(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150043
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
B29C 70/38 20060101AFI20231005BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
B29C70/38
B29C70/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058925
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000219314
【氏名又は名称】東レエンジニアリング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】熱田 直行
(72)【発明者】
【氏名】喜多 由起
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AJ08
4F205AR20
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HC02
4F205HF23
4F205HK03
4F205HK16
4F205HK23
4F205HM13
4F205HT13
4F205HT26
(57)【要約】
【課題】エアシリンダで構成される制御機構の動作を応答性良く制御することができる処理装置を提供する。
【解決手段】対象物2へ所定の処理を行う処理部30と、処理部30を変位させるエアシリンダ54と、エアシリンダ54へ供給するエアの流量を制御する制御バルブ54eと、制御バルブ54eへ圧空を供給する圧空源54fと、を備える処理装置10であり、エアシリンダ54から制御バルブ54eまでのエア配管81の配管長は、制御バルブ54eから圧空源54fまでのエア配管82の配管長よりも短い。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物へ所定の処理を行う処理部と、
前記処理部を変位させるエアシリンダと、
前記エアシリンダへ供給するエアの流量を制御する制御バルブと、
前記制御バルブへ圧空を供給する圧空源と、
を備える処理装置であり、
前記エアシリンダから前記制御バルブまでのエア配管長は、前記制御バルブから前記圧空源までのエア配管長よりも短いことを特徴とする、処理装置。
【請求項2】
各々異なる軸方向に前記処理部および前記エアシリンダを移動させる複数の駆動機構をさらに有し、前記制御バルブは複数の前記駆動機構が有する可動子のうちいずれかの前記可動子に搭載されていることを特徴とする、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記制御バルブは、前記エアシリンダが取り付けられている前記可動子に搭載されていることを特徴とする、請求項2に記載の処理装置。
【請求項4】
複数の前記駆動機構はガントリ構造を有していることを特徴とする、請求項2もしくは3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記処理部は、テープを被貼付面に貼り付けるために前記被貼付面に前記テープを押し付け、前記被貼付面とで前記テープを挟持する押圧部であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテープ貼付装置、及びテープ貼付方法に関し、より詳細には、テープを被貼付面に貼り付けることにより、繊維強化プラスチック(FRP)成形品などを製造する際に用いられるテープ貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
予め樹脂が含浸された炭素繊維等の繊維束をテープ状に成形したもの(プリプレグテープ、UDテープなどとも呼ぶ)を被貼付面に貼付ける処理を行うことで、所望の形状をした繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)成形品を製造する方法が知られている。
【0003】
