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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023015008
(43)【公開日】2023-01-31
(54)【発明の名称】顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/34 20060101AFI20230124BHJP
   G01N 1/28 20060101ALI20230124BHJP
   G02B 21/26 20060101ALI20230124BHJP
【FI】
G02B21/34
G01N1/28 F
G02B21/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022113751
(22)【出願日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】21186397
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン クリスト
【テーマコード(参考)】
2G052
2H052
【Fターム(参考)】
2G052AA28
2G052CA03
2G052CA18
2G052CA46
2G052CA48
2G052DA06
2G052DA12
2G052GA32
2G052HC15
2G052HC17
2G052HC22
2G052HC23
2G052HC28
2H052AD03
2H052AD19
2H052AE04
2H052AE10
2H052AE13
2H052AF02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】より効率的な実験設計およびより高い処理量を可能にする顕微鏡を提供する。
【解決手段】蓋を有する試料担体106に受容された試料を検査するための顕微鏡100は、試料担体を収容するように構成された試料チャンバ104と、試料チャンバの下方に配置された顕微鏡ステージ108であって、顕微鏡ステージ上に配置される試料担体を有するように構成された顕微鏡ステージと、試料チャンバ内に少なくとも部分的に配置される試料担体ハンドリング装置116であって、試料にアクセスできるようにするために試料担体から蓋を除去するように構成された試料担体ハンドリング装置と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋(400)を有する試料担体(106)に受容された試料を検査するための顕微鏡(100,500,600,700,1000)であって、前記顕微鏡(100,500,600,700,1000)は、
前記試料担体(106)を収容するように構成された試料チャンバ(104)と、
前記試料チャンバ(104)の下方に配置された顕微鏡ステージ(108)であって、前記顕微鏡ステージ(108)上に配置される前記試料担体(106)を有するように構成された顕微鏡ステージ(108)と、
前記試料チャンバ(104)内に少なくとも部分的に配置される試料担体ハンドリング装置(116)であって、前記試料にアクセスできるようにするために前記試料担体(106)から前記蓋(400)を除去するように構成された試料担体ハンドリング装置(116)と、
を備えている顕微鏡(100,500,600,700,1000)。
【請求項2】
前記試料担体ハンドリング装置(116)は、前記試料チャンバ(104)の内側に配置された、前記試料担体(106)の前記蓋(400)に係合するように構成されたアーム(120)を備えている、
請求項1記載の顕微鏡(100,500,600,700,1000)。
【請求項3】
前記アーム(120)は、前記蓋(400)に係合するように構成されたグリッパ(122)、スライド機構、ロックおよびキー機構(802)、または吸着カップ(902)を有している、
請求項2記載の顕微鏡(100,500,600,700,1000)。
【請求項4】
前記アーム(120)は、前記試料担体(106)をその上に配置すべき前記顕微鏡ステージ(108)の上面に対して直交する方向に沿って可動である、
請求項2または3記載の顕微鏡(100,500,600,700,1000)。
【請求項5】
前記アーム(120)は、前記顕微鏡ステージ(108)の上面に対して直交する軸線を中心として回転可能である、かつ/または、前記顕微鏡ステージ(108)の上面に対して平行な少なくとも1つの軸線を中心として回転可能である、
請求項2から4までのいずれか1項記載の顕微鏡(100,500,600,700,1000)。
【請求項6】
前記顕微鏡(100,500,600,700,1000)は、前記顕微鏡ステージ(108)の上面に対して平行な平面において、前記顕微鏡ステージ(108)を横方向に動かすように構成されたステージ駆動装置を有している、
請求項1から5までのいずれか1項記載の顕微鏡(100,500,600,700,1000)。
【請求項7】
前記顕微鏡ステージ(108)は、以下の位置、すなわち、
前記試料担体(106)が最初に前記試料チャンバ(104)内に収容される初期位置と、
