(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023150091
(43)【公開日】2023-10-16
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、情報処理プログラム。
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20231005BHJP
G06V 10/764 20220101ALI20231005BHJP
G06N 20/10 20190101ALI20231005BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G06V10/764
G06N20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022058999
(22)【出願日】2022-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國京 大貴
(72)【発明者】
【氏名】沖野 徹
(72)【発明者】
【氏名】香山 信三
(72)【発明者】
【氏名】小田川 明弘
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 繁
【テーマコード(参考)】
5L096
【Fターム(参考)】
5L096BA05
5L096CA21
5L096DA04
5L096FA12
5L096FA66
5L096JA11
5L096KA04
5L096MA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】判定条件を再評価する情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】工場内に設けられたロボットアームの制御を行うための、制御部と、記憶部と、表示部と、操作部と、カメラと、を備える情報処理システムにおいて、制御部11は、複数のデータに対応する複数の特徴点の中から、超平面との距離が第1距離を下回る特徴点を選択する選択処理部131と、選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対して、超平面に基づいて行われる第1判定とは異なる第2判定を行う別判定処理部132と、別判定処理部による第2判定の判定結果と、選択処理部131により選択された特徴点に対応するデータに対する第1判定の判定結果とに基づいて、第1判定に関する判定条件であり表平面を示す情報を含む第1判定条件を調節する調節処理部133と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
判定条件を処理する情報処理システムであって、
制御部を備え、
前記制御部は、
複数のデータに対応する複数の特徴点の中から、前記複数の特徴点を2つの群に分ける超平面との距離が第1距離を下回る特徴点を選択する選択処理部と、
前記選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対して、前記超平面に基づいて行われる第1判定とは異なる第2判定を行う別判定処理部と、
前記別判定処理部における前記第2判定の判定結果と、前記選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対する前記第1判定の判定結果とに基づいて、前記第1判定に関する判定条件であり前記超平面を示す情報を含む第1判定条件を調節する調節処理部とを有する
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1の情報処理システムにおいて、
ユーザへ向けて画像を表示する表示部と、
前記ユーザにより操作される操作部とを備え、
前記別判定処理部は、前記選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対する判定を前記ユーザに行わせるための画像を前記表示部に表示させ、前記操作部に入力された前記ユーザの操作に基づいて前記ユーザによる判定結果を前記第2判定の判定結果として取得する
情報処理システム。
【請求項3】
請求項2の情報処理システムにおいて、
前記データは、画像データであり、
前記別判定処理部は、前記選択処理部により選択された特徴点に対応する画像データに基づいて再生される画像を前記表示部に表示させることで、該画像に対する判定を前記ユーザに行わせる
情報処理システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つの情報処理システムにおいて、
前記超平面を示す情報は、前記超平面を表現する識別関数であり、
前記調節処理部は、前記選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対する前記超平面に基づく第1判定の判定結果が前記別判定処理部における該データに対する前記第2判定の判定結果と同一となるように、前記超平面を表現する前記識別関数を調節する
情報処理システム。
【請求項5】
請求項4の情報処理システムにおいて、
前記識別関数は、前記複数のデータの特徴に基づいて導出された特徴関数と変数との組合せにより表現される積和関数であり、
前記調節処理部は、前記変数を調節することで前記超平面を調節する
情報処理システム。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか1つの情報処理システムにおいて、
前記調節処理部は、前記選択処理部により選択された特徴点のうち、該特徴点に対応するデータに対する前記超平面に基づく第1判定の判定結果と前記別判定処理部における該データに対する前記第2判定の判定結果とが異なる特徴点を、前記第1判定において、前記超平面に対する位置に拘わらず前記別判定処理部における前記第2判定の判定結果と同一の判定結果が得られる例外点として取り扱う、という例外条件を、前記第1判定条件に追加する
情報処理システム。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つの情報処理システムにおいて、
記憶部を備え、
前記制御部は、記憶処理部を有し、
前記記憶処理部は、前記複数のデータのうち、前記超平面との距離が前記第1距離以上の距離である第2距離を下回る特徴点に対応するデータと、前記超平面との距離が前記第2距離を下回らない特徴点の中から記憶対象として選択された特徴点に対応するデータとを前記記憶部に記憶する
情報処理システム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つの情報処理システムにおいて、
前記制御部は、主判定処理部を有し、
前記主判定処理部は、前記第1判定条件に基づいて、判定対象となるデータに対して前記第1判定を行う
情報処理システム。
【請求項9】
判定条件を処理する情報処理方法であって、
