(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150065
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】エッジサドル、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 7/00 20060101AFI20231005BHJP
【FI】
H05K7/00 L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058960
(22)【出願日】2022-03-31
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】岩田 明久
【テーマコード(参考)】
4E352
【Fターム(参考)】
4E352AA01
4E352AA03
4E352AA08
4E352BB02
4E352DR17
4E352DR19
4E352GG01
4E352GG20
(57)【要約】
【課題】電子機器の内部フレームの切り欠き部を通過するケーブルを固定することができ、その際に直径のサイズに関わらずケーブルを固定することができるエッジサドル、及び電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器の内部フレームの切り欠き部に装着されるエッジサドルであり、一区間がケーブルを通すために開放される枠状の本体部と、閉じた状態では枠の外側方向の付勢に対し開き動作が規制されるよう上記本体部の開放区間に開閉可能に軸支されるアーム部と、窪みが表面に形成され、上記ケーブルを上記アーム部との間に挟持し固定する固定部と、一端が上記略C字状の本体部の内面と一体的に形成され、他端が上記固定部の他主表面と一体的に形成され、上記固定部を上記アーム部の方向へと付勢する弾性部と、を含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器の内部フレームの切り欠き部に装着されるエッジサドルであり、
一区間がケーブルを通すために開放される枠状の本体部と、
閉じた状態では枠の外側方向の付勢に対し開き動作が規制されるよう前記本体部の開放区間に開閉可能に軸支されるアーム部と、
窪みが表面に形成され、前記ケーブルを前記アーム部との間に挟持し固定する固定部と、
一端が前記本体部の内面と一体的に形成され、他端が前記固定部の他主表面と一体的に形成され、前記固定部を前記アーム部の方向へと付勢する弾性部と、
を含むエッジサドル。
【請求項2】
前記弾性部は、前記本体部の奥行方向に関して湾曲する向きに配置されている、
請求項1に記載のエッジサドル。
【請求項3】
溝部が、前記一区間を除いて、前記本体部の外周に形成されており、
前記溝部は前記内部フレームに形成された切り欠き部と係合する、
請求項1又は請求項2に記載のエッジサドル。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のエッジサドルと、
切り欠き部を有し、前記エッジサドルが前記切り欠き部に装着される内部フレームと、を含む電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッジサドルなどに関し、特に電子機器などの内部フレームに装着されケーブルを保護するエッジサドルなどに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器などの内部フレームの切り欠き部などを通過するケーブルを保護する目的で、内部フレームの切り欠き部にエッジサドルを装着することが知られている。内部フレームは一般的に板金から構成されるが、エッジサドルを装着することによって、内部フレームの端面からケーブルを保護することができる。特許文献1は、電化機器のシャーシ板の貫通部を通るワイヤを保護するエッジサドルに関するものである。
図11には、特許文献1の第6図に示されるようなエッジサドルの態様を示す。
図11のエッジサドルは、シャーシ板の貫通部70の周縁部に係止する。
図11のエッジサドルは、ワイヤ80の通る空間部63を有する四角状の枠体60、その両面側に設けられた係止部62、及びワイヤを横から入れるための可撓部61を含む。特許文献1では、シャーシ板の異なる板厚に対応できるようにするために、枠体60に係止部62を設けることが提案されている。
