(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150030
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】車両
(51)【国際特許分類】
B60J 5/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
B60J5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058899
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100146064
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 玲子
(72)【発明者】
【氏名】中田 千秋
(57)【要約】
【課題】 コストを増大させることなく、ユーザがバックドア等のドアを開ける前に、障害物との衝突可能性を事前に把握でき、ドア開動作時の障害物との衝突を回避することができる車両を提供する。
【解決手段】 車両に対して回動により開閉自在に軸支されているドアと、回動時における前記ドアの端部が前記車両から最も遠ざかる位置を特定する位置特定手段と、前記位置特定手段によって特定された位置を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対して回動により開閉自在に軸支されているドアと、
回動時における前記ドアの端部が前記車両から最も遠ざかる位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段によって特定された位置を報知する報知手段とを備える、車両。
【請求項2】
前記車両の傾斜情報を取得する傾斜情報取得手段を有し、
前記位置特定手段は、前記車両の停車時において、前記傾斜情報取得手段によって取得された前記車両の傾斜情報に基づいて、前記回動時における前記ドアの端部が前記車両から最も遠ざかる位置を特定する、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記報知手段は、
前記ドアが開動作準備状態になったときに、前記特定された位置を報知する、請求項1または2に記載の車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衝突回避装置を搭載した車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に設けられたバックドア等の駆動時に、障害物との衝突を防ぐための技術として、バックドアの開動作と同時にセンサで周囲の障害物を検知し、検知結果から障害物との接触の可能性が高いと判定された場合は、バックドアの回動を停止させるバックドア回動制御装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記技術では、ユーザは、バックドアと障害物との衝突可能性をドアを開ける前に把握できない。さらには、ユーザがドアを開けた時に壁との衝突を避けるため、途中でドアに手を添えてしまうと、その時点からドアが閉まるものもあり、利便性が悪かった。また、ドア周辺に障害物を検知するためのセンサを設置するスペースを新たに設ける必要があり、その結果、製造コストを増大させてしまう。
【0005】
本発明は上記課題を解決するものであり、コストを増大させることなく、ユーザがバックドア等のドアを開ける前に、障害物との衝突可能性を事前に把握でき、ドアを開ける際の障害物との衝突を回避することができる車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる車両は、車両に対して回動により開閉自在に軸支されているドアと、回動時における前記ドアの端部が前記車両から最も遠ざかる位置を特定する位置特定手段と、前記位置特定手段によって特定された位置を報知する報知手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明にかかる車両において、前記車両の傾斜情報を取得する傾斜情報取得手段を有し、前記位置特定手段は、前記車両の停車時において、前記傾斜情報取得手段によって取得された前記車両の傾斜情報に基づいて、前記回動時における前記ドアの端部が前記車両から最も遠ざかる位置を特定することが好ましい。
【0008】