複数のデータに対応する複数の特徴点の中から、前記複数の特徴点を2つの群に分ける超平面との距離が第1距離を下回る特徴点を選択する選択ステップと、
前記選択ステップにより選択された特徴点に対応するデータに対して、前記超平面に基づいて行われる第1判定とは異なる第2判定を行う別判定ステップと、
前記別判定ステップにおける前記第2判定の判定結果と、前記選択ステップにより選択された特徴点に対応するデータに対する前記第1判定の判定結果とに基づいて、前記第1判定に関する判定条件であり前記超平面を示す情報を含む第1判定条件を調節する調節ステップとを備える
情報処理方法。
【請求項10】
判定条件をコンピュータに処理させる情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを、
複数のデータに対応する複数の特徴点の中から、前記複数の特徴点を2つの群に分ける超平面との距離が第1距離を下回る特徴点を選択する選択処理部と、
前記選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対して、前記超平面に基づいて行われる第1判定とは異なる第2判定を行う別判定処理部と、
前記別判定処理部における前記第2判定の判定結果と、前記選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対する前記第1判定の判定結果とに基づいて、前記第1判定に関する判定条件であり前記超平面を示す情報を含む第1判定条件を調節する調節処理部として機能させる
情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、情報処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、学習装置が開示されている。この学習装置は、複数の検出手段と、推定手段と、分類手段と、重み算出手段とを備える。複数の検出手段は、画像から対象物の一部または全部を検出して複数の検出結果を出力する。推定手段は、複数の検出結果の少なくとも1つに基づいて対象物の状態を推定する。分類手段は、対象物の状態に基づいて画像を複数のグループに分類する。重み算出手段は、検出結果に基づいて、複数の検出手段のそれぞれに対する重み情報をグループごとに算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、どのようにして判定条件(例えば特許文献1では推定の条件)を再評価するのかについては、何ら開示も示唆もない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに開示する技術は、判定条件を処理する情報処理システムに関し、この情報処理システムは、制御部を備え、前記制御部は、複数のデータに対応する複数の特徴点の中から、前記複数の特徴点を2つの群に分ける超平面との距離が第1距離を下回る特徴点を選択する選択処理部と、前記選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対して、前記超平面に基づいて行われる第1判定とは異なる第2判定を行う別判定処理部と、前記別判定処理部における前記第2判定の判定結果と、前記選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対する前記第1判定の判定結果とに基づいて、前記第1判定に関する判定条件であり前記超平面を示す情報を含む第1判定条件を調節する調節処理部とを有する。
【0006】
また、ここに開示する技術は、判定条件を処理する情報処理方法に関し、この情報処理方法は、複数のデータに対応する複数の特徴点の中から、前記複数の特徴点を2つの群に分ける超平面との距離が第1距離を下回る特徴点を選択する選択ステップと、前記選択ステップにより選択された特徴点に対応するデータに対して、前記超平面に基づいて行われる第1判定とは異なる第2判定を行う別判定ステップと、前記別判定ステップにおける前記第2判定の判定結果と、前記選択ステップにより選択された特徴点に対応するデータに対する前記第1判定の判定結果とに基づいて、前記第1判定に関する判定条件であり前記超平面を示す情報を含む第1判定条件を調節する調節ステップとを備える。
【0007】
また、ここに開示する技術は、判定条件をコンピュータに処理させる情報処理プログラムに関し、この情報処理プログラムは、前記コンピュータを、複数のデータに対応する複数の特徴点の中から、前記複数の特徴点を2つの群に分ける超平面との距離が第1距離を下回る特徴点を選択する選択処理部と、前記選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対して、前記超平面に基づいて行われる第1判定とは異なる第2判定を行う別判定処理部と、前記別判定処理部における前記第2判定の判定結果と、前記選択処理部により選択された特徴点に対応するデータに対する前記第1判定の判定結果とに基づいて、前記第1判定に関する判定条件であり前記超平面を示す情報を含む第1判定条件を調節する調節処理部として機能させる。
【発明の効果】
【0008】
ここに開示する技術によれば、第1判定とは異なる第2判定の判定結果を利用して、第1判定に関する判定条件を再評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態1の情報処理システムの構成を例示する概略図である。
【
図2】制御部の機能的構成を例示するブロック図である。
【
図3】実施形態1の関数生成処理を例示するフローチャートである。
【
図4】特徴量空間内の特徴点と超平面を例示するグラフである。
【
図5】実施形態1の主判定処理を例示するフローチャートである。
【
図6】実施形態1の再評価処理を例示するフローチャートである。
【
図9】実施形態2の再評価処理を例示するフローチャートである。
【
図10】例外点として取り扱われる特徴点を例示するグラフである。
【
図11】実施形態2の主判定処理を例示するフローチャートである。
【
図12】実施形態3の記憶処理を例示するフローチャートである。
【
図13】特徴量空間内の削除前の特徴点と超平面とを例示するグラフである。
【
図14】特徴量空間内の削除後の特徴点と超平面とを例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施の形態を詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0011】
(実施形態1)
図1は、実施形態1の情報処理システム10の構成を例示する。この例では、情報処理システム10は、工場内に設けられたロボットアーム20の制御を行う。ロボットアーム20は、制御部11により制御される制御対象の一例である。情報処理システム10は、制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14と、カメラ15とを備える。
【0012】
〔制御部〕
