(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150056
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】タッチパネルディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
G06F3/041 480
G06F3/041 662
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058943
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】水戸 弘一郎
(57)【要約】
【課題】振動に影響を与える構成要素数を少なくするとともに容易に変更可能な構成とすることにより、フィードバックされる触覚を容易に設定できるタッチパネルディスプレイを提供する。
【解決手段】タッチパネルを備えたタッチパネルモジュール100を収容する第1ケース部200と、制振部材420が設けられダンパー機能を有する支持体400と、回路基板510を収容した第2ケース部500と、を備え、支持体400の一面側には、第1ケース部200が固定され、支持体400の他面側には、第2ケース部500が固定され、第1ケース部200と第2ケース部500との間で、且つ、支持体400と第1ケース部200および第2ケース部500との固定箇所から離間した位置に、制振部材420を設けている。つまり、第1ケース部200を含んだ構造体SAと、第2ケース部500を含んだ構造体SBとの間には、制振部材420のみを挟持している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルを備えたタッチパネルモジュールと、
前記タッチパネルモジュールを収容する第1ケース部と、
制振部材が設けられダンパー機能を有する支持体と、
回路基板を収容した第2ケース部と、
を備え、
前記支持体の一面側には、前記第1ケース部が固定され、前記支持体の他面側には、前記第2ケース部が固定され、
前記第1ケース部と前記第2ケース部との間で、且つ、前記支持体と前記第1ケース部および前記第2ケース部との固定箇所から離間した位置に、制振部材を設けたことを特徴とするタッチパネルディスプレイ。
【請求項2】
前記第1ケース部に脚部を設け、
前記制振部材は、前記脚部と前記第2ケース部との間に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項3】
前記回路基板は、前記脚部が前記支持体との間に前記制振部材を挟持している箇所よりも内側に配設され、且つ、前記第2ケース部の前記支持体に近い側に収容されていることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項4】
振動アクチュエータと、前記振動アクチュエータによる振動を前記タッチパネルモジュールに伝える弾性支持部を有し、前記弾性支持部により、前記支持体に前記第1ケース部が固定されることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項5】
前記第1ケース部に脚部を設け、
振動アクチュエータと、前記振動アクチュエータによる振動を前記タッチパネルモジュールに伝える弾性支持部を有し、前記弾性支持部により、前記支持体に前記第1ケース部が固定されることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項6】
前記振動アクチュエータと前記弾性支持部を有する振動アクチュエータ部を設け、
前記タッチパネルモジュールと前記支持体とは前記弾性支持部を介して、前記振動アクチュエータ部により支持されると共に、前記脚部と前記支持体との接触箇所に前記制振部材を設けたことを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載のタッチパネルディスプレイ。
【請求項7】
前記第2ケース部は、前記制振部材が配置された前記脚部とは、重複しない位置に配置され、前記制振部材は、前記脚部と空間的にオフセットした位置に配設されていることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネルディスプレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルディスプレイでは、タッチパネル等のユーザインターフェースとして、ユーザがタッチ操作を行った際に、振動等を加えることにより、タッチパネルを触った感覚(触覚)をユーザにフィードバックすることが行われている。