また、本発明にかかる車両によれば、前記報知手段は、前記ドアが開動作準備状態になったときに、前記特定された位置を報知することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、コストを増大させることなく、ユーザがバックドア等のドアを開ける前に、障害物との衝突可能性を事前に把握でき、ドア開動作時の障害物との衝突を回避することができる車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施例にかかる車両の構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、車両を側面視した状態を示す側面図であり、本発明の実施例のランプ照射態様の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、車両を側面視した状態を示す側面図であり、本発明の実施例の車両の停車状態におけるライト照射角度を説明する図である。
図3(A)は、地面がフラットな面である場合の例を、
図3(B)は、地面が前傾斜である場合の例を、
図3(C)は、地面が後傾斜である場合の例を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明における衝突回避装置の動作(処理)の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。ただし、本発明は、以下の説明に限定および制限されない。
【0012】
本発明の実施形態の車両100は、バックドア18を開ける際に障害物との衝突を回避させるための衝突回避装置10を搭載している。本発明の実施例の衝突回避装置10は、車両100が備えるバックドア18の回動時におけるバックドア18の端部が車両100から最も遠ざかる位置を、車両100に設けられた報知部(例えば、Rrランプ、リアコンビランプ、ライセンスランプなどの照明装置など)を用いて報知し、バックドア18を開ける前に、ユーザに対して、障害物衝突可能性を認識させることを可能とするものである。これにより、ユーザは、車両100の位置を移動させるなど、障害物との衝突を回避するための対応を行うことが可能となる。
【0013】
図1は、本発明の実施例にかかる車両100の構成を示す模式図である。車両100には、バックドア18と、BD(バックドア)ガイドランプ22と、キー12と、IG_SW14と、衝突回避装置10とが備えられている。
【0014】
バックドア18は、車両100の後方に、回動により開閉自在に軸支されている。バックドア18は、ユーザが開動作の指示を行うことにより、後述するBODY(ボディ)ECU30によって制御され、自動で開駆動される。ユーザの開動作の指示は、Eラッチ操作(ハンドルに触れることによるもの。BD_Eラッチともいう。)により電磁的に行う。ユーザからバックドア18に対する開動作の指示が行われると、開動作指示情報がBODY_ECU30に送られる。また、ユーザの開動作の指示は、ユーザがバックドア18の開指示を行った、または行う可能性があると認識できるものであれば、これに限らず、たとえば、リモコンで指示するもの、キック動作によるもの、または、ユーザによるドアのハンドルを手前に引く解除が行われたことを条件としてもよい。
【0015】
BDガイドランプ22は、車両100の後方に設けられ、後述するBD(バックドア)ガイドランプECU20により制御される。例えば、Rrランプ、リアコンビランプ、ライセンスランプといった、既存の部品である。BDガイドランプ22は、バックドア18の回動時におけるバックドア18の端部が車両100から最も遠くなる位置が認識できる態様でライトを照射する。これにより、ユーザにバックドア18の端部が車両100から最も遠く離れる位置を報知することができる。
【0016】
衝突回避装置10は、CPU、ROMおよびRAMなどを含む構成の複数のECUおよび、Gセンサ16を備える。複数のECUには、BODY_ECU30と、エンジンECU40と、BDランプECU20とが含まれ、相互に接続されている。
【0017】
Gセンサ16(加速度センサ)は、たとえば、錘の変位に応じた信号を車両100の加速度に応じた検出信号として出力するものが採用されている。そのため、路面の勾配に応じた検出信号がGセンサ16から出力されるので、Gセンサ16の検出信号から車両100が所在する路面の勾配(傾斜角)を求めることができる。後述するBODY_ECU30により、車両100が停車されたと判断されたときに、Gセンサ16の検出信号は、車両100の傾斜情報として、後述するBDランプECU20に送信される。
【0018】
BODY_ECU30は、車両100のバックドア18等の車載電装品の動作を制御する。また、キー12は、車両100のキーロックおよびキーロック解除を行うものである。例えば、携帯機(リモコンなど)によるものや、車両100の一部に対してユーザが操作を行うもの(例えばドアハンドルに設けられたスイッチなど)、もしくは、ユーザが車両100に近づくことでキーが解除されるものでもよい。キー12による操作情報が通信装置(図示しない)を介し、BODY_ECU30に送られ、キーロックまたは、キーロック解除がされたか否かが判断される。