【0003】
また電子機器の内部で、ケーブルを固定することが知られている。特許文献2は、電子機器のケーブルクランプ構造に関するものであり、電子機器の筐体内部において、ケーブルの外形サイズに従って変形する板バネなどでケーブルを押さえ付けることにより、ケーブルを固定することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平02-142587号公報
【特許文献2】実開平04-130479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のエッジサドルでは、電化機器のシャーシ板の貫通部を通るワイヤを保護することができるものの、ケーブルが定位置から動いてしまい易い。このため電化機器を組み立てて、カバーを装着する際に、筐体との間に上記貫通部を通るワイヤを挟んでしまい、ワイヤを損傷或いは切断してしまう可能性が考えられる。このようなケーブルの線噛み(断線)を防止するためには、電化機器を組み立てる際に、ケーブルを定位置に戻す作業、或いはケーブルが定位置にあることを確認する作業の追加が必要になる。
【0006】
特許文献2のケーブルクランプ構造は、エッジサドルを用いるものではない。このため、特許文献2のケーブルクランプ構造を用いた場合、板バネの弾性はケーブル外形に沿う変形に適用されるものの、スペースの最大奥行きはケーブル1本の最大径までであり、それ以上スペースを広げることができない。このため特許文献2が提案する、変形する板バネによるケーブル固定では、基本的にケーブル1本しかクランプできず、またクランプされたケーブルは多少の動きも許されない。
【0007】
本発明の目的は、上述した課題を鑑み、電子機器の内部フレームの切り欠き部を通過するケーブルを固定することができ、その際に直径のサイズに関わらずケーブルを固定することができるエッジサドル、及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明に係るエッジサドルは、電子機器の内部フレームの切り欠き部に装着されるエッジサドルであり、
一区間がケーブルを通すために開放される枠状の本体部と、
閉じた状態では枠の外側方向の付勢に対し開き動作が規制されるよう上記本体部の開放区間に開閉可能に軸支されるアーム部と、
窪みが表面に形成され、上記ケーブルを上記アーム部との間に挟持し固定する固定部と、
一端が上記本体部の内面と一体的に形成され、他端が上記固定部の他主表面と一体的に形成され、上記固定部を上記アーム部の方向へと付勢する弾性部と、を含む。
【0009】
本発明に係る電子機器は、
上記エッジサドルと、
切り欠き部を有し、上記エッジサドルが上記切り欠き部に装着される内部フレームと、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電子機器の内部フレームの切り欠き部を通過するケーブルを固定することができ、その際にケーブルの直径や太さなどのサイズに関わらずケーブルを固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A】本発明の第1実施形態によるエッジサドルを説明するための平面図である。
【
図1B】
図1AのA-A線に沿った断面と共に示す、本発明の第1実施形態によるエッジサドルを説明するための斜視図である。
【
図2A】本発明の第1実施形態によるエッジサドルが装着される前の、電子機器の内部フレーム周辺を示す拡大斜視図である。
【
図2B】本発明の第1実施形態によるエッジサドルが装着された状態の、電子機器の内部フレーム周辺を示す拡大斜視図である。
【
図3A】第1実施形態によるエッジサドルで、ケーブル21aを固定した状態を説明するための断面図である。
【
図3B】第1実施形態によるエッジサドルで、ケーブル21bを固定した状態を説明するための断面図である。
【
図4A】固定部3の表面の一例を説明するための拡大断面図である。
【
図4B】固定部3の表面の他の一例を説明するための拡大断面図である。
【
図5】エッジサドルが装着される電子機器の一例を説明するための外観図である。
【
図6】エッジサドルが装着される、内部フレームを有する電子機器の一例を説明するための外観図である。
【
図7B】
図7AのB-B線に沿った断面と共に示す、背景技術のエッジサドルの斜視図である。