この種の対応手法として、ユーザインターフェースとしてのタッチパネルモジュールの支持体に振動アクチュエータを設置し、ユーザの操作に伴って振動アクチュエータを駆動させることによって、ユーザインターフェースを振動させ、触覚をユーザにフィードバックする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、タッチパネルモジュールが固定される第1支持体に振動アクチュエータを備え、第1支持体と接続される第2支持体との間に制振部材を設けている。つまり、タッチパネルモジュールに直接振動アクチュエータの振動が伝導される構造になっている。
そのため、フィードバックされる触覚の調整が必要になった場合には、第1支持体、振動アクチュエータ、制振部材、第2支持体等、多くの構成部の調整が必要になり、調整することが困難になる虞がある。こうしたことにより、振動特性を変更することが困難になり、フィードバックされる触覚を調整することが難しくなるという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、振動に影響を与える構成要素数を少なくするとともに容易に変更可能な構成とすることによって、フィードバックされる触覚を容易に設定可能なタッチパネルディスプレイを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1またはそれ以上の実施形態は、タッチパネルを備えたタッチパネルモジュールと、前記タッチパネルモジュールを収容する第1ケース部と、制振部材が設けられたダンパー機能を有する支持体と、回路基板を収容した第2ケース部と、を備え、前記支持体の一面側には、前記第1ケース部が接続され、他面側には、前記第2ケース部が接続され、前記第1ケース部と前記第2ケース部との間で、且つ、前記支持体と前記第1ケース部および前記第2ケース部との接続箇所から離間した位置に、制振部材を設けたタッチパネルディスプレイを提案している。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、フィードバックされる触覚を容易に設定できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るタッチパネルディスプレイ10の構成を示す分解図である。
【
図2】
図1に示す第1ケース部を示す図であり、(a)は前方から見た斜視図であり、(b)は後方から見た斜視図である。
【
図3】
図1に示す振動アクチュエータ部の構成を示す分解図である。
【
図4】
図1に示す支持体の構成を示す分解図である。
【
図5】
図1に示す支持体と第2ケース部とを前方から見た斜視図である。
【
図6】
図1に示す第1ケース部と支持体の接続構成を示す図であり、(a)は構造体SAを示す分解図であり、(b)は構造体SBを示す分解図である。
【
図7】
図1に示す第2ケース部と支持体の接続構成を、可動部材をはずした状態で示す斜視図である。
【
図8】
図7の一点鎖線で示すOF部を、構造体SAを付けた状態で拡大し後方から見た斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態に係るタッチパネルディスプレイ10のタッチパネル表面中央部における振動特性を示す図であり、(a)は設定A時の特性を示す図であり、(b)は設定Bの特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、
図1から
図9を用いて、本実施形態に係るタッチパネルディスプレイ10について説明する。なお、図面に適宜示される矢印FRは、
図1に示されるタッチパネルディスプレイ10の前方を示し、矢印UPは上方を示し、矢印RHは右方を示している。また、以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、タッチパネルディスプレイ10の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。
【0010】
<タッチパネルディスプレイ10の構成>
タッチパネルディスプレイ10は、例えば、ナビゲーション装置の表示部に表示されるアイコン等を、ユーザが指等で触れることにより操作を入力するユーザインターフェースである。以下、
図1~
図7を用いて、タッチパネルディスプレイ10の構成について説明する。