前記試料担体(106)の前記蓋を(400)、前記試料担体ハンドリング装置(116)によって除去することができる蓋除去位置と、
前記試料を顕微鏡検査することができる検査位置と、
前記試料を操作することができる操作位置と、
のうちの少なくとも2つの位置の間で、前記試料担体(106)を動かすように構成されている、
請求項1から6までのいずれか1項記載の顕微鏡(100,500,600,700,1000)。
【請求項8】
前記顕微鏡(500,600)は、前記試料をピペット処理するためのピペット処理装置(502)、特に前記試料に液体を注入するように構成された注入器装置、および/または、前記試料を操作するように構成されたマイクロマニピュレータ装置を備えている、
請求項1から7までのいずれか1項記載の顕微鏡(500,600)。
【請求項9】
前記試料チャンバ(104)は、インキュベーション雰囲気を含むインキュベートされる試料チャンバ(104)および/または無菌雰囲気を含む無菌試料チャンバ(104)である、
請求項1から8までのいずれか1項記載の顕微鏡(1000)。
【請求項10】
前記顕微鏡(1000)は、
前記試料チャンバ(104)の少なくとも1つの第1の開口(1008)を通して前記試料チャンバ(104)内に雰囲気を吹き込むように構成された第1のファンアセンブリ(1006)と、
前記試料チャンバ(104)の少なくとも1つの第2の開口を通して前記試料チャンバ(104)から雰囲気を排出するように構成された第2のファンアセンブリ(1012)と、
を有している、
請求項1から9までのいずれか1項記載の顕微鏡(1000)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の開口(1008)と、前記少なくとも1つの第2の開口と、は、前記試料チャンバ(104)の対向する側に、特に前記試料チャンバ(104)の上面と下面とに配置されている、
請求項10記載の顕微鏡(1000)。
【請求項12】
前記第1のファンアセンブリ(1006)と、前記少なくとも1つの第1の開口(1008)と、前記少なくとも1つの第2の開口(1100)と、は、前記試料チャンバ(104)の内側で層流を生成するように構成されている、
請求項10または11記載の顕微鏡(1000)。
【請求項13】
前記顕微鏡(600)は、前記試料担体(106)を識別するように構成された試料担体識別ユニット(602)を備えている、
請求項1から12までのいずれか1項記載の顕微鏡(600)。
【請求項14】
前記試料担体識別ユニット(602)は、カメラ、バーコードリーダ、および/またはRFIDリーダを備える、
請求項13記載の顕微鏡(600)。
【請求項15】
前記顕微鏡(100,500,600,700,1000)は、前記試料チャンバ(104)を画定する箱型顕微鏡ハウジング(102)を備え、前記箱型顕微鏡ハウジング(102)は、前記試料チャンバ(104)にアクセスできるようにするためのドア(1004)を有する、
請求項1から14までのいずれか1項記載の顕微鏡(100,500,600,700,1000)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋を有する試料担体に受容された試料を検査するための顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
顕微鏡検査において使用される試料担体は、この試料担体に受容された試料を環境に対して密閉するための蓋を備えていてよい。ユーザが試料を取り扱うときの、試料の不測の汚染およびこぼれが蓋によって防止される。試料の顕微鏡検査を可能にするために、蓋は光学的に透明である。しかしながら、例えば、試料に試薬を注入するなどして、試料を操作するために、蓋を除去しなければならず、これには、一般的に、ユーザによる手作業が必要である。このような人間との相互作用の必要性により、実験から離れられる時間が減じられ、したがって実験の効率は低下する。さらに、試料または環境のいずれかの汚染が重大な問題である場合には、蓋は、無菌キャビネットのような無菌のまたは半無菌の環境において除去される必要がある。このような時間のかかる手順によって、さらに実験の効率が低下する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、より効率的な実験設計およびより高い処理量を可能にする顕微鏡を提供することが課題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、独立請求項の対象によって達成される。有利な実施形態は、従属請求項および以下の説明において定義されている。
【0005】
蓋を有する試料担体に受容された試料を検査するための提案される顕微鏡は、試料担体を収容するように構成された試料チャンバ;試料チャンバの下方に配置された顕微鏡ステージであって、当該顕微鏡ステージ上に配置される試料担体を有するように構成された顕微鏡ステージ;および試料担体ハンドリング装置を備えている。この試料担体ハンドリング装置は、試料チャンバ内に少なくとも部分的に配置されていて、試料にアクセスできるようにするために試料担体から蓋を除去するように構成されている。
【0006】
