(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150064
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】支持具
(51)【国際特許分類】
F16B 7/04 20060101AFI20231005BHJP
F16B 2/12 20060101ALI20231005BHJP
【FI】
F16B7/04 301R
F16B2/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058958
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】392018078
【氏名又は名称】日栄インテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160314
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 公芳
(74)【代理人】
【識別番号】100087745
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 善廣
(74)【代理人】
【識別番号】100134038
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 薫央
(74)【代理人】
【識別番号】100150968
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 悠有子
(72)【発明者】
【氏名】米田 守
(72)【発明者】
【氏名】大野 杏介
(72)【発明者】
【氏名】小林 賢一
【テーマコード(参考)】
3J022
3J039
【Fターム(参考)】
3J022EA33
3J022EB14
3J022EC12
3J022FB03
3J022FB07
3J022FB12
3J022GA07
3J022GA12
3J022GA23
3J022GB32
3J039AA05
3J039BB02
3J039CA02
(57)【要約】
【課題】 断面C字状の溝形鋼、断面L字状の山形鋼のいずれにも兼用可能で、ラインナップの削減とコストの低減を図ることができる支持具を提供する。
【解決手段】 鋼材支持具1は、断面C字状の溝形鋼20が、ウェブ21同士が対向するように二つ配置された状態で、長辺部2が二つの溝形鋼20の上フランジ22又は下フランジ23に上方又は下方から当接して突部5及び突部7が上フランジ22又は下フランジ23を側方から挟むことにより、二つの溝形鋼20を支持し、断面L字状の山形鋼30が、垂直板部31同士が対向するように二つ配置された状態で、長辺部2が二つの山形鋼30の水平板部32に下方から当接して突部5及び突部7が水平板部32を側方から挟み、又は、短辺部3が二つの山形鋼30の垂直板部31に上方から当接して突部8及び突部7が垂直板部31を側方から挟むことにより、二つの山形鋼30を支持する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視略矩形をなす一対の長辺部及び一対の短辺部と、
前記長辺部の中央に突設された第一の突部と、
前記短辺部の中央に前記第一の突部と同方向に突設された第二の突部と、
前記長辺部及び前記短辺部が交わる角部に前記第一の突部及び前記第二の突部と同方向に突設された第三の突部とを有し、
ウェブ、上フランジ及び下フランジを有する断面C字状の溝形鋼が、前記ウェブ同士が対向するように二つ配置された状態で、前記長辺部が二つの溝形鋼の前記上フランジ又は前記下フランジに上方又は下方から当接して前記第一の突部及び前記第三の突部が前記上フランジ又は前記下フランジを側方から挟むことにより、前記二つの溝形鋼を支持し、
垂直板部及び水平板部を有する断面L字状の山形鋼が、前記垂直板部同士が対向するように二つ配置された状態で、前記長辺部が二つの山形鋼の前記水平板部に下方から当接して前記第一の突部及び前記第三の突部が前記水平板部を側方から挟み、又は、前記短辺部が二つの山形鋼の前記垂直板部に上方から当接して前記第二の突部及び前記第三の突部が前記垂直板部を側方から挟むことにより、前記二つの山形鋼を支持することを特徴とする支持具。