制御部11は、情報処理システム10の構成要素と信号線により接続され、情報処理システム10の構成要素を制御する。この例では、制御部11は、記憶部12と表示部13と操作部14とカメラ15と信号線により接続される。また、制御部11は、ロボットアーム20と信号線により接続され、ロボットアーム20を制御する。
【0013】
例えば、制御部11は、プロセッサと、プロセッサを動作させるためのプログラムを記憶するメモリとを含む。プロセッサによりプログラムが実行されることで、制御部11の各種の機能が実現される。言い換えると、制御部11は、各種の機能を実現する各種の機能ブロックを有する。なお、制御部11は、コンピュータの一例である。このプログラムは、情報処理プログラムの一例である。
【0014】
〔記憶部〕
記憶部12は、各種のデータおよび情報を記憶する。
【0015】
〔表示部〕
表示部13は、ユーザU1へ向けて画像を表示する。具体的には、表示部13は、制御部11から送信された画像データに基づいて画像を再生し、その再生された画像を表示する。例えば、表示部13は、液晶ディスプレイ装置などの表示装置により構成される。
【0016】
〔操作部〕
操作部14は、ユーザU1により操作される。具体的には、ユーザU1の操作が操作部14に入力されると、操作部14は、ユーザU1の操作に応じた信号を制御部11に送信する。これにより、ユーザU1の操作に応じた情報が制御部11に入力される。例えば、操作部14は、操作ボタンが設けられた操作パネル、タッチパッド、キーボード、マウスなどにより構成される。なお、操作部14は、表示部13と一体化されて操作表示部(例えばタッチパネル)を構成してもよい。
【0017】
〔カメラ〕
カメラ15は、被撮像領域を撮像することで、その被撮像領域の画像を示す画像データを取得する。カメラ15により得られた画像データは、制御部11に送信される。制御部11は、カメラ15から送信された画像データを、記憶部12に記憶する。この例では、カメラ15は、ロボットアーム20の作業環境を含む被撮像領域を撮像する。カメラ15は、撮像装置の一例である。
【0018】
〔制御部による処理〕
制御部11は、各種処理を行う。この例では、制御部11は、カメラ15により得られた画像データに対して判定を行うことで、画像データに示されたロボットアーム20の作業環境が危険であるか否かを判定する。ロボットアーム20は、判定対象の一例である。画像データは、判定対象に関するデータの一例である。「ロボットアーム20の作業環境が危険である」という判定結果は、予め定められた正解に該当するという判定結果の一例である。制御部11による処理は、情報処理方法の一例である。
【0019】
具体的には、制御部11は、関数生成処理と、主判定処理と、再評価処理とを行う。
【0020】
関数生成処理は、識別関数f(X)を生成する処理である。関数生成処理において、制御部11は、関数導出処理と、記憶処理とを行う。
【0021】
主判定処理は、第1判定条件に基づいて、判定対象となる画像データに対して第1判定を行う処理である。第1判定は、識別関数f(X)により表現される超平面に基づいて行われる判定である。第1判定条件は、第1判定に関する判定条件であり、超平面を表現する識別関数f(X)を含む。識別関数f(X)は、超平面を示す情報の一例である。
【0022】
再評価処理は、第1判定条件を再評価する処理である。再評価処理において、制御部11は、選択処理と、別判定処理と、調節処理とを行う。
【0023】
図2に示すように、この例では、制御部11は、関数生成処理を行う関数生成処理部110と、主判定処理を行う主判定処理部120と、再評価処理を行う再評価処理部130とを有する。関数生成処理部110は、関数導出処理を行う関数導出処理部111と、記憶処理を行う記憶処理部112とを有する。再評価処理部130は、選択処理を行う選択処理部131と、別判定処理を行う別判定処理部132と、調節処理を行う調節処理部133とを有する。
【0024】
〔関数生成処理〕
次に、
図3を参照して、実施形態1の関数生成処理について説明する。例えば、制御部11(関数生成処理部110)は、識別関数f(X)の導出(学習)のために使用される新たな画像データが入力されると、以下の処理を行う。ステップS11およびステップS12は、関数導出処理に対応する関数導出ステップである。ステップS13は、記憶処理に対応する記憶ステップである。
【0025】
〈ステップS11〉
まず、制御部11(関数導出処理部111)は、入力された画像データ毎に、その画像データ(具体的には画像データに示される画像)から特徴を抽出し、その抽出された特徴に基づいて特徴関数Φを導出する。特徴関数Φの導出には、周知の手法を採用することが可能である。
【0026】
具体的には、第N番目(Nは整数)の画像データの特徴量XNは、次の式1に示すように、K個(Kは整数)の要素により構成される。例えば、制御部11は、第N番目の画像データに対して解析処理を行うことで、第N番目(Nは整数)の画像データの特徴量XNを取得する。
【0027】
【0028】
第N番目の画像データの特徴量XNに関連する第N番目の特徴関数ΦNは、次の式2に示すように、M個(Mは整数)の特徴量により構成される。例えば、制御部11は、第N番目の画像データの特徴量XNを高次元の座標系に変換する変換処理を行うことで、第N番目の特徴関数ΦNを取得する。
【0029】
【0030】
〈ステップS12〉
次に、制御部11(関数導出処理部111)は、特徴関数Φに基づいて識別関数f(X)を導出する。識別関数f(X)は、第1判定において使用される関数である。識別関数f(X)は、第1判定条件に含まれる。
【0031】
この例では、識別関数f(X)は、サポートベクターマシンの関数であり、次の式3のように示される。制御部11は、識別関数f(X)と各種変数とを用いて識別関数f(X)を導出する。
【0032】
【0033】
式3に示すように、識別関数f(X)は、特徴関数ΦとハイパーパラメータAnとの積和により表現される積和関数である。
【0034】
具体的には、識別関数f(X)は、カーネルトリックを用いて導出される。一般的に、カーネル関数K(X,Y)は、次の式4のように示される。
【0035】
【0036】
なお、カーネル関数K(X,Y)として、次の式5に示される「ガウシアンカーネル」または「RBFカーネル(Radial Basis Function kernel)」と称される関数を利用することが可能である。
【0037】
【0038】
上記の式5に示されたカーネル関数K(X,Y)を用いて識別関数f(X)を表現すると、識別関数f(X)は、次の式6のようになる。
【0039】
【0040】
式6に示すように、識別関数f(X)は、特徴関数ΦとハイパーパラメータAnとハイパーパラメータγとの組合せにより表現される関数である。ハイパーパラメータAnとハイパーパラメータγは、変数の一例である。
【0041】
このようにして、識別関数f(X)の導出のために使用される新たな画像データに基づいて、識別関数f(X)が導出(または更新)される。
【0042】
〈ステップS13〉
次に、制御部11(記憶処理部112)は、ステップS13において導出された識別関数f(X)と、その識別関数f(X)の導出のために使用された画像データ(新たな画像データ)とを記憶部12に記憶する。