試料担体は、例えば、複数の試料を受容するように構成された顕微鏡スライド、ペトリ皿またはマルチウェルプレートであってよい。この試料担体ハンドリング装置は、操作のために試料にアクセスできるようにするための、試料担体からの蓋の除去を自動化する。これにより、人間の介入の必要性が排除され、顕微鏡を、特に実験設計ソフトのようなソフトウェアによって、ワークフロー設計に容易に組み込むことができる。さらに、試料担体は試料チャンバ内に収容され、それによって環境に対して保護されている。これにより、蓋が取り外されたとしても、試料および/または環境の汚染は防止されている。汚染のリスクの低減と併せて自動化が可能であることから、顕微鏡から長い時間離れていることができ、その結果、より効率的な実験設計およびより高い処理量が得られる。
【0007】
好ましい実施形態では、試料担体ハンドリング装置は、試料チャンバの内側に配置された、試料担体の蓋に係合するように構成されたアームを備えている。アームは、蓋を取り扱うためのフレキシブルな機構である。特にアームは、さまざまなサイズおよび形状の複数の異なる蓋に係合することができるように設計することができる。したがって、異なる形状要素を有する複数の試料担体を、提案された顕微鏡と共に使用することができる。
【0008】
別の好ましい実施形態では、アームは、蓋に係合するように構成されたグリッパ、スライド機構、キーおよびロック機構、または吸着カップを有している。この実施形態では、蓋をアームに確実に取り付けることができる。これにより、試料チャンバの内部での蓋の紛失が防止される。このような紛失により、ユーザは蓋を回収しなければならず、これにより実験が中断される。
【0009】
別の好ましい実施形態では、アームは、試料担体をその上に配置すべき顕微鏡ステージの上面に対して直交する方向に沿って可動である。換言すると、アームは鉛直方向で動くことができる。これにより、蓋を試料担体から持ち上げることができ、この場合、実験を妨害することになる、試料担体を倒すリスクはない。
【0010】
別の好ましい実施形態では、アームは、顕微鏡ステージの上面に対して直交する軸線を中心として回転可能である、かつ/または顕微鏡ステージの上面に対して平行な少なくとも1つの軸線を中心として回転可能である。これにより、アームのより微細な関節結合が可能となり、したがってより精密な蓋の取扱いが可能となる。
【0011】
別の好ましい実施形態では、顕微鏡は、顕微鏡ステージの上面に対して平行な平面において、顕微鏡ステージを横方向に動かすように構成されたステージ駆動装置を有している。好ましくは、顕微鏡は、X-Yテーブルである。これにより、例えば、マルチウェルプレートの個々のキャビティを選択することが、または観察のために単一の試料の特定の重要な領域を選択することが可能になる。
【0012】
別の好ましい実施形態では、顕微鏡ステージは、以下の位置、すなわち、試料担体が最初に試料チャンバ内に収容される初期位置、試料担体の蓋を、試料担体ハンドリング装置によって除去することができる蓋除去位置、試料を顕微鏡検査することができる検査位置、および試料を操作することができる操作位置、のうちの少なくとも2つの位置の間で、試料担体を動かすように構成されている。試料担体は、手動または自動で、顕微鏡内に初期位置において装填される。次いで試料担体は、検査のための検査位置または蓋除去位置へと移動させられる。試料担体が蓋除去位置へと移動させられたならば、蓋は除去され、試料担体はさらに操作位置へと移動させられて、そこで試料担体に受容された試料が操作される。操作に続いて、操作された試料の検査のための検査位置へと試料担体を移動させることができる。この実施形態では、多数の異なる実験を極めて容易に自動化することができ、これにより顕微鏡はより多用途なものとなる。
【0013】
別の好ましい実施形態では、顕微鏡は、試料をピペット処理するためのピペット処理装置、特に試料に液体を注入するように構成された注入器装置、および/または試料を操作するように構成されたマイクロマニピュレータ装置を備えている。この実施形態では、蓋が除去された後、試料チャンバの保護された環境内で、試料をピペット処理および/または操作することができる。特に試料が顕微鏡検査されている間に、それらの試料をピペット処理および/または操作することができる。これにより、さもなければ不可能であろう多くの実験、例えば、注入された試薬によって活性化された神経細胞の神経細胞活動を追跡するといった実験が行われるようになる。
【0014】
別の好ましい実施形態では、試料チャンバは、インキュベーション雰囲気を含むインキュベートされる試料チャンバおよび/または無菌雰囲気を含む無菌試料チャンバである。試料チャンバの保護された環境を使用して、試料をインキュベートするためのインキュベーション雰囲気を提供することができる。これにより、例えば、外部のインキュベータを必要とせずに長時間の細胞培養の観察が可能となる。外部のインキュベータを使用する場合、試料を、実験室環境など潜在的に好ましくない環境を通って移動させなければならない。これは、試料にストレスを与えるだけでなく、追加の時間も要する。さらに、試料チャンバの保護された環境を使用して、無菌または少なくとも半無菌の雰囲気を提供することができる。この実施形態では、汚染に極めて敏感な試料であっても、顕微鏡で操作することができる。