【0011】
タッチパネルディスプレイ10は、
図1に示されるように、タッチパネルモジュール100と、第1ケース部200と、振動アクチュエータ部300と、支持体400と、第2ケース部500と、を含んで構成されている。
【0012】
(タッチパネルモジュール100について)
タッチパネルモジュール100は、図示しないプロテクトフィルム、タッチパネル、OCR(オプティカルレンズ)、LCD(TFT)、バックライト等を前後方向に積層させるように構成された表示器および入力器である。タッチパネル、LCDおよびバックライトには、例えば、図示しないフレキシブルプリント基板(以下、「FPC」と記述)等が接続され、後述する回路基板510に接続される。タッチパネルモジュール100は、ユーザの指等が表面に近接した場合に、ユーザの指等の接触位置を検知し、回路基板510に設けられた図示しない制御部により操作制御等が行われる。
【0013】
(第1ケース部200について)
第1ケース部200は、タッチパネルモジュール100を収容する。第1ケース部200は、
図2(a)および
図2(b)に示されるように、ケースフレーム210と、脚部220と、台座230と、嵌合ピン240と、を含んで構成されている。
ケースフレーム210は、前方を開口した中空の略直方体であり、樹脂等の部材によって、一体に形成されている。ケースフレーム210は、前方の開口部にタッチパネルモジュール100を収容する凹部MSを有している。また、ケースフレーム210の後方面には、脚部220と、台座230と、嵌合ピン240が一体に形成されている。
【0014】
脚部220は、ケースフレーム210の後方に延在させた断面が略長方形の直方体に形成されている(本実施形態では4箇所)。脚部220の後方の端部は、略長方形の平面であり、後述する支持体400の支持フレーム410に対向して形成されている。また、台座230は、ケースフレーム210の後方に延在させた略円筒形であって、ケースフレーム210と一体に形成され、円筒の中心部には、止めネジ等が進入する前後方向に延材させた空洞を有している。台座230は、複数箇所に設けられ、(本実施形態では4箇所)振動アクチュエータ部300をネジ止め等により固定する。また、嵌合ピン240は、ケースフレーム210の後方に延在させた略円筒形の形状でケースフレーム210と一体に形成されている(本実施形態では2箇所)。嵌合ピン240の中心部には、振動アクチュエータ部300に設けられた孔と係合する凸部が形成されている。なお、脚部220の形状は直方体には限られず、円柱状などの形状でもよい。
【0015】
(振動アクチュエータ部300について)
振動アクチュエータ部300は、
図3に示されるように、起歪部材310と、歪ゲージ320と、弾性支持部330aおよび330bと、可動部材340と、アクチュエータ部350と、ベース部360と、を含んで構成される。
【0016】
起歪部材310は、前後方向を板厚方向とし、左右方向を長手方向とした略矩形に形成された金属等を部材とする平板である。起歪部材310は、弾性支持部330aおよび330bよりも硬い金属等の部材により形成されている。起歪部材310は、弾性支持部330aおよび330bが前後方向に振動可能となるように、中央部に開口部を有している。
【0017】
起歪部材310の4隅から左右方向に延在させた端部には、第1ケース部200と、起歪部材310とを固定するためのネジ孔311が、複数個所に設けられている(本実施形態では4箇所)。起歪部材310の前方の面には、ネジ孔311の左右方向の内側に、歪ゲージ320が配設されている。また、起歪部材310の上辺部および下辺部には、起歪部材310と、可動部材340とを接合する接合孔312が複数個所に設けられている(本実施形態では4箇所)。また、起歪部材310の上辺部および下辺部には、第1ケース部200に設けられた嵌合ピン240を貫通させる貫通孔313が複数個所に設けられている(本実施形態では2箇所)。
【0018】
歪ゲージ320は、タッチパネルモジュール100への押圧操作によって、外力が加わることにより起歪部材310に発生した歪みを検出する。歪ゲージ320は、第1ケース部200と起歪部材310との間に挟持されて複数個所に配設されている(本実施形態では4箇所)。歪ゲージ320は、図示しないFPC等により、回路基板510の制御部と接続されている。
【0019】