【0043】
なお、識別関数f(X)の導出(学習)のために使用される画像データには、その画像データに示された画像(シーン)が「危険あり」に該当するか否かを示すラベルが関連付けられてもよい。
【0044】
〔識別関数で表現される超平面〕
次に、
図4を参照して、識別関数f(X)で表現される超平面HPについて説明する。
図4では、簡略化のために、特徴量空間を平面(二次元)で示し、超平面HPを直線(一次元)で示している。
【0045】
図4に示すように、識別関数f(X)により表現される超平面HPは、複数の画像データに対応する複数の特徴点Qが配置(マッピング)される特徴量空間において、複数の特徴点Qを2つの群に分ける。特徴量空間において、特徴点Qの座標は、特徴関数Φ
Nにより表現される。なお、白抜き丸印は、「危険あり」に該当すると判定されるべき画像データに対応する特徴点Qを示す。白抜き三角印は、「危険なし」に該当すると判定されるべき画像データに対応する特徴点Qを示す。
【0046】
超平面HPは、特徴量空間を、「危険あり」に該当すると判定される第1領域と、「危険なし」に該当すると判定される第2領域とに分割する。
図4の例では、第1領域は、特徴量空間のうち超平面HPを示す直線よりも左上の領域であり、第2領域は、特徴量空間のうち超平面HPを示す直線よりも右下の領域である。
【0047】
なお、
図4の例では、複数の特徴点Qのうち4つの特徴点Q(第1特徴点Q1と第2特徴点Q2と第3特徴点Q3と第4特徴点Q4)が超平面HPの近傍に位置する。第1特徴点Q1は、第2領域に位置すべき特徴点であるが、第1領域に位置している。第3特徴点Q3は、第1領域に位置すべき特徴点であるが、第2領域に位置している。
【0048】
〔主判定処理〕
次に、
図5を参照して、実施形態1の主判定処理について説明する。例えば、制御部11(主判定処理部120)は、カメラ15により得られた新たな画像データ(判定対象となる画像データ)を入力すると、以下の処理を行う。
【0049】
〈ステップS21〉
まず、制御部11(主判定処理部120)は、判定対象となる画像データの特徴量を抽出する。具体的には、制御部11は、第N番目の画像データに対して解析処理および変換処理(関数生成処理のステップS11の解析処理および変換処理と同様の処理)を行うことで、第N番目(Nは整数)の画像データの特徴に対応する第N番目の特徴関数ΦNを取得する。
【0050】
〈ステップS22〉
次に、制御部11(主判定処理部120)は、ステップS21において抽出された画像データの特徴量(具体的には特徴関数)を識別関数f(X)に入力する。
【0051】
〈ステップS23〉
次に、制御部11(主判定処理部120)は、ステップS22において画像データの特徴量が入力された識別関数f(X)がゼロを上回るか否かを判定する。
【0052】
例えば、
図4の例では、特徴量空間において、判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが第1領域(超平面HPを示す直線よりも左上の領域)に位置する場合、その画像データの特徴量が入力された識別関数f(X)の符号は、正となる。一方、特徴量空間において、判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが第2領域(超平面HPを示す直線よりも右下の領域)に位置する場合、その画像データの特徴量が入力された識別関数f(X)の符号は、負となる。
【0053】
判定対象となる画像データの特徴量が入力された識別関数f(X)がゼロを上回る場合には、ステップS24の処理が行われ、そうでない場合には、ステップS25の処理が行われる。
【0054】
〈ステップS24〉
判定対象となる画像データの特徴量が入力された識別関数f(X)がゼロを上回る場合、制御部11(主判定処理部120)は、その画像データに示された画像(この例ではロボットアーム20の作業環境)を「危険あり」と判定する。
【0055】
〈ステップS25〉
一方、判定対象となる画像データの特徴量が入力された識別関数f(X)がゼロを上回らない場合、制御部11(主判定処理部120)は、その画像データに示された画像(この例ではロボットアーム20の作業環境)を「危険なし」と判定する。
【0056】
〔再評価処理〕
次に、
図6を参照して、実施形態1の再評価処理について説明する。例えば、制御部11(再評価処理部130)は、第1判定条件(具体的には識別関数f(X))が新たに導出(更新)されると、以下の処理を行う。なお、この例では、ステップS35は、選択処理に対応する選択ステップである。ステップS36,S37は、別判定処理に対応する別判定ステップである。ステップS38は、調節処理に対応する調節ステップである。
【0057】
〈ステップS31〉
まず、制御部11(再評価処理部130)は、再評価の対象となる第1判定条件に含まれる識別関数f(X)と、その識別関数f(X)を導出(更新)するために使用された複数の画像データとを取得する。この例では、制御部11は、識別関数f(X)と複数の画像データとを記憶部12から読み出す。
【0058】
〈ステップS32〉
次に、制御部11(再評価処理部130)は、ステップS31において取得された複数の画像データに対応する複数の特徴点Qを特徴量空間に配置(マッピング)する。この例では、制御部11は、複数の画像データの各々に対して解析処理および変換処理(関数生成処理のステップS11の解析処理および変換処理と同様の処理)を行うことで、その画像データの特徴に対応する特徴関数を取得する。そして、制御部11は、特徴関数により表現される特徴点を特徴量空間に配置する。
【0059】
〈ステップS33〉
次に、制御部11(再評価処理部130)は、ステップS31において取得された識別関数f(X)により表現される超平面HPを特徴量空間に配置する。これにより、
図4に示すように、特徴量空間において複数の特徴点Qと超平面HPとが配置される。なお、特徴量空間に超平面HPが既に配置されている場合は、ステップS33が省略されてもよい。
【0060】
〈ステップS34〉
次に、制御部11(再評価処理部130)は、特徴量空間において超平面HPの近傍に特徴点Qが存在するか否かを判定する。具体的には、制御部11は、特徴量空間に配置された複数の特徴点Qの中に、超平面HPとの距離が第1距離D1を下回る特徴点Qが存在するか否かを判定する。
【0061】
なお、特徴点Qと超平面HPとの距離が短くなるほど、その特徴点Qの誤判定の可能性が高くなる傾向にある。例えば、第1距離D1は、誤判定の可能性が高いと推測される特徴点Qと超平面HPとの距離の最大値に設定される。
【0062】
超平面HPの近傍に特徴点Qが存在する場合には、ステップS35の処理が行われ、そうでない場合には、再評価処理が終了する。
【0063】
〈ステップS35〉
超平面HPの近傍に特徴点Qが存在する場合、制御部11(選択処理部131)は、超平面HPの近傍に存在する特徴点Qを選択する。具体的には、制御部11は、特徴量空間に配置された複数の特徴点Qの中から「超平面HPとの距離が第1距離D1を下回る特徴点Q」を選択する。これにより、再評価の対象となる特徴点Qが選択される。例えば、