これらの製法は、ATL(Auto Tape Layup)、ATW(Auto Tape Welding)、AFP(Auto Fiber Placement)など種々の称呼があるが、これらは厳密に区別されているものでない。本明細書に於いては、テープを押圧しながら被貼付面に貼付けていく製法を総称してATLと呼び、その装置テープ貼付装置をATL貼付装置とも呼ぶ。
【0004】
従来のテープ貼付装置の一例が下記の特許文献1に開示されている。
【0005】
特許文献1記載のテープ貼付装置は、多関節ロボットのアーム先端にATLヘッドが取り付けられている。前記ATLヘッドは、テープを保持搬送するフィーダー、テープ及び/又はワークの被貼付面を加熱するヒータ、及びテープを被貼付面に貼り付ける押圧ローラを含んで構成されている。
【0006】
前記ワークは、例えば、熱可塑性樹脂の射出成型品であって、様々な形状(3次元形状)を有しており、設計上の形状、寸法に対して形状誤差を有していることが多い。
【0007】
そのため、特許文献1に開示されたような前記多関節ロボットによる前記ATLヘッドの姿勢制御では、前記押圧ローラによる前記ワークの被貼付面への押圧が不十分な箇所が生じたりして、押圧状態にばらつきが生じることがあり、前記被貼付面に対する押圧ローラの押圧状態を一定に保つことが難しいという課題があった。
【0008】
係る課題を解決するために本出願人らは、下記の特許文献2に開示されたテープ貼付装置を提案した。特許文献2記載のテープ貼付装置は、ATLヘッドが、押圧部と、パラレルリンク機構とを備えた構成となっている。
【0009】
特許文献2記載のテープ貼付装置によれば、前記パラレルリンク機構の動作制御により、ワークの被貼付面にテープを押し付ける前記押圧部の押圧位置及び/又は押圧姿勢を前記被貼付面の形状に倣うように動作させることが可能となり、前記ワークが幾らかの形状誤差を有している場合であっても、前記被貼付面に対する前記押圧部の押圧状態を一定に保つことが可能となり、前記テープの貼付処理の性能を高めることが可能となった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2018-149730号公報
【特許文献2】特開2020-147035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記特許文献2のパラレルリンク機構を備えたテープ貼付装置では、パラレルリンクとしてエアシリンダを使用している。このエアシリンダの制御はサーボバルブによって行うが、サーボバルブとエアシリンダの間の配管長が長い場合、配管内での圧力損失などに起因してエアシリンダの応答性が低下し、その結果、パラレルリンク機構の応答速度が遅くなってしまうという問題があった。
【0012】
本願発明は、上記問題点を鑑み、エアシリンダで構成される制御機構の動作を応答性良く制御することができる処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明の処理装置は、対象物へ所定の処理を行う処理部と、前記処理部を変位させるエアシリンダと、前記エアシリンダへ供給するエアの流量を制御する制御バルブと、前記制御バルブへ圧空を供給する圧空源と、を備える処理装置であり、前記エアシリンダから前記制御バルブまでのエア配管長は、前記制御バルブから前記圧空源までのエア配管長よりも短いことを特徴としている。
【0014】
本発明の処理装置により、エアシリンダから制御バルブまでのエア配管長が比較的短いことにより、エアシリンダの応答性は高くなる。
【0015】
また、各々異なる軸方向に前記処理部および前記エアシリンダを移動させる複数の駆動機構をさらに有し、前記制御バルブは複数の前記駆動機構が有する可動子のうちいずれかの前記可動子に搭載されていると良い。
【0016】
こうすることにより、エアシリンダは制御バルブに近い位置に配置されるため、エアシリンダから制御バルブまでのエア配管長を短くすることができる。
【0017】
また、前記制御バルブは、前記エアシリンダが取り付けられている前記可動子に搭載されていると良い。
【0018】
こうすることにより、エアシリンダから制御バルブまでのエア配管長をほぼ最短にすることができる。