弾性支持部330aおよび330bは、前後方向を板厚方向とした略矩形に形成された金属等を部材とする平板であり、中央部には弾性変形可能な蛇腹形状が形成されている。弾性支持部330aおよび330bの蛇腹形状は、板バネ形状であり、弾性支持部330aおよび330bの左右側を連絡し、上下、前後、左右への移動自在に弾性支持する。また、弾性支持部330aおよび330bには、可動部材340あるいはベース部360と、弾性支持部330aおよび330bと、を接合させる接合孔331a、332aおよび接合孔331b、332bが形成されている。
【0020】
可動部材340は、前後方向を板厚方向とした略矩形に形成された金属等を部材とする平板であり、左右両側には、正面視で略台形の形状に開口する切欠き部を有している。可動部材340は、アクチュエータ部350を収容するように、可動部材340の中央部に略長方形の開口部を有している。また、可動部材340の上辺部および下辺部には、第1ケース部200の嵌合ピン240と係合する係合孔341と、起歪部材310と可動部材340とをリベットにより接合させる接合孔342が形成されている。また、中央部の開口部の左右には、弾性支持部330aおよび330bと、可動部材340と、をリベットにより接合させる接合孔343aおよび接合孔343bが形成されている。
【0021】
アクチュエータ部350は、磁性体をコアに有し、周囲にコイルを有する電磁石である。アクチュエータ部350は、図示しないコアと、ボビンと、コイルとを含んで構成されている。コアは、左右方向にボビン内部を貫通し、ベース部360にリベット等により接合されている。コアの周囲には、コイルとコアとが接触しないように設けられたボビンを有し、ボビンの周囲には上下方向にコイルが巻かれている。また、アクチュエータ部350は、可動部材340およびベース部360に設けられた開口部に収容される。
【0022】
ベース部360は、前後方向を板厚方向とした略矩形に形成された金属等を部材とする平板であり、中央部にはアクチュエータ部350を収容する開口部を有している。ベース部360は、左右両側に、上方から見てL字型に折り曲げられ、可動部材340が面直方向に変形、撓むことを許容するように前方に突出した段部が形成されている。当該段部には、支持体400にネジ止め等により固定するボス361を複数個所に備えている(本実施形態では4箇所)。また、ベース部360の段部には、弾性支持部330aおよび330bを接合する接合孔362aおよび362bを有し、ベース部360と、弾性支持部330aおよび330bと、がリベットにより接合している。
【0023】
(支持体400について)
支持体400は、
図4に示されるように、支持フレーム410と、制振部材420と、を含んで構成されている。
【0024】
支持フレーム410は、タッチパネルディスプレイ10において、各構成部品が固定される中心骨格となるフレームである。支持フレーム410は、前後方向を板厚方向とし、上下方向を長手方向とした略矩形に形成された金属等を部材とする平板である。支持フレーム410には、強度をあげるための曲げ加工あるいは絞り加工等がなされている。また、各構成部品を取り付けるための位置決め爪の形成、ネジ孔等の加工、あるいは、回路基板への接続配線が可能となる開口、曲げ加工等がなされている。
【0025】
支持フレーム410は、一面側(前方の面)に、第1ケース部200に固定された振動アクチュエータ部300が固定され、他面側(後方の面)には、第2ケース部500が固定される。具体的には、第1ケース部200は、ネジ止めおよび嵌合ピン240により起歪部材310を介して可動部材340に固定される。可動部材340は、弾性支持部330aおよび330bを介してベース部360にリベット等により接合されている。そして、ベース部360は、支持フレーム410にネジ止めによりネジ孔430(本実施形態では4箇所)に固定される。そのため、第1ケース部200は、弾性支持部330aおよび330bを介して支持フレーム410に固定される。一方、支持フレーム410の後方には、後述する第2ケース部500がネジ止めによりネジ孔440(本実施形態では4箇所)に固定される。
【0026】
支持体400に設けられる制振部材420は、断面が略長方形の直方体の形状を有している。制振部材420は、ダンパー機能を有しており、ゴム、ウレタン、シリコン等の加工が容易な柔軟性を有する部材で形成されている。制振部材420は、厚さ方向が前後方向になるように配設され、第1ケース部200の脚部220と、支持フレーム410とに挟持されている。また、制振部材420は、RH方向及び反RH(LH)方向で第1ケース部200と第2ケース部500との間に位置し、且つ、支持フレーム410と第1ケース部200(脚部220)および第2ケース部500(ネジ孔521)との固定箇所から離間した位置に設けられている。