図4の例では、第1~第4特徴点Q1~Q4が選択される。
【0064】
〈ステップS36〉
次に、制御部11(別判定処理部132)は、ステップS35において選択された特徴点Qに対応する画像データを選択する。次に、制御部11は、その選択された画像データに基づいて、判定用画像P10の画像データを生成する。
図7に示すように、判定用画像P10には、再評価対象画像と、画像の判定をユーザに促すための説明文とが含まれる。判定用画像P10は、再評価の対象となる特徴点Qに対応する画像データに対する判定をユーザU1に行わせるための画像の一例である。
【0065】
この例では、判定用画像P10には、第1~第4特徴点Q1~Q4に対応する第1~第4再評価対象画像P1~P4が含まれる。第1再評価対象画像P1は、第1特徴点Q1に対応する画像データに基づいて再生される画像である。同様に、第2~第4再評価対象画像P2~P4は、第2~第4特徴点Q2~Q4に対応する画像データに基づいて再生される画像である。
【0066】
第1~第4再評価対象画像P1~P4には、ロボットアーム20の作業環境を示す。ロボットアーム20の作業環境には、ロボットアーム20の他に、ワークWK、障害物OJなどが含まれる。
図7の例では、第2特徴点Q2に対応する第2再評価対象画像P2と、第3特徴点Q3に対応する第3再評価対象画像P3は、「危険あり」に該当するシーンを示している。第1特徴点Q1に対応する第1再評価対象画像P1と、第4特徴点Q4に対応する第4再評価対象画像P4は、「危険なし」に該当するシーンを示している。
【0067】
次に、制御部11は、判定用画像P10の画像データを表示部13に送信する。表示部13は、判定用画像P10の画像データに基づいて判定用画像P10を再生し、その再生された判定用画像P10を表示する。
【0068】
そして、ユーザU1は、表示部13に表示された判定用画像P10を見て、判定用画像P10に含まれる第1~第4再評価対象画像P1~P4に示されたシーン(ロボットアーム20の作業環境)の各々が「危険あり」に該当するか否かを判定することができる。
【0069】
〈ステップS37〉
ユーザU1は、判定用画像P10に含まれる第1~第4再評価対象画像P1~P4に対する判定の結果に応じて操作部14を操作する。制御部11(別判定処理部132)は、操作部14に入力されたユーザU1の操作に基づいて、ユーザU1による判定結果を取得する。ユーザU1による判定結果は、第1判定とは異なる第2判定の判定結果の一例である。
【0070】
この例では、ユーザU1は、表示部13に表示された判定用画像P10に含まれる第1~第4再評価対象画像P1~P4の中から「危険あり」と判定した画像を選択するための操作を操作部14に入力する。操作部14は、操作部14に与えられた操作に応じた信号を制御部11に送信する。制御部11は、操作部14から送信された信号に基づいて、第1~第4再評価対象画像P1~P4の中から、ユーザにより「危険あり」と判定された再評価対象画像を検出する。そして、制御部11は、第1~第4再評価対象画像P1~P4の各々に対するユーザU1の判定結果を、その再評価対象画像に対応する画像データに対するユーザの判定結果として取り扱う。
【0071】
例えば、
図7の例では、第2再評価対象画像P2と第3再評価対象画像P3がユーザにより「危険あり」と判定されると、制御部11は、第2再評価対象画像P2に対応する画像データ(第2特徴点Q2に対応する画像データ)と、第3再評価対象画像P3に対応する画像データ(第3特徴点Q3に対応する画像データ)とに、「危険あり」を示すユーザU1の判定結果を関連付ける。また、制御部11は、第1再評価対象画像P1に対応する画像データ(第1特徴点Q1に対応する画像データ)と、第4再評価対象画像P4に対応する画像データ(第4特徴点Q4に対応する画像データ)とに、「危険なし」を示すユーザU1の判定結果を関連付ける。
【0072】
〈ステップS38〉
次に、制御部11(調節処理部133)は、再評価の対象となる画像データ(ステップS35において選択された特徴点Qに対応する画像データ)に対して第1判定(ステップS31において取得された識別関数f(X)により表現される超平面HPに基づく第1判定)を行い、その第1判定の判定結果を取得する。具体的には、制御部11は、ステップS35において選択された特徴点Qに対応する画像データに対して、主判定処理と同様の処理(ステップS21~S25)を行い、その画像データが「危険あり」に該当するか否かを示す判定結果を取得する。
【0073】
次に、制御部11(調節処理部133)は、ステップS37において得られたユーザU1の判定結果と、上記の第1判定の判定結果とに基づいて、識別関数f(X)を調節する。これにより、識別関数f(X)を含む第1判定条件が調節される。
【0074】
具体的には、制御部11は、再評価の対象となる画像データの各々について「識別関数f(X)により表現される超平面HPに基づく第1判定の判定結果」が「ステップS37において得られたユーザU1の判定結果」と同一となるように、超平面HPを表現する識別関数f(X)を調節する。識別関数f(X)を調節することで、識別関数f(X)により表現される超平面HPが調節され、その結果、再評価の対象となる画像データの各々について「識別関数f(X) により表現される超平面HPに基づく第1判定の判定結果」が「ステップS37において得られたユーザU1の判定結果」と同一となるようにすることができる。なお、識別関数f(X)の調節は、識別関数f(X)に含まれるハイパーパラメータ(変数)を調節することで行われる。
【0075】
例えば、
図4の例では、第1特徴点Q1に対応する画像データは、「危険なし」と判定されるべき画像データであるが、超平面HPに基づく第1判定の判定結果では「危険あり」となる。第1特徴点Q3に対応する画像データは、「危険あり」と判定されるべき画像データであるが、超平面HPに基づく第1判定の判定結果では「危険なし」となる。
【0076】
ここで、第1特徴点Q1に対応する画像データに対するユーザU1の判定結果(ステップS47において得られた判定結果)が「危険なし」となり、第3特徴点Q3に対応する画像データに対するユーザU1の判定結果が「危険あり」となると、制御部11は、
図8に示すように、第2特徴点Q2および第3特徴点Q3が第1領域(超平面HPよりも左上の領域)に位置し、且つ、第1特徴点Q1および第4特徴点Q4が第2領域(超平面HPよりも右下の領域)となるように、識別関数f(X)のハイパーパラメータを調整して超平面HPを調節する。
【0077】
〔実施形態1の効果〕
以上のように、実施形態1の情報処理システム10は、第1判定条件(所定の判定条件)を処理する。第1判定条件は、第1判定に関する判定条件である。第1判定は、複数の画像データに対応する複数の特徴点Qを2つの群に分ける超平面HPに基づいて行われる判定である。第1判定条件は、超平面HPを表現する識別関数f(X)(超平面HPに関する情報の一例)を含む。