【0015】
別の好ましい実施形態では、顕微鏡は、試料チャンバの少なくとも1つの第1の開口を通して試料チャンバ内に雰囲気を吹き込むように構成された第1のファンアセンブリと、試料チャンバの少なくとも1つの第2の開口を通して前記試料チャンバから雰囲気を排出するように構成された第2のファンアセンブリと、を有している。これにより、試料チャンバ内に方向付けられた雰囲気流が提供される。このような流れは、試料チャンバに入り込む埃、泥、および細菌のようなあらゆる粒子を連行することができ、それらを出口開口へと搬送することができる。これにより、試料チャンバ内の無菌または半無菌の作業環境が可能となる。さらに、インキュベートされる試料チャンバの場合、インキュベーション雰囲気を再循環させることができる。試料チャンバから排出されたインキュベーション雰囲気は、再循環させられ、送風により試料チャンバ内に戻すことができる。インキュベーション雰囲気の一部は、新しくされてもよく、または補充されてもよい。これにより、試料チャンバのドアの開閉の後のインキュベーション雰囲気体積およびエネルギが節約される。
【0016】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つの第1の開口と、少なくとも1つの第2の開口と、は、試料チャンバの対向する側に、特に試料チャンバの上面と下面とに配置されている。このような実施形態では、試料チャンバの内側で層流の雰囲気流を生成することができる。
【0017】
別の好ましい実施形態では、第1のファンアセンブリと、少なくとも1つの第1の開口と、少なくとも1つの第2の開口と、は、試料チャンバの内側で層流を生成するように構成されている。層流は、雰囲気が試料チャンバから逃出することを防止し、外部の雰囲気が試料チャンバ内に侵入することを防止するシールドまたはカーテンのように作用する。
【0018】
別の好ましい実施形態では、顕微鏡は、試料担体を識別するように構成された試料担体識別ユニットを備えている。試料担体識別ユニットは、試料担体を、ひいては試料担体に含まれる試料を一意に識別するために利用することができる。これにより、複数の試料担体を自動的に次々に検査および/または操作することができる。これによりさらに、顕微鏡から離れることができる時間は向上する。
【0019】
別の好ましい実施形態では、試料担体識別ユニットは、カメラ、バーコードリーダ、および/またはRFIDリーダを備えている。カメラは、バーコードまたはQRコードのようなタグに基づいて、または手書きのラベルに基づいて、試料担体を一意に識別するために使用することができる。バーコードリーダは、バーコードに基づいて試料担体を一意に識別するために利用することができる。RFIDリーダは、RFIDタグに基づいて試料担体を一意に識別するために利用することができる。
【0020】
別の好ましい実施形態では、顕微鏡は、試料チャンバを画定する箱型顕微鏡ハウジングを備え、ハウジングは、試料チャンバにアクセスできるようにするためのドアを有する。箱型の顕微鏡は、その内部に全ての顕微鏡構成要素が配置されるハウジングを備えている。ハウジングは典型的には、顕微鏡の内側にアクセスするための1つ以上の開口を有している。ハウジングの閉鎖性または密閉性により、箱型顕微鏡は、特に、例えば気候制御ユニットによる試料の環境の精密な制御に適している。この実施形態では、試料チャンバは、箱型顕微鏡ハウジングの内側に位置している。これは、試料チャンバの環境を精密に制御できることを意味している。
【0021】
別の好ましい実施形態では、箱型顕微鏡ハウジングは、顕微鏡ステージの下方に構成要素スペースを画定しており、構成要素スペースは、複数の顕微鏡構成要素を含んでいる。構成要素スペースは、顕微鏡の電源、結像光学系、照明システム、フィルタ、環境制御ユニット、またはインキュベーション制御ユニットを含んでいてよい。
【0022】
以下に、特定の実施形態を図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】試料担体ハンドリング装置を有する顕微鏡の概略図である。
図2図1による顕微鏡の試料チャンバを示す平面図であり、この場合、試料担体ハンドリング装置のアームは休止位置にある。
図3図1による顕微鏡の試料チャンバを示す平面図であり、この場合、試料担体ハンドリング装置のアームは蓋把持位置にある。
図4図1による顕微鏡の試料チャンバを示す平面図であり、この場合、試料担体ハンドリング装置のアームは蓋保持位置にある。
図5】1つの実施形態による、ピペット処理装置を有した顕微鏡の試料チャンバを示す平面図である。
図6】1つの実施形態による、試料担体識別ユニットを有した顕微鏡の試料チャンバを示す平面図である。
図7】1つの実施形態による顕微鏡の試料チャンバの側面図である。
図8】1つの実施形態による、ロックおよびキー機構を有した試料担体ハンドリング装置を示す側面図である。
図9】1つの実施形態による、吸着カップを有した試料担体ハンドリング装置を示す側面図である。
図10】1つの実施形態による顕微鏡を概略的に示す側面図である。
図11図10による顕微鏡を概略的に示す斜視図である。