【0027】
(第2ケース部500について)
第2ケース部500は、回路基板510を収容している。第2ケース部500は、
図5に示されるように、回路基板510と、ケース520とを含んで構成されている。
【0028】
回路基板510は、図示しない各電気部品により構成され、制御部あるいはFPC等との接続部の電気機能が実装されている回路モジュールである。回路基板510は、前後方向を板厚方向とし、正面視で左右方向を長手方向とした略矩形に形成された平板である。回路基板510は、
図5の破線LLで示す、4箇所の制振部材420が配設された位置よりも内側に設けられたネジ孔440に固定され、且つ、第2ケース部500の支持体400に近い側に収容されている。
【0029】
ケース520は、前後方向を板厚方向とし、正面視で左右方向を長手方向とした中空の略直方体に形成されている。ケース520は、前方を開口し断面が側方から見てコの字形状を有するケースである。ケース520には、ネジ止め等により支持フレーム410と固定するためのネジ孔521が複数個所に設けられている(本実施形態では4箇所)。そして、ケース520は、ケース520の後方から、ネジ孔521と、回路基板510のネジ孔511とを貫通し、回路基板510をケース520と支持フレーム410とに挟持させた状態で、支持フレーム410のネジ孔440にネジ止め等により固定されている。つまり、第2ケース部500は、支持体400にネジ止め等により固定されている。
【0030】
(支持体400との固定構成について)
図6および
図7を用いて、第1ケース部200と、支持体400と、第2ケース部500と、の固定構成について説明する。
【0031】
タッチパネルモジュール110および第1ケース部200は、前述のように弾性支持部330aおよび330bを介して支持体400と接合している。また、脚部220と支持体400との間には、制振部材420が挟持されている。つまり、タッチパネルモジュール110および第1ケース部200は、弾性支持部330aおよび330bを介して間接的に支持体400に接続され、第1ケース部200は、制振部材420を介してのみ直接的に支持体400と接触している。このように弾性支持部330aおよび330bを介して振動アクチュエータ部300により、タッチパネルモジュール110および第1ケース部200を支持体400に支持されるため、制振部材420は振動アクチュエータ部300の振動特性を調整するダンパー機能のみとすることができ、自由に形状や材質を変更することができる。
【0032】
タッチパネルモジュール110は、第1ケース部200の前方に設けられた凹部MSに収容される。タッチパネルモジュール110は、ネジ止めあるいは接着等により、第1ケース部200に固定される。
【0033】
図6(a)に示されるように、第1ケース部200は、後方に配設される振動アクチュエータ部300と接合される。第1ケース部200は、第1ケース部200に設けられた台座230(
図2(b))と、起歪部材310に設けられたネジ孔311と、に、起歪部材310の後方からネジ止めにより固定される(矢印BB1参照)。
起歪部材310は、起歪部材310に設けられた接合孔312と、可動部材340に設けられた接合孔342とを貫通させてリベットにより接合される(矢印AA1参照)。また、第1ケース部200に設けられた嵌合ピン240(
図2(b))は、貫通孔313を貫通し、可動部材340に設けられた係合孔341と係合する(矢印AA2参照)。可動部材340は、可動部材340に設けられた接合孔343aおよび接合孔343bと、弾性支持部330aおよび330bに設けられた接合孔331aおよび接合孔331bとを貫通させてリベットにより接合される(矢印AA3参照)。以上記載した、第1ケース部200と、起歪部材310と、可動部材340と、弾性支持部330aおよび330bと、が相互に固定された構成を、以降、構造体SAと記載する。なお、
図6(a)では、第1ケース部200(SA)、起歪部材310(SA)、可動部材340(SA)、弾性支持部330a(SA)、弾性支持部330b(SA)と記載する。
【0034】
図6(b)に示されるように、弾性支持部330aおよび330bは、弾性支持部330aおよび330bに設けられた接合孔332aおよび接合孔332bと、ベース部360に設けられた接合孔362aおよび接合孔362bを貫通させてリベットにより接合される(矢印AA4参照)。また、アクチュエータ部350のコアは、ベース部360に設けられた接合孔363にリベット等により接合されている(矢印AA5参照)。