【0078】
そして、実施形態1の情報処理システム10では、選択処理において、制御部11(選択処理部131)は、複数の画像データに対応する複数の特徴点Qの中から、超平面HPとの距離が第1距離D1を下回る特徴点Qを選択する。別判定処理において、制御部11(別判定処理部132)は、選択処理により選択された特徴点Qに対応する画像データに対して、超平面HPに基づく第1判定とは異なる第2判定を行う。調節処理において、制御部11(調節処理部133)は、別判定処理における第2判定の判定結果と、選択処理により選択された特徴点Qに対応する画像データに対する第1判定の判定結果とに基づいて、第1判定条件を調節する。
【0079】
上記の構成では、第1判定とは異なる第2判定の判定結果を利用して、第1判定条件を再評価することができる。具体的には、画像データに対する第1判定の判定結果を、第1判定とは異なる第2判定の判定結果を利用して確認することができ、その確認の結果に基づいて、第1判定条件が適切であるか否かを再評価することができる。
【0080】
また、実施形態1の情報処理システム10では、複数の特徴点Qのうち超平面HPとの距離が第1距離D1を下回る特徴点Qを、再評価のための処理(具体的にはステップS35以降の処理)の対象としている。なお、超平面HPとの距離が第1距離D1を下回る特徴点Qは、誤判定の可能性が高い特徴点Qであるとみなすことができる。したがって、第1判定条件の再評価を効果的に行うことができる。
【0081】
また、実施形態1の情報処理システム10では、超平面HPとの距離が第1距離D1を下回る特徴点Qが存在する場合に、再評価のための処理が行われ、超平面HPとの距離が第1距離D1を下回る特徴点Qが存在しない場合に、再評価のための処理が行われない。したがって、識別関数f(X)の導出のために使用された複数の画像データの全部に対して再評価のための処理が行われる場合よりも、再評価のための処理に要する制御部11の処理負荷およびユーザの負担を軽減することができる。
【0082】
また、実施形態1の情報処理システム10では、別判定処理において、制御部11(別判定処理部132)は、選択処理により選択された特徴点Qに対応する画像データに対する判定をユーザU1に行わせるための画像を表示部13に表示させる。そして、制御部11(別判定処理部132)は、操作部14に入力されたユーザU1の操作に基づいて、ユーザU1による判定結果を第2判定の判定結果として取得する。
【0083】
上記の構成では、ユーザU1による判定結果を利用して、第1判定条件を再評価することができる。具体的には、画像データに対する第1判定の判定結果を、ユーザU1による判定結果(機械による判定ではない判定の判定結果)を利用して確認することができ、その確認の結果に基づいて、第1判定条件が適切であるか否かを再評価することができる。
【0084】
また、実施形態1の情報処理システム10では、別判定処理において、制御部11(別判定処理部132)は、選択処理により選択された特徴点Qに対応する画像データに基づいて再生される画像を表示部13に表示させることで、その画像に対する判定をユーザに行わせる。
【0085】
上記の構成では、ユーザは、表示部13に表示された画像に基づいて判定を行うことができる。これにより、ユーザU1が第1判定条件(具体的には識別関数f(X)の変数)を手動で調節する場合よりも、ユーザの負担を軽減することができる。
【0086】
また、実施形態1の情報処理システム10では、第1判定条件は、超平面HPを表現する識別関数f(X)を含む。調節処理において、制御部11(調節処理部133)は、「選択処理により選択された特徴点Qに対応する画像データに対する第1判定(超平面HPに基づく第1判定)の判定結果」が「別判定処理におけるその画像データに対する第2判定の判定結果」と同一となるように、超平面HPを表現する識別関数f(X)を調節する。
【0087】
上記の構成では、識別関数f(X)を調節することにより、選択処理により選択された特徴点Qに対応する画像データについて「識別関数f(X)により表現される超平面HPを使用する第1判定の判定結果が「第2判定の判定結果」と同一となるように、超平面HPを調節することができる。これにより、第1判定条件(具体的には識別関数f(X))を適切に調節することができる。
【0088】
また、実施形態1の情報処理システム10では、識別関数f(X)は、「その識別関数f(X)の導出のために使用された複数の画像データの特徴に基づいて導出された特徴関数Φ」と「変数」との組合せにより表現される関数である。制御部11は、調節処理において、変数を調節することで超平面HPを調節する。
【0089】
上記の構成では、識別関数f(X)の再評価の結果に基づいて、制御部11に識別関数f(X)の変数を調節させることができる。これにより、ユーザU1が識別関数f(X)の変数を手動で調節しなくてもよいので、ユーザの作業負担を軽減することができる。
【0090】
(実施形態2)
実施形態2の情報処理システム10は、主判定処理と再評価処理が実施形態1の情報処理システム10と異なる。実施形態2の情報処理システム10のその他の構成および処理は、実施形態1の情報処理システム10の構成および処理と同様である。
【0091】
〔再評価処理〕
次に、
図9を参照して、実施形態2の再評価処理について説明する。実施形態2の再評価処理では、実施形態1の再評価処理のステップS38の代わりに、ステップS40の処理が行われる。実施形態2の再評価処理のその他のステップは、実施形態1の再評価処理のステップと同様である。ステップS40の処理は、ステップS37の後に行われる。
【0092】
〈ステップS40〉
ステップS38と同様に、制御部11(調節処理部133)は、再評価の対象となる画像データ(ステップS35において選択された特徴点Qに対応する画像データ)に対して第1判定(ステップS31において取得された識別関数f(X)により表現される超平面HPに基づく第1判定)を行い、その第1判定の判定結果を取得する。
【0093】
次に、制御部11(調節処理部133)は、再評価の対象となる特徴点Qの中から、その特徴点Qに対応する画像データについて「識別関数f(X)を使用する第1判定の判定結果」と「ステップS37において得られたユーザU1の判定結果」とが異なる特徴点Qを選択する。
【0094】
そして、制御部11(調節処理部133)は、その選択された特徴点Q(判定結果が異なる特徴点)を「例外点QE」として取り扱うという例外条件を、第1判定条件に追加する。例外点QEは、第1判定において、超平面HPに対する位置に拘わらず、予め定められた判定結果(ステップS37において得られたユーザU1の判定結果と同一の判定結果)が得られる特徴点Qである。
【0095】
この例では、制御部11(調節処理部133)は、例外条件を「第1判定において使用される識別関数f(X)」に関連付けて記憶部12に記憶する。例外条件には、例外点QE毎に、その例外点QEに対して設定された判定結果(第1判定において超平面HPに対する位置に拘わらず得られる判定結果)が示されている。