【請求項2】
前記一対の長辺部の前記第一の突部と反対側には、前記一対の長辺部を連結する連結部が設けられ、前記短辺部が前記二つの山形鋼の前記垂直板部に上方から当接して前記第二の突部及び前記第三の突部が前記垂直板部を側方から挟む際に、前記連結部が前記二つの山形鋼の前記垂直板部に上方から当接することを特徴とする請求項1に記載の支持具。
【請求項3】
前記短辺部における前記第二の突部の両側に切欠が形成され、前記第二の突部が前記連結部から起立して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二つの溝形鋼や山形鋼を上下から挟持して支持可能な支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
断面C字状の溝形鋼や断面L字状の山形鋼等の型鋼を間隔をあけて二つ支持する場合に、従来は、ダブルチャンネルスペーサーやダブルアングルスペーサーと呼ばれる支持具が用いられていた(非特許文献1参照)。
【0003】
図5(a)に示すように、断面C字状の溝形鋼20は、板状のウェブ21と、ウェブ21の上端から側方に延在する板状の上フランジ22と、ウェブ21の下端から側方に延在する板状の下フランジ23とを備え、ウェブ21同士が対向するように配置された二つの溝形鋼20を、二つのダブルチャンネルスペーサー40が上下から挟持する。ダブルチャンネルスペーサー40には、上フランジ22及び下フランジ23の横ずれを防止する突部41及び突部42が設けられ、二つの溝形鋼20の間には突部41により隙間が形成され、上下のダブルチャンネルスペーサー40は、その隙間を挿通するボルト11と、ボルト11に螺合するナット14とにより締結され、二つの溝形鋼20を支持する。
【0004】
また、
図5(b)に示すように、断面L字状の山形鋼30は、板状の垂直板部31と、垂直板部31の下端から側方に延在する板状の水平板部32とを備え、垂直板部31同士が対向するように配置された二つの山形鋼30を、ダブルアングルスペーサー50及びダブルアングルスペーサー60が上下から挟持する。ダブルアングルスペーサー50には、水平板部32の横ずれを防止する突部51及び突部52が設けられ、ダブルアングルスペーサー60には、垂直板部31の横ずれを防止する突部61及び突部62が設けられ、二つの山形鋼30の間には突部51及び突部61により隙間が形成され、ダブルアングルスペーサー50及びダブルアングルスペーサー60は、その隙間を挿通するボルト11と、ボルト11に螺合するナット14とにより締結され、二つの山形鋼30を支持する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】日栄インテック株式会社編 「配管支持金具総合カタログ2021-2022」日栄インテック株式会社 2020年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような支持具(スペーサー)は、溝形鋼や山形鋼の形状ごと、大きさごとに設計されていたので、ラインナップの数が多く、コストの削減の妨げとなっていた。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、断面C字状の溝形鋼、断面L字状の山形鋼のいずれにも兼用可能で、ラインナップの削減とコストの低減を図ることができる支持具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る支持具は、平面視略矩形をなす一対の長辺部及び一対の短辺部と、前記長辺部の中央に突設された第一の突部と、前記短辺部の中央に前記第一の突部と同方向に突設された第二の突部と、前記長辺部及び前記短辺部が交わる角部に前記第一の突部及び前記第二の突部と同方向に突設された第三の突部とを有し、ウェブ、上フランジ及び下フランジを有する断面C字状の溝形鋼が、前記ウェブ同士が対向するように二つ配置された状態で、前記長辺部が二つの溝形鋼の前記上フランジ又は前記下フランジに上方又は下方から当接して前記第一の突部及び前記第三の突部が前記上フランジ又は前記下フランジを側方から挟むことにより、前記二つの溝形鋼を支持し、垂直板部及び水平板部を有する断面L字状の山形鋼が、前記垂直板部同士が対向するように二つ配置された状態で、前記長辺部が二つの山形鋼の前記水平板部に下方から当接して前記第一の突部及び前記第三の突部が前記水平板部を側方から挟み、又は、前記短辺部が二つの山形鋼の前記垂直板部に上方から当接して前記第二の突部及び前記第三の突部が前記垂直板部を側方から挟むことにより、前記二つの山形鋼を支持することを特徴とする。