ベース部360に設けられているボス361には、支持フレーム410が、支持フレーム410に設けられているネジ孔430を貫通して、後方からネジ止めされる(矢印BB2参照)。そして、支持フレーム410と、ケース520とは、回路基板510を間に挟持し、ケース520の後方から前方へ貫通し、支持フレーム410に設けられているネジ孔440にネジ止め等により固定される。以上記載した、弾性支持部330aおよび330bと、ベース部360と、アクチュエータ部350と、支持フレーム410と、第2ケース部500と、が相互に固定された構成を、以降、構造体SBと記載する。なお、
図6(b)では、弾性支持部330a(SB)、弾性支持部330b(SB)、ベース部360(SB)、アクチュエータ部350(SB)、支持フレーム410(SB)、第2ケース部500(SB)と記載する。
構造体SAと構造体SBの構成に共通する弾性支持部330aおよび330bが、後述するように、構造体SAと構造体SBとを接続する機能を有する。
【0035】
また、
図7に示されるように、第1ケース部200の脚部220が太矢印CC1に示される方向から制振部材420と密接し、制振部材420は、脚部220と、支持フレーム410との間に挟持される。また、第2ケース部500は、支持フレーム410よりも後方に配設されている。
つまり、制振部材420は、脚部220と第2ケース部500との間に配設されている。具体的には、構造体SAと、構造体SBは、それぞれに共通する弾性支持部330aおよび330bの、
図6の二点鎖線で囲われた接合部CPで結合され、第1ケース部200は弾性支持部330aおよび330bを介して間接的に支持体400に支持される。そのため、構造体SAの第1ケース部200と、構造体SBの支持体400との間には、制振部材420のみが挟持され、直接的に接続している。
【0036】
<作用・効果>
上記のように構成されたタッチパネルディスプレイ10は、ユーザの指がタッチパネルモジュール100のタッチパネルに触れたことによりユーザの操作を認識した場合には、タッチパネルディスプレイ10は、ユーザの操作に伴って振動アクチュエータを駆動させることによりタッチパネルモジュール100を振動させ、触覚をユーザの指にフィードバックする。
【0037】
ユーザは、アイコン等が表示されているタッチパネルモジュール100のタッチパネルに対してタッチ操作を行う。タッチパネルモジュール100にタッチ操作による押圧力が印加されると、第1ケース部200を介して、第1ケース部200の後方に固定されている起歪部材310に歪みが発生する。発生した歪みは、第1ケース部200と起歪部材310との間に挟持されている歪ゲージ320が検知し、歪ゲージ320は、回路基板510の制御部に検知信号を送信する。
【0038】
制御部は、タッチパネルへのタッチ操作に対して、触覚をユーザの指にフィードバックさせるために、アクチュエータ部350に駆動電流を供給する。このとき、アクチュエータ部350には、制御部から供給される駆動電流によりコイルに磁界が発生し、アクチュエータ部350のコアに磁力が発生する。そして、アクチュエータ部350は、コアに近接して配設されている可動部材340を磁力によりコアに吸着させる。そして、可動部材340は、ベース部360のL字型に折り曲げられて形成された段部内側に面直方向に変形し、一方向(後方)に移動する。一方、制御部は、可動部材340を一方向(後方)に移動させた後に駆動電流の供給を停止する。このとき、アクチュエータ部350のコアに発生していた磁力が消滅する。そして、コアに吸着していた可動部材340は、可動部材340に接合している弾性支持部330aおよび330bが有する付勢力により一方向(後方)とは反対の方向(前方)に移動する。制御部は、上記のように駆動電流の供給および停止をパルス波状に繰り返すことにより、可動部材340を直線往復移動させ、振動軸ALを前後方向とする振動を発生させる。
【0039】
可動部材340に発生した振動は、可動部材340に接合されている起歪部材310に伝導される。そして、振動は、起歪部材310に固定されている第1ケース部200を介してタッチパネルモジュール100に伝導され、タッチパネルモジュール100は、ユーザの指に触覚としての振動をフィードバックする。
【0040】
一方で、フィードバックされる触覚は、ユーザの操作性に直結するため、快適な触覚である必要がある。そのため、触覚と相関が得られる振動特性を取得することにより、フィードバックされる触覚を設定していく必要がある。