図12】顕微鏡を用いて試料を検査する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、顕微鏡100の概略図である。顕微鏡100は、例示的に、箱型顕微鏡として形成されている。
【0025】
従来の顕微鏡は、全ての顕微鏡構成要素を保持する顕微鏡スタンドを備えている。慣用の顕微鏡の開放性は、その全ての構成要素への容易なアクセスを可能にする。しかしながら、開放性のために、従来の顕微鏡に配置された試料は、環境にさらされている。さらに、顕微鏡スタンドは、典型的には、1つの側からの試料へのアクセスを遮断している。
【0026】
これとは対照的に、図1に示された箱型顕微鏡100は、顕微鏡ハウジング102の内側に完全に包囲されている。特に、顕微鏡ハウジング102は、光学的に透明な蓋400(図4参照)を有する、1つ以上の試料が配置される試料担体106を収容するように構成された試料チャンバ104を形成している。蓋400は、試料担体106内に収容された試料を環境に対して保護し、これにより、汚染を防止し、試料が乾燥するのを防止する。また、蓋400は、試料担体106がユーザによって取り扱われる際に、こぼれ落ちることを防止する。顕微鏡ハウジング102の内側で試料担体106を包囲することにより、試料チャンバ104の温度、湿度および気体組成を制御するために、例えばインキュベーション制御ユニット1002(図10参照)による、試料の環境に対する正確な制御が可能となる。包囲された試料は、蓋400が取り外されても環境に対して保護されるため、試料および環境の両方は、偶発的な汚染から保護される。さらに、実験にとって必要ならば、試料チャンバ104を容易に、インキュベーションチャンバおよび/または無菌環境として作成することができる。
【0027】
試料担体106は、試料チャンバ104の下方に配置された顕微鏡ステージ108の上に配置される。顕微鏡ステージ108は、2つの直交する方向に沿って移動可能であり、すなわち、顕微鏡ステージ108は、いわゆるX-Yテーブルである。したがって、顕微鏡ステージ108を移動させることにより、例えば、試料担体106の個々のキャビティまたはウェルを選択することが、または観察のために単一の試料の特定の重要な領域を選択することが可能になる。
【0028】
図1による顕微鏡100は、例示的に、透過光顕微鏡100として形成されている。試料を結像するための結像光学系110は、構成要素スペース112内において顕微鏡ステージ108の下方に例示的に配置されており、試料を照明するための照明システム114は、試料チャンバ104内において顕微鏡ステージ108の上方に配置されている。結像光学系110の光軸と、照明システム114の光軸と、は、位置合わせされている。したがって、照明システム114によって放出された照明光は、結像光学系110に入る前に試料を通過する。代替的な実施形態においては、結像光学系110および照明システム114の位置を逆にすることができる。別の代替的な実施形態では、結像システムおよび照明システム114の両方が、顕微鏡ステージ108の同じ側に配置される。電源またはさまざまなフィルタなどの付加的な構成要素は、構成要素スペース112に配置されてよい。
【0029】
試料担体106から蓋400を取り外し、操作のために上方から試料にアクセスできるようにするために、顕微鏡100は、試料担体ハンドリング装置116を備えている。試料担体ハンドリング装置116は、例示的に、試料チャンバ104内で顕微鏡ステージ108に隣接して配置されたベース118と、ベース118に接続されたアーム120と、を備える。図1による実施形態では、アーム120は、試料担体106の蓋400に係合するためのグリッパ122を有する。しかしながら、蓋400と係合するための、キーおよびロック機構または吸着カップ902(図8および図9参照)などの他の要素も可能である。ベース118を中心として、アーム120を回転させることができ、鉛直方向軸線Aに沿って移動させることができる。これは、図1において2つの両方向矢印P1,P2によって示されており、より詳細には図7図9を参照して後述する。試料担体ハンドリング装置116の付加的な構成要素、例えばアーム120およびグリッパ122を移動させるための1つ以上のモータ、ならびにアーム120を制御するための制御ユニットを、試料チャンバ104の下方の構成要素スペース112内に配置することができる。試料担体ハンドリング装置116については、図2図9を参照してより詳細に後述する。
【0030】
図2は、図1による顕微鏡100の試料チャンバ104の平面図である。図2では、試料担体ハンドリング装置116のアーム120は、休止位置で、試料担体106から離れるように回転させられている。
【0031】
試料担体106は、例示的に、4行6列に配置された24個のウェルを有するマルチウェルプレートとして形成されている。それぞれのウェルを一意に識別するために、行はA~Dでラベリングされていて、列は1~6でラベリングされている。図2では、蓋400は、試料担体106の上に配置されている。
【0032】