【
図8】背景技術のエッジサドルが装着された状態の、電子機器の内部フレーム周辺を示す拡大斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態によるエッジサドルを説明するための平面図である。
【
図10】第2実施形態によるエッジサドルで、ケーブル21を固定した状態を説明するための断面図である。
【
図11】特許文献1によるエッジサドルを説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好ましい実施形態について説明する前に、発明者が考える、背景技術の課題について図面を参照しながら説明する。
図5は、エッジサドルが装着される電子機器の一例を説明するための外観図である。
図6は、エッジサドルが装着される、内部フレームを有する電子機器の一例を説明するための外観図である。
図7Aは、背景技術のエッジサドルの平面図であり、
図7Bは、
図7AのB-B線に沿った断面と共に示す、背景技術のエッジサドルの斜視図である。
図8は、背景技術のエッジサドルが装着された状態の、電子機器の内部フレーム周辺を示す拡大斜視図である。
【0013】
背景技術のエッジサドルは、例えば
図5に外観の一例を示す電子機器30の内部フレームに装着される。
図5の電子機器30は、カバー31とカバー32との間に電子部品や内部フレームを有する。
図6には、カバー31を取り外した状態の、電子機器の外観の一例を示す。
図6のA部には、内部フレーム10に切り欠き部11が形成されている。
【0014】
背景技術のエッジサドルは、
図7Aや
図7Bに示すように、ケーブル貫通部52を囲むような略C字状の本体部50を含む。略C字状の本体部50は、電子機器の内部フレームと係合する溝部が外周に形成されており、一対のアーム部51の先端が近接しつつ一区間が開放されている形状を有する。
【0015】
背景技術のエッジサドルは、
図8に示すように、内部フレーム10の切り欠き部11に装着される。背景技術のエッジサドルを用いた場合、ケーブル貫通部52を通過するケーブル41はエッジサドルが存在していることによって損傷などから保護される。なお
図8では、ケーブル41の終端のコネクタ42が電子機器の端子に接続されている態様を示している。
【0016】
図8に示すような、背景技術のエッジサドルでは、ケーブル貫通部52を通過するケーブル41が定位置から動いてしまい易い。すなわち、背景技術のエッジサドルでは、
図8に「理想のケーブルルート」として図示する定位置から動いてしまい易い。例えば、
図8に点線で示すような「定位置から外れたケーブルルート」として図示するような位置にケーブルが動いてしまうと、電子機器30のカバー31にカバー32を装着して電子機器30を組み立てる際に、カバー31とカバー32との嵌合部分にケーブル貫通部52を通過するケーブル41を挟んでしまい、ケーブル41を損傷或いは切断してしまう可能性が考えられる。このようなケーブルが定位置から動いてしまい易いという課題は、ケーブルの余長のたわみなどに起因する。
【0017】
図11に示すような、特許文献1のエッジサドルを用いた場合にも、
図8に示すような背景技術のエッジサドルと同様にケーブルが定位置から動いてしまい易いという課題が想定される。このため、
図11に示すような、特許文献1のエッジサドルを用いた場合にも、電子機器を組み立てる際に、カバーとカバーとの嵌合部分や筐体とカバーとの嵌合部分などにケーブルを挟んでしまい、ケーブルを損傷或いは切断してしまう可能性が考えられる。
【0018】
このためエッジサドルとしては、エッジサドルが存在することによってケーブル保護ができるのみならず、ケーブル貫通部を通過するケーブルが定位置から動かないようにすることが望まれる。特に、エッジサドルが装着される電子機器の組み立ての際に、ケーブル貫通部を通過するケーブルが、定位置から動かないようにすることが望まれる。以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態によるエッジサドル、及び電子機器について、説明する。
図1Aは、本発明の第1実施形態によるエッジサドルを説明するための平面図である。
図1Bは、
図1AのA-A線に沿った断面と共に示す、本発明の第1実施形態によるエッジサドルを説明するための斜視図である。