【0019】
また、複数の前記駆動機構はガントリ構造を有していると良い。
【0020】
また、前記処理部は、テープを被貼付面に貼り付けるために前記被貼付面に前記テープを押し付け、前記被貼付面とで前記テープを挟持する押圧部であると良い。
【0021】
このような押圧部を備えるテープ貼付装置において、本発明が好適に利用することが可能である。
【発明の効果】
【0022】
本発明の処理装置により、エアシリンダで構成される制御機構の動作を応答性良く制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の処理装置の一実施形態であるテープ貼付装置の一部を説明する図である。
【
図2】
図1に示す実施形態のテープ貼付装置の全体を説明する図である。
【
図3】本発明の他の実施形態におけるテープ貼付装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の処理装置の一実施形態であるテープ貼付装置について、
図1、2を参照して説明する。
図1(a)はテープ貼付装置の一部であるパラレルリンク機構および押圧部の正面図であり、
図1(b)は
図1(a)におけるAA矢視図である。また、
図2はテープ貼付装置の全体を示す図であり、
図2(a)は正面図、
図2(b)は
図2(a)におけるBB矢視図である。
【0025】
なお、以下の説明では、テープ1の貼付方向をY軸方向、これと水平面で直交する方向をX軸方向、X軸及びY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明する。
【0026】
テープ貼付装置10は、ワーク2の被貼付面2a上にテープ1を所定の貼付方向(Y軸方向)に貼り付けることにより、テープ1で補強された成型品を製造するための装置であり、ATLヘッド20およびフィーダー70を含んで構成されている。
【0027】
テープ1は、例えば、繊維束の少なくとも一部に予め樹脂を含浸させてテープ状にしたものであり、熱可塑性の樹脂が含浸されたもの(UDテープとも呼ばれる)や、熱硬化性の樹脂が含浸されたもの(プリプレグテープとも呼ばれる)などが適用され得る。テープ1は、炭素繊維を含むものでもよいし、樹脂テープに多数の短い繊維が混ぜ込まれたものでもよい。テープ1は、ワーク2の材質などに応じて、その種類が適宜選択され得る。また、テープ1は、複数のテープが並列に配置された形態のものであってもよい。
【0028】
ワーク2は、例えば、3次元形状を有する成型品であり、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂などの樹脂製の成型品であってもよいし、金属製の成型品などであってもよい。
【0029】
ATLヘッド20は、ハンドリングロボットの一実施形態であるガントリ構造体71(詳細は後述)に取り付けられており、このガントリ構造体71によってATLヘッド20全体をワーク2に離接させる。このハンドリングロボットは、ガントリ構造体71のほかに、少なくとも1軸方向に対象物を移動させる汎用産業用ロボット、例えば、多関節ロボット(シリアル多関節機構ともいう)で構成してもよい。ガントリ構造体71は、ATLヘッド20をXYZ軸方向に並進運動可能な機構(3自由度)を備えている。ガントリ構造体71の動作制御は、ロボット制御部71aにより実行される。
【0030】
ATLヘッド20は、押圧部30と、エンド部40と、パラレルリンク機構50と、ベース部60とを含んで構成されている。
【0031】
押圧部30は、フィーダー35によって搬送されたテープ1をワーク2の被貼付面2aとの間に挟持、押圧しつつテープ1を被貼付面2aに貼り付けるものである。
【0032】
エンド部40は、押圧部30を保持する平板であり、エンド部40のパラレルリンク機構50が取り付けられた面とは反対側の面に押圧部30が取り付けられている。
【0033】
パラレルリンク機構50は、エンド部40を変位させ、押圧部30の押圧位置及び/又は押圧姿勢を被貼付面2aに倣うように動作するものである。
【0034】