【0041】
ここでいう振動特性は、例えば、タッチパネルモジュール100のタッチパネルの表面中央部を測定箇所とし、加速度センサ等の測定器を用いて取得する。具体的には、測定個所に測定器を固定し、アクチュエータ部350を駆動することにより振動を発生させ、例えば、振動特性としての加速度の時間的変化等を取得する。振動特性は、例えば、縦軸に加速度を表示し、横軸に経過時間を表示したグラフの形状で評価を行う。
【0042】
例えば、
図9に示されるように、振動特性の違いは、フィードバックされる触覚の違いになる。
図9(a)の設定Aの振動特性例では、フィードバックされる触覚は、カチッとしたメリハリ感のあるスイッチを押圧した触覚を感じることができる。また、
図9(b)の設定Bの振動特性例では、フィードバックされる触覚は、スイッチを押圧した後にスイッチを押圧した余韻が長い触覚を感じることができる。
【0043】
そして、フィードバックされる触覚を設定するために振動特性を変更するには、振動を発生させるアクチュエータ部350の駆動制御を変更することにより振動特性を変更する手法と、構成を変更することにより伝導される振動特性を変更する手法と、により対応する。
【0044】
アクチュエータ部350の駆動制御を変更することにより振動特性を変更する場合には、振動特性の変更は、回路基板510の制御部の設定を変更し、駆動電流の周波数あるいは電流量を変更することにより行われる。この場合には、振動特性の変更は、例えば、アクチュエータ部350を駆動する駆動回路の定数変更、あるいは、制御部の制御IC等のプログラム変更等を行えばよく、容易に行うことができる。
【0045】
また、構成を変更することにより振動特性を変更する場合には、振動特性の変更は、あらかじめ振動特性に影響を与える構成要素数を少なくする必要がある。本実施形態においては、構造体SAと、構造体SBとは、弾性支持部330aおよび330bの、
図6(b)に示される二点鎖線で囲われた接合部CPで結合され、また、構造体SAの第1ケース部200と、構造体SBの支持体400との間には、制振部材420のみを挟持している。そのため、第1ケース部200は、可動部材340を振動方向に可動可能に弾性支持する弾性支持部330aおよび330bと、ダンパー機能を有する制振部材420とが、振動特性に影響を与えることになる。このとき、弾性支持部330aおよび330bは、可動部材340と結合されていることにより、アクチュエータ部350への駆動電流の周波数あるいは電流量の変更により振動特性を変更させることができる。一方で、
図7に示されるように、脚部220が太矢印CC1に示される方向から制振部材420と密接し、制振部材420は、第1ケース部200の脚部220と、支持体400の支持フレーム410との間に挟持される。また、支持フレーム410よりも後方に配設された第2ケース部500に対して、制振部材420は、RH方向及び反RH(LH)方向のずれた位置で第1ケース部200と第2ケース部500との間に位置し、且つ、支持フレーム410と第1ケース部200および第2ケース部500との固定箇所から離間した位置に設けられている。したがって、制振部材420は、当然に振動特性に影響を与える構成要素となり、振動特性を変更するには、制振部材420を変更すればよい。例えば、制振部材420の厚さ、大きさ、材質等を変更することである。
【0046】
また、ベース部360は、ボス361に後方から支持フレーム410を貫通してネジ止めされることにより、支持フレーム410に固定される。つまり、構造体SB(支持体400を除く)は、
図7の破線LLで示される4箇所に設けられた脚部220に囲われた範囲よりも、第1ケース部200の脚部220から離間した振動軸ALの径方向内側に固定される。そのため、第2ケース部500の重心が、脚部220に囲われた範囲より可動部材340の振動軸ALの径方向内側にあることにより安定し、第2ケース部500が振動特性に与える影響を少なくすることができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係るタッチパネルディスプレイ10は、タッチパネルを備えたタッチパネルモジュール100と、タッチパネルモジュール100を収容する第1ケース部200と、制振部材420が設けられダンパー機能を有する支持体400と、回路基板510を収容した第2ケース部500と、を備え、支持体400の一面側には、第1ケース部200が固定され、支持体400の他面側には、第2ケース部500が固定され、第1ケース部200と第2ケース部500との間で、且つ、支持体400と第1ケース部200および第2ケース部500との固定箇所から離間した位置に、制振部材420を設けている。つまり、