図2Aは、本発明の第1実施形態によるエッジサドルが装着される前の、電子機器の内部フレーム周辺を示す拡大斜視図である。
図2Bは、本発明の第1実施形態によるエッジサドルが装着された状態の、電子機器の内部フレーム周辺を示す拡大斜視図である。
図3Aは、エッジサドルで、ケーブル21aを固定した状態を説明するための断面図である。
図3Bは、エッジサドルで、ケーブル21bを固定した状態を説明するための断面図である。
【0020】
(実施形態の構成)
本発明の第1実施形態によるエッジサドルは、電子機器の内部フレームの切り欠き部を通過するケーブルが、損傷することを防止し、保護する物品である。エッジサドルは、電子機器の内部フレームの切り欠き部に装着される。
【0021】
本実施形態によるエッジサドルは、一区間がケーブルを通すために開放される枠状の本体部1を含む。この枠状の本体部1は、電子機器の内部フレームと係合する溝部1aが外周の一部に形成されている。さらに本実施形態によるエッジサドルは、閉じた状態では枠の外側方向の付勢に対し開き動作が規制されるよう本体部1の開放区間に開閉可能に軸支されるアーム部2を含む。本実施形態では、一対のアーム部2の先端が近接しつつ一区間が開放されている形状を有する。
【0022】
さらに本実施形態によるエッジサドルは、窪みが表面に形成され、上記ケーブルをアーム部2との間に挟持し固定する固定部3を含む。窪みが表面に形成された固定部3の一例として、本実施形態の一主表面は断面がV字状をなしている。この固定部3は、上記一対のアーム部2との間にケーブルを挟持することにより、上記ケーブルを固定する。
【0023】
さらに本実施形態によるエッジサドルは、上記固定部3を上記一対のアーム部2の方向へと付勢する弾性部4を含む。この弾性部4は、ケーブルを保持するためのバネ性をもった保持形状を有しており、
図1A及び
図1Bに示すように、Ω字形状を有する。この弾性部4は、一端が上記本体部1の内面と一体的に形成され、他端が上記固定部3の他主表面と一体的に形成されている。
【0024】
(実施形態の動作)
次に本実施形態の動作として、電子機器へのエッジサドルの装着、及びエッジサドルによるケーブル保護及びケーブル固定について、説明する。
【0025】
本実施形態のエッジサドルは、例えば
図5に外観の一例を示す電子機器30の内部フレームに装着される。
図5の電子機器30は、カバー31とカバー32との間に電子部品や内部フレームを有する。
図6には、カバー31を取り外した状態の、電子機器の外観の一例を示す。
図6のA部には、内部フレーム10に切り欠き部が形成されている。切り欠き部が形成された内部フレーム10の拡大図を
図2Aに示す。
図2Aに示すように、内部フレーム10には切り欠き部11が形成されている。
【0026】
本実施形態のエッジサドルは、
図2Bに示すように、本体部1外周の溝部1aが電子機器の内部フレーム10の切り欠き部11と係合することにより、電子機器の内部フレーム10に装着される。そして本実施形態のエッジサドルでは、例えば、ケーブル21が一対のアーム部2間の隙間から内空間に差し込まれる。一例として、内空間を通過するケーブル21は終端にコネクタ22を備えており、電子機器の内部の端子に接続される。このケーブル21は、エッジサドルの本体部1の内空間を通過することにより、損傷から保護される。
【0027】
アーム部2は、ケーブル21を下側に押し込む方向には観音開き状に押し広げられるが、上側に開放する方向には開かない様に回転軸が一方向のみに動作を規制される。これによって、弾性部4の付勢で下から押し上げられる固定部3とアーム部2の間でケーブル21が固定される。また一対のアーム部2は、ほぼ水平状態で固定されていることにより、弾性部4の付勢で下から押し上げられる固定部3とアーム部2の間でケーブル21が固定される。言い換えると、本実施形態のエッジサドルでは、固定部3を有していることにより、内空間に差し込まれたケーブル21を一対のアーム部2との間に挟持し、これによってケーブル21を固定する。さらに本実施形態のエッジサドルでは、固定部3を一対のアーム部2の方向へと付勢する弾性部4を有していることにより、固定部3と一対のアーム部2との間にケーブル21を挟持し、固定する状態が維持される。このようにケーブル21を挟持し、固定する状態が維持されることによって、電子機器の内空間においてケーブル21の余長によらず、ケーブル21を定位置で固定することができる。