図2からわかるように、アーム120はアームジョイント200を有しており、このアームジョイントを中心にグリッパ122を回転させることができる。これにより、アーム120に、より細かな制御のための接合部が提供される。グリッパ122は、2つのL字型のグリッパアーム202を有していて、各グリッパアームは把持部分204を有しており、把持部分は、試料担体106の蓋400に対向する側から係合することができ、それによって蓋400を把持することができる。蓋400を把持するプロセスについては、図3を参照してより詳細に後述する。
【0033】
図3は、図1による顕微鏡100の試料チャンバ104の別の平面図である。図3では、試料担体ハンドリング装置116のアーム120は、蓋把持位置で、グリッパアーム202が試料担体106の蓋400に係合することができるように回転させられている。グリッパアーム202の把持部分204は、試料担体106の蓋400を把持するために互いに向かって移動させられる。次のステップでは、試料担体106から蓋400を持ち上げるために、アーム120が上方に持ち上げられる。
【0034】
図4は、図1による顕微鏡100の試料チャンバ104の別の平面図である。図4では、試料担体ハンドリング装置116のアーム120は、蓋保持位置で、試料担体106の蓋400を保持しており、試料担体106から離れるように回転させられている。蓋保持位置では、蓋400は、試料担体106の上方に位置していない。したがって、試料担体106に配置された試料には、操作のために上方からアクセス可能である。試料の操作については、図5を参照してより詳細に後述する。
【0035】
図5は、1つの実施形態による顕微鏡500の試料チャンバ104の平面図である。図5による顕微鏡500は、試料をピペット処理するためのピペット処理装置502を有している点で、図1による顕微鏡100とは区別される。試料のピペット処理は、例えば、試料にさまざまな液体試薬を導入することを含んでいてよい。
【0036】
ピペット処理装置502は、顕微鏡ステージ108の上面に対して平行に配置された長方形フレーム504を有する。フレーム504は、1つまたは複数の注入ノズル506を保持しており、そのうちの2つの注入ノズル506のみが図5に示されている。各注入ノズル506は、流体ライン508を介して試料チャンバ104の外側の液体リザーバに接続されている。フレーム504は、注入器駆動装置によって試料チャンバ104内で可動である。したがって、注入ノズル506は、ピペット処理のために試料担体106の個々のウェルをターゲットにすることができる。
【0037】
図6は、別の実施形態による顕微鏡600の試料チャンバ104の平面図である。図6による顕微鏡600は、試料担体識別ユニット602を有している点で、図5による顕微鏡500とは区別される。
【0038】
図6において、図示された蓋400は、手書きラベル604と、RFIDタグ606と、QRコード608と、バーコード610と、を有しており、これらはそれぞれ、試料担体106を一意に識別する固有の識別子を成す。試料担体識別ユニット602は、これらの固有の識別子のうちの少なくとも1つを読み取るように構成されている。試料担体識別ユニット602は、例えば、カメラおよび制御ユニットを含むことができる。カメラは、アーム120が蓋保持位置にある場合に、蓋400の画像を捕捉し、上記画像を制御ユニットに送信するように構成されている。制御ユニットは、例えば、手書きのテキスト認識のために構成されている。したがって、制御ユニットは、手書きラベル604を機械可読のテキストに変換し、これにより、試料担体106を識別することができる。代替的または付加的に、制御ユニットは、QRコード608および/またはバーコード610を、試料担体106を識別するために機械可読テキストに変換するように構成されている。試料担体識別ユニット602は、専用のバーコードリーダまたはRFIDリーダを含むこともでき、このRFIDリーダは、RFIDタグ606に基づき試料担体106を識別するように構成されている。
【0039】
図7は、1つの実施形態による顕微鏡700の試料チャンバ104の側面図である。
【0040】
試料担体ハンドリング装置116のアーム120は、ベース118の周りに巻き付けられたアーム駆動装置702を有する。アーム駆動装置702は、鉛直方向軸線Aに沿ってアーム120を移動させるために、ベース118のレール704に係合する第1のモータを有する。アーム駆動装置702はさらに、アーム駆動装置702を、ひいてはアーム120全体を、ベース118を中心として回転させるように構成された第2のモータを含む。ケーブル706は、アーム駆動装置702を、試料チャンバ104の下方の構成要素スペース112に接続する。ケーブル706は、アーム駆動装置702の2つのモータに、ならびにアームジョイント200およびグリッパ122のアクチュエータに、電力および制御信号を供給するための電気および制御ラインを有する。
【0041】
図8は、1つの実施形態による試料担体ハンドリング装置800の側面図である。図8に示す試料担体ハンドリング装置800は、試料担体106の蓋400と係合するためのロックおよびキー機構802を有することにより、図1図7に示す試料担体ハンドリング装置800とは区別される。
【0042】