【0096】
例えば、
図10の例では、第1特徴点Q1と第3特徴点Q3とが例外点QEとして取り扱われる。第1特徴点Q1は、第1判定において「危険なし」を示す判定結果が得られる例外点QEとして取り扱われる。
【0097】
〔主判定処理〕
次に、
図11を参照して、実施形態2の主判定処理について説明する。実施形態2の主判定処理では、実施形態1の主判定処理に加えて、ステップS45とステップS46の処理が行われる。ステップS45の処理は、ステップS21の後に行われる。
【0098】
〈ステップS45〉
制御部11(主判定処理部120)は、ステップS21において抽出された画像データの特徴量(具体的には特徴関数)に基づいて、その画像データに対応する特徴点Qを導出する。そして、制御部11は、判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが第1判定条件に含まれる例外条件に示された例外点QEに該当するか否かを判定する。
【0099】
具体的には、制御部11は、判定対象となる画像データに対応する特徴点Qの座標(特徴量空間における座標)が例外点QEの座標と一致するか否かを判定する。そして、制御部11は、特徴点Qの座標が例外点QEの座標と一致する場合には、その特徴点Qが例外点QEに該当すると判定し、特徴点Qの座標が例外点QEの座標と一致しない場合には、その特徴点Qが例外点QEに該当しないと判定する。
【0100】
判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが例外点QEに該当する場合には、ステップS46の処理が行われ、そうでない場合には、ステップS22の処理が行われる。
【0101】
〈ステップS46〉
判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが例外点QEに該当する場合、制御部11(主判定処理部120)は、例外条件において例外点Q毎に設定された判定結果の中から、その例外点QE(判定対象となる画像データに対応する特徴点Qに該当する例外点)に対して設定された判定結果を取得する。
【0102】
例えば、
図10の例では、判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが第1特徴点Q1に該当する場合、制御部11は、その画像データの特徴量を識別関数f(X)に入力することなく、例外点QEである第1特徴点Q1に対して設定された「危険なし」を示す判定結果を取得する。また、判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが第3特徴点Q3に該当する場合、制御部11は、その画像データの特徴量を識別関数f(X)に入力することなく、例外点QEである第3特徴点Q3に対して設定された「危険あり」を示す判定結果を取得する。
【0103】
〔実施形態2の効果〕
以上のように、実施形態2の情報処理システム10では、制御部11(調節処理部133)は、調節処理において「例外条件」を第1判定条件に追加する。例外条件は、選択処理により選択された特徴点Qのうち「その特徴点Qに対応する画像データに対する第1判定(超平面HPに基づく第1判定)の判定結果」と「別判定処理におけるその画像データに対する第2判定の判定結果」とが異なる特徴点Qを、第1判定において、超平面HPに対する位置に拘わらず予め定められた判定結果(別判定処理における第2判定の判定結果と同一の判定結果)が得られる例外点QEとして取り扱う、という条件である。
【0104】
上記の構成では、第1判定条件に例外条件を追加することにより、第1判定において、判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが例外点QEに該当する場合に、その特徴点Qの超平面HPに対する位置に拘わらず、その判定対象となる画像データに対する第1判定の判定結果として「予め定められた判定結果(この例では別判定処理において得られたユーザU1による判定結果)」を取得することができる。これにより、第1判定条件(この例では識別関数f(X)を含む判定条件)を適切に調節することができる。
【0105】
(実施形態2の変形例)
実施形態2の変形例の情報処理システム10は、例外条件と主判定処理の一部(ステップS45)とが実施形態2の情報処理システム10と異なる。実施形態2の変形例の情報処理システム10のその他の構成および処理は、実施形態2の情報処理システム10の構成および処理と同様である。
【0106】
実施形態2の変形例では、例外条件は、選択処理により選択された特徴点Qのうち「その特徴点Qに対応する画像データに対する第1判定(超平面HPに基づく第1判定)の判定結果」と「別判定処理におけるその画像データに対する第2判定の判定結果」とが異なる特徴点Qを基準とする範囲を、第1判定において、超平面HPに対する位置に拘わらず予め定められた判定結果(別判定処理における第2判定の判定結果と同一の判定結果)が得られる例外範囲として取り扱うという条件である。例えば、例外範囲は、例外点QEから所定距離以内の範囲である。例外点QEを中心とする例外範囲に属する特徴点Qは、例外点QEの特徴量と類似する特徴量を有しているとみなすことができる。
【0107】
そして、実施形態2の変形例では、主判定処理のステップS45において、制御部11(主判定処理部120)は、判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが第1判定条件に含まれる例外条件に示された例外範囲に属するか否かを判定する。判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが例外範囲に属する場合には、ステップS46の処理が行われ、そうでない場合には、ステップS22の処理が行われる。
【0108】
〔実施形態2の変形例の効果〕
以上のように、実施形態2の変形例の情報処理システム10では、第1判定条件に例外条件を追加することにより、第1判定において、判定対象となる画像データに対応する特徴点Qが例外範囲に属する場合に、その特徴点Qの超平面HPに対する位置に拘わらず、その判定対象となる画像データに対する第1判定の判定結果として「予め定められた判定結果(この例では別判定処理において得られたユーザU1による判定結果)」を取得することができる。これにより、第1判定条件(この例では識別関数f(X)を含む判定条件)を適切に調節することができる。
【0109】
(実施形態3)
実施形態3の情報処理システム10は、関数生成処理の一部である記憶処理(ステップS13)が実施形態1の情報処理システム10と異なる。実施形態3の情報処理システム10のその他の構成および処理は、実施形態1の情報処理システム10の構成および処理と同一である。
【0110】
実施形態3では、制御部11(記憶処理部112)は、記憶処理(ステップS13)において、超平面HPの導出に使用された複数の画像データのうち、超平面HPとの距離が第2距離D2(第1距離D1以上の距離)を下回る特徴点Qに対応する画像データと、超平面HPとの距離が第2距離D2を下回らない特徴点Qの中から記憶対象として選択された特徴点Qに対応する画像データとを、記憶部12に記憶する。