図1Bに両矢印で示すように、弾性部4は機械的限度を越えない範囲で伸縮自在であり、内空間に差し込まれるケーブルの太さに応じて上下することができる。
【0028】
本実施形態のエッジサドルによる、ケーブルの太さに応じたケーブル固定の態様について、図面を参照しながら説明する。
図3Aは、第1実施形態によるエッジサドルで、ケーブル21aを固定した状態を説明するための断面図である。
図3Bは、第1実施形態によるエッジサドルで、ケーブル21bを固定した状態を説明するための断面図である。
【0029】
図3Aでは、直径D
1のケーブル21aがエッジサドルの内空間を通過し、固定される態様を示している。ケーブル21aは、一対のアーム部2間の隙間から内空間に差し込まれ、一対のアーム部2と固定部3の一主表面との間に挟持され、固定される。固定部3は窪みが表面に形成されているので、ケーブル21aは大まかに一対のアーム部2と、固定部3の二つの平面との三点間に挟持される。
【0030】
図3Bでは、直径D
2のケーブル21bがエッジサドルの内空間を通過し、固定される態様を示している。ケーブル21bの直径D
2は、ケーブル21aの直径D
1より大きい、言い換えるとケーブル21bはケーブル21aより太い場合を想定している。ケーブル21bは、一対のアーム部2間の隙間から内空間に差し込まれ、一対のアーム部2と固定部3の一主表面との間に挟持され、固定される。固定部3は窪みが表面に形成されているので、ケーブル21bは大まかに一対のアーム部2と、固定部3の二つの平面との三点間に挟持される。
【0031】
弾性部4は固定部3を一対のアーム部2の方向へと付勢しており、機械的限度を越えない範囲で伸縮自在である。これにより、ケーブル21bが一対のアーム部2間の隙間から内空間に差し込まれたときには、弾性部4は大きく縮み撓みつつ固定部3を一対のアーム部2の方向へと付勢する。
【0032】
固定部3の一主表面は断面が略V字状をなしている場合、ケーブルの太さや直径に応じて固定部3の二つの平面との接触位置が変化しつつも、ケーブルは大まかに一対のアーム部2と、固定部3の二つの平面との三点間に挟持される。
【0033】
(実施形態の効果)
本実施形態のエッジサドルでは、ケーブルをスリット部に合わせて押し込めば簡単に係止できるが、自然に外れないように逆方向の開放動作は規制される。ただし本実施形態のエッジサドルでは、人為的な操作で片側のアーム部のみ押し込めば空間を大きく生じさせることができ、その空間を利用して係止したケーブルが再び取り出せる。さらに本実施形態のエッジサドルによれば、内空間を通過するケーブルを損傷から保護することができる。さらに本実施形態のエッジサドルによれば、内空間を通過するケーブルを、大まかに一対のアーム部2と、固定部3の二つの平面との三点間に固定することができる。このケーブル固定に、固定部3を用いていることにより、ケーブルの太さや直径によらず、一対のアーム部2と、固定部3の二つの平面との三点間に挟持され、内空間を通過するケーブルを固定することができる。その理由は、固定部3は窪みが表面に形成されているからである。
【0034】
本実施形態のエッジサドルによれば、内空間を通過するケーブルを固定することができので、
図8に「理想のケーブルルート」として図示するようなケーブルルートを維持することができる。これによって、電子機器30にカバー32を装着し電子機器30を組み立てる際に、カバー31とカバー32との嵌合部分にケーブル21を挟んでしまうといった課題を解決することができ、ケーブル21の損傷或いは切断を防止することができる。さらに、電子機器30を組み立てる際にケーブルを定位置に戻す、或いはケーブルが定位置にあることを確認するといった追加作業を必要とすることなく、このようなケーブル21の線噛み(断線)を防止することができる。
【0035】
〔第2実施形態〕
本発明の第2実施形態によるエッジサドル、及び電子機器について、説明する。
図9は、本発明の第2実施形態によるエッジサドルを説明するための平面図である。
図10は、エッジサドルで、ケーブル21を固定した状態を説明するための断面図である。
【0036】
(実施形態の構成)
本発明の第2実施形態によるエッジサドルは、第1実施形態と同様に、電子機器の内部フレームの切り欠き部を通過するケーブルが、損傷することを防止し、保護する物品である。エッジサドルは、電子機器の内部フレームの切り欠き部に装着される。