【0019】
エンジンECU40には、IG_SW14などが接続され、車両に搭載されたエンジンの始動を制御する。エンジンECU40は、IG_SW14によってIGオフ操作が行われると、エンジンを停止するべくリレー(図示しない)をオフにする。また、エンジンECU40は、IG_SW14によってIGオフ操作がされた場合、IGオフ情報を、BODY_ECU30および、BDランプECU20に送信する。これにより、BODY_ECU30およびBDランプECU20は、車両100が停車されている状態であると判断する。
【0020】
BDランプECU20は、BDガイドランプ22のライトの照射、および照射角度の制御を行う。BDランプECU20は、車両100の傾斜状態(傾斜角度θ)に応じた、BDガイドランプ22のライトの照射角度S(照射方向)を照射角度特定用テーブルに格納している。BDランプECU20は、たとえば、エンジンECU40によるIGオフ情報によって、車両100が停車されている状態であると判断した場合に、車両100の傾斜情報に基づいて、たとえば照射角度特定用テーブルを参照し、現状の車両100の傾斜角度θに対応するBDガイドランプ22のライトの照射角度Sを特定する。
【0021】
BDランプECU20は、バックドア18が開動作準備状態であると判断すると、特定した照射角度Sでライトを照射する。たとえば、ユーザからバックドア18に対する開動作の指示が行われ、開動作指示情報がBODY_ECU30に送られた場合に、BDガイドランプECU20はバックドア18が開動作準備状態であると判断する。また、開動作指示の有無にかかわらず、キー12による車両100のキーロックが解除された場合、もしくは、キーロック解除の有無にかかわらず、ユーザが外部から車両100に近づくことを条件として、バックドア18が開動作準備状態であると判断することができる。これにより、たとえば、車両100と離れた位置からであっても、開動作指示を行う前に、ユーザはバックドア18の端部の衝突可能性を認識することができるため、より効率的に障害物との衝突を回避するための対応を行うことができる。
【0022】
図2を参照して、BDガイドランプ22のライトの照射位置について説明する。BDガイドランプ22のライトの照射位置は、バックドア18の回動時におけるバックドア18の端部の軌跡(
図2に示す曲線矢印)のうち、車両100から最も遠くなる位置(
図2に示すY軸の上方部)から、下方にまっすぐ伸ばしたラインと、車両100が停車する地面(
図2に示すPの面)とが交差する位置(
図2に示すAの位置)に向かって照射される。これにより、たとえば、Y軸よりも後方に壁などの障害物などがあった場合には、障害物よりも手前の地面にライトが照射されているため、ユーザは、バックドア18を開ける際に障害物との衝突可能性がないと安心して、バックドア18を開けることができる。一方、Y軸よりも手前に障害物などがあった場合には、照射位置が地面ではなく、障害物に当たってしまう。そうすると、ユーザは、バックドア18を開けると、障害物との衝突可能性があると認識でき、車両100を移動させるなど、障害物との衝突を回避するための対応を行うことができる。また、照射範囲は、視認性向上の観点から、実際のAの位置となる範囲よりも少し広く余裕をもたせることが好ましく、たとえば、
図2および
図3に示すY軸の下方と、地面Pとが交差する点Aから、車両100よりも離れた方向に10cm~20cm程度幅をもたせるとよい。
【0023】
図2および
図3を参照して、BDガイドランプ22の照射角度Sについて説明する。照射角度Sは、車両100の停車時の傾斜に応じた補正がなされると、好ましい。BDランプECU20は、車両100が停車したときの車両100の傾斜情報に基づいて、照射角度特定用テーブルを参照し、車両100の傾斜角度θに応じた照射角度Sを特定する。照射角度特定用テーブルは、たとえば、車両100の傾斜角度θを、3パターンの範囲に分けた構成として、各パターン(BD_LIGHT)毎に照射角度を定める。たとえば、傾斜角度θが0°から±15°の範囲を、車両100の傾斜がフラットの範囲である(
図3(A)、Pの面がフラット)として、パターンBD_LIGHT=00と定める。また、それ以上の傾斜がついていた場合に、車両100の後方が上がり傾斜(
図3(B)、Pの面が前傾斜)であれば、パターンBD_LIGHT=01とし、車両100の前方が上がり傾斜(
図3(C)、Pの面が後傾斜)であれば、パターンBD_LIGHT=10とする。
【0024】