【0009】
前記一対の長辺部の前記第一の突部と反対側には、前記一対の長辺部を連結する連結部が設けられ、前記短辺部が前記二つの山形鋼の前記垂直板部に上方から当接して前記第二の突部及び前記第三の突部が前記垂直板部を側方から挟む際に、前記連結部が前記二つの山形鋼の前記垂直板部に上方から当接してもよい。
【0010】
また、前記短辺部における前記第二の突部の両側に切欠が形成され、前記第二の突部が前記連結部から起立して形成されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、支持具が断面C字状の溝形鋼、断面L字状の山形鋼のいずれにも兼用可能で、ラインナップの削減とコストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】発明を実施するための形態に係る支持具を示す説明図である。
【
図2】
図1の支持具による断面C字状の溝形鋼の支持構造を示す分解図である。
【
図3】
図1の支持具による
図2の溝形鋼の支持構造を示す説明図である。
【
図4】
図1の支持具による断面L字状の山形鋼の支持構造を示す説明図である。
【
図5】(a)は断面C字状の溝形鋼を支持する従来の支持具を示す説明図、(b)は断面L字状の山形鋼を支持する従来の支持具を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施の形態に係る鋼材支持具1は、あらかじめ成形された金属板を折曲加工して製造され、平面視略矩形を呈する。鋼材支持具1は、その矩形をなす一対の長辺部2,2及び一対の短辺部3,3と、一対の長辺部2,2を連結する連結部4とを有し、長辺部2は、連結部4のX方向端部から起立して形成され、連結部4のY方向端部が短辺部3を構成する。
【0015】
長辺部2のY方向中央部には、突部5がZ方向に(
図1では上方に)凸となるように突設され、長辺部2のY方向端部で、短辺部3と交わる角部6には、突部7がZ方向に(
図1では上方に)凸となるように突設されている。突部5は、Y方向に所定の幅wを有し、突部5の側面5a及び突部7の突部5側の側面7aは、いずれもXZ平面に平行な平面状である。
【0016】
短辺部3のX方向中央部には、突部8がZ方向に(
図1では上方に)凸となるように突設されている。短辺部3における突部8の両側には切欠9,9が形成され、突部8は、切欠9,9により可能となる短辺部3に沿った折曲加工によって、連結部4のY方向端部から起立して形成されている。突部8は、X方向に所定の幅wを有し、突部8の側面8a及び突部7の突部8側の側面7bは、いずれもYZ平面に平行な平面状である。
【0017】
連結部4には、Y方向に長く連結部4をZ方向に貫通する長孔10が設けられている。
【0018】
図2及び
図3に示すように、二つの鋼材支持具1が二つの断面C字状の溝形鋼20を上下から挟み込むことにより、鋼材支持具1は溝形鋼20を抱え込むように固定して支持することができる。
【0019】
詳しくは、溝形鋼20は、板状のウェブ21と、ウェブ21の上端から側方に延在する板状の上フランジ22と、ウェブの下端から上フランジ22と同方向に延在する板状の下フランジ23とを備え、二つの溝形鋼20がウェブ21同士が対向するように配置された状態で、一方の鋼材支持具1の長辺部2が溝形鋼20の下フランジ23に下方から当接して突部5の側面5a及び突部7の側面7aが下フランジ23を側方から挟み、一方の鋼材支持具1と上下反対にした他方の鋼材支持具1の長辺部2が溝形鋼20の上フランジ22に上方から当接して突部5の側面5a及び突部7の側面7aが上フランジ22を側方から挟む。そして、二つの溝形鋼20の間には突部5により隙間が形成されるところ、二つの鋼材支持具1は、その隙間を挿通するボルト11と、ワッシャー12及びワッシャー13と、ボルト11に螺合するナット14とにより締結され、二つの溝形鋼20を支持する(なお、ワッシャー12は、ボルト11の頭部と下方の鋼材支持具1との間でボルト11に挿通され、ワッシャー13は、上方の鋼材支持具1とナット14との間でボルト11に挿通され、ボルト11の緩みを防止する。)。