ベース部60は、パラレルリンク機構50のエンド部40側とは反対側を保持するものであり、ベース部60に後述のハンドリングロボットが取り付けられている。
【0035】
押圧部30は、テープ1を押圧するローラ31を有し、さらにローラ31を回転軸31a周りに回転可能に支持するローラ支持部32を備えている。ローラ支持部32は、ローラ31の長手(回転軸31a)方向両側に配設されている。
【0036】
ローラ31は、テープ1の特性、又はワーク2の材質などに応じて、樹脂製ローラ、弾性ローラ、又は金属性ローラなどで構成され得る。ローラ31のサイズ(直径、幅)は、使用するテープ1の種類やサイズ、ワーク2の種類や形状に応じて適宜選択され得る。なお、別の構成例では、ローラ31に代えて、押圧シュー等の押圧部材が用いられてもよい。
【0037】
パラレルリンク機構50は、ベース部60とエンド部40との間に並列に設けられる複数のリンク部51を備えている。これら各リンク部51は、両端に自在継手52、53と、これら自在継手52、53の間に設けられるアクチュエータとしてのエアシリンダ54とを含んで構成されている。リンク部51の本数は特に限定されない。例えば、リンク部51は4本で構成されてもよいし、3本~6本で構成されてもよい。
【0038】
エアシリンダ54は、例えば、シリンダ部54aと、シリンダ部54a内の圧力に応じて進退するロッド部54bと、シリンダ部54a内の圧力を検出する圧力センサ54cと、ロッド部54bの変位を検出する変位センサ54dとを備えている。
【0039】
シリンダ部54aは、配管経路の途中に圧力センサ54cが設けられたエア配管81により、本発明における制御バルブにあたるサーボバルブ54eに接続されている。サーボバルブ54eは、シリンダ部54a内への空気の流量(流入量や排気量)を調整し、シリンダ部54aの両室の差圧を制御する。サーボバルブ54eは、本発明における圧空源にあたる、コンプレッサなどの圧縮した空気を出力する空気圧供給部54fにエア配管82によって接続されている。圧力センサ54cで検出された圧力信号と、変位センサ54dで検出された変位信号とは、それぞれATLヘッド制御部54gに出力される。
【0040】
ATLヘッド制御部54gには、ワーク2の被貼付面2aの3次元座標データの他、これら3次元座標データ、圧力信号、変位信号などに基づいてATLヘッド20各部の動作を制御するプログラムなどが記憶されている。ATLヘッド制御部54gは、汎用のコンピューター装置で構成されてもよい。また、ATLヘッド制御部54gとロボット制御部71aとが1つの制御部で構成されてもよい。
【0041】
パラレルリンク機構50は、複数のリンク部51の各々の長さをエアシリンダ54でそれぞれ制御することにより、エンド部40の位置(並進)及び/又は姿勢(回転)を変化させて、ローラ31の押圧位置及び/又は押圧姿勢を被貼付面2aの形状に倣うように動作させる機能を備えている。
【0042】
なお、パラレルリンク機構50には、エンド部40を変位させることにより、ローラ31を少なくともロール(θy)方向、及びピッチ(θx)方向に回動可能な自由度を有するものを採用することが好ましい。また、パラレルリンク機構50の自由度は、ハンドリングロボットの動作機能(自由度)を考慮して設定してもよい。また、ハンドリングロボットの動作機能に関わらずに、パラレルリンク機構50が、6自由度機構、すなわち、6方向(並進3方向、回転3方向)に運動させる機構を備えてもよい。
【0043】
ATLヘッド制御部54gは、各エアシリンダ54の圧力センサ54cや変位センサ54dから取り込んだ検出信号を用いて、各エアシリンダ54のサーボバルブ54eの動作(加圧動作又は減圧動作)を制御する。そして、ATLヘッド制御部54gは、サーボバルブ54eの動作制御により、各エアシリンダ54のシリンダ部54a内の圧力及び/又はロッド部54bの変位を制御して、ローラ31の押圧位置及び/又は押圧姿勢が被貼付面2aの形状に倣うようにエンド部40の変位を制御する処理を実行する。
【0044】