BDランプECU20は、Gセンサ16から送信された傾斜情報に基づいて、いずれのパターンに該当するかを判断し、該当するパターンを記憶する。BDランプECU20に格納されている照射角度特定用テーブルには、上述のように、あらかじめ各パターンに応じた照射角度Sが定められている。車両100が停車している地面(Pの面)の傾斜角度により、BDガイドランプ22の位置(Y2軸)と、Y軸との距離Lが異なるため、照射角度特定用テーブルを参照して、車両100の傾斜角度θに応じて特定(位置補正)された照射角度Sに変更することにより、BDガイドランプ22のライトを、Aの位置に向かって的確に照射することができる。
【0025】
具体的には、
図3(A)を参照して、車両100の傾斜角度θのパターン(BD_LIGHT)がBD_LIGHT=00に該当する範囲となる地面の傾斜に停車された場合、Gセンサ16から送信された傾斜情報に基づいて、BDランプECU20に車両100の傾斜角度θのパターンがBD_LIGHT=00となると判断される。照射角度特定用テーブルを参照して、判断されたBD_LIGHT=00に応じたBDガイドランプ22のライトの照射角度S1が特定され、特定された照射角度S1がBDランプECU20に記憶される。その後、バックドア18が開動作準備状態となったときに、BDガイドランプ22のライトは、特定された照射角度S1で照射されるため、A1を表示(に向かって照射)することができる。A1は、バックドア18の端部が、車両100から最も遠くなる位置(Y軸の上方部)から、下方にまっすぐ伸ばしたラインと、車両100が停車するPの面とが交差する位置である。
【0026】
図3(B)を参照して、車両100の傾斜角度θのパターンがBD_LIGHT=01に該当する範囲となる地面の傾斜に停車された場合、Gセンサ16から送信された傾斜情報に基づいて、BDランプECU20に車両100の傾斜角度θのパターンがBD_LIGHT=01となると判断される。照射角度特定用テーブルを参照して、判断されたBD_LIGHT=01に応じたBDガイドランプ22のライトの照射角度S2が特定され、特定された照射角度S2が、BDランプECU20に記憶される。その後、バックドア18が開動作準備状態となったときに、BDガイドランプ22のライトは、特定された照射角度S2で照射されるため、A2を表示(に向かって照射)することができる。
【0027】
図3(C)を参照して、車両100の傾斜角度θのパターンがBD_LIGHT=10に該当する範囲となる地面の傾斜に停車された場合、Gセンサから送信された傾斜情報に基づいて、BDランプECU20に車両100の傾斜角度θのパターンがBD_LIGHT=10となると判断される。照射角度特定用テーブルを参照して、判断されたBD_LIGHT=10に応じたBDガイドランプ22のライトの照射角度S3が特定され、特定された照射角度S3が、BDランプECU20に記憶される。その後、バックドア18が開動作準備状態となったときに、BDガイドランプ22のライトは、特定された照射角度S3で照射されるため、A3を表示(に向かって照射)することができる。
【0028】
このように、
図3(B)に示す車両100の後方が上がり傾斜している状態におけるLの距離は、
図3(A)に示す車両100がフラットな状態におけるL、および、
図3(C)に示す車両前方が上がり傾斜している状態におけるLの距離よりも短い。また、
図3(C)に示すLの距離は、
図3(A)に示すL、および、
図3(B)に示すLの距離よりも長い。しかし、本発明の上記実施形態においては、車両100の傾斜角度θに応じて、BDガイドランプ22のライトの照射角度Sの変更を可能とすることもできるため、より的確に各傾斜状態に応じたAの位置に照射することができる。
【0029】
図4は、本発明における衝突回避装置10の動作(処理)の一例を示すフローチャートである。
図4にしたがって本発明における衝突回避装置10の動作を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
図4に示す衝突回避処理では、ステップS1において、IG_SW14がオフ(OFF)されたか否かを判別する。IG_SW14がオフされたと判別されなければ(ステップS1、NO)、車両100を停車、すなわち駐車された状態ではないとして、衝突回避処理を終了する。一方、IG_SW14がオフされたと判別されると(ステップS1、YES)、車両100が停車された状態であるとして、ステップS2に進む。
【0031】