【0020】
また、
図4に示すように、二つの鋼材支持具1が二つの断面L字状の山形鋼30を上下から挟み込むことにより、鋼材支持具1は山形鋼30を抱え込むように固定して支持することもできる。
【0021】
すなわち、山形鋼30は、板状の垂直板部31と、垂直板部31の下端から側方に延在する水平板部32とを備え、二つの山形鋼30が垂直板部31同士が対向するように配置された状態で、一方の鋼材支持具1の長辺部2が山形鋼30の水平板部32に下方から当接して突部5の側面5a及び突部7の側面7aが水平板部32を側方から挟み、一方の鋼材支持具1と上下反対にして水平面内で90度回転させた他方の鋼材支持具1の短辺部3、連結部4が山形鋼30の垂直板部31に上方から当接して突部8の側面8a及び突部7の側面7bが垂直板部31を側方から挟む。そして、二つの山形鋼30の間には突部5及び突部8により隙間が形成されるところ、二つの鋼材支持具1は、その隙間を挿通するボルト11と、ワッシャー12及びワッシャー13と、ボルト11に螺合するナット14とにより締結され、二つの山形鋼30を支持する。
【0022】
本実施の形態に係る鋼材支持具1は、平面視略矩形をなす一対の長辺部2,2及び一対の短辺部3,3と、長辺部2の中央に突設された突部5と、短辺部3の中央に突部5と同方向に突設された突部8と、長辺部2及び短辺部3が交わる角部6に突部5及び突部8と同方向に突設された突部7とを有し、ウェブ21、上フランジ22及び下フランジ23を有する断面C字状の溝形鋼20が、ウェブ21同士が対向するように二つ配置された状態で、長辺部2が二つの溝形鋼20の上フランジ22又は下フランジ23に上方又は下方から当接して突部5及び突部7が上フランジ22又は下フランジ23を側方から挟むことにより、二つの溝形鋼20を支持し、垂直板部31及び水平板部32を有する断面L字状の山形鋼30が、垂直板部31同士が対向するように二つ配置された状態で、長辺部2が二つの山形鋼30の水平板部32に下方から当接して突部5及び突部7が水平板部32を側方から挟み、又は、短辺部3が二つの山形鋼30の垂直板部31に上方から当接して突部8及び突部7が垂直板部31を側方から挟むことにより、二つの山形鋼30を支持するので、鋼材支持具1が断面C字状の溝形鋼20、断面L字状の山形鋼30のいずれにも兼用可能で、支持具の商品ラインナップの削減とコストの低減を図ることができる。
【0023】
また、鋼材支持具1では、一対の長辺部2,2の突部5と反対側に、一対の長辺部2,2を連結する連結部4が設けられ、短辺部3が二つの山形鋼30の垂直板部31に上方から当接して突部8及び突部7が垂直板部31を側方から挟む際に、連結部4が二つの山形鋼の垂直板部31に上方から当接するので、短辺部3のみが垂直板部31に当接する場合よりも当接面積が拡大し、山形鋼30の支持が安定する。
【0024】
さらに、鋼材支持具1では、短辺部3における第二の突部の両側に切欠9が形成され、突部8が連結部4から起立して形成されているので、短辺部3に沿って一直線上に配置された突部8及び突部7により垂直板部31を挟むことができ、山形鋼30の支持を一層安定させやすい。
【0025】
以上、本発明の実施の形態について例示したが、本発明の実施形態は上述したものに限られず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更等してもよい。
【0026】
例えば、上述した実施の形態では、鋼材支持具1は金属板を折曲加工して製造されているが、鋼材支持具1を樹脂その他の材質で構成しても、鋳造その他の方法で製造してもよい。
【符号の説明】
【0027】
1 鋼材支持具(支持具)
2 長辺部
3 短辺部
4 連結部
5 突部(第一の突部)
6 角部
7 突部(第三の突部)
8 突部(第二の突部)
9 切欠
20 溝形鋼
21 ウェブ
22 上フランジ
23 下フランジ
30 山形鋼
31 垂直板部
32 水平板部