ATLヘッド制御部54gは、エンド部40の変位制御において、望ましいコンプライアンス特性を得る観点からインピーダンス制御を行うように構成されていることが好ましい。前記インピーダンス制御では、エンド部40に慣性、粘性、剛性からなる機械的インピーダンスを仮想的に実現させるようアクチュエータ推力が制御される。例えば、前記インピーダンス制御では、目標インピーダンスである慣性、粘性、剛性のパラメータが設定される。そして、エンド部40の位置及び姿勢の目標値に対するエンド部40の変位を計測し、エンド部40の変位とエンド部40が外部へ与える力との関係が所定の関係(インピーダンス制御則)を満たすようにパラレルリンク機構50の動作を制御する。
【0045】
また、ATLヘッド制御部54gは、エンド部40の変位を制御する際に、目標とするエンド部40の位置及び姿勢を実現するための各エアシリンダ54のロッド部54bの長さ(変位)を計算する。そして、これら計算値が各エアシリンダ54のロッド部54bの長さの目標値として記憶される。ATLヘッド制御部54gは、これら記憶された目標値と、貼付動作時における各エアシリンダ54の変位センサ54dの出力値とを比較して、目標値になるようにフィードバック制御を行ってもよい。なお、前記目標値には、ワーク2の形状誤差が加味された、各エアシリンダ54のロッド部54bの長さが設定されてもよい。また、目標とするエンド部40の位置及び姿勢は、ワーク2の3次元座標データに基づく動作軌跡に対し、直交する方向(法線方向)からローラ31で被貼付面2aを押圧するためのエンド部40の位置及び姿勢である。
【0046】
ガントリ構造体71は、ワーク2をX軸方向へ移動可能、且つθz軸方向に回動可能に支持するXθz軸ステージ73を備えたX軸直動機構72と、X軸直動機構72の上方にY軸方向に架け渡されたY軸直動機構74と、Y軸直動機構74に支持され、Z軸方向に移動可能なZ軸直動機構75とを備えている。
【0047】
X軸直動機構72は、X軸ガイド部72aと、X軸ガイド部72aに摺動可能に取り付けられたX軸スライドテーブル72bと、X軸スライドテーブル72b上にθz軸方向に回動可能に設けられたXθz軸ステージ73とを含んで構成されている。Xθz軸ステージ73上にワーク2が載置されるようになっている。
【0048】
Y軸直動機構74は、門型のY軸ガイド部74aと、Y軸ガイド部74aに摺動可能に取り付けられた、Y軸直動機構74における可動子であるY軸スライダ74bとを含んで構成されている。
【0049】
Z軸直動機構75は、Y軸スライダ74bに取り付けられたZ軸ガイド部75aと、Z軸ガイド部75aに摺動可能に取り付けられたZ軸スライダ75bと、Z軸スライダ75bに取り付けられたZ軸ブラケット75cとを含んで構成されており、Z軸ブラケット75cの下端部にATLヘッド20が取り付けられている。なお、本説明では、Z軸スライダ75bとそれに固定されたZ軸ブラケット75cとを、Z軸直動機構75における可動子と呼ぶ。
【0050】
ここで、本実施形態では、
図2(a)、(b)に示す通りサーボバルブ54eは上記の通りパラレルリンク機構50が取り付けられているZ軸ブラケット75cに固定されており、そのため、サーボバルブ54eはパラレルリンク機構50の各エアシリンダ54の直近に搭載される。この場合、サーボバルブ54eはY軸直動機構74によってY軸方向に変位し、また、Z軸直動機構75によってZ軸方向に変位し、サーボバルブ54eとパラレルリンク機構50の相対位置は一定である。
【0051】
図2(a)にパラレルリンク機構50を構成するエアシリンダ54のうちの1つとサーボバルブ54eとを接続するエア配管81を概略的に示しているが、サーボバルブ54eがエアシリンダ54の直近に配置されていることから、エア配管81の配管長は、ほぼ最短となっている。
【0052】
一方、本実施形態では、圧空源である空気圧供給部54fとサーボバルブ54eとを接続するエア配管82の配管経路は、空気圧供給部54fから出てY軸ガイド部74aの支柱を上がり、Y軸ガイド部74aとY軸スライダ74bとをつなぐ図示しないケーブルダクト、Z軸ガイド部75aとZ軸スライダ75bとをつなぐ図示しないケーブルダクトを経て、サーボバルブ54eに至る。このエア配管82の配管長は、上記のエア配管81の配管長よりも充分に長くなり、そのため、空気圧供給部54fからエアシリンダ54への配管系路上においてサーボバルブ54eはかなりエアシリンダ54側に寄って配置されることとなる。