ステップS2では、Gセンサ16により送信された傾斜情報に基づいて、車両100が傾斜地に停車しているか否かが判別される。送信された傾斜情報による車両100の傾斜角度θが、たとえば0°~±15°の範囲であれば、傾斜地に停車していると判別されず(ステップS2、NO)、ステップS3Aに進み、車両100の傾斜角度θのパターンがBD_LIGHT=00であると判断され、ステップS4に進む。ステップS4では、照射角度特定用テーブルを参照して、照射角度Sを特定し、ステップS5に進む。この場合、ステップS4では、照射角度特定用テーブルを参照して、BD_LIGHT=00と対応する照射角度S1を特定する。ステップS5では、BDランプECU20に、特定した照射角度S1が記憶され、ステップS6に進む。
【0032】
ステップS6ではバックドア18が開動作準備状態であるか否かが判別される。バックドア18が開動作準備状態であると判別されなければ、(ステップS6、NO)、ステップS9に進む。ステップS9では、車両100が発車したか否かが判別される。車両100が発車したと判別されれば(ステップS9、YES)、衝突回避処理を終了する。一方、車両100が発車したと判別されなければ(ステップS9、NO)、ステップS6に戻り、バックドア18が開動作準備状態となるか車両100が発車するまでステップS6およびステップS9が繰り返される。
【0033】
ステップS6でバックドア18が開動作準備状態であると判別されると(ステップS6、YES)、ステップS7に進み、特定した照射角度S1で、BDガイドランプ22からライトがA1に向かって照射される。ついで、ステップS8に進み、ライトの照射が終了され、衝突回避処理が終了する。ステップS8では、予め所定時間を定めておき、ライト照射後の経過時間が前記所定時間以上になった場合に照射終了としてもよい。
【0034】
なお、ステップS2で、Gセンサ16により送信された傾斜情報による車両100の傾斜角度θが0°~±15°の範囲を超えると、傾斜地に停車していると判別される。傾斜地に停車していると判別されると(ステップS2、YES)、ステップS3に進む。ステップS3では、車両100の前方が上がり傾斜か否かが判別される。車両100の前方が上がり傾斜であると判別されなければ(ステップS3、NO)、ステップS3Bに進み、車両100の傾斜角度θのパターンがBD_LIGHT=01であると判断され、ステップS4に進む。ステップS4では、この場合、照射角度特定用テーブルを参照してBD_LIGHT=01と対応する照射角度S2を特定する。ステップS5では、BDランプECU20に、特定した照射角度S2が記憶され、ステップS6に進み、以降は上述した流れと同様の処理が、衝突回避処理が終了するまで行われる。
【0035】
また、ステップS3で、車両100の前方が上がり傾斜であると判別されると(ステップS3、YES)、ステップS3Cに進む。S3Cでは、車両100の傾斜角度θのパターンがBD_LIGHT=10であると判断され、ステップS4に進む。ステップS4では、この場合、照射角度特定用テーブルを参照してBD_LIGHT=10と対応する照射角度S3を特定する。ステップS5では、BDランプECU20に、特定した照射角度S3が記憶され、ステップS6に進み、以降は上述した流れと同様の処理が、衝突回避処理が終了するまで行われる。
【0036】
以上説明したように、本発明の衝突回避装置10によれば、コストを増大させることなく、ユーザがバックドア18を開ける前に、回動時におけるバックドア18の端部が、車両100から最も遠くなる位置を報知することができる。これにより、ユーザは、障害物との衝突可能性を事前に把握できるため、ドアを開ける際の障害物との衝突を回避することが可能となる。
【0037】
上記実施形態では、
図4のステップS1において、IG_SW14がオフされたか否かを判別することにより、車両100が停車したか否かを判別する例について説明した。しかし、車両100が停車したか否かの判別は、これに限らず、車両100の位置情報の変化、車速の減速、または、アクセルやブレーキの情報などから車両100が停車したと判別するようにしてもよい。
【0038】
上記実施形態では、
図4のステップS2およびステップS3において、Gセンサ16の検出信号を、車両100の傾斜情報として用いて、車両100の傾斜角度θを判別する例について説明した。しかし、これに限らず、車両100の傾斜情報には、例えば車載カメラなどにより取得される画像データから傾斜角度θを算出するものでもよい。
【0039】
上記実施形態では、
図4のステップS7において、特定した照射角度Sで、BDガイドランプ22からライトを照射する例について説明したが、これに加えて、車載カメラや照度計で検出した周囲の明るさに応じて、ライトの照度を変更、または、色の変更をすることができるようにしてもよい。これによりユーザは、よりライトの照射位置をより認識しやすくなる。
【0040】
