり重量0.6~1.5g/m程度の糸が好ましい。風に対して適切に角度を指示するため、ある程度、張り性を有するもの、例えば糸の一端を保持したときに垂れ下がらず、真っすぐ延びるものが好ましい。天然繊維の糸に合成樹脂を含浸させて張り性を与えてもよい。
【0034】
この実施形態では、太さが異なる2本の糸14、15を用いている。それにより強風用の糸15と微風用の糸14など、異なる機能の糸を使い分けることができる(
図2A参照)。この実施形態では2本の糸14、15は互いに絡まりにくいように、風向板13の左右に分けて配置している。そして少なくとも風向板13の背後の糸15は、扇部21の半径より長くしている。そのため扇部21の下側に見えている部分で風力を検出できる。
【0035】
図5に示すように、糸14、15の上端はハトメ27の周囲に巻き付けて結んでおり、ハトメ27の中央の穴に円筒状のビーズ28を固定している。ハトメ27を用いると、ハトメ27の鍔部が糸14、15の横ずれを防止することができる。ビーズ28は吊り下げ部材12の水平部12aの周囲に回転自在に取り付けられており、糸用のビーズ28と風向板13用のビーズ26との間には、スペーサとして球状のビーズ29が介在されている。さらに吊り下げ部材12の斜め線12dの下端と糸用のビーズ28の間にもスペーサ用の球状のビーズ30が介在されている。
【0036】
図5に示すように、糸14、15と風向板13との間には所定の間隔Sが設けられている。それにより糸14、15が揺れても風向板13や重りWと干渉することが抑制される。ただし糸14、15と風向板13の摩擦が少ない場合、糸14、15と重りWとが滑りやすい場合は、間隔Sを設けず、糸14、15を風向板13に接触させてもよい。
【0037】
上記のように構成される風向風力計10では、
図3に示すように、扇部21と風受け片23が風を受けて風下になるように鉛直線N回りに回転する。そして風の強さに応じて、糸14、15が吹き上げられる。すなわち風が強いときは糸14、15が高く回動し、風が弱いときは下向きに垂れる。そのため、使用者は、風向きと風の強さを同時に観察することができる。また、風向板13を真横から見ることが慫慂されるので、糸14、15の角度を正確に測ることができる。
【0038】
図6は多数の風向風力計10を、格子状に配列するように建物の天井から吊るしたパターン測定装置31を示している。このように多数の風向風力計10を建物内に配列すると、建物内を流れる風の向きおよび強さのパターンを視覚的に観察することができる。なお、それぞれの風向風力計10の近くに付している矢印は、向きを風の向きを示すと共に、その長さで風力、すなわち糸14、15の角度を示している。このような画像や動画像を作成することにより、一層風向、風力を解析しやすくなる。風向風力計10は、水平に配列するだけでなく、上下に多層に配列することもできる。たとえば天井が高い吹き抜けの空間やドーム天井のアーケードなどでは、2層あるいは3層以上に配列することもできる。
【0039】
以上、好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、求められる測定精度、空間の装飾性、測定条件などに応じて種々変更することができる。前記実施形態では支持部材11として、手で持つことができる木製の角棒を用いたが、天井に固定された部材でもよい。また、木製のほか、金属製、合成樹脂製の部材でもよい。吊り下げ部材12としては、金属線のほか、合成樹脂製の線材や部材、ナイロン繊維などの合成繊維あるいは天然繊維から製造したものでもよい。糸14、15は合成樹脂線あるいは金属線などの線材であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
10 風向風力計
11 支持部材
N 鉛直線
12 吊り下げ部材
12a 水平部(糸支持軸)
12b 鉛直部
12c 突出部(折り曲げた部位)
12d 斜め線
13 風向板
14、15 糸
16 受け部
17 ダブルクリップ
18 球状のビーズ
20 角度表示
20a 縦線
20b 水平線
20c、20c1、20c2、20c3 傾斜線
W 重り
21 扇部
21a 縦辺
21b 横辺
22 重り取り付け片
P 風の向き
23 風受け片
24 要の部位
25 ハトメ(風向板用)
26 円筒状のビーズ(風向板用)
27 ハトメ(糸用)
28 円筒状のビーズ(糸用)
29 球状のビーズ
S 間隔
30 球状のビーズ
31 パターン測定装置