【0111】
なお、実施形態1と同様に、実施形態3では、制御部11(記憶処理部112)は、記憶処理(ステップS13)において、複数の画像データに基づいて導出された識別関数f(X)を記憶部12に記憶する。
【0112】
〔記憶処理〕
次に、
図12を参照して、実施形態3の記憶処理について説明する。制御部11(関数生成処理部110)は、関数生成処理のステップS13において、以下の処理を行う。
【0113】
〈ステップS51〉
制御部11(記憶処理部112)は、識別関数f(X)の導出(学習)に使用された複数の画像データに対応する複数の特徴点Qの中から、特徴量空間において超平面HPから遠い位置にある特徴点Qを選択する。具体的には、制御部11は、上記の複数の特徴点Qの中から、超平面HPとの距離が第2距離D2を下回らない特徴点Qを選択する。第2距離D2は、第1距離D1以上の距離である。
【0114】
〈ステップS52〉
次に、制御部11(記憶処理部112)は、ステップS51において選択された特徴点Q(削除候補となる特徴点)の中から、削除対象とする特徴点Qを選択する。この例では、制御部11は、削除候補となる複数の特徴点Qを複数のグループに分類する。そして、制御部11は、複数のグループの各々において、削除対象となる特徴点Qを選択する。
【0115】
例えば、
図13に示すように、制御部11は、距離が近い特徴点Q(具体的には互いの間の距離が所定距離以下となる特徴点Q)が同じグループに属するように、削除候補となる複数の特徴点Qを複数のグループに分類する。なお、距離が近い特徴点Qは、類似度が高い特徴点Qであるといえる。
図13において、破線の円は、特徴点Qのグループを示している。そして、制御部11は、複数のグループの各々において、そのグループに属する特徴点Qの特徴量の平均値に最も近い特徴量を有する特徴点Qを「代表となる特徴点Q」として選択し、その「代表となる特徴点Q」として選択されない残りの特徴点Qを「削除対象の特徴点Q」として選択する。なお、代表となる特徴点Qは、記憶対象となる特徴点Qの一例である。
【0116】
〈ステップS53〉
次に、制御部11(記憶処理部112)は、ステップS52において削除対象として選択された特徴点Qに対応する画像データを削除する。これにより、識別関数f(X)の導出(学習)に使用された複数の画像データのうち、超平面HPとの距離が第2距離D2を下回る特徴点Qに対応する画像データと、超平面HPとの距離が第2距離D2を下回らない特徴点Qの中から削除対象として選択されない特徴点Q(記憶対象として選択された特徴点Q)に対応する画像データとが残される。
【0117】
例えば、
図13の例では、複数のグループの各々において、「削除対象の特徴点Q」に対応する画像データが削除され、「代表となる特徴点Q」に対応する画像データが残される。その結果、
図14に示すように、特徴量空間に配置される特徴点Qは、超平面HPとの距離が第2距離D2を下回る特徴点Qと、複数のグループの各々において代表となる特徴点Qとになる。
【0118】
〈ステップS54〉
次に、制御部11(記憶処理部112)は、ステップS53において削除されずに残された画像データを記憶部12に記憶する。
図14の例では、制御部11は、複数のグループの各々において代表となる特徴点Qに対応する画像データと、超平面HPとの距離が第2距離D2を下回る特徴点Qに対応する画像データとを、記憶部12に記憶する。
【0119】
〔実施形態3の効果〕
以上のように、実施形態3の情報処理システム10では、制御部11(記憶処理部112)は、記憶処理において、超平面HPの導出に使用された複数の画像データのうち、特徴量空間において超平面HPとの距離が第2距離D2(第1距離D1以上の距離)を下回る特徴点Qに対応する画像データと、超平面HPとの距離が第2距離D2を下回らない特徴点Qの中から記憶対象として選択された特徴点Qに対応する画像データとを、記憶部12に記憶する。
【0120】
上記の構成では、超平面HPの導出に使用された複数の画像データの全部を記憶部12に記憶する場合よりも、画像データの記憶に要する記憶容量を削減することができる。
【0121】
また、特徴量空間において超平面HPとの距離が第2距離D2を下回る特徴点Qに対応する画像データは、削除されずに記憶部12に記憶される。なお、特徴点Qと超平面HPとの距離が短くなるほど、その特徴点Qが超平面HPを調節する際に重要となる。したがって、超平面HPを調節する際に重要となる特徴点Qに対応する画像データを、削除せずに記憶部12に記憶することができる。
【0122】
また、実施形態3の情報処理システム10では、制御部11(記憶処理部112)は、距離が近い特徴点Qが同じグループに属するように、削除候補となる複数の特徴点Q(超平面HPとの距離が第2距離D2を下回らない特徴点Q)を複数のグループに分類する。そして、制御部11は、複数のグループの各々において、削除対象の特徴点Qに対応する画像データを削除し、代表となる特徴点Qに対応する画像データを残す。
【0123】
上記の構成では、距離が近い特徴点Qは、類似度が高い特徴点Qであるといえる。したがって、特徴点Qの間の距離に応じて削除候補となる複数の特徴点Qを複数のグループに分類し、その複数のグループの各々において代表となる特徴点Qに対応する画像データを残すことにより、削除候補となる複数の特徴点Qに対応する画像データを適切に間引くことができる。
【0124】
(その他の実施形態)
以上の説明では、超平面HPを使用する第1判定とは異なる第2判定の例として、ユーザによる判定を挙げたが、これに限定されない。例えば、第2判定は、第1判定とは異なるアルゴリズムを使用する判定(機械による判定)であってもよい。そのようなアルゴリズムの例としては、ニューラルネットワーク、k近接法、ランダムフォレストなどが挙げられる。
【0125】
また、以上の説明において、制御部11は、再評価処理を定期的に行うように構成されてもよい。
【0126】
また、以上の説明において、情報処理システム10の構成要素は、1つの装置として纏めて配置されてもよいし、複数の装置(例えばインターネットなどの通信網を経由して通信する複数の装置など)に分散して配置されてもよい。
【0127】
また、以上の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、ここに開示する技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0128】
以上説明したように、ここに開示する技術は、情報処理技術として有用である。
【符号の説明】
【0129】
10 情報処理システム
11 制御部
12 記憶部
13 表示部
14 操作部
15 カメラ
20 ロボットアーム
110 関数生成処理部
111 関数導出処理部
112 記憶処理部
120 主判定処理部
130 再評価処理部
131 選択処理部
132 別判定処理部
133 調節処理部