上記実施形態では、ユーザにバックドア18の回動時の、バックドア18の端部の軌跡が最も遠くなる位置を報知する方法として、BDガイドランプ22による照明装置を用いる例について説明した。しかし、報知する方法はこれに限らず、たとえば、これに加えて、あるいは代えて、アラート報知など音により報知するものでもよい。音による報知を行う場合、たとえば、車両の後退時に、後方の障害物を検知する車載ソナーを用いて、次のように行うことができる。車両停車時においては、車両停車時に検知された障害物との距離をあらかじめ記憶する。もしくは、開動作準備状態に検知された障害物との距離を記憶する。そして、バックドア18の長さ(または、これよりも数cm~数十cm長い長さ)よりも、記憶した前記距離が短い場合に、アラート報知する。この場合、車載ソナーによる障害物との距離を検知する範囲を、通常車両を後退させる場合と、車両停車時におけるバックドア18の開動作準備状態と判断される場合とで、異なるように制御してもよい。また、検知された障害物との距離に応じて、障害物に近いほど、アラートを大きく、もしくはアラートが「ピピピッ…」となる効果音により報知される場合、「ピピピッ…」との効果音の間隔を小さく(連続的に)するなど、障害物に対する緊急性が感じられるような態様にしてもよい。
【0041】
また、上記車載ソナーを併用可能である場合、車載ソナーにより検知された障害物との距離に応じて、BDガイドランプ22から照射されるライトの色を変更するようにしてもよい。たとえば、障害物に近いほど赤く、遠い場合には青くするなどとしてもよい。これにより、ユーザは、障害物衝突可能性の危険度の高さを認識できる。
【0042】
上記実施形態では、BDガイドランプ22がライトを
図2および
図3に示すようにA(A1~A3)に向かって照射可能となる例について説明した。このBDガイドランプ22から照射するライトの照射態様は、たとえば、点状に照射するもの、末広がりにライン上に広がるもの、または文字を地面に照射するものでもよい。
【0043】
上記実施形態では、BDガイドランプ22から照射するライトの照射範囲は視認性向上の観点から、実際のAの位置となる範囲よりも少し広く余裕をもたせるため、たとえば、実際に
図2および
図3に示すY軸の下方とPの面とが交差する点から、10cm~20cm程度幅をもたせるものである例について説明した。しかしこれに限らず、これより狭く、もしくはさらに大きく余裕をもたせて照射してもよい。
【0044】
上記実施形態では、車両100の傾斜角度θを、3パターンの範囲に分けた場合について説明した。しかし、これに限らず、さらに細かく範囲を分けてもよい。また、上記実施形態では、各パターンの傾斜角度θについて、0°から±15°の範囲を車両100の傾斜がフラットの範囲とする場合について説明したが、これに限らず、さらに大きな角度、もしくは小さな角度までをフラットと定義してもよい。たとえば、傾斜角度θの範囲を5パターンに分け、5°毎に範囲を切り替えてもよい。
【0045】
上記実施形態では、
図2および
図3において、バックドア18が回動するときの態様として、バックドア18が、車両100の上側に軸支を有し、後方にはね上げられるような方向に回動する場合について例示した。しかし、バックドア18が回動する方向はこれに限られず、例えば左右に開くものでもよい。また、車両に設けられたドアであれば、バックドアに限らず本発明は適用可能である。
【0046】
上記実施形態では、
図4のステップS7において、ライトを照射した後に、ステップS8において、ライトの照射を終了することについて説明した。このライトの照射終了までの時間は、たとえば、数秒(5秒など)でもよく、さらに長く、もしくは短くしてもよい。たとえば、ユーザによる開動作指示により、ステップS6においてバックドア18が開動作準備状態であると判別された場合には、バックドア18が閉じられるまで、もしくは、バックドア18が開動作を開始するまでを、照射時間としてもよい。バックドア18の開動作は、ライト照射開始後の所定時間後とするように制御してもよい。または、開動作が中断された場合には、BD_Eラッチの再操作までの間にライト照射を行ってもよい。また、本発明にかかる車両100は、バックドア18の開動作を開始する前に(もしくは開動作と同時に)、Beep音を鳴らす車両であってもよく、Beep音が停止(バックドア18の開動作の停止)と対応させて、ライトの照射を終了するものとしてもよい。
【0047】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
10 …衝突回避装置
20 …BDランプECU
30 …BODY_ECU
40 …エンジンECU
12 …キー
14 …IG_SW
16 …Gセンサ
18 …バックドア
22 …BDガイドランプ
100 …車両