【0037】
本実施形態によるエッジサドルは、一区間がケーブルを通すために開放される枠状の本体部5を含む。この枠状の本体部5は、電子機器の内部フレームと係合する溝部が外周の一部に形成されており、一区間が開放されている形状を有する。本実施形態においても、第1実施形態の溝部1aと同様な、図示しない溝部が本体部5外周の一部に形成されているものとする。さらに本実施形態によるエッジサドルは、閉じた状態では枠の外側方向の付勢に対し開き動作が規制されるよう本体部5の開放区間に開閉可能に軸支されるアーム部6を含む。アーム部6は、一端がヒンジ部6bで本体部5に連結されている。アーム部6の他端には係合部6aが形成されており、アーム部6の係合部6aは本体部5の係合部5aと係合する。
【0038】
さらに本実施形態によるエッジサドルは、窪みが表面に形成され、上記ケーブルをアーム部6との間に挟持し固定する固定部7を含む。窪みが表面に形成された固定部7の一例として、本実施形態の一主表面は断面がV字状をなしている。この固定部7は、上記アーム部6との間にケーブルを挟持することにより、上記ケーブルを固定する。
【0039】
さらに本実施形態によるエッジサドルは、上記固定部7を上記アーム部6の方向へと付勢する弾性部8を含む。この弾性部8は、ケーブルを保持するためのバネ性をもった保持形状を有しており、Ω字形状を有する。この弾性部8は、一端が上記本体部5の内面と一体的に形成され、他端が上記固定部7の他主表面と一体的に形成されている。
【0040】
(実施形態の動作)
次に本実施形態の動作として、電子機器へのエッジサドルの装着、及びエッジサドルによるケーブル保護及びケーブル固定について、説明する。
【0041】
本実施形態のエッジサドルは、第1実施形態と同様に、例えば
図5に外観の一例を示す電子機器30の内部フレームに装着される。
図5の電子機器30は、カバー31とカバー32との間に電子部品や内部フレームを有する。
【0042】
本実施形態のエッジサドルは、本体部5外周の溝部が電子機器の内部フレーム10の切り欠き部11と係合することにより、電子機器の内部フレーム10に装着される。そして本実施形態のエッジサドルでは、例えば、本体部5の開放されている一区間から内空間にケーブル21が挿入される。このケーブル21は、エッジサドルの本体部5の内空間を通過することにより、損傷から保護される。
【0043】
そしてアーム部6をヒンジ部6bで回動させ、アーム部6の係合部6aと本体部5の係合部5aとを係合させて、本体部5に対してアーム部6を固定する。なお本実施形態のエッジサドルでは、アーム部6の係合部6aと本体部5の係合部5aとの間の係合状態を解除するように人為的な操作がなされない限り、弾性部8の付勢力に関わらず、アーム部6の係合部6aと本体部5の係合部5aとの間の係合状態が維持されるように設計されるものとする。これによって、
図10に示すようにエッジサドルの本体部5の内空間を通過するケーブル21は、弾性部8の付勢で下から押し上げられる固定部7とアーム部6の間で固定される。本実施形態のエッジサドルでは、固定部7を有していることにより、内空間に差し込まれたケーブル21をアーム部6との間に挟持し、これによってケーブル21を固定する。さらに本実施形態のエッジサドルでは、固定部7をアーム部6の係合部6aと本体部5の係合部5aとが係合した状態にあるアーム部6の方向へと付勢する弾性部8を有していることにより、固定部7とアーム部6との間にケーブル21を挟持し、固定する状態が維持される。このようにケーブル21を挟持し、固定する状態が維持されることによって、電子機器の内空間においてケーブル21の余長によらず、ケーブル21を定位置で固定することができる。なお、弾性部8は機械的限度を越えない範囲で伸縮自在であり、内空間に挿入されるケーブルの太さに応じて上下することができる。
【0044】
第1実施形態と同様に、固定部7の一主表面は断面が略V字状をなしている場合、ケーブルの太さや直径に応じて固定部7の二つの平面との接触位置が変化しつつも、ケーブルはアーム部6と、固定部7の二つの平面との三点間に挟持される。
【0045】
(実施形態の効果)