図6(a)に示される、第1ケース部200を含んだ構造体SAと、
図6(b)に示される、支持体400を含んだ構造体SBにおいて、第1ケース部200と支持体400との間には、制振部材420のみが挟持される。そのため、フィードバックされる触覚の設定は、振動アクチュエータ部の構造変更を行う調整をすることなく、制振部材420の厚さ、大きさ、あるいは材質積等を変更することにより制振部材420のダンパー機能を調整することで、容易に行うことができる。したがって、振動に影響を与える構成要素数を少なくするとともに容易に変更可能な構成とすることが可能となり、フィードバックされる触覚を容易に設定することができる。
【0048】
また、本実施形態に係るタッチパネルディスプレイ10は、第1ケース部200に脚部220を設け、制振部材420は、脚部220と第2ケース部500との間に配設されている。また、回路基板510は、脚部220と支持体400とが制振部材420を挟持している箇所よりも内側に配設され、且つ、第2ケース部500の支持体400に近い側に収容されている。具体的には、
図7に示されるように、脚部220が太矢印CC1に示される方向から制振部材420と密接し、制振部材420は、脚部220と、支持フレーム410との間に挟持される。また、第2ケース部500は、支持フレーム410よりも後方に配設されている。つまり、制振部材420は、第1ケース部200の脚部220と第2ケース部500との間に配設されている。また、第2ケース部500は、第1ケース部200の脚部220から離間した位置で支持体400の支持フレーム410を後方から貫通し、ネジ止め等により固定される。具体的には、構造体SB(支持体400を除く)は、第1ケース部200の脚部220から離間して、
図7の破線LLで示される4箇所に設けられた脚部220に囲われた範囲よりも、振動軸ALの径方向内側に固定されている。そのため、第2ケース部500の重心が、脚部220に囲われた範囲より可動部材340の振動軸ALの径方向内側にあることにより安定し、第2ケース部500が振動特性に与える影響を少なくすることができる。したがって、振動に影響を与える構成要素数を少なくすることが可能となり、フィードバックされる触覚を容易に設定することができる。
すなわち、
図8に示されるように、第2ケース部500は、制振部材420が配置された第1ケース部200の脚部220とは、重複しない位置に配置されており、制振部材420は、第1ケース部200の脚部220と第2ケース部500との間に空間的にオフセットした位置に配設されている。
【0049】
なお、上記実施形態においては、タッチパネルディスプレイ10の後方に、第2ケース部500を保護するカバーを省略して例示したが、タッチパネルディスプレイ10の後方に、支持フレーム410にネジ止め等により固定することにより、樹脂等の部材を用いて第2ケース部500を覆うように形成された保護カバーを設けてもよい。
【0050】
また、上記実施形態においては、タッチパネルモジュール100のタッチパネルの表面中央部を測定箇所とし、加速度センサ等の測定器を用いて振動特性を取得する手法を例示したが、画面の任意の場所で振動特性を取得することにより、画面の任意の場所でのフィードバックされる触覚を設定してもよい。
【0051】
また、第1ケース部200に脚部220を設けることなく、制振部材420を脚部220として、タッチパネルモジュール110および第1ケース部200を支持体400に接合してもよい。
【0052】
また、ケース520は回路基板の伝導ノイズ、放射ノイズからの保護を目的としており、ノイズの程度によってはケース520を用いない場合もある。
【0053】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0054】
10;タッチパネルディスプレイ
100;タッチパネルモジュール
200;第1ケース部
210;ケースフレーム
300;振動アクチュエータ部
310;起歪部材
320;歪ゲージ
330a;弾性支持部
330b;弾性支持部
340;可動部材
350;アクチュエータ部
360;ベース部
400;支持体
410;支持フレーム
420;制振部材
500;第2ケース部
510;回路基板
520;ケース
AL;振動軸
SA;構造体
SB;構造体