【0053】
このように、少なくともエア配管81の配管長の方がエア配管82の配管長よりも短い構成である場合、エアシリンダ54からサーボバルブ54eまでの配管長が比較的短いこととなり、配管内での圧力損失が極小化されてサーボバルブ54eの制御に対するエアシリンダ54の応答性は高くなる。
【0054】
また、本実施形態の通りエアシリンダ54が取り付けられている可動子であるZ軸ブラケット75cにサーボバルブ54eが搭載されていることにより、エアシリンダ54からサーボバルブ54eまでの配管長をほぼ最短にすることができるため、エアシリンダ54の最大限の応答性を得ることができる。
【0055】
次に、本発明の他の実施形態におけるテープ貼付装置を
図3を用いて説明する。
【0056】
本実施形態のテープ貼付装置10では、サーボバルブ54eは、上記のZ軸ブラケット75cとは異なる可動子であってパラレルリンク機構50を移動させる可動子の一つであるY軸スライダ74bに設けられている。
【0057】
この場合、サーボバルブ54eからエアシリンダ54までのエア配管81の配管経路は、サーボバルブ54eを出て、Z軸ガイド部75aとZ軸スライダ75bとをつなぐ図示しないケーブルダクトを経て、エアシリンダ54に至る。
【0058】
また、空気圧供給部54fからサーボバルブ54eまでのエア配管82の配管経路は、空気圧供給部54fを出て、Y軸ガイド部74aの支柱を上がり、Y軸ガイド部74aとY軸スライダ74bとをつなぐ図示しないケーブルダクトを経て、サーボバルブ54eに至る。なお、この場合も、エア配管81の配管長は、エア配管82の配管長よりも短くなっている。
【0059】
そして、本実施形態では、サーボバルブ54eはY軸直動機構74によってY軸方向に変位するが、Z軸直動機構75によってZ軸方向に変位することはない。
【0060】
ここで、
図2に示した実施形態の場合、エア配管81の配管長はほぼ最短にできる一方、パラレルリンク機構50などに加えサーボバルブ54eの重量もZ軸直動機構75が支持する必要があるため、大型、高出力のZ軸直動機構75が必要となる可能性があり、テープ貼付装置10全体が大型化する可能性がある。
【0061】
これに対し、本実施形態の通りエアシリンダ54が取り付けられている可動子であるZ軸ブラケット75cよりもエアシリンダ54から遠い可動子であるY軸スライダ74bにサーボバルブ54eが搭載されていることにより、Z軸直動機構75を比較的小型にすることができ、それによってテープ貼付装置10全体を比較的小型にすることができる。
【0062】
以上の処理装置により、エアシリンダで構成される制御機構の動作を応答性良く制御することが可能である。
【0063】
ここで、本発明の処理装置は、以上で説明した形態に限らず本発明の範囲内において他の形態のものであってもよい。たとえば、本発明の処理装置は、テープ貼付装置に限らず、エアシリンダの制御をともなうあらゆる装置に適用できる。
【0064】
また、上記の説明ではテープ貼付装置にはエアシリンダが複数用いられたパラレルリンク機構が備えられていたが、1つのエアシリンダが用いられる処理装置に本発明を適用しても良い。
【0065】
また、上記の説明では圧空源としてコンプレッサが用いられているが、それに限らず、たとえば工場圧空であっても構わない。
【符号の説明】
【0066】
1 テープ
2 ワーク
2a 被貼付面
10 テープ貼付装置
20 ATLヘッド
30 押圧部
31 ローラ
31a 回転軸
32 ローラ支持部
35 フィーダー
40 エンド部
50 パラレルリンク機構
51 リンク部
52 自在継手
53 自在継手
54 エアシリンダ
54a シリンダ部
54b ロッド部
54c 圧力センサ
54d 変位センサ
54e サーボバルブ
54f 空気圧供給部
54g ATLヘッド制御部
60 ベース部
71 ガントリ構造体
72 X軸直動機構
72a X軸ガイド部
72b X軸スライドテーブル
73 Xθzステージ
74 Y軸直動機構
74a Y軸ガイド部
74b Y軸スライダ
75 Z軸直動機構
75a Z軸ガイド部
75b Z軸スライダ
75c Z軸ブラケット