ロックおよびキー機構802は、試料担体106の蓋400に配置された第1の保持機構804と、試料担体ハンドリング装置800のアーム120の下面に配置された第2の保持機構806と、を含む。第2の保持機構806は、第1の保持機構804に取り付けられるように、かつ第1の保持機構804から取り外されるように構成されている。第2の保持機構806が第1の保持機構804に取り付けられている場合、アーム120を上方に移動させて、試料担体106から蓋400を持ち上げることができる。
【0043】
図9は、別の実施形態による試料担体ハンドリング装置900の側面図である。図9に示す試料担体ハンドリング装置900は、試料担体106の蓋400と係合するための吸着カップを有することにより、図1図8に示す試料担体ハンドリング装置900とは区別される。
【0044】
吸着カップは、試料担体ハンドリング装置116のアーム120の下面に配置されている。吸着カップが蓋400の上面に接触している場合、蓋400を吸着カップに、ひいてはアーム120に吸着するために、吸着カップの中心から空気を除去することができる。アーム120を下向きに移動させ、これにより吸着カップを蓋400の上面に押し付け、空気を吸着カップの中心から外へ押し出すことによって、空気を除去することができる。あるいは小さなポンプによって吸着カップの中心から空気を除去することができる。空気が再び、例えば制御可能な弁によって吸着カップの中心に入れられると、蓋400は、再びアーム120から取り外される。
【0045】
図10は、試料チャンバ104の内部の雰囲気を制御するための手段を有する1つの実施形態による顕微鏡1000の概略的な側面図である。
【0046】
試料チャンバ104にアクセスするためのフロントドア1004は、図10における試料チャンバ104の右側に配置されている。他のドアまたは付加的なドアが、所望のように設けられてもよい。
【0047】
試料チャンバ104の上側には、試料チャンバ104の第1の開口1008を通して試料チャンバ104の中に雰囲気を吹き込むために、2つのファンを含む第1のファンアセンブリ1006が配置されている。開口は、開口全体にわたって延在するフィルタ1010であってよいフィルタシステムを収容するように形成されている。しかしながら、第1のファンアセンブリ1006の各ファンのために単一の開口が設けられていてもよく、これらの開口のそれぞれにオプションとしてフィルタを配置することもできる。複数の第2の開口1100(図11参照)が、試料チャンバ104の下面に配置され、試料チャンバ104の内側からの雰囲気が試料チャンバ104から流出することを可能とする(「出口開口」とも呼ばれる)。
【0048】
第1のファンアセンブリ1006が作動させられると、試料チャンバ104の上面から下面の壁の出口開口まで下方に向かう方向付けられた雰囲気流が生成される。試料チャンバ104の下面で試料チャンバ104の内部から等出した雰囲気は、顕微鏡ハウジング102の内部を通過し、第1のファンアセンブリ1006によって吸い込まれ、再び試料チャンバ104内に吹き込まれる。したがって、図10に白抜きの矢印のセットによって示される雰囲気の定常流が形成される。好ましくは、方向付けられた雰囲気流は層流である。
【0049】
顕微鏡1000はさらに、試料チャンバ104の下面に配置されたオプションとしての第2のファンアセンブリ1012を有する。第2のファンアセンブリ1012は、少なくとも1つの第2の開口1100を通って流れる雰囲気を吸引するための1つの単一のファンを含む。したがって、第2のファンアセンブリ1012は、顕微鏡ハウジング102の内部および試料チャンバ104の内部を通る雰囲気の循環を支援する。
【0050】
第2のフィルタシステム1014は、顕微鏡ハウジング102の開口または漏れ孔に配置されている。このような開口/漏れ孔により、顕微鏡1000の外側からの新鮮な空気を顕微鏡ハウジング102の内側に導入することができる。このような空気は、第2のフィルタシステムによってろ過され、単一の点線矢印P4によって示したように、第2のファンアセンブリ1012内に吸い込まれる。
【0051】
図10による顕微鏡1000はさらに、白抜きの矢印のセットによって示されるように、顕微鏡ハウジング102内の試料チャンバ104の内部と試料チャンバ104の外部との間で循環するインキュベーション雰囲気のパラメータを制御および調整するためのインキュベーション制御ユニット1002を備える。
【0052】
適切なインキュベーション雰囲気は、所定含量のHO(相対湿度)および所定含量のCO(二酸化炭素)を有した空気を含む。雰囲気中の酸素が不足した状態で低酸素実験を行うことも望ましい。典型的には、インキュベーション雰囲気の温度は、周囲温度と最高50℃との間の範囲に設定することができ、CO範囲は、典型的には0.5~20%に設定され、O範囲は1~18%に設定される。湿度は、潜在的な結露が回避されるか、または少なくとも顕微鏡1000の構成要素もしくは試料自体のいずれも損なわないことを保証するようにバランスを取る必要がある。好ましくは、少なくとも温度、湿度およびCO含有量がそれぞれ制御される。低酸素実験では、O含量は、N(窒素)の導入によって制御される。インキュベーション雰囲気のこれらのパラメータは、インキュベーション制御ユニット1002によって制御および調整可能である。上記のパラメータを制御するために、対応するセンサを、試料チャンバ104内および/または顕微鏡ハウジング102内および/または顕微鏡ステージ108に、好ましくは試料の近くに配置することが好ましい。