本実施形態のエッジサドルでは、アーム部6の係合部6aと本体部5の係合部5aとの間の係合状態を解除する人為的な操作などによって、係止したケーブルが再び取り出せる。さらに本実施形態のエッジサドルによれば、内空間を通過するケーブルを損傷から保護することができる。さらに本実施形態のエッジサドルによれば、内空間を通過するケーブルを、アーム部6と、固定部7の二つの平面との三点間に固定することができる。このケーブル固定に、固定部7を用いていることにより、ケーブルの太さや直径によらず、アーム部6と、固定部7の二つの平面との三点間に挟持され、内空間を通過するケーブルを固定することができる。その理由は、固定部7は窪みが表面に形成されているからである。
【0046】
〔その他の実施形態〕
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本実施形態のエッジサドルが装着される、電子機器の内部フレームの切り欠き部としては、
図2Aに示すような三辺を有する切り欠き部11に限られず、他の形状の切り欠き部であってもよい。例えば、長尺状の内部フレームの端部に配置され、二辺を有する切り欠き部に、本実施形態のエッジサドルが装着されてもよい。特許文献1では、電化機器のシャーシ板の貫通溝又は貫通孔(以下、貫通部と称する)を通るワイヤを保護すべく、上記貫通部の周縁に係止するものとして、エッジサドルが説明されている。このようなシャーシ板の貫通溝又は貫通孔に、本発明のエッジサドルが装着されてもよい。エッジサドルの内空間を通過し、保護されるケーブルとしては、電子機器に関連して電気信号が通過するケーブルや光信号が通過する光ケーブルなどが基本的に想定され、特許文献1が称する「ワイヤ」や、或いはコード類など、細線状で長尺状の物品であれば「ケーブル」という名称ではない物品も全て含まれる。また、信号が通過するようなケーブルではなく、電子機器に関連して機械的な固定に供されるようなケーブルのうち、電子機器を組み立てて、カバーを装着する際に、筐体との間に挟んで損傷或いは切断されることが懸念されるようなケーブルに対してもまた、本発明のエッジサドルは有効である。
【0047】
その他、本体部1の一対のアーム部2との間にケーブルを挟持して固定する固定部3や、アーム部6との間にケーブルを挟持して固定する固定部7については、窪みが表面に形成されているものである。この固定部3や固定部7の表面の形状は、上述した実施形態には限られない。上述した実施形態では、
図4Aに拡大して示すように、断面が略V字状の溝の最下点3aが丸みを持った角(曲面状)となっているが、
図4Bに拡大して示すような、断面が略V字状の溝の最下点3bが鋭角又は鈍角でシャープな角(尖った角)となるように製造されていてもよい。上述した
図3Aや
図3Bから理解されるように、エッジサドルがケーブル21aを固定する場合にも、エッジサドルがケーブル21bを固定する場合にも、固定部3の略V字状の溝の最下点はケーブルに接触しておらず、ケーブル固定に寄与していない。固定部3の略V字状の溝の最下点がケーブル固定に寄与する形状となっていることを排除するものではないが、固定部3の略V字状の溝の最下点の形状はケーブル固定に寄与しない形状であって問題ない。本実施形態の固定部3は、ケーブル固定を考慮しつつ、適宜設計し、製造することができる。
【0048】
上述した実施形態のエッジサドルにおいては、
図1A、
図1Bや
図9に示すように、Ω字形状の弾性部4は、本体部1の奥行方向(
図1A、
図9では紙面に対する法線方向)に関して湾曲する向きに配置されている。弾性部4をこのように配置したエッジサドルは、金型を使用した射出成型法によってその全体を一体形成することに適している。固定部をアーム部の方向へと付勢する弾性部を他の形状で構成したエッジサドルや、Ω字形状の弾性部4を
図1A、
図1Bや
図9に示すものとは異なる向きに配置したエッジサドルと比べて、より低コストでエッジサドルを一体形成し、製造することができる。
【0049】
このように、本発明の実施形態によるエッジサドルは、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲に含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0050】
1、5 本体部
1a 溝部
2、6 アーム部
3、7 固定部
4、8 弾性部
5a、6a 係合部
6b ヒンジ部
10 内部フレーム
11 切り欠き部
21、21a、21b ケーブル
22 コネクタ
30 電子機器
31、32 カバー