【0053】
制御ユニットは、第2のファンアセンブリ1012の吸引圧力を制御するために、その出力を調節するために使用することができる。これに関して最良の結果を得るために、制御ユニットをインキュベーション制御ユニット1002に接続することができる。
【0054】
図11は、図10による顕微鏡1000を概略的に示す斜視図である。
【0055】
図11は、試料チャンバ104の下側の2つの縁部に沿った第2の(出口)開口1100の分布を示している。層流は、顕微鏡ステージ108の一方の側の周りのシールドまたはカーテンとして作用する。この雰囲気のシールド/カーテンは、試料チャンバ104内への、特に試料自体への、細菌を含む粒子の侵入を防止し、同時に、試料チャンバ104内の雰囲気が試料チャンバ104から逃出することを防止し、かつ試料チャンバ104外の雰囲気が試料チャンバ104内に侵入することを防止する。
【0056】
ユーザがドア1004を介して試料チャンバ104内にその腕を入れると、層流は、ユーザの腕の周囲の小さな領域においてのみ遮断されるので、残りの雰囲気流は依然として保護シールドとして作用する。さらに、ユーザの腕によって持ち込まれたあらゆる汚染は、雰囲気流によって連行され、試料チャンバ104の下側の壁における出口開口へと搬送され得る。
【0057】
図12は、上述した顕微鏡100を用いて試料を検査する方法を示すフローチャートである。
【0058】
ステップS1200において、プロセスが開始される。ステップS1202において、試料チャンバ104が開放され、蓋400を備えた試料容器が顕微鏡ステージ108内に配置される。その後、試料チャンバ104は閉じられる。ステップS1204において、試料チャンバ104のためのインキュベーションが開始または再開される。試料チャンバ104が、ユーザの希望に応じて無菌状態または半無菌状態となると、ステップS1206が実行される。ステップS1206において、ユーザ入力、または自動的なワークフローを実施する制御ユニット、例えばコンピュータのいずれかによって、顕微鏡100に対する蓋取り外し除去コマンドが与えられる。その後、顕微鏡ステージ108は、試料担体106を所定の蓋除去位置に移動させる。次いで、試料担体ハンドリング装置116のアーム120が、蓋把持位置に移動させられ、蓋400に係合し、試料担体106から蓋400を持ち上げる。次いで、アーム120は、蓋保持位置へ移動させられる。
【0059】
ステップS1208において、試料担体106は、試料を顕微鏡検査することができる検査位置に、または試料を操作可能な操作位置に移動させられる。検査位置と操作位置は同一であってもよい。試料の操作および/または検査に続いて、ステップS1210が実行される。ステップS1210において、ユーザ入力または制御ユニットのいずれかによって、蓋取付けコマンドが、顕微鏡100に与えられる。その後、顕微鏡ステージ108は、試料担体106を蓋除去位置に移動させる。次いで、試料担体ハンドリング装置116のアーム120は、蓋把持位置に移動させられ、蓋400を試料担体106の上へと降ろし、次いで蓋400との係合を解除する。次いで、アーム120は、休止位置へ移動させられる。次いで、プロセスはステップS1212において終了する、またはステップS1202からS1210が、付加的な試料担体106sのために繰り返される。
【0060】
同一または類似に作用する要素は、全ての図において同じ参照符号で示されている。本明細書で使用されるように、用語「および/または(かつ/または)」は、関連する記載項目のうちの1つまたは複数の項目のあらゆる全ての組み合わせを含んでおり、「/」として略記されることがある。
【0061】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。
【符号の説明】
【0062】
100 顕微鏡
102 顕微鏡ハウジング
104 試料チャンバ
106 試料担体
108 顕微鏡ステージ
110 結像光学系
112 構成要素スペース
114 照明システム
116 試料担体ハンドリング装置
118 ベース
120 アーム
122 グリッパ
200 アームジョイント
202 グリッパアーム
204 把持部分
400 蓋
500 顕微鏡
502 ピペット処理装置
504 フレーム
506 注入ノズル
508 流体ライン
600 顕微鏡
602 試料担体識別ユニット
604 ラベル
606 RFIDタグ
608 QRコード
610 バーコード
700 顕微鏡
702 アーム駆動装置
704 レール
706 ケーブル
800 試料担体ハンドリング装置
802 ロックおよびキー機構
804,806 保持機構
900 試料担体ハンドリング装置
902 吸着カップ
1000 顕微鏡
1002 インキュベーション制御ユニット
1004 ドア
1006 ファンアセンブリ
1008 開口
1010 フィルタ
1012 ファンアセンブリ
1014 フィルタシステム
A 軸線
P1,P2,P3,P4